JP2015189993A - アルミニウム合金鍛造材 - Google Patents

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Abstract

【課題】大きな加工率で熱間鍛造加工を行っても、再結晶による粗大な再結晶粒組織が発生せず、微細な未結晶粒組織として、高強度高靱性化、高耐食性化などの特性向上が図れるアルミニウム合金鍛造材を提供する。
【解決手段】特定の組成として、ScとZrとを同時に含む6000系アルミニウム合金鍛造材として、SEM−EBSD法により測定される、傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さの合計が20mm以上であるように組織を微細化する。
【選択図】図1

Description

本発明はアルミニウム合金鍛造材に関するものである。以下、アルミニウムを単にAlとも言う。
近年、排気ガス等による地球環境問題に対して、自動車などの輸送機の車体の軽量化による燃費の向上が追求されている。このため、自動車などの輸送機の構造材や構造部品、特に、アッパーアーム、ロアーアームなどの自動車足回り部品として、AA乃至JIS の規格で言う6000系(Al−Mg−Si系)アルミニウム合金鍛造材が使用されている。これらの構造材や構造部品として、6000系アルミニウム合金鍛造材は、高強度高靱性であり、耐食性にも比較的優れている。以下、輸送機の構造材や構造部品として、自動車足回り部品を例にとって説明する。
自動車の一層の軽量化のために、自動車足回り部品には、より薄肉化させた上での高強度化や高靱性化が求められている。また、保安部品としての信頼性から、粒界腐食や応力腐食割れなどに対しての高耐食性化も求められている。このため、従来から、素材としての6000系アルミニウム合金鍛造材の組成やミクロ組織を改善することが種々行われている。
ただ、これら6000系アルミニウム合金鍛造材は、その製造工程における熱間鍛造やその後の溶体化処理において、加工組織が再結晶して粗大結晶粒が発生する傾向がある。これら再結晶化による粗大結晶粒が発生した場合、上記したようにミクロ組織を制御しても、高強度化や高靱性化が果たせず、耐食性も低下する。
このような再結晶化や、再結晶化による粗大結晶粒の発生を抑制するための技術も従来から種々行われている。代表的には、Mn、Zr、Crなどの結晶粒微細化効果を有する遷移元素を添加することや、450〜570℃程度の比較的高温で熱間鍛造を行うことなどが周知である。
また、高強度と高靭性を得るために、熱間鍛造用の素材として、鋳塊を一旦熱間押出加工した押出材を用いることも知られている。このような押出材の鍛造技術における再結晶化の抑制として、鍛造材の組織における小傾角粒界と大傾角粒界とを含めた未再結晶領域を微細化させることも提案されている(特許文献1参照)。
また、良好な耐食性を維持しつつ、引張強度に優れた鍛造材を得るために、最表面からの再結晶深さを5mm以下とすることも提案されている(特許文献2参照)。このため、同文献では、特定の条件での鋳造、均質化熱処理、加熱、熱間鍛造、溶体化・焼入れ処理、人工時効処理を組み合わせて行うこととしている。
一方、アルミニウム合金の再結晶を抑制する方法として、6000系アルミニウム合金鍛造材の分野ではないが、2000系(Al−Cu系)などの耐熱アルミニウム合金などにおいて、Sc、Zrなどの遷移元素を添加することも公知である(特許文献3、4参照)。
特開2011−225988号公報 特開2013−227652号公報 特開平9-95750号公報 特許第3997009号公報
これら従来の6000系アルミニウム合金鍛造材における再結晶の抑制技術は、その結晶粒の微細化に限界があったため、高強度高靱性とした上で、より優れた耐食性を得るためには、今だ改善の余地がある。
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、従来の限界を超えて結晶粒組織を微細化することによって、6000系アルミニウム合金鍛造材の再結晶を抑制して、高強度高靱性化とともに高耐食性化を図ることを目的とする。
この目的を達成するために、本発明アルミニウム合金鍛造材の要旨は、質量%で、Si:0.7〜1.5%、Mg:0.6〜1.2%、Sc:0.05〜1.0%、Zr:0.05〜0.50%を各々含み、残部Alおよび不可避的不純物からなる組成を有し、再結晶した表層部を除く組織において、SEM−EBSD法により500μm×500μmの範囲で測定される、傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さの合計が平均で20mm以上であることとする。
ここで、前記アルミニウム合金鍛造材が、更に、質量%で、Fe:0.01〜0.5%、Mn:0.05〜0.8%、Cr:0.01〜0.5%、Cu:0.05〜1.0%、Ti:0.01〜0.1%、Zn:0.005〜0.2%の一種または二種以上を含有しても良い。また、前記アルミニウム合金鍛造材の用途が自動車の足回り部品用であることが特に好ましい。
本発明では、6000系アルミニウム合金鍛造材の再結晶を抑制して、鍛造材表層部の再結晶層を薄くすることができるとともに、鍛造材の内部の結晶粒組織を、従来の限界を超えて結晶粒組織を微細化できる。この結果、従来のように、押出材を鍛造素材とせずとも、高強度な自動車足回り部品の高耐食性化を図れ、保安部品としての信頼性が増す。
このための本発明の特徴は、ScとZrとを複合添加することである。後述する実施例にて裏付ける通り、本発明者らは、遷移元素同士の組み合わせにおいて、ScとZrとの特定の元素同士の組み合わせが、6000系アルミニウム合金鍛造材の再結晶化を抑制して組織を微細化する効果に、特に優れていることを知見した。すなわち、このScとZrとの効果は、組織の微細化元素として汎用されてきた、Mn、Cr、Zrなどの元素同士の組み合わせよりも、組織を微細化する効果が著しく優れている。
