JPH1043965A - シールリング組付装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 １台の装置で、種々のサイズのワークに対す
る径の異なるシールリングの組付けに対応することがで
き、ガイド治具の交換作業が不要となって、シールリン
グ組付工程の効率化が達成できるシールリング組付装置
を提供する。 【解決手段】 複数のチャック片２ａに縦割りされた円
筒状ガイドチャック２と、同じく複数のプッシャ片２ａ
に縦割りされ、ガイドチャック２に外接して上下動する
円筒状プッシャ３とを設け、カム面４ａ，４ｂを備えた
テンプレート４をガイドチャック２の中空部内で上下動
させることによりガイドチャック２の各チャック片２ａ
を接近および離間させ、もってガイドチャック２および
プッシャ３の外径寸法を増減し、ワークＷおよびシール
リングＲのサイズ変化に対応する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、例えばピストンの
ような円筒形ワークの外周部に形成したシール溝にシー
ルリングを嵌め込むためのシールリング組付装置に係わ
り、とくにワークおよびシールリングの径変化に対応す
ることができ、１台の装置で種々の大きさのワークにそ
れぞれの径のシールリングを組付けることができるシー
ルリング組付装置に関するものである。

【０００２】

【発明が解決しようとする課題】上記したような円筒形
ワークの外周部に形成したシール溝にシールリングを嵌
め込むに際しては、下端面の径をワークの外径に一致さ
せた円錐台型のガイドをワークの上に載置し、プッシャ
を用いて、ガイド上端の細径部に嵌合したシールリング
をガイドの斜面に沿って太径側に押し込むことによって
拡径しながら、シールリングをワークの外周部に移動さ
せ、ワーク外周部に形成したシール溝に嵌合させるよう
にしている関係上、ワークの種類に応じた数だけ専用の
ガイドを用意しなければならず、その製作コストや保管
スペースの問題のみならず、その交換に時間を要し、シ
ールリングの組付工程全体のサイクルタイムが長くなる
という問題点があって、これらの問題点を解決すること
がシールリングの組付工程における能率およびコスト上
の課題となっていた。

【０００３】

【発明の目的】本発明は、シールリングの組付作業にお
ける上記課題に着目してなされたものであって、１台の
装置によって、サイズの異なるワークにそれぞれの径の
シールリングを組付けることができ、ガイドの製作や保
管スペースが不要となると共に、ガイド交換によるロス
タイムがなくなり、シールリング組付工程の効率化が可
能なシールリング組付装置を提供することを目的として
いる。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１に係わ
るシールリング組付装置は、円筒状をなすワークの外周
部に形成したシール溝内にシールリングを嵌合するシー
ルリング組付装置であって、複数個のチャック片に縦割
りされた中空円筒形をなし、先端部がシールリングの内
周部に嵌合するガイドチャックと、同じく複数個のプッ
シャ片に縦割りされた中空円筒形をなし、前記ガイドチ
ャックに外接すると共に当該ガイドチャックの軸方向に
摺動可能に配設されたプッシャと、前記ガイドチャック
の各チャック片を互いに接近および離間する方向に移動
させるチャック径変更手段を備えている構成としたこと
を特徴としており、このようなシールリング組付装置の
構成を前述した従来の課題を解決するための手段として
いる。

【０００５】本発明に係わるシールリング組付装置の実
施態様として請求項２に係わる装置においては、チャッ
ク径変更手段が、カム面を有すると共にガイドチャック
の中空部内に軸方向に移動自在に配設されたテンプレー
トと、ガイドチャックの各チャック片に固定され前記テ
ンプレートのカム面に当接するフォロワからなる構成と
し、同じく実施態様として請求項３に係わるシールリン
グ組付装置においては、テンプレートが軸方向に離間し
た少なくとも２箇所にカム面を備えている構成とし、請
求項４に係わるシールリング組付装置においては、ワー
クを保持するワーク受け台を備え、当該ワーク受け台に
は、前記プッシャの先端部との間にシールリングを挟持
しつつプッシャと共に移動するバックアッププレートが
設けてある構成とし、さらに実施態様として請求項５に
係わるシールリング組付装置においては、テンプレート
の先端部にワークの軸孔に嵌合するセンタリングロケー
トを備えている構成とし、このようなシールリング組付
装置の構成を前述した従来の課題を解決するための手段
としたことを特徴としている。

