JP2000299517A - 磁気抵抗素子及び磁気メモリ素子 - Google Patents

磁気抵抗素子及び磁気メモリ素子

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JP2000299517A
JP2000299517A JP11109572A JP10957299A JP2000299517A JP 2000299517 A JP2000299517 A JP 2000299517A JP 11109572 A JP11109572 A JP 11109572A JP 10957299 A JP10957299 A JP 10957299A JP 2000299517 A JP2000299517 A JP 2000299517A
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Takashi Ikeda
貴司 池田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強磁性層の保磁力の調整、小型化、安定性、
記録密度等に優れ、高い磁気抵抗変化率を有する磁気メ
モリ素子等に有用な磁気抵抗素子を提供する。 【解決手段】 第1の反強磁性層2、第1の強磁性層
3、非磁性層4、第2の強磁性層5、第2の反強磁性層
6が順に積層され、層2、3および層5、6がそれぞれ
交換結合しており、かつ、層2、3からなる交換結合膜
と、層5、6からなる交換結合膜の二つのうちどちらか
一方が、反強磁性層の一方向異方性の向きと強磁性層の
磁化方向とが平行であることを特徴とする磁気抵抗素
子;並びにこれを用いた磁気メモリ素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた磁化安定性
と高い磁気抵抗変化率を示す磁気抵抗素子、及びこれを
用いた磁気メモリ素子(不揮発性メモリ素子)に関す
る。
【0002】
【従来の技術】磁気抵抗効果型メモリ素子は、磁性層の
磁化方向をディジタル情報に対応させ記録を行うもので
ある。従って、記録の保持に外部からのエネルギー供給
を必要とせず、また半導体メモリと比較して製造工程が
簡素であり、特に基板材料を限定しないので、安価な大
容量不揮発性メモリとして期待されている。
【0003】磁気抵抗効果型メモリ素子は、図6に示す
ように、基本的に二層の強磁性層51、53の間に非磁
性層52を有したサンドイッチ構造である。記録検出方
法には大別して二つあり、それによってそれぞれの強磁
性層51、53の役割が異なる。
【0004】まず、一つの方法においては、二つの強磁
性層51、53の保磁力が異なるように構成し、保磁力
の比較的小さな層を検出層、保磁力の比較的大きな層を
メモリ層とする。強磁性層51、53に異なる保磁力を
持たせるには、異なる元素あるいは組成を用いるか、異
なる膜厚を用いる方法が一般的である。
【0005】記録は、メモリ層の保磁力よりも大きな記
録磁界(Hw)を印加し、この記録磁界(Hw)の方向
にメモリ層の磁化を平行に向けることで達成される。例
えば図7に示すように、非磁性層62の下側のメモリ層
61の磁化が左向きの場合を『0』、右向きの場合を
『1』とする。ただし、検出層63の保磁力はメモリ層
61の保磁力よりも小さいので、記録直後は両層の磁化
方向は平行である。
【0006】検出は、メモリ素子に一定の大きさの直流
電流を流すと共に、検出層63の保磁力よりも大きく、
メモリ層61の保磁力よりも小さな磁界(Ha)を印加
し、検出層63の磁化反転に伴う電位の変化を調べるこ
とにより行われる。両磁性層の磁化方向が平行である場
合、そのメモリ素子の抵抗率は、磁化方向が反平行であ
る場合と比べて小さい。例えば、図8に示すように、
『0』が記録されたメモリ素子に+Haの検出磁界を印
加すると両磁性層(メモリ層61、検出層63)の磁化
方向は反平行となって電位は高くなり、次いで−Haを
印加すると両磁性層の磁化方向は平行となって電位は低
くなる。同様に『1』が記録されたメモリ素子では、逆
に+Haの検出磁界を印加すると両磁性層の磁化方向は
