JP5421613B2 - 耐軟化性に優れた高強度アルミニウム合金線棒材およびその製造方法 - Google Patents

耐軟化性に優れた高強度アルミニウム合金線棒材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐軟化性に優れた高強度なAl−Mg−Si系アルミニウム合金線棒材に関するものである。本発明の線棒材とは、その製造過程において熱間圧延を施された圧延線棒材であり、径の比較的小さな線材と、径の比較的大きな棒材との総称である。以下、アルミニウムをAl、Al−Mg−Si系を6000系とも言う。
従来から、アルミニウム合金やマグネシウム合金などの軽合金を使用して軽量化された自動車のエンジン部品の互いの締結には、通常は鋼製のボルトやネジなどの締結具が用いられる。
これに対して、近年、自動車車体の軽量化に関連して、自動車エンジン部品の軽量化のために、これらボルトやネジなどの締結具にも、アルミニウム合金の線材や棒材などの線棒材を成形して作製されたアルミニウム合金製締結具を用いたいとの要求がある。
従来から、窓用サッシや自動車車体などのアルミニウム合金製構造物の組立てに用いる、高強度な6000系アルミニウム合金製ねじ(ボルトを含む)が、特許文献1などで提案されている。この特許文献1では、ねじの機械的性質(以下、機械的特性とも言う)として、耐力が300N/mm2 以上、伸びが6%以上、ねじり強さがJIS−B−1057−1989のAL3(A6061−T6)のねじ強さより10%以上高い値とするために、特定組成の6000系アルミニウム合金押出材としている。即ち、Mg:0.5〜1.5wt%、Si:0.5〜1.5wt%、Cu:0.5〜1.5wt%、Mn:0.2〜0.5wt%、Ti:0.005〜0.1wt%、B:0.001〜0.05wt%、Zr:0.05〜0.25wt%を含有し、残部アルミニウムおよび不可避不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金組成としている。
この特許文献1は、窓用サッシや自動車車体などの締結具用のアルミニウム合金として、6000系アルミニウム合金を選択したことに意義がある。この6000系以外のアルミニウム合金では、前記特許文献1に記載されているように、締結具用のアルミニウム合金としての実用化のためには、以下のような問題が各々ある。
5052や5056などの5000系アルミニウム合金は、Mgなどの合金量が多く、6000系に比してリサイクル性に劣り、強度が低い。また、締結具へのヘッダー加工、ねじ転造加工などの成形、加工性も劣る。
7N01、7075などの7000系アルミニウム合金は、強度は高いもののZn、Cuなどの合金量が多く、リサイクル性に劣る。また、Zn、Cuなどの合金量が多いゆえに腐食し易く、信頼性に欠ける。そして、成形、加工性が劣り、ヘッダー加工・ねじ転造加工中に割れ易い。
2024などの2000系アルミニウム合金は、耐熱性は高いものの、Cuなどの合金量が多い場合には、リサイクル性に劣り、腐食し易い問題もある。また、成形、加工性が劣り、ヘッダー加工・ねじ転造加工中に割れ易い。これは代表的な耐熱性アルミニウム合金であるAA2618でも同様である。この合金は、既に数十年に及ぶ使用実績のある合金であり、適用例には、超音速機コンコルドの機体が上げられる。また、耐熱温度は約120℃と、実用アルミニウム合金の中では最も高い。但し、耐食性は低く、その使用には、耐食性の対策を施すことが必要となる。このため、使用環境の制限も生じ、決して使い勝手の良い合金ではない。
ただ、6000系アルミニウム合金の場合でも、前記締結具として用いられていた既存のA6061、A6056などの合金は、やはり成形、加工性が劣り、ヘッダー加工・ねじ転造加工中に割れ易く、また、人工時効硬化処理を行っても強度自体が低かった。前記特許文献1は、6000系アルミニウム合金のこれらの問題点を改善しようとしたものでもある。
特許第3939414号公報
ここで、前記した自動車エンジン部品の締結具に要求される特性は、前記特許文献1が意図する通常の締結具と同じく、締めつけ時の安定軸力の確保や、締めつけ後の使用中の軸力の低下によるゆるみが無いこと、あるいは折損が無いことなどである。そして、自動車エンジン部品の締結具がこれらの特性を発揮するためには、その素材となるアルミニウム合金線棒材は、高強度、高耐力、高破断伸びなどの機械的諸特性と、締結具へのヘッダー加工やねじ転造加工などの冷間加工性、耐食性などを兼備していることが必要である。
ただ、本発明が意図する、この自動車エンジン部品の締結具には、エンジン部品として、長時間高温に曝された際にも、前記高強度、高耐力、高破断伸びなどの機械的諸特性を維持する耐軟化性が要求される。この点が、前記特許文献1が対象としたような、常温で使用される通常の締結具とは異なる点であり、自動車エンジン部品締結具要求特性のより厳しい点である。
これに対して、前記特許文献1を含めて、従来の6000系アルミニウム合金の線棒材では、耐軟化性が劣るという問題がある。即ち、常温では例え高強度であっても、一旦100℃以上の温度に長時間加熱された(曝された)場合には、特に強度、耐力などの機械的諸特性が著しく低下するという問題がある。近年、自動車車体の軽量化のために、自動車エンジン部品の締結具に要求される耐軟化性は益々厳しくなっている。しかし、前記特許文献1でも、その実施例からして、常温ではこれらの特性を満たすデータもあるものの、一旦、このような100℃以上の温度に長時間加熱された場合には、特に強度、耐力などが著しく低下して、前記機械的性質を満足できなくなる。
しかも、これら6000系アルミニウム合金の線棒材では、自動車エンジン部品用などのボルトやネジなどの締結具への、ヘッダー加工やねじ転造加工などの冷間加工性も要求される。しかし、前記特許文献1を含めて、従来の6000系アルミニウム合金の線棒材では、これらの冷間加工性や、あるいは耐食性などを前記耐軟化性を満たした上で、満足させることもできなかった。これは、自動車エンジン部品用などのボルトやネジなどの締結具として、本発明が対象とする、特に断面が円形な線棒材を製造するような場合には、前記特許文献1のような熱間押出による加工方法では、後述する通り、線棒材の特性向上に大きな限界があることにもよる。
