JPH104301A - 静磁波装置 - Google Patents

静磁波装置

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JPH104301A
JPH104301A JP17732696A JP17732696A JPH104301A JP H104301 A JPH104301 A JP H104301A JP 17732696 A JP17732696 A JP 17732696A JP 17732696 A JP17732696 A JP 17732696A JP H104301 A JPH104301 A JP H104301A
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JP
Japan
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magnetostatic wave
saturation
wave device
ferrimagnetic
thin film
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Application number
JP17732696A
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English (en)
Inventor
Takekazu Okada
田 剛 和 岡
Satoru Niimura
村 悟 新
Hiroyasu Matsuzaki
崎 宏 泰 松
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Murata Manufacturing Co Ltd
Original Assignee
Murata Manufacturing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 巻き込み幅が小さく周波数選択性の良い静磁
波装置を提供する。 【解決手段】 静磁波装置10は、飽和電力の異なる2
つのフェリ磁性素子12および13を含む。静磁波装置
10の入力側に飽和電力の大きなフェリ磁性素子12が
配置され、出力側に飽和電力の小さいフェリ磁性素子1
3が配置され、両者は直列に接続される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は静磁波装置に関
し、特に、静磁波の周波数選択的な飽和現象を利用する
もの、たとえば静磁波フィルタやS/Nエンハンサなど
に関する。
【0002】
【従来の技術】図15(A)は、この発明の背景となる
従来の静磁波装置の一例を示す平面図解図であり、図1
5(B)は、その側面図解図である。この静磁波装置1
は、静磁波の飽和現象を利用した静磁波フィルタとして
用いられるものである。なお、静磁波の飽和現象とは、
静磁波フィルタへの入力信号の電力がある一定の飽和電
力を越えたときに、周波数選択的に出力信号の電力がそ
れ以上上がらなくなることをいう。
【0003】この静磁波装置1は、フェリ磁性素子2を
含む。フェリ磁性素子2は、矩形状のGGG(ガドリニ
ウム−ガリウム−ガーネット)基板3の上にフェリ磁性
基体としてのYIG(イットリウム−アイアン−ガーネ
ット)薄膜4を積層して形成される。YIG薄膜4の主
面上には、入力トランスデューサ5aおよび出力トラン
スデューサ5bが間隔を隔てて平行に形成される。表面
静磁波は、入力トランスデューサ5aから出力トランス
デューサ5bへ向かって、YIG薄膜4の長手方向へ伝
搬する。YIG薄膜4の長手方向の両端部には、不要な
静磁波を吸収するための静磁波吸収手段6が設けられ
る。なお、図中において、LはYIG薄膜4の幅長を示
し、dは厚みを示す。
【0004】この静磁波装置1を静磁波フィルタとして
使用する際には、直流磁界がYIG薄膜4に平行で、か
つ表面静磁波(MSSW)の伝搬方向と垂直な方向へ印
加される。この直流磁界を外部磁界Hexという。そし
て、入力トランスデューサ5aに高周波信号が入力され
るとMSSWが励起される。励起されたMSSWは、伝
搬して出力トランスデューサ5bにより受信され、再び
高周波信号として出力される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
