【発明の詳細な説明】
ウェハー輸送用のウェハークッション
本出願は1995年6月6日に出願されたウェハー輸送用のウェハークッショ
ンという名称の特許出願第08/471,641号の一部継続出願である。
発明の背景
この発明は、半導体ウェハーやそれと類似した物体を輸送するための容器及び
パッケージに関する。
半導体ウェハーはその処理において多くの工程をとおる。ウェハーに対しては
、様々な機械の中で、また様々な場所においていろんな処理が行われる。必要な
処理を行うために、ウェハーを一つの場所から別の場所へと輸送して、ある期間
にわたって貯蔵する必要がある。ウェハーを処理し、貯蔵し、輸送するために、
従来から多くのタイプの運搬及び輸送用装置が開発されてきている。
輸送用装置の重要な構成部材は、衝撃や振動、擦過などによる機械的な損傷か
らウェハーを保護するためにウェハーにクッションを与えるための部材である。
こうした輸送用容器やクッション部材については、米国特許第4,043,451 号、第
4,171,740 号、第4,248,346 号、4,555,024 号、第4,574,950 号、第4,557,382
号、第4,718,549 号、第4,773,488 号、第4,817,779 号、第4,966,284 号、第5,
046,617 号、第5,253,755 号、第5,255,797 号、第5,273,159 号に開示されてい
るように、すでに周知のものである。これらの運搬及び輸送用の装置では、ウェ
ハーと係合しクッションを与えてウェハーを機械的な損傷から保護するための様
々な部材がカバーの上に設けられている。しかし、これらの容器は、ウェハーが
存在することによる輸送用装置のカバーの本来的な屈曲に適応できるようにはな
っていない。
運搬及び輸送用の装置に望ましい特徴は、汚染物質が入り込まないようにハー
メチックシールあるいはハーメチックシールに近い特性を有する上部カバーを有
していることである。
ポリプロピレンやHytrel(登録商標)などのような、より屈曲性を有す
るプラスチックをカバーに使用すればシーリングはより良好になるが、しかし上
部カバーの屈曲性が大きくなると個々のウェハーに対する係合が不均一で一定し
ないようになる。これは、上部カバーがたわむ、すなわち上部カバーの中心部分
が端部近辺におけるよりも外側へ大きく屈曲するからである。
これまでカバーの屈曲に関する問題の方策としては、外側リブを追加したり、
上部カバーの構造を変更したり、より堅固な材料を使用したりすることによって
上部カバーのたわみを防止することが行われてきた。
発明の概要
この発明は、半導体ウェハーなどの物体を安全に貯蔵するための輸送用容器で
ある。この輸送用容器は、シールされた状態で二つの端壁へ連結されている二つ
の側壁を有しており、ウェハーを収容する一般に四角形の領域を内部に形成して
いる。上部カバーと底部カバーが取り外し可能な状態で容器へ取り付けられて、
輸送や貯蔵を行うときにウェハーを保護するとともに、処理を行うときにはウェ
ハーへアクセスできるようになっている。ウェハーは、カバーの屈曲に適応する
ためのクッション部材によってキャリヤの中で定位置に保持されていて、ウェハ
ーが損傷を受けないようになっている。また、ウェハーは所定の位置にロックさ
れており、ウェハーがキャリヤを擦ってウェハー収容部分に粒子を発生して汚染
しないようになっている。カバーの屈曲に適応するためのクッション部材は、カ
バーの屈曲を利用することによって、ウェハー収容部分の中でウェハーを支持し
、懸架するようになっている。このクッション部材は上部カバー内の構造体を有
しており、容器内部へ延びる複数のウェハー係合部を有している。ウェハー係合
部の各々は、キャリヤの中心線に対して凸状の弓形に配置された端部を有してい
る。この弓形は、輸送用装置のカバーの最初の弓形によって形成してもよいし、
輸送用装置のカバーから延びる弓形のフィンによって形成してもよい。クッショ
ン部材はウェハーと係合すると圧縮して、ウェハーを上部カバーから離間しつつ
固定
するような構造を有している。クッション部材はフィンの長手方向に沿って設け
られた連続したウェハー係合端部を有していてもよいし、各々が個々にウェハー
と係合するウェハー係合タブあるいはフィンガに分離されていてもよい。底部カ
バーにも、ウェハーと係合して底部カバーからウェハーを離間するクッション部
材が設けられている。底部カバーに設けられたクッション部材の構造は、外側へ
屈曲してウェハーをロックすることによって、ウェハーが輸送用装置の中で回転
しないようにする設計になっている。
この発明の目的は、上部カバーにおいてほぼハーメチックシールに近いシール
を有し、またカバーの屈曲に適応するためのクッション部材を有する輸送用容器
であって、容器のカバーの屈曲性を利用して半導体ウェハーを安全に貯蔵し輸送
することによって、ウェハーの損傷あるいは汚染の可能性を最小限に抑える輸送
用容器を提供することにある。
この発明の特徴は、側壁及び端壁と、上壁を形成する取り外し可能な上部カバ
ーと、底壁を形成する取り外し可能な底部カバーとを有する容器である。ウェハ
ー分離用のリブが側壁に配置されており、ウェハーを互いに離間した状態で保持
するようになっている。
この発明の別の特徴は、上部カバーに設けられたクッション部材である。この
クッション部材は複数のフィンを有している。フィンは上部カバーに沿って長手
方向に配置されており、ウェハー収容部分の中へ半径方向に延びている。
この発明の別の特徴は、各フィンがその長手方向に沿って設けられた連続した
ウェハー係合端部を有していることである。
この発明の別の特徴は、各フィンが、分離した状態で延びている複数のクッシ
ョン用タブの列からなっており、隣接するタブの各対の間にはスロットが設けら
れて、不連続なウェハー係合端部を形成しており、このウェハー係合端部はキャ
