JPH1040676A - 磁気記録媒体及びその使用方法並びに磁気記録装置 - Google Patents

磁気記録媒体及びその使用方法並びに磁気記録装置

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JPH1040676A
JPH1040676A JP8194545A JP19454596A JPH1040676A JP H1040676 A JPH1040676 A JP H1040676A JP 8194545 A JP8194545 A JP 8194545A JP 19454596 A JP19454596 A JP 19454596A JP H1040676 A JPH1040676 A JP H1040676A
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公一 水島
Teruyuki Konno
晃之 金野
Takashi Yamauchi
尚 山内
Koichiro Inomata
浩一郎 猪俣
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Abstract

(57)【要約】 【課題】磁気的相互作用によらない情報の読み出しを可
能にする磁気記録媒体を提供する。 【解決手段】磁気記録媒体は、半導体層11と、半導体
層11にショットキー接合を介して接続された積層膜2
1と、積層膜21にトンネル絶縁膜41を介して接続さ
れた非磁性金属膜31とを有する。積層膜21は、第1
磁性体膜22/非磁性体膜23/第2磁性体膜24から
なる。第1磁性体膜22は磁化方向が固定される一方、
第2磁性体膜24は複数の記録磁区25に分割される。
第1及び第2磁性体膜22、24は磁気的に非結合状態
になっている。非磁性金属膜31からトンネル絶縁膜4
1を介して記録磁区25にホットエレクトロンが注入さ
れ、各磁区25の記録磁化方向に依存して変化する半導
体層11から流出する電流に基づいて磁気記録が読み出
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は大量の情報の書き込
み及び読み出しが可能な磁気記録媒体及びその使用方法
並びに磁気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気記録の高密度化及び高速化は、磁気
記録媒体の改良と並んで、磁気記録装置の進歩、なかで
も磁気記録の書き込み及び読み出しに用いられる磁気ヘ
ッドの進歩に負うところが多い。例えば、近年の磁気記
録媒体の小型化及び大容量化に伴って、磁気記録媒体と
読み出し用磁気ヘッドとの相対速度は小さくなってきて
いる。そこで、小さな相対速度であっても大きな出力が
取り出せる新しいタイプの読み出し用磁気ヘッドとし
て、巨大磁気抵抗効果ヘッド(GMRヘッド)が注目さ
れている。
【0003】しかしながら磁気記録に内在する究極の問
題として微小磁区の安定性の問題、なかでも読み出しに
伴う記録情報の破壊の問題がある。かかる観点におい
て、磁気ヘッドと磁区との磁気的相互作用を利用した従
来の読み出し方法は微小磁区を破壊しやすい。従って、
磁気的相互作用によらない新しい読み出し方法とその方
法に適した新しい記録媒体の開発が望まれている。
【0004】また従来の磁気記録媒体は磁気ディスク即
ちファイルメモリとして機能し、その情報は一旦コンピ
ュータ本体の半導体メモリに読み込まれる。このため、
その動作は遅くまたコンピュータ本体のメモリを大量に
消費するという欠点をもっている。従って、読み出し時
にコンピュータ本体から直接電気的にアクセスできる新
しいタイプの記録媒体が望まれている。このような新し
いタイプのメモリとして、従来から開発が進められてい
るフラッシュメモリや近年注目されているFRAMなど
のメモリがある。しかし、前者は記録密度に関して、後
者は強誘電体薄膜の形成に関して多くの課題を抱えてい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、従来の
磁気記録は、記録密度の上昇に伴う読み出し時の情報破
壊の問題や、コンピュータ本体から直接アクセスができ
ないという問題を有している。
【0006】本発明は、このような状況に鑑みてなされ
たもので、磁気的相互作用によらない情報の読み出し方
法とそれを可能にする記録媒体並びに磁気記録装置を提
供することを目的とする。本発明はまた、読み出し時に
コンピュータ本体から直接電気的にアクセス可能な磁気
記録媒体並びに磁気記録装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の視点は、
磁気記録媒体において、第1磁性体膜と複数の記録磁区
を有する第2磁性体膜とを含む積層膜と、前記積層膜の
一方の面にショットキー接合を介して接続された半導体
層と、を具備することを特徴とする。
【0008】本発明の第2の視点は、第1の視点の磁気
記録媒体において、前記積層膜の他方の面にトンネル接
合部を介して接続された金属膜を更に具備することを特
徴とする。
【0009】本発明の第3の視点は、第1の視点の磁気
記録媒体において、前記積層膜の他方の面にショットキ
ー接合を介して接続された半導体膜を更に具備すること
を特徴とする。
【0010】本発明の第4の視点は、第1の視点の磁気
記録媒体において、前記第1及び第2磁性体膜がトンネ
ル接合部を介して接続されることを特徴とする。本発明
の第5の視点は、第2または4の視点の磁気記録媒体に
おいて、前記トンネル接合部が、第1及び第2障壁層
と、前記第1及び第2障壁層間に介在する量子井戸層
と、を含む共鳴トンネル構造を具備することを特徴とす
る。
【0011】本発明の第6の視点は、第1乃至5のいず
れかの視点の磁気記録媒体において、前記積層膜が、前
記第1及び第2磁性体膜間に介在する非磁性体膜を更に
具備することを特徴とする。
【0012】本発明の第7の視点は、第1乃至6のいず
れかの視点の磁気記録媒体において、前記半導体層と前
記第1磁性体膜とが前記ショットキー接合を介して接続
されること特徴とする。
【0013】本発明の第8の視点は、第1乃至7のいず
れかの視点の磁気記録媒体の使用法法において、前記記
録磁区に沿ってプローブを走査させながら、前記プロー
ブから各磁区にホットエレクトロンを注入し、各磁区の
記録磁化方向に依存して変化する前記半導体層から流出
する電流に基づいて磁気記録を読み出すことを特徴とす
る。
【0014】本発明の第9の視点は、第1乃至7のいず
れかの視点の磁気記録媒体の使用法法において、前記記
録磁区に対応して前記磁気記録媒体に配線を接続し、前
記配線から各磁区にホットエレクトロンを注入し、各磁
区の記録磁化方向に依存して変化する前記半導体層から
流出する電流に基づいて磁気記録を読み出すことを特徴
とする。
【0015】本発明の第10の視点は、磁気記録装置に
おいて、マトリックスとして配置された前記記録磁区を