本発明は、かかる問題に鑑みなされたもので、耐軟化性や冷間加工性に優れ、耐食性も合わせて優れた、6000系高強度アルミニウム合金線棒材およびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明耐軟化性に優れた高強度アルミニウム合金線棒材の要旨は、熱間圧延を施されたAl−Mg−Si系アルミニウム合金線棒材であって、質量%で、Mg:0.65〜1.75%、Si:0.70〜1.35%、Cu:0.40〜1.05%、Fe:0.05〜0.35%、Mn:0.05〜0.95%、Cr:0.05〜0.25%、Ti:0.01〜0.10%を各々含み、残部Alおよび不可避的不純物からなり、組織中の、倍率5000倍のTEMにより測定される、最大長が200nm以上、800nm以下の分散粒子の平均密度が5個/μm3 以上であるとともに、倍率400倍のSEMにより測定される、最大長が10μm以上の晶析出物の平均密度が500個/mm2 以下であることとする。
また、上記目的を達成するための本発明耐軟化性に優れた高強度アルミニウム合金線棒材の製造方法の要旨は、質量%で、Mg:0.65〜1.75%、Si:0.70〜1.35%、Cu:0.40〜1.05%、Fe:0.05〜0.35%、Mn:0.05〜0.95%、Cr:0.05〜0.25%、Ti:0.01〜0.10%を各々含み、残部Alおよび不可避的不純物からなり、必要により更に、Zr:0.01〜0.30%、V:0.01〜0.30%の内の一種または二種を含有したAl−Mg−Si系アルミニウム合金鋳塊を溶製し、この鋳塊を470〜565℃の範囲で均質化熱処理後、熱延開始温度が320〜520℃の範囲で加工率95%以上の熱間圧延を行い、必要により更に冷間加工して、所定の径のアルミニウム合金線棒材とし、その後、溶体化および急冷処理と150〜200℃での時効処理を記載順に行う調質処理を施した後の組織中の、倍率5000倍のTEMにより測定される、最大長が200nm以上、800nm以下の分散粒子の平均密度が5個/μm3 以上とするとともに、倍率400倍のSEMにより測定される、最大長が10μm以上の晶析出物の平均密度が500個/mm2 以下とすることである。
ここで、本発明で言う、熱間圧延を施されたAl−Mg−Si系アルミニウム合金線棒材とは、前記した通り、その製造過程において熱間圧延を施された線棒材である。したがって、熱間圧延によって所定径や所定形状の線棒材とされ、その後には冷間加工しない線棒材でも良く、熱間圧延後や冷間加工途中に適宜焼鈍しながら、必要により更に冷間圧延、引抜、抽伸、抽芯、鍛造などの所望の冷間加工によって所定径や所定形状とされた線棒材でも良い。また、線棒材を前記選択的な焼鈍も含めて冷間加工した締結具でも良い(本発明では線棒材を冷間加工した締結具も線棒材として範囲に含める)。さらに、本発明が対象とするのは、断面が円形な線棒材であるが、締結具に適用できるものであれば、断面形状が真円だけでなくとも良く、楕円などの他の円形な断面形状も、用途に応じて適宜選択される。
ここで、前記請求項1に規定の前記組織中の晶析出物の平均密度や分散粒子の平均密度、あるいは前記請求項2に規定の150℃で500時間熱処理した後の室温大気中での機械的性質は、溶体化および急冷処理と150〜200℃での時効処理を記載順に行う調質処理を施した後での、線棒材や冷間加工された締結具の組織や性質とする。言い換えると、前記調質処理を施した後であれば、線棒材の状態だけでなく、冷間加工された締結具の状態で測定された組織や性質でも良い。
線棒材組織中の晶析出物の平均密度は、後述する測定部位の通り、線棒材の中心部(軸中心部)であれば、締結具への冷間加工や前記調質処理によっては殆ど変化せず、元の線棒材の組織を反映したものとなっている。一方、線棒材組織中の分散粒子の平均密度は、後述する測定部位の通り、線棒材の中心部(軸中心)であれば、締結具への冷間加工によっては殆ど変化しないものの、前記調質処理によっては変化する。したがって、再現性良く線棒材の組織や機械的性質を反映した、晶析出物の平均密度や分散粒子の平均密度、あるいは150℃で500時間熱処理した後の室温大気中での機械的性質とするためには、少なくとも前記調質処理を施した後の線棒材や冷間加工された締結具の組織や性質を測定する。
本発明で規定する前記晶析出物や前記分散粒子とは、アルミニウム合金線棒材組織のSEMやTEMによる観察で、マトリックス内に存在する、組成を問わない不定形の粒子として確認でき、最大長の測定(判別)ができる、第2相粒子のことを言う。
本発明者は、6000系アルミニウム合金線棒材組織中の前記晶析出物と冷間加工性、前記分散粒子と耐軟化性(150℃程度の温度で長時間熱処理された後の機械的性質)などに、深い相関関係があることを知見した。
先ず、6000系アルミニウム合金線棒材組織中の晶析出物を微細化できれば、自動車エンジン部品用などのボルトやネジなどの締結具への、ヘッダー加工やねじ転造加工などの冷間加工性が向上する。粗大な晶析出物が実質量存在する場合には、6000系アルミニウム合金線棒材の、前記ヘッダー加工やねじ転造加工などの冷間加工性を低下させるからである。したがって、本発明では、冷間加工性向上のために、6000系アルミニウム合金線棒材組織中の、前記粗大な晶析出物(平均密度)を極力少なくする。
そして、本発明者は、このような線棒材組織の晶析出物の微細化は、特定組成の6000系アルミニウム合金と、前記低温、強加工の熱間圧延による加工方法との組み合わせによって始めて、製造可能であることも知見した。