リヤの中心線に対してほぼ凸状の弓形になっている。クッション用タブの各々が
ウェハー係合端部を有している。
この発明の別の特徴は、上部カバーに設けられた各フィンの構造である。この
構造は、ウェハー係合部においてウェハーの半径方向に弾性的にへこむように設
計されている。
この発明の別の特徴は、ウェハー係合端部を有する、底部カバーに設けられた
第2のクッション部材である。この底部カバーに設けられたクッション部材は、
ウェハーを支持しウェハーを底部カバーから離間する一方で、ウェハーの重量に
よる底部カバーの屈曲に適応するようになっている。
この発明の別の特徴は、上部カバーあるいは底部カバーのクッション部材がフ
ィンあるいは係合部材の列などの構造を有していることであり、この構造は容器
の端部においてより圧縮しやすいように、そして容器の中央部分で圧縮しにくい
ように設計されており、輸送用装置のカバーの屈曲に適応し、これを利用するよ
うになっている。
この発明の別の特徴は、上部カバーの上にフィンを配置することによって、ウ
ェハーのクッション効果を最大限に大きくしていることである。上部カバーの中
央部分に沿って上部フィンが配置されている。
この発明の別の特徴は、フィンがカバーと一体に形成されていて、製造コスト
を最小限に抑えていることである。
この発明の別の特徴は、ウェハーと係合したときに、タブの間のスロットによ
って各タブが個々に屈曲できるようになっており、一つのタブの屈曲が他のタブ
がそれぞれのウェハーに対して行う整列や係合に影響を及ぼさないようにできる
ことである。
この発明の別の特徴は、各フィンがカバーの内側を長手方向に延びるビードの
形を有していることである。
この発明の別の特徴は、フィンあるいは係合部の端部がポイント、ビード、あ
るいは平坦な面からなる形状を有していることである。
この発明の別の特徴は、ウェハー係合端部がキャリヤの中心線から半径方向に
或る距離だけ離間していることである。この半径方向距離は、フィンの中央部分
から、端壁と隣接するフィン部分まで徐々に増大している。
この発明の別の特徴は、底部カバーに設けられたクッション部材が底部カバー
に沿って長手方向に延びる一対のフィンの形を有していることである。底部カバ
ーに設けられた各フィンの構造は、弾性的に屈曲することによってウェハーを所
定の位置にロックしウェハーの回転を制限するように設計されている。
この発明の別の特徴は、底部カバーに設けられたクッション部材のウェハー係
合端部がキャリヤの中心線の方へ向いた凸状の弓形を有していることである。
図面の簡単な説明
図1はプラスチック製の輸送用容器の斜視図である。
図2は、三つの主要な部材を示すために分解した状態で示した輸送用容器の斜
視図である。
図3は、図1で3−3線で表されている破断線における輸送用容器の断面図で
あり、図3において鎖線で表されている中心線における断面であり、特にタブと
正面視を示している。
図3Aは、図1で3−3線で表されている破断線における輸送用容器の断面図
であり、特に上部カバーにおけるフィンの半径方向の整列状態を示している。
図4は図2のほぼ4−4線に沿う拡大詳細断面図である。
図5は図14のほぼ5−5線に沿う断面図である。
図5Aは図14のほぼ5−5線に沿う断面図であり、ウェハークッション部材
の別の実施の形態を示している。
図5Bは図14のほぼ5−5線に沿う断面図であり、ウェハークッション部材
の別の実施の形態を示している。
図5Cは図14のほぼ5−5線に沿う断面図であり、ウェハークッション部材
の別の実施の形態を示している。
図5Dは図14のほぼ5−5線に沿う断面図であり、ウェハークッション部材
の別の実施の形態を示している。
図6は図5のほぼ6−6線に沿う拡大詳細断面図である。
図6Aは図5のほぼ6−6線に沿う拡大詳細断面図であり、フィンのビード形
状を示している。
図6Bは図5のほぼ6−6線に沿う拡大詳細断面図であり、ナイフ形状を有す
るウェハー係合端部を示している。
図6Cは図5のほぼ6−6線に沿う拡大詳細断面図であり、平坦なウェハー係
合端部を示している。
図6Dは図5のほぼ6−6線に沿う拡大詳細断面図であり、丸いウェハー係合
端部を示している。
図7は図5のほぼ6−6線に沿う拡大詳細断面図であり、屈曲してウェハーと
係合しているタブを示している。
図8は図2のほぼ8−8線に沿う断面図である。
図9は図8のほぼ9−9線に沿う拡大詳細断面図である。
図10は上部カバーに設けられたウェハークッション部材がウェハーと係合し
て、半径方向に押しつぶされた状態を示す斜視図である。
図11は図5Dのほぼ11−11線から見た斜視図である。
図12は、底部カバーに設けられたウェハークッション部材がウェハーと係合
して、外側へ屈曲している状態を示す斜視図である。
図13はウェハーが水平に向いた状態で受け入れる入口を側部に有する輸送用
容器の正面図である。
図14は上部カバーの斜視図である。
好ましい実施の形態の詳細な説明
図1及び図2を参照するとわかるように、輸送用の容器は参照番号15によっ
て全体を示されており、ウェハーキャリヤ16と、上部カバー17と、底部カバ
ー18とを有している。
ウェハーキャリヤ16はポリカーボネートのようなほぼ剛性で透明なプラスチ
ック材料から成形されていることが好ましいが、ウェハーキャリヤはそれに匹敵
する、あるいは同等な他のプラスチックから成形されていてもよい。上部カバー
17と底部カバー18はともに、デュポン(DuPont)の登録商標であるH
ytrelという商標で知られている熱可塑性エラストマなどのかなり硬い、し
かし弾性的で屈曲性を有するプラスチック材料から成形されている。底部カバー
18は容器15の底壁を形成している。Hytrel熱可塑性エラストマは、そ
のすべてのグレードにおいて、ブロックコポリマであり、ポリブチレンテレフタ
レートからなる硬い(結晶性の)部分と、長鎖ポリエーテルグリコールをベース
