JPH1045592A - 糖尿病合併症治療剤 - Google Patents

糖尿病合併症治療剤

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JPH1045592A
JPH1045592A JP19773496A JP19773496A JPH1045592A JP H1045592 A JPH1045592 A JP H1045592A JP 19773496 A JP19773496 A JP 19773496A JP 19773496 A JP19773496 A JP 19773496A JP H1045592 A JPH1045592 A JP H1045592A
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JP
Japan
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group
ipq
compound
pqq
pyrrolo
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Application number
JP19773496A
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English (en)
Inventor
Sadaji Uragami
貞治 浦上
Yoko Shirai
洋子 白井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 毒性のない、強いアルドース還元酵素阻害活
性を有する糖尿病性合併症治療剤を提供する。 【解決手段】 イミダゾピロロキノリン類、またはその
エステル、アミド化合物のうち少なくとも3位がカルボ
キシル基であるイミダゾピロロキノリン類のモノエステ
ル、ジエステル、モノアミド、ジアミドあるいはモノエ
ステル・モノアミド化合物を有効成分とする糖尿病性合
併症治療剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は糖尿病性合併症の予
防および治療剤に関するものである。
【0002】
【従来技術、発明が解決しようとする課題】糖尿病性合
併症には、糖尿病性白内障、糖尿病性神経症、糖尿病性
腎疾患、糖尿病性網膜症、糖尿病性角膜症などの諸疾患
がある。これらの糖尿病性合併症にアルドース還元酵素
が重要な働きを担っていると考えられている。一般に、
アルドース還元酵素は、グルコースをNADPHの存在
下でソルビトールに還元する酵素である。このソルビト
ールは、NADの存在下でソルビトール脱水素酵素によ
りフラクトースに変換される。このグルコースがソルビ
トールを介してフラクトースに変換される経路は、ポリ
オール代謝と呼ばれている。グルコースは、エネルギー
源として重要な物質であり、正常時では、細胞に取り込
まれた後に大部分がヘキソキナーゼの作用でグルコース
−6−リン酸になって解糖系で代謝されるのはわずか数
%である。しかし、糖尿病で高血糖状態になると末梢神
経、網膜、水晶体、角膜、血管、腎糸球体、赤血球など
のインスリン非依存性組織の細胞内グルコース濃度が上
昇し、ポリオール経路を介したグルコース代謝が亢新さ
れ、ソルビトールの過剰産生が認められる。このソルビ
トールは極性が高いので細胞外への拡散が悪く、このた
めに糖尿病性合併症が発症すると考えられている。そこ
で、アルドース還元酵素を阻害することにより、糖尿病
性合併症の予防および治療が可能であり、種々のアルド
ース還元酵素阻害剤が研究開発されている。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者は、前記した理
由により、アルドース還元酵素を強力に阻害する化合物
の探索を進めたところ、イミダゾピロロキノリン類およ
びそのエステル、アミド化合物のうち、少なくとも3位
がカルボキシル基(COOH)であるイミダゾピロロキ
ノリン類およびそのモノエステル、ジエステル、モノア
ミド、ジアミドあるいはモノエステル・モノアミド体
が、強いアルドース還元酵素阻害活性を示し、糖尿病性
合併症治療剤として好ましいことを見いだした。すなわ
ち、本発明は、下記の一般式(I)で示されるイミダゾ
ピロロキノリン類およびそのモノエステル、ジエステ
ル、モノアミド、ジアミドあるいはモノエステル・モノ
アミド化合物を有効成分とする糖尿病合併症治療剤であ
る。イミダゾピロロキノリンとは、7,10−ジヒドロ
−7−オキソ−イミダゾ[4,5,1−ij]−ピロロ
[2,3−f]キノリン−1,3,9−トリカルボン酸
であり、以下IPQとも記す。又このIPQと5位が置
換されたIPQとを総称して、以下IPQ類とも記す。
本発明で用いるIPQ類およびそのモノエステル、ジエ
ステル、モノアミド、ジアミドあるいはモノエステル・
モノアミド化合物は一般式
【0004】
【化2】 [ただし、Rは水素、カルバモイル基、フェニル基、4
−メチルフェニル基、炭素数1乃至4のアルキル基また
は水酸基、カルボキシル基、カルバモイル基、メチルメ
ルカプト基、フェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、
メルカプト基、イミダゾリル基、アミノ基、グアニジノ
基、メトキシ基もしくはリン酸基で置換された炭素数1
乃至4のアルキル基を示す。Y1およびY2は、OR
1(R1は、水素、アルキル基、アリル基、プロパギル
基、ベンジル基、フェニル基およびアルコキシカルボニ
ルメチル基を示す。)、NH−R2(R2は、アルキル
基、アリル基、プロパギル基、ベンジル基、フェニル基
およびアルコキシカルボニルメチル基を示す)]で示さ
れる。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明において使用されるIPQ
類およびIPQ類のモノエステル、ジエステル、モノア
ミド、ジアミドおよびモノエステル・モノアミド化合物
は以下に示す方法により製造することが出来る。IPQ
類としては、PQQ類またはその塩(以下PQQ類と記
す)と各種のα−アミノ酸、メチルアミンなどとを酸素
の存在下で反応させることにより製造することが出来
る。またある種のIPQ類は、下記の式(II)
【0006】
【化3】 に示されるピロロキノリン(M.Mure Tetrahedron Let
t., 30 , 6875−6878, 1989)と各種のアルデヒド(R
−CHO)との反応で得ることが出来る。
【0007】RがHのIPQ化合物は、7,10−ジヒ
ドロ−7−オキソ−イミダゾ[4,5,1−ij]ピロ
ロ[2,3−f]キノリン−1,3,9−トリカルボン
酸(以下IPQと記す)であり、PQQとグリシン、ト
リプトファン、プロリン、スレオニン、チロシン、セリ
ンおよびモノメチルアミンのうち少なくとも一種とか
ら、またPQQとアンモニア、ホルムアルデヒドから合
成される。RがCH3のIPQ化合物は、7,10−ジ
ヒドロ−5−メチル−−7−オキソ−イミダゾ[4,
5,1−ij]ピロロ[2,3−f]キノリン−1,
3,9−トリカルボン酸(以下メチルIPQと記す)で
ありPQQとアラニンより合成される。RがCH2OH
のIPQ化合物は、7,10−ジヒドロ−5−ヒドロキ
シメチル−7−オキソ−イミダゾ[4,5,1−ij]
ピロロ[2,3−f]キノリン−1,3,9−トリカル
ボン酸(以下ヒドロキシメチルIPQと記す)でありP
QQとセリンより合成される。RがCH(CH32のI
PQ化合物は、7,10−ジヒドロ−5−(1−メチル
エチル)−7−オキソ−イミダゾ[4,5,1−ij]
ピロロ[2,3−f]キノリン−1,3,9−トリカル
ボン酸(以下メチルエチルIPQと記す)でありPQQ
とバリンより合成される。
【0008】RがCH2CH(CH32のIPQ化合物
は、7,10−ジヒドロ−5−(2−メチルプロピル)
−7−オキソ−イミダゾ[4,5,1−ij]ピロロ
[2,3−f]キノリン−1,3,9−トリカルボン酸
(以下2−メチルプロピルIPQと記す)でありPQQ
とロイシンより合成される。RがCH(CH3)CH2
3のIPQ化合物は、7,10−ジヒドロ−5−(1
−メチルプロピル)−7−オキソ−イミダゾ[4,5,
1−ij]ピロロ[2,3−f]キノリン−1,3,9
−トリカルボン酸(以下1−メチルプロピルIPQと記
す)でありPQQとイソロイシンより合成される。Rが
CH2CH2CO2HのIPQ化合物は、5−(2−カル
ボキシエチル)−7,10−ジヒドロ−7−オキソ−イ
ミダゾ[4,5,1−ij]ピロロ[2,3−f]キノ