平行となって電位は低くなり、次いで−Haを印加する
と両磁性層の磁化方向は反平行となって電位は高くな
る。この検出方式では、検出された信号が、検出前の検
出層の磁化方向に無関係である。
【0007】他の一つの方法は、図9に示すように、非
磁性層72を介して、二つ強磁性層の内どちらか一方を
磁化方向が固定された磁化固定層71とし、他の一方を
メモリ層73とし、記録磁界を印加することによりメモ
リ層73の磁化方向をその印加された磁界の方向に向か
せるものである。磁化固定層71は、記録磁界よりも大
きな保磁力を強磁性層に持たせることで形成されるが、
反強磁性層と交換結合させることにより、磁化固定方向
での磁化反転磁界を大きくすることも可能である。
【0008】図10は、強磁性層と反強磁性層を交換結
合させた『強磁性層/反強磁性層』膜構成のシフトした
磁化ループの様子を示す図である。この図では、右にH
ex(交換結合磁界)だけシフトした状態を表してい
る。図から容易に分かるように、強磁性層の保磁力をH
cとすると、磁化反転磁界はHex±Hcとなり、磁化
ループのシフト方向に磁界を印加し、磁化を反転しよう
とすると、強磁性層単層膜の場合よりも大きな磁界が必
要となる。
【0009】さらに、磁化ループのシフト量が保磁力よ
りも大きい場合、すなわちHex>Hcの場合は、図1
1に示すように、零磁界のときは常に決まった方向に磁
化が向くことになる。このようにすると、何らかの原因
で磁化が反転しても、磁化方向は元に戻るので、初期化
する必要が無い。
【0010】検出は、磁界を印加していない状態から、
メモリ層73の磁化を反転し得る大きさの磁界をどちら
か決めた一方向に印加し、出力電圧の変化を読み取るこ
とで行われる。例えば、図12に示すように、固定され
た磁化は右向きで、メモリ層73の磁化方向が『0』の
場合は右向き、『1』の場合は左向き、検出磁界印加方
向を右向きとすると、『0』が記録されたメモリ層73
の磁化方向は、検出磁界を印加しても変化しないので、
出力電圧の変化は無い。一方、『1』が記録されている
と、検出磁界印加時に二つの強磁性層の磁化が反平行か
ら平行になるので、磁気抵抗が減少し、検出電圧は低く
なる。しかし、このような検出方法は、記録された情報
を消去してしまうことになるので、情報を保持するに
は、再書き込みが必要になってしまう。そこで、情報の
消去や再書き込みを避けるためには磁界を印加せずに検
出を行う必要があり、その場合、『0』が記録されてい
るときの出力電圧の値と、『1』が記録されているとき
の出力電圧の値を予め知っておく必要がある。
【0011】高いS/Nを得るためには、磁気抵抗変化
率は大きいことが好ましい。磁気抵抗変化率は、磁性層
の材料や各層の界面形状等によって異なるが、スピン散
乱型の膜構成の場合は、磁性層間の非磁性層の膜厚にも
依存する。これはシャント効果と呼ばれ、非磁性層の膜
厚が厚くなると、非磁性層中を流れ磁気抵抗変化に関わ
らない電子数の割合が増加するため、磁気抵抗変化率は
低下する。従って、シャント効果の観点から考えると非
磁性層の膜厚は薄い方が好ましい。
【0012】また、磁気抵抗変化を利用したメモリをモ
バイル情報機器に用いる場合などにおいては、高密度な
メモリが要求される。そのようなメモリでは、セル面積
を小さくする必要がある。微細加工の方法として、半導
体プロセスに用いられるフォトリソグラフィーやFIB
が使用可能である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、スピ
ン散乱型の磁気抵抗効果型メモリ素子において、強磁性
層に挟まれた非磁性層の膜厚は、シャント効果の観点か
ら薄い方が好ましい。ところが、非磁性層の膜厚が薄く
なると、強磁性層間に働く静磁結合力が大きくなる。こ
の静磁結合力は、二つの強磁性層の磁化を平行にする向
きに働く。従ってこの静磁結合力が大きくなると、磁化
が反平行にならず、磁気抵抗変化が生じなくなる。
【0014】また、強磁性体の反磁界の大きさは、その
形状に依存しており、膜厚に対する磁化容易方向の長さ