とした軟らかい(アモルファス性の)部分からなっている。上部カバー及び底部
カバーに使用されるある特定の材料は、45から55から63の範囲のデュロメータD
の硬さを有する。この材料は弾性を有しており、表面に粘着部分を有していて、
把持性ができる限り大きくなり、材料のクリープが最小限に抑えられ、大きな摩
耗耐久性を有するようになっている。さらに、上部カバー及び底部カバーの硬い
が、しかし弾性的で屈曲性を有する材料は、多くの工業化学薬品や油、溶剤によ
る劣化に対して耐久性を有している。
ウェハーキャリヤ16は周囲を囲む四つの壁、すなわち側壁19、20と、端
壁21、22を有している。側壁19、20と端壁21、22は互いに一体に成
形されており、プラスチック製のウェハーキャリヤ15は一部材になっている。
側壁及び端壁の上端19.1、20.1、21.1、22.1は互いにほぼ直線
的に配置されており、一つの平面内に位置していて、キャリヤの上部開口部23
を形成している。上部開口部23は、ウェハーキャリヤ15の中へウェハーWを
装填したりウェハーキャリヤ15からウェハーを取り出したりするのを容易にし
ている。ウェハーWは、半導体製造あるいはディスクプラッタ(disk platter)な
どの磁気メモリ蓄積システムにおいて使用されているタイプのものである。
図2及び図3を参照するとわかるように、側壁19、20は一体に形成された
直立状の多数の歯あるいはリブ24、25を有している。リブ24、25は、そ
の間に半導体ウェハーWを互いに離間した状態で受容し保持するためのポケット
あるいはスロット25.1を形成している。側壁19、20を形成する透明のポ
リカーボネートは、目で容易にウェハーの存在や場所を知ることができるように
している。側壁19、20は丸いオフセット部26、27も有している。オフセ
ット部26、27はその中に収納されるウェハーWの形状にほぼ適合した形状を
有している。オフセット部は、ウェハーWを互いに離間した状態で、また互いに
静止した状態で保持するためのウェハー分離用の脚28、29も有している。
側壁19、20は下方へ延びる平行なフットパネル30、31も有している。
フットパネル30、31は側壁19、20の下端32、33をそれぞれ形成して
いる。
端壁21、22は両方ともほぼ平坦あるいは平面状である。端壁21、22は
側壁19、20の下端32、33とほぼ同じ平面内の下端34、35を有してい
る。側壁と端壁の相互に連結された下端32、33、34、35は互いに協働し
て、フットパネル30、31の間にキャリヤの底部開口部36を形成しており、
キャリヤ16の底部からウェハーWにアクセスできるようになっている。
側壁19、20は外側へ突き出したタブ37、38を有している。タブ37、
38は側壁の上端19.1、20.1と一体に成形されている。タブ37は細長
い形状を有しており、図1に示されているように側壁の両端の間のほぼ中央を側
壁に沿って長手方向に延びている。側壁19は下側にタブ39を有し、側壁20
も下側にタブ(図示しない)を有している。これらの下側タブは側壁の下端32
、33から、さらに詳しくはそのフットパネル30、31から外側へ突き出して
いる。側壁20の下側タブは側壁19のタブ39と鏡像の関係にある。
側壁の上端19.1、20.1と、端壁の上端21.1、22.1は、側壁1
9、20と端壁21、22に、拡張されかつ外側に広がる上側のリム部41、4
2及びリム部43、44をそれぞれ形成している。拡張された上側のリム部41
〜44は互いに連結されており、キャリヤ16の全周のまわり、すなわち側壁と
端壁の両方に沿って延びるリム部を形成している。周辺部を延びるリム部41〜
44はほぼ一つの平面内に位置している。
側壁19、20と端壁21、22には、拡張されかつ外側に広がる下側のリム
部45、46、47、48もそれぞれ形成されている。下側のリム部45〜48
は互いに連結されており、キャリヤ16の全周のまわりに下側リム部を形成して
いる。これらの下側リム部はほぼ一つの平面内に位置している。
フットパネル30、31の各々にはインデックス用ノッチ49が形成されてい
る。このノッチは処理機械のインデックス用のリブあるいは媒体と協働して、こ
の処理機械の中でウェハーキャリヤ16を正確に位置付けする。側壁19、20
のフットパネル30、31に設けられた二つの下側のリム部45、46は部分5
0において上方へ外れており、インデックス用ノッチ49の上を通過している。
図2に示されている部分50の形状は、インデックス用ノッチ49の上を通過し
下側のリム部45、46のほぼ長さ全体にわたって延びる弓形によって形成され
ている。
端壁21、22のすべての部分はほぼ均一な高さであり、側壁19、20と同
じ高さであることがわかろう。端壁22は広い間隔で離間された一対のサポート
バー51、52を有している。サポートバー51、52は端壁22と一体に形成
されており、端壁22の上端22.1及び下端35に近いところへ延びている。
サポートバー51は同じ平面内に位置する外側端部53を有している。外側端部
53は処理機械の平面上に位置しており、ウェハーキャリヤ及びウェハーをその
処理機械の他の装置に対して正確に位置付けできるようになっている。端壁22
はそれと一体に形成されているインデックス用クロスバー54も有している。イ
ンデックス用クロスバーは”Hバー”とも称されるものであり、サポートバー5
1、52と直角に延びている。インデックス用クロスバー54は、処理機械の中
でその位置付け用機構と協働することによってウェハーキャリヤ16を処理機械
の中で正確に位置付けする。図面においてはクロスバー54はサポートバー51
、52まで完全に延びているように描かれているが、サポートバーの間で端壁2
2の一部にしか延びていないようになっていてもよい。
両方の端壁21、22とも側壁19、20の高さと等しい完全な高さを有して
