JPH1036990A - 金属電解析出用電極板 - Google Patents

金属電解析出用電極板

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JPH1036990A
JPH1036990A JP19429796A JP19429796A JPH1036990A JP H1036990 A JPH1036990 A JP H1036990A JP 19429796 A JP19429796 A JP 19429796A JP 19429796 A JP19429796 A JP 19429796A JP H1036990 A JPH1036990 A JP H1036990A
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metal
film
plate
electrode plate
ceramic
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JP19429796A
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Mineharu Kusano
峰晴 草野
Kenji Haisei
憲治 拝生
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Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
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Mitsui Mining and Smelting Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 金属の電解精製用種板製造時の種板電解また
は金属の電解採取に用いられる金属電解析出用電極
板(:母板)の寿命を著しく延長し、母板の補修頻度を
少なくすると共に、種板製造または電解採取における生
産性の向上が可能な、経済性に優れた金属電解析出用電
極板の提供。 【解決手段】 湿式電解法により金属を電解析出し、電
着金属を剥離、回収する際に使用される金属電解析出用
電極板であって、導電性金属基板の縁部に、電気絶縁部
として、下層が溶射金属皮膜、中間層がセラミックス皮
膜、上層が樹脂皮膜からなる積層部を有する金属電解析
出用電極板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、湿式電解法により
金属を電解析出し、電着金属を剥離、回収する際に使用
される金属電解析出用電極板に係わり、さらに詳しく
は、金属の電解精製時の陰極である種板の製造にまたは
金属の電解採取に使用される金属電解析出用電極板のよ
うな、縁部分のみを絶縁した電極板に関し、特に耐久性
に優れた金属電解析出用電極板に関する。
【0002】
【従来の技術】銅、ニッケル、金、亜鉛など金属の製錬
工程においては、電解精製、電解採取による金属の精
製、採取が行われる。銅、ニッケル、金などの電解精製
において、目的金属を電解析出(電着)させる陰極とし
て用いられる種板(金属の薄板)は、別途、種板槽と称
される電解槽で電解(以下種板電解とも記す)によって
製造される。
【0003】この場合、種板電解槽では、陰極として、
図2に示すような導電性金属基板1の板面周縁部に電気
絶縁部2を形成した金属電解析出用電極板(以下母板と
も記す)が用いられる。すなわち、種板と同一の金属を
陽極とするか、もしくは種板と同一の金属を電解液中に
溶解せしめ、種板電解槽に吊り手7で固定した母板を陰
極として電解し、母板に電着した金属を剥離、回収し、
回収した金属板を電解精製時の種板(陰極)として用い
る。
【0004】例えば、銅電解精製において陰極として使
用される種板は、縁の部分を絶縁したステンレス板やチ
タン板などを陰極とし、粗銅を陽極とし、種板電解槽で
約1日程度電解した後、母板に電着した銅を剥離、回収
したものが用いられる。また、金およびニッケルの電解
精製において陰極として使用される種板は、材質が各々
金、ステンレスの板面周縁部に絶縁部を形成した母板を
陰極とし、金または粗ニッケルを陽極とし、種板電解槽
で電解した後、母板に電着した金またはニッケルを剥
離、回収したものが用いられる。
【0005】一方、前記した電解採取法は、酸液中に溶
解した亜鉛を電解析出により回収する電気亜鉛の製造に
用いられる。この場合、亜鉛を電解析出(電着)させる
陰極として、上記の電解精製と同様に、導電性金属基板
の材質がアルミからなり、板面周縁部に絶縁部を形成し
