JPH1046270A - 耐中間温度脆性、耐焼鈍脆性および耐食性に優れた銅合金並びに伝熱管 - Google Patents
耐中間温度脆性、耐焼鈍脆性および耐食性に優れた銅合金並びに伝熱管Info
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- JPH1046270A JPH1046270A JP21920496A JP21920496A JPH1046270A JP H1046270 A JPH1046270 A JP H1046270A JP 21920496 A JP21920496 A JP 21920496A JP 21920496 A JP21920496 A JP 21920496A JP H1046270 A JPH1046270 A JP H1046270A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 耐食性に優れ、製造工程中において焼鈍脆
化、中間温度脆化に起因する割れを生じることがなく製
造可能であり、管材に加工して伝熱管として好適に使用
できる銅合金材料を提供する。 【解決手段】 Cu:76 〜79%、Al:1.8〜2.5 %、A
s:0.02 〜0.06%、Zr:0.005以上0.05%未満を含有
し、必要に応じてSi:0.50 %以下を含有し、残部Zn
および不可避的不純物からなる。
化、中間温度脆化に起因する割れを生じることがなく製
造可能であり、管材に加工して伝熱管として好適に使用
できる銅合金材料を提供する。 【解決手段】 Cu:76 〜79%、Al:1.8〜2.5 %、A
s:0.02 〜0.06%、Zr:0.005以上0.05%未満を含有
し、必要に応じてSi:0.50 %以下を含有し、残部Zn
および不可避的不純物からなる。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐中間温度脆性、
耐焼鈍脆性および耐食性に優れた銅合金、とくに発電プ
ラント、化学プラントなど、海水を冷却水として使用す
る多管式熱交換器、多段蒸発式海水淡水装置などの伝熱
管用銅合金、並びに該銅合金からなる伝熱管に関する。
耐焼鈍脆性および耐食性に優れた銅合金、とくに発電プ
ラント、化学プラントなど、海水を冷却水として使用す
る多管式熱交換器、多段蒸発式海水淡水装置などの伝熱
管用銅合金、並びに該銅合金からなる伝熱管に関する。
【0002】
【従来の技術】海水を冷却水として使用する多管式熱交
換器、多段蒸発式海水淡水化装置などの伝熱管として
は、一般にアルミニウム黄銅管が用いられている。この
アルミニウム黄銅管は、通常、連続鋳造あるいは半連続
鋳造により造塊後、熱間で押出あるいは圧延加工する熱
間加工工程、冷間で抽伸あるいは圧延加工する冷間加工
工程、熱処理工程を経て製造されるが、アルミニウム黄
銅管には、熱間加工工程、冷間加工工程、最終熱処理工
程において脆化が生じ割れが発生することが経験されて
いる。
換器、多段蒸発式海水淡水化装置などの伝熱管として
は、一般にアルミニウム黄銅管が用いられている。この
アルミニウム黄銅管は、通常、連続鋳造あるいは半連続
鋳造により造塊後、熱間で押出あるいは圧延加工する熱
間加工工程、冷間で抽伸あるいは圧延加工する冷間加工
工程、熱処理工程を経て製造されるが、アルミニウム黄
銅管には、熱間加工工程、冷間加工工程、最終熱処理工