次ぎに、6000系アルミニウム合金線棒材組織中の特定範囲の微細な分散粒子の密度を高めると、前記高温に長時間加熱された(熱処理された)後でも、室温大気中での機械的性質が低下せず、元の高強度、高耐力、高破断伸びなどの機械的諸特性が保持されることを知見した。また、アルミニウム合金線棒材組織の結晶粒の微細化、繊維組織状化させることが可能となり、耐粒界腐食感受性などの耐食性が向上できることも知見した。そして、このような線棒材組織の特定範囲の微細な分散粒子の密度は、特定組成の6000系アルミニウム合金と、前記特定範囲の均質化熱処理によって製造可能であることも知見した。
また、このアルミニウム合金線棒材組織中の、晶析出物を微細化でき、かつ微細な分散粒子の数を多くすることができれば、このアルミニウム合金線棒材組織の結晶粒径も微細化させることが可能となる。このため、前記高温に長時間熱処理された後でも、室温大気中での機械的性質が低下しない効果が助長され、耐粒界腐食感受性などの耐食性が向上できる。本発明では、これらの組織を、後述する通り、前記特定範囲の均質化熱処理と組み合わせた、前記低温、強加工の熱間圧延によって得る。
この結果、本発明は、耐軟化性が優れて高い機械的諸特性を保持できるとともに、締結具へのヘッダー加工やねじ転造加工などのも合わせて優れ、更に耐食性も兼備した、自動車エンジン部品の締結具として好適な、6000系高強度アルミニウム合金線棒材およびその製造方法を提供できる。
以下に、本発明の実施の形態につき、本発明6000系アルミニウム合金板の組成から、順に要件ごとに具体的に説明する。
組成−6000系:
本発明における6000系アルミニウム合金線棒材線棒材の化学成分組成について、以下に説明する。本発明が主たる対象とする自動車エンジン部品の締結具には、前記した通り、一旦100℃以上の温度に長時間加熱された(熱処理された)際にも、締めつけ時の安定軸力の確保、締めつけ後の使用中の軸力の低下によるゆるみが無いこと、あるいは折損が無いことなどの、耐軟化性が求められる。これを締結具の素材であるアルミニウム合金線棒材が保証するためには、150℃程度に長時間加熱された(熱処理された)後の室温大気中での機械的性質として、高強度、高耐力、高破断伸びを有することが必要である。また、同時に、優れた耐粒界腐食感受性などの耐食性を兼備していることも必要である。
このような要求を満足するために、その製造過程において熱間圧延を施された本発明のアルミニウム合金圧延線棒材は、質量%で、Mg:0.65〜1.75%、Si:0.70〜1.35%、Cu:0.40〜1.05%、Fe:0.05〜0.35%、Mn:0.05〜0.95%、Cr:0.05〜0.25%、Ti:0.01〜0.10%を各々含み、残部Alおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金組成とする。なお、各元素の含有量の%表示は全て質量%の意味である。
本発明アルミニウム合金圧延線棒材の化学成分組成は、6000系アルミニウム合金の化学成分組成にしては、前記耐軟化性や高い機械的諸特性を有するために、合金元素の種類や含有量が比較的多い。通常であれば、このように合金元素の種類や含有量が比較的多ければ、鋳塊には、粗大な晶析出物が必然的に形成する。このため、熱間押出などで線棒材を製造した場合には、熱間押出時にダイスとの焼付きが生じ易くなる。このような焼付きを防止するためには、押出速度を小さくする必要が生じ、生産性を低下させる。また、無理に押出速度を大きくすると、押出材の表面に傷が生じ、線加工時の破線、表面割れの原因となり易い。更に、押出加工では、押出材の表層から中心部に向け粗大な晶析出物が残存し易く、高強度な材料であっては、本発明で規定する組織条件(最大長が5μm以上の前記晶析出物の平均密度が500個/mm2 以下)とは必然的にできず、粗大な晶析出物を無くせない。したがって、冷間加工性は低くなり、線材またねじへの加工性は著しく低下する。
これに対して、本発明アルミニウム合金圧延線棒材では、合金元素の種類や含有量が比較的多いにも関わらず、前記した化学成分組成のように、選択された合金元素と合金元素量との組み合わせでバランスさせている。そして、その上で、更に、アルミニウム合金線棒材の製造過程における、前記低温、強加工の熱間圧延との組み合わせや相乗効果によって、前記したあるいは後述する組織条件のように、線棒材組織中の晶析出物を微細化させている。また、合金元素と合金元素量、均熱温度との組み合わせまたバランスで、分散粒子を微細高密度化させている。即ち、本発明アルミニウム合金線棒材は、線材ならびにねじ加工時の冷間加工性が高く、前記高温に長時間加熱された(熱処理された)後であっても、前記高強度、高耐力、高破断伸びなどの機械的な諸特性を保持することができる。
また、同時に、前記した化学成分組成のように、選択された合金元素と合金元素量との組み合わせでバランスさせれば、6000系アルミニウム合金の化学成分組成にしては合金元素の種類や含有量が比較的多いにも関わらず、耐食性も合わせて優れさせることができる。
ここで、更に、Zr:0.01〜0.30%、V:0.01〜0.30%の内の一種または二種を含有しても良い。
これら以外のその他の元素は、基本的には不純物であり、AA乃至JIA規格などに沿った各元素レベルの含有量 (許容量) とする。ただ、リサイクルの観点から、溶解材として、高純度Al地金だけではなく、6000系合金やその他のアルミニウム合金スクラップ材、低純度Al地金などを溶解原料として多量に使用した場合には、これら以外のその他の元素も混入される可能性が高い。そして、これらの不純物元素を低減すること自体が製造コストアップとなり、ある程度の含有を許容することが必要となる。一方、前記した本発明の目的や効果を阻害しない範囲で含有量を規制した方が良い元素もある。
例えば、Ti添加のための母合金に含まれ、Ti添加の際に、ほぼ必然的に含まれるBは、後述する通り、Tiと同様の効果もあり、0.05%以下の含有を許容する。また、Agは0.2%以下、Snは0.2%以下の含有を許容する。一方、Znは、耐食性に対して特に有害であり、0.05%以下のできるだけ少ない含有量に規制することが好ましい。
6000系アルミニウム合金における、各元素の好ましい含有範囲と意義、あるいは許容量について以下に元素毎に説明する。