いることに特に注目されたい。側壁と同様に端壁21、22は拡張された上側及
び下側のリム部を有している。これらのリム部はキャリヤ16の全周のまわりを
延びている。特に、端壁22はパネル部55、56を有している。パネル部55
、56は、それぞれインデックス用クロスバー54から、拡張された上側のリム
部44まで上へ延びており、インデックス用クロスバー54から、拡張された下
側のリム部48まで下へ延びている。パネル部55、56の両方とも、端壁22
と一体に形成されているサポートバー51、52の間のスペース全体を満たして
いる。
上部カバー17及び底部カバー18は、キャリヤの上部及び下部へ押し当てら
れてそれぞれ上部開口部23及び底部開口部36を閉じると、キャリヤに対して
ほぼハーメチックシールに近いシールを実現する。こうして、ウェハーWが貯蔵
されているキャリヤの開口した内部57に空気や湿気、汚染粒子が出入りしない
ようになる。さらに、上部カバー17と底部カバー18の両方ともがかなり硬い
、
しかし弾性的で屈曲性を有するプラスチック材料から形成、あるいは成形されて
いるために、これら上部カバー17及び底部カバー18はそこから取り外すとき
に若干屈曲する。従って、まず、カバーの一つのコーナをキャリヤから持ち上げ
、次にカバーの残りをキャリヤから順々に外すことによってカバーをキャリヤか
ら引き剥す。
上部カバー17は部分円筒形状を有する保持部あるいはパネル58を有してい
る。パネル58は容器15の中に収容されるウェハーWの端部の形状とほぼ同じ
曲率を有している。容器のある実施の形態においては、ウェハーは約8インチ(2
0.3 cm)の直径を有し、パネル58の曲率はこうした寸法のパネルの端部の曲
率とほぼ同じである。容器15は、容器を適当な寸法に製造することによって、
6インチ(15cm)、12インチ(30cm)、あるいはそれ以上のウェハーにも適
用できる。部分円筒形状を有するパネル58は凸状の内側表面59を有しており
、内側表面59はウェハーキャリヤの開口した内部57に対向している。
上部カバー17はほぼ平坦で平面状の側端部61、62、63、64も有して
いる。キャリヤの側壁19、20に隣接する側端部6L62はカバーに弾性を与
えており、キャリヤの端壁21、22に隣接する端部63、64よりもかなり広
くなっている。側端部61〜64はキャリヤの上端19.1、20.1、21.
1、22.1の上に直接載っており、キャリヤと上部カバーとの間のほぼハーメ
チックシールに近いシールの維持に寄与している。
次に図5を参照するとわかるように、上部カバー17の屈曲に適応するための
クッション部材130は多数のフィン131を有している。各フィンは不連続な
ウェハー係合端部104を有している。ウェハー係合端部104は、部分円筒形
状を有する内側表面59に沿って長手方向に延びる弾性的で屈曲性を有するタブ
102の列100からなっている。図5に示されているように、列100は上部
カバー17に沿って長手方向にまたパネル5の長手方向に延びており、ウェハー
Wの各々の上へウェハー係合端部104で係合している。列100は互いに離間
している。中央の列100は上部カバーの中央に取り付けられている。列100
の間隔は、ウェハーWの層に適応している。タブ102の列100の各々は二つ
の端部106と中央部分108を有している。各列100はほぼ直線的であり、
内側表面59に沿ってパネル58へ取り付けられている。各列100の外側端部
は全体が参照番号103によって表されており、その形状は隣接するタブ102
のウェハー係合端部104によって形成されている。
図3Aを参照するとわかるように、各フィン131は容器15の開口した内部
57の中心線134の方へ向けて半径方向に突き出していて、ウェハーW(アウ
トラインが示されている)と係合している。各フィン131は各ウェハーWと係
合し、構造的に屈曲してウェハーを支持し、各ウェハーとパネル58の間を離間
した状態に維持する(図7及び図10も参照されたい)。図5のタブ102で示
されているように、フィン131は弾性的に屈曲できて曲がり(図7を参照のこ
と)、あるいはあまり屈曲せずにウェハーWと係合したところでタブの軸Aに沿
って軸方向に圧縮される(図10を参照のこと)ことを理解されたい。タブ10
2は即座に元の形状を取り戻し、ウェハーWとの接触を維持し、上部カバー17
の屈曲に適応して、輸送及び貯蔵のときにウェハーにクッションを与える。
図5を参照するとわかるように、タブ102はほぼ四角形であり、容器の内部
57の中へ延びる方向に幅を有している。各タブ102は列100に沿って延び
る方向に長さを有しており、隣接するタブ102からはスロット105によって
離間されている。列100に沿った各タブ102の長さはスロット105によっ
て限定されており(図4も参照のこと)、各タブがウェハー係合端部104の接
触部132で一つのウェハーと係合できるように設定されている。スロット10
5が設けられているために、各タブ102は隣接するタブ102とは独立にウェ
ハーWと係合することができる。ウェハー係合端部104はカバー58から離間
されており、容器15の中に収容されているウェハーWと係合しクッションを与
える。
続けて図5を参照する。パネル58からウェハー係合端部104まで測ったタ
ブ102の幅は、列100に沿って順々に増減する。中央部分108におけるタ
ブ102は、一般に端部106に設けられたタブ102よりも広い。列の中央部
分108のタブ102は約0.1 インチ(0.254 cm)の幅である。端部106に
設けられたタブ102は約0.05インチ(0.127cm)の幅である。これらの値は列
の中央部分108と端部106に沿ったタブの相対的な幅の例を示すためのもの
であり、この発明の範囲を制限するものではない。
続けて図5を参照する。列の中央部分108に沿って配置されたタブ102を