程において脆化が生じ割れが発生することが経験されて
いる。
【0003】熱間加工時および冷間加工時の割れは、熱
間加工に先立つ鋳塊加熱時に、鋳塊に残留している応力
が緩和される過程で鋳塊に生じる微細割れに起因するも
ので、この微細割れが、その後の熱間加工時あるいは冷
間加工時に割れに発展するものである。最終熱処理工程
で生じる割れは、冷間加工時に残留した応力が、熱処理
時に開放されて割れを誘発する現象で、焼鈍脆化現象と
して知られている。
間加工に先立つ鋳塊加熱時に、鋳塊に残留している応力
が緩和される過程で鋳塊に生じる微細割れに起因するも
ので、この微細割れが、その後の熱間加工時あるいは冷
間加工時に割れに発展するものである。最終熱処理工程
で生じる割れは、冷間加工時に残留した応力が、熱処理
時に開放されて割れを誘発する現象で、焼鈍脆化現象と
して知られている。
【0004】またアルミニウム黄銅系の材料において
は、350 〜400 ℃付近の温度範囲で延性が著しく減少す
る、いわゆる中間温度脆性を示し、この温度範囲で加工
することにより材料に割れが生じることも知られてい
る。
は、350 〜400 ℃付近の温度範囲で延性が著しく減少す
る、いわゆる中間温度脆性を示し、この温度範囲で加工
することにより材料に割れが生じることも知られてい
る。
【0005】上記の割れを防止するために、鋳塊結晶
粒の微細化、熱間加工および冷間加工時の加工度の制
限、脆化温度範囲を外れた温度範囲での加工などの対
策も講じられているが、については、鋳造時に注湯温
度を極力低下させることや冷却速度を大きくすることな
どにより、ある程度までは鋳造組織の微細化が可能であ
るが、引け巣などの鋳造欠陥が生じ易くなるとともに、
鋳造速度を低下させる必要もあるため、生産性の低下を
招く。
粒の微細化、熱間加工および冷間加工時の加工度の制
限、脆化温度範囲を外れた温度範囲での加工などの対
策も講じられているが、については、鋳造時に注湯温
度を極力低下させることや冷却速度を大きくすることな
どにより、ある程度までは鋳造組織の微細化が可能であ
るが、引け巣などの鋳造欠陥が生じ易くなるとともに、
鋳造速度を低下させる必要もあるため、生産性の低下を
招く。
【0006】の対策も、制限された加工度で熱間加工
および冷間加工を繰り返すこととなるため生産性がわる
くなり、についても、脆化温度を越える高温で加工す
る場合は生産コストを増大させ、脆化温度より低温で加
工する場合は、加工度が高くなると中間焼鈍が必要とな
るため生産性が低下するなど、いずれも一長一短があ
り、十分な対策とはなっていない。
および冷間加工を繰り返すこととなるため生産性がわる
くなり、についても、脆化温度を越える高温で加工す
る場合は生産コストを増大させ、脆化温度より低温で加
工する場合は、加工度が高くなると中間焼鈍が必要とな
るため生産性が低下するなど、いずれも一長一短があ
り、十分な対策とはなっていない。
【0007】一方、脆性を改善したアルミニウム黄銅系
材料として、Zrを添加した合金、、例えば、Cu:77.
15%、Al:2.05 %、As:0.04 %、Zr:0.21 %を含
有し、残部Znおよび不純物からなる銅合金材料が提案
されている。(イギリス特許第1,144,334 号明細書) し
かしながら、この合金は脱亜鉛腐食が生じ易いなど、耐
食性に問題がある。
材料として、Zrを添加した合金、、例えば、Cu:77.