Si:0.70〜1.35%
Siは、Mgとともに、一部がマトリックスに固溶し、アルミニウム合金線棒材を固溶強化する。また、前記比較的高温での人工時効処理時に強度向上に寄与する時効析出物などを形成する時効硬化能を発揮して、自動車エンジン部品の締結具に要求される特性を満たすのに必要な、前記高強度、高耐力を得るための必須の元素である。なお、前記比較的高温での人工時効処理での優れた時効硬化能を発揮させるためには、Mg/Siを質量比1.73以下とし、Mgに対してSiを過剰に含有させた過剰Si型の6000系アルミニウム合金組成とすることが好ましい。
Si含有量が少なすぎると、絶対量が不足するため、前記固溶強化や時効硬化能が不足する。この結果、必要な前記高強度、高耐力を得ることができない。一方、Si含有量が多すぎると、粗大な晶出物および析出物が形成されて、却って、必要な前記高強度、高耐力、高破断伸びを得ることができない。また、線棒材への熱間加工性や冷間加工性、締結具への成形性が著しく阻害される。したがって、Siは0.70〜1.35%の範囲とする。
Mg:0.65〜1.75%
Mgは、固溶強化と、前記人工時効処理時に、Siとともに強度向上に寄与する時効析出物を形成して、時効硬化能を発揮し、自動車エンジン部品の締結具に要求される特性を満たすのに必要な、前記高強度、高耐力、高破断伸びを得るための必須の元素である。
Mg含有量が少なすぎると、絶対量が不足するため、前記固溶強化や時効硬化能が不足する。この結果、必要な前記高強度、高耐力を得ることができない。一方、Mg含有量が多すぎると、粗大な晶出物および析出物が形成されて、却って、必要な前記高強度、高耐力、高破断伸びを得ることができない。したがって、Mgの含有量は0.65〜1.75%の範囲とする。
Cu:0.40〜1.05%
Cuは、Mg、Siと共に強度、耐力、破断伸びの向上に寄与する。Cu含有量が少なすぎると、その効果が十分に得られず、自動車エンジン部品の締結具に要求される特性を満たすのに必要な、前記高強度、高耐力、高破断伸びを得ることができない。一方、Cu含有量が多すぎると、却って、強度、耐力、破断伸びが低下する。また、締結具への成形性や加工性、そして耐蝕性が大きく低下する。したがって、Cuの含有量は0.40〜1.05%の範囲とする。
Fe:0.05〜0.35%
Feも、Mn,Cr,ZrならびにVと同様に分散粒子を形成するため、結晶粒を微細化させるなど、破断伸び、耐熱性等の向上に寄与する。Fe含有量が少なすぎると、結晶粒は粗大化し易く、自動車エンジン部品の締結具に要求される特性を満たすのに必要な高破断伸びを得ることができない。一方、Fe含有量が多すぎると、粗大な晶出物を形成し却って、破断伸びが低下する。また、締結具への成形性や加工性が大きく低下する。したがって、Feの含有量は0.05〜0.35%の範囲とする。
Mn:0.05〜0.95%
Mnは、一部がマトリックスに固溶し、アルミニウム合金線棒材を固溶強化する。また、均質化熱処理時に、Al−Mn系の分散粒子を形成し、前記高温に長時間加熱されても軟化が生じにくく、加熱保持後でも室温大気中での機械的性質が低下せず、元の高強度、高耐力、高破断伸びなどの機械的諸特性が保持される。また、アルミニウム合金線棒材組織の結晶粒の微細化、繊維組織状化させることが可能となり、強度、成形性また耐食性を向上できる。
Mn含有量が少なすぎると、その効果が十分に得られず、自動車エンジン部品の締結具に要求される特性を満たすのに必要な、前記高強度、高耐力、高破断伸びを得ることができない。一方、Mn含有量が多すぎると、却って、強度、耐力、破断伸びが低下する。また、締結具への成形性や加工性が大きく、また耐食性が低下する。したがって、Mnの含有量は0.05〜0.95%の範囲とする。
Cr:0.05〜0.25%、
Cr、Zr、Vは、Mn、Feと同様にそれぞれの元素を含有した分散粒子を形成し、耐軟化性や締結具への加工性の向上に寄与する。また、アルミニウム合金線棒材の熱処理時の結晶粒の粗大化を防止して、結晶粒を微細化させる作用がある。これによって、強度、耐力、破断伸びの向上に寄与し、締結具への加工性も向上する。ただし、熱間押出工程では、ピックアップ(押出材表面の押出方向に生じるむしれ状の不具合)の原因となる金属間化合物を形成し易くなる。このため、押出速度を速くすることが難しく生産性を著しく低下させる。一方、本件では、熱間加工に、熱間圧延を適用するため、ピックアップの発生はなく、Crを積極的に添加することが出来る。
但し、このCr含有量が少なすぎると、例えZr、Vを含有していても、その効果が十分に得られず、自動車エンジン部品の締結具に要求される特性を満たすのに必要な、前記高強度、高耐力、高破断伸びを得ることができない。一方、Cr含有量が多すぎると、却って、強度、耐力、破断伸びが低下する。また、締結具への加工性が大きく低下する。したがって、Crの含有量は0.05〜0.25%の範囲とする。
また、Zr、Vは、このCrの作用効果を補助する目的で、Crに加えて、選択的に含有させても良い。Zr、Vを、このように補助的に使う場合には、Zr:0.01〜0.30%、V:0.01〜0.30%の内の一種または二種を含有させる。これらの含有量が少なすぎると効果が十分に得られず、これらの含有量が多すぎると、粗大な晶出物を形成し却って、強度、耐力、破断伸びが低下し、締結具への成形性や加工性も大きく低下する。
Ti:0.01〜0.10%
Tiは、Ti添加のための母合金に含まれるBとともに、鋳塊の結晶粒を微細化させる作用がある。これによって、アルミニウム合金線棒材の製造過程における鋳造、圧延割れが改善される。Ti含有量が少なすぎると、その効果が十分に得られず、割れが生じ易くなり、生産性を著しく阻害する。一方、Ti含有量が多すぎると、粗大な金属間化合物を形成し却って、強度、耐力、破断伸びが低下する。また、締結具への成形性や加工性が大きく低下する。したがって、Tiの含有量は0.01〜0.10%の範囲とする。また、BはTiと同様の理由で0.05%以下の含有を許容する。
組織−晶析出物の微細化:
前記した通り、本発明では、先ず、6000系アルミニウム合金線棒材組織中の晶析出物を微細化し、粗大な晶析出物(平均密度)を極力少なくする。これによって、自動車エンジン部品用などのボルトやネジなどの締結具への、ヘッダー加工やねじ転造加工などの冷間加工性を向上させる。
したがって、本発明では、アルミニウム合金線棒材組織中の、最大長が10μm以上の前記晶析出物の平均密度が500個/mm2 以下であるように規定し、粗大な晶析出物を無くすとともに、晶析出物を微細化し、前記成分組成との相乗効果で、前記冷間加工性を向上させる。6000系アルミニウム合金線棒材組織中に、粗大な晶析出物が実質量存在する場合には、最大長が10μm以上の前記晶析出物の平均密度が500個/mm2 以下とならず、前記ヘッダー加工やねじ転造加工などの冷間加工性を低下させる。
ここで、本発明で規定する晶析出物とは、前記した通り、アルミニウム合金線棒材組織の倍率400倍程度のSEMによる観察で、マトリックス内に存在する、組成を問わない不定形の粒子として確認できる(本発明で規定する最大長が10μm以上か未満かの判別ができる)第2相粒子のことを言う。これら晶析出物は、主として、Mg、Si系化合物、Si、Fe系化合物などである(但し、CuならびにMn,Cr,Zr,Vなどの遷移元素を多く含有する場合には、前記化合物に、これらの元素を含む場合もある)。これらは、鋳塊鋳造時、鋳塊均熱処理時などに主として生成する晶出物や、熱延時、溶体化・焼入れ処理時、調質処理時などに主として生成する析出物などからなる。但し、本発明では、前記した通り、第2相粒子の組成を問わないゆえに、上記SEMによる観察の際に、EDX(エネルギー分散型分光)などを用いた、各晶析出物の元素分析(元素量分析)を行う必要はない。即ち、SEMによって、上記の通りに観察できる前記第2相粒子を全て規定する晶析出物として取り扱う。
周知の通り、これらの晶析出物は、アルミニウム合金線棒材ならずとも、均質化熱処理後の冷却中、また熱間加工温度への加熱中・保持中に粗大化しやすい。本発明では、アルミニウム合金線棒材を熱間圧延して製造するとともに、熱間圧延の温度を低くするとともに、加工率を高くすることによって、このような粗大化しやすい晶析出物を、粗大化させずに、微細化させる。即ち、前記した通り、アルミニウム合金線棒材組織中の、最大長が10μm以上の前記晶析出物の平均密度が500個/mm2 以下であるように、粗大な晶析出物を無くすとともに、晶析出物を微細化し、前記成分組成との相乗効果で、前記冷間加工性を向上させる。
また、晶析出物を微細化すると、このアルミニウム合金線棒材組織の結晶粒も微細化させることが可能となる効果もある。このため、自動車エンジン部品の締結具などとしての、耐粒界腐食感受性などの耐食性が向上できる効果もある。
前記した通り、これらの晶析出物は、均質化熱処理後の冷却中、また熱間加工温度への加熱中・保持中に粗大化しやすい。したがって、520℃を超える高温での押出加工条件や熱間圧延条件では、本発明の熱延ほどに、線棒材組織の晶析出物の微細化ができず、本発明で規定する最大長が10μm以上の前記晶析出物の平均密度が、必然的に、500個/mm2 を超えて粗大化する。このため、前記冷間加工性が必然的に劣ることとなる。
また、これら晶析出物が粗大化することによって、自動車エンジン部品の締結具としての耐食性も合わせて低下する。これが従来の6000系アルミニウム合金の線棒材で耐食性が劣る理由である。
晶析出物の平均密度の測定:
本発明で規定する晶析出物の平均密度の測定面は、調質処理後のアルミニウム合金線棒材や、これを成形、加工したボルトやネジの締結具などの、長手方向(軸方向)に対する平行な任意の断面の中央部とする。これら平行断面中央部の位置における組織の走査型電子顕微鏡(SEM)による倍率1000倍の観察から、計測、算出される。
即ち、このSEMによる観察視野の画像解析によって、観察視野内の、組成を問わない第2相粒子として観察される、個々の晶析出物の(不定形部分のうちの)最大の長さを測定するとともに、10μm以上の最大長さを有する晶析出物の個数を計測する。そして、この10μm以上の最大長さを有する晶析出物の1mm2 当たりの密度(個数/mm2 )を算出する。測定は各供試線棒材の任意の前記断面5箇所で、各25視野(計125視野)について行い、これらを平均化し、本発明で規定する晶析出物の平均密度とする。
組織−分散粒子の密度:
前記した通り、本発明では、6000系アルミニウム合金線棒材組織中の特定範囲の微細な分散粒子の密度を高めことで、前記高温に長時間加熱されても軟化しにくく、加熱後でも室温大気中での機械的性質が低下は小さく、元の高強度、高耐力、高破断伸びなどの機械的諸特性を保持する。
このため、本発明では、6000系アルミニウム合金線棒材組織中の最大長が200nm以上、800nm以下の分散粒子の平均密度を5個/μm3 以上とする。この平均密度が5個/μm3 未満の場合、最大長が200nm未満の分散粒子や最大長が800nmを越える分散粒子が多くても、前記耐軟化性は向上できない。
本発明で規定する分散粒子は、主として、Cu、Mn、Cr、Zr、Vなどの遷移元素と、Alや他の合金元素などとの化合物である。これらは、鋳塊鋳造時、鋳塊均熱処理時などに主として生成する。但し、前記晶析出物とは違い、最大長のレベルが大きく異なる(小さい)ために、本発明で規定する分散粒子は、TEM(透過型電子顕微鏡)を用いて、倍率5000倍で観察、測定する。このため、EDXなどを用いた元素分析(元素量分析)によって識別する必要はない。
分散粒子の平均密度の測定
本発明で規定する分散粒子の平均密度の測定面は、前記晶析出物と同様、調質処理後のアルミニウム合金線棒材や、これを成形、加工したボルトやネジの締結具などの、長手方向(軸方向)に対する平行な任意の断面の中央部とする。これら平行断面中央部より、薄膜試料を作製し、成分分析装置付属のTEM(透過型電子顕微鏡)を用いて、倍率×5000で、5視野を観察する。前記薄膜試料の厚さは200〜300nmである。画像処理で、最大長が200nm以上、800nm以下の分散粒子の数をカウイントし、1μm3 当たりの個数を算出し、これらを平均化し、本発明で規定する分散粒子の平均密度とする。