の比が小さくなると、反磁界の大きさは大きくなるとい
う特徴がある。つまり、磁気抵抗効果型メモリ素子の磁
性層の膜厚を変えずにメモリセルの面積を小さくする
と、反磁界が増大して磁化が不安定となり、情報の保持
や検出が不可能となる。また、磁性層の膜厚を薄くする
にしても、均一な膜厚の磁性層薄膜を作成するには限界
があり、高密度メモリを作成するのに十分薄い膜厚は得
られない。
【0015】従って、高密度メモリの強磁性層に使用さ
れる材料は、一軸磁気異方性が大きく、十分大きな保磁
力を有する材料が好ましい。しかし、そのような材料は
いまだ提案されていないのが現状である。
【0016】本発明の目的は、強磁性層の保磁力を容易
に調整することが可能であり、サイズを小さくしても磁
化方向を安定して保持することが可能であり、記録密度
の高い磁気メモリ素子及びこれに有用な磁気抵抗素子を
提供することにある。
【0017】また、本発明のさらなる目的は、強磁性層
の間に形成された非磁性層の膜厚を薄くすることが可能
であり、高い磁気抵抗変化率を有する磁気メモリ素子及
びこれに有用な磁気抵抗素子を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の磁気抵抗素子
は、少なくとも、第1の反強磁性層、第1の強磁性層、
非磁性層、第2の強磁性層、第2の反強磁性層が順に積
層され、該第1の反強磁性層と該第1の強磁性層および
該第2の反強磁性層と該第2の強磁性層がそれぞれ交換
結合しており、かつ、該第1の強磁性層と該第1の反強
磁性層からなる交換結合膜と、該第2の強磁性層と該第
2の反強磁性層からなる交換結合膜の二つのうちどちら
か一方が、反強磁性層の一方向異方性の向きと強磁性層
の磁化方向とが平行であることを特徴とする磁気抵抗素
子である。
【0019】また、本発明の磁気メモリ素子は、上記磁
気抵抗素子を用いた磁気メモリ素子であって、反強磁性
層の一方向異方性の向きと強磁性層の磁化方向とが平行
である交換結合膜における該強磁性層をメモリ層とする
磁気メモリ素子である。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて説明する。
【0021】図1は、本発明の磁気メモリ素子の基本膜
構成を例示する模式的断面図である。図中、1は基板、
2は第1の反強磁性層、3は第1の強磁性層、4は非磁
性層、5は第2の強磁性層、6は第2の反強磁性層であ
る。
【0022】基板1には、一般にSiやガラス等が用い
られるが、平坦性と耐久性が高い材料であればよく、そ
の材料に特に制限は無い。
【0023】反強磁性層(第1の反強磁性層2、第2の
反強磁性層6)には、MnFe、MnIr、MnPt、
MnPtCr、AlCr等のMn系あるいはCr系反強
磁性体や、NiO、α−Fe23等の酸化物反強磁性体
が使用できる。特に、ネール点が動作温度より高いもの
が好ましい。また特に、酸化物反強磁性体を用いた磁気
メモリ素子は絶縁性が高いので、反強磁性体中の電子の
分流が無くなり、高い磁気抵抗変化率が期待できる。
【0024】強磁性層(第1の強磁性層3、第2の強磁
性層5)には、Co、CoFe、Fe、NiFe等が使
用できる。
【0025】非磁性層4には、CuやAl23等の非磁
性金属層が使用できる。
【0026】反強磁性層2、6の一方向異方性の反転
は、交換結合している強磁性層3、5の磁化を介して行
われる。すなわち、反強磁性層2、6の一方向異方性の
方向と強磁性層3、5の磁化方向が平行である状態で、
これらの方向と反平行に外部磁界を印加すると、強磁性
層3、5の磁化が反転し、これと交換結合している反強
磁性層2、6の原子の磁気モーメントも反転し、さらに
相互作用によって反強磁性層2、6内の原子の磁気モー
メントが順次反転することにより反強磁性層2、6の一
方向異方性が反転する。
【0027】本発明における強磁性層3、5の保磁力
は、強磁性層3、5の膜厚、強磁性層3、5と反強磁性
層2、6の間の交換結合力、あるいは反強磁性層2、6
の膜厚によって変化する。特に、強磁性層3、5あるい
は反強磁性層2、6の膜厚を適当に選ぶことにより、容