15%、Al:2.05 %、As:0.04 %、Zr:0.21 %を含
有し、残部Znおよび不純物からなる銅合金材料が提案
されている。(イギリス特許第1,144,334 号明細書) し
かしながら、この合金は脱亜鉛腐食が生じ易いなど、耐
食性に問題がある。
【0008】中間温度における延性の低下、焼鈍脆化の
機構は、結晶粒界のすべりによって、粒界上にボイドの
形成が誘起され、ボイドが連結して割れ発生につながる
ものであり、脆化現象を引き起こす原因となる因子とし
て、結晶粒径が大きいこと、Sの粒界上への偏析、過飽
和水素の存在などが挙げられている。
機構は、結晶粒界のすべりによって、粒界上にボイドの
形成が誘起され、ボイドが連結して割れ発生につながる
ものであり、脆化現象を引き起こす原因となる因子とし
て、結晶粒径が大きいこと、Sの粒界上への偏析、過飽
和水素の存在などが挙げられている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、脆性が改善
され、且つ耐食性にも優れた銅合金材料を得るために、
上記のZr添加アルミニウム黄銅系材料を基本として、
耐脆化および耐食性と材料の合金成分の組合わせ、組成
範囲の関係について、多角的に実験、検討を加えた結果
としてなされたものであり、その目的は、中間温度にお
ける脆化が避けられるとともに焼鈍脆化を生じることも
なく、耐食性にも優れた銅合金、および該銅合金からな
る伝熱管を提供することにある。
され、且つ耐食性にも優れた銅合金材料を得るために、
上記のZr添加アルミニウム黄銅系材料を基本として、
耐脆化および耐食性と材料の合金成分の組合わせ、組成
範囲の関係について、多角的に実験、検討を加えた結果
としてなされたものであり、その目的は、中間温度にお
ける脆化が避けられるとともに焼鈍脆化を生じることも
なく、耐食性にも優れた銅合金、および該銅合金からな
る伝熱管を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による耐中間温度脆性、耐焼鈍脆性および耐
食性に優れた銅合金は、Cu:76 〜79%、Al:1.8〜2.
5 %、As:0.02 〜0.06%、Zr:0.005%以上0.05%未
満を含有し、残部Znおよび不可避的不純物からなり、
不純物としてのPbおよびFeをそれぞれ0.05%未満と
したことを第1の特徴とし、これにさらにSi:0.50 %
以下を含有することを第2の特徴とする。また、第3の
特徴は、上記の銅合金からなる伝熱管にある。
めの本発明による耐中間温度脆性、耐焼鈍脆性および耐
食性に優れた銅合金は、Cu:76 〜79%、Al:1.8〜2.
5 %、As:0.02 〜0.06%、Zr:0.005%以上0.05%未
満を含有し、残部Znおよび不可避的不純物からなり、
不純物としてのPbおよびFeをそれぞれ0.05%未満と
したことを第1の特徴とし、これにさらにSi:0.50 %
以下を含有することを第2の特徴とする。また、第3の
特徴は、上記の銅合金からなる伝熱管にある。
【0011】本発明における合金成分の意義およびその
限定理由について説明すると、Alは、使用中、表面に
きわめて強固な耐食性皮膜を形成し、潰食に対する抵抗
を増大させる機能を有する。さらに合金材の強度を向上
させる作用もある。好ましい含有量は1.8 〜2.5 %の範
囲であり、1.8 %未満ではその効果が小さく、2.5 %を
越えて含有すると、第2相が出現し易くなり、常温で十
分な延性が得られず、冷間加工性が低下する。
限定理由について説明すると、Alは、使用中、表面に
きわめて強固な耐食性皮膜を形成し、潰食に対する抵抗
を増大させる機能を有する。さらに合金材の強度を向上
させる作用もある。好ましい含有量は1.8 〜2.5 %の範
囲であり、1.8 %未満ではその効果が小さく、2.5 %を
越えて含有すると、第2相が出現し易くなり、常温で十
分な延性が得られず、冷間加工性が低下する。
【0012】Siは合金の耐応力腐食割れ性を向上させ
るよう作用する。好ましい含有量は0.50%の範囲であ
り、0.50%を越えて添加されると、第2相が出現し易く
なり、常温で十分な延性が得られず、冷間加工性が低下
して管の製造が困難となる。Asは、合金材の脱亜鉛腐
食を抑制する効果がある。好ましい含有範囲は0.02〜0.
06%であり、0.02%未満では効果が十分でなく、0.06%
を越えると応力割れ感受性が高くなる。
るよう作用する。好ましい含有量は0.50%の範囲であ
り、0.50%を越えて添加されると、第2相が出現し易く
なり、常温で十分な延性が得られず、冷間加工性が低下
して管の製造が困難となる。Asは、合金材の脱亜鉛腐
食を抑制する効果がある。好ましい含有範囲は0.02〜0.