もっと広くして、上部カバー17が、容器15の中のウェハーの重量とウェハー
Wを押し付けるタブ102の拘束力で屈曲し曲がるようにすることが可能である
。列の中央部分108に広いタブ102が配置されているために、独立したウェ
ハー係合端部104によって各ウェハーWとの接触を維持しつつ、上部カバー1
7が屈曲可能になる。ある条件のもとでは、タブ102の幅を列100に沿って
中央部分108から各端部106まで非直線的に増大させることが必要かもしれ
ない。
図3Aを参照するとわかるように、容器15の中心線134に対する各フィン
131の外側端部103の形状は、上部カバー17が屈曲するとき各ウェハーW
の接触を維持するために非常に重要である。各フィン131は半径150のまわ
りに対称に形成されている。各フィン131に沿った外側端部103は、容器1
5の中心線134に対して凸状の弓形を形成している。この弓形は半径距離13
6によって限定されている。半径距離136は、容器15の中心線134から各
フィン131のウェハー係合端部104までの距離である。ウェハーは容器15
の中心線に位置合わせされることに留意すべきである。従って、ウェハーの半径
は容器15の中心線134と位置合わせされる。半径距離136は各フィンの中
央部分108(図5参照)に近接する箇所から、各フィン131の各端部106
(図5参照)に隣接する大きな半径距離136のところまで徐々に増大する。
図5に示されているように、上部カバー17の屈曲に適応するためのクッショ
ン部材130は外側端部103を有している。外側端部103の形状は、列10
0に沿った隣接するタブ102のウェハー係合端部104によって限定されてい
る。タブ102は図5に示されているような一般的なフィンに似たベースを有し
ている。
図5Aを参照するとわかるように、上部カバー17の屈曲に適応するためのク
ッション部材130は、容器15の中心線134に対するパネル58の凸状の弓
形を有しており、この凸状の弓形は列100の外側端部103に沿って形成され
ている。この実施の形態においては、各タブ102はほぼ同じ幅を有している。
タブ102は、図5に示されている一般的なフィンに似たベースが設けられてお
らず、それぞれがパネル59から延びている。図5A、図5B、図5Cにおける
点線はウェハーと係合したときのパネル58の部分を示している。
図5及び図5Aを参照するとわかるように、各タブ102は列100に沿った
隣接するタブ102とは、スロット105によって離間されている。スロット1
05と、それと隣接するタブのウェハー係合端部104は、各列100に沿った
不連続な弓形の外側端部103を形成している。
図3Aを参照する。タブ102からなる複数の列100は内側表面59に沿っ
て上部カバー17を横切るように配置されている。一つの列100が側壁19、
20の間で内側表面59に沿って中央に配置されている。タブ102の列100
は、中央の列100と、上部カバー17の側端部61、62の間にも配置されて
いる。図6及び図7に示されているように、フィン131を上部カバー17と一
体に成形することによって製造コストを最小限に抑えている。
図5に示されているように、対応するタブの一組が参照番号102によって表
されている。対応するタブ102の各組は、特定のウェハーWと係合しこれにク
ッションを与える。列100の各々におけるタブ102の相対的な幅は、様々に
異なる形を有する上部カバー17や、上部カバー17の様々な屈曲量に適応する
ために、列によって異なっている。パネル58に沿って中央に配置されている列
100は、中央の列100と側端部61、62との間に配置されている列100
の対応するタブよりも短くなっており、ウェハーWの半径や円筒形状の内側表面
59の半径における違いに適応できるようになっている。
図5B及び図5Cを参照する。上部カバー17の屈曲に適応するためのクッシ
ョン部材130は、パネル58の内側表面59から延びる連続したストリップ1
38からなる複数のフィン131を有している。連続したストリップ138は、
容器15の中心線134(図3Aを参照のこと)から半径方向距離136だけ離
間したウェハー係合端部104を有しており、上述したように凸状の弓形を有し
ている。この凸状の弓形は、ウェハーWがクッション部材に当接しそれを外側へ
押し付けることによる上部カバー17の屈曲に適応することができる。図5Bに
示されているように、パネル58はフィン131のベースに沿って円筒形状を有
している。この円筒形状は、容器15の中心線134にほぼ平行である(図3A
参照)。フィン131の幅は中央部分108から端部106まで徐々に減少して
いて、容器15の中心線134(図3Aを参照のこと)に対して、外側端部10
3の凸状の弓形を形成している。
図5Cに示されているように、上部カバー17の屈曲に適応するためのクッシ
ョン部材130は、第1の屈曲していない状態においては容器15の中心線13
4(図3A参照)に対して凸状の弓形を有するように形成されたパネル58を有
している。図5Cにアウトラインで示したように、容器15にウェハーWが装填
されて第2の屈曲した状態にあるときには、パネル58は中心線134(図3A
参照)にほぼ平行である。
図5Dを参照する。上部カバー17の屈曲に適応するためのクッション部材1
30は、中心線134(この図面には示されていない)とほぼ平行に形成された
フィン131及びパネル58を有している。この実施の形態においては、上部カ
バー17の屈曲には、中央部分108から端部106までフィン131の構造を
変えることによって適応している。この実施の形態においては、フィン131の
圧縮性は、フィン131の構造あるいは厚みを変えることによって変更すること
ができる。クッション部材130を上部カバー17の屈曲に適応させるためにパ