静磁波の飽和現象を利用した静磁波装置1では、入力信
号の電力(入力電力)が、飽和電力以上になると飽和し
て信号に飽和制限がかかる。このとき、図16に示すよ
うな巻き込み現象が起こる。巻き込み現象とは、図16
(A)に示すような信号が入力されたとき、飽和制限を
受けて減衰する周波数の信号に巻き込まれ、理想的には
飽和制限を受けずにそのまま出力されるべき周波数の信
号までが、図16(B)に斜線で示すように制限されて
減衰してしまうことをいう。この巻き込み現象により減
衰する領域(巻き込み領域)の幅は、図2に示すよう
に、入力電力と飽和電力の比〔Pin/Pth(dB)〕が
大きくなるにつれて指数関数的に大きくなる。そして、
巻き込み領域の幅(巻き込み幅)が拡がると、静磁波の
飽和現象における特徴である周波数選択性が失われる。
そのため、巻き込み幅の大きさは、飽和現象を利用した
静磁波フィルタやS/Nエンハンサの周波数選択性に大
きく影響し、巻き込み幅が大きくなるほど、静磁波装置
の周波数選択性が悪化する。
【0006】それゆえに、この発明の主たる目的は、巻
き込み幅が小さく周波数選択性の良い静磁波装置を提供
することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の静磁波
装置は、静磁波の飽和現象を利用した静磁波装置におい
て、静磁波の周波数選択性を改善するため、入力された
信号に対して少なくとも2回以上の飽和制限をかけるこ
とを特徴とする、静磁波装置である。
【0008】請求項2に記載の静磁波装置は、直列に接
続された飽和電力の異なる複数のフェリ磁性素子を含
む、請求項1に記載の静磁波装置である。
【0009】請求項3に記載の静磁波装置は、一つのフ
ェリ磁性基体中を伝搬する信号に対して徐々に飽和制限
をかけるため、外部からフェリ磁性基体へ与える磁界に
分布をつけることにより、フェリ磁性基体の内部磁界を
不均一に分布させ、フェリ磁性基体中の位置により飽和
電力を異ならせたことを特徴とする、請求項1に記載の
静磁波装置である。
【0010】請求項4に記載の静磁波装置は、一つのフ
ェリ磁性基体中を伝搬する信号に対して徐々に飽和制限
をかけるため、フェリ磁性基体の厚みおよび/または幅
長に傾斜をつけることにより、フェリ磁性基体の内部磁
界を不均一に分布させ、フェリ磁性基体中の位置により
飽和電力を異ならせたことを特徴とする、請求項1に記
載の静磁波装置である。
【0011】
【作用】請求項1に記載の静磁波装置では、入力された
信号に対する飽和制限を複数回に分けて行う。すると、
同じ量の飽和制限をかけるのであれば、飽和制限を1回
でかける従来例に比べて、入力電力と飽和電力の比〔P
in/Pth(dB)〕が小さくなる。そのため、巻き込み
幅が小さくなり、静磁波装置の周波数選択性が改善され
る。
【0012】また、請求項2に記載の静磁波装置では、
飽和電力の異なる複数のフェリ磁性素子が直列に接続さ
れているので、一つのフェリ磁性素子により飽和制限が
かけられた信号に対して、別のフェリ磁性素子によりさ
らに飽和制限がかかる。そのため、入力された信号に対
して飽和制限を複数回に分けて段階的にかけることがで
きる。すると、同じ量の飽和制限をかけるのであれば、
飽和制限を1回でかける従来例に比べて、入力電力と飽
和電力の比〔Pin/Pth(dB)〕が小さくなる。その
ため、巻き込み幅が小さくなり、静磁波装置の周波数選
択性が改善される。
【0013】請求項3に記載の静磁波装置では、外部か
らフェリ磁性基体へ与える磁界に分布をつけることによ
り、フェリ磁性基体の内部磁界を不均一に分布させ、フ
ェリ磁性基体中の位置により飽和電力を異ならせてい
る。そのため、入力側から出力側へ伝搬する信号に対し
て徐々に飽和制限がかかる。すると、同じ量の飽和制限
をかけるのであれば、飽和制限を1回でかける従来例に
比べて、入力電力と飽和電力の比〔Pin/Pth(d
B)〕が小さくなる。そのため、巻き込み幅が小さくな
り、静磁波装置の周波数選択性が改善される。
【0014】請求項4に記載の静磁波装置では、フェリ
磁性基体の厚みおよび/または幅長に傾斜をつけること
により、フェリ磁性基体の内部磁界を不均一に分布さ
せ、フェリ磁性基体中の位置により飽和電力を異ならせ
ている。そのため、入力側から出力側へ伝搬する信号に
対して徐々に飽和制限がかかる。すると、同じ量の飽和