ちなみに、これらSc、Zrは、前記した特許文献3、4などの通り、再結晶を抑制することが元々公知である。ただ、6000系アルミニウム合金、特に、6000系アルミニウム合金鍛造材に、Scが、Zrとの組み合わせで再結晶抑制のために用いられた例は知らない。そして、6000系アルミニウム合金鍛造材において、Scが、Zrとの組み合わせで、汎用されるMn、Cr、Zrなどの元素同士の組み合わせよりも、再結晶抑制効果が大きいことは、その効果があるかどうかも含めて、これまで全く検証されていなかった。
これはScが希土類元素として高価にすぎ、比較的安価な6000系アルミニウム合金への実際の適用可能性への疑問から、前記特許文献3、4などの高価な2000系アルミニウム合金の分野にしか、その効果や適用が検討されなかったことによると推考される。
本発明アルミニウム合金鍛造材の組織を示す図面代用写真である。 比較例アルミニウム合金鍛造材の組織を示す図面代用写真である。 実施例にて用いた耐応力腐食割れ性評価用試験片を示す説明図である。
以下に、本発明の実施態様につき具体的に説明する。
(化学成分組成)
先ず、本発明鍛造材や、鋳造材の素材である鋳塊の、アルミニウム合金の化学成分組成について、以下に説明する。
本発明における6000系アルミニウム合金の化学成分組成は、前記した足回り鍛造部品などとして、高強度、耐応力腐食割れ性などの高い耐食性乃至耐久性を保証する必要がある。このため、6000系アルミニウム合金組成範囲の中でも、本発明におけるアルミニウム合金組成は、質量%で、Si:0.7〜1.5%、Mg:0.6〜1.2%、Sc:0.05〜1.0%、Zr:0.05〜0.50%を各々含み、残部Alおよび不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金とする。
また、強度などの特性向上のために、前記アルミニウム合金が、更に、質量%で、Fe:0.01〜0.5%、Mn:0.05〜0.8%、Cr:0.01〜0.5%、Cu:0.05〜1.0%、Ti:0.01〜0.1%、Zn:0.005〜0.2%の一種または二種以上を含有しても良い。なお、各元素量における%表示はすべて質量%の意味である。
ここで、溶解原料スクラップなどから必然的に混入される、他の不純物元素も、前記組成残部のうちの不可避的不純物として、本発明の諸特性を阻害しない範囲で、JIS規格の上限規定などに基づく通常の量を含むことは許容される。次に、各元素の含有量について、臨界的意義や好ましい範囲について説明する。
Si:0.7〜1.5%、
Siは、Mgとともに人工時効処理により、主として針状β' 相として析出して、自動車足回り部品使用時の高強度 (耐力) を付与するために必須の元素である。Siの含有量が少な過ぎると、人工時効処理で十分な強度が得られない。一方、Siの含有量が多過ぎると、鋳造時および溶体化処理後の焼き入れ途中で、粗大な単体Si粒子が晶出および析出して、耐食性と靱性を低下させる。また、過剰Siが多くなって、高耐食性と高靱性高疲労特性を得ることができない。更に伸びが低くなるなど、加工性も阻害する。したがって、Siの含有量は0.7〜1.5%の範囲とする。
Mg:0.6〜1.2%
Mgも、人工時効硬化処理(時効処理)により、Siとともに、主として針状β' 相として結晶粒内に析出し、自動車足回り部品の高強度 (耐力) を付与するために必須の元素である。Mgの含有量が少な過ぎると、人工時効処理時の時効硬化量が低下する。一方、Mgの含有量が多過ぎると、強度 (耐力) が高くなりすぎ、鍛造性を阻害する。また、溶体化処理後の焼き入れ途中に多量のMg−Si化合物や単体Siが析出しやすく、却って、強度、靱性、伸び、耐食性などを低下させる。したがって、Mg含有量は0.6〜1.2%の範囲とする。
Sc:0.05〜1.0%、Zr:0.05〜0.50%
ScとZrとは、均質化熱処理時およびその後の熱間鍛造時に、Al(Sc、Zr)系の金属間化合物からなる分散粒子 (分散相) を生成し、再結晶後の粒界移動を妨げ、結晶粒の粗大化を防止するとともに、結晶粒を微細化させる効果がある。すなわち、微細な分散粒子をより高密度に形成して、鍛造材での再結晶および粒成長を抑制する。これによって、鍛造材表層部の再結晶層をより薄くでき、しかも、この鍛造材の表層部を除く内部の結晶粒組織を、従来の限界を超えて微細化できる。具体的には、SEM−EBSD法により、500μm×500μmの範囲で測定される、傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さの合計が平均で20mm以上であるように微細化できる。鍛造材内部の結晶粒をこのように微細化させることによって、保安部品としての鍛造材の耐食性を保証でき、強度および靱性の向上も見込める。
ちなみに、これらScとZrとを組み合わせて(併用して)同時に含有させる場合の、結晶粒の微細化の程度は、後述する通り、通常の400倍程度の光学顕微鏡を用いた平均結晶粒径の基準では区別が明確につかないくらい、はるかに微細化されている。
ScとZrとを同時に含有していても、ScとZrの含有量のいずれかが少なすぎる場合、あるいはScとZrとが組み合わされることなく、ScとZr各々単独に含有される場合、後述する実施例の通り、再結晶抑制効果や結晶粒微細化効果が、従来並みに小さくなる。この傾向は、例えFe、Mn、Crなどの他の遷移元素を含有していたとしても同じである。
