JPH1046461A - 衛生用品用伸縮性複合シート - Google Patents

衛生用品用伸縮性複合シート

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JPH1046461A
JPH1046461A JP8197256A JP19725696A JPH1046461A JP H1046461 A JPH1046461 A JP H1046461A JP 8197256 A JP8197256 A JP 8197256A JP 19725696 A JP19725696 A JP 19725696A JP H1046461 A JPH1046461 A JP H1046461A
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JP
Japan
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nonwoven fabric
stretchable
composite sheet
sheet
elastic
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JP8197256A
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English (en)
Inventor
Seiji Seguchi
誠司 瀬口
Masaru Tsubata
勝 津幡
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New Oji Paper Co Ltd
Original Assignee
Oji Paper Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 横方向への伸縮性と丈夫な表面強度、更には
優れた風合いを有する衛生用品用伸縮性複合シートの提
供。 【解決手段】 熱可塑性樹脂を溶融紡糸して得られる連
続長繊維フィラメント群より構成され、かつ、規則的で
断続的な自己融着区域を有するスパンボンド不織布をジ
ェット水流で処理した、横方向への50%伸長時の弾性
応力が10〜200g/25mm幅の伸長性不織布に、
横方向への50%伸長時の弾性応力が50〜200g/
25mm幅で、かつ、弾性回復力を有する伸縮性シート
をラミネートもしくは貼り合わせて積層複合化した伸縮
性複合シートであって、該複合シートが横方向への50
%伸長時の弾性応力70〜300g/25mm幅と応力
解放時の回復率80〜95%を有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、横方向への伸縮性
及び優れた表面強度と風合いを有し、使い捨ておむつ、
生理用ナプキン等の衛生用品に使用される伸縮性複合シ
ートに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、使い捨ておむつ、生理用ナプキン
等の衛生用品は、装着者の動きに対する追従性やフィッ
ト性が求められるため各部に伸縮弾性を有する材料が用
いられている。例えば、使い捨ておむつの一種として、
装着者による着脱が可能であることから幼児のおむつ離
れの時期、または失禁者等の成人用としてその需要が増
大してきている、いわゆるパンツ型おむつがよく知られ
ているが、このパンツ型おむつでは両脚周り開口部、ウ
ェスト周り開口部、さらに腰周り両側部等に伸縮弾性を
有する材料が使用されている。
【0003】特開平8―131478号公報には、ポリ
エステル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリアミド繊維等
の合成繊維、パルプ繊維及びそれらの混合物を含む群か
ら選択される繊維長が10〜80mmのものを使用し
て、例えばをカーディング法によって支持体上に繊維の
層を形成し、ジェット水流を用いて繊維交絡することに
よって非伸縮性で横伸び可能な不織布と、5〜40μm
の厚さの透湿性と伸縮性を有するポリウレタン系のフィ
ルム、天然ゴムシート、発泡シート等伸縮性シートと前
記横伸び可能な不織布を積層貼合わせた複合シートを、
パンツ型おむつの開口部等へ用いることで、装着者への
フィット性をより一層改善したり、脚周りからの漏れを