06%であり、0.02%未満では効果が十分でなく、0.06%
を越えると応力割れ感受性が高くなる。
【0013】Zrは脆化抑制に効果がある。好ましい含
有量は0.005 %以上0.05%未満の範囲であり、0.005 %
未満では耐中間温度脆性、耐焼鈍脆性改善の効果が十分
でなく、0.05%以上では、AsやSiと化合物を生成し
易くなって耐食性が劣化し、またZrが高価なため、コ
スト増大をもたらす。さらに好ましいZrの含有範囲は
0.010 〜0.030 %である。
有量は0.005 %以上0.05%未満の範囲であり、0.005 %
未満では耐中間温度脆性、耐焼鈍脆性改善の効果が十分
でなく、0.05%以上では、AsやSiと化合物を生成し
易くなって耐食性が劣化し、またZrが高価なため、コ
スト増大をもたらす。さらに好ましいZrの含有範囲は
0.010 〜0.030 %である。
【0014】Znの含有は、熱間加工性向上に効果があ
るが、Cu中にZnの添加量が増加すると、第2相が出
現し易くなり冷間加工性の低下の原因となる。他の合金
成分を考慮して、第2相が出現しない組成範囲を規定す
ると、Cu:76 〜79%、残部Znとなる。
るが、Cu中にZnの添加量が増加すると、第2相が出
現し易くなり冷間加工性の低下の原因となる。他の合金
成分を考慮して、第2相が出現しない組成範囲を規定す
ると、Cu:76 〜79%、残部Znとなる。
【0015】不純物としてのPbは、合金の結晶粒界に
単独で存在する。融点が低いため、熱間加工時に融解し
て結晶粒界結合力を低下させ、結晶粒界に亀裂を誘発し
易い。従って、Pbは0.05%未満に制限するのが好まし
い。Feが多く含まれると、冷間加工後の軟化処理を行
った場合、大小の結晶粒が混在した組織となり、機械的
特性が不安定となり易い。従って、不純物としてのFe
は0.05%未満に制限するのが好ましい。
単独で存在する。融点が低いため、熱間加工時に融解し
て結晶粒界結合力を低下させ、結晶粒界に亀裂を誘発し
易い。従って、Pbは0.05%未満に制限するのが好まし
い。Feが多く含まれると、冷間加工後の軟化処理を行
った場合、大小の結晶粒が混在した組織となり、機械的
特性が不安定となり易い。従って、不純物としてのFe
は0.05%未満に制限するのが好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の銅合金は、連続鋳造また
は半連続鋳造により造塊し、得られた鋳塊を、熱間圧延
または熱間押出加工、冷間圧延または冷間抽伸加工を行
い、焼鈍処理などの熱処理工程を経て管材とし、伝熱管
として供給する。
は半連続鋳造により造塊し、得られた鋳塊を、熱間圧延
または熱間押出加工、冷間圧延または冷間抽伸加工を行
い、焼鈍処理などの熱処理工程を経て管材とし、伝熱管
として供給する。
【0017】本発明において、Zrは、合金材の耐食性
を害することなしに、結晶粒を微細化し、不純物S、過
飽和水素を捕捉して、脆化を抑制するのに寄与する。脆
化現象を一層抑制するためには、合金中のSを0.0001%
(1ppm)以下、Hを0.00005 %(0.5ppm) 以下に制限する
のが好ましい。
を害することなしに、結晶粒を微細化し、不純物S、過
飽和水素を捕捉して、脆化を抑制するのに寄与する。脆
化現象を一層抑制するためには、合金中のSを0.0001%
(1ppm)以下、Hを0.00005 %(0.5ppm) 以下に制限する
のが好ましい。
【0018】以下、本発明の実施例を比較例と対比して
説明する。
説明する。
実施例1 表1に示す組成の銅合金を、高周波溶解炉で溶解し、鋳
造温度1100℃で落込み鋳造により造塊した。なお、Zr
の添加は、Cu−Zr母合金を使用して鋳込み直前に行
った。得られた鋳塊の結晶粒径を測定し、Zrを添加し
ない従来の合金鋳塊の結晶粒径と比較し、結晶粒微細化
効果の有無を評価した。
造温度1100℃で落込み鋳造により造塊した。なお、Zr
の添加は、Cu−Zr母合金を使用して鋳込み直前に行
った。得られた鋳塊の結晶粒径を測定し、Zrを添加し
ない従来の合金鋳塊の結晶粒径と比較し、結晶粒微細化
効果の有無を評価した。
【0019】また、常温および脆化温度域(300 〜400
℃) で引張試験を行い、延性の評価を行った。なお、引
