JPH1041052A - セラミックス抵抗発熱体及びその製造方法 - Google Patents
セラミックス抵抗発熱体及びその製造方法Info
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- JPH1041052A JPH1041052A JP8193425A JP19342596A JPH1041052A JP H1041052 A JPH1041052 A JP H1041052A JP 8193425 A JP8193425 A JP 8193425A JP 19342596 A JP19342596 A JP 19342596A JP H1041052 A JPH1041052 A JP H1041052A
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Abstract
クスヒーター用として、長時間の反復使用が可能である
高耐久性のセラミックス抵抗発熱体を提供する。 【解決手段】 体積固有抵抗が106Ω・cm以上であ
る絶縁性物質と体積固有抵抗が0.1Ω・cm以下であ
る導電性物質から構成され、かつ電気絶縁性を示す基体
中に、基体と同一の絶縁性物質と導電性物質から構成さ
れ、かつ導電性を示す抵抗発熱体が埋設されて、一体に
成形、焼結されてなるセラミックス抵抗発熱体であっ
て、基体中の導電性物質の含有量(体積分率)(A)と
抵抗発熱体中の導電性物質の含有量(体積分率)(B)
との比率(A)/(B)が0.75〜1.10であり、
かつ基体中に分散した導電性物質の単位断面積当たりの
存在個数(C)と抵抗発熱体中に分散した導電性物質の
単位断面積当たりの存在個数(D)との比率(C)/
(D)が2.5〜30の範囲に制御されており、かつ基
体部の抵抗率(E)と抵抗発熱体部の抵抗率(F)との
比率(E)/(F)が102以上であることを特徴とす
る。
Description
発熱体に関する。本発明のセラミックス抵抗発熱体は、
自動車用酸素センサー及びグロープラグ、半導体加熱用
ヒーター並びに石油ファンヒーター等の各種燃焼機器の
点火用ヒーターまたは石油気化器用熱源などに利用され
る。
使用されるガスや灯油を用いた給湯器や暖房器等の各種
燃焼機器の点火用ヒーターとしては、従来より高電圧の
火花放電を利用した放電点火方式の各種点火器具が広く
利用されており、最近では小型の電子制御装置が搭載さ
れ、加熱時の温度制御や燃焼状態の安定化が図られてい
る。しかしながら、放電点火方式の各種点火器具は、点
火時の放電に伴う電波障害により、搭載された電子制御
装置を誤動作させる他、周囲の通信機器に雑音を発生さ
せるなど、点火信頼性、未着火の場合の安全性に問題が
あった。
確実に点火して安全性、信頼性を向上させ、耐久性に優
れた高性能な点火用ヒーターとして、従来の放電点火方
式の各種点火器具に代わり、無機導電物質より成る抵抗
発熱体を電気絶縁性セラミックス中に埋設したセラミッ
クス抵抗発熱体が注目されている。また、ディーゼルエ
ンジンの始動を容易にするために、燃焼室内にセラミッ
クス製のグロープラグを装着し発熱部に通電加熱して燃
料の着火、燃焼を促すことが行われている。この発熱部
を構成するセラミックス抵抗発熱体としては、例えば、
特開昭61−235613号に示されたようなタングス
テン、モリブデン等の高融点金属のコイル状発熱抵抗体
を電気絶縁性セラミックス中に埋設した構造のグロープ
ラグが使用されてきた。
トダウンを目的として、無機導電物質より成る抵抗発熱
体を電気絶縁性セラミックス中に埋設したセラミックス
抵抗発熱体が注目されている。セラミックス抵抗発熱体
に使用される電気絶縁性セラミックスとしては、酸化
物、窒化物、酸窒化物等の種々の材料が使用される。セ
ラミックス抵抗発熱体の用途、要求性能により、マグネ
シア−アルミナ−シリカ系化合物から窒化ケイ素まで、
種々の材料が検討されているが、いづれの材料において
も耐熱衝撃性と耐久性の改善が技術開発の主要課題とな