制限をかけるのであれば、飽和制限を1回でかける従来
例に比べて、入力電力と飽和電力の比〔Pin/Pth(d
B)〕が小さくなる。そのため、巻き込み幅が小さくな
り、静磁波装置の周波数選択性が改善される。
【0015】
【発明の効果】この発明によれば、巻き込み幅が小さ
く、周波数選択性の良い静磁波装置を得ることができ
る。
【0016】この発明の上述の目的,その他の目的,特
徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明の実施
の形態の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0017】
【発明の実施の形態】
【実施例】図1は、この発明の一実施例を示す平面図解
図である。図1に示す静磁波装置10は、静磁波の飽和
現象を利用した静磁波フィルタとして用いられるもので
ある。この実施例では、飽和電力Pthの異なるフェリ磁
性素子12とフェリ磁性素子13とが準備される。そし
て、静磁波装置10の入力側に飽和電力の高いフェリ磁
性素子12が配置され、出力側に飽和電力の低いフェリ
磁性素子13が配置されて、両者が直列に接続される。
【0018】一方のフェリ磁性素子12は、矩形状のG
GG基板の上にフェリ磁性基体としてのYIG薄膜14
を積層して形成される。YIG薄膜14の主面上には、
入力トランスデューサ16aおよび出力トランスデュー
サ16bが間隔を隔てて平行に形成される。また、YI
G薄膜14の長手方向の両端部には、不要な静磁波を吸
収するための静磁波吸収手段18が形成される。他方の
フェリ磁性素子13は、平面矩形状のGGG基板の上に
フェリ磁性基体としてのYIG薄膜15を積層して形成
される。YIG薄膜15の主面上には、入力トランスデ
ューサ17aおよび出力トランスデューサ17bが間隔
を隔てて平行に形成される。また、YIG薄膜15の長
手方向の両端部には、不要な静磁波を吸収するための静
磁波吸収手段18が形成される。そして、フェリ磁性素
子12の出力トランスデューサ16bが、フェリ磁性素
子13の入力トランスデューサ17aと電気的に接続さ
れる。
【0019】YIG薄膜14および15には、外部磁界
Hexとしての直流磁界がYIG薄膜14および15に
平行で、かつ表面静磁波(MSSW)の伝搬方向と垂直
な方向へ印加される。この場合、外部磁界Hexは、Y
IG薄膜14および15の両側に平行に配置された永久
磁石により均一に印加される。そして、フェリ磁性素子
12の入力トランスデューサ16aに高周波信号が入力
されると、MSSWが励起され、飽和制限を受けつつY
IG薄膜14の長手方向へ伝搬する。伝搬したMSSW
は、出力トランスデューサ16bにより受信され、再び
高周波信号として出力される。そして、この高周波信号
が、フェリ磁性素子13の入力トランスデューサ17a
に再び入力される。すると、MSSWが励起され、飽和
制限を受けつつYIG薄膜15の長手方向へ伝搬する。
伝搬したMSSWは、出力トランスデューサ17bによ
り受信され、再び高周波信号として出力される。
【0020】図2は、Pin/Pth(dB)と、巻き込み
幅(MHz)との関係を示すグラフである。図2に示す
ように、Pin/Pthが小さくなると、巻き込み幅も指数
関数的に小さくなる。このため、たとえば、入力信号に
対する飽和制限(Pin/Pth)が10dBになるようフ
ェリ磁性素子12を準備し、さらに、フェリ磁性素子1
2からの信号に対する飽和制限(Pin/Pth)が10d
Bになるようフェリ磁性素子13を準備することによ
り、静磁波装置10全体としては、入力信号に対して2
0dBの飽和制限(Pin/Pth)をかけることができ
る。そしてこのとき、巻き込み幅は、図2からわかるよ
うに7MHzになる。それに対して、図15に示した従
来の静磁波装置10で1回で20dBの飽和制限をかけ
る場合には、巻き込み幅が12MHzになる。このよう
に、図1に示す静磁波装置10によれば、入力側に飽和
電力の高いフェリ磁性素子12を配置し、出力側に飽和
電力の低いフェリ磁性素子13を接続しているので、信
号に対する飽和制限を、2つのフェリ磁性素子12,1
3によって2回に分けて段階的にかけることができる。
このため、飽和制限が大きいときにも、従来の静磁波装
置に比べて、入力電力Pinと飽和電力Pthの比〔Pin