前記した6000系アルミニウム合金鍛造材において、Scを再結晶抑制元素として用いた例は知らず、ましてや、ScとZrとの組み合わせで再結晶抑制元素として用いた例も知らない。したがって、当然ながら、ScとZrとの組み合わせが、汎用されるMn、Cr、Zrなどの他の遷移元素同士の組み合わせよりも、再結晶抑制効果が著しく大きいことは、全く知られていない。
一方、ScとZrとの過剰な含有は、これら元素が高価ゆえに意味がなく、そればかりか、溶解、鋳造時に粗大な金属間化合物や晶出物を生成しやすく、破壊の起点となり、靱性や疲労特性を低下させる原因となる。このため、ScとZrとは、Sc:0.05〜1.0%、Zr:0.05〜0.50%の各々の含有範囲とする。
Fe:0.01〜0.5%、Mn:0.05〜0.8%、Cr:0.01〜0.5%、Cu:0.05〜1.0%、Ti:0.01〜0.1%、Zn0.005〜0.2%の一種または二種以上
Fe、Mn、Cr、Cu、Ti、Znは、鍛造材の強度や靱性を向上させる元素であるので、これらの効果を期待する場合には、一種または二種以上選択的に含有させる。
このうち、Fe、Mn、Crは、均質化熱処理時およびその後の熱間鍛造時に、Al−(Fe、Mn、Cr)系金属間化合物からなる微細な分散粒子 (分散相) を生成し、再結晶後の粒界移動を妨げ、結晶粒の粗大化を防止するとともに、結晶粒を微細化させ、鍛造材の強度、靱性を向上させる効果がある。すなわち、微細な分散粒子をより高密度に形成して、鍛造材での再結晶および粒成長を抑制し、鍛造材の表層部を除く結晶粒組織を本発明で規定するように微細化させる。このため、ScとZrとの組み合わせに加えて、これらの効果を強化したい場合に、選択的に含有させる。これらの元素の含有量が少な過ぎると、これらの効果が無い。一方、これらの元素の含有量が多過ぎると、Al−Fe−Si晶出物などの粗大な晶出物を生成すし、鍛造材の破壊靱性および疲労特性などを劣化させる。したがって、含有させる場合には、Fe:0.01〜0.5%、Mn:0.05〜0.8%、Cr:0.01〜0.5%の各範囲とする。
Cuは固溶強化にて鍛造材の強度、靱性の向上に寄与する他、時効処理に際して、最終製品の時効硬化を著しく促進する効果も有する。Cuの含有量が少な過ぎると、これらの強度向上効果が無い。一方、Cuの含有量が多過ぎると、アルミニウム合金鍛造材の組織の応力腐食割れや粒界腐食の感受性を著しく高め、アルミニウム合金鍛造材の耐食性や耐久性を低下させる。したがって、含有させる場合のCuの含有量は0.05〜1.0%の範囲とする。
Znは、人工時効処理において、Zn−Mg析出物を、微細かつ高密度に析出、形成して、強度、靱性を向上させる。また、固溶したZnは粒内の電位を下げ、腐食形態を粒界からではなく、全面的な腐食として、粒界腐食や応力腐食割れを結果として軽減する効果もある。しかし、Znの含有量が多過ぎると、耐食性が顕著に低下する。したがって、含有する場合のZnの含有量は0.005〜0.2%の範囲とする。
Tiは、鋳塊の結晶粒を微細化し、鍛造材組織を微細な亜結晶粒として、強度、靱性を向上させる効果がある。Tiの含有量が少な過ぎるとこの効果が発揮されない。しかし、Tiの含有量が多過ぎると、粗大な晶出物を形成し、前記加工性を低下させる。したがって、含有させる場合のTiの含有量は0.01〜0.1%の範囲とする。
この他、以下に記載する元素は不純物であり、各々、以下に各々記載する含有量まで許容される。水素は不純物として混入しやすく、特に、鍛造材の加工度が小さくなる場合、水素に起因する気泡が鍛造等加工で圧着せず、ブリスターが発生し、破壊の起点となるため、靱性や疲労特性を著しく低下させる。特に、高強度化した足回り部品などにおいては、この水素による影響が大きい。したがって、Al 100g 当たりの水素濃度は0.25ml以下の、できるだけ少ない含有量とすることが好ましい。
V、Hfも不純物として混入しやすく、足回り部品の特性を阻害するので、これらの合計で0.3%未満とする。また、BはTiと化合してTiの鋳塊結晶粒微細化効果を高める。しかし、300ppmを越えて含有されると、やはり粗大な晶出物を形成し、前記加工性を低下させる。したがって、B は300ppm以下の含有まで許容する。
(組織)
以上の合金組成を前提に、本発明では、自動車などの輸送機の構造材や構造部品、特に自動車足回り鍛造部品などとしての鍛造材につき、再結晶による粗大な再結晶粒組織が発生せず、微細な未結晶粒組織を備えるようにする。これによって、本発明では、鍛造材をより高強度化、高靱性化および高耐食性化させることができる。
また、本発明では、このような組織や特性を、最小の肉厚減少率が25%を超える大きな加工率で熱間鍛造加工を行っても実現できる利点がある。鍛造材は、その複雑な形状ゆえに、熱間鍛造による肉厚減少率が部位によって異なる。この際、最小の肉厚減少率が25%を超える大きな加工率で熱間鍛造加工を行った部位は、鍛造材断面の肉厚中心部においても、再結晶しやすくなって、粗大な再結晶粒が発生して、強度や靱性の低下が避けがたくなる。
これを避けるためには、鍛造材の各部位の最小の肉厚減少率が25%以下の小さな加工率となるように熱間鍛造加工せざるを得ず、このような小さな加工率で鍛造可能な形状に、大きく限定、制約される問題がある。これに対して、汎用されている足回り鍛造部品は、略三角形の全体形状と、平面視で略Y型形状のアーム部と、このアーム部の3つの各端部に各々ボールジョイント部(3箇所)を有するような、複雑形状となっている。それゆえ、必然的に、最小の肉厚減少率が25%を超える大きな加工率となる。本発明では、このような最小の肉厚減少率が25%を超える大きな加工率で熱間鍛造加工を行っても、再結晶による粗大な再結晶粒組織が発生せず、微細な未結晶粒組織や特性を実現できる。