有する第1乃至7のいずれかの視点の磁気記録媒体と、
各磁区にホットエレクトロンを注入するための複数の注
入線と、夫々が各磁区と前記注入線とを接続するように
配設された複数のスイッチング素子と、前記スイッチン
グ素子をオン及びオフするため複数のアドレス線と、各
磁区の記録磁化方向に依存して変化する前記半導体層か
らの電流を注出するための複数の注出線と、を具備する
ことを特徴とする。
【0016】本発明の第11の視点は、第10の視点の
磁気記録装置において、各アドレス線と各注出線とが共
通のワード線からなることを特徴とする。本発明の第1
2の視点は、第10または11の視点の磁気記録装置に
おいて、夫々が各スイッチング素子を介して前記注入線
に接続された、各磁区の記録磁化方向を書替えるための
複数の磁場発生手段を更に具備することを特徴とする。
【0017】本発明の第13の視点は、第12の視点の
磁気記録装置において、前記スイッチング素子と前記記
録磁区とが前記磁場発生手段を介して接続されることを
特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】まず、図1乃至図4を参照して、
本発明に係る磁気記録の原理を説明する。磁性体の中で
は、電子状態密度に関し、アップスピンバンドとダウン
スピンバンドとが分裂している。例えば、図1(a)に
示すように、磁性体膜F1/非磁性体膜N1/磁性体膜
F2構造の積層膜MLFにおいて、磁性体膜F1、F2
の磁化方向MD1、MD2が逆向きであるとする。この
場合、図1(b)、(c)に示すように、磁性体膜F
1、F2における電子状態密度は、アップスピン電子
(図において上向き矢印で示す)及びダウンスピン電子
(図において下向き矢印で示す)に関して逆の特性を有
するようになる。
【0019】図2(a)は積層膜MLFの磁性体膜F2
にトンネル障壁TBを介して非磁性体膜N2が接続され
ると共に、磁性体膜F2にシリコン等からなる半導体膜
SEMがショットキー接合された構造を示す。この構造
において、非磁性体膜N2が負となるように非磁性体膜
N2と積層膜MLFとの間に電圧が印加されると、非磁
性体膜N2からは、磁性体膜F1、F2のフェルミ準位
F より高いエネルギーENを有する電子(ホットエレ
クトロン)が発生する。
【0020】ここでまず、図2(a)に示すように、磁
性体膜F1、F2の磁化方向MD1、MD2が逆向き
(反平行)のままであるとする。この場合、エネルギー
ENにおける磁性体膜F2の電子状態密度は、ダウンス
ピン電子に対して高く、アップスピン電子に対して実質
的に零である。このため、非磁性体膜N2からは、ダウ
ンスピン電子のみがトンネル障壁TBを通過し、磁性体
膜F2に至る。しかし、エネルギーENにおける磁性体
膜F1の電子状態密度はダウンスピン電子に対して実質
的に零である。このため、トンネル障壁TBを通過した
ダウンスピン電子は磁性体膜F1により反射され、磁性
体膜F2から磁性体膜F1に進むことはできない。
【0021】次に、図2(b)に示すように、磁性体膜
F2の磁化方向が変化し、磁性体膜F1、F2の磁化方
向MD1、MD2が同じ(平行)となったとする。この
場合、エネルギーENにおける磁性体膜F1、F2の電
子状態密度は共に、アップスピン電子に対して高く、ダ
ウンスピン電子に対して実質的に零である。このため、
非磁性体膜N2からは、アップスピン電子のみがトンネ
ル障壁TB及び磁性体膜F2を通過し、更に、反射され
ることなく磁性体膜F1に進むことができる。
【0022】『非磁性体膜N2と積層膜MLFとの間の
印加電圧が、磁性体膜F1と半導体膜SEMとの間のシ
ョットキー障壁の高さを超えると、磁性体膜F1に至っ
たアップスピン電子の一部は半導体膜SEMに流れ込
む。一旦半導体膜SEM内に流れ込んだ電子は、接合電
場のために積層膜MLFに戻ることはできず、半導体膜
SEM内でエネルギーを失い、コレクタ電流となる。
{OK?}』電子の注入源となる非磁性体膜N2と積層
膜MLFとをトンネル接合を介して接続すると、注入電
子(ホットエレクトロン)のエネルギーを自在に変える
ことができる。例えば、図3及び図4に夫々示すよう
に、代表的な強磁性体であるFeやCoの『電子状態密
度{OK?}』は、フェルミ準位よりぞれぞれ約1.5
eV及び約1.2eV上に鋭い極大を持っている。従っ
て、トンネル接合を使用することにより、磁性体膜F
1、F2の電子状態密度の極大に合うような特定のエネ
ルギーの電子を、非磁性体膜N2から選択的に注入する
ことができる。これにより、例えば、ショットキー接合
を介して電子を注入する場合に比べて高い感度が得られ
るようになる。{OK?}』』図5は本発明の実施の形
態に係る磁気記録媒体を概念的に示す。
【0023】図5に示す磁気記録媒体においては、コレ
クタ10となる半導体層11上に、ショットキー接合を
介してベース20となる積層膜21が配設される。積層
膜21は、第1磁性体膜22/非磁性体膜23/第2磁
性体膜24からなる。第1磁性体膜22は、磁化方向が
固定され且つ半導体層11とショットキー接合を形成す
る。第2磁性体膜24は複数の記録磁区25に分割され
る。第1及び第2磁性体膜22、24は、非磁性体膜2
3の膜厚を適当に選択することにより『磁気的に』非結
合状態になっている。
【0024】『半導体層11としては例えばn型シリコ
ン基板が用いられる。第1及び第2磁性体膜22、24
としては例えばCo膜、CoFe膜、NiFe膜等の強
磁性体膜が用いられる。非磁性体膜23としては例えば
Cu膜、Ag膜等の非磁性金属膜が用いられる。{OK
?}』第2磁性体膜24の記録磁区25の磁化方向は
「1」、「0」信号に対応し、第1磁性体膜22の磁化
方向と同じ(平行)または逆(反平行)に設定される。
即ち、各記録磁区25の磁化方向は、本磁気記録媒体に
記録される情報に従って、予め磁気ヘッド(図示せず)
によって任意に設定される。
【0025】記録情報の読み出しは、図5に示すよう
に、エミッタ30として機能する非磁性プローブP1を
介して行われる。この時、エミッタ/ベース間には、半
導体層11と第1磁性体膜22との間のショットキー障
壁の高さを超える直流電圧が印加される。このため、非
磁性体膜23が負となるように、プローブP1と非磁性
体膜23との間に直流電源V1が接続される。また、コ
レクタ10各記録磁区25の磁化方向に依存して変化す
る半導体層11から流出する電流は、電流計A1により
検出される。電流計A1は半導体層11の表面或いは裏
面には配設されたオーミック電極(図示せず)と非磁性
体膜23との間に接続される。
【0026】前述の如く、第1及び第2磁性体膜22、
24の磁化方向が平行な場合は、磁化方向が反平行な場
合よりも、大きな電流が電流計A1で検出される。従っ
て、検出された電流値から、記録情報を表す信号
「1」、「0」を読み出すことができる。この読み出し
方法では、磁気ヘッドに換えて非磁性プローブP1を用