っている。
耐熱衝撃性及び高温強度が他の材料よりも優れている窒
化ケイ素質焼結体や窒化アルミニウム質焼結体等の非酸
化性セラミックスを基体部または電気絶縁性物質として
使用し、タングステン(W)、モリブデン(Mo)等の
高融点金属もしくはこれらの化合物が抵抗発熱体または
導電性物質として使用されている。例えば、抵抗発熱体
のペーストを基体上にパターン印刷したり、パターン印
刷した抵抗発熱体を基体中に埋設して焼成一体化したも
のが利用されている。もう少し穏和な条件で使用される
用途に対しては、アルミナ、アルミナ−シリカ系化合
物、またはマグネシア−アルミナ−シリカ系化合物が基
体部または電気絶縁性物質として使用されている。
基体部と抵抗発熱体部とでは、その部位を構成する成分
の種類、組成が異なるため、熱膨張係数に差異を生じ、
昇降温の熱サイクルの際の熱応力により、基体部と抵抗
発熱体部との界面にクラックが発生するという問題があ
った。この熱膨張係数のミスマッチは、セラミックス抵
抗発熱体の開発において、解決すべき最重要課題の一つ
である。
の点火用ヒーターにおいては、確実な点火という観点か
ら、ヒーターの表面温度は1000℃以上である必要が
ある。特に、天然ガスや噴霧された石油を点火する場合
には、前記の表面温度は最低1150℃以上に上昇して
いる必要がある。また、ディーゼルエンジンの始動に使
用されるグロープラグにおいても、近年、グロープラグ
の速熱性をさらに向上させ、エンジン始動までの待ち時
間を短縮させたいという要求が高まっており、プラグ温
度を従来の1000〜1100℃から1200〜130
0℃に高める必要が生じている。このため、熱膨張係数
のミスマッチに起因する熱応力の発生の問題は、更に深
刻なものとなっている。
63−96883号公報や特開平5−36470号公報
に見られるように、基体部に使用される電気絶縁性の窒
化ケイ素質焼結体中にケイ化モリブデン(MoSi2)
等の導電性物質を分散させて、基体部と抵抗発熱体部と
の熱膨張係数のミスマッチを低減しようとする試みが提
案されている。しかしながら、このような試みも、必ず
しもセラミックス抵抗発熱体の抵抗変化や断線という問
題を解決して、十分に耐久性を向上させたという成果を
もたらしているとは言い難い。
℃以上の高温に発熱させるセラミックスヒーター用とし
て、長時間の反復使用が可能である高耐久性のセラミッ
クス抵抗発熱体を提供することを目的としている。ま
た、本発明はこのような高特性の要求に対して、基体部
を構成する各材料毎に各材料の特性を十分に発揮し、で
きるだけ低価格の材料で、できるだけ高特性なヒーター
性能を発揮できるような普遍的原理を提案することによ
り、セラミックス抵抗発熱体を製造する際における微細
構造制御の指針を明示することにある。
抗が106Ω・cm以上である窒化物、酸化物及び酸窒
化物から選ばれる少なくとも一種の絶縁性物質と体積固
有抵抗が0.1Ω・cm以下である金属単体又は合金、
炭化物、窒化物、珪化物、硼化物及びそれらの複合化合
物から選ばれる少なくとも一種の導電性物質から構成さ
れ、かつ電気絶縁性を示す基体中に、基体と同一の絶縁
性物質と導電性物質から構成され、かつ導電性を示す抵
抗発熱体が埋設されて、一体に成形、焼結されてなるセ
ラミックス抵抗発熱体であって、基体中の導電性物質の
含有量(体積分率)(A)と抵抗発熱体中の導電性物質
の含有量(体積分率)(B)との比率(A)/(B)が
0.75〜1.10であり、かつ基体中に分散した導電
性物質の単位断面積当たりの存在個数(C)と抵抗発熱
体中に分散した導電性物質の単位断面積当たりの存在個
数(D)との比率(C)/(D)が2.5〜30の範囲
に制御されており、かつ基体部の抵抗率(E)と抵抗発
熱体部の抵抗率(F)との比率(E)/(F)が102
以上であることを特徴とするセラミックス抵抗発熱体に
関する。
・cm以上である窒化物、酸化物及び酸窒化物から選ば
れる少なくとも一種の絶縁性物質と体積固有抵抗が0.