th(dB)〕が小さくなり、巻き込み幅が小さくな
る。そのため、この静磁波装置10は、従来のものに比
べて周波数選択性が向上する。
【0021】なお、上述の実施例において、直列に接続
する静磁波フィルタとしてのフェリ磁性素子は、2つだ
けに限らず、さらに多数個のフェリ磁性素子を入力側か
ら出力側へ向かって飽和電力が段々と低くなるように配
列して接続してもよい。
【0022】図3は、この発明の他の実施例を示す平面
図解図である。図3に示す静磁波装置20は、静磁波の
飽和現象を利用した静磁波フィルタとして用いられるも
のである。静磁波装置20は、図1に示した静磁波装置
10と同様のフェリ磁性素子12を一つだけ含む。ま
た、この静磁波装置20の磁界印加装置22は、一対の
永久磁石24aおよび24bを含む。永久磁石24a
は、フェリ磁性素子12の幅方向の一方側に所定の間隔
をおいて、かつ、MSSWの伝搬方向に対して斜めに延
びるように配置され、永久磁石24bは、フェリ磁性素
子12の幅方向の他方側に所定の間隔をおいて、かつ、
MSSWの伝搬方向に対して平行に延びるように配置さ
れる。しかも、この場合の一対の永久磁石24aおよび
24b間は、フェリ磁性素子12の入力トランスデュー
サ16a側においてフェリ磁性素子12に近く、出力ト
ランスデューサ16b側へいくに従い徐々に遠ざかるよ
う形成される。そのため、外部磁界Hexは、フェリ磁
性素子12の入力側から出力側へ向かって密から疎に徐
々に変化しながら分布することになる。このような分布
のつけられた外部磁界HexがYIG薄膜14に印加さ
れると、図5(A)に示すように、YIG薄膜14の内
部磁界Hinも入力トランスデューサ16a側から出力ト
ランスデューサ16b側へいくに従い強から弱へと徐々
に変化して不均一に分布する。この場合、図17に示す
ように、静磁波装置の挿入損失ILおよび飽和電力Pth
は、フェリ磁性基体の内部磁界Hinの強弱に比例して増
減変化するので、飽和電力PthがYIG薄膜14中の位
置により異なる値となり、入力トランスデューサ16a
側から出力トランスデューサ16b側にいくに従い大き
な値から小さな値へと徐々に変化する。したがって、入
力トランスデューサ16a側から出力トランスデューサ
16b側へ伝搬する信号に対して徐々に飽和制限がかか
るので、入力電力と飽和電力の比〔Pin/Pth(d
B)〕が小さくなる。そのため、この静磁波装置20
は、従来のものに比べて巻き込み幅が小さくなり、周波
数選択性が向上する。また、この静磁波装置20では、
一つのフェリ磁性素子で多段階的な飽和制限を行えるの
で、上述の効果に加えて、高周波信号と静磁波との変換
ロスを低減することができ、さらに装置の構造が簡単に
なる。
【0023】図4は、図3に示した実施例の変形例を示
す平面図解図である。図4に示す静磁波装置21も、静
磁波の飽和現象を利用した静磁波フィルタとして用いら
れるものである。静磁波装置21は、図3に示した静磁
波装置10と比べて、磁界印加装置の構造において相違
する。静磁波装置21の磁界印加装置22は、一対の永
久磁石24aおよび24bを含む。一対の永久磁石24
aおよび24bは、フェリ磁性素子12の幅方向両側に
所定の間隔をおいて、互いに平行に配置される。そし
て、永久磁石24aおよび24bのフェリ磁性素子12
と対向した側面には、それぞれ磁性体からなるポールピ
ース26aおよび26bが形成される。ポールピース2
6aおよび26bは、それぞれ平面弓型形状に形成され
る。したがって、この磁界印加装置21は、入力トラン
スデューサ16a側からフェリ磁性素子12の中央へい
くに従いフェリ磁性素子12から徐々に遠ざかり、さら
に、フェリ磁性素子12の中央から出力トランスデュー
サ16b側へいくに従いフェリ磁性素子12へ徐々に近
づくよう形成されている。そのため、外部磁界Hex
は、フェリ磁性素子12の入力トランスデューサ16a
側から出力トランスデューサ16b側へいくに従い密か
ら疎へ徐々に変化し、引き続き疎から密へと徐々に変化
する。この外部磁界HexがYIG薄膜14に印加され
ると、図5(B)に示すように、YIG薄膜14の内部
磁界Hinも入力側から出力側へいくに従い強から弱へ徐
々に変化し、引き続き弱から強へと徐々に変化する。こ
の場合、図17に示すように、静磁波装置の挿入損失I
Lおよび飽和電力Pthは、フェリ磁性基体の内部磁界H