【０００６】

【発明の効果】本発明の請求項１に係わるシールリング
組付装置は、複数のチャック片に縦割りされた中空円筒
状のガイドチャックと、同じく複数のプッシャ片に縦割
りされ、ガイドチャックに外接して上下動する中空円筒
状のプッシャと、チャック径変更手段からなるものであ
るから、チャック径変更手段によってガイドチャックの
各チャック片を互いに接近する方向に移動させることに
よって、ガイドチャックおよびプッシャの外径寸法を減
少させると共に、各チャック片を互いに離間する方向に
移動させることによって、ガイドチャックおよびプッシ
ャの外径寸法を増加させることができるので、ワークの
サイズおよびシールリングの径変化に１台の装置で対応
することができ、ガイドの製作コストやガイドの保管ス
ペースが不要となると共に、ガイド交換によるロスタイ
ムがなくなり、シールリング組付工程の効率化が達成さ
れるという極めて優れた効果をもたらすものである。

【０００７】本発明に係わるシールリング組付装置の実
施態様として請求項２に係わる装置は、チャック径変更
手段の具体的構造を規定するものであって、チャック径
変更手段が、カム面を有しガイドチャックの中空部内に
軸方向に移動自在に備えられたテンプレートと、ガイド
チャックの各チャック片に固定されテンプレートのカム
面に当接するフォロワからなる構成としたものであるか
ら、テンプレートの移動によって、カム面に当接するフ
ォロワを介してガイドチャックの各チャック片が離間お
よび接近する方向に移動することから、ガイドチャック
およびプッシャの外径寸法を増減することができ、請求
項２に係わるシールリング組付装置の実施態様として請
求項３に係わる装置は、テンプレートが少なくとも２箇
所にカム面を備えているので、ガイドチャックの各チャ
ック片およびプッシャのプッシャ片を常に平行に保持す
ることができ、各チャック片の平行移動が確保されるの
で、ガイドチャック径の制御を正確に行うことができる
という優れた効果がもたらされる。

【０００８】本発明に係わるシールリング組付装置の他
の実施態様として請求項４に係わる装置は、プッシャと
共に移動可能なバックアッププレートを備えたワーク受
け台を備えているので、シールリングのシール溝への装
着に際して、シールリングをプッシャの先端とバックア
ッププレートとの間に挟持した状態でシール溝まで移動
させ、シール溝に嵌合することができるので、カットシ
ールのような薄くて偏平なシールリングをも、よじれた
り、つぶれたり、シール溝からはみ出したりすることな
く、正確に装着することができ、同じく実施態様として
請求項５に係わるシールリング組付装置は、テンプレー
トの先端部にワークの軸孔に嵌合するセンタリングロケ
ートを備えているので、ワークに対するガイドチャック
およびプッシャの位置合わせを正確に行うことができ、
芯ずれに基づくシールリングの挿入不良を未然に防止す
ることができるという優れた効果をもたらすものであ
る。

【０００９】

【実施例】以下、本発明を図面に基づいて具体的に説明
する。

【００１０】図１ないし図３は、本発明の一実施例に係
わるシールリング組付装置の構造を示す縦断面図および
水平断面図である。

【００１１】すなわち、図１に示すシールリング組付装
置１は、シールリングＲを拾い上げてワークＷに形成さ
れたシール溝Ｇ1 ，Ｇ2 内に嵌め込む組付ヘッド２と、
ワークＷを保持するワーク受け台３とに大別され、この
うち組付ヘッド２は、図２の水平断面図に示すように、
この実施例においては、全体として中空円筒形をなし、
縦に８分割されたチャック片４ａからなるガイドチャッ
ク４と、同じく全体として中空円筒形をなし、縦に８分
割されたプッシャ片５ａからなり、前記ガイドチャック
４に外接して図１中の上下方向に摺動するプッシャ５
と、前記ガイドチャック４の中空部内に位置して図示し
ない電動モータによって昇降作動するテンプレート６か
ら主に構成されている。

【００１２】ガイドチャック４の各チャック片４ａは、
テンプレート６を昇降自在に支持する第１リング７から
水平方向に放射状に延出するチャック開閉ガイドピン７
ａによって水平方向に移動自在に支持されると共に、図
３の水平断面図にも示すように、ロックナット付きの支
持ボルト８（フォロワ）を上下２箇所にそれぞれ備え、
後述するプッシャ５の外周部に嵌め込まれたコイルばね
１０，１０の弾性力によって、当該支持ボルト８の先端
部が前記テンプレート６の上下２箇所に形成したカム面
６ａ，６ｂに当接するようになっている。

【００１３】プッシャ５の各プッシャ片６ａは、前記第
１リング７の上方に位置し、第１リング７とともにテン
プレート６を昇降自在に支持する第２リング９から水平
方向に放射状に延出するプッシャ開閉ガイドピン９ａに
よって水平方向に移動自在に支持されると共に、外周部
の上下２箇所に形成された溝内にリング状のコイルばね
１０，１０が嵌め込まれており、これらコイルばね１
０，１０によってプッシャ片５ａおよびチャック片４ａ
が常に縮径方向（中心方向）に付勢されている。