張試験は、各鋳塊からJIS Z 2201に準拠した4号試験片
を成形し、インストロン型引張試験機を用いて行った。
高温の引張試験は、試験機に付帯した350 ℃に設定され
た電気炉内に約15分間保持後、歪速度1.0 ×10-4s -1で
破断まで引張変形した。評価方法は、常温、高温共に、
伸びおよび絞りを測定し、通常のアルミニウム黄銅JIS
C6870 合金、C6871 合金と比較した。結果を表2に示
す。表2に示すように、本発明による試験材は、いずれ
も結晶粒が微細化され、常温および中間温度でC6870 合
金およびC6871 合金より高い伸びおよび断面減少率を備
えていた。
℃) で引張試験を行い、延性の評価を行った。なお、引
張試験は、各鋳塊からJIS Z 2201に準拠した4号試験片
を成形し、インストロン型引張試験機を用いて行った。
高温の引張試験は、試験機に付帯した350 ℃に設定され
た電気炉内に約15分間保持後、歪速度1.0 ×10-4s -1で
破断まで引張変形した。評価方法は、常温、高温共に、
伸びおよび絞りを測定し、通常のアルミニウム黄銅JIS
C6870 合金、C6871 合金と比較した。結果を表2に示
す。表2に示すように、本発明による試験材は、いずれ
も結晶粒が微細化され、常温および中間温度でC6870 合
金およびC6871 合金より高い伸びおよび断面減少率を備
えていた。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】 《表注》結晶粒微細化効果 有り:Zr を添加しないもの
より微細 引張試験 ○: 伸びおよび断面減少率がC6870 、6871合
金より大
より微細 引張試験 ○: 伸びおよび断面減少率がC6870 、6871合
金より大
【0022】比較例1 表3に示す組成の銅合金を、実施例1と同様にして溶
解、鋳造して鋳塊を製造し、実施例1と同じ方法で、結
晶粒径を測定するとともに、引張試験を行った。これら
の結果を表4に示す。なお、表3において、本発明の条
件を外れたものには下線を付した。
解、鋳造して鋳塊を製造し、実施例1と同じ方法で、結
晶粒径を測定するとともに、引張試験を行った。これら
の結果を表4に示す。なお、表3において、本発明の条
件を外れたものには下線を付した。
【0023】
【表3】
【0024】
【表4】 《表注》結晶粒微細化効果 有り:Zr を添加しないもの
より微細 無し:Zr を添加しないものと同等か粗大 引張試験 ○: 伸びおよび断面減少率がC6870 、C6871
より大 ×: 伸びおよび断面減少率がC6870 、C6871 と同等以下
より微細 無し:Zr を添加しないものと同等か粗大 引張試験 ○: 伸びおよび断面減少率がC6870 、C6871
より大 ×: 伸びおよび断面減少率がC6870 、C6871 と同等以下
【0025】表4にみられるように、試験材No.6はZr
を含有せず、試験材No.7〜8 はZr量が少ないため、結
晶粒微細化の効果がなく、中間温度での延性の改善が得
られないため、引張試験での伸びおよび断面減少率が従
来のC6870 合金、C6871 合金と同等以下であった。試験
材No.7はCu量が低く、試験材No.9はAl含有量が高
く、試験材No.10 はSi量が多いため、いずれも常温で
十分な延性が得られず、引張試験における伸びおよび断
面減少率が従来合金と同等以下であった。
を含有せず、試験材No.7〜8 はZr量が少ないため、結
晶粒微細化の効果がなく、中間温度での延性の改善が得
られないため、引張試験での伸びおよび断面減少率が従
来のC6870 合金、C6871 合金と同等以下であった。試験
材No.7はCu量が低く、試験材No.9はAl含有量が高
く、試験材No.10 はSi量が多いため、いずれも常温で
十分な延性が得られず、引張試験における伸びおよび断
面減少率が従来合金と同等以下であった。
【0026】実施例2 表5に示す組成の銅合金を、大型の電気炉で溶解し、鋳
造温度1050℃、鋳造速度100mm/min の条件で連続鋳造す
ることにより鋳塊を製造した。なお、Zrの添加は、C
u−Zrロッドを使用し、鋳込み時に行った。得られた
鋳塊について、結晶粒径を測定し、Zrを添加しない従
来のアルミニウム黄銅鋳塊の結晶粒径と比較して、結晶