inの強弱に比例して増減変化する。したがって、この実
施例の静磁波装置21でも、入力トランスデューサ16
a側から出力トランスデューサ16b側へ伝搬する信号
に対して徐々に飽和制限がかかる。このため、この静磁
波装置21によっても、図3に示したものと同様の効果
を得ることができる。
【0024】図6(A)は、この発明の他の実施例を示
す平面図解図であり、図6(B)は、その側面図解図で
ある。図6に示す静磁波装置30も、静磁波の飽和現象
を利用した静磁波フィルタとして用いられるものであ
る。図6に示す静磁波装置30は、図15に示した従来
の静磁波装置1と比べて、YIG薄膜の幅長に傾斜をつ
けた点において相違する。すなわち、静磁波装置30
は、長手方向一端側から他端側へいくに従い徐々に幅長
が狭くなるよう形成されたフェリ磁性素子32を含む。
フェリ磁性素子32は、平面三角形状のGGG基板34
の上にフェリ磁性基体としてのYIG薄膜36を積層し
て形成される。YIG薄膜36の主面上には、入力トラ
ンスデューサ38aおよび出力トランスデューサ38b
が間隔を隔てて平行に形成される。表面静磁波は、入力
トランスデューサ38aから出力トランスデューサ38
bへ向かって、YIG薄膜36の長手方向へ伝搬する。
また、YIG薄膜36の入力トランスデューサ38a側
の端部には、不要な静磁波を吸収するための静磁波吸収
手段18が設けられる。この静磁波装置30を静磁波フ
ィルタとして使用する際には、外部磁界HexがYIG
薄膜36に平行で、かつ表面静磁波(MSSW)の伝搬
方向と垂直な方向へ均一に印加される。そして、入力ト
ランスデューサ38aに高周波信号が入力されると、M
SSWが励起される。励起されたMSSWは、飽和制限
を受けつつ伝搬して出力トランスデューサ38bにより
受信され、再び高周波信号として出力される。図10に
示すように、フェリ磁性基体の幅長と飽和電力とは比例
する。したがって、この静磁波装置30では、YIG薄
膜36中の位置により飽和電力Pthが異なる値となり、
入力トランスデューサ38a側から出力トランスデュー
サ38b側にいくに従い大きな値から小さな値へと徐々
に変化する。そのため、入力トランスデューサ38a側
から出力トランスデューサ38b側へ伝搬する信号に対
して徐々に飽和制限がかかるので、大きな飽和制限をか
ける場合にも、入力電力と飽和電力の比〔Pin/P
th(dB)〕が小さくなる。そのため、この静磁波装置
30では、図11に示すように、従来のものに比べて巻
き込み幅が小さくなり、周波数選択性が向上する。ま
た、この静磁波装置30では、一つのフェリ磁性素子で
多段階的な飽和制限を行えるので、上述の効果に加え
て、高周波信号と静磁波との変換ロスを低減することが
でき、さらに装置の構造が簡単になる。また、YIG薄
膜36の幅長を狭くすることにより、反磁界係数が大き
くなり内部磁界が弱くなるので、より効果が増す。さら
に、この静磁波装置30では、YIG薄膜36の形状を
調整することにより、飽和電力の調整をすることができ
るので、所望の特性を得ることが比較的容易である。
【0025】図7(A)は、図6に示した実施例の変形
例を示す平面図解図であり、図7(B)は、その側面図
解図である。図7に示す静磁波装置31は、静磁波の飽
和現象を利用したS/Nエンハンサとして用いられるも
のである。図7に示す静磁波装置31は、図6に示した
静磁波装置30と比べて、トランスデューサが一本しか
形成されない点において相違する。この静磁波装置31
をS/Nエンハンサとして使用する際には、外部磁界H
exがYIG薄膜36に平行で、かつ表面静磁波(MS
SW)の伝搬方向と垂直な方向へ均一に印加される。そ
して、トランスデューサ38aに高周波信号が入力され
ると、MSSWが励起され伝搬する。しかし、飽和制限
を受けた信号は、静磁波に変換されずにトランスデュー
サ38aから再び高周波信号として出力される。静磁波
フィルタをS/Nエンハンサに応用した静磁波装置31
の場合にも、図6に示した静磁波装置30と同様の効果
を得ることができる。
【0026】図8(A)は、図6に示した実施例の他の
変形例を示す平面図解図であり、図8(B)は、その側
面図解図である。図8に示す静磁波装置40は、静磁波
の飽和現象を利用した静磁波フィルタとして用いられる
ものである。図8に示す静磁波装置40は、図6に示し