易に保磁力を調節することが可能である。
【0028】図2は、強磁性層の膜厚による保磁力の変
化を示すグラフである。この測定に用いたサンプルは、
ガラス基板上に反強磁性層として10nm厚のNiO
層、強磁性層としてCoFe層、保護層として10nm
厚のSiN層を順次積層した膜構成である。このグラフ
から分かるように、強磁性層3、5の保磁力は膜厚にほ
ぼ反比例している。
【0029】図3は、上記膜構成のサンプルにおいて、
強磁性層であるFeCo層の膜厚を5nm一定とし、反
強磁性層であるNiO層の膜厚を変えた場合の強磁性層
の保磁力の変化を示すグラフである。NiO層の膜厚が
厚くなるに従って、強磁性層の保磁力が大きくなり、N
iO層の膜厚を変えることによっても強磁性層の保磁力
を調節できることが分かる。ただし、NiO層の膜厚が
厚くなると、NiO層の一方向異方性が反転せず、磁化
曲線や磁気抵抗曲線において磁界方向のシフトが見られ
る。
【0030】図4は、この磁界方向のシフト量、すなわ
ち交換結合磁界と反強磁性層であるNiO膜厚の関係を
示すグラフである。この測定に用いたサンプルの強磁性
層であるCoFe層の膜厚は5nm一定とした。
【0031】反強磁性層の一方向異方性を反転させるた
めには、反強磁性層内に交換エネルギーを蓄積し得ない
ように反強磁性層の膜厚を選ぶことが必要である。ただ
し、そのような膜厚は、反強磁性層の材料や構造により
異なる。
【0032】図5は、本発明の磁気抵抗素子における印
加磁界と磁気抵抗変化率の関係を示すグラフ、および、
強磁性層3、5の磁化方向と反強磁性層2、6の一方向
異方性の方向の変化の様子を併せて示し、二つの強磁性
層3、5の内、第1の強磁性層3の磁化ループがシフト
した状態を示す図である。
【0033】印加磁界HがH<H3である場合を初期状
態とする。このときの各層2、3、5、6の磁化および
一方向異方性の方向は、図5に示すように、すべて印加
磁界の方向と平行である。この状態から印加磁界をH5
<H<H6とすると、第2の強磁性層5の磁化および第
2の反強磁性層6の一方向異方性が反転し、第1の強磁
性層3と第2の強磁性層5の磁化方向が反平行となり抵
抗率が高くなる。
【0034】第2の強磁性層5の本来の保磁力をH
2、第2の強磁性層5と第2の反強磁性層6の間に働
く交換結合磁界をHex2、第1の強磁性層3と第2の
強磁性層5の間に働く静磁結合力をHsとすると、H5
はHc2+Hex2+Hsで表される。ただし、ここで
は、Hsは第1の強磁性層3の磁化と第2の強磁性層5
の磁化を平行に向けるように働くものとする。
【0035】さらに、印加磁界を大きくしH6<Hとす
ると、第1の強磁性層3の磁化が反転し、抵抗率は再び
小さくなる。第1の強磁性層3の本来の保磁力をH
1、第1の強磁性層3と第1の反強磁性層2の間に働
く交換結合磁界をHex1とすると、H6はHc1+He
1−Hsで表される。さらに、印加磁界をH3<H<H
4に弱めると第1強磁性層3の磁化と第1反強磁性層2
の一方向異方性が反転し、さらに印加磁界をH<H3
することで初期状態に戻る。H4は−Hc1+Hex1
Hsで表され、H3は第2の強磁性層の磁化と第2の反
強磁性層の一方向異方性が反転する磁界で、−Hc2
Hex2+Hsで表される。
【0036】図5においては、H3<H<H4の磁界範囲
で磁化が反平行になる様子を示したが、必ずそうなるわ
けではなく、強磁性層3、5の磁化がどちらも右を向い
た状態から、ある印加磁界において両磁化が一斉に反転
することもある。従って、そのような場合には、H3
H<H4の磁界範囲で磁気抵抗変化が現れない。磁化が
一斉に反転するかしないかは、エネルギーバランスによ
って異なる。
【0037】本発明の磁気抵抗素子をメモリ素子として
応用する場合、第1の強磁性層3を磁化反転させず、第
2の強磁性層5の磁化方向により『0』、『1』のデー
タを記録する。このため、メモリ素子の場合では、図5
において、H<H3の初期状態からH5で磁気抵抗が上昇
した後、H6より小さい磁界で磁界を減少させ、H3で再
び初期状態へ戻るループとなる。