粒微細化効果を評価した。
造温度1050℃、鋳造速度100mm/min の条件で連続鋳造す
ることにより鋳塊を製造した。なお、Zrの添加は、C
u−Zrロッドを使用し、鋳込み時に行った。得られた
鋳塊について、結晶粒径を測定し、Zrを添加しない従
来のアルミニウム黄銅鋳塊の結晶粒径と比較して、結晶
粒微細化効果を評価した。
【0027】また、耐食性の評価として脱亜鉛腐食試
験、応力腐食割れ試験および潰食試験を行った。腐食試
験には、結晶粒径の影響を除くために、熱間押出加工し
た後の素管(外径70mm、肉厚7mm)、あるいはその後冷間
加工および熱処理し、形状が外径22mm、肉厚1.2mm のJI
S 規格を満足する管を使用した。腐食試験の詳細は以下
のとおりであり、同じ方法で造塊、熱間加工、冷間加
工、熱処理を行った従来のJIS H3300 C6870 合金、C687
1 合金と比較して、耐食性を評価した。
験、応力腐食割れ試験および潰食試験を行った。腐食試
験には、結晶粒径の影響を除くために、熱間押出加工し
た後の素管(外径70mm、肉厚7mm)、あるいはその後冷間
加工および熱処理し、形状が外径22mm、肉厚1.2mm のJI
S 規格を満足する管を使用した。腐食試験の詳細は以下
のとおりであり、同じ方法で造塊、熱間加工、冷間加
工、熱処理を行った従来のJIS H3300 C6870 合金、C687
1 合金と比較して、耐食性を評価した。
【0028】脱亜鉛腐食試験:ISO 6809-1981 に準拠し
た方法により、75℃に保持された12.7g/l のCuCl2
・2H2 O水溶液に、試料を24時間浸漬後、断面の光学
顕微鏡観察により脱亜鉛の深さを測定した。 応力腐食割れ試験:20℃に保持された12.5%以上のアン
モニア水溶液の入った密閉容器中に、液面から50〜100m
m 離して管を吊るして24時間保持し、その後、10%H2
SO4 水溶液で洗浄し、元の管の外径の50〜60%まで押
し潰し、その時の割れ発生の有無を、10倍の拡大鏡によ
り観察した。( 日本伸銅協会技術標準−JBMA-T301) 潰食試験:1 〜2vol%の空気泡の混入した海水を、半割
りした管内面に8m/sで7 日間噴射した後の腐食深さを測
定した。( ジェット試験)
た方法により、75℃に保持された12.7g/l のCuCl2
・2H2 O水溶液に、試料を24時間浸漬後、断面の光学
顕微鏡観察により脱亜鉛の深さを測定した。 応力腐食割れ試験:20℃に保持された12.5%以上のアン
モニア水溶液の入った密閉容器中に、液面から50〜100m
m 離して管を吊るして24時間保持し、その後、10%H2
SO4 水溶液で洗浄し、元の管の外径の50〜60%まで押
し潰し、その時の割れ発生の有無を、10倍の拡大鏡によ
り観察した。( 日本伸銅協会技術標準−JBMA-T301) 潰食試験:1 〜2vol%の空気泡の混入した海水を、半割
りした管内面に8m/sで7 日間噴射した後の腐食深さを測
定した。( ジェット試験)
【0029】本発明に従う試験材No.11 〜15はいずれ
も、Zrを添加しない従来のアルミニウム黄銅鋳塊に比
較して結晶粒の微細化効果を示し、脱亜鉛腐食試験およ
び応力腐食割れ試験においても、JIS C6870 合金、C687
1 合金と同等またはそれ以上で、伝熱管として適用する
に十分な耐食性を示した。
も、Zrを添加しない従来のアルミニウム黄銅鋳塊に比
較して結晶粒の微細化効果を示し、脱亜鉛腐食試験およ
び応力腐食割れ試験においても、JIS C6870 合金、C687
1 合金と同等またはそれ以上で、伝熱管として適用する
に十分な耐食性を示した。
【0030】
【表5】
【0031】比較例2 表6の銅合金を、実施例2と同様にして造塊、熱間加
工、冷間加工、熱処理し、実施例2と同じ方法で、結晶
粒微細化効果を評価し、腐食試験を行った。結果を表7
に示す。なお、表6において、本発明の条件を外れたも
のには下線を付した。
工、冷間加工、熱処理し、実施例2と同じ方法で、結晶
粒微細化効果を評価し、腐食試験を行った。結果を表7
に示す。なお、表6において、本発明の条件を外れたも
のには下線を付した。
【0032】
【表6】
【0033】