このために、本発明では、再結晶した表層部を除く鍛造材組織において、倍率が400倍のSEM−EBSD法により500μm×500μmの範囲で測定される、傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さの合計が平均で20mm以上とする。
ここで、鍛造材の表層部とは、鍛造材の最表面から深さ方向にある程度の厚みを持った層のことである。この表層部は、その結晶粒が、いくら抑制しても、熱間鍛造や続く溶体化処理での再結晶によって、必然的に、内部の結晶粒よりも粗大となっている。したがって、本発明では、規定する組織を、再結晶した表層部を除く、鍛造材の内部組織とする。この再結晶した表層部は、光学顕微鏡によって、再結晶した比較的薄い層として、測定や規定する対象となる、鍛造材内部の組織と判別できる。
また、本発明の結晶粒組織は、鍛造後の溶体化・焼入れ処理、人工時効硬化処理などの調質処理が施された鍛造材、あるいは使用中の自動車などの輸送機の構造材や構造部品、特に自動車足回り鍛造部品などとして規定している。鍛造材であっても、あるいは使用中の前記輸送機の構造材や構造部品であっても、通常では、その途中に、内部組織を変化させるような熱処理工程は存在せず、その内部組織大きく変化しない。
ここで、結晶粒の微細化を問題にするのであれば、アルミニウム合金鍛造材の表層部を除く組織の、光学顕微鏡を用いた測定による、平均結晶粒径を測定、評価することも当然考えられ、これによって結晶粒の微細化や再結晶の抑制を評価した先行特許も多く存在する。しかし、本発明で、結晶粒の微細化や再結晶の抑制の評価を、小傾角粒界の長さの合計で行うのは、ScとZrとの組み合わせによって、従来のアルミニウム合金鍛造材よりも、はるかに結晶粒の微細化、亜結晶粒化が達成されたからである。
図1に後述する実施例における発明例4のアルミニウム合金鍛造材の組織を示し、図2に比較例17のアルミニウム合金鍛造材の組織を示す。いずれもSEM−EBSD法により測定されたもので、太い線が傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界、細い線が15°以上、180°未満の大傾角粒界を示している。これら図1、2の対比から、本発明の図1の組織が、ScとZrとの組み合わせによって、図2の比較例組織に対して、はるかに結晶粒の微細化、亜結晶粒化が達成されていることが分かる。
従来技術においても、光学顕微鏡による観察にて平均結晶粒径が10μm以下の亜結晶粒を含有しているものもある。しかし、このような光学顕微鏡を用いた観察では、本発明と従来技術との結晶粒微細化の区別が明確につかない。例えば、本発明と従来技術とは、同じように平均結晶粒径が10μm以下の亜結晶粒を含有していても、前記特許文献2などの従来技術では、実際には、粗大なものも含めると、結晶粒径は平均で上限の10μmに近い数値に過ぎない。これに対して、本発明では、粗大なものを含めても、亜結晶領域の結晶粒径は平均で1〜2μmあるいはそれ以下に近い数値に、より微細化されている。
また、平均結晶粒径の測定に、400倍程度の光学顕微鏡を用いた場合、サイズが大きい再結晶粒の光を反射しやすく色が淡い特性や、サイズが小さいその他の亜結晶を含めた結晶粒の色の濃さとの、色の濃淡の違いや、あるいは互いのサイズの違いで識別している。このため、本発明のSEM−EBSP法による結晶粒組織の同定に比して、測定が不正確とならざるを得ない。
したがって、本発明では、前記図1の通り、従来のアルミニウム合金鍛造材よりもはるかに結晶粒を微細化、亜結晶粒化させた尺度として、光学顕微鏡を用いた平均結晶粒径の代わりに、SEM−EBSD法を用いる。すなわち、SEM−EBSD法により、500μm×500μmの範囲で測定される、傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さの合計を平均で20mm以上とする。なお、技術思想としては、上記小傾角粒界の長さの合計(平均)の値は大きいほど良いと考えられるが、上記小傾角粒界の長さの合計(平均)の上限値は200mm程度が現実的であり、80mm以下程度が良い。
前記特許文献2などでも、SEM−EBSD法により、平均結晶粒径が10μm以下の未再結晶粒組織として、傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界と傾角が15°以上の大傾角粒界の結晶粒とを含めた領域の結晶粒を測定している。しかし、この特許文献2は、決定的に、本発明のScとZrとを組み合わせて含んでおらず、後述する実施例で裏付ける通り、傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さの合計は平均で20mm未満にしか、微細化できておらず、必然的に本発明の規定から外れる。
(組織測定部位)
これらの測定は、実施例にて後述する通り、鍛造材の再結晶している表層部を除く内部の部位として、例えば鍛造材の中央部の任意の部位3箇所から試料を採取して、各々測定試料とする。この際、鍛造材の表層部は、400倍の光学顕微鏡を用いて、鍛造材の表層部を含む断面に占める再結晶した結晶粒が粗大な表層領域(一般に試料表層あるいは表層近傍)を判別して、測定対象から除外できる。
ちなみに、鍛造材は、円形や円柱などの単純な形状であれば、前記測定対象となる鍛造材の中央部がどこか、鍛造材の中心点を基準に特定できる。しかし、足回り部品に限ってみても、その全体形状や断面形状が各々大きく異なり、複雑形状の場合には、鍛造材の中央部がどこか特定できない場合も生じる。また、部位によって、熱間鍛造加工率や肉厚減少率が異なり、この点で組織も異なるという問題もある。