いているため、微小記録磁区を磁気的に破壊することな
く情報の読み出しを行うことができる。
【0027】より具体的には、ベース/エミッタ間に直
流電源V1から電圧を印加すると、エミッタ30である
非磁性プローブP1からベース20にホットエレクトロ
ンが注入される。ベース20が電子の非弾性散乱長に比
べて十分に薄ければ、ホットエレクトロンはエネルギー
を失わずにベース/コレクタ界面に到達する。注入電圧
がベース/コレクタ間のショットキー障壁の高さより低
い場合は、ホットエレクトロンはコレクタ内にはいるこ
とはできず、ベースから流れ出す。
【0028】注入電圧がショットキー障壁の高さを超え
ると、ホットエレクトロンの一部はコレクタ10内に流
れ込むが、一度コレクタ10内に流れ込んだホットエレ
クトロンは、接合電場のためにベース20に戻ることは
できず、コレクタ10内でエネルギーを失い、コレクタ
から電流計A1を通って流れ出す。
【0029】ベース20が上述のような積層膜21で形
成されている場合、ベース20内に注入されたホットエ
レクトロンがベース/コレクタ界面に到達する率は、積
層膜21の第1及び第2磁性体膜22、24の磁化方向
に強く依存する。即ち、第1及び第2磁性体膜22、2
4の磁化方向が同じ場合には、ホットエレクトロンはス
ピン散乱を受けずにコレクタ10に到達できるが、第1
及び第2磁性体膜22、24の磁化方向が逆向きの場合
には、強いスピン散乱を受けるため、ほとんどがコレク
タ10に到達できず、ベース20でエネルギーを失い、
ベース20から流れ出てしまう。
【0030】この現象は、前述の図1(b)(c)に模
式的に示すように、強磁性体では、アップスピン及びダ
ウンスピンの電子状態密度が非対称であることに起因す
る。特に、Fe、Coなどの強磁性体ではフェルミ準位
の上方でアップスピンとダウンスピンの電子状態密度が
著しく非対称となる。なお、ホットエレクトロンのスピ
ンの向きが非磁性体膜23内で保たれるように、非磁性
体膜23の厚さはスピン拡散長に比較して十分薄くなる
ように設定される。 [実施例1]図5に示す磁気記録媒体の具体的な作成例
とその特性を示す。
【0031】コレクタ10の半導体基板11として、硼
素を1016/cm3 ドープしたn型シリコンを用い、そ
の上に磁性積層膜21を真空蒸着法により形成した。第
1磁性体膜22には保磁力が約300エルステッドの角
形ヒステリシスを示すCoFe合金膜を、第2磁性体膜
24には保磁力が約30エルステッド、飽和磁場が約6
0エルステッドのFe膜を、非磁性体膜23にはAu膜
を用いた。膜22、23、24の膜厚は夫々2nm、1
0nm、2nmとし、磁化測定により第1及び第2磁性
体膜22、24が『磁気的に』非結合状態にあることを
確認した。
【0032】ベース/コレクタ間のショットキー接合
は、n型シリコン基板11の表面の自然酸化膜を弗酸に
より除去した後、1nmの厚さのAu膜を介在させるこ
とによって行った。Au膜を介在させたのはリークの少
ない良好なショットキー接合を形成するためである。コ
レクタ10へのオーミックコンタクトは、AuSb合金
をシリコン基板11の裏面に真空蒸着した後に熱処理す
ることにより行った。
【0033】エミッタに対応する非磁性プローブP1及
びそれからのホットエレクトロン注入には走査型トンネ
ル顕微鏡(STM)装置を改造して用いた。STM装置
を用いると、プローブとベース電極との間に流れるトン
ネル電流を一定に保ったまま、プローブ/ベース間の電
圧を上昇させることができる。非磁性プローブP1には
電解研磨の後電界蒸発法で形成したReプローブを用
い、一方コレクタ電流の測定は、オペレーショナルアン
プ回路で行った。
【0034】トンネル電流Iを一定に保ちながらプロー
ブ/ベース間の電圧Vを増加させたところ、電圧Vがベ
ース/コレクタ間のショットキー障壁(〜0.8V)を
越えると、コレクタ電流Icが流れ始めた。電圧Vと電
流Iとを適当な値に固定した状態でプローブを走査し、
プローブ位置によるコレクタ電流Icの変化を画像処理
したところ、数10ミクロンの大きさの明暗の縞模様が
観測された。この縞模様は第1及び第2磁性体膜22、
24の磁化方向の相対関係を反映する。即ち、第1及び
第2磁性体膜22、24の磁化方向が同じ領域はIcが
大きいので明るく、逆の領域はIcが小さいので暗くな
る。
【0035】次に、約300エルステッドの外部磁場を
膜に平行に印加して第1磁性体膜22を一旦飽和させた
後、外部磁場零の下で上述の測定と同様な測定を行っ
た。その結果、先と同様な明暗の縞模様が観測された。
しかし、この場合、第1磁性体膜22の磁化方向は一様
に一方向を向いているので、縞模様は第2磁性体膜24
の記録磁区25の磁化方向に対応する。即ち、第1磁性
体膜22の磁化方向に対して磁化方向が平行な記録磁区
25は明るく、磁化方向が反平行な記録磁区25は暗く
なる。
【0036】次に、プローブP1を適当な一つの記録磁
区25の位置に固定し、振幅±60エルステッド、振動
数1kHzの外部磁場を印加した状態でコレクタ電流I
cを観測した。その結果、図18に示すようにIcが外
部磁場に同期して変化するのが観測された。即ち、この
結果から、記録磁区25の磁化方向を電気的に読み出す
ことができることが判明した。
【0037】図6は本発明の別の実施の形態に係る磁気
記録媒体を概念的に示す。図6に示す磁気記録媒体にお
いては、コレクタ10となる半導体層11上に、ショッ
トキー接合を介してベース20となる積層膜21が配設
される。積層膜21上には、トンネル絶縁膜41からな
るトンネル接合部40を介して、エミッタ30となる非
磁性金属膜31が配設される。積層膜21は、図5に示
す磁気記録媒体と同様、第1磁性体膜22/非磁性体膜
23/第2磁性体膜24からなる。第1磁性体膜22
は、磁化方向が固定され且つ半導体層11とショットキ
ー接合を形成する。第1及び第2磁性体膜22、24
は、非磁性体膜23の膜厚を適当に選択することにより
『磁気的に』非結合状態になっている。ベース20及び
エミッタ30は、第2磁性体膜24の複数の記録磁区2
5に対応するように、トレンチに埋め込まれた絶縁膜1
2により分割される。
【0038】図6に示す磁気記録媒体の記録情報の読み
出しは、図5に示すプローブP1を用いて行うこともで
きるが、後述するように、記録磁区25に対応して磁気
記録媒体に接続した配線を用いて行うこともできる。即
ち、配線からエミッタ30及びトンネル接合部40を介
して、各磁区25にホットエレクトロンを注入し、各磁
区の記録磁化方向に依存して変化する半導体層11から
流出する電流に基づいて磁気記録を読み出す。配線を介
してホットエレクトロンを注入することにより、各軸2
5に対してコンピュータ本体から直接電気的にアクセス
することが可能となる。また、トンネル接合を使用する
ことにより、前述の如く、第1及び第2磁性体膜22、
24の電子状態密度の極大に合うような特定のエネルギ
ーの電子を、非磁性金属膜31から選択的に注入するこ