ネル58の厚みも変えている。パネル58の厚みは、各フィン131の中央部分
108に隣接するところから、各フィン131のそれぞれの端部106に隣接す
る厚みの薄いところまで徐々に小さくなっている。
図10を参照するとわかるように、上部カバー17のフィン131は軸方向に
圧縮して、ウェハー係合部132においてウェハーWと係合する。
図11に示されているように、フィン131の厚みは、フィン131の中央部
分108に沿った厚いところから、フィン131のそれぞれの端部106に沿っ
た薄いところまで変化している。フィン131の長手方向に沿ったフィン131
の圧縮性は、構造を変形Iビームに変更したり材料を段階的に取り除くことによ
って変えることができる。フィン131に沿った圧縮性を変えることによる、上
部カバー17の屈曲に対する構造的な適応は、フィン131が連続したストリッ
プ138であるかタブ102の列100であるかに関係なくおこなうことができ
る。
図6を参照する。フィン131の断面はテーパ状の形状を有している。このフ
ィンはパネル58の内側表面59に隣接するところは厚く、内側表面59から離
れると薄くなっている。フィン131は、中心線134(図3A参照)から延び
ている容器15の半径150に沿って内側へ向いている。
図6Aを参照する。フィン131は断面がビード形状140を有している。ビ
ード形状140は半径150(図3A参照)に沿って対称になっている。ビード
形状140は曲面142として示されているウェハー係合端部104を有してい
る。
図6Bを参照する。フィン131は、ウェハー係合端部104に鋭いナイフエ
ッジ144を有している。
図6Cを参照する。ウェハー係合端部104はフィン131の端部に設けられ
た平坦な表面146である。表面146は半径150(図3A参照)に沿って容
器15の中の方へ半径方向内側を向いている。フィン131は半径150(図3
A参照)のまわりに対称であり、平坦な表面146は一般に半径150(図3A
参照)に直角であり、フィン131がウェハーの半径方向で押しつぶされるのに
適応し、ウェハーWと弾性的に係合して支持する。
図6Dを参照する。ウェハー係合部材104は、パネル58の内側表面59か
ら離間した丸い端部142として示されている。フィン131は半径150(図
3A参照)のまわりに対称に形成されている。
上部カバー17はパネル58に形成された多数の変形部あるいは積み重ね用オ
フセット65も有しており、容器を積み重ねやすくなっている。
上部カバー17は上部カバーの全周にわたって延びる拡張された上部カバーリ
ム部も有している。さらに詳しく説明すると、上部カバーは内側へ突き出した拡
張された上部カバーリム部66、67と、拡張された上部カバーリム部68、6
9を有している。上部カバーリム部66、67は上部カバーの側端部61、62
に沿って延びている。上部カバーリム部68、69は端部63、64に沿って延
びている。上部カバー17をキャリヤ16に取り付けたとき、リム部66〜69
はキャリヤ16のリム部41〜44とほぼハーメチックシールに近いシール状態
で係合し、これを取り囲む。上部カバー17のリム部66〜69と、キャリヤの
リム部41〜44はスナップフィットして、上部カバー17をキャリヤ16の上
へ固定する。相互に係合したカバーのリム部66〜69とキャリヤ16のリム部
41〜44は、上部カバー17をキャリヤ16の上へ固定するための唯一の手段
を提供している。すなわち、上部カバー17をキャリヤ16の上に保持するため
に他のラッチ装置は用いられていない。
上部カバー17は一対のタブ70、71も有している。タブ70、71はリム
部67から外側へ延びており、リム部67及び上部カバーの端部に隣接する側端
部62に沿って長手方向に延びている。タブ70、71はキャリヤ16に設けら
れた隣接するタブ38に対して位置がずれている。タブ70、71はキャリヤ1
6の上で上部カバー18を閉じる動作を完了するのに有用である。上部カバーを
取り付ける最終段階においてタブ70、71をキャリヤのタブ38の方へ手で絞
って、底部カバーの取り付けの完了を確認し、スナップフィットが完了したこと
を確認する。上部カバー17は、対称に配置されたリム部66も有している。
容器16を使用する技術者は上部カバー17を取り付けたり取り外したりする
のに様々な手順を工夫するであろうが、まず上部カバー17を側壁及び端壁の上
端の上へ設置するとよいことがわかっている。上部カバーの二つのコーナを、人
の手のひらか、あるいは手の付け根を用いて側壁及び端壁のリム部の上へまず押
さえつける。次に、上部カバーのリム部66〜69全体が、隣接するキャリヤの
リム部41〜44の上でスナップフィットを完了するまで、上部カバーの側端部
61、62をキャリヤの側壁のリム部41、42の上へ順々に押さえつける。
上部カバー17を取り外すには、隣接するリム部67、69などのコーナ部分
を持ち上げて隣接するキャリヤのリム部42、44から外し、上部カバーのコー
ナ部分を上方へ屈曲させる。上部カバーがキャリヤのすべてのリム部41〜44
から自在になるまで上部カバーを持ち上げることによって、リム部を順々に分離
する。
キャリヤ16及び上部カバー17を形成する材料は摩耗や傷に対して高い耐久
性を有しており、従って、カバーをキャリヤから持ち上げたりキャリヤの上に取
り付けたりするときの粒子の発生は最小限に抑えられる。
底部カバー18は側端部72と端部73を有している。側端部72と端部73
はそれぞれキャリヤの下端32、33及び下端34、35の下に位置し、キャリ
ヤの端壁及び側壁の下端と係合して、底部カバー18とキャリヤ16との間にお
けるほぼハーメチックシールに近いシールの実現に寄与する。
底部カバー18は底部円筒状パネル75も有している。部分円筒状パネル75
は、ウェハー収容部分である内部57の底部を形成する内側表面76を有してい