このため、自動車足回り部品として汎用される(共通する)複雑形状における、鍛造材の結晶粒組織の測定部位を、再現性のために特定(規定)しておく。すなわち、自動車足回り部品として汎用される形状は、平面視で略三角形の全体形状からなるとともに、この三角形の頂点部分となる3箇所のボールジョイントを平面視で略Y型形状のアームで繋いだ形状からなる。そして、このアームの断面が、その長手方向に亘って、幅狭で厚い周縁部のリブと幅広で薄肉な中央部のウエブとからなる略H型または略U型の形状をしている。この場合には、特に前記ボールジョイント近傍の部位における、前記リブの表層部を除く中央部の、任意の3箇所の結晶粒組織をSEM−EBSD法による小傾角粒界の平均長さの測定対象とする。
(組織測定方法)
具体的な測定方法は、前記測定部位から採取した測定試料(3個)の断面を研磨後、化学エッチングして、400倍の光学顕微鏡を用いて、試料断面に占める再結晶した表層領域を判別して、測定対象から除外する。そして、SEM−EBSPを用いて、鍛造材表層部を除く、500μm×500μmの測定範囲における、傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さ(mm)の合計を測定して、前記採取、測定した試料数3個で平均化する。
SEM−EBSD(EBSP)法は、電界放出型走査電子顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscope: FESEM)に、後方散乱電子回折像[EBSD: Electron Back Scattering (Scattered) Diffraction Pattern] システムを搭載した結晶方位解析法である。
より具体的に、SEM−EBSDの前記観察用試料の調整は、前記観察試料 (断面組織)を、更に機械研磨後電解エッチングして鏡面化する。そして、FESEM の鏡筒内にセットし、試料の鏡面化した表面に、電子線を照射してスクリーン上にEBSPを投影する。これを高感度カメラで撮影して、コンピュータに画像として取り込む。コンピュータでは、この画像を解析して、既知の結晶系を用いたシミュレーションによるパターンとの比較によって、結晶の方位が決定される。算出された結晶の方位は3次元オイラー角として、位置座標(x、y)などとともに記録される。このプロセスが全測定点に対して自動的に行なわれるので、測定終了時には、鍛造材の断面における数万〜数十万点の結晶方位データが得られる。
本発明においては、隣り合う結晶粒の方位差が2°以上〜15°未満の境界を小傾角粒界として定義して測定を行った。この場合、15°以上の大傾角粒界の長さは、当然ながら除外される。その上で、本発明においては、鍛造材の圧縮方向に平行な断面について、500μm×500μmの測定エリアに対して、1.0μmのピッチで電子線を照射し、小傾角粒界長さを測定する。
このような鍛造材断面における結晶方位データから、未再結晶領域として、15°未満の小傾角粒と規定される亜結晶粒の領域の小傾角粒界の合計長さ(mm)を測定、算出する。光学顕微鏡などでの測定では、再結晶組織であるか亜結晶組織であるかを区別することはできるが、亜結晶組織内の小傾角粒界を識別することが難しい。本測定を行うことで、小傾角粒界を定量的に評価することが可能となり、再結晶抑制効果を定量的に評価することが可能となる。
(再結晶層)
本発明のアルミニウム合金鍛造材表層部の再結晶層は、最表面からの平均深さが5mm以下であることが好ましい。この再結晶層の深さは、鍛造材の耐食性として、保安部品としての信頼性に関わり、引張強度などの機械的特性にも影響する。
すなわち、アルミニウム合金鍛造材の表層部は、内部よりも再結晶しやすくなるが、再結晶組織となった部位は、内部の未再結晶組織と比較して、耐食性や引張強度が低くなる傾向がある。そのため、引張による破壊の起点となる亀裂は再結晶組織において発生し易い。最表面からの再結晶層(表層部)の深さが大きくなると、亀裂が進展しやすくなり、鍛造材の耐食性が低下するとともに、引張強度のばらつきが大きくなり、結果として引張強度の大幅な低下につながる。この観点から、アルミニウム合金鍛造材の最表面からの再結晶層(表層部)の平均深さを5mm以下に抑えることが好ましい。この再結晶層の平均深さは、より小さい方が好ましく、3mm以下がより好ましい。
鍛造材の再結晶層の平均深さは、鍛造材が単純形状であれば前記鍛造材中央部、前記自動車足回り鍛造部品のような複雑形状であれば前記リブにおける、前記小傾角粒界測定用と同じ採取した測定試料3個の断面で測定することが好ましい。
より具体的には、前記測定試料断面をペーパー研磨した後、塩化第II銅水溶液でエッチングする。その後硝酸に付けて水洗いしエアーブロー乾燥した後、切断部の断面のマクロ組織観察を行う。そして、切断部の断面において、再結晶層の最表面からの距離(深さ)を測定して、これが最大となる位置における距離をもって、再結晶層(表層部)の深さ(mm)として、測定試料数3個で平均化する。
(製造方法)
次に、本発明におけるアルミニウム合金鍛造材の製造方法について述べる。本発明におけるアルミニウム合金鍛造材の製造工程自体は、前記組成を有するアルミニウム合金鋳塊を均質化熱処理後、熱間鍛造加工を行い、この鍛造材に溶体化および焼入れ処理と人工時効処理とを施す、常法により製造が可能である。すなわち、余分な工程となる鋳塊の熱間押出加工を行わずとも製造が可能である。但し、自動車足回り鍛造部品などとして、前記組織を有し、高強度化、高靱性化および高耐食性化させるための、以下に示す好ましい製造条件がある。
(鋳造)
前記特定アルミニウム合金成分範囲内に溶解調整されたアルミニウム合金溶湯を鋳造する場合には、連続鋳造圧延法、半連続鋳造法(DC鋳造法)、ホットトップ鋳造法等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。