1Ω・cm以下である金属単体又は合金、炭化物、窒化
物、珪化物、硼化物及びそれらの複合化合物から選ばれ
る少なくとも一種の導電性物質から構成され、かつ電気
絶縁性を示す基体中に、基体と同一の絶縁性物質と導電
性物質から構成され、かつ導電性を示す抵抗発熱体が埋
設されてなるセラミックス抵抗発熱体を製造するに際
し、基体に用いる絶縁性物質の原料粉末のメジアン平均
粒径(G)と抵抗発熱体に用いる絶縁性物質の原料粉末
のメジアン平均粒径(H)との比率(G)/(H)が1
/20〜1/8となるように調整された2種類の粒度の
原料粉末を用い、これらに導電性物質を添加、混合した
後、一体に成形、焼結することを特徴とするセラミック
ス抵抗発熱体の製造方法に関する。
固有抵抗が106Ω・cm以上である絶縁性物質と体積
固有抵抗が0.1Ω・cm以下である導電性物質から構
成され、かつ電気絶縁性を示す基体中に、基体と同一の
絶縁性物質と導電性物質から構成され、かつ導電性を示
す抵抗発熱体が埋設されている。
ルミニウム、窒化ホウ素等の窒化物、α−サイアロン
(Lnx(Si,Al)12(O,N)16;Lnは希土類元素、0<x≦
2)、β−サイアロン(Si6-zAlzOzN8-z;0<z<4.
2)、酸窒化ケイ素(Si2ON2)等の酸窒化物、アルミナ
等の単一酸化物、及びムライト(3Al2O3 2SiO2)、長石
質磁器(SiO2-Al2O3系)等のアルミナ−シリカ系化合
物、コージェライト(2MgO 2Al2O3 5SiO2)、スピネル
(MgAl2O4)、ステアタイト(MgSiO3)、フォルステラ
イト(Mg2SiO4)、サフィリン(4MgO 5Al2O3 2SiO2)等
のマグネシア−アルミナ−シリカ系化合物、サンボナイ
ト(BaO 2SiO2)、セルシアン(BaO Al2O3 2SiO2)等の
酸化バリウム−アルミナ−シリカ系化合物などの複合酸
化物を主成分とする各種のセラミックス材料が挙げられ
る。
(W;熱膨張係数5.0×10-6/℃(RT〜1500
℃))、モリブデン(Mo;熱膨張係数6.0×10-6
/℃(RT〜1500℃))、レニウム(Re)、鉄
(Fe)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、W−M
o合金、W−Re合金、W−Co合金、W−Zr合金、
Ni−Cr合金(80%Ni−20%Cr)、カンタル
合金(Cr22%、Al5.5%、Ni72.5%)、
MCrAlY合金(M;Fe、Ni、Co、NiCo)
等の金属単体又は合金、炭化タングステン(WC)、炭
化タンタル(TaC)、炭化チタン(TiC)等の金属
炭化物、窒化チタン(TiN)、窒化ジルコニウム(Z
rN)、窒化ニオブ(NbN)等の金属窒化物、ケイ化
モリブデン(MoSi2、Mo5Si3、Mo4.8Si3C
0.6)、ケイ化タングステン(WSi 2、W5Si3)、ケ
イ化タンタル(TaSi2)等の金属珪化物、ホウ化チ
タン(TiB2)、ホウ化ジルコニウム(ZrB2)等の
金属硼化物及びこれらの固溶体や複合化合物が挙げられ
る。
(A)と抵抗発熱体中の導電性物質の含有量(体積分
率)(B)との比率(A)/(B)は、0.75〜1.