防止しながら、肌触り等の風合いが良好で、装着者に不
快感を与えずに快適に着用できる使いすておむつが開示
されている。
【0004】しかしながら、カーディング法によって形
成されるウェブは、短繊維の合成繊維群により構成され
ているため、ウェブにジェット水流を施すと繊維間の交
絡が進む一方で、不完全交絡の繊維による毛羽立ちや抜
けが発生し、また、ジェット水流処理後の熱風乾燥によ
る融着による繊維同士の接着では、風合いを重視する目
的で繊維間を強固に固定しないようにするため不織布の
表面強度が弱いものとなるという欠点を有している。従
って、このような伸長性不織布を伸縮性複合シートとし
て用いた場合、例えば、使い捨ておむつに適用し、実際
に装着した場合、肌やその他の物と接触して擦られて、
伸縮性複合シートの表面がさらに毛羽立ったり、もとも
と毛羽立っていた不完全交絡な合成繊維が抜け落ちて、
毛玉を発生させる等の問題も起きている。また、このよ
うな伸長性不織布の基材となるウェブは、カーディング
法によって形成されるため高速での大量生産が難しく、
さらに後加工としてジェット水流処理を施した後、熱風
にて合成繊維同士の溶融接着を行えば、より一層製造コ
ストが高いものとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、かかる
現状に鑑み、上記欠点を解決しようと種々の研究を行っ
た。その結果、前記伸縮性複合シートを構成する伸長性
不織布の構成繊維を短繊維から長繊維のものに替えるこ
とによって、上記に示した毛羽立ち、繊維の抜け落ち、
毛玉の発生等の欠点を解決できるとの結論を得た。即
ち、短繊維の合成繊維群をカーディング法によってウェ
ブ化し、ウェブにジェット水流処理を施すことによって
得られる伸長性不織布の代わりに、連続長繊維群を公知
のスパンボンド不織布の製造方法によりウェブ化した
後、規則的で断続的な自己融着区域を設けることにより
得られるスパンボンド不織布を伸長性不織布に用いるの
である。
【0006】しかしながら、この公知のスパンボンド不
織布は、通常、汎用の熱可塑性樹脂を加熱溶融し、押出
紡糸機の多数の口金から押し出して紡糸し、紡出された
連続長繊維フィラメント群をエジェクターからの高速エ
アーで延伸しながら引き取り、衝突板に当てて開繊し、
移動しているワイヤーからなる支持体上に捕集・集積し
てウェブを形成させた後、このウェブを凹凸ロールと平
滑ロールの間に通して加熱と加圧することにより規則的
で断続的なエンボス接着処理を施して得られるが、不織
布を構成する長繊維自体は、このエンボス処理により自
己融着区域で固定されており、そのため長繊維自身の伸
びも少ないため、不織布の伸長性はかなり小さいものに
なっている。その結果、そのままの状態では伸縮性不織
布としては使用できず、仮に不織布を伸縮性シートに積
層し複合化してみても、伸縮性の殆どない或いは極めて
劣った伸縮性複合シートにしかなり得ず、使い捨ておむ
つ等の衛生用品用の伸縮弾性部材としては不適当であ
る。
【0007】そこで、本発明者等は、この長繊維からな
るスパンボンド不織布を伸縮性シートと貼合わせる前
に、前記不織布にジェット水流を噴射して処理を行い、
スパンボンド不織布に形成されている自己融着区域の一
部を破壊し、かつ、スパンボンド不織布に鮮明な千鳥状
開孔模様を付与した後、弾性回復力を有する伸縮性シー
トに積層し、貼合わせて複合シート化すると、得られる
複合シートは、使用の際に顕著な伸びを確保することが
可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の目的は、前述のように連続長繊維から構
成されるスパンボンド不織布にジェット水流を施すこと
により伸長性を発現させた伸長性不織布と弾性回復力を
有する伸縮性シートとを積層複合化することによって、
横方向への伸縮性を有し、不完全交絡繊維による毛羽立
ちや毛玉の発生がなく、表面強度が強く、しかも優れた
風合いを有する衛生用品用伸縮性複合シートを提供する
ことにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱可塑性樹脂
を溶融紡糸して得られる連続長繊維フィラメント群より
構成され、かつ、規則的で断続的な自己融着区域を有す
るスパンボンド不織布をジェット水流で処理した、横方