リン−1,3,9−トリカルボン酸(以下2−カルボキ
シエチルIPQと記す)でありPQQとグルタミン酸よ
り合成される。RがCH2CH2CONH2のIPQ化合
物は、5−(2−カルバモイルエチル)−7,10−ジ
ヒドロ−7−オキソ−イミダゾ[4,5,1−ij]ピ
ロロ[2,3−f]キノリン−1,3,9−トリカルボ
ン酸(以下2−カルバモイルエチルIPQと記す)であ
りPQQとグルタミンより合成される。
【0009】RがCH2CH2SCH3のIPQ化合物
は、7,10−ジヒドロ−5−(2−メチルチオエチ
ル)−7−オキソ−イミダゾ[4,5,1−ij]ピロ
ロ[2,3−f]キノリン−1,3,9−トリカルボン
酸(以下2−メチルチオエチルIPQと記す)でありP
QQとメチオニンより合成される。RがCH2−C65
のIPQ化合物は、5−ベンジル−7,10−ジヒドロ
−7−オキソ−イミダゾ[4,5,1−ij]ピロロ
[2,3−f]キノリン−1,3,9−トリカルボン酸
(以下ベンジルIPQと記す)でありPQQとフェニル
アラニンり合成される。RがCH2−C64OHのIP
Q化合物は、7,10−ジヒドロ−5−(4−ヒドロキ
シフェニルメチル)−7−オキソ−イミダゾ[4,5,
1−ij]ピロロ[2,3−f]キノリン−1,3,9
−トリカルボン酸(以下4−ヒドロキシフェニルメチル
IPQと記す)でありPQQとチロシンより合成され
る。RがCH2SHのIPQ化合物は、7,10−ジヒ
ドロ−5−メルカプトメチル−7−オキソ−イミダゾ
[4,5,1−ij]ピロロ[2,3−f]キノリン−
1,3,9−トリカルボン酸(以下メチルカプトメチル
IPQと記す)でありPQQとシスティンより合成され
る。RがCH2CO2HのIPQ化合物は、5−カルボキ
シメチル−7,10−ジヒドロ−7−オキソ−イミダゾ
[4,5,1−ij]ピロロ[2,3−f]キノリン−
1,3,9−トリカルボン酸(以下カルボキシメチルI
PQと記す)でありPQQとアスパラギン酸より合成さ
れる。Rが
【0010】
【化4】 のIPQ化合物は、7,10−ジヒドロ−5−(4−イ
ミダゾリルメチル)−7−オキソ−イミダゾ[4,5,
1−ij]ピロロ[2,3−f]キノリン−1,3,9
−トリカルボン酸(以下4−イミダゾリルメチルIPQ
と記す)でありPQQとヒスチジンより合成される。R
が(CH24NH2のIPQ化合物は、5−(4−アミ
ノブチル)−7,10−ジヒドロ−7−オキソ−イミダ
ゾ[4,5,1−ij]ピロロ[2,3−f]キノリン
−1,3,9−トリカルボン酸(以下4−アミノブチル
IPQと記す)でありPQQとリジンより合成される。
Rが
【0011】
【化5】 のIPQ化合物は、5−(3−グアニジノプロピル)−
7,10−ジヒドロ−7−オキソ−イミダゾ[4,5,
1−ij]ピロロ[2,3−f]キノリン−1,3,9
−トリカルボン酸(以下3−グアニジノプロピルIPQ
と記す)でありPQQとアルギニンより合成される。R
がCH2CONH2のIPQ化合物は、5−(カルバモイ
ルメチル)−7,10−ジヒドロ−7−オキソ−イミダ
ゾ[4,5,1−ij]ピロロ[2,3−f]キノリン
−1,3,9−トリカルボン酸(以下カルバモイルメチ
ルIPQと記す)でありPQQとアスパラギンより合成
される。RがCH2OCH3のIPQ化合物は、7,10
−ジヒドロ−5−メトキシメチル−7−オキソ−イミダ
ゾ[4,5,1−ij]ピロロ[2,3−f]キノリン
−1,3,9−トリカルボン酸(以下メトキシメチルI
PQと記す)でありPQQとO−メチルセリンより合成
される。RがCH2OPO32のIPQ化合物は、7,
10−ジヒドロ−7−オキソ−5−ホスホリロキシメチ
ル−イミダゾ[4,5,1−ij]ピロロ[2,3−
f]キノリン−1,3,9−トリカルボン酸(以下ホス
ホリロキシメチルIPQと記す)でありPQQとO−ホ
スホリルセリンより合成される。RがCONH2のIP
Q化合物は、5−カルバモイル−7,10−ジヒドロ−
7−オキソ−イミダゾ[4,5,1−ij]ピロロ
[2,3−f]キノリン−1,3,9−トリカルボン酸
(以下カルバモイルIPQと記す)でありPQQとセリ
ンアミドから合成される。RがCH2CH3のIPQ化合
物は、5−エチル−7,10−ジヒドロ−7−オキソ−
イミダゾ[4,5,1−ij]ピロロ[2,3−f]キ
ノリン−1,3,9−トリカルボン酸(以下エチルIP
Qと記す)であり式(II)で示されるピロロキノリン化
合物とプロピオンアルデヒドより合成される。
【0012】RがCH2CH2CH3のIPQ化合物は、
7,10−ジヒドロ−7−オキソ−5−プロピル−イミ
ダゾ[4,5,1−ij]ピロロ[2,3−f]キノリ
ン−1,3,9−トリカルボン酸(以下プロピルIPQ
と記す)であり式(II)で示されるピロロキノリン化合
物とブチルアルデヒドより合成される。RがC65のI
PQ化合物は、7,10−ジヒドロ−7−オキソ−5−
フェニル−イミダゾ[4,5,1−ij]ピロロ[2,
3−f]キノリン−1,3,9−トリカルボン酸(以下
フェニルIPQと記す)であり式(II)で示されるピロ
ロキノリン化合物とベンズアルデヒドより合成される。
RがC64−CH3 のIPQ化合物は、7,10−ジヒ
ドロ−5−(4−メチルフェニル)−7−オキソ−イミ
ダゾ[4,5,1−ij]ピロロ[2,3−f]キノリ
ン−1,3,9−トリカルボン酸(以下4−メチルフェ
ニルと記す)であり式(II)で示されるピロロキノリン
化合物とP−トルアルデヒドより合成される。
【0013】なお、これらのIPQ化合物のアルカリ金
属塩、アルカリ土類金属塩もしくは水素またはアルキル
置換アンモニウム塩も本発明にふくまれる(これらの化
合物を総称して以下IPQ類と記すこともある)。本発
明のIPQ化合物の塩の代表例としては、ナトリウム塩
あるいはカリウム塩などのアルカリ金属塩、マグネシウ
ム塩あるいはカルシウム塩などのアルカリ土類金属塩お
よびアンモニウム塩、トリメチルアンモニウム塩、トリ
エチルアンモニウム塩、あるいはトリエタノールアンモ
ニウム塩などの水素またはアルキル置換アンモニウム塩
がある。本発明に係わるIPQ類の具体例としては、以
下の化合物を挙げることができる。
【0014】IPQの物性 1)元素分析値:C15H7N3O7 (MW 341.2) 理論値(%):C52.62 H2.06 N12.27 実測値(%):C51.50 H2.26 N12.11 2)IRスペクトル(νmax 値,cm -1):(KBr) 2950br, 2400 br , 1585 s, 1200 s, 1170 vs , 875
m , 735 m 3) 1H−NMRスペクトル (δ値,ppm):7.22(d,1H,ピ
ロール環C−, J=2.2Hz),8.27(s,1H,ピリジン環C−
),9.21(s,1H,イミダゾール環C−),13.16(brs,1H,
ピロール環N−) 4)可視・紫外部スペクトル(λmax値,nm):(10mM リン
酸カリウム緩衝液 pH 7.0) 251, 276, 423
【0015】メチルIPQの物性 1)元素分析値:C16937 2O (MW 373.28) 理論値(%):C51.48 H2.97 N11.26 実測値(%):C51.20 H3.24 N11.03 2)IRスペクトル(νmax値,cm -1):(KBr) 2725br,s, 2480br,s, 1590s , 1515s ,1170vs, 1095
sh,s , 965 m , 750 m , 710 m 3) 1H−NMRスペクトル (δ値,ppm):(DMSO-d6、内
部標準:TMS) 2.73(s,3H, C3 ),7.18(d,1H, ピロール環C−
,J=1.8Hz),7.92(s,1H, ピリジン環C−),12.82
( brs,1H, ピロール環N−) 4)可視・紫外部スペクトル(λmax値,nm):(10mM リン
酸カリウム緩衝液 pH 7.0) 255,272,418
【0016】ヒドロキシメチルIPQの物性 1)元素分析値:C16938 (MW 371.25) 理論値(%):C51.76 H2.44 N11.32 実測値(%):C50.58 H2.63 N11.08 2)IRスペクトル(νmax値,cm -1):(KBr) 2500br,s, 1680sh,s, 1575sh,s, 1510s , 1150vs,1095
sh,s, 700 m , 650 m 3) 1H−NMRスペクトル(δ値,ppm):(DMSO-d6、内
部標準:TMS) 4.98(s,2H, C2 −OH), 7.27(d,1H, ピロール環
C−,J=1.98Hz),8.07(s,1H,ピリジン環C−),14.