10、好ましくは、0.85〜1.00である。(A)
/(B)が0.75よりも小さくなると、一般に導電性
物質として使用する金属単体又は合金、金属炭化物、金
属窒化物、金属珪化物、金属硼化物等の熱膨張係数は、
絶縁性物質として使用する窒化物、酸化物、酸窒化物等
の熱膨張係数よりもかなり大きいため、基体部と抵抗発
熱体部の熱膨張係数の差が大きくなり、熱応力が発生し
て、両者の界面にクラックが発生するので好ましくな
い。また、(A)/(B)が1.10よりも大きくなる
と、基体部の電気抵抗値が低くなり、本発明の微細構造
制御によっても、基体部と抵抗発熱体部の体積固有抵抗
の比率を調整することが困難となる。
断面積当たりの存在個数(C)と抵抗発熱体中に分散し
た導電性物質の単位断面積当たりの存在個数(D)との
比率(C)/(D)が2.5〜30の範囲に制御されて
いる。(C)/(D)が2.5よりも小さくなると、基
体部中の導電性物質の存在形態と抵抗発熱体中の導電性
物質の存在形態とが類似なものとなり、両者の間の電気
抵抗値が近づいて、もはや絶縁性部分と抵抗発熱部分と
を作り分けることが困難となって、本発明の目的とする
セラミックス抵抗発熱体は得られなくなる。また、
(C)/(D)を30よりも大きくするには、原料とし
て使用する粉末の粒度に大きな差をつけねばならず、微
細粒と粗大粒の焼結速度の差を考慮すれば、カプセルH
IP、高圧焼結(印加圧力5000kg/cm2以上)
等の手段を採用しない限り、セラミックス抵抗発熱体を
作製することが困難であるため、実際的でない。
部の抵抗率(F)との比率(E)/(F)が102以
上、好ましくは、103以上である必要がある。(E)
/(F)が102よりも小さくなると、基体部の電気抵
抗値と抵抗発熱体部の電気抵抗値が近づいて、もはや本
発明の目的とするセラミックス抵抗発熱体としては機能
しなくなる。
質と微細な導電性物質との複合組織体とし、抵抗発熱体
はやや粗大な絶縁性物質とやや粗大な導電性物質との複
合組織体とすることが望ましい。基体を構成する絶縁性
物質のメジアン平均粒径は0.1〜3.0μm、導電性
物質のメジアン平均粒径は0.3〜5.0μmが好まし
い。また、抵抗発熱体を構成する絶縁性物質のメジアン
平均粒径は0.3〜10μm、導電性物質のメジアン平
均粒径は0.8〜20μmが好ましい。
18vol%、抵抗発熱体中の導電性物質の含有量は1
2〜24vol%であることが好ましい。抵抗発熱体中
の導電性物質の含有量が12vol%よりも少なくなる
と、現状では電気抵抗値が高くなりすぎ、発熱体として
使用することが難しくなる。また、基体中の導電性物質
の含有量が18vol%よりも多くなると、現状では電
気抵抗値が低くなりすぎて絶縁体層として使用しづらく
なる。ただし、抵抗発熱体中の絶縁性物質を顆粒状に造
粒した後、導電性物質と混合すれば、12vol%より
も少ない添加量でも所望の電気抵抗値を得ることができ
る。また、基体中の導電性物質を顆粒状に造粒した後、
絶縁性物質と混合すれば、18vol%よりも多い添加
量でも絶縁体層として使用できる。このように、絶縁性
物質または導電性物質を造粒して使用すれば、前記の制
約は解除されるが、製造工程が増えるため、コストアッ
プの要因となる。したがって、基体中の導電性物質の含
有量9〜18vol%、抵抗発熱体中の導電性物質の含
有量12〜24vol%という条件は、絶対的なもので
はないが、本発明のセラミックス抵抗発熱体を容易に製