製造方法:
前記したような晶析出物の微細化は、前記特定組成の6000系アルミニウム合金と、前記低温、強加工の熱間圧延による線棒材への加工との組み合わせあるいは相乗効果によって始めて、製造可能である。即ち、前記特定組成の6000系アルミニウム合金ビレット(鋳塊)を溶製し、このビレットを均質化熱処理後、加工率90%以上の熱間圧延を行うによって製造可能である。
この熱間圧延後は、必要により、更に冷間圧延、引抜、抽伸、抽芯、転造、鍛造などの所望の冷間加工を行なって、所定径や所定形状の線棒材としても良い。また、前記した通り、熱間圧延によって所定径や所定形状の線棒材とされ、その後には冷間加工しない、熱間圧延上がりの線棒材でも良い。これら所定の径のアルミニウム合金線棒材には、その後、溶体化および急冷処理と150〜200℃での時効処理を記載順に行う調質処理を施す。そして、これら線棒材は、例えば、前記自動車エンジン部品の締結具である、ボルトやネジなどの用途の素材として、用途に応じて、必要により、更に所定径や所定形状への成形や加工あるいは表面処理が行われる。
本発明アルミニウム合金圧延線棒材の製造方法について以下に、工程順に説明する。
(溶解、鋳造冷却速度)
先ず、溶解、鋳造工程では、上記6000系成分組成範囲内に溶解調整されたアルミニウム合金溶湯を、半連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造する。
(均質化熱処理)
熱間圧延に先立って、鋳造されたアルミニウム合金ビレット(鋳塊)を470〜565℃の範囲で均質化熱処理(均熱処理)し、組織の均質化(鋳塊組織中の結晶粒内の偏析をなくすなど)を行う。均熱処理温度は、470〜565℃の範囲、均質化時間は2時間以上の範囲から選択される。
この均熱処理温度が高すぎると、分散粒子が粗大化して、最大長が800nmを越える分散粒子が多くなり、最大長が200nm以上、800nm以下の分散粒子の密度が少なくなる。このため、この分散粒子の平均密度を5個/μm3 以上とすることができず、前記耐軟化性を向上できない。一方、この均熱処理温度が低すぎると、分散粒子が微細化して、最大長が200nm未満の分散粒子が多くなり、やはり、最大長が200nm以上、800nm以下の分散粒子の密度が少なくなる。このため、この分散粒子の平均密度を5個/μm3 以上とすることができず、前記耐軟化性を向上できない。また、この均熱処理温度が低すぎても6000系アルミニウム合金線棒材組織中の晶析出物が小さくならず、この均熱処理温度が高すぎても晶析出物が粗大化して、最大長が10μm以上の前記晶析出物の平均密度が500個/mm2 以下とならない可能性が高くなる。更に、均熱処理温度が高すぎると、鋳塊のバーニングの危険性が増す。
この均熱処理後は、ファンなどによってビレット(鋳塊)を強制的に急冷して、冷却速度を速める方が好ましい。ビレット(鋳塊)を放冷するなど、冷却速度が遅いと、冷却過程でMgSi化合物(晶析物)が粗大化する危険性がある。このような急冷における平均冷却速度の目安は、室温を含む300℃以下の温度まで、80℃/hr以上とすることが好ましい。
(熱間圧延)
線棒材組織の晶析出物の微細化のために、前記均質化処理後のビレットに対して、低温、強加工の熱間圧延を行う。このために、熱延開始温度(熱間圧延開始温度)は、前記アルミニウム合金の成分組成や鋳塊の大きさとの関係で、320〜520℃の範囲、好ましくは320〜485℃の範囲、更に好ましくは320〜470℃の範囲、のできるだけ低い温度から選択する。熱延開始温度が高すぎる場合には、低温での圧延とならず、晶析出物が小さく粉砕されず、粗大な晶析出物が残存して、本発明で規定するようには晶析出物を微細化できない危険性が高い。一方、熱延開始温度が320℃未満と低すぎると、強加工での熱間圧延では特に圧延荷重が過大となって、線棒材の圧延自体が困難となる。なお、本発明では、均熱温度よりも熱延開始温度の方が必然的に低くなるので、均熱処理後、均質化熱処理温度から冷却して、前記熱延開始温度として、熱間圧延を開始する。また、均質化熱処理後に、一旦室温まで冷却し、前記熱延開始温度まで再加熱して、この再加熱温度で熱間圧延を開始しても良い。
熱間圧延の加工率も、前記アルミニウム合金の成分組成や、鋳塊の大きさと線棒材径との関係で、90%以上の、できるだけ高い加工率の範囲から選択する。この加工率が少なすぎると、晶析出物が小さく粉砕されず、粗大な晶析出物が残存して、本発明で規定するようには晶析出物を微細化できない。
ここで、熱間圧延は、断面が円形な(丸い)線棒材を、本発明のような組織と特性とに、新たな問題や別の問題が生じることなく製造できる点で、熱間押出に比して格段に優れている。
たとえば、本発明が対象とするような断面形状が丸い線棒材の場合、押出加工では、形状が複雑な形材の場合とは違って、形状が単純である。このため、ダイスの形状も単純となって、ビレット(鋳塊)の中心部は、ダイスによる加工を受けずに、そのまま線棒材の中心部となって押出され、線棒材の中心部はビレットの鋳造組織がそのまま残留しやすくなる。言い換えると、熱間押出加工により製造された線棒材の中心部では、ビレットの鋳造組織中に存在した粗大な晶析物が、小さく粉砕されずに、粗大なまま残存して、本発明で規定するように晶析出物を微細化できない。また、この中心部とは反対に、ビレットの表面ほど強加工となって高温化しやすく、ビレット表面に存在する融点が比較的低い晶析物が局部溶融して、ダイスなどに付着しやすくなる。このため、押出中の線棒材表面がむしれる、ムシレと称される現象発生の原因となり、ピックアップと称される、線棒材の表面不良が発生しやすくなる。このような押出材の不良を防止するためには、前記表面の晶析物を減らすために、均熱処理温度を高するか、遷移元素の量を減らす必要がある。しかし、前記した通り、均熱処理温度を高すると分散粒子が粗大化し、また、遷移元素量を減らすと分散粒子が減って密度が小さくなり、本発明で規定する分散粒子密度とできない。このように、熱間押出加工では、本発明のような組織や特性を有する線棒材を製造することが困難である。これが、自動車エンジン部品用などのボルトやネジなどの締結具として、断面が円形な線棒材を製造する場合、従来の前記特許文献1のような押出加工による製造では、特性向上に大きな限界があった理由である。