60(d,1H, ピロール環N−,J=0.44Hz) 4)可視・紫外部スペクトル(λmax値,nm):(10mM リン
酸カリウム緩衝液 pH 7.0) 254, 269sh, 416
【0017】1−メチルエチルIPQの物性 1)元素分析値:C181337 2O (MW 401.33) 理論値(%):C53.87 H3.77 N10.47 実測値(%):C53.61 H3.96 N10.22 2)IRスペクトル(νmax値,cm -1):(KBr) 2850br,s, 2530sh,s, 1575s , 1515sh,m,1175vs, 1100
sh,m , 1015sh,m, 815 sh,w,755 m , 730 m , 660
sh,w 3) 1H−NMRスペクトル(δ値,ppm):(DMSO-d6、内部
標準:TMS) 1.36(d,6H,CH−(C3 2, J=6.4Hz),3.74(hep,1H,
−(CH3 2, J=6.7Hz),7.29(d,1H,ピロール環C
, J=1.8Hz),8.00(s,1H,ピリジン環C−),13.01(b
rs,1H,ピロール環N−,) 4)可視・紫外部スペクトル(λmax値,nm):(10mM リン
酸カリウム緩衝液 pH 7.0) 255, 272 sh , 418
【0018】2−メチルプロピルIPQの物性 1)元素分析値:C191537 2O (MW 415.36) 理論値(%):C54.94 H4.13 N10.12 実測値(%):C54.70 H4.27 N 9.85 2)IRスペクトル(νmax値,cm -1):(KBr) 2880br,s,2520 sh,s, 2330 sh,m , 1585 s ,1520sh,m,
1180 vs , 760 sh,m, 735 m , 670 sh,w 3) 1H−NMRスペクトル(δ値,ppm):(DMSO-d6、内部
標準:TMS) 0.93(d,6H,CH2 −CH−(C3 2, J=6.6Hz),2.16
(m,1H,CH2 −C−(CH3 2),3.08(d,2H,C2
−CH−(CH3 2, J=7.0Hz),7.28(d,1H,ピロール環
C−, J=2.2Hz),7.99(s,1H,ピリジン環C−),12.60
(brs,1H,ピロール環N−,) 4)可視・紫外部スペクトル(λmax値,nm):(10mM リン
酸カリウム緩衝液 pH 7.0) 255, 272sh , 419
【0019】1−メチルプロピルIPQの物性 1)元素分析値:C191537 2O (MW 415.36) 理論値(%):C54.94 H4.13 N10.12 実測値(%):C54.68 H4.20 N 9.88 2)IRスペクトル(νmax値,cm -1):(KBr) 2900br,s, 2530sh,s, 1605s , 1520sh,m,1180vs, 1145
sh,m, 1100sh,m, 850 w ,760 m , 725 sh,m, 670 sh,w 3) 1H−NMRスペクトル(δ値,ppm):(DMSO-d6、内部
標準:TMS) 0.83(t,3H,CH(CH3 )−CH2 −C3 , J=7.3H
z),1.38(d,3H,CH(C3 )−CH2 −CH3 , J=6.8
Hz),1.71(m,2H,CH(CH3 )−C2 −CH3),3.54
(hex,1H,C(CH3 )−CH2 −CH3, J=6.5Hz),7.
31(d,1H,ピロール環C−, J=2.4Hz),7.98(s,1H,ピリ
ジン環C−),13.07(brs,1H,ピロール環N−,) 4)可視・紫外部スペクトル(λmax値,nm):(10mM リン
酸カリウム緩衝液 pH 7.0) 256, 272sh, 418
【0020】2−カルボキシエチルIPQの物性 1)元素分析値:C181139 2O (MW 431.31) 理論値(%):C50.12 H3.04 N 9.74 実測値(%):C49.85 H3.33 N 9.62 2)IRスペクトル(νmax値,cm -1):(KBr) 2840br,s, 2500m , 2340sh,m, 1570s ,1515s , 1175vs,
1100sh,m, 755 w , 730 w 3) 1H−NMRスペクトル (δ値,ppm):(DMSO-d6、 内
部標準:TMS) 2.85(t,2H,CH2 −C2 −CO2 H, J=6.2Hz),3.30
(t,2H,C2 −CH2 −CO2 H, J=5.9Hz),7.23(brs,
1H,ピロール環C−),7.98(s,1H,ピリジン環C−),1
3.67(brs,1H,ピロール環N−,) 4)可視・紫外部スペクトル(λmax値,nm):(10mM リン
酸カリウム緩衝液 pH 7.0) 256, 275sh, 419
【0021】2−カルバモイルエチルIPQの物性 1)元素分析値:C181248 2O (MW 430.33) 理論値(%):C50.24 H3.28 N13.02 実測値(%):C50.01 H3.50 N12.87 2)IRスペクトル(νmax値,cm -1):(KBr) 2735br,m, 2500br,m, 2300sh,m,1555br,s, 1390s , 118
0vs,1100sh,s, 990 m , 765 m , 745 m , 560 w 3) 1H−NMRスペクトル (δ値,ppm): (DMSO-d6、内部標準:TMS) 2.76(t,2H,CH2 −C2 −CO−NH2, J=6.7Hz),3.
31(t,2H,C2 −CH2 −CO−NH2, J=6.9Hz),6.79
(brs,1H,CH2 −CH2 −CO−N2 ),7.25(d,1H,
ピロール環C−, J=2.0Hz),7.38(brs,1H,CH2 −C
2 −CO−N2 ),7.97(s,1H,ピリジン環C−),1
2.91(brs,1H,ピロール環N−,) 4)可視・紫外部スペクトル(λmax値,nm):(10mM リン
酸カリウム緩衝液 pH 7.0) 255, 272sh, 418
【0022】2−メチルチオエチルIPQの物性 1)元素分析値:C181337S・H2O (MW 433.3
9) 理論値(%):C49.88 H3.49 N 9.70 実測値(%):C49.63 H3.77 N 9.49 2)IRスペクトル(νmax値,cm -1):(KBr) 2775br,s, 2500br,m, 1575s , 1510sh,s,1175vs, 970
w , 850 w , 750 m , 720 m 3) 1H−NMRスペクトル (δ値,ppm):(DMSO-d6、 内
部標準:TMS) 2.13(s,3H,CH2 −CH2 −S−C3 ),2.98(t,2H,
CH2 −C2 −S−CH3 ,J=7.7Hz),3.45(t,2H,C
2 −CH2 −S−CH3 ,J=7.9Hz),7.23(d,1H,ピロ
ール環C-H,J=2.0Hz),7.99(s,1H,ピリジン環C−),13.
14(brs,1H,ピロール環N−) 4)可視・紫外部スペクトル(λmax値,nm):(10mM リン
酸カリウム緩衝液 pH 7.0) 256, 273sh, 418
【0023】ベンジルIPQの物性 1)元素分析値:C221337 2O (MW 449.37) 理論値(%):C58.80 H3.36 N 9.35 実測値(%):C58.52 H3.61 N 9.14 2)IRスペクトル(νmax値,cm -1):(KBr) 2710br,s, 2490br,s, 1575br,s, 1490sh,s,1170vs, 980
w , 710 m , 690 m , 660 sh,w 3) 1H−NMRスペクトル (δ値,ppm):(DMSO-d6、 内
部標準:TMS) 4.67(s,2H,C2 −C65 ),7.02〜7.90(m,6H,ピロ
ール環C−, CH2 −C6 5 ),7.96(s,1H,ピリジ
ン環C−),12.95 (brs,1H,ピロール環N−) 4)可視・紫外部スペクトル(λmax値,nm):(10mM リン
酸カリウム緩衝液 pH 7.0) 256, 273sh, 419
【0024】4−ヒドロキシフェニルメチルIPQの物
1)元素分析値:C221338 2O (MW 465.37) 理論値(%):C56.78 H3.25 N 9.03 実測値(%):C56.51 H3.52 N 8.87 2)IRスペクトル(νmax値,cm -1):(KBr) 2810s , 2520s,sh, 1590s , 1500s ,1415 m , 1180vs,9
90 w,sh, 820 w,sh, 760 m , 730 m , 670 w,sh 3) 1H−NMRスペクトル (δ値,ppm):(DMSO-d6、 内
部標準:TMS) 4.54(s,2H,C2 −C64 OH),6.64(d,2H,J=8.6Hz,
CH2側ベンゼン環C−)6.81(d,2H,J=8.1Hz,OH側ベンゼ
ン環C−)7.31(d,1H,ピロール環C−, J=2.0Hz),7.