る。底部カバー18の内側表面76には、ウェハーを支持しウェハーを底部円筒
状パネル75から離間させるためにクッション部材130が設けられている。
図3Aを参照する。底部カバー18の屈曲に適応するための第2のクッション
部材130.1は、底部カバー18の長手方向に延びる底部フィン148を有し
ている。図10に示されている実施の形態においては、底部カバー18には二つ
の底部フィン148が設けられている。底部フィン148は、ウェハーが係合し
たときに外側へ屈曲してウェハーWを支持し、ウェハーが回転しないようにする
形状を有している(図12参照)。底部カバー18の各底部フィン148はウェ
ハー係合端部114を有している。ウェハー係合端部114は容器15の中心線
134から半径距離136だけ離間している。これとは違って、底部カバー18
の各底部フィン148は上部カバー17のフィン131と同様な形状であっても
よい。底部カバー18の底部フィン148は上部カバー17のフィン131と同
様な形状のウェハー係合端部114を有していてもよい。底部フィン148のウ
ェハー係合端部114は、前述したように平坦な表面146(図12参照)を有
していてもよいし、ナイフエッジ形状(図示しない)でもよいし、丸い端部14
2(図3A参照)であってもよい。
続けて図3Aを参照すると、底部カバー18の底部フィン148は連続したス
トリップ149でもよいし、図8に示されているように弾性的に屈曲可能なタブ
117からなる不連続な列110でもよい。底部カバー18の第2のクッション
部材130.1は、図8においては複数のフィン148として描かれている。フ
ィン148は、弾性的に屈曲可能なタブ117の列100を形成する不連続なウ
ェハー係合端部114を有している。底部カバー18のタブ117は上部カバー
17のタブ102とほぼ同じである。続けて図8を参照すると、底部カバー18
の各フィン148は二つの端部116と中央部分118を有している。各フィン
148は、上述したように底部カバー18の屈曲に適応するために中心線134
(図3A参照)に対して凸状の弓形を有するウェハー係合端部114を有してい
る。
続けて図3Aを参照する。底部カバー18の屈曲に適応するための第2のクッ
ション部材130.1は、前述した上部カバー17の屈曲に適応するためのクッ
ション部材130と類似した構造に形成されている。容器15の中心線134か
ら底部カバー18上の底部フィン148のウェハー係合端部114までの距離で
ある半径距離136は、中央部分118からそれぞれの端部116(図8参照)
まで徐々に減少している。この徐々に変化する半径距離136は、底部カバー1
8に対する底部フィン148の弓形、あるいは容器15の中心線134に対する
底部円筒状パネル75の弓形によって形成されている。図5Dに示されている上
部カバー17に関して前述したように、底部カバー18は底部円筒状パネル75
を有している。底部円筒状パネル75の厚みは、各底部フィン148の中央部分
118に隣接するところから、底部パネル18の底部フィン148の各端部11
6に隣接する底部円筒状パネルの部分まで徐々に減少している。
続けて図3Aを参照する。底部カバー18の屈曲に適応するための第2のクッ
ション部材130.1は、フィン131の圧縮性を中央部分118に隣接する非
常に圧縮性の高い設計から、各端部116に隣接する圧縮性の小さい設計まで変
化させる構造も底部カバー18の底部フィン148上に有している。底部カバー
18の底部フィン148は、上部カバー17のフィン131と協働して、輸送及
び貯蔵を行うときに、容器15内のウェハーをウェハー係合端部104、114
の間に懸架する。その一方で、すべてのウェハーWにわたって均一な保持力を加
え、上部カバー17と底部カバー18のどちらかか、あるいは両方の曲げあるい
は屈曲を可能にしている。
図3Aを参照するとわかるように、底部カバー18がキャリヤ16に取り付け
られるとき、底部カバー18上に設けられた各フィン148のウェハー係合端部
114は各ウェハーWと係合し、ウェハーを側壁19、20に沿って載置位置か
ら上へ持ち上げる。ウェハーWは、底部カバー18の底部フィン148と上部カ
バー17のフィン131との間に懸架される。
図8を参照する。底部カバー18の屈曲に適応するための第2のクッション部
材130.1は、底部カバー18をキャリヤ16へ取り付けるときに底部カバー
18の屈曲に抗するための補強構造も底部カバー18上に有している。底部円筒
状パネル75の厚みは、各フィン148の中央部分18に隣接するところから、
底部カバー18上の各フィン148の各端部116に隣接するところまで変化し
ている。これとは違って、底部カバー18は外側のパネル75上に複数の支持用
リブ112を有していてもよい。支持用リブ112は底部カバー18から下方へ
、そして容器15から外側へ延びている。各支持用リブ112は底部カバー18
上のフィン148と平行である。このリブ112は底部カバーを補強しており、
ウェハーWが容器15の中に挿入されてカバーの屈曲に適応するためのクッショ
ン部材130と係合するときの曲げあるいは屈曲を小さくする。
図12を参照する。各底部フィン148は底部パネル75からほぼ垂直方向に
形成されている外側壁面152を有している。また、各底部フィン148は垂直
方向の外側壁面152に対して鋭角の関係に形成された内側壁面154も有して
いる。二つの底部フィン148上の内側壁面154は互いに対向している。底部
フィン148上のウェハー係合端部114は、外側壁面152と内側壁面154
の間を延びており、ウェハーと係合する。底部フィン148のこの構造のために
、ウェハー係合部132が底部フィン148を外側壁面152越しに外側へ屈曲
させることが可能になる。この外側への屈曲によってウェハーWがロックされ、
容器15内での回転が防止され、その一方でウェハーWを底部パネル75から離