とができる。 [実施例2]図6に示す磁気記録媒体の具体的な作成例
とその特性を示す。
【0039】実施例1と同様な方法で、コレクタ10と
なるn型Si基板11を調製し、その上にFeCo/A
u/Fe磁性積層膜21を形成した。次に、積層膜21
上にAl膜を5nm蒸着し、その表面をO2 −H2 O混
合ガスで酸化してトンネル絶縁膜41を形成した。エミ
ッタ30となる非磁性金属膜31には厚さ200nmの
Al膜を用い、エミッタ/ベース間のトンネル接合はA
l/AlOx /Alの構造とした。ベース/コレクタ間
の層間絶縁膜にはシリコン熱酸化膜を用い、エミッタ/
ベース間の層間絶縁膜にはSiOを用いた。接合面積は
1μm×1μmで、接合内でスピンバルブ膜が単磁区構
造となるようにした。
【0040】実施例1と同様に、300エルステッドの
外部磁場で第1磁性体膜22の磁化を飽和させた後、+
60エルステッド或いは−60エルステッドの外部磁場
を印加した。この状態でトンネル電圧Vを増大させたと
ころ、0.8V以上でコレクタ電流Icが観測された。
ここで、外部磁場が+60エルステッドの場合(図19
に線Laで示す)の電流は、外部磁場が−60エルステ
ッドの場合(図19に線Lbで示す)の電流より約1桁
大きくなった。外部磁場は第2磁性体膜24の磁化方向
を決定するものであるから、第2磁性体膜24の磁化方
向によってIcが大きく相違したこととなる。即ち、こ
の結果から、記録磁区25の磁化方向を直接電気的に読
み出すことができることが判明した。
【0041】図7は本発明の更に別の実施の形態に係る
磁気記録媒体を概念的に示す。図7に示す磁気記録媒体
においては、コレクタ10となる半導体層11上に、シ
ョットキー接合を介してベース20となる積層膜26が
配設される。積層膜26は第1磁性体膜22/非磁性体
膜23からなる。積層膜26上には、トンネル絶縁膜4
1からなるトンネル接合部40を介して、エミッタ30
となる第2磁性体膜24が配設される。即ち、第1磁性
体膜22がベース20に含まれる一方、第2磁性体膜2
4がエミッタ30に含まれる。
【0042】第1磁性体膜22は、磁化方向が固定され
且つ半導体層11とショットキー接合を形成する。第2
磁性体膜24は複数の記録磁区25に分割される。第1
及び第2磁性体膜22、24は『磁気的に』非結合状態
になっている。ベース20及びエミッタ30は、第2磁
性体膜24の複数の記録磁区25に対応するように、ト
レンチに埋め込まれた絶縁膜12により分割される。
【0043】図8は本発明の更に別の実施の形態に係る
磁気記録媒体を概念的に示す。図8に示す磁気記録媒体
は、図7に示す構造の非磁性体膜23が省略された構造
を有する。図8に示す構造では、但し、第1及び第2磁
性体膜22、24が『磁気的に』非結合状態となるよう
に、トンネル絶縁膜41を厚くすることが必要となる。
【0044】図7及び図8に示す磁気記録媒体の記録情
報の読み出しは、図5に示すプローブP1を用いて行う
こともできるが、図6に示す磁気記録媒体と同様、記録
磁区25に対応して磁気記録媒体に接続した配線を用い
て行うこともできる。
【0045】図7及び図8に示す磁気記録媒体は図6に
示す磁気記録媒体に比較してベース20内の膜の数が少
なくなるため、ベース20部を薄くすることができる。
また、ベース20内の界面の数が少なくなるため、スピ
ンの向きに依存しない散乱が減少する。このため、ホッ
トエレクトロン電流及び従ってコレクタ電流が増加し、
情報の読み出し特性が向上する。このような理由から、
図7及び図8に示す磁気記録媒体では図6に示す磁気記
録媒体よりも優れた特性を期待することができる。
【0046】次に、エミッタ30とベース20との間で
電子の注入を制御するトンネル接合部として共鳴トンネ
ル接合を使用した実施の形態について述べる。近年、量
子効果デバイスが注目される中、共鳴トンネルデバイス
は室温動作がすでに確認されている量子効果デバイスと
して知られている(Richard.A.Kiehla
nd,T.C.L.Gerhard Sollner,
High Speed Heterostructur
e Devices,Semiconductors
and Semimetals 41)。共鳴トンネル
ダイオードは、図9に示されている様な半導体ヘテロ接
合を用いたデバイスについては実験及び理論計算が数多
くなされている。特に、図9の様な構造を持つ共鳴トン
ネルダイオードは二重障壁共鳴トンネルダイオードと呼
ばれ、AlGaAsの領域が障壁部分に相当している。
また、障壁の数は幾つあっても共鳴トンネル現象が起こ
ることは良く知られている。
【0047】図10はカソードの電圧の変化に対するア
ノード電流の変化を示す(H.Ohnishi and
et.al.,Appl.Phys.Lett.49
(1986),1248)。図10からもわかるよう
に、特定の電圧において電流電圧特性に鋭いピークが見
られるのがわかる。この現象が共鳴トンネル現象として
知られており、障壁に挟まれた量子井戸と呼ばれる領域
にできる共鳴準位とカソードのフェルミ準位が一致した
時、電子のトンネル確率が1となり、電子のトンネル抵
抗が小さくなる現象として理解される。この様に共鳴ト
ンネルダイオードは、図10に示すように負微分電流電
圧特性を示し、非常に感度が良い。
【0048】この半導体ヘテロ接合を用いた二重障壁ト
ンネルダイオードに磁場を印加すると、ゼーマン効果が
おき、量子井戸内の共鳴準位が電子のスピンに応じて、
分裂を起こす。このため、カソード側から注入された電
子のスピンの状態(アップまたはダウン)の違いによ
り、電流電圧特性のピークの位置に相違が現れる。この
現象を用いることにより、カソード側の電子のスピン状
態をアノード電流のピークの位置を測定することによ
り、識別することが可能である。
【0049】共鳴トンネルデバイスは、半導体ヘテロ接
合を用いたデバイスについて実験が主になされてきた
が、現象そのものは図9に示す構造を持っていれば材料
に依存しない。しかし、量子井戸におけるフォノン等の
散乱が少なく、電子濃度が希薄な状態の方が共鳴トンネ
ル現象が顕著に見えるため、多くの実験が半導体の中で
なされてきた。よって、金属/絶縁体または金属/半導
体のヘテロ接合を用いた共鳴トンネルダイオードについ
ても共鳴トンネル現象は見え、昨今この様な系を用いた
共鳴トンネルダイオードの実験報告もなされてきてい
る。
【0050】金属(CoSi2 )/絶縁体(CaF2
ヘテロ接合はバンド不連続が15eVと大きく、半導体
ヘテロ接合のAlGaAs/GaAsのバンド不連続
0.25eVに比較して60倍以上ある。図9に示す構
造の障壁にCaF2 、量子井戸にCoSi2 を用いるこ
とにより、二重障壁トンネルダイオードを実現すること
ができる。バンド不連続が大きいため、カソードから注
入された電子のトンネル確率が低いので、障壁及び量子
井戸層を薄くすることが必要であるが、『障壁層を0.