94(s,1H,ピリジン環C−),13.01(brs,1H,ピロール環
N−) 4)可視・紫外部スペクトル(λmax値,nm):(10mM リン
酸カリウム緩衝液 pH 7.0) 256, 270sh, 420
【0025】メトキシメチルIPQの物性 1 H−NMRスペクトル (δ値,ppm):(DMSO-d6、 内部標
準:TMS) 3.49(s, 3H), 4.93(s, 2H), 7.29(s, 1H), 8.09(s, 1
H).ホスホリロキシメチルIPQの物性 1 H−NMRスペクトル (δ値,ppm):(DMSO-d6、 内部標
準:TMS) 5.47(d, J=9.2Hz, 2H), 7.27(s, 1H), 8.17(s, 1H).カルバモイルIPQの物性 1 H−NMRスペクトル (δ値,ppm):(DMSO-d6、 内部標
準:TMS) 7.27(s, 3H), 7.84(s, 2H), 8.15(s, 1H), 8.55(s, 1
H).
【0026】また、本発明のIPQ類のモノエステル、
ジエステル、モノアミド、ジアミドあるいはモノエステ
ル・モノアミドとしては、一般式(I)に示したように
IPQ類の3位がカルボキシル基であり、Y1およびY2
がOR1(R1はアルキル基、アリル基、プロパギル基ま
たはベンジル基を示す)、NH−R2(R2はアルキル
基、アリル基またはベンジル基を示す)あるいはOHを
示す化合物である。
【0027】本発明に係わるIPQ類化合物の具体例と
しては、以下の化合物を挙げることができる。 化合物1:IPQ−9−メチルエステル(IPQ−9−
ME) 1,3−ジカルボキシ−7,10−ジヒドロ−メトキシ
カルボニル−7−オキソ−イミダゾ[4,5,1−i
j]ピロロ[2,3−f]キノリン 化合物2:IPQ−1,9−ジメチルエステル(IPQ
−1,9−DME) 3−カルボキシ−7,10−ジヒドロ−1,9−ジメト
キシカルボニル−7−オキソ−イミダゾ[4,5,1−
ij]ピロロ[2,3−f]キノリン 化合物3:IPQ−9−アリルエステル(IPQ−9−
AE) 9−アリロキシカルボニル−1,3−ジカルボキシ−
7,10−ジヒドロ−7−オキソ−イミダゾ[4,5,
1−ij]ピロロ[2,3−f]キノリン 化合物4:IPQ−9−ステアリルエステル(IPQ−
9−SE) 1,3−ジカルボキシ−7,10−ジヒドロ−9−オク
タデシロキシカルボニル−7−オキソ−イミダゾ[4,
5,1−ij]ピロロ[2,3−f]キノリン 化合物5:IPQ−1−アミルアミド(IPQ−1−A
A) 3,9−ジカルボキシ−7,10−ジヒドロ−7−オキ
ソ−1−N−n−ペンチルカルバモイル−イミダゾ
[4,5,1−ij]−ピロロ[2,3−f]キノリン 化合物6:IPQ−9−メチルエステル−1−アミルア
ミド(IPQ−9−ME−1−AA) 3−カルボキシ−7,10−ジヒドロ−1−N−n−ア
ミルカルバモイル−9−メトキシカルボニル−7−オキ
ソ−1−N−n−ペンチルカルバモイル−イミダゾ
[4,5,1−ij]ピロロ[2,3−f]キノリン
【0028】上記化合物の製造法について以下に詳しく
述べる。化合物1,2,3,4のIPQエステル化合物
は、式(III) に示したように対応するPQQエステル化
合物をホルマリン/塩化アンモニウムで処理することに
よって合成することができる。それらPQQエステルの
合成は同じく式(III) に示したように、PQQのトリエ
ステルから選択的な加水分解によって得ることができ
る。PQQのエステル化にはアルコールを用いた酸触媒
による反応、アルキルハライドと塩基を用いる反応、さ
らに、アルコールまたはアルコキシドと2−ハロビリジ
ニュム塩、ジカルボニルイミダゾール、ジシクロヘキシ
ルカルボジイミド等の反応助剤を用いる反応などによっ
て行うことができる。また、過水分解反応による選択的
な過水分解は、塩基または酸性条件下の反応以外に、ヨ
ウ化トリメチルシリル、ヨウ化リチウム、ハロゲン化ア
ルミニウム/アルキルチオール、臭化ほう素、青酸カリ
ウム等の反応試薬を用いることにより行うことが出来
る。
【0029】
【化6】
【0030】化合物5および6は、1−N−n−アミル
カルバモイル−7,10−ジヒドロ−3,9−ジメトキ
シカルボニル−7−オキソ−イミダゾ[4,5,1−i
j]ピロロ[2,3−f]キノリン(以下IPQ−3,
9−DME−1−AAと略す)得、これを加水分解する
ことにより得ることが出来る。なお、IPQ−3,9−
DME−1−AAは対応するPQQのエステル化合物を
ホルマリン/塩化アンモニウムで処理した後、1位カル
ボン酸を縮合剤を用いてアミンと反応させることによっ
て合成することができる。合成法を式(IV)に示す。
【0031】
【化7】 IPQ類のモノエステル、ジエステル、モノアミド、ジ
アミド、あるいはモノエステル・モノアミドの精製は、
適宜抽出、再結晶、シリカゲルクロマトグラフィー、逆
相クロマトグラフィー、ゲル濾過、濃縮、遠心、乾燥等
の操作を行うことによってこれを行うことが可能であ
る。また、得られた化合物の同定には、元素分析、核磁
気共鳴スペクトル、赤外吸収スペクトルおよび紫外・可
視吸収スペクトルなどの手段が用いられ、定量は、高速
液体クロマトグラフィーにより行うことが出来る。
【0032】化合物の物性を以下に示す。IPQ−9−ME(化合物1)の物性 1)融点:300℃以上(分解) 2)IRスペクトル(νmax値,cm -1):(KBr) 3380br,m,3172w ,2985m , 1705 s,1639vs,1497m
1255vs,998 m 3) 1H−NMRスペクトル(δ値,ppm):3.91(s,3H),
7.37(d,J=2Hz,1H),8.62(s,1H),9.68(s,1H),13.89(b
r,1H) 4)可視・紫外部スペクトル(λmax値,nm):(アセトニ
トリル中) 257,278,417IPQ−1,9−DME(化合物2)の物性 1)融点:300℃以上(分解) 2)IRスペクトル(νmax 値,cm -1):(KBr) 3431 br,m ,3271br,w,2980w ,1714s ,1645vs,1251
vs,995 w 3) 1H−NMRスペクトル(δ値,ppm):3.99(s,3H),
4.20(s,3H),7.43(d,J=2Hz,1H),8.41(s,1H),9.57(s,1
H),13.53(br,1H) 4)可視・紫外部スペクトル(λmax 値,nm):(アセトニ
トリル中) 255,276,417
【0033】IPQ−9−AE(化合物3)の物性 1)融点:250℃以上 2)IRスペクトル(νmax 値,cm -1):(KBr) 3140w ,1705s ,1620m ,1590m ,1230vs,1180m ,99
0 m 3) 1H−NMRスペクトル(δ値,ppm):4.86(m,2H),
5.3-5.6(m,2H),5.9-6.3(m,1H),7.25(s,1H),8.25(s,1
H),9.24(s,1H),13.17(br,1H) 4)可視・紫外部スペクトル(λmax 値,nm):(エタノー
ル中) 253,277,406IPQ−9−SE(化合物4)の物性 1)融点:250℃ 2)IRスペクトル(νmax 値,cm -1):(KBr) 3150w ,2920s ,2850s ,1705s ,1620m ,1590s ,12
40vs,990 w 3) 1H−NMRスペクトル(δ値,ppm):0.87(t-like,3
H),1.26(m,32H),4.41(m,2H),7.36(s,1H),8.55(s,1
H),9.42(s,1H),13.20(br,1H) 4)可視・紫外部スペクトル(λmax 値,nm):(エタノ
ール中) 253,277,412
【0034】IPQ−1−AA(化合物5)の物性 1)融点:300℃以上 2) 1H−NMRスペクトル(δ値,ppm):0.90(t-like,3
H), 1.1-1.6(m,6H), 3.47(m,2H), 7.29(d,J=2.6Hz,1H),