但し、前記特定アルミニウム合金成分範囲からなるアルミニウム合金溶湯を鋳造する際には、晶出物の微細化と、デンドライト二次アーム間隔(DAS) を微細化させるために、平均冷却速度を100 ℃/s以上とすることが好ましい。
(均質化熱処理)
鋳造した鋳塊の均質化熱処理は450〜580℃の温度範囲に2時間以上保持して行う。均質化熱処理温度が450℃未満では、温度が低すぎて鋳塊を均質化できず、均質化熱処理温度が580℃を超えると、鋳塊表面のバーニングが発生する。なお、均質化熱処理後で、熱間鍛造に先立つ押出加工は、不要であるが、所望であれば施しても良い。
(熱間鍛造)
均質化熱処理後の鋳塊を再加熱し、材料温度が430〜550℃の範囲、金型温度が100〜250℃の範囲、最小の肉厚減少率が25%を超えるとともに、最大の肉厚減少率が90%未満の条件で熱間鍛造加工を行う。熱間鍛造は、メカニカルプレスによる鍛造や油圧プレスを用いて、自動車足回り部品の最終製品形状 (ニアネットシェイプ) に鍛造加工される。
この最終製品形状とは、立てば、平面視で略三角形の全体形状からなるとともに、この三角形の頂点部分となる3箇所のボールジョイントを平面視で略Y型形状のアームで繋いだ形状からなる。そして、このアームの断面が、その長手方向に亘って、幅狭で厚い周縁部のリブと幅広で薄肉な中央部のウエブとからなる略H型または略U型の形状をしている。このような自動車足回り鍛造部品は、鍛造途中の再加熱無しで、あるいは必要に応じて再加熱し、荒鍛造、中間鍛造、仕上げ鍛造と、熱間鍛造が複数回行われる。
最終の鍛造後の鍛造終了温度が300℃未満であれば、例えScやZrを同時に含有させていても、鍛造および溶体化処理工程において、再結晶を抑制することが難しく、加工組織が再結晶して粗大結晶粒が発生する可能性がある。これら粗大結晶粒が発生した場合、前記組織に制御しても、高強度化や高靱性化が果たせず、また、耐食性も低下する。しかも、低温の熱間鍛造では、鍛造材断面の前記全域を目標としている結晶粒を微細化させることが困難となる。一方、材料温度が550℃を超えた場合、鍛造材表面のバーニングが発生するとともに、粗大な再結晶粒が発生する可能性が高くなる。
金型温度が100℃未満であれば、材料温度が低くなりすぎ、例えScやZrを同時に含有させていても、鍛造および溶体化処理工程において、加工組織が再結晶して粗大結晶粒が発生する可能性がある。金型温度が250℃を超えた場合には、材料温度が高くなりすぎ、鍛造材表面のバーニング、焼き付きが発生するとともに、粗大な再結晶粒が発生する可能性が高くなる。
部位によって異なる熱間鍛造の加工率として、最小の肉厚減少率が25%未満では、前記した複雑形状の自動車足回り部品が、形状制度良く鍛造加工できなくなる。一方、最大の肉厚減少率が90%以上の場合、再結晶を抑制することが難しく、粗大な再結晶粒が発生する可能性が高くなる。
(調質処理)
この熱間鍛造後に、自動車足回り部品としての必要な強度および靱性、耐食性を得るためのT6、T7、T8等の調質処理を適宜行う。T6は溶体化および焼き入れ処理後、最大強さを得る人工時効硬化処理である。T7は溶体化および焼き入れ処理後、最大強さを得る人工時効硬化処理条件を超えて過剰時効硬化処理である。T8は溶体化および焼き入れ処理後、冷間加工を行い、更に最大強さを得る人工時効硬化処理である。
溶体化処理は530〜570℃の温度範囲に1時間以上保持する。この溶体化処理温度が低過ぎるか、あるいは時間が短過ぎると、溶体化が不足して、MgSi化合物の固溶が不十分となり、続く人工時効硬化処理における化合物の析出量が少なすぎ、強度が低下する。保持時間は長くても良いが、8時間を超えても、効果が飽和して意味がなくなる。
この溶体化処理後、500℃から100℃までを25℃/s以上の平均冷却速度で焼入れ処理を行なうことが好ましい。この平均冷却速度を確保するために、焼き入れ処理時の冷却は、鍛造材の歪を防止した均一な冷却のためにも、水冷、特に、気泡をバブリングしつつ冷却水を循環させる、水冷(水槽浸漬)により行なうことが好ましい。この焼き入れ処理時の冷却速度が低くなると、粒界上にMgSi化合物、Si等が析出し、人工時効後の製品において、粒界破壊が生じ易くなり、靱性ならびに疲労特性を低くする。また、冷却途中に、粒内にも、安定相MgSi化合物、Siが形成され、人工時効時に析出するβ相、β' 相の析出量が減るため、強度が低下する。
ただ、一方で、冷却速度が高くなると、焼入歪み量が多くなり、焼入後に、矯正工程が新たに必要になったり、矯正工程の工数が増す問題も新たに生じる。また残留応力も高くなり、製品の寸法、形状精度が低下する問題も新たに生じる。この点、製品製造工程を短縮し、低コスト化するためには、焼入歪みが緩和される30〜85℃の温湯焼入が好ましい。ここで、温湯焼入温度が30℃未満では焼入歪みが大きくなり、85℃を越えると冷却速度が低くなりすぎ、靱性ならびに疲労特性、強度が低くなる。
溶体化および焼入れ処理後の人工時効硬化処理(以下、人工時効処理とも言う)は、焼入れ処理後、室温時効を進めないために、1時間以内に、160〜210℃の温度範囲と20分〜8hrの保持時間の範囲から、前記T6、T7、T8等の調質処理の条件を選択する。
なお、前記した、均質化熱処理、溶体化処理には空気炉、誘導加熱炉、硝石炉などが適宜用いられる。更に、人工時効処理には空気炉、誘導加熱炉、オイルバスなどが適宜用いられる。
本発明鍛造材は、自動車足回り部品として、これら調質処理の前後に、自動車足回り部品として必要な、機械加工や表面処理などが適宜施されても良い。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
次に、本発明の実施例を説明する。表1に示すアルミニウム合金組成の鋳塊(最終の鍛造材組成でもある)を、表2に示す各条件で、均質化熱処理、熱間押出加工、熱間鍛造加工を行い、また、この鍛造材に溶体化および焼入れ処理と人工時効処理を施して鍛造材を製造した。そして、この鍛造材の組織、機械的特性、耐食性を表2に示すように測定、評価した。