向への50%伸長時の弾性応力が10〜200g/25
mm幅の伸長性不織布に、横方向への50%伸長時の弾
性応力が50〜200g/25mm幅で、かつ、弾性回
復力を有する伸縮性シートをラミネートもしくは貼り合
わせて積層複合化した伸縮性複合シートであって、該複
合シートの横方向への50%伸長時の弾性応力70〜3
00g/25mm幅と応力解放時の回復率80〜95%
を有することを特徴とする衛生用品用伸縮性複合シート
である。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明においては、まず、公知の
押出し紡糸機において熱可塑性樹脂を溶融紡糸して得ら
れる連続長繊維フィラメント群が延伸され、開繊され、
次いで捕集・集積されてなる長繊維ウェブを準備する。
ここで、長繊維としては、例えばポリオレフィン系長繊
維、ポリエステル系長繊維、ポリアミド系長繊維、ポリ
アクリル酸エステル系長繊維等を使用することができ
る。この場合の長繊維の繊度は、1〜10デニール、好
ましくは1〜6デニールである。長繊維の繊度が1デニ
ール未満では、連続して安定的に連続長繊維を紡糸する
ことができず、逆に、繊度が、10デニールを超える
と、繊維が太くなり過ぎて、得られる伸長性不織布の柔
軟性が低下し、結果的に伸縮性複合シートとして使用し
た場合の柔軟性が低下するので適さない。前記長繊維ウ
ェブの目付は、12〜50g/m2、好ましくは18〜
30g/m2である。ウェブの目付が12g/m2未満で
はジェット水流を不織布の上から噴射して処理を施した
後の伸長性不織布の引張り強度が著しく低下し、結果的
に伸縮性複合シートとして使用した場合の強度が保て
ず、逆に、目付が50g/m 2を超えると、得られる伸
長性不織布の柔軟性が低下し、結果的に伸縮性複合シー
トとして使用した場合の柔軟性が低下し、好ましくな
い。
【0010】次に、前記のようにして得られた長繊維ウ
ェブに規則的で断続的な自己融着区域を設けるためエン
ボス処理を行う。エンボス処理方法としては、長繊維ウ
ェブを加熱された凸凹ロールと平滑ロール間に導入して
行う。この場合、加熱された凸凹ロールの凸部がウェブ
に当接することによって、凸部に対応する箇所に存在す
る熱可塑性樹脂である連続長繊維が軟化又は溶融してそ
の部分の繊維同士が接着する。一方、凸凹ロールの凹部
に対応する箇所に存在する長繊維の大部分は、軟化も溶
融もすることなくそのままの状態を維持する。従って、
長繊維ウェブには、凹凸ロールの凸部に対応する箇所の
みで熱可塑性樹脂である連続長繊維同士が融着し、それ
によって間隔をおいた自己融着区域が形成されるのであ
る。
【0011】このようにして得られたスパンボンド不織
布は、続いて公知のジェット水流が不織布の表面から貫
通するように噴射されて施され、この処理により、前記
したように、自己融着区域の一部が破壊され、不織布の
横方向への50%伸長時の弾性応力が10〜200g/
25mm幅となるように伸長性を付与された伸長性不織
布となるのである。この伸長性不織布における横方向へ
の50%伸長時の弾性応力が200g/25mm幅より
大きくなった場合、この不織布を用いて複合化を行おう
とすると、所定の伸長時の弾性応力を有する伸縮性複合
シートに調整するために弾性応力の小さい伸縮性シート
を採用せざるを得ず、そしてこの複合化シートをおむつ
のような衛生材料に使用した場合にはフィット性が低下
し、結果的におむつのずれ落ちや尿漏れが生じる。従っ
て、伸長性不織布における横方向への50%伸長時の弾
性応力は小さいほど好適であるが、横方向への50%伸
長時弾性応力を小さくしようとしてもシートの形態を保
持するためには10g/25mm幅程度が下限となる。
前記した伸長性不織布は、以下の方法によって容易に得
られる。
【0012】本発明において用いられるジェット水流
は、孔径が0.1〜0.3mm、好ましくは0.12〜
0.2mmの微細なノズル孔を通して水を高圧で噴出さ
せることで得られる。ノズルの孔径が0.1mm未満で
は、ノズル孔が目詰まりし易くなるため好ましくない。
逆に孔径が0.3mmを超えるものを用いると、処理後
のスパンボンド不織布の地合が悪くなり、また使用する
水量が増大するため好ましくない。ジェット水流を発生
させるための水圧は任意であるが、所定の伸長性をスパ
ンボンド不織布に付与するために、不織布の目付、使用