9nm、量子井戸層を1.9nm{OK?}』でつくる
ことにより共鳴トンネル現象を期待することができる。
【0051】また、金属/絶縁体のヘテロ接合について
は半導体ヘテロ接合と異なり、数分子層を制御する技術
があり、この様な共鳴トンネルダイオードを実現するこ
とができる。実際、このCaF2 /CoSi2 ヘテロ接
合を用いた3重障壁共鳴トンネルダオードについては室
温により負微分抵抗特性が確認されている(T.Sue
masu and et.al.,Electron
Lett.28,1432(1992))。また、金属
(NiAl)/半導体(AlAs)ヘテロ接合共鳴トン
ネルダイオードについても負微分抵抗特性が確認されて
いる(N.Tabatabaie and et.a
l.,Appl.Phys.Lett.,53,252
8(1988))。
【0052】前記理由により、他の金属/絶縁体ヘテロ
接合についても実現可能である。たとえば、金属にFe
を用いて、この上にAlを成長させて、このAlを酸化
させることにより、金属(Fe)/絶縁体(Al2
3 )ヘテロ接合をつくることができる。このヘテロ接合
のバンド不連続も15eV程度の大きさを持ち、膜厚を
CaF2 /CoSi2 ヘテロ接合と同程度の大きさにす
ることにより、共鳴トンネルダイオードを実現すること
ができる。
【0053】更に、この様に、量子井戸にFeの様な強
磁性体を用いれば、分子場によりアップスピン電子とダ
ウンスピン電子との間に1eV程度のエネルギー準位の
差が生じている。このため、量子井戸の共鳴準位もアッ
プスピン電子とダウンスピン電子とで分裂を起こしてい
ることになる。よって、カソード側から入ってくる電子
のスピン状態によって電流電圧特性のピークの位置に相
違が生じることになり、カソード側の電子のスピン状態
を識別することが可能になる。
【0054】また、この様な強磁性体を用いた共鳴トン
ネルダイオードは、半導体ヘテロ接合共鳴トンネルダイ
オードと異なり、強磁場を外部から印加することなく、
カソードの電子のスピン状態を識別することが可能にな
る。また、金属/半導体ヘテロ接合として、Fe/Zn
Seヘテロ接合を用いることも可能である。更に、グラ
ファイトの様な半金属を障壁部分に用いることも可能で
ある。特に、グラファイトは面に垂直方向に状態がない
ため、絶縁体的な振る舞いとすると同時に、分子層ごと
の制御がしやすいので障壁部分を作成しやすい特徴をも
つ。
【0055】共鳴トンネル接合部は、図6乃至図8を参
照して述べた実施の形態のいずれのトンネル接合部とし
ても使用することができる。図11は、その一例とし
て、図6に示す磁気記録媒体に共鳴トンネル接合部を用
いた構造を概念的に示す。図11中、図6と共通する部
分には同一符号を付してあり、それらの詳細な説明は必
要に応じてのみ行う。
【0056】即ち、この磁気記録媒体は、コレクタ1
0、ベース20及びエミッタ30を有し、エミッタ/ベ
ース間のトンネル接合部50として二重障壁共鳴トンネ
ルダイオードが使用される。トンネル接合部50は、ベ
ース20側に位置する一方の障壁である半導体からなる
障壁層51、量子井戸に相当する半導体からなる量子井
戸層52、エミッタ30側に位置する他方の障壁である
半導体からなる障壁層53を有する。なお、トンネル接
合部50に用いる共鳴トンネルダイオードには、半導体
ヘテロ接合共鳴トンネルダイオード以外にも、前述の金
属/絶縁体ヘテロ接合若しくは金属/半導体共鳴トンネ
ルダイオードを用いることもできる。また、二重障壁共
鳴トンネルダイオードに代え、三重障壁共鳴トンルダイ
オード若しくはそれ以上の障壁を持つ共鳴トンネルダイ
オードを用いることも可能である。
【0057】トンネル接合部50は、共鳴トンネルダイ
オードの共鳴準位が、ベース/コレクタ間のショットキ
ー障壁の高さを越えるものでなくてはならない。この共
鳴準位は、共鳴トンネルダイオードの材料及び量子井戸
の厚さを適当に選ぶことにより適宜設定可能である。ま
た、共鳴トンネルデバイスの注入電圧に対するコレクタ
電流の感度を良くするため、ベース/コレクタ間電圧を
逆電圧にすることにより、ベース/コレクタ間障壁の高
さを調整することも可能である。
【0058】図11に示す磁気記録媒体においては、ト
ンネル接合部50に共鳴トンネルデバイスを用いてお
り、エミッタ30の金属膜31とベース20の積層膜2
1とを絶縁すると共に、共鳴準位に匹敵するエミッタ電
圧に対しては、トンネル確率1で積層膜21にホットエ
レクトロンを注入することが可能になる。即ち、エミッ
タから注入するホットエレクトロンのエネルギーがトン
ネル確率により選択され、エネルギー幅の狭い電子を注
入することが可能になる。よって、これにより、注入さ
れる電子のエネルギーが選択されるので、図1(a)、
(b)に示すような状態密度をもつ磁性体を考慮する
と、注入される電子のエネルギー幅が小さい分より高い
感度が期待される。更に、金属/絶縁体ヘテロ接合共鳴
トンネルダイオードのようにバンド不連続が大きい材料
を用いれば、共鳴準位の線幅が細くなるので、より高感
度の磁気抵抗効果を期待することができる。
【0059】エミッタ30の金属膜31とトンネル接合
部50との間に、更に薄い絶縁膜をはさみ込み、電流密
度の大きさを調整することにより電流密度の絶対値を調
整することが可能である。また、トンネル接合部50の
共鳴トンネルダイオードの障壁の厚さを調整すことによ
っても、電流密度の絶対値を調整することが可能であ
る。
【0060】図12は本発明の更に別の実施の形態に係
る磁気記録媒体を概念的に示す。図12に示す構造は、
エミッタ30としてコレクタ10と同様な半導体層32
を用いたものである。即ち、エミッタ30とベース20
とは第2のショットキー接合を形成する。従って、エミ
ッタ30からベース20への電子の注入がトンネル過程
ではなく、ショットキー接合を介して熱的過程によって
行われる。図12に示す磁気記録媒体のそれ以外の原理
については図6に示す磁気記録媒体と同様である。
【0061】図12に示す磁気記録媒体は、しかし、図
6に示す磁気記録媒体と比べると注入電圧を十分に高く
することはできないため、注入電流に比較してコレクタ
電流が小さくなりやすい。その理由は、ベース/コレク
タ界面のホットエレクトロンの透過率がそのエネルギー
に大きく依存するためである。また、2つのショットキ
ー接合を良好に形成する上で、成膜条件や膜構造等を良
好に制御する必要がある。従って、これらの観点から
は、本発明におけるより好ましい態様は前述のようにト
ンネル接合を介して電子を注入するタイプの磁気記録媒
体である。
【0062】更に、図12に示す磁気記録媒体において
は、エミッタ30となる半導体層32に偏光した光を照
射してスピン偏極電子を励起し、ホットエレクトロンと
してベース20に注入してもよい。このような構成とし
た場合、半導体層32にはGaAs、GaAlAs、C
dSe、CdTe等の化合物半導体やCdSiAs2
のカラコパライト型半導体に代表される直接遷移型半導
体が用いられる。このような直接遷移型半導体に円偏光
を照射すると、円偏光の偏光方向に基く極性を持つスピ
ン偏極電子が励起される。このようなスピン偏極電子が
励起された半導体は、スピン偏極した電子を注入するエ
ミッタ30として機能し得る。
【0063】『なお、図5乃至図12の磁気記録媒体に
おいて、第1及び第2磁性体膜22、24には、膜面に
平行或いは垂直な方向に一軸性の磁気異方性が導入され
ていることが望ましい。また、非磁性体膜23として、
第1及び第2磁性体膜22、24との間で原子拡散の少
ない非磁性金属膜を用いることが望ましい。更に、非磁
性体膜23として、ホットエレクトロンの界面散乱を小
さくするため、状態密度の大きい反強磁性体膜を用いる
ことが望ましい。また、半導体層11と積層膜21との
間は、金属層を介在させてショットキー特性を改善する
ことができる。また、積層膜21上に保護層やトンネル
特性を改善するための金属層を介在させることができ
る。{OK?}』本発明に係る磁気記録媒体の使用態様
としては、次のようなものを例示することができる。