【００１４】したがって、テンプレート６をモータによ
って上昇させることにより、テンプレート６のカム面６
ａ，６ｂに当接する支持ボルト８によって各チャック片
４ａが接近してガイドチャック４の径が縮小され、逆に
テンプレート６を下降させることによって、各チャック
片４ａが離間する方向に移動し、ガイドチャック４の径
が拡大する仕組みとなっている。なお、テンプレート６
を昇降させる駆動機構としては、電動モータのみなら
ず、例えばシリンダーなどを使用することも可能であ
る。

【００１５】これらガイドチャック４とプッシャ５と
は、第１リング７と第２リング９との間に設けたコイル
ばね１１を介して連結されており、当該コイルばね１１
の伸縮によってプッシャ５がガイドチャック４の外周側
に沿って上下動するようにしてある。

【００１６】また、テンプレート６の下端部には、ワー
ク受け台２に載置されたワークＷの軸孔Ｓに嵌合するセ
ンタリングロケート６ｃが比較的弱いコイルばね６ｄに
付勢されて伸縮可能に取付けられている。さらにテンプ
レート６には、その側面から放射状に延出する振れ止め
ピン６ｅが取付けてあり、この振れ止めピン６ｅがチャ
ック片４ａおよびプッシャ片５ａに形成された縦溝４ｃ
および５ｃに係合することにより、テンプレート６とガ
イドチャック４およびプッシャ５の間の相対的な位置ず
れが防止されるようになっている。

【００１７】ワーク受け台２は、中央部に、載置された
ワークＷの軸孔Ｓに嵌合する位置決め突起１２ａを備え
たベース部１２と、このベース部１２にコイルばね１３
ａを介して上下動可能に支持された大径部用バックアッ
ププレート１３と、シリンダ１４ａによって前進および
後退作動すると共に、コイルばね１４ｂを介して上下動
可能に支持された小径部用バックアッププレート１４か
ら構成されており、シールリングＲの装着に際して、バ
ックアッププレート１３および１４がプッシャ５の下端
部に取付けられた押込爪５ｄとの間にシールリングＲを
挟持した状態でプッシャ５と共に下降することによっ
て、シールリングＲがワークＷのシール溝Ｇ1 ，Ｇ2 に
嵌合するまでシールリングＲの形状を保持し、シールリ
ングＲのよじれやつぶれ、シール溝Ｇ1 ，Ｇ2 からのは
み出しを防止する機能を備えている。

【００１８】以下に、このような構造を備えたシールリ
ング組付装置１を使用して、ワークＷのシール溝Ｇ1 ，
Ｇ2 にそれぞれ径の異なるシールリングＲを嵌合する要
領について簡単に説明する。

【００１９】まず、図示しない電動モータを作動させ、
テンプレート６を上昇させることによって、プッシャ５
およびガイドチャック４の径を縮小し、ガイドチャック
４の外径を小径部用シールリングＲの内径よりも僅かに
小さい寸法に合わせる。

【００２０】次に、シールリング組付装置１の組付ヘッ
ド２をフィーダーから供給されたシールリングＲの直上
位置に移動させると共に、図４に示すように下降させ、
センタリングロケート６ｃによってセンタリングしなが
ら、ガイドチャック４の下端部をシールリングＲの内周
部に挿入したのち、電動モータを逆回転することによっ
てテンプレート６を下降させ、ガイドチャック４の径を
拡大することによってシールリングＲをガイドチャック
４の先端部にチャックする。このとき、ガイドチャック
４のチャック片４ａおよびプッシャ５のプッシャ片５ａ
は、前述のように、ガイドピン７ａおよび９ａによって
支持され、しかもチャック片４ａに取付けられた支持ボ
ルト８が上下２箇所に設けられたカム面６ａ，６ｂにお
いてテンプレート６に当接しているので、チャック片４
ａおよびプッシャ片５ａの径方向の移動が円滑なものと
なり、ガイドチャック４の径を正確に制御することがで
きる。

【００２１】次に、組付ヘッド２を移動させ、図１に示
したように、ワーク受け台２上に位置決めされたワーク
Ｗの直上位置から組付ヘッド２を下降させ、センタリン
グロケート６ｃをワークＷの軸孔Ｓに挿入することによ
ってセンタリングを行うと共に、テンプレート６をさら
に下降させることによって、ガイドチャック４の外径を
ワークＷの小径部の外径に一致させる。

【００２２】そして、組付ヘッド２をさらに下降させる
ことによって、図５に示すように、ガイドチャック４を
ワークＷの上端面に着座させる。

【００２３】この状態で、組付ヘッド２をさらに下降さ
せると、図６に示すように、ガイドチャック４がワーク
Ｗの上端面に着座していることから、コイルばね１１が
圧縮され、プッシャ５がガイドチャック４の外周部に沿
って下降して、プッシャ５の下端部に取付けた押込爪５
ｄがシールリングＲを押し下げる結果、シールリングＲ
がガイドチャック４からワークＷの小径部外周、さらに
はシール溝Ｇ1 に移行し、シールリングＲがシール溝Ｇ
1 内に嵌合する。