するノズルの孔径、ノズル孔数、処理速度等を考慮し、
決定しなければならない。この水圧の決定に関しては、
ノズルの一孔から噴出されるジェット水流がスパンボン
ド不織布に与える比エネルギーを参考にするとよく、本
発明においては、0.5×10-3〜2×10 -3kwh/
kgの範囲が好ましい。比エネルギーが0.5×10-3
kwh/kg未満では、比エネルギーが小さ過ぎるため
スパンボンド不織布の自己融着区域の一部を破壊するの
が困難となり、所定の伸長性を付与することができず、
好ましくない。逆に比エネルギーが2×10-3kwh/
kgを超えると、比エネルギーが大きすぎるためスパン
ボンド不織布の自己融着区域を破壊し過ぎ、得られる伸
長性シートの強度を著しく低下させてしまうため好まし
くない。
【0013】尚、本発明で用いる前記比エネルギーは、
式(1)によって求められる。 E={A・Cd3・(2/ρ)1/2・(g・P)2/3}/M・・・(1) ただし、E :基材単位重量当りの比エネルギー A :ノズル孔面積の総和 Cd:流失係数(圧力損失の補正係数) ρ :水の密度 g :重力加速度 P :ジェット水流の水圧 M :単位時間に処理された基材重量
【0014】本発明では、ジェット水流処理によりスパ
ンボンド不織布の自己融着区域の一部を破壊すると同時
に、不織布に鮮明な千鳥状開孔模様を付与するために、
不織布にジェット水流処理を施す工程において、不織布
を載置するための支持体として特別に選定した平織り支
持網を用い特開平7ー166463号公報に開示されて
いる方法によって行うことができる。即ち、図1に示す
ように、本発明に用いられる平織り支持網は、縦糸1と
横糸2からなる平織り網であり、支持網を水平な台の上
にのせて測定した、支持網を構成する縦糸1の下に横糸
2が位置することによって生じる縦糸1のナックル部分
3(突起部分:◎印)の平面からの最大高さ5(A)
と、横糸2の下に縦糸1が位置することによって生じる
横糸2のナックル部分4(突起部分:×印)の平面から
の最大高さ6(B)との差、即ち(A)−(B)の絶対
値△hが150〜400μmの範囲のものである。
【0015】図2に縦糸1と横糸2との関係を示した。
(A)−(B)の絶対値△hが150μmより小さくて
も、400μmより大きくてもジェット水流処理によっ
て生じる開孔模様が千鳥状とならないため適さない。即
ち、スパンボンド不織布を平織り支持網1の上に載置
し、ジェット水流を不織布の表面から不織布の裏面へ貫
通するように噴射した場合、図1に示した支持網の◎印
3と×印4のナックル部分上に存在する長繊維は、ジェ
ット水流によって押し広げられ、ナックル部分に対応す
る位置に開孔模様が生じるが、この場合、縦糸1のナッ
クル3の最大高さ5(A)と横糸2のナックル4の最大
高さ6(B)との差の絶対値△hが150μmより小さ
くても、400μmより大きくても相対的に低い×印の
ナックル部分でも開孔が生じて、つまり◎印と×印の両
方において開孔が生じ、格子状の開孔模様を呈し、千鳥
状の開孔模様が得られなくなるのである。
【0016】ナックルの最大高さの測定は、以下の方法
で実施した。即ち、使用する支持網と同じ網を10mm
×10mmの大きさに切り、金蒸着処理を行った後、ス
ライドガラス上におき、レーザー顕微鏡(レーザーテッ
ク社製、1LM11、コントローラー1ZC1)を用い
て縦糸のナックルの平面からの最大高さ、Aと横糸のナ
ックルの平面からの最大高さ、Bをμm単位で測定し
た。測定は10mm×10mmの1サンプルにつき縦と
横の各3点ずつ3サンプル実施し、四捨五入して平均を
とった。
【0017】以上のようにして前記範囲の比エネルギー
でジェット水流処理が施され、自己融着区域の一部の破
壊と千鳥状の開孔模様の付与が施されて不織布の横方向
への50%伸長時の弾性応力が10〜200g/25m
m幅を有するように調整されたスパンボンド不織布は、
最後にスルードライヤーのような乾燥機で乾燥され、本
発明のための伸長性不織布として用いられる。このよう
にして準備した伸長性不織布は、次いで横方向への50
%伸長時の弾性応力が50〜200g/25mm幅で、
かつ、弾性回復力を有する伸縮性シートと貼り合わされ
て積層複合化して最終製品である伸縮性複合シートとさ
れる。ここで用いられる伸縮性シートの横方向への50
%伸長時の弾性応力が50g/25mm幅未満では、前