【0064】第1は、通常の磁気ディスクと同様な使用
態様である。情報の書き込みは磁気ヘッドで行い、読み
出しを非磁性プローブからホットエレクトロンを注入す
ることによって行う(図5参照)。
【0065】第2は、半導体ROMとして用いる態様で
ある。ROMパッケージ或いはROMカードとして予め
情報を記録しておきコンピュータ本体に装着して用い
る。読み出しはトンネル接合からホットエレクトロンを
注入することによって行う(図6参照)。
【0066】第3は、上述の第1及び第2の使用態様の
中間的な新規な態様である。即ち、情報の書き込みは磁
気ディスクと同様に磁気ヘッドを用いて行い、読み出し
はトンネル接合を介してホットエレクトロンを注入する
ことによって行う。この場合、図13に模式的に示すよ
うに、磁気ディスク72上にメモリセル領域74と交互
に、各ビットにアクセスするための回路76を形成する
ことができる。
【0067】第4は、上述の第2の使用態様に加えてR
OMに書き込み用の配線を更に設け、SRAMとして用
いる態様である。この場合、書き込み用の配線を介して
供給される電流により発生する磁場を用いて情報を書き
込むことができる。
【0068】次に、本発明に係る磁気記録媒体を用いた
ROM或いはRAM、即ち本発明に係る磁気記録装置に
ついて説明する。図14は、図6乃至図8並びに図11
及び図12のいずれかに示す磁気記録媒体を用いて構成
したROMを示す回路図である。
【0069】図において、磁気記録媒体の各記録磁区2
5に対応する、コレクタ10、ベース20及びエミッタ
30の部分からなる単位構造(図6乃至図8並びに図1
1及び図12参照)即ち3端子ユニット64は、バイポ
ーラトランジスタとして示される。ROMの各メモリセ
ル62は、1つの3端子ユニット64と、スイッチング
素子である1つのFET(電界効果トランジスタ)66
とを有する。記録磁区25に対応する3端子ユニット6
4は行及び列により規定されるマトリックスとして配列
され、従ってメモリセル62もマトリックスを形成する
ように配列される。
【0070】マトリックスの行方向に沿ってビット線B
Lが配設され、列方向に沿ってワード線WLが配設され
る。ビット線BLはFET66のソース/ドレインを介
して3端子ユニット64のエミッタ30に接続される。
ワード線WLはFET66のゲート及び3端子ユニット
64のコレクタ10に接続される。3端子ユニット64
のベース20はグランドに接続される。
【0071】3端子ユニット64の記録磁区25の磁化
方向により記録された信号を読み出す際は、ワード線W
Lに電圧を印加しFET66をオンにする。この状態で
ビット線BLから3端子ユニット64のエミッタ30に
電流を注入する。そして、3端子ユニット64のコレク
タ10からの電流をワード線WLに注出し、その電流値
を検出する。これにより、前述の如く、記録磁区25の
磁化方向により記録された信号「1」、「0」を読み出
すことができる。
【0072】即ち、図14に示す磁気記録装置において
は、ビット線BLは記録磁区25にホットエレクトロン
を注入するための注入線として機能する。また、ワード
線WLはスイッチング素子をオン及びオフするためアド
レス線として機能すると共に、コレクタからの電流を注
出するための注出線として機能する。
【0073】アドレス線及び注出線は、図15に示すよ
うに、別々に配設してもよい。図15に示す磁気記録装
置において、第1ワード線WL1がアドレス線として機
能し、第2ワード線WL2が注出線として機能する。
【0074】即ち、本発明に係るROMは、第1磁性体
膜22とマトリックスとして配置された複数の記録磁区
25を有する第2磁性体膜24とを含む積層膜と、積層
膜の一方の面にショットキー接合を介して接続された半
導体層11と、を具備する磁気記録媒体(図6乃至図8
並びに図11及び図12参照)を用いて構成され、更
に、図14及び図15図示の如く、各磁区25にホット
エレクトロンを注入するための複数の注入線(ビット
線)BLと、夫々が各磁区25と注入線BLとを接続す
るように配設された複数のスイッチング素子(FET)
66と、スイッチング素子66をオン及びオフするため
複数のアドレス線(ワード線)WL若しくはWL1と、
各磁区25の記録磁化方向に依存して変化する半導体層
11からの電流を注出するための複数の注出線(ワード
線)WL若しくはWL2と、を具備する。
【0075】ここで、図15図示の如く、各アドレス線
及び各注出線は共通のワード線WLに纏めることができ
る。図16は、図6乃至図8並びに図11及び図12の
いずれかに示す磁気記録媒体を用いて構成したRAMを
示す回路図である。
【0076】図において、磁気記録媒体の各記録磁区2
5に対応する、コレクタ10、ベース20及びエミッタ
30の部分からなる単位構造(図6乃至図8並びに図1
1及び図12参照)即ち3端子ユニット64は、バイポ
ーラトランジスタとして示される。RAMの各メモリセ
ル62は、1つの3端子ユニット64と、スイッチング
素子である1つのFET(電界効果トランジスタ)66
と、記録磁区25の磁化方向を書き替えるための磁場発
生素子(例えば、抵抗体やコイル)68とを有する。記
録磁区25に対応する3端子ユニット64は行及び列に
より規定されるマトリックスとして配列され、従ってメ
モリセル62もマトリックスを形成するように配列され
る。
【0077】マトリックスの行方向に沿ってビット線B
Lが配設され、列方向に沿ってワード線WLが配設され
る。ビット線BLはFET66のソース/ドレインを介
して磁場発生素子68の一端に接続される。磁場発生素
子68の他端は3端子ユニット64のエミッタ30に接
続される。ワード線WLはFET66のゲート及び3端
子ユニット64のコレクタ10に接続される。3端子ユ
ニット64のベース20はグランドに接続される。
【0078】3端子ユニット64の記録磁区25に信号
を書き込む際は、ワード線WLに電圧を印加しFET6
6をオンにする。この状態でビット線BLから磁場発生
素子68に電流を注入し、磁場を発生させる。この磁場
により、記録磁区25の磁化方向を第1磁性体膜22と
平行或いは反平行に設定することにより信号「1」、
「0」を書き込むことができる。
【0079】3端子ユニット64の記録磁区25の磁化
方向により記録された信号を読み出す際は、図14に示
す磁気記録装置と同じ操作を行う。但し、読み出し時の
注入電流は、書き込み時の注入電流よりも弱くする。こ
れにより、記録磁区25の磁化方向により記録された信
号を破壊しないようにすることができる。
【0080】即ち、図16に示す磁気記録装置において
も、ビット線BLは注入線として機能し、ワード線WL
はアドレス線及び注出線として機能する。しかし、アド
レス線及び注出線は、図17に示すように、別々に配設
してもよい。図17に示す磁気記録装置において、第1
ワード線WL1がアドレス線として機能し、第2ワード
線WL2が注出線として機能する。
【0081】即ち、本発明に係るRAMは、第1磁性体
膜22とマトリックスとして配置された複数の記録磁区
25を有する第2磁性体膜24とを含む積層膜と、積層
膜の一方の面にショットキー接合を介して接続された半
導体層11と、を具備する磁気記録媒体(図6乃至図8
並びに図11及び図12参照)を用いて構成され、更
に、図16及び図17図示の如く、各磁区25にホット
エレクトロンを注入するための複数の注入線(ビット
線)BLと、夫々が各磁区25と注入線BLとを接続す
るように配設された複数のスイッチング素子(FET)
66と、スイッチング素子66をオン及びオフするため
複数のアドレス線(ワード線)WL若しくはWL1と、
各磁区25の記録磁化方向に依存して変化する半導体層
11からの電流を注出するための複数の注出線(ワード
線)WL若しくはWL2と、夫々が各スイッチング素子
66を介して注入線BLに接続された、各磁区25の記
録磁化方向を書替えるための複数の磁場発生手段68
と、を具備する。
【0082】ここで、磁場発生手段68は記録磁区25
の電子注入側(実施の形態ではエミッタ)に直列に接続