間させ、底部カバー18の屈曲に適応している。
底部カバー18は底部カバーの全周まわりを延びるリム部も有している。さら
に詳しく説明すると、底部カバーは、底部カバーの側端部72に沿って延びてい
てキャリヤの側壁19、20のリム部45、46を取り囲んでいる拡張されたリ
ム部78、79を有している。底部カバーは、底部カバーの端部73に沿って延
びていてキャリヤ16の端壁の拡張されたリム部47、48を取り囲んでいる拡
張されたリム部80、81も有している。リム部78、79、80、81はほぼ
一つの平面内に位置しており、ウェハーキャリヤのリム部45、46、47、4
8をスナップフィットでほぼハーメチックシール状態で取り囲んでいて、ウェハ
ーキャリヤの底部カバーを保持している。底部カバーのリム部78〜81と、ウ
ェハーキャリヤのリム部45〜48は、底部カバーをウェハーキャリヤの上に保
持するための唯一の部材である。すなわち、底部カバーをキャリヤの上に保持す
るのに、補助的なラッチ装置は必要としない。
キャリヤ16と上部カバー17及び底部カバー18との間のほぼハーメチック
シールに近いシールによって、容器15への空気や他のガス、湿気、粒子の出入
りが防止され、また大気圧が変化したときにキャリヤが膨張したり収縮したする
ことが防止される。
底部カバー18は一対の細長いタブ82、83も有している。タブ82、83
は側端部72の一つに沿って長手方向に延びており、底部カバーのリム部79に
隣接している。タブ82、83はウェハーキャリヤの下側の側端部の上に設けら
れた隣接するタブ40に対して、位置がずれてはいるがこれと隣接している。従
って、タブ83、40の両方と同時に係合して、絞りやすいようになっており、
底部カバーをキャリヤの上へ取り付けるときにスナップフィットの完了を確かめ
やすくなっている。通常は、底部カバー18は底部カバー18を支持テーブルの
上へ置いてキャリヤへ取り付ける。次に、キャリヤ16を底部カバーの上へ置い
て押し、キャリヤ16と底部カバー18をスナップフィットで一体に固定する。
ウェハーがすでにキャリヤの中に入っているときには、ウェハーを底部カバー1
8によって側壁19、20のオフセット部26、27から持ち上げる。底部カバ
ー18は、タブ82、83と対向するように側端部72の上に対称に配置された
一対のタブも有している。
底部カバー18をウェハーキャリヤから取り外すときに、上部カバーに関連し
て前述したようにして、底部カバーの一つのコーナ部を曲げる。こうして、底部
カバー18をウェハーキャリヤの拡張された下側のリム部45〜48から徐々に
外すことによって、底部カバーを取り外す。底部カバーのリム部78〜81はウ
ェハーキャリヤのリム部45〜48と係合してこれを取り囲み、底部カバー18
とウェハーキャリヤの間にほぼハーメチックシールに近いシールを形成すること
によって、空気や湿気、粒子がウェハーキャリヤの内部57に出入りしないよう
にする。底部カバーのリム部78〜81はほぼ一つの平面内に位置しているが、
底部カバーの側端部に沿って延びるリム部78、79の部分78.1、79.1
は底部カバーのリム部の残りが形成する平面から外れ、リム部45、46の部分
50の形状と合致している。リム部45、46の部分50は、ウェハーキャリヤ
上のリム部の平面から外れ、ウェハーキャリヤのフットパネル30、31の中の
インデックス用ノッチ49の上を通過している。
底部カバー18は外側へ突き出しているリップ部84も有している。リップ部
84は、タブ82、83のところを除いた底部カバーの周辺部のまわりで外側へ
突き出していて、底部カバーに強度を付加している。同様に、上部カバー17は
外側へ突き出したリップ部85を有している。リップ部85は、タブ70、71
のところを除いた上部カバーの周辺部のまわりで上部カバーの端部から外側へ突
き出していて、上部カバーに強度を付加している。
図13を参照する。容器15は、Hバー54を有するその端壁22を処理機械
のインターフェースと係合させて使用される。従って、使用時の上部カバー17
は、図1に示されているそれと異なる方向を有していてもよい。例えば、上部カ
バー17と底部カバー18を図13のように垂直方向に配置してもよい。この方
向においては、ウェハー(図示しない)は水平方向に配置されており、上部カバ
ー17は機能的には側部カバー17.1である。
請求の範囲における上部や端部、底部、側部という用語は、単にこの発明の部
材の相対的な位置付けを示すためのものであり、これと異なる向きの容器15に
対して請求の範囲を制限するものではない。
この発明は、その精神及び本質から逸脱することなく、他の形態によっても実
現が可能である。従って、上述した実施の形態は単に説明のためのものであり、
発明を制限することはない。この発明の範囲に関しては、上述した実施例よりも
、添付されている請求の範囲を参照すべきである。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L
U,MC,NL,PT,SE),CN,JP,KR,S
G
【要約の続き】
れた弓形によって形成してもよいし、輸送用装置のカバ
ーから延びる弓形のフィンによって形成してもよい。ク
ッション部材は、ウェハーと係合すると圧縮して、ウェ
ハーを上部カバーから離間しつつウェハーを固定するよ
うな構造を有している。クッション部材はフィンの長手
方向に沿って、連続したウェハー係合端部を有していて
もよいし、各々が個々にウェハーと係合するウェハー係
合タブあるいはフィンガに分離されていてもよい。底部
カバーにも、ウェハーと係合して底部カバーからウェハ
ーを離間しているクッション部材が設けられている。底
部カバーに設けられたクッション部材の構造は、外側へ
屈曲してウェハーをロックすることによって、ウェハー
が輸送用装置の中で回転しないように設計されている。