造しうる、ひとつの目安となりうる。なお、基体中の導
電性物質の含有量が9vol%よりも少ない場合、抵抗
発熱体中の導電性物質の含有量が24vol%よりも多
い場合、前記の基体中及び抵抗発熱体中の導電性物質の
含有量の比率(A)/(B)が0.75〜1.10とい
う条件を満足できなくなる。
した絶縁性物質と導電性物質を原料粉末として用い、基
体に用いる絶縁性物質の原料粉末のメジアン平均粒径
(G)と抵抗発熱体に用いる絶縁性物質の原料粉末のメ
ジアン平均粒径(H)との比率(G)/(H)が1/2
0〜1/8となるように調整し、これらに導電性物質を
添加、混合した後、一体に成形、焼結することにより製
造される。原料粉末として用いる絶縁性物質と導電性物
質は、高度に粒度調整さたものを使用する。特に絶縁性
物質については、基体部用には微細粒の粉末を、抵抗発
熱体部用には粗大粒の粉末を使用する。その際、基体部
用の微細粒のメジアン平均粒径(G)と抵抗発熱体部用
の粗大粒のメジアン平均粒径(H)との比率(G)/
(H)を1/20〜1/8となるように調整することに
より、成形焼結後の微細構造を変化させて、基体部及び
抵抗発熱体部中に分散した導電性物質の分散状態を制御
することができる。なお、本発明におけるメジアン平均
粒径は、すべてレーザー回折散乱法により測定した粒度
分布に基づく値である。
と、基体中に分散した導電性物質の単位断面積当たりの
存在個数(C)と抵抗発熱体中に分散した導電性物質の
単位断面積当たりの存在個数(D)との比率(C)/
(D)が2.5よりも小さくなってしまうので好ましく
ない。また、(G)/(H)が1/20よりも小さくな
ると、微細粒と粗大粒との平均粒径の差が大きく異なっ
てくるため、両者の焼結速度に著しい差異を生じ、基体
部は高密度になるものの、抵抗発熱体部には多数のボイ
ド、ポアが残存して緻密化できないという問題が発生す
る。このような状態では、抵抗発熱体部が著しく低強度
となり、通電中にクラックが発生して、セラミックスヒ
ーターとしての寿命が短くなる。
のメジアン平均粒径は1μm以下で、粒度分布曲線にお
ける10%径と90%径との比率が10以下であり、抵
抗発熱体に用いる絶縁性物質の原料粉末の平均粒径は5
μm以上で、粒度分布曲線における10%径と90%径
との比率が20以下であることが好ましい。抵抗発熱体
に用いる絶縁性物質の原料粉末の平均粒径が5μmより
も小さくなると、セラミックス抵抗発熱体にした場合に
高抵抗となりすぎて、発熱特性が悪くなる。また、抵抗
を下げるために導電性物質の添加量を増やしても、発熱
体間のバラツキが大きくなる。また、基体に用いる導電
性物質の原料粉末のメジアン平均粒径は0.2〜3.0
μmで、粒度分布曲線における10%径と90%径との
比率が20以下であり、抵抗発熱体に用いる導電性物質
の原料粉末のメジアン平均粒径は0.3〜8.0μm
で、粒度分布曲線における10%径と90%径との比率
が20以下であることが好ましい。
れる窒化物、酸窒化物、及びアルミナ、アルミナ−シリ
カ系化合物、マグネシア−アルミナ−シリカ系化合物、
酸化バリウム−アルミナ−シリカ系化合物等の酸化物の
原料粉末は、金属不純物量が1000ppm以下、好ま
しくは、500ppm以下であることが望ましい。特
に、周期律表IA族のアルカリ金属不純物は200pp
m以下であることが望ましい。さらに、50μm以上の
金属異物量が、粉末1cm3当たり100個以下、好ま
しくは、10個以下であることが望ましい。金属不純物