記の伸長性不織布と貼り合わせて複合化して得られる伸
縮性複合シートの弾性応力も小さいものとなり、例え
ば、おむつのような衛生材料に使用した場合には、ずれ
落ちや尿漏れが生じるので適さない。また、伸縮性シー
トの横方向への50%伸長時の弾性応力が200g/2
5mm幅を越えて大きくなると、複合化して伸縮性複合
シートにした場合の弾性応力も大きくなり、これをおむ
つに使用した場合、着用者に締め付け感等の不快感を与
えるので適さない。
【0018】本発明において、ジェット水流処理により
スパンボンド不織布に横方向への伸長性が付与される理
由は、第一にジェット水流により不織布の自己融着区域
の一部が破壊され、各々の繊維の自由度が増し、繊維が
外力に対して移動し易くなるためである。第二は、ジェ
ット水流により長繊維が不織布の厚み方向に押し込ま
れ、繊維相互が絡み合っているが、不織布に横方向への
外力が働くと、厚み方向に配列し、絡み合っている繊維
が再び横方向に配列し直そうとするため繊維の動きに自
由度が生じるためである。第三に、ジェット水流処理に
より不織布に図3に示すように千鳥状の開孔模様が付与
されているが、不織布の流れ方向と直角の方向の断面
(図3のX―X’線)において、いずれの箇所にも開孔
部7が存在し、不織布の横方向へ外力が働くと、この開
孔部7が変形し外力を吸収するので横方向へ伸びが発現
し易いのである。以上に説明したようにして不織布の横
方向への伸長性が付与されるため、不織布の目付、繊維
の繊度、ジェット水流を施す際の比エネルギー量、その
ジェット水流による自己融着区域の破壊の程度と開孔部
の大きさ等により伸長性の程度が調整される。
【0019】本発明において用いられる伸縮性シート
は、フィルムシート、メルトブローシート、発泡シート
等の形態のものが用いられる。この伸縮性シートがフィ
ルムもしくは発泡シートの場合は厚さが5〜49μmの
範囲、またメルトブローの場合は、その目付が5〜40
g/m2の範囲である。この伸縮性シートに用いられる
材質としては、特に限定するものではなく、熱可塑性エ
ラストマー、天然ゴム、ポリウレタンゴム、合成ゴム等
のエラストマーと称するものが好適に用いられる。ただ
し、メルトブローシートの場合や押し出しラミネート機
にて直接伸長性不織布上にフィルムシートを積層する場
合は、いずれも樹脂を溶融する工程が必要なため、材質
は熱可塑性エラストマーに限られる。以上のようにして
準備した、伸長性不織布と伸縮性シートを張り合わせ、
積層複合化し、横方向への50%伸長時の弾性応力が7
0〜300g/25mm幅で、かつ、応力解放時の回復
率が80〜95%を有する伸縮性複合シートを作製す
る。
【0020】前記伸縮性シートを伸長性不織布に張り合
わせ、積層する方法としては、押出ラミネート法によっ
て直接伸長性不織布の上へフィルムシート層を形成する
方法、伸長性不織布と伸縮性シートとをホットメルト接
着剤で接着する方法、熱エンボス処理で貼り合わせる方
法等が好適に用いられ。伸縮性複合シートの横方向への
50%伸長時の弾性応力が300g/25mm幅を越え
て大きくなると、前記したように、これをおむつに使用
した場合には、着用者に締め付け感等の不快感を与える
ので適さず、横方向への50%伸長時の弾性応力の下限
は、前記の50%伸長時の弾性応力特性を有する伸長性
不織布(10g/25mm幅)と伸縮性シート(50g
/25mm幅)とを複合化したものであるため70g/
25mm幅程度となる。得られた伸縮性複合シートの応
力解放時の回復率が80%未満では、これをおむつに使
用した場合には、ずれ落ちや尿漏れが生じてしまう。し
かしながら、回復率を大きくしようとしても使用してい
る伸縮性シートが完全弾性体ではないので自ずと限度が
あり、その上限は95%程度である。
【0021】以上説明したように、本発明の衛生品用伸
縮性複合シートは、熱可塑性樹脂を溶融紡糸して得られ
る連続長繊維より構成され、規則的で断続的な自己融着
区域を有するスパンボンド不織布をジェット水流処理し
て、自己融着区域の一部を破壊し、千鳥状の開孔模様を
付与し、それによって不織布の横方向への50%伸長時
の弾性応力を10〜200g/25mm幅となるように
した伸長性不織布に、横方向への50%伸長時の弾性応
力が50〜200g/25mm幅で、かつ、応力解放時
の弾性回復力を有する伸縮性シートをラミネートもしく