【００２４】このとき、プッシャ５の押込爪５ｄによっ
て押し下げられたシールリングＲは、図７（ａ）および
（ｂ）に示すように、コイルばね１４ｂ（図６参照）に
よってフロート状態に支持された小径部用バックアップ
プレート１４によって受け止められ、当該バックアップ
プレート１４と押込爪５ｄの間に挟持された状態でワー
クＷの外周部をシール溝Ｇ1 に向けて移動することにな
るため、シール溝Ｇ1に嵌合するまで本来の形状に保持
されることから、シール溝Ｇ1 からはみ出したり、ねじ
れたり、つぶれたりすることなくワークＷに装着され
る。

【００２５】ワークＷの小径部シール溝Ｇ1 へのシール
リングＲの装着ののち、組付ヘッド２を上昇させると、
コイルばね１１が伸長することによって、ガイドチャッ
ク４の下端部がプッシャ５の下端部から突出するので、
この状態で当該組付ヘッド２をシールリングＲのフィー
ダーまで移動し、図４と同様の要領により、新たに供給
された大径部用のシールリングＲをガイドチャック４の
下端部にチャックし、上記と同様の要領により、このシ
ールリングＲをワークＷのシール溝Ｇ2 に嵌合する。

【００２６】このとき、小径部用バックアッププレート
１４は、シリンダ１４ａの作動によって、大径部へのシ
ールリング装着の邪魔にならない位置に後退しており、
大径部用バックアッププレート１３がバックアッププレ
ート１４と同様の機能を発揮するので、大径部用シール
リングＲもシール溝Ｇ2 からはみ出したり、ねじれた
り、つぶれたりすることなく、同様にワークＷに装着す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係わるシールリング組付装置の一実施
例を示す縦断面図である。

【図２】図１の切断線II−IIについての拡大水平断面図
である。

【図３】図１の切断線 III−III についての拡大水平断
面図である。

【図４】図１に示したシールリング組付装置のガイドチ
ャック下端部にシールリングをチャックした状態を示す
縦断面図である。

【図５】ガイドチャック下端部にチャックしたシールリ
ングをワークの外径に合わせて拡径した状態を示すシー
ルリング組付装置の縦断面図である。

【図６】プッシャの下降によってシールリングがワーク
のシール溝に嵌合する状況を示すシールリング組付装置
の縦断面図である。

【図７】（ａ）および（ｂ）はシールリングがワークの
シール溝に嵌合する状況を示すそれぞれ拡大断面図であ
る。

【符号の説明】

１ シールリング組付装置 ２ ガイドチャック ２ａ チャック片 ３ プッシャ ３ａ プッシャ片 ４ テンプレート ４ａ，４ｂ カム面 ５ ワーク受け台 ７ 支持ボルト（フォロワ） １２，１３ バックアッププレート Ｗ ワーク Ｇ1 ，Ｇ2 シール溝 Ｓ 軸孔 Ｒ シールリング

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 円筒状をなすワークの外周部に形成した
   シール溝内にシールリングを嵌合するシールリング組付
   装置であって、 複数個のチャック片に縦割りされた中空円筒形をなし、
   先端部がシールリングの内周部に嵌合するガイドチャッ
   クと、同じく複数個のプッシャ片に縦割りされた中空円
   筒形をなし、前記ガイドチャックに外接すると共に当該
   ガイドチャックの軸方向に摺動可能に配設されたプッシ
   ャと、前記ガイドチャックの各チャック片を互いに接近
   および離間する方向に移動させるチャック径変更手段を
   備えていることを特徴とするシールリング組付装置。
2. 【請求項２】 チャック径変更手段は、カム面を有する
   と共にガイドチャックの中空部内に軸方向に移動自在に
   配設されたテンプレートと、ガイドチャックの各チャッ
   ク片に固定され前記テンプレートのカム面に当接するフ
   ォロワからなることを特徴とする請求項１記載のシール
   リング組付装置。
3. 【請求項３】 テンプレートが軸方向に離間した少なく
   とも２箇所にカム面を備えていることを特徴とする請求
   項２記載のシールリング組付装置。
4. 【請求項４】 ワークを保持するワーク受け台を備え、
   当該ワーク受け台には、前記プッシャの先端部との間に
   シールリングを挟持しつつプッシャと共に移動するバッ
   クアッププレートが設けてあることを特徴とする請求項
   １ないし請求項３のいずれかに記載のシールリング組付
   装置。
5. 【請求項５】 テンプレートの先端部にワークの軸孔に
   嵌合するセンタリングロケートを備えていることを特徴
   とする請求項１ないし請求項４のいずれかに記載のシー
   ルリング組付装置。