量が1000ppmより多い場合、または50μm以上
の金属異物量が、粉末1cm3当たり100個より多い
場合には、セラミックス抵抗発熱体を作製した場合に、
電流−電圧特性が一定レベルとならず、一定品質で高信
頼性の部品を製造することが難しい。
ケイ素及び窒化アルミニウムは難焼結性であり、多量の
焼結助剤を添加しないと緻密体の作製が難しい。また、
これらの材料を使用した抵抗発熱体の使用温度は120
0〜1400℃であるため、高温強度の高いことが要求
される。このため、焼結助剤として、希土類元素酸化物
を絶縁性物質の総量に対して2〜15重量%と、必要に
応じて、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、シリカの
うち少なくとも一種を絶縁性物質の総量に対して0.5
〜10重量%添加し、ホットプレス等を行って高密度焼
結体を作製する。絶縁性物質が窒化ケイ素の場合には、
0.5〜10重量%の窒化アルミニウムの添加も有効で
ある。希土類元素酸化物の添加量が2重量%よりも少な
くなると、高密度なセラミックス抵抗発熱体の作製が困
難となり、添加量が15重量%よりも多くなると、得ら
れるセラミックス抵抗発熱体の耐熱衝撃性が低下し、ヒ
ーター寿命、耐久性が悪化する。酸化アルミニウム、酸
化ハフニウム、シリカ、及び絶縁性物質が窒化ケイ素の
場合にはさらに窒化アルミニウムの添加は、焼結を容易
にし、得られるセラミックス抵抗発熱体の強度、耐熱衝
撃性を向上させる。しかしながら、これらの物質の添加
量が10重量%よりも多くなると、高温強度が低下する
ため、結果としてセラミックス抵抗発熱体の寿命、耐久
性が悪化する。
本発明を説明する。なお、原料粉末の粒度分布は、レー
ザー回折散乱法により測定した。測定に際しては、超音
波ホモジナイザーを使用して分散を行った。 実施例1〜20及び比較例1〜11 表1に示す各種の粒度の窒化けい素粉末を用意した。こ
れらの窒化ケイ素粉末に、表2及び表3に示す配合組成
の焼結助剤と導電性物質を添加して、エタノールを溶媒
として48時間湿式混合を行った。得られたスラリーを
乾燥後、350μm以下の顆粒に調粒した。抵抗発熱体
用に調製した顆粒については、アミノアルキド樹脂ワニ
ス等の粘結剤と希釈用の有機溶媒を添加して混練し、ペ
ースト化した。基体部用に調製した顆粒を平板状に成形
し、その表面に抵抗発熱体用ペーストを使用して、U字
状の抵抗発熱体パターンをスクリーン印刷法により厚膜
印刷した。抵抗発熱体パターンを乾燥固化した後、電子
マイクロメーターを使用して実効発熱部の断面積を測定
し、断面積の最大値と最小値との差が断面積の平均値の
10%以下となるように管理した。次に、抵抗発熱体パ
ターンを形成した平板状の窒化ケイ素質成形体の上面
に、基体部用に調製した顆粒で作製した平板状の窒化ケ
イ素質成形体を重ね、ホットプレス法により、200〜
500kg/cm2の加圧下、1550〜1800℃の
温度で焼結して、発熱体素子を作製した。得られた発熱
体素子の端部を研削加工して、端子部を露出させ、端子
部にメタライズ層を被着させて、リード線を取り付け、
セラミックスヒーターを作製した。
値を測定し、初期抵抗値が30Ωとなるように抵抗発熱
体パターンの厚さを調整して、再度、同様のプロセスに
てセラミックスヒーターを作製した。(添加する導電性
物質の種類、添加量等によって抵抗発熱部の初期抵抗値
が変化するため、実際にセラミックスヒーターを作製し