【0038】このとき、第1の強磁性層3と第2の強磁
性層5との間に磁気的相互作用が存在すると、記録に必
要な磁界との絶対値に差が生じる場合がある。しかし、
このような場合においても、第2の反強磁性層6はその
一方向異方性の向きが情報を記録する第2の強磁性層5
の磁化の向きと常に平行であるため、きわめて安定した
状態で磁化が保存される。
【0039】すなわち本発明においては、強磁性層と反
強磁性層からなる二つ交換結合膜のうち、メモリ層とし
て用いる側の強磁性層の磁化方向と、これに対応する反
強磁性層の一方向異方性の向きとが平行なので、きわめ
て安定した状態で磁化が保存されるのである。ここで、
強磁性層の磁化方向と反強磁性層の一方向異方性の向き
とが平行であるとは、記録、再生、及びその他の通常の
使用条件下において平行を保つことをいう。
【0040】本発明の磁気抵抗素子は、その用途に特に
限定は無いが、図5に示したような方法で使用する磁気
メモリ素子、特にスピン散乱型やスピントンネル型の磁
気抵抗効果型メモリ素子として非常に有用である。
【0041】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。
【0042】<実施例1>ガラス基板上に第1の反強磁
性層として20nm厚のIr30Mn70層、第1の強磁性
層として10nm厚のCo90Fe10層、2nm厚のAl
層を順次積層し、その後チャンバー内に酸素ガスを導入
し、Al層を酸化させ非磁性酸化物層とした。再びチャ
ンバー内を十分に真空引きした後、第2の強磁性層とし
て10nm厚のCo90Fe10層、第2の反強磁性層とし
て3nm厚のIr30Mn70層を形成した。
【0043】また、強磁性層の磁化反転を急峻にするた
めに、各層成膜中に、検出および記録磁界印加方向に平
行に約6kA/mの直流磁界を印加し、面内一軸磁気異
方性を誘起させた。
【0044】このようにして得たスピントンネル膜を、
フォーカスイオンビーム加工装置によって0.8μm角
の大きさに加工した。その後、第1磁性層と第2磁性層
間に電流を流して電圧が測定できるように電極を作成
し、磁気メモリ素子とした。
【0045】<実施例2>ガラス基板上に第1の反強磁
性層として50nm厚のNi5050層、第1の強磁性層
として2nm厚のCo90Fe10層、非磁性層として2.
2nm厚のCu層、第2の強磁性層として4nm厚のC
90Fe10層、第2の反強磁性層として8nm厚のNi
5050層を、真空を破ることなくスパッタリングによっ
て順次積層した。また各層成膜中には、実施例1と同様
にして直流磁界を印加し、面内一軸磁気異方性を誘起さ
せた。このようにして得たスピントンネル膜を用い、実
施例1と同様にして磁気メモリ素子を作成した。
【0046】<比較例1>ガラス基板上に第1の反強磁
性層として40nm厚のMn50Fe50層、第1の強磁性
層として3nm厚のCo90Fe10層、非磁性層として5
nm厚のCu層、第2の強磁性層として3nm厚のNi
80Fe20層を、真空を破ることなくスパッタリングによ
って順次積層した。また各層成膜中には、実施例1と同
様にして直流磁界を印加し、面内一軸磁気異方性を誘起
させた。このようにして得たスピントンネル膜を用い、
実施例1と同様にして磁気メモリ素子を作成した。
【0047】<比較例2>ガラス基板上に、第1の反強
磁性層として50nm厚のNi5050層、第1の強磁性
層として10nm厚のCo90Fe10層、2nm厚のAl
層を順次積層し、その後チャンバー内に酸素ガスを導入
し、Al層を酸化させ非磁性酸化物層とした。再びチャ
ンバー内を十分に真空引きした後、第2の強磁性層とし
て10nm厚のNi80Fe20層を形成した。また各層成
膜中には、実施例1と同様にして直流磁界を印加し、面
内一軸磁気異方性を誘起させた。このようにして得たス
ピントンネル膜を用い、実施例1と同様にして磁気メモ
リ素子を作成した。
【0048】<比較例3>ガラス基板上に第1の反強磁
性層として50nm厚のNi5050層、第1の強磁性層
として2nm厚のCo90Fe10層、非磁性層として2.