より具体的に、表1に示すアルミニウム合金鍛造材の化学成分からなる鋳塊を半連続鋳造法により鋳造した。なお、表1に示す各アルミニウム合金例は、共通して100gのAl中の水素濃度は全て0.10〜0.15mlであった。
これら各アルミニウム合金鋳塊の外表面を厚さ3mm 面削して、長さ120mm に切断後、各々表2に示す各条件で、先ず均質化熱処理した。均質化熱処理後は、共通して、ファンを使用して、冷却速度が100℃/hr以上で鋳塊を強制空冷した。均質化熱処理後の鋳塊の熱間鍛造は、各々表2に示す鍛造終了温度(℃)にて、最終の肉厚まで再加熱無しに3回鍛造した。鍛造は、鍛造開始時の温度が500〜520℃の範囲、金型温度が170〜200℃の範囲、鍛造材中央部の肉厚変化率が(25%を超える)75%の共通の条件で、上下金型を用いたメカニカルプレスにより行った。製造した鍛造材は、径が100mmで、肉厚(高さ)が25mmの円柱形状とした。熱間鍛造の終了温度(℃)と、組織や特性を調査した中央部の肉厚変化率(%)を表2に示す。
これらの鍛造材を、各々表2に示す各条件で、空気炉を用いた溶体化処理および水焼入れを行った後、各例とも共通して、1時間以内に175℃×8hrの人工時効処理を施し、T6の調質処理を行った。
製造した鍛造材の組織、機械的特性、粒界応力腐食割れ性を、以下の方法で測定、評価した。これらの結果を表2に示す。
(組織)
小傾角粒界の長さは、前記した測定方法により、再結晶した表層部を除く、鍛造材中心部の組織における、SEM−EBSD法により500μm×500μmの範囲で測定される、傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さの合計(mm)を測定して平均化した。
なお、この同じ未再結晶領域の平均結晶粒径を、前記光学顕微鏡で偏光ミクロ観察を行い、画像解析により測定、算出した結果は、発明例、比較例を含めて、すべて10μm以下であった。
再結晶深さは、小さい方が良く、以下の条件で測定した。測定用試料を軸方向に平行に切断し、切断面を#600から#1000までの耐水ペーパーにて研磨した後、塩化第II銅水溶液でエッチングした。その後硝酸に付けて水洗いしエアーブロー乾燥した後、切断部の断面のマクロ組織観察を行った。切断部の断面において、再結晶部位の表面からの距離を測定して、最大となる位置における距離をもって、再結晶深さT(mm)とした。観察箇所の組織を図1、図2に各々示す。
再結晶深さは5mmを超えるとき×、1mm以上、3mm以下を○、3mm未満を◎、1mm以下を◎◎とした。○または◎、◎◎は合格と判定した。
(機械的特性)
前記鍛造材中央の任意の3箇所から、表層部(再結晶層)を含めて採取した測定試料から、引張試験片 (L方向) を3個作製して、引張強度(MPa) 、0.2%耐力(MPa) 、伸び(%) などの機械的性質を各々測定し、これら3個所(試験片3個)の各平均値を求めた。
また、耐応力腐食割れ性の評価は、JIS H8711の交互浸漬法の規定に準じて行った。図3(a)に側面図、図3(b)に平面図にて、耐応力腐食割れ性評価用試験片(SCC試験用Cリング)を、その寸法を含めて示す。300MPa負荷時の耐応力腐食割れが30日未満は×、30日以上〜60日未満は○と評価した。
表1、2から明らかな通り、各発明例は、ScとZrとを規定する組成通りに含んでいる。この結果、各発明例は、再結晶した表層部を除く鍛造材組織において、図1に発明例4の鍛造材組織を示す通り、SEM−EBSD法により測定される、傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さの合計が平均で20mm以上の微細な結晶粒組織を有する。この結果、発明例は、0.2%耐力が350MPa以上、伸びが10%以上であり、足回り部品として必要な機械的特性を満たしている。また、粒界応力腐食割れ性にも優れて、足回り部品として必要な耐食性を満たしている。
これに対し、組成が外れる比較例は、本発明組織規定を満足せず、図2の比較例17の鍛造材組織の通り、発明例4の図1に比して、結晶粒の微細化が達成されておらず、強度、伸び、耐食性のいずれかが、発明例に比して著しく劣る。
比較例2、3は、発明例1と同じ合金組成(表1の合金番号1)であるものの、鍛造終了温度が低過ぎ、再結晶が進んで、前記傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さの合計が平均で20mm未満である。このため、比較例2、3は、再結晶化が抑制されておらず、再結晶層の厚みが厚すぎ、本発明で狙いとする結晶粒の微細化も達成されておらず、強度や耐食性が発明例よりも劣る。
また、比較例15〜28は、好ましい条件で製造されているものの、表1の合金番号13〜26を用いた本発明の範囲外の組成であり、強度や耐食性が発明例よりも劣る。
比較例15はMgが過少(表1の合金番号13)で、表2の通り、前記傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さの合計が平均で20mm以上を満たすものの、強度が低すぎる。
比較例16はMgが過多(表1の合金番号14)で、表2の通り、前記傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さの合計が平均で20mm以上を満たすものの、伸びが低すぎる。また、耐食性も低い。
比較例17はSiが過少(表1の合金番号15)で、表2の通り、前記傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さの合計も平均で20mm未満であり、前記図2のように結晶粒の微細化が達成されておらず、強度が低すぎる。