(調質処理)
熱間圧延後に冷間圧延などの冷間加工する場合には、熱間圧延後で冷間加工前に、適宜焼鈍しても良く、冷間加工途中に焼鈍を挟んで行っても良い。
熱間圧延後、あるいは冷間圧延などの冷間加工後に、線棒材に対する調質処理として、先ず、溶体化および急冷(焼入れ)処理を行う。この溶体化処理は、前記アルミニウム合金の成分組成との関係や、続く高温での人工時効硬化処理により強度向上に寄与する時効析出物を十分粒内に析出させるために、好ましくは、500℃〜570で所定時間保持する条件で行う。この溶体化処理後、直ちに10℃/秒以上の冷却速度で急冷処理(焼入れ処理)を行う。この溶体化処理後の急冷処理の冷却速度が遅いと、粒界上にSi、MgSi化合物などが析出しやすくなり、機械的な特性や成形性を低下させる。
次いで、この溶体化急冷処理の後に、線棒材の強度など機械的諸特性を向上させるために、好ましくは直ちに、150〜200℃での高温時効処理を行う。このような高温時効処理を行なわない場合、アルミニウム合金線棒材を常温状態での機械的性質として、引張強さ:410MPa以上、0.2%耐力:350MPa以上、伸び:6%以上とすること自体が難しい。したがって、その後150℃で500時間熱処理した後の室温大気中での機械的性質として、これらの機械的諸特性を満足させることも必然的にできない。
(成形)
これら線棒材は、前記自動車エンジン部品の締結具など、締結具用途に応じて、更に、所定径や所定形状へのヘッダー加工やねじ転造加工などの冷間加工、成形が行われる。ここで、これら締結具に対して公知の表面処理が適宜行われて良い。
なお、アルミニウム合金線棒材を、自動車エンジン部品のボルトやネジなどの締結具用途などに成形、加工する場合には、前記調質処理をこの成形、加工の前に行っても良く、あるいはボルトやネジなどの締結具用途などに成形、加工した後で、前記調質処理を行っても良い。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは何れも本発明の技術的範囲に含まれる。
次に、本発明の実施例を説明する。表1に示す6000系アルミニウム合金を鋳造後、表2に示す、均熱処理温度、熱延開始温度および熱延加工率の熱間圧延を施して、断面が円形な線棒材を製造し、ボルトへの冷間加工性、耐軟化性や耐食性などの諸特性を評価した。
アルミニウム合金線棒材のより具体的な製造条件は以下の通りである。表1に示す各組成の6000系アルミニウム合金を半連続鋳造法によりビレット(鋳塊)に鋳造した。これらビレットは熱延加工率を変えるために径を変え、表2に示す均熱処理温度で共通して4時間(hr)の均熱処理した。そして、その後一旦室温まで冷却した後に、表2に示す各熱延開始温度まで再加熱し、表2に示す加工率で、熱間圧延し、共通してΦ13mmの線棒材を製造した。ここで、前記均熱処理後のビレットはファンによって強制的に急冷し、300℃以下までの平均冷却速度を150℃/hrとした。
更に、この熱延上がりの線棒材を冷間でΦ3.5mmまで伸線加工した。次にこの細径化させた線棒材を所定に長さに切断し、冷間にてヘッダー加工、ねじ転造加工を行い、多数のM4のボルトを作製した。次に、この作製したボルトを、570℃で3時間の溶体化処理した後水焼入れし、その後180℃で9時間の高温時効処理を行う、調質処理を行った。この際、前記M4のボルト作製と調質処理との順序について、前記冷間加工にてボルトに作製後に前記調質処理を行う工程をA工程、一方、前記調質処理を行った後に前記冷間加工にてボルトに作製する工程をB工程とした。
加工性:
このボルト加工の際に、ヘッダー加工性と転造加工性(M4)を評価し、割れなどの不良が生じずに、全量をボルトに加工できた例を○、割れなどの不良が生じて、加工性が悪いと判断された例を×と評価した。
これらボルトから供試材を切り出し、下記の通り、アルミニウム合金線棒材の組織や特性として、組織や特性を測定、評価した。これらの結果も合わせて表2に示す。
組織:
前記ボルト供試材における、晶析出物と分散粒子の平均密度を前記した方法にて測定した。
機械的性質:
前記ボルト供試材よりFed.4型の小型引張試験片を作製し、5mm/分のクロスヘッド速度で、常温中で、破断まで引張試験を行った。応力―歪速度より、引張強さ(MPa)、0.2%耐力(MPa)を測定した。伸び(%)は小型引張試験片の平行部の引張試験前後のケガキ線の間隔(引張試験前の間隔10mm)より算出した。なお、これらの測定値は、5本のボルト供試材の各測定値の平均値とした。
高温に長時間曝された後の機械的性質:
耐軟化性としての加熱後の引張特性は、ボルトを150℃で500hr熱処理した後、引張試験片を作製し、前記常温での引張試験と同様に、常温で引張試験を行い、引張強さ、耐力、伸びを測定した。
耐食性:
耐食性を評価するために、前記各ボルト供試材(高温に長時間曝す前)のJIS−W1103法の4.4.3項に記載の方法に準じて、腐食試験を行った。即ち、腐食試験条件は、まず、93℃のエッチング溶液(70%濃硝酸50ml、48%、ふっ化水素酸5ml、蒸留水945mlの組成)に1分間浸漬後、蒸留水で洗浄し、乾燥させた。その後、30℃の腐食促進液(NaClを57g、30%過酸化水素水10mlを蒸留水で1lに希釈したもの) に6時間浸漬した。そして、試験片平行断面を、エッチング溶液(70%濃硝酸2.5ml、濃塩酸1.5ml、48%ふっ化水素酸1.0ml、蒸留水95.0mlの組成) に10秒間浸漬後、蒸留水で洗浄して乾燥した。この試験片平行断面の腐食状況を200倍の金属顕微鏡により観察した。腐食の観察は、前記顕微鏡視野内において、他の孔食腐食や全面腐食などと区別して、6061−T6を比較材として、腐食の程度を判断した。これらの結果を、腐食の程度が大きい場合を×、同等もしくは同等以下の程度の○とした。