2nm厚のCu層、第2の強磁性層として4nm厚のC
90Fe10層を真空を破ることなくスパッタリングによ
って順次積層した。また各層成膜中には、実施例1と同
様にして直流磁界を印加し、面内一軸磁気異方性を誘起
させた。このようにして得たスピントンネル膜を用い、
実施例1と同様にして磁気メモリ素子を作成した。
【0049】実施例1、2および比較例1〜3の磁気メ
モリ素子について、磁化が反平行となる磁界範囲と磁気
抵抗変化率を表1にまとめた。ここで、磁気抵抗変化率
は四端子法によって測定した。
【0050】
【表1】
【0051】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁気メモ
リ素子は、強磁性層の保磁力を容易に調整することが可
能であり、磁気メモリ素子のサイズを小さくしても磁化
方向を安定して保持することが可能であり、記録密度の
高い磁気メモリを提供できる。また、強磁性層の間に形
成された非磁性金属層の膜厚を薄くすることが可能であ
り、高い磁気抵抗変化率を有する磁気メモリ素子を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁気メモリ素子の基本膜構成を例示す
る模式的断面図である。
【図2】強磁性層の膜厚による保磁力の変化を示すグラ
フである。
【図3】反強磁性層の膜厚に対する強磁性層の保磁力の
変化を示すグラフである。
【図4】反強磁性体の膜厚に対する交換結合磁界の変化
を示すグラフである。
【図5】本発明の磁気抵抗素子における印加磁界と磁気
抵抗変化率の関係を示すグラフおよび、強磁性層の磁化
方向と反強磁性層の一方向異方性の方向の変化の様子を
併せて示す図である。
【図6】従来の磁気メモリ素子の基本膜構成を例示する
断面図である。
【図7】従来の磁気メモリ素子の記録後の磁化方向を例
示する図である。
【図8】従来の磁気メモリ素子の検出方法を例示する図
である。
【図9】従来の磁気メモリ素子の記録後の磁化方向を例
示する図である。
【図10】強磁性層と反強磁性層の交換結合膜の磁化ル
ープを例示する図である。
【図11】強磁性層と反強磁性層の交換結合膜の磁化ル
ープを例示する図である。
【図12】従来の磁気メモリ素子の検出方法をを例示す
る図である。
【符号の説明】
1 基板 2 第1の反強磁性層 3 第1の強磁性層 4 非磁性層 5 第2の強磁性層 6 第2の反強磁性層 51、53 強磁性層 52 非磁性層 61 メモリ層 62 非磁性層 63 検出層 71 磁化固定層 72 非磁性層 73 メモリ層

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも、第1の反強磁性層、第1の
    強磁性層、非磁性層、第2の強磁性層、第2の反強磁性
    層が順に積層され、該第1の反強磁性層と該第1の強磁
    性層および該第2の反強磁性層と該第2の強磁性層がそ
    れぞれ交換結合しており、かつ、該第1の強磁性層と該
    第1の反強磁性層からなる交換結合膜と、該第2の強磁
    性層と該第2の反強磁性層からなる交換結合膜の二つの
    うちどちらか一方が、反強磁性層の一方向異方性の向き
    と強磁性層の磁化方向とが平行であることを特徴とする
    磁気抵抗素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の磁気抵抗素子を用いた磁
    気メモリ素子であって、反強磁性層の一方向異方性の向
    きと強磁性層の磁化方向とが平行である交換結合膜にお
    ける該強磁性層をメモリ層とする磁気メモリ素子。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013089081A (ja) * 2011-10-19 2013-05-13 Fujitsu Ltd メモリ装置

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