することができる。換言すると、スイッチング素子66
と記録磁区25とは磁場発生手段68を介して接続する
ことができる。また、図17図示の如く、各アドレス線
及び各注出線は共通のワード線WLに纏めることができ
る。
【0083】なお、図14乃至図17に示す磁気記録装
置において、マトリックスの行方向及び列方向は互いに
等価であり且つ交換可能なものである。また、図15及
び図17に示す磁気記録装置において、アドレス線及び
注出線として列方向に延びる第1及び第2ワード線WL
1、WL2を配設したが、アドレス線及び注出線の一方
をビット線と平行に行方向に延びるように配設してもよ
い。即ち、注入線、アドレス線及び注出線は、マトリッ
クスの行方向及び列方向に適宜分配して配設することが
できる。
【0084】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の磁気記録媒
体及びその使用方法並びに磁気記録装置によれば、読み
出し時に磁気的相互作用を利用しないため、より微小な
磁区の読み出しが可能となり、より高密度記録が可能と
なる。また本発明の磁気記録媒体は、直接電気的な読み
出しが可能なため、ROM、RAMとして、或いは従来
の磁気ディスクと異なりコンピュータ本体から直接アク
セスできる高速磁気ディスクとして用いることが可能で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る磁気記録の原理を説明するための
図。
【図2】図1(a)に示す積層膜にトンネル障壁を介し
て非磁性体膜が接続されると共にショットキー接合を介
して半導体膜が接続された構造を示す図。
【図3】Feの電子状態密度を示す図。
【図4】Coの電子状態密度を示す図。
【図5】本発明の実施の形態に係る磁気記録媒体を概念
的に示す図。
【図6】本発明の別の実施の形態に係る磁気記録媒体を
概念的に示す図。
【図7】本発明の更に別の実施の形態に係る磁気記録媒
体を概念的に示す図。
【図8】本発明の更に別の実施の形態に係る磁気記録媒
体を概念的に示す図。
【図9】半導体ヘテロ接合を用いた二重障壁共鳴トンネ
ルデバイスのエネルギーバンドを示す図。
【図10】図9に示す共鳴トンネルデバイスの電流電圧
特性を示す図。
【図11】図6に示す磁気記録媒体に共鳴トンネル接合
部を用いた、本発明の更に別の実施の形態に係る磁気記
録媒体を概念的に示す図。
【図12】本発明の更に別の実施の形態に係る磁気記録
媒体を概念的に示す図。
【図13】本発明の更に別の実施の形態に係る磁気記録
媒体を概念的に示す平面図。
【図14】本発明の更に別の実施の形態に係る磁気記録
装置を示す回路図。
【図15】本発明の更に別の実施の形態に係る磁気記録
装置を示す回路図。
【図16】本発明の更に別の実施の形態に係る磁気記録
装置を示す回路図。
【図17】本発明の更に別の実施の形態に係る磁気記録
装置を示す回路図。
【図18】実施例1の磁気記録媒体におけるコレクタ電
流の外部磁場応答性を示す図。
【図19】実施例2の磁気記録媒体におけるコレクタ電
流のエミッタ/ベース電圧依存性を示す図。
【符号の説明】
10…コレクタ、11…半導体層、12…絶縁膜、20
…ベース、21…磁性積層膜、22…第1磁性体膜、2
3…非磁性体膜、24…第2磁性体膜、25…記録磁
区、26…積層膜、30…エミッタ、31…非磁性金属
膜、32…半導体膜、40…トンネル接合部、41…ト
ンネル絶縁膜、50…トンネル接合部、51…障壁層、
52…量子井戸層、、53…障壁層、62…メモリセ
ル、64…3端子ユニット、66…FET、68…磁場
発生素子。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年10月1日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正内容】
【0022】非磁性体膜N2と積層膜MLFとの間の印
加電圧が、磁性体膜F1と半導体膜SEMとの間のショ
ットキー障壁の高さを超えると、磁性体膜F1に至った
アップスピン電子の一部は半導体膜SEMに流れ込む。
一旦半導体膜SEM内に流れ込んだ電子は、接合電場の
ために積層膜MLFに戻ることはできず、半導体膜SE
M内でエネルギーを失い、コレクタ電流となる。電子の
注入源となる非磁性体膜N2と積層膜MLFとをトンネ
ル接合を介して接続すると、注入電子(ホットエレクト
ロン)のエネルギーを自在に変えることができる。例え
ば、図3及び図4に夫々示すように、代表的な強磁性体
であるFeやCoの電子状態密度は、フェルミ準位より
ぞれぞれ約1.5eV及び約1.2eV上に鋭い極大を
持っている。従って、トンネル接合を使用することによ
り、磁性体膜F1、F2の電子状態密度の極大に合うよ
うな特定のエネルギーの電子を、非磁性体膜N2から選
択的に注入することができる。これにより、例えば、シ
ョットキー接合を介して電子を注入する場合に比べて高
い感度が得られるようになる。図5は本発明の実施の形
態に係る磁気記録媒体を概念的に示す。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0023
【補正方法】変更
【補正内容】
【0023】図5に示す磁気記録媒体においては、コレ
クタ10となる半導体層11上に、ショットキー接合を
介してベース20となる積層膜21が配設される。積層
膜21は、第1磁性体膜22/非磁性体膜23/第2磁
性体膜24からなる。第1磁性体膜22は、磁化方向が
固定され且つ半導体層11とショットキー接合を形成す
る。第2磁性体膜24は複数の記録磁区25に分割され
る。第1及び第2磁性体膜22、24は、非磁性体膜2
3の膜厚を適当に選択することにより磁気的に非結合状
態になっている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正内容】
【0024】半導体層11としては例えばn型シリコン
基板が用いられる。第1及び第2磁性体膜22、24と
しては例えばCo膜、CoFe膜、NiFe膜等の強磁
性体膜が用いられる。非磁性体膜23としては例えばC
u膜、Ag膜等の非磁性金属膜が用いられる。第2磁性
体膜24の記録磁区25の磁化方向は「1」、「0」信
号に対応し、第1磁性体膜22の磁化方向と同じ(平
行)または逆(反平行)に設定される。即ち、各記録磁
区25の磁化方向は、本磁気記録媒体に記録される情報
に従って、予め磁気ヘッド(図示せず)によって任意に
設定される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正内容】
【0025】記録情報の読み出しは、図5に示すよう
に、エミッタ30として機能する非磁性プローブP1を
介して行われる。この時、エミッタ/ベース間には、半
導体層11と第1磁性体膜22との間のショットキー障
壁の高さを超える直流電圧が印加される。このため、非
磁性体膜23が負となるように、プローブP1と非磁性
体膜23との間に直流電源V1が接続される。また、
記録磁区25の磁化方向に依存して変化する半導体層1
1から流出する電流は、電流計A1により検出される。
電流計A1は半導体層11の表面或いは裏面配設され
たオーミック電極(図示せず)と非磁性体膜23との間
に接続される。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正内容】
【0031】コレクタ10の半導体基板11として、硼
素を1016/cm3 ドープしたn型シリコンを用い、そ
の上に磁性積層膜21を真空蒸着法により形成した。第
1磁性体膜22には保磁力が約300エルステッドの角
形ヒステリシスを示すCoFe合金膜を、第2磁性体膜
24には保磁力が約30エルステッド、飽和磁場が約6
0エルステッドのFe膜を、非磁性体膜23にはAu膜
を用いた。膜22、23、24の膜厚は夫々2nm、1
0nm、2nmとし、磁化測定により第1及び第2磁性
体膜22、24が磁気的に非結合状態にあることを確認
した。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0037