8.22(s,1H), 9.30(S,1H), 9.50(br,1H), 12.88(br,1H)IPQ−9−ME−1−AA(化合物6)の物性 1)融点:256ー260℃ 2) 1H−NMRスペクトル(δ値,ppm):0.90(t-like,3
H), 1.2-1.7(m,6H),3.41(m, 2H),7.33(d,J=2.3Hz,1H),
8.22(s,1H), 9.29(s,1H),13.00(br,1H) 本発明の有効成分を製剤化するには、界面活性剤、賦形
剤、着色料、保存量、コーティング助剤などが適宜使用
される。また、他の薬剤との併用も行うことが出来る。
【0035】[PQQおよびIPQ類の急性毒性および
腎毒性試験] (1)急性毒性試験 1)SPF−ICRマウス 雄、5週齢(日本チャ−ルズ
リバ−株式会社より購入)にPQQ・2NaおよびIP
Q類をマウス1kg当り20、40、80、160およ
び200mgのそれぞれを腹腔投与し、14日間、25
℃で飼育した。IPQ類としては、IPQ、1−メチル
プロピルIPQ、2−メチルチオエチルIPQおよびベ
ンジルIPQを用いた。なお、一群は8匹とした。その
結果、PQQ・2Na20mg/kg投与および40m
g/kg投与ではマウスは死亡しなかったが、80mg
投与で5匹、160mg投与および200mg投与で8
匹全部死亡した。PQQ・2NaのLD50は約70mg
/kgマウスであった。一方、IPQ類では全てのマウ
スが死亡しなかった。 2)SPF−ICRマウス 雄、5週齢(日本チャ−ルズ
リバ−株式会社より購入)にIPQをマウス1kg当り
0.1g、0.2g、0.4g、0.8g、あるいは
1.2gのそれぞれを腹腔投与し、14日間、25℃で
飼育した。なお、一群は8匹とした。IPQ0.1〜
0.4g投与ではすべてのマウスが死亡せず、0.8g
では2匹、1.0gでは3匹、1.2gでは6匹が死亡
した。LD50は約1.0g/kgマウスであった。 3)SPF−ICRマウス 雄、5週齢(日本チャ−ルズ
リバ−株式会社より購入)にIPQをマウス1kg当り
1.0g、1.5gあるいは2.0gをそれぞれ経口投
与し、14日間、25℃で飼育した。一群は8匹とし
た。すべてのマウスは死亡しなかった。1)〜3)の結果よ
り、IPQ類はPQQに比べて毒性が著しく低下してい
た。
【0036】(2)腎毒性 1)尿検査による腎毒性 急性毒性試験と同様にして、PQQ・2NaおよびIP
Q類を腹腔投与し、マウスを飼育した。毎日、マウスの
尿を採取し、臨床検査試薬(商品名 ウリステックスI
I、マイルス・三共株式会社製)を用いてグルコ−ス濃
度を調べた。表1に示すように、PQQ・2Naを投与
したマウスの尿からは糖が検出されたが、IPQ類を投
与したマウスの尿からは糖が検出されなかった。すなわ
ち、PQQは腎毒性が認められたが、IPQ類では腎毒
性が認められなかった。
【0037】
【表1】
【0038】2)血液検査による腎毒性 (イ)急性毒性試験と同様にして、PQQ・2Naおよ
びIPQ類を腹腔投与し、マウスを飼育した。投与1日
後に絶食(水は与える)し、さらに18時間後に採血し
て血清を得た。血清中のグルコ−ス、尿素態窒素および
クレアチニン(Creatinine)を臨床検査試薬(商品名
富士ドライケムスライド、富士写真フィルム株式会社
製)を用いて調べた。なお、各々の値は8匹の平均値で
示した。結果を表2に示す。PQQ・2Na投与では、
グルコ−スの大幅な減少、尿素態窒素およびクレアチニ
ンの大幅な増加がみられ、腎毒性が認められた。これに
対してIPQ類投与では、グルコ−ス、尿素態窒素およ
びクレアチニンのそれぞれの含有量は「無投与」の場合
と大差なかった。
【0039】
【表2】 (ロ)急性毒性試験と同様にして、IPQを150m
g、 300mg、400mgあるいは600mg/k
g腹腔投与し、マウスを1日飼育した。その後、絶食
(水は与える)し、さらに18時間後に採血して血清を得
た。血清中のグルコ−ス、尿素態窒素およびクレアチニ
ン(Creatinine)を臨床検査試薬(商品名 富士ドライ
ケムスライド、富士写真フィルム株式会社製)を用いて
調べた。なお、各々の値は8匹の平均値で示した。結果
を表3に示す。IPQのいずれの投与量でも、グルコ−
ス、尿素態窒素およびクレアチニンのそれぞれの含有量
は「無投与」の場合と大差はなかった。
【0040】
【表3】 (イ)(ロ)の結果より、PQQは腎毒性が認められた
が、IPQ類は腎毒性が認められなかった。
【0041】
【実施例】以下に、本発明に係わるIPQ類のモノエス
テル、ジエステル、モノアミド、ジアミドあるいはモノ
エステル・モノアミド化合物の糖尿病性合併症治療効果
を示す実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定
されるものではない。 実施例1IPQ−9−ME(化合物1)の製造 7,10−ジヒドロ−1,3,9−トリメトキシカルボ
ニル−7−オキソ−イミダゾ[4,5,1−ij]ピロ
ロ[2,3−f]キノリン(IPQ−1,3,9−トリ
メチルエステル)76.6mg(0.200mmol)
を300mlのアセトニトリルに懸濁させ、25℃にて
撹拌しながらこれに180mlの0.1M炭酸カリウム
水溶液を加えた。28分間激しく撹拌した後、30ml
の1N塩酸を加えて反応を停止した。反応混合物を12
0mlにまで濃縮した後、析出した固体を濾別し、ジメ
チルホルムアミド−イソプロピルエーテルから再結晶
し、61.2mg(収率86.2%)のIPQ−9−M
Eを橙色結晶として得た。
【0042】実施例2IPQ−1,9−DME(化合物2)の製造 以下のようにPQQトリメチルエステルから2段階で合
成した。 (1)7−カルボキシ−4,5−ジヒドロ−2,9−ジ
メトキシカルボニル−4,5−ジオキソ−1H−ピロロ
[2,3−f]キノリン(PQQ−2,9−DME)の
合成 PQQトリメチルエステル100mg(0.269mm
ol)を5mlのトリフロロ酢酸−水の混合溶媒(トリ
フルオロ酢酸/水=3/1)に溶かし、これを60℃に
て12時間加熱した。冷却後、15mlの水を加えてク
ロロホルムにて抽出した。硫酸ナトリウムにて乾燥後、
溶媒を留去し得られた橙色固体をエーテルにてよく洗浄
した。減圧乾燥後、64mg(収率67%)のPQQ−
2,9−DMEを橙赤色結晶として得た。この化合物の
物性は以下のごとくであった。 1)融点:219〜221℃ 2)紫外可視吸収スペクトル(メタノール中):λmax=2
58(ε=23,700), 279sh, 357(ε=12,900) nm 3)赤外吸収スペクトル(KBr法):νmax=3122br,m,
1747s , 1716vs, 1687s , 1294s , 1243s ,1218 s (cm
-1) 4) 1H−NMRスペクトル(重ジメチルスルホキシド溶
媒、テトラメチルシラン内部標準);δ=3.89(s,3
H), 4.05(s,3H), 7.28(s,1H), 8.56(s,1H),12.5
2(s,1H)ppm (2)IPQ−1,9−DME(化合物2)の合成 PQQ−2,9−DME 35.8mg(0.100m
mol)を15mlのメタノールに溶かし、これに37
%ホルマリン5mlと20%塩化アンモニウム3mlを
加えた。反応混合物を室温にて撹拌しながら反応溶液の
pHを4N水酸化ナトリウムにて5〜6として5時間撹
拌した。2N塩酸にて反応溶液のpHを1.5にしてか
ら、エバポレーターを用いて溶液を半分の用量にまで濃
縮した。析出した固体を濾別し、0.1N塩酸、エタノ
ール、エーテルにて洗浄した。減圧下乾燥して化合物2
30.1mg(収率81.6%)を橙色固体として得
た。
【0043】実施例3IPQ−9−AE(化合物3)の製造 (1)1,3,9−トリアリロキシカルボニル−7,1
0−ジヒドロ−7−オキソ−イミダゾ[4,5,1−i
j]ピロロ[2,3−f]キノリン(IPQ−1,3,
9−TAE)の合成 IPQ2g(5.9mmol)をヘキサメチルホスホリ
ックトリアミド200mlに溶解し、これに酸化銀6.