は貼合せて積層複合化し、該複合シートの横方向への5
0%伸長時の弾性応力が70〜300g/25mm幅
で、かつ、応力解放時の回復率80〜95%を有する構
成としたために、横方向への伸縮性を有しながら、さら
に従来の伸縮性複合シートのように不完全絡合繊維によ
る毛羽立ちや毛玉の発生がなく、表面強度が強く、しか
も優れた風合いを有する。
【0022】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、本発明は勿論これらに限定されるものでは
ない。
【0023】実施例1 ポリプロピレン連続長繊維が集積されてなり、ポリプロ
ピレンの溶融固化により長繊維同士が固着された自己融
着区域を持つスパンボンド不織布を準備した。このスパ
ンボンド不織布の個々の自己融着区域の面積は0.28
mm2で、自己融着区域の総和は、不織布の全表面積の
12面積%であった。また、この不織布を構成する長繊
維の繊度は2.3デニールであり、目付は18g/m2
であった。次に、このスパンボンド不織布を25メッシ
ュで図2のナックルの差、A−Bの絶対値が320μm
のワイヤー上に載置し、ノズル孔の孔径が0.15m
m、ノズル孔のピッチが1.4mm、1本のノズルの孔
数714個であるノズルをスパンボンド不織布の流れ方
向に5本並べ、不織布を毎分30mの速さで移動させな
がらノズルからジェット水流を噴出させ、不織布の表面
より裏側に向けて貫通させた。この時、ノズルの一孔か
ら噴出されるジェット水流が不織布に与える比エネルギ
ーが0.75×10-3kwh/kgとなるように、水圧
を100kg/cm2とした。
【0024】ジェット水流処理後の不織布は、スルード
ライヤーで乾燥し、伸長性不織布として巻取られた。次
に、市販のウレタンフィルム(東洋ゴム工業社製、商品
名:ソフランパームフィルム、厚さ15μm)と、前記
卷き取られている伸長性不織布とをホットメルト法にて
接着した。接着剤としては、合成ゴム系低粘度タイプ接
着剤(カネボウ・エヌエスシー社製、商品名:ディスポ
メルトME−4)を使用し、カーテンコーターによりウ
レタンフィルム面上に、前記接着剤を微細な繊維状で均
一に塗布した後、伸長性不織布を積層し、貼り合わせて
伸縮性複合シートとした。
【0025】比較例1 繊度1.4デニールで繊維長51mmのポリエチレンテ
レフタレート繊維(韓国高麗合繊社製、固有粘度0.6
5)と繊度2デニールで繊維長51mmの芯成分がポリ
エステル、鞘成分がポリエチレンからなる複合繊維とを
重量比で1:1で混合し、カーディング法にてウェブ化
した後、ジェット水流処理にて繊維間を交絡させ、熱風
乾燥して伸長性不織布を作製した。この伸長性不織布の
目付は24g/m2であった。次に、熱可塑性エラスト
マーとして水素添加SBSブロックコポリマー樹脂(三
菱化学社製、商品名:ラバロンS352C)を伸長性不
織布上に180℃で溶融して押出ラミネートして伸縮性
複合シートを作製した。この時のラミネート量は30g
/m2であった。
【0026】比較例2 スパンボンド不織布にジェット水流処理を施さなかった
こと以外は、実施例1と同様にして伸縮性複合シートを
作製した。
【0027】実施例及び比較例1〜2で得られた伸縮性
複合シートを下記の試験方法で試験し、その品質を評価
した。 試験方法 (1)横方向50%での伸長時の弾性応力:伸長性不織
布、伸縮性シート及び伸縮性複合シートの横方向への5
0%伸長時の弾性応力は、引張試験機(東洋精機製作所
社製、商品名:ストログラフV10−B)を用いて、次
のようにして測定した。試験片の横方向に25mm幅の
短冊状試験片を切り出し、引張試験機のチャック間長
(スパン)80mmで試験片を装着した後、引張速度1
00mm/分にて伸度50%まで伸長させた時の荷重
(g)を測定した。この荷重をもって、25mm幅当り
の弾性応力として表示した。
【0028】(2)応力解放時の回復率:伸縮性複合シ
ートの応力解放時の回復率は、引張試験機(東洋精機製
作所社製、商品名:ストログラフV10−B)を用い
て、次のようにして測定した。試験片の横方向に25m
m幅の短冊状試験片を切り出し、引張試験機のチャック
間長(スパン)80mm(L0)で試験片を装着した
後、引張速度100mm/分にて伸度50%まで伸長さ
せ、直ちにチャック間長を初期の80mmに戻した時の