【表7】 《表注》結晶粒微細化効果 有り:Zrを添加しないものより微細 無し:Zrを添加しないものと同等か粗大 腐食試験 ○:耐食性がC6870 合金、C6871 合金と同等以上 ×:耐食性がC6870 合金、C6871 合金より劣る
【0034】表7に示すように、試験材No.16 はZrの
含有量が少ないため、結晶粒微細化の効果が十分でな
い。試験材No.17 はZr量が多いため、また試験材No.1
9 はAsの含有量が低いため、耐脱亜鉛腐食性が劣って
いる。試験材No.18 はAlの含有量が低いため、耐潰食
性に劣る。試験材No.20 はAs量が多過ぎるため、応力
腐食割れ感受性が大きい。
含有量が少ないため、結晶粒微細化の効果が十分でな
い。試験材No.17 はZr量が多いため、また試験材No.1
9 はAsの含有量が低いため、耐脱亜鉛腐食性が劣って
いる。試験材No.18 はAlの含有量が低いため、耐潰食
性に劣る。試験材No.20 はAs量が多過ぎるため、応力
腐食割れ感受性が大きい。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、耐食性に優れるととも
に、製造工程中において、焼鈍脆化、中間温度脆化に起
因する割れを生じることなしに製造可能であり、管材に
加工することにより伝熱管として好適に使用できる銅合
金材料が提供される。
に、製造工程中において、焼鈍脆化、中間温度脆化に起
因する割れを生じることなしに製造可能であり、管材に
加工することにより伝熱管として好適に使用できる銅合
金材料が提供される。
Claims (3)
- 【請求項1】 Cu:76 〜79%(重量%、以下同じ) 、
Al:1.8〜2.5 %、As:0.02 〜0.06%、Zr:0.005%
以上0.05%未満を含有し、残部Znおよび不可避的不純
物からなり、不純物としてのPbおよびFeをそれぞれ
0.05%未満とすることを特徴とする耐中間温度脆性、耐
焼鈍脆性および耐食性に優れた銅合金。 - 【請求項2】 さらにSi:0.50 %以下を含有すること
を特徴とする請求項1記載の耐中間温度脆性、焼鈍脆性
および耐食性に優れた銅合金。 - 【請求項3】 請求項1〜2記載の銅合金からなる伝熱
管。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21920496A JPH1046270A (ja) | 1996-08-01 | 1996-08-01 | 耐中間温度脆性、耐焼鈍脆性および耐食性に優れた銅合金並びに伝熱管 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21920496A JPH1046270A (ja) | 1996-08-01 | 1996-08-01 | 耐中間温度脆性、耐焼鈍脆性および耐食性に優れた銅合金並びに伝熱管 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1046270A true JPH1046270A (ja) | 1998-02-17 |
Family
ID=16731845
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP21920496A Pending JPH1046270A (ja) | 1996-08-01 | 1996-08-01 | 耐中間温度脆性、耐焼鈍脆性および耐食性に優れた銅合金並びに伝熱管 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1046270A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1777306A1 (en) * | 2004-08-10 | 2007-04-25 | Sanbo Shindo Kogyo Kabushiki Kaishah | Cast copper alloy article and method for casting thereof |
US9303300B2 (en) | 2005-09-30 | 2016-04-05 | Mitsubishi Shindoh Co., Ltd. | Melt-solidified substance, copper alloy for melt-solidification and method of manufacturing the same |