1g(26.4mmol)、ステアリルプロミド3.2
g(26.4mmol)を添加し、60℃で3時間反応
させた。反応液が室温になった後に、ろ過し、さらに濃
縮した。これに酢酸エチル1000mlと水800ml
を加えよく振とうし、静置後、水層を除去した。この有
機層を水400mlで4回洗浄し、有機層を回収し、濃
縮、乾燥した。得られた濃縮物をカラムクロマトグラフ
ィー(シリカゲル100g、展開溶媒クロロホルム)で
精製し、1.16g(収率42.9%)のIPQ−1,
3,9−TAEを橙色結晶として得た。この化合物の物
性は以下のごとくであった。 1)融点:177〜179℃以上 2)IRスペクトル(νmax値,cm -1):(KBr) 3160m ,2920s ,1700s ,1650s ,1410m ,1360m ,13
00m ,1210vs,1085m ,970 m ,920 m ,850 w ,750
w ,640 w 3) 1H−NMRスペクトル(δ値,ppm):4.8-6.3(m,15H)
,7.31(d,J=1.5Hz,1H),8.39(s,1H),9.25(s,1H),12.
50(br,1H) 4)可視・紫外部スペクトル(λmax値,nm):(アセトニト
リル中) 258(ε=20,300),277(16,400),414sh(10,700),432
(ε=12,900) (2)IPQ−9−AEの合成 IPQ−1,3,9−TAE1.0g(2.15mmo
l)をテトラハイドロフラン200mlに溶解し、さら
に0.1M炭酸カリウム水溶液200mlを添加し、2
5℃で3時間反応させた。この反応液に濃塩酸5mlを
加え、減圧下でテトラハイドロフランを留去し、これに
蒸留水100mlを加え、析出した結晶をろ過した。こ
の結晶をイソプロピルアルコール、メタノール、ジエチ
ルエーテルで洗浄した後、乾燥し、0.43gの化合物
3を橙色結晶として得た。
【0044】実施例4IPQ−9−SE(化合物4)の合成 (1)1,3,9−トリアリロキシカルボニル−7,1
0−ジヒドロ−7−オキソイミダゾ[4,5,1−i
j]ピロロ[2,3−f]キノリン(IPQ−1,3,
9−TSE)の合成 IPQ1g(2.9mmol)を33mlのヘキサメチ
ルホスホリックトリアミドに溶かし、これに酸化銀3.
06g(13.2mmol)、ステアリルプロミド4.
4g(13.2mmol)を加え、60℃で7時間反応
させた。反応液が室温になった後に、ろ過し、水300
mlを加え、さらに150mlのクロロホルムで3回抽
出した。抽出液を集め濃縮し、濃縮残渣にメタノール1
lを加え、析出した結晶を濾取した。得られた結晶をカ
ラムクロマトグラフィー(シリカゲル200g、展開溶
媒クロロホルム)で精製し、さらにメタノール1 で洗
浄し、真空乾燥後1.21g(収率37.6%)のIP
Q−1,3,9−TSEを黄色結晶として得た。この化
合物の物性は以下のごとくであった。 1)融点:105−110℃ 2)IRスペクトル(νmax値,cm -1): (KBr) 2920vs,2850s ,1714s ,1657s ,1254s 3) 1H−NMRスペクトル(δ値,ppm):0.83(t-like,9H)
,1.24(m,90H),1.88(m,6H),4.52(m,6H),7.57(s,1
H),8.42(s,1H) ,12.73(br,1H) 4)可視・紫外部スペクトル(λmax値,nm):(エタノール
中) 258,278,415 sh,434 (2)IPQ−9−SE(化合物4)の合成 IPQ−1,3,9−TSE0.91g(0.5mmo
l)をテトラハイドロフラン180mlに溶解し、さら
に0.1M炭酸カリウム水溶液180mlを添加し、4
0℃で5時間反応させた。この反応液に濃塩酸4.5m
lを加え、減圧下でテトラハイドロフランを留去し、こ
れに蒸留水100mlを加え、析出した結晶をろ過し
た。この結晶をイソプロピルアルコール、メタノール、
ジエチルエーテルで洗浄した後、乾燥し、0.46gの
化合物4を黄色結晶として得た。
【0045】実施例5IPQ−9−ME−1−AA(化合物6)の製造 以下のようにPQQトリメチルエステルから5段階で合
成した。 (1)7,9−ジカルボキシ−4,5−ジヒドロ−2−
メトキシカルボニル−4, 5−ジオキソ−1H−ピロ
ロ[2,3−f]キノリン(PQQ−2−ME)の合成 PQQトリメチルエステル150mg(0.403mm
ol)を75mlのアセトニトリルと75mlの0.1
M炭酸カリウム水溶液との混合溶媒に溶かし、これを2
5℃にて4時間撹拌した。反応混合物を濃塩酸にてpH
1に調整し、酢酸エチルにて抽出した。硫酸ナトリウム
にて乾燥後、溶媒を留去し得られた橙色固体をエーテル
にてよく洗浄した。減圧乾燥後、98mg(収率64
%)のPQQ−2−MEを赤色結晶として得た。この化
合物の物性は以下のごとくであった。 1)融点;>300℃(分解) 2)紫外可視吸収スペクトル(メタノール中); 250, 27
8 shsh, 323 (nm) 3)赤外吸収スペクトル(KBr法);νmax= 3448
br,m, 1713vs, 1683s ,1653 s , 1503 m, 1278 s, 1257
s, 1192 s(cm -1) 4) 1H−NMRスペクトル(重ジメチルスルホキシド溶
媒,テトラメチルシラン内部標準);δ= 3.87(s, 3
H), 7.27(s, 1H), 8.61(s, 1H),13.49(s, 1H)ppm. (2)9−カルボキシ−2,7−ジメトキシカルボニル
−4,5−ジヒドロ−4,5−ジオキソ−1H−ピロロ
[2,3−f]キノリン(PQQ−2,7−DME)の
合成 PQQ−2−ME85mg(0.247mol)を15
mlのメタノールに溶かし、これに濃硫酸0.3ml
を滴加し、この混合物を60℃にて4時間加熱した。反
応終了後0.1M炭酸カリウムにてpHを5に調整し酢
酸エチルにて抽出した。硫酸ナトリウムにて乾燥後、溶
媒を留去し得られた赤色固体をシリカゲルクロマトグラ
フィー(展開溶媒、酢酸エチル/酢酸=1/2)にて精
製したのち、酢酸エチルから再結晶して36mg(収率
41%)のPQQ−2,7−DMEを赤色結晶として得
た。この化合物の物性は以下のごとくであった。 1)融点;243〜244℃(分解) 2)紫外可視吸収スペクトル(メタノール中);λmax=
258( ε=23,500),279 sh, 354(ε=12,600) nm 3)赤外吸収スペクトル(KBr法);νmax= 3415
br,m, 1728vs, 1616s ,1433 m , 1261 s , 1236 s (cm
-1) 4) 1H−NMRスペクトル(重ジメチルスルホキシド溶
媒,テトラメチルシラン内部標準);δ= 3.87(s, 3
H), 3.95(s, 3H), 7.27(s, 1H), 8.63(s, 1H),14.52(s,
1H)ppm. (3)1−カルボキシ−7,10−ジヒドロ−3,9−
ジメトキシカルボニル−7−オキソ−イミダゾ[4,
5,1−ij]ピロロ[2,3−f]キノリン(IPQ
−3,9−DME)の合成 PQQ−2,7−DME362mg(1.01mmo
l)を90 mlのジメチルホルムアミドと200ml
のメタノールに溶解し、これに37%ホルマリン66ml
と20%塩化アンモニウム40mlを加えた。60℃に
19時間加熱した後、氷冷して析出する固体を濾別し、
0.1N塩酸で洗浄し減圧下乾燥し280mgの粗固体
を得た。固体を合わせてジメチルスルホキシドから再結
晶しIPQ−3,9−DME221mg(収率71.8
%)の橙色固体として得た。この化合物の物性は以下の
ごとくであった。 1)融点;>250℃(分解) 2)紫外可視吸収スペクトル(アセトニトリル中);λ
max= 254, 278, 416 nm 3)赤外吸収スペクトル(KBr法);νmax = 3234
br,w, 1722s , 1662s ,1444 m , 1257 vs , 931 w , (c
m -1) 4) 1H−NMRスペクトル(DMSO−d6、TM
S); δ= 3.95(s, 3H), 4.14(s, 3H), 7.41(d,J=2Hz,1H),
8.62(s, 1H),9.29(s, 1H), 12.75(br,1H) ppm (4)1−N−n−アミルカルバモイル−7,10−ジ
ヒドロ−3,9−ジメトキシカルボニル−7−オキソ−
イミダゾ[4,5,1−ij]ピロロ[2,3−f]キ
ノリンの合成 (3)で得たIPQ−3,9−DME100mg(0.