比較例18はSiが過多(表1の合金番号16)で、表2の通り、前記傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さの合計が平均で20mm以上を満たすものの、伸びが低すぎる。また、耐食性も低い。
比較例19は、微細化元素としてのFe、Mn、Crなどを含むものの、Sc、Zrをいずれも含まず(表1の合金番号17)で、表2の通り、前記傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さの合計も平均で20mm未満であり、再結晶深さが5mmを超えており、強度が比較的低い。
比較例20は、Zrを、Fe、Mn、Crなどとともに含むものの、Scを含まず(表1の合金番号18)で、表2の通り、前記傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さの合計も平均で20mm未満であり、再結晶深さが5mmを超えており、強度が比較的低い。
比較例21は、Sc、Zrをいずれも含むものの、Scが過多(表1の合金番号19)で、表2の通り、前記傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さの合計が平均で20mm以上を満たすものの、伸びが低すぎる。また、耐食性も低い。
比較例22は、Scを、Fe、Mn、Crなどとともに含むものの、Zrを含まず(表1の合金番号20)で、表2の通り、前記傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さの合計も平均で20mm未満であり、再結晶深さが5mmを超えており、伸びが低すぎる。
比較例23は、Sc、Zrをいずれも含むものの、Zrが過多(表1の合金番号21)で、表2の通り、前記傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さの合計が平均で20mm以上を満たすものの、伸びが低すぎる。また、耐食性も低い。
これらの比較例19〜23の結果から、ScとZrとを同時に含有する場合の、再結晶抑制効果や結晶粒微細化効果の優位性が、ScとZrを各々単独に含有する場合や、これらを含有しない場合との比較で裏付けられる。また、同時に、ScとZrとの組み合わせの、Fe、Mn、Crなどの他の遷移元素の組み合わせに比べた、優れた再結晶抑制効果や結晶粒微細化効果も裏付けられる。
比較例24〜28は、ScとZrとを規定する組成通りに含んでいるものの、他の元素が多すぎる。
比較例24は、Feが過多(表1の合金番号22)で、表2の通り、前記傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さの合計が平均で20mm以上を満たすものの、伸びが低すぎる。また、耐食性も低い。
比較例25は、Mnが過多(表1の合金番号23)で、表2の通り、前記傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さの合計が平均で20mm以上を満たすものの、伸びが低すぎる。また、耐食性も低い。
比較例26は、Crが過多(表1の合金番号24)で、表2の通り、前記傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さの合計が平均で20mm以上を満たすものの、伸びが低すぎる。また、耐食性も低い。
比較例27は、Cuが過多(表1の合金番号25)で、表2の通り、前記傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さの合計が平均で20mm以上を満たすものの、耐食性が悪い。
比較例28は、Znが過多(表1の合金番号26)で、表2の通り、前記傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さの合計が平均で20mm以上を満たすものの、耐食性が悪い。
以上の結果から、肉厚減少率が25%を超える大きな加工率で熱間鍛造加工を行っても、再結晶による粗大な再結晶粒組織が発生せず、微細な未結晶粒組織や特性を実現できる、本発明組成、組織規定の臨界的な意義が分かる。
Figure 2015189993
Figure 2015189993
本発明によれば、従来の限界を超えて結晶粒組織を微細化することによって、6000系アルミニウム合金鍛造材の再結晶を抑制して、高強度高靱性化とともに高耐食性化を図ることができる。したがって、Al- Mg- Si系アルミニウム合金鍛造材の、自動車足回り部品など輸送機用への用途の拡大を図ることができる点で、多大な工業的な価値を有する。

Claims (3)

  1. 質量%で、Si:0.7〜1.5%、Mg:0.6〜1.2%、Sc:0.05〜1.0%、Zr:0.05〜0.50%を各々含み、残部Alおよび不可避的不純物からなる組成を有し、再結晶した表層部を除く組織において、SEM−EBSD法により500μm×500μmの範囲で測定される、傾角が2°以上、15°未満の小傾角粒界の長さの合計が平均で20mm以上であることを特徴とするアルミニウム合金鍛造材。
  2. 前記アルミニウム合金鍛造材が、更に、質量%で、Fe:0.01〜0.5%、Mn:0.05〜0.8%、Cr:0.01〜0.5%、Cu:0.05〜1.0%、Ti:0.01〜0.1%、Zn:0.005〜0.2%の一種または二種以上を含有する請求項1に記載のアルミニウム合金鍛造材。
  3. 前記アルミニウム合金鍛造材が自動車の足回り部品用である請求項1または2に記載のアルミニウム合金鍛造材。
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