た静磁波装置30と比べて、YIG薄膜の形状において
相違する。すなわち、静磁波装置40のYIG薄膜46
は、GGG基板44の上に先端の切り落とされた平面略
直角三角形状に形成され、その長手方向の両端部に静磁
波吸収手段18が形成される。図8に示す静磁波装置4
0でも、図6に示したものと同様の作用効果を得ること
ができる。
【0027】図9(A)は、図6に示した実施例のさら
に他の変形例を示す平面図解図であり、図9(B)は、
その側面図解図である。図9に示す静磁波装置50も、
静磁波の飽和現象を利用した静磁波フィルタとして用い
られるものである。図9に示す静磁波装置50は、図6
に示した静磁波装置30と比べて、YIG薄膜の形状に
おいて相違する。すなわち、静磁波装置50のGGG基
板54の上に形成されるYIG薄膜56は、長手方向の
略中央部の両側が略V字形状に切り欠かれたような形状
に形成される。したがって、図9に示す静磁波装置50
でも、図6から図8に示した静磁波装置と同様に、静磁
波(MSSW)の伝搬する経路の途中に、YIG薄膜の
幅長が入力トランスデューサ38aの形成された部分よ
りも狭い部分を有することになる。そのため、図9に示
す静磁波装置50でも、図6に示したものと同様の作用
効果を得ることができる。
【0028】図12(A)は、この発明のさらに他の実
施例を示す平面図解図であり、図12(B)は、その側
面図解図である。図12に示す静磁波装置60も、静磁
波の飽和現象を利用した静磁波フィルタとして用いられ
るものである。図12に示す静磁波装置60は、図6に
示した静磁波装置30と比べて、YIG薄膜の厚みに傾
斜をつけた点において相違する。すなわち、静磁波装置
60は、長手方向一端側から他端側へいくに従い徐々に
厚みが薄くなるよう形成されたフェリ磁性素子62を含
む。フェリ磁性素子62は、GGG基板64の上に側面
から見て三角形状のYIG薄膜66を積層して形成され
る。また、YIG薄膜66の両端部には、それぞれ不要
な静磁波を吸収するための静磁波吸収手段18が設けら
れる。
【0029】図14に示すように、フェリ磁性基体の膜
厚と飽和電力とは比例する。したがって、この静磁波装
置60では、YIG薄膜36中の位置により飽和電力P
thが異なる値となり、入力トランスデューサ38a側か
ら出力トランスデューサ38b側にいくに従い大きな値
から小さな値へと徐々に変化する。そのため、入力トラ
ンスデューサ38a側から出力トランスデューサ38b
側へ伝搬する信号に対して徐々に飽和制限がかかるの
で、大きな飽和制限をかける場合にも入力電力と飽和電
力の比〔Pin/Pth(dB)〕が小さくなる。そのた
め、この静磁波装置60でも、図6に示したものと同様
の作用効果を得ることができる。
【0030】図13(A)は、図12に示した実施例の
変形例を示す平面図解図であり、図13(B)は、その
側面図解図である。図13に示す静磁波装置70も、静
磁波の飽和現象を利用した静磁波フィルタとして用いら
れるものである。図13に示す静磁波装置70では、図
12に示したものと比べて、YIG薄膜の形状において
相違する。すなわち、静磁波装置70のGGG基板74
の上に形成されるYIG薄膜76は、長手方向の略中央
部の厚みが略V字形状に切り欠かれたような形状に形成
される。したがって、図13に示す静磁波装置70で
も、図12に示した静磁波装置と同様に、静磁波(MS
SW)の伝搬する経路の途中に、YIG薄膜の厚みが入
力トランスデューサ38aの形成された部分よりも狭い
部分を有することになる。そのため、図13に示す静磁
波装置70でも、図12に示したものと同様の作用効果
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の一実施例を示す平面図解図
である。
【図2】図2は、Pin/Pth(dB)と、巻き込み幅
(MHz)との関係を示すグラフである。
【図3】図3は、この発明の他の実施例を示す平面図解
図である。
【図4】図4は、図3に示した実施例の変形例を示す平
面図解図である。
【図5】図5(A)は、図3に示す静磁波装置におい
て、フェリ磁性基体中の位置と内部磁界との関係を示す
グラフであり、図5(B)は、図4に示す静磁波装置に
おいて、フェリ磁性基体中の位置と内部磁界との関係を
示すグラフである。
【図6】図6(A)は、この発明のさらに他の実施例を