272mmol)とカルボニルジイミダゾール442m
g(2.72mmol)を10mlの乾燥ジメチルホル
ムアミドに溶解させ、この溶液を65℃に20時間加熱
した。次に、この反応溶液を氷冷しながら、475mg
(5.45mmol)のn−アミルアミンを1mlの乾
燥ジメチルホルムアミドで希釈した溶液を滴加した。氷
冷下2時間撹拌した後、反応混合物を100mlの1N塩
酸に注ぎクロロホルムで抽出した。有機層を1N塩酸、
水で洗浄後、硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を
留去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開
剤:クロオホルム/メタノール=95/5)で精製後、
クロロホルム/メタノールから再結晶して88.8mg
(収率84.7%)の標題化合物を橙色結晶として得
た。この化合物の物性は以下のごとくであった。 1)融点 218〜222℃ 2) 1H−NMRスペクトル(重クロロホルム溶媒、テトラメチルシラン
内部標準); δ=0.98(t-like,3H)、1.1-2.0(m,6H)、3.66(m,2
H)、3.97(s,3H)、4.10(s,3H)、7.27(d, J=2.6Hz,
1H)、7.85(s,1H)、7.90(br,1H)8.79(s,1H)、11.
77(br,1H)ppm (5)IPQ−9−ME−1−AA (4)で得た化合物79.3mg(0.182 mmo
l)を30mlのジメチルホルムアミドに溶解させ、こ
れに19mlの0.1M炭酸カリウム水溶液を加えた。
この溶液を60℃にて1時間撹拌した後、1N塩酸20
mlを加えた。析出する結晶を濾別し、蒸留水でよく洗
浄後、減圧下乾燥し、73.6mg(収率99.0%)
の標題化合物を橙色結晶として得た。
【0046】実施例6IPQ−1−AA(化合物5)の製造 実施例5で得られたIPQ−9−ME−1−AA(化合
物4)186mg(0.439mmol)を20mlの
ジメチルホルムアミドと150mlの0.1M炭酸カリ
ウム水溶液との混合溶媒に溶解させ、これを30℃にて
70時間撹拌した。反応混合物に6mlの濃塩酸を加
え、析出した固体を遠心分離した後、ジメチルホルムア
ミドから再結晶して139mg(収率77.1%)の化
合物4を橙色結晶として得た。
【0047】実施例7 犬の腎臓の随質を4倍容量の2mMジチオスレイトール
を含む10mMリン酸緩衝液(pH7.0)でホモジナ
イズし、遠心して得た上清をアフィニティークロマト、
ゲル濾過、クロマトフォーカシングで精製し、電気泳動
的に均一なアルドース還元酵素を得た。0.1Mリン酸
緩衝液(pH 6.2)0.8に、3mM NADPH
0.05、DL−グリセルアルデヒド0.1および蒸留
水0.04を加え、25℃3分間放置した後アルドース
還元酵素液0.01を加えて反応を開始し、25℃で3
40nmの吸光度の減少を経時的に測定した。なお、1
分間に1μmolのNADPHを消費する酵素量を1単
位とした。上記のアルドース還元酵素活性測定法の条件
で蒸留水0.04の代わりに、各種濃度の阻害物質水溶
液0.04を加えて酵素活性を測定し、阻害剤非存在下
での酵素活性との比較から阻害度を算出した。なお、阻
害物質として、IPQ、メチルIPQ、1−メチルプロ
プルIPQ、2−メチルプロプルIPQ、2−カルバモ
イルエチルIPQ、ヒドロキシメチルIPQ、2−メチ
ルチオエチルIPQ、2−カルボキシエチルIPQ、4
−ヒドロキシフェニルメチルIPQ、1−メチルエチル
IPQ、ベンジルIPQおよび対照としてPQQを用い
た。これら各物質のアルドース還元酵素に対する阻害率
を表4に示す。表から判るように、IPQ類はPQQに
比べて、強力なアルドース還元酵素阻害作用があること
が明かとなった。
【0048】
【表4】
【0049】実施例8 ウサギ水晶体を2倍容量の2mMジチオスレイトールを
含む10mMリン酸緩衝液(pH7.0)でホモジナイ
ズし、遠心分離して得た上清をアフィニティークロマ
ト、ゲル濾過、クロマトフォーカシングで精製し、電気
泳動的に均一なアルドース還元酵素を得た。実施例7と
同様な方法でウサギ水晶体のアルドース還元酵素に対す
るIPQ類およびPQQの阻害活性を調べた。これら各
物質のアルドース還元酵素に対する阻害率を表5に示
す。表からわかるようにIPQ類は、強力なアルドース
還元酵素阻害作用を示した。
【0050】
【表5】
【0051】実施例9 西村らの方法(西村ら、J.Biol.Chem.、第265巻、9788
頁−9792頁、1990年、Biochem. Biophys. Acta、in pre
ss、1991年、谷本&西村、実験医学、第9巻、第5号(増
刊)、165頁−170頁、1991年)によりバキュロウィルス
−昆虫細胞系を用いて組換え体のヒトのアルドース還元
酵素を大量発現させ、アフィニティークロマト、ゲル濾
過、クロマトフォーカシングで精製し、電気泳動的に均
一なアルドース還元酵素を得た。実施例1と同様な方法
で、組換え体のヒトのアルドース還元酵素に対するIP
Q類の阻害活性を調べた。これらの各物質のアルドース
還元酵素に対する阻害率を表6に示す。IPQ類は、ヒ
トのアルドース還元酵素に対して、強力な阻害作用を示
した。
【0052】
【表6】
【0053】実施例10 西村らの方法(西村ら、J. Biol. Chem., 第265巻, 978
8頁−9792頁, 1990年、Biochem. Biophys. Acta. 第107
8巻, 171頁−178頁, 1991年、谷本&西村,実験医学,第9
巻,第5号(増刊),165頁−170頁,1991年)によりバキュ
ロウィルス−昆虫細胞系を用いて組換え体のヒトのアル
ドース還元酵素を大量発現させ、アフィニティ−クロマ
ト、ゲル濾過、クロマトフォーカシングで精製し、電気
泳動的に均一なアルドース還元酵素を得た。0.1Mリ
ン酸緩衝液(pH6.2)0.8mlに、3mM NA
DPH 0.05ml、DL−グリセルアルデヒド
0.1mlおよび蒸留水0.04mlを加え、25℃3
分間放置した後アルドース還元酵素液0.01mlを加
えて反応を開始し、25℃で340nmの吸光度の減少
を経時的に測定した。なお、1分間に1μmolのNA
DPを消費する酵素量を1単位とした。上記のアルドー
ス還元酵素活性測定法の条件で蒸留水0.04mlの代
わりに、各種濃度の阻害物質水溶液0.04mlを加え
て酵素活性を測定し、阻害剤非存在下での酵素活性との
比較から活性を50%阻害するIC50値を算出した。阻
害物質として1,3−ジカルボキシ−7,10−ジヒド
ロ−9−メトキシカルボニル−7−オキソ−イミダゾ
[4,5,1−ij]ピロロ[2,3−f]キノリン
(化合物1、IPQ−9−MEと略す)、3−カルボキ
シ−7,10−ジヒドロ−1,9−ジメトキシカルボニ
ル−7−オキソ−イミダゾ[4,5,1−ij]ピロロ
[2,3−f]キノリン(化合物2、IPQ−1−9−
DMEと略す)、3,9−ジカルボキシ−7,10−ジ
ヒドロ−1−N−n−アミルカルバモイル−7−オキソ
−イミダゾ[4,5,1−ij]ピロロ[2,3−f]
キノリン(化合物3、IPQ−1−AAと略す)、3−
カルボキシ−7,10−ジヒドロ−1−N−n−アミル
カルバモイル−9−メトキシカルボニル−7−オキソ−
イミダゾ[4,5,1−ij]ピロロ[2,3−f]キ