て、抵抗発熱体パターンの厚さを決定するという方法を
採用した。)このようにして、厚さを決定した後、評価
試験用のセラミックスヒーターを作製した。同一条件で
作製したセラミックスヒーター10本につき、まず初期
抵抗値のバラツキを調べた。次に、発熱部の先端の温度
が電圧印加20秒後に1400℃に達する直流電圧(3
5〜65V)を20秒間印加し、その後30秒間圧縮空
気を噴き付けて強制的に冷却し、再び通電して1400
℃まで昇温するという繰り返し試験を行って、耐久性を
調べた。5000サイクル後の抵抗値を測定し、初期抵
抗値と比較して抵抗変化率を調べた。また、セラミック
スヒーターに通電して所定の飽和温度に発熱させた後、
0℃の水中にヒーター先端部を浸漬させ、ヒーター表面
に発生するクラックの有無を調べるというスポーリング
試験を行った。なお、クラックの発生は、蛍光探傷法に
より検出した。セラミックスヒーターの性能試験の結果
を表4及び表5に示す。また、実施例6で得られたセラ
ミックスヒーターについて、基体部及び抵抗発熱体部の
窒化ケイ素粒子及び導電性物質の粒度分布を測定した結
果を図1及び図2に示す。
製造条件で窒化ケイ素の場合と同様にしてセラミックス
ヒーターを作製した。同一条件で作製したセラミックス
ヒーター10本につき、まず初期抵抗値のバラツキを調
べた。次に、発熱部の先端の温度が電圧印加10秒後に
1000℃に達する直流電圧(20〜50V)を10秒
間印加し、その後15秒間圧縮空気を噴き付けて強制的
に冷却し、再び通電して1000℃まで昇温するという
繰り返し試験を行って、耐久性を調べた。5000サイ
クル後の抵抗値を測定し、初期抵抗値と比較して抵抗変
化率を調べた。結果を表8に示す。
化ケイ素の場合と同様にしてセラミックスヒーターを作
製した。ただし、ホットプレスは以下の条件で行った。 ホットプレス温度 アルミナ(Al2O3) 1400℃ ムライト(3Al2O3 2SiO2) 1300℃ コージェライト(2MgO 2Al2O3 5SiO2) 1050℃ セルシアン(BaO Al2O3 2SiO2) 1050℃(1250℃熱処理3h r) 同一条件で作製したセラミックスヒーター10本につ
き、まず初期抵抗値のバラツキを調べた。次に、発熱部
の先端の温度が電圧印加20秒後に1200℃に達する
直流電圧(20〜50V)を10秒間印加し、その後2
0秒間圧縮空気を噴き付けて強制的に冷却し、再び通電
して1200℃まで昇温するという繰り返し試験を行っ
て、耐久性を調べた。5000サイクル後の抵抗値を測
定し、初期抵抗値と比較して抵抗変化率を調べた。結果
を表8に示す。
ーターの基体部及び抵抗発熱体部についての窒化ケイ素
粒子の粒度分布を示す図である。
ーターの基体部及び抵抗発熱体部についての導電性物質
の粒度分布を示す図である。
Claims (12)
- 【請求項1】 体積固有抵抗が106Ω・cm以上であ
る窒化物、酸化物及び酸窒化物から選ばれる少なくとも
一種の絶縁性物質と体積固有抵抗が0.1Ω・cm以下
である金属単体又は合金、炭化物、窒化物、珪化物、硼
化物及びそれらの複合化合物から選ばれる少なくとも一
種の導電性物質から構成され、かつ電気絶縁性を示す基
体中に、基体と同一の絶縁性物質と導電性物質から構成
され、かつ導電性を示す抵抗発熱体が埋設されて、一体
に成形、焼結されてなるセラミックス抵抗発熱体であっ
て、基体中の導電性物質の含有量(体積分率)(A)と