表1の合金番号1〜9を用いた、表2の各発明例1〜10は、本発明成分組成範囲内で、かつ、前記した好ましい条件範囲で、低温、強加工の熱間圧延を行なっている。このため、表2に示す通り、本発明で規定する晶析出物と分散粒子の平均密度となっている組織を有している。この結果、前記150℃で500時間、高温長時間熱処理された後の室温大気中での機械的性質として、引張強さ:410MPa以上、0.2%耐力:350MPa以上、伸び:6%以上の耐軟化性を有する。また、耐食性にも優れている。
これに対して、表2の比較例11〜21は、表1に示す合金番号10〜20の合金であり、成分組成が本発明の範囲を外れている。
比較例10はMn含有量が少な過ぎる(Mnを含有していない)。
比較例11はCu含有量が少な過ぎる(Cuを含有していない)
較例13はMn含有量が多すぎる。
比較例14はCu含有量が多すぎる。
比較例15はCr含有量が多すぎる
比較例16はZn含有量が多すぎる。
比較例17はSi含有量が多すぎる。
比較例18はMg含有量が多すぎる。
比較例19はMg含有量が少な過ぎる。
比較例20はSi含有量が少な過ぎる。
また、表2の比較例22〜25は、表1に示す本発明成分組成範囲内である合金番号1の合金を用いているものの、前記した好ましい条件範囲で、低温、強加工の熱間圧延を行なっていない。
比較例22は熱延の圧下率は高いものの、均熱温度が高すぎる。
比較例23は熱延開始温度は低いものの、均熱温度も低すぎる。
比較例24は熱延の圧下率は高いものの、熱延開始温度が高すぎる。
比較例25は熱延開始温度は低いものの、熱延の圧下率が低すぎる。
このため、各比較例は、表2に示す通り、本発明で規定する組織を有していないか、有していても、特に高温に長時間曝された後の機械的性質が劣る。また、耐食性も劣っている。
したがって、以上の実施例の結果から、本発明における成分や組織の各要件のボルトへの冷間加工性、耐軟化性や耐食性などに対する臨界的な意義乃至効果が裏付けられる。また、好ましい製造条件の本発明組織を得るための臨界的な意義乃至効果が裏付けられる。
本発明によれば、長時間高温に曝された(長時間加熱された)場合にも、耐軟化性が優れて高い機械的諸特性を保持できるとともに、冷間加工性や耐食性も合わせて優れた、6000系高強度アルミニウム合金線棒材およびその製造方法を提供することができる。このため、自動車エンジン部品のボルトやネジなどのアルミニウム合金製締結具などに、好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 熱間圧延を施されたAl−Mg−Si系アルミニウム合金線棒材であって、質量%で、Mg:0.65〜1.75%、Si:0.70〜1.35%、Cu:0.40〜1.05%、Fe:0.05〜0.35%、Mn:0.05〜0.95%、Cr:0.05〜0.25%、Ti:0.01〜0.10%を各々含み、残部Alおよび不可避的不純物からなり、組織中の、倍率5000倍のTEMにより測定される、最大長が200nm以上、800nm以下の分散粒子の平均密度が5個/μm3 以上であるとともに、倍率400倍のSEMにより測定される、最大長が10μm以上の晶析出物の平均密度が500個/mm2 以下であることを特徴とする耐軟化性に優れた高強度アルミニウム合金線棒材。
  2. 前記アルミニウム合金線棒材を150℃で500時間熱処理した後の室温大気中での機械的性質として、引張強さ:410MPa以上、0.2%耐力:350MPa以上、伸び:6%以上である請求項1に記載の耐軟化性に優れた高強度アルミニウム合金線棒材。
  3. 前記アルミニウム合金線棒材が、質量%で、更に、Zr:0.01〜0.30%、V:0.01〜0.30%の内の一種また二種を含有する請求項1または2に記載の耐軟化性に優れた高強度アルミニウム合金線棒材。
  4. 前記アルミニウム合金線棒材の用途が自動車エンジン部品の締結具である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の耐軟化性に優れた高強度アルミニウム合金線棒材。
  5. 質量%で、Mg:0.65〜1.75%、Si:0.70〜1.35%、Cu:0.40〜1.05%、Fe:0.05〜0.35%、Mn:0.05〜0.95%、Cr:0.05〜0.25%、Ti:0.01〜0.10%を各々含み、残部Alおよび不可避的不純物からなるAl−Mg−Si系アルミニウム合金鋳塊を溶製し、この鋳塊を470〜565℃の範囲で均質化熱処理後、熱延開始温度が320〜520℃の範囲で加工率95%以上の熱間圧延を行い、所定の径のアルミニウム合金線棒材とし、その後、溶体化および急冷処理と150〜200℃での時効処理を記載順に行う調質処理を施した後の組織中の、倍率5000倍のTEMにより測定される、最大長が200nm以上、800nm以下の分散粒子の平均密度が5個/μm3 以上とするとともに、倍率400倍のSEMにより測定される、最大長が10μm以上の晶析出物の平均密度が500個/mm2 以下とすることを特徴とする耐軟化性に優れた高強度アルミニウム合金線棒材の製造方法。
  6. 前記アルミニウム合金線棒材が、質量%で、更に、Zr:0.01〜0.30%、V:0.01〜0.30%の内の一種また二種を含有する請求項5に記載の耐軟化性に優れた高強度アルミニウム合金線棒材の製造方法。
  7. 前記熱間圧延を行ったアルミニウム合金線棒材を更に冷間加工して、前記所定の径のアルミニウム合金線棒材とする請求項5または6に記載の耐軟化性に優れた高強度アルミニウム合金線棒材の製造方法。
  8. 前記アルミニウム合金線棒材を、前記調質処理を行う前か後に、自動車エンジン部品の締結具に加工する請求項5乃至7に記載の耐軟化性に優れた高強度アルミニウム合金線棒材の製造方法。
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