ノリン(化合物4、IPQ−9−ME−1−AAと略
す)、1,9−ジカルボキシ−7,10−ジヒドロ−3
−メトキシカルボニル−7−オキソ−イミダゾ[4,
5,1−ij]ピロロ[2,3−f]キノリン(IPQ
−3−MEと略す)、1−カルボキシ−7,10−ジヒ
ドロ−3,9−ジメトキシカルボニル−7−オキソ−イ
ミダゾ[4,5,1−ij]ピロロ[2,3−f]キノ
リン(IPQ−3,9−DMEと略す)、7,10−ジ
ヒドロ−1,3,9−トリメトキシカルボニル−7−オ
キソ−イミダゾ[4,5,1−ij]ピロロ[2,3−
f]キノリン(IPQ−TMEと略す)、1−カルボキ
シ−7,10−ジヒドロ−9−メトキシカルボニル−7
−オキソ−イミダゾ[4,5,1−ij]ピロロ[2,
3−f]キノリン(IPQ−1−CA−9−MEと略
す)、1,3−ジエトキシカルボニル、7,10−ジヒ
ドロ−9−メトキシカルボニル−7−オキソ−イミダゾ
[4,5,1−ij]ピロロ[2,3−f]キノリン
(IPQ−9−ME−1,3−DEEと略す)、1−N
−n−アミルカルバモイル−7,10−ジヒドロ−3,
9−ジメトキシカルボニル−7−オキソ−イミダゾ
[4,5,1−ij]ピロロ[2,3−f]キノリン
(IPQ−3,9−ME−1−AAと略す)、および
7,10−ジヒドロ−1,3,9−N−n−アミルカル
バモイル−7−オキソ−イミダゾ[4,5,1−ij]
ピロロ[2,3−f]キノリン(IPQ−TAAと略
す)を対象として用いた。結果を表7に示す。
【0054】
【表7】 表7の結果よりイミダゾピロロキノリン類のエステルお
よびアミド化合物のうち、少なくとも3位がCOOHで
ある化合物つまり化合物1〜4で代表されるイミダジピ
ロロキノリン類の1位および9位の少なくとも一方がエ
ステルあるいはアミド体であるイミダジピロロキノリン
類のモノエステル、ジエステル、モノアミド、ジアミド
あるいはモノエステル・モノアミド化合物が強いアルド
ース還元酵素阻害活性を示すことが明かとなった。
【0055】実施例11 Sprague-Davleyラット(日本チャールズリバー株式会社
製)雄、3週齢、体重50〜60gのものを60匹使用
し、大きく2群に分け、1群には0.5重量%のIPQ
水溶液を1日2回、毎日点眼投与した。なお、市販粉末
飼料(日本クレア株式会社製)に食品添加物用のD−ガ
ラクトースを15重量%混合した粉末飼料を、すべての
ラットに自由摂取させた。実験開始後1週間ごとに両群
のラットをそれぞれ6匹づつ殺し、水晶体を摘出した。
摘出した水晶体に含まれるガラシトール含量を、高速液
体クロマトグラフィーで分析し、水晶体1g当たりに含
まれるガラクチトールの含量を算出した。結果を表9に
示す。IPQを点眼投与することにより、ガラクチトー
ルの増加は、抑制され、IPQがアルドース還元酵素阻
止活性を示すことが確認された。
【0056】
【表8】
【0057】実施例12 Sprague-Davleyラット(日本チャールズリバー株式会社
製)雄、4週齢、体重70〜80gを84匹使用し、1
群6匹として以下の実験を行った。ラットを正常群、5
0%ガラクトース食群、PQQ投与群、IPQ投与群に
分け、正常群には市販粉末飼料(日本クレア株式会社
製)を、50%ガラクトース食群、PQQ投与群、IP
Q投与群には市販粉末飼料に等重量の食品添加物用のD
−ガラクトースを混合した粉末飼料を自由摂取させた。
PQQおよびIPQ投与群には、ラット1kg当たり、
PQQ・2NaあるいはIPQをそれぞれ2mg、5m
g、10mg、20mgづつ腹腔内に1日1回、ガラク
トース食飼育開始と同時に飼育終了まで投与した。実験
開始後、6日目と9日目に眼球を実体顕微鏡で観察し、
次の判定基準により白内障の判定を行った。 A0:混濁なし(正常) A1:皮膜部分にうすい白濁 A2:皮膜部分に少し濃い白濁 A3:皮膜部分に濃い白濁 A4:皮膜部分に濃い白濁、核部分に少し白濁 A5:皮膜部分に濃い白濁、核部分に濃い白濁 結果を表9に示す。PQQの腹腔投与より白内障の進行
は抑えられるものの、PQQ・2Na10mg、20m
g/kgラット投与では、体重減少がみられ、PQQ・
2Na20mg/kgラット投与では、死亡するラット
も存在した。一方、IPQの腹腔投与では、PQQ投与
よりも白内障の進行を抑え、かつPQQ投与のように死
亡するラットは存在しなかった。
【0058】
【表9】
【0059】実施例13 Sprague-Davleyラット(日本チャールズリバー株式会社
製)雄、4週齢、体重70〜80gの物を36匹使用
し、1群6匹として以下の実験を行った。ラットを正常
群、50%ガラクトース食群、PQQ投与群、IPQ投
与群に分け、正常群には市販粉末飼料(日本クレア株式
会社製)を、50%ガラクトース食群、PQQ投与群、
IPQ投与群には市販粉末飼料に等重量の食品添加物用
のD−ガラクトースを混合した粉末飼料を自由摂取させ
た。PQQおよびIPQ投与群には、ラット1kg当た
り、PQQ・2NaあるいはIPQをそれぞれ、10m
g、20mgづつ経口に1日1回、ガラクトース食飼育
開始と同時に飼育終了まで投与した。実験開始後、6日
目と9日目に眼球を実体顕微鏡で観察し、実施例10と
同様な判定基準により白内障の判定を行った。結果を表
10に示す。PQQの経口投与による抗白内障効果は弱
かったがIPQの経口投与では白内障の進行が明らかに
抑えられた。
【0060】
【表10】
【発明の効果】イミダゾピロロキノリン類、およびその
エステル、アミド化合物のうち少なくとも3位がカルボ
キシル基であるイミダゾピロロキノリン類のモノエステ
ル、ジエステル、モノアミド、ジアミドあるいはモノエ
ステル・モノアミド化合物が、毒性がなく、かつ強いア
ルドース還元酵素阻害活性を示すことから、糖尿病性合
併症の予防および治療薬として利用される。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I) 【化1】 [ただし、Rは水素、カルバモイル基、フェニル基、4
    −メチルフェニル基、炭素数1乃至4のアルキル基また
    は水酸基、カルボキシル基、カルバモイル基、メチルメ
    ルカプト基、フェニル基、4−ヒドロキシフェニル基、
    メルカプト基、イミダゾリル基、アミノ基、グアニジノ
    基、メトキシ基もしくはリン酸基で置換された炭素数1
    乃至4のアルキル基を示す。Y1およびY2は、OR
    1(R1は、水素、アルキル基、アリル基、プロパギル
    基、ベンジル基、フェニル基およびアルコキシカルボニ
    ルメチル基を示す。)、NH−R2(R2は、アルキル
    基、アリル基、プロパギル基、ベンジル基、フェニル基
    およびアルコキシカルボニルメチル基を示す)]で示さ
    れるイミダゾピロロキノリン類および/またはそのモノ
    エステル、ジエステル、モノアミド、ジアミドあるいは
    モノエステル・モノアミド化合物を有効成分とする糖尿
    病合併症治療剤。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015189711A (ja) * 2014-03-28 2015-11-02 三菱瓦斯化学株式会社 イミダゾピロロキノリン塩

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