示す平面図解図であり、図6(B)は、その側面図解図
である。
【図7】図7(A)は、図6に示した実施例の変形例を
示す平面図解図であり、図7(B)は、その側面図解図
である。
【図8】図8(A)は、図6に示した実施例の他の変形
例を示す平面図解図であり、図8(B)は、その側面図
解図である。
【図9】図9(A)は、図6に示した実施例のさらに他
の変形例を示す平面図解図であり、図9(B)は、その
側面図解図である。
【図10】図10は、フェリ磁性基体の幅長と飽和電力
との関係を示すグラフである。
【図11】図11は、図6に示す静磁波装置のPin/P
th(dB)と、−3dB巻き込み幅(MHz)との関係
を示すグラフである。
【図12】図12(A)は、この発明の別の実施例を示
す平面図解図であり、図12(B)は、その側面図解図
である。
【図13】図13(A)は、図12に示した実施例の変
形例を示す平面図解図であり、図13(B)は、その側
面図解図である。
【図14】図14は、フェリ磁性基体の膜厚と飽和電力
との関係を示すグラフである。
【図15】図15(A)は、この発明の背景となる従来
の静磁波装置の一例を示す平面図解図であり、図15
(B)は、その側面図解図である。
【図16】図16(A)は、静磁波装置への入力信号を
示す図解図であり、図16(B)は、飽和制限を受けた
出力信号を示す図解図である。
【図17】入力信号の周波数と静磁波装置の挿入損失お
よび飽和電力との関係を内部磁界の強弱によって示すグ
ラフである。
【符号の説明】
10,20,21,30,31,40,50,60,7
0 静磁波装置 12,13,32,42,52,62,72 フェリ磁
性素子 14,15,36,46,56,66,76 YIG薄
膜 16a,17a,38a 入力トランスデューサ 16b,17b,38b 出力トランスデューサ 18 静磁波吸収手段 22 磁界印加装置 24a,24b 永久磁石 26a,26b ポールピース 34,44,54,64,74 GGG基板

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 静磁波の飽和現象を利用した静磁波装置
    において、 静磁波の周波数選択性を改善するため、入力された信号
    に対して少なくとも2回以上の飽和制限をかけることを
    特徴とする、静磁波装置。
  2. 【請求項2】 直列に接続された飽和電力の異なる複数
    のフェリ磁性素子を含む、請求項1に記載の静磁波装
    置。
  3. 【請求項3】 一つのフェリ磁性基体中を伝搬する信号
    に対して徐々に飽和制限をかけるため、 外部から前記フェリ磁性基体へ与える磁界に分布をつけ
    ることにより、前記フェリ磁性基体の内部磁界を不均一
    に分布させ、前記フェリ磁性基体中の位置により飽和電
    力を異ならせたことを特徴とする、請求項1に記載の静
    磁波装置。
  4. 【請求項4】 一つのフェリ磁性基体中を伝搬する信号
    に対して徐々に飽和制限をかけるため、 前記フェリ磁性基体の厚みおよび/または幅長に傾斜を
    つけることにより、前記フェリ磁性基体の内部磁界を不
    均一に分布させ、前記フェリ磁性基体中の位置により飽
    和電力を異ならせたことを特徴とする、請求項1に記載
    の静磁波装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6816038B2 (en) * 2000-11-22 2004-11-09 Sanyo Electric Co., Ltd. Magnetostatic wave device and disturbance wave eliminator
WO2009069360A1 (ja) * 2007-11-29 2009-06-04 Murata Manufacturing Co., Ltd. 非可逆回路素子

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US7859358B2 (en) 2007-11-29 2010-12-28 Murata Manufacturing Co., Ltd. Non-reciprocal circuit device

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