抵抗発熱体中の導電性物質の含有量(体積分率)(B)
との比率(A)/(B)が0.75〜1.10であり、
かつ基体中に分散した導電性物質の単位断面積当たりの
存在個数(C)と抵抗発熱体中に分散した導電性物質の
単位断面積当たりの存在個数(D)との比率(C)/
(D)が2.5〜30の範囲に制御されており、かつ基
体部の抵抗率(E)と抵抗発熱体部の抵抗率(F)との
比率(E)/(F)が102以上であることを特徴とす
るセラミックス抵抗発熱体。 - 【請求項2】 基体中の導電性物質の含有量が9〜18
vol%であり、抵抗発熱体中の導電性物質の含有量が
12〜24vol%であることを特徴とする請求項1記
載のセラミックス抵抗発熱体。 - 【請求項3】 絶縁性物質がアルミナを主成分とするこ
とを特徴とする請求項1記載のセラミックス抵抗発熱
体。 - 【請求項4】 絶縁性物質がアルミナ−シリカ系化合物
を主成分とすることを特徴とする請求項1又は2記載の
セラミックス抵抗発熱体。 - 【請求項5】 絶縁性物質がマグネシア−アルミナ−シ
リカ系化合物を主成分とすることを特徴とする請求項1
又は2記載のセラミックス抵抗発熱体。 - 【請求項6】 絶縁性物質が酸化バリウム−アルミナ−
シリカ系化合物を主成分とすることを特徴とする請求項
1又は2記載のセラミックス抵抗発熱体。 - 【請求項7】 絶縁性物質が窒化アルミニウムを主成分
とすることを特徴とする請求項1又は2記載のセラミッ
クス抵抗発熱体。 - 【請求項8】 絶縁性物質が窒化ケイ素を主成分とする
ことを特徴とする請求項1又は2記載のセラミックス抵
抗発熱体。 - 【請求項9】 絶縁性物質の総量に対して、希土類元素
の酸化物を2〜15重量%添加することを特徴とする請
求項8記載のセラミックス抵抗発熱体。 - 【請求項10】 絶縁性物質の総量に対して、酸化アル
ミニウム、酸化ハフニウム、シリカ及び窒化アルミニウ
ムのうち少なくとも一種を0.5〜10重量%添加する
ことを特徴とする請求項9記載のセラミックス抵抗発熱
体。 - 【請求項11】 体積固有抵抗が106Ω・cm以上で
ある窒化物、酸化物及び酸窒化物から選ばれる少なくと
も一種の絶縁性物質と体積固有抵抗が0.1Ω・cm以
下である金属単体又は合金、炭化物、窒化物、珪化物、
硼化物及びそれらの複合化合物から選ばれる少なくとも
一種の導電性物質から構成され、かつ電気絶縁性を示す
基体中に、基体と同一の絶縁性物質と導電性物質から構
成され、かつ導電性を示す抵抗発熱体が埋設されてなる
セラミックス抵抗発熱体を製造するに際し、基体に用い
る絶縁性物質の原料粉末のメジアン平均粒径(G)と抵
抗発熱体に用いる絶縁性物質の原料粉末のメジアン平均
粒径(H)との比率(G)/(H)が1/20〜1/8
となるように調整された2種類の粒度の原料粉末を用
い、これらに導電性物質を添加、混合した後、一体に成
形、焼結することを特徴とするセラミックス抵抗発熱体
の製造方法。 - 【請求項12】 基体に用いる絶縁性物質の原料粉末の
メジアン平均粒径が1μm以下で、粒度分布曲線におけ
る10%径と90%径との比率が10以下であり、抵抗
発熱体に用いる絶縁性物質の原料粉末のメジアン平均粒
径が5μm以上で、粒度分布曲線における10%径と9
0%径との比率が20以下であることを特徴とする請求
項11記載のセラミックス抵抗発熱体の製造方法。
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