試験片長(L1)を測定し、式(2)により回復率
(%)を求めた。 回復率=100−{(L1−L0)/L0}×100・・・(2) (3)風合い:得られた伸縮性複合シートの風合いを官
能で評価した。評価はモニター20人により行い、以下
の5段階で評価し、四捨五入してその平均(点)を算出
した。 5・・・極めて良好な風合いである。 4・・・良好な風合いである。 3・・・風合いは普通である。 2・・・風合いがやや劣る。 1・・・風合いが悪い。
【0029】(4)表面強度:伸縮性複合シートの表面
強度は、JIS L 0823に示された摩擦試験機II
型を用い、摩擦子と試験台の何れにも伸縮性シート面が
当接するように固定し、伸長性不織布面同士が擦れ合う
ように設定した後、20往復摩擦した。その後、試験台
上の伸長性不織布の表面を観察し、毛羽立ちや毛玉の数
を測定し、以下の5段階で評価した。 5・・・毛羽立ちも毛玉もない。 4・・・毛羽立ちが数本あり、毛玉がない。 3・・・毛羽立ちが数十本あり、毛玉がない。 2・・・毛羽立ちが多数あり、毛玉が発生している。 1・・・毛羽立ちが多数あり、毛玉も多数発生してい
る。
【0030】得られた結果を表1に示した。
【0031】
【表1】
【0032】表1から明らかなように、本発明の伸縮性
複合シートは、優れた横方向への伸縮性を有し、風合い
が良好で、毛羽立ちや毛玉の発生もなく、十分な表面強
度を有している(実施例1)。これに対し、短繊維から
の不織布を用いた伸縮性複合シート(比較例1)は、風
合いは良好であるが、毛羽立ちと毛玉が多く発生し、表
面強度が顕著に弱く、ジェット水流処理を施していいな
いスパンボンド不織布を用いた伸縮性複合シート(比較
例2)は、風合いは普通であり、毛羽立ちも毛玉もな
く、表面強度は顕著に優れているが、不織布の横方向へ
の50%伸長時の弾性応力が高過ぎ、結果適に得られる
複合シートの弾性応力も高過ぎるため、伸縮性が極めて
劣っており、衛生用品用弾性材料としては不向きであ
る。
【0033】
【発明の効果】本発明は、優れた横方向への伸縮性を有
し、風合いが良好で、優れた表面強度を有する衛生用品
用伸縮性複合シートを提供するという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 平織り支持網のナックル部分の模式的平面図
である。
【図2】 図1の支持網の部分拡大の模式的断面図であ
る。
【図3】 スパンボンド不織布の開孔部を示す模式的平
面図である。
【符号の説明】 1:縦糸 2:横糸 3:支持網の縦糸のナックル部分(◎印) 4:支持網の横糸のナックル部分(×印) 5:支持網の縦糸のナックル部分の平面からの最大高さ
(A) 6:支持網の横糸のナックル部分の平面からの最大高さ
(B) △h:(A)―(B)の差 7:開孔部

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂を溶融紡糸して得られる連
    続長繊維フィラメント群より構成され、かつ、規則的で
    断続的な自己融着区域を有するスパンボンド不織布をジ
    ェット水流で処理した、横方向への50%伸長時の弾性
    応力が10〜200g/25mm幅の伸長性不織布に、
    横方向への50%伸長時の弾性応力が50〜200g/
    25mm幅で、かつ、弾性回復力を有する伸縮性シート
    をラミネートもしくは貼り合わせて積層複合化した伸縮
    性複合シートであって、該複合シートの横方向への50
    %伸長時の弾性応力70〜300g/25mm幅と応力
    解放時の回復率80〜95%を有することを特徴とする
    衛生用品用伸縮性複合シート。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015045103A (ja) * 2013-08-28 2015-03-12 日本バイリーン株式会社 中入綿
CN110616509A (zh) * 2019-09-27 2019-12-27 肇庆天乙非织造材料有限公司 一种用于弹簧包布的新型纺粘水刺无纺布及其制备方法
CN113727840A (zh) * 2019-04-26 2021-11-30 日东电工株式会社 伸缩性层叠体及其制造方法

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