【補正方法】変更
【補正内容】
【0037】図6は本発明の別の実施の形態に係る磁気
記録媒体を概念的に示す。図6に示す磁気記録媒体にお
いては、コレクタ10となる半導体層11上に、ショッ
トキー接合を介してベース20となる積層膜21が配設
される。積層膜21上には、トンネル絶縁膜41からな
るトンネル接合部40を介して、エミッタ30となる非
磁性金属膜31が配設される。積層膜21は、図5に示
す磁気記録媒体と同様、第1磁性体膜22/非磁性体膜
23/第2磁性体膜24からなる。第1磁性体膜22
は、磁化方向が固定され且つ半導体層11とショットキ
ー接合を形成する。第1及び第2磁性体膜22、24
は、非磁性体膜23の膜厚を適当に選択することにより
磁気的に非結合状態になっている。ベース20及びエミ
ッタ30は、第2磁性体膜24の複数の記録磁区25に
対応するように、トレンチに埋め込まれた絶縁膜12に
より分割される。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正内容】
【0042】第1磁性体膜22は、磁化方向が固定され
且つ半導体層11とショットキー接合を形成する。第2
磁性体膜24は複数の記録磁区25に分割される。第1
及び第2磁性体膜22、24は磁気的に非結合状態にな
っている。ベース20及びエミッタ30は、第2磁性体
膜24の複数の記録磁区25に対応するように、トレン
チに埋め込まれた絶縁膜12により分割される。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0043
【補正方法】変更
【補正内容】
【0043】図8は本発明の更に別の実施の形態に係る
磁気記録媒体を概念的に示す。図8に示す磁気記録媒体
は、図7に示す構造の非磁性体膜23が省略された構造
を有する。図8に示す構造では、但し、第1及び第2磁
性体膜22、24が磁気的に非結合状態となるように、
トンネル絶縁膜41を厚くすることが必要となる。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正内容】
【0050】金属(CoSi2 )/絶縁体(CaF2
ヘテロ接合はバンド不連続が15eVと大きく、半導体
ヘテロ接合のAlGaAs/GaAsのバンド不連続
0.25eVに比較して60倍以上ある。図9に示す構
造の障壁にCaF2 、量子井戸にCoSi2 を用いるこ
とにより、二重障壁トンネルダイオードを実現すること
ができる。バンド不連続が大きいため、カソードから注
入された電子のトンネル確率が低いので、障壁及び量子
井戸層を薄くすることが必要であるが、障壁層を0.9
nm、量子井戸層を1.9nmでつくることにより共鳴
トンネル現象を期待することができる。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0063
【補正方法】変更
【補正内容】
【0063】なお、図5乃至図12の磁気記録媒体にお
いて、第1及び第2磁性体膜22、24には、膜面に平
行或いは垂直な方向に一軸性の磁気異方性が導入されて
いることが望ましい。また、非磁性体膜23として、第
1及び第2磁性体膜22、24との間で原子拡散の少な
い非磁性金属膜を用いることが望ましい。更に、非磁性
体膜23として、ホットエレクトロンの界面散乱を小さ
くするため、状態密度の大きい反強磁性体膜を用いるこ
とが望ましい。また、半導体層11と積層膜21との間
は、金属層を介在させてショットキー特性を改善するこ
とができる。また、積層膜21上に保護層やトンネル特
性を改善するための金属層を介在させることができる。
本発明に係る磁気記録媒体の使用態様としては、次のよ
うなものを例示することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 猪俣 浩一郎 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1磁性体膜と複数の記録磁区を有する第
    2磁性体膜とを含む積層膜と、 前記積層膜の一方の面にショットキー接合を介して接続
    された半導体層と、を具備することを特徴とする磁気記
    録媒体。
  2. 【請求項2】前記積層膜の他方の面にトンネル接合部を
    介して接続された金属膜を更に具備することを特徴とす
    る請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】前記積層膜の他方の面にショットキー接合
    を介して接続された半導体膜を更に具備することを特徴
    とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】前記第1及び第2磁性体膜がトンネル接合
    部を介して接続されることを特徴とする請求項1に記載
    の磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】前記トンネル接合部が、第1及び第2障壁
    層と、前記第1及び第2障壁層間に介在する量子井戸層
    と、を含む共鳴トンネル構造を具備することを特徴とす
    る請求項2または4に記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】前記積層膜が、前記第1及び第2磁性体膜
    間に介在する非磁性体膜を更に具備することを特徴とす
    る請求項1乃至5のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】前記半導体層と前記第1磁性体膜とが前記
    ショットキー接合を介して接続されること特徴とする請
    求項1乃至6のいずれかに記載の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】前記記録磁区に沿ってプローブを走査させ
    ながら、前記プローブから各磁区にホットエレクトロン
    を注入し、各磁区の記録磁化方向に依存して変化する前
    記半導体層から流出する電流に基づいて磁気記録を読み
    出すことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載
    の磁気記録媒体の使用方法。
  9. 【請求項9】前記記録磁区に対応して前記磁気記録媒体
    に配線を接続し、前記配線から各磁区にホットエレクト
    ロンを注入し、各磁区の記録磁化方向に依存して変化す
    る前記半導体層から流出する電流に基づいて磁気記録を
    読み出すことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに
    記載の磁気記録媒体の使用方法。
  10. 【請求項10】マトリックスとして配置された前記記録
    磁区を有する請求項1乃至7のいずれかに記載の磁気記
    録媒体と、 各磁区にホットエレクトロンを注入するための複数の注
    入線と、 夫々が各磁区と前記注入線とを接続するように配設され
    た複数のスイッチング素子と、 前記スイッチング素子をオン及びオフするため複数のア
    ドレス線と、 各磁区の記録磁化方向に依存して変化する前記半導体層
    からの電流を注出するための複数の注出線と、を具備す
    ることを特徴とする磁気記録装置。
  11. 【請求項11】各アドレス線と各注出線とが共通のワー
    ド線からなることを特徴とする請求項10に記載の磁気
    記録装置。
  12. 【請求項12】夫々が各スイッチング素子を介して前記
    注入線に接続された、各磁区の記録磁化方向を書替える
    ための複数の磁場発生手段を更に具備することを特徴と
    する請求項10または11に記載の磁気記録装置。
  13. 【請求項13】前記スイッチング素子と前記記録磁区と
    が前記磁場発生手段を介して接続されることを特徴とす
    る請求項12に記載の磁気記録装置。
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