-
1996
- 1996-08-01 JP JP21920496A patent/JPH1046270A/ja active Pending
Cited By (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP1777306A1 (en) * | 2004-08-10 | 2007-04-25 | Sanbo Shindo Kogyo Kabushiki Kaishah | Cast copper alloy article and method for casting thereof |
EP1777305A1 (en) * | 2004-08-10 | 2007-04-25 | Sanbo Shindo Kogyo Kabushiki Kaishah | Copper-base alloy casting with refined crystal grains |
EP1777310A1 (en) * | 2004-08-10 | 2007-04-25 | Sanbo Shindo Kogyo Kabushiki Kaishah | Cast copper alloy article excellent in machinability, strength, wear resistance and corrosion resistance and method for casting thereof |
EP1777308A1 (en) * | 2004-08-10 | 2007-04-25 | Sanbo Shindo Kogyo Kabushiki Kaishah | Copper alloy |
EP1777308A4 (en) * | 2004-08-10 | 2008-11-05 | Mitsubishi Shindo Kk | COPPER ALLOY |
EP1777306A4 (en) * | 2004-08-10 | 2008-11-05 | Mitsubishi Shindo Kk | COPPER CASTING ALLOYS AND CASTING METHOD THEREFOR |
EP1777310A4 (en) * | 2004-08-10 | 2008-11-12 | Mitsubishi Shindo Kk | COPPER CAST ALLOY MATERIALS WITH EXCELLENT WORKABILITY, STRENGTH, WEAR AND CORROSION RESISTANCE AND CASTING METHOD THEREFOR |
EP1777305A4 (en) * | 2004-08-10 | 2008-11-12 | Mitsubishi Shindo Kk | COPPER ALLOY MOLDING WITH REFINED CRYSTAL PELLETS |
US9328401B2 (en) | 2004-08-10 | 2016-05-03 | Mitsubishi Shindoh Co., Ltd. | Copper alloy casting having excellent machinability, strength, wear resistance and corrosion resistance and method of casting the same |
US10570483B2 (en) | 2004-08-10 | 2020-02-25 | Mitsubishi Shindoh Co., Ltd. | Copper-based alloy casting in which grains are refined |
US9303300B2 (en) | 2005-09-30 | 2016-04-05 | Mitsubishi Shindoh Co., Ltd. | Melt-solidified substance, copper alloy for melt-solidification and method of manufacturing the same |
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