た母板が用いられる。
【0006】以上、金属の電解精製時に陰極として用い
られる種板の製造(種板電解)および電解採取における
母板について述べたが、前記した導電性金属基板の縁部
に形成する電気絶縁性部材は、母板の表面に電解析出し
た金属層を、導電性金属基板の表面から容易に剥離可能
とし、また電解時の陰極、陽極の接触を防止するために
取付けられている。
【0007】この電気絶縁性部材の良否は、種板電解ま
たは電解採取において重要な問題であり、縁部の電気絶
縁性が不良な母板で電解した場合、電着金属の剥離性が
著しく悪化する。また、剥離工程は自動化されている
が、この自動化設備において剥離不良が生じた場合、設
備停止となり、大きなトラブルの原因となる。
【0008】従来、電気絶縁性の部材またはその材質と
しては、テープ、プラスチック、ワックスなどが採用さ
れてきた。図3に、電気絶縁性部材として、プラスチッ
クカバーを取付けた金属電解析出用電極板(母板)を示
す(特開平5−295584号公報)。図3(a) は金属電解析
出用電極板の平面図を示し、( b−1)は(a) のC部拡
大平面図、( b−2)は( b−1)のII−II線矢視
断面図を示す。
【0009】図3の母板は、棒状のプラスチックカバー
8の装着溝の内側にゴムなどのシール部材9を接着剤に
よって接着し、該装着溝にステンレス板などの導電性金
属基板1の縁部1aを嵌合し、締め付けロッド10を挿入し
プラスチックカバー8と導電性金属基板1とのシール性
を向上した母板である。なお、図3において11は吊り手
を示す。
【0010】しかし、上記したプラスチックカバーの場
合には、ステンレス板またはチタン板などの導電性金属
基板の熱膨張係数とプラスチックの熱膨張係数が大きく
異なるため、母板を加熱した電解液中に浸漬し母板に銅
など目的とする金属を電着後、取り出す操作を繰り返す
ことにより温度変化が繰り返され、プラスチックカバー
のセット位置にずれが生じ、母板縁部の電気絶縁性が経
時的に低下するという問題があった。
【0011】さらには、上記の方法の場合、上記した熱
膨張率の差により、母板縁部の絶縁に適した図4(a) に
示すような一体コの字型のプラスチックカバーである絶
縁部2を作成した場合、図4(a) の仮想線で示す如く、
プラスチックカバーの変形が生じる。このため、図4
(b) に示すように、プラスチックカバーの熱膨張を逃が
すために、導電性金属基板1の縦縁部用のプラスチック
カバー2本と導電性金属基板1の下部縁部用のプラスチ
ックカバー1本の計3本を使用することになるが、この
場合、母板の角部分の継ぎ目(D部)において、D部拡
大図である図4(c) のE部に示すように、電極板入替時
の温度変化の繰り返しによりズレが発生することが避け
られない。
【0012】ズレが発生した継ぎ目(D部)は金属の電
着が生じ易く、この場合、剥離性が著しく悪化し、種板
自動剥離装置において剥離不能のような、大きなトラブ
ルを生じる。このため、前記した従来技術の場合、母板
1枚の寿命は6箇月程度と短い。前記した従来技術の改
良として、母板の下部縁部のみワックスを塗布する方法
も提案されているが、この場合、種板または目的とする
金属を剥離する毎に絶縁部分が傷つくため、多数枚の母
板に再塗布する工程が必要となり母板の補修頻度が増加
し経済的でない。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来技
術の問題点を解決し、金属の電解精製用種板製造時の種
板電解または金属の電解採取に用いられる金属電解析出
用電極板(:母板)の寿命を著しく延長し、母板の補修
頻度を少なくすると共に、種板製造または電解採取にお
ける生産性の向上が可能な、経済性に優れた金属電解析
出用電極板を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、湿式
電解法により金属を電解析出し、電着金属を剥離、回収
する際に使用される金属電解析出用電極板であって、導
電性金属基板の縁部に、電気絶縁部として、下層が溶射
金属皮膜、中間層がセラミックス皮膜、上層が樹脂皮膜
からなる積層部を有することを特徴とする金属電解析出
用電極板である。
【0015】前記請求項1の発明においては、前記セラ
ミックス皮膜がセラミックス溶射によって形成された溶
射セラミックス皮膜であることが、より好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。図1に、本発明に係わる金属電解析出用電極板の
一例を示す。図1(a) は金属電解析出用電極板の平面図
を示し、(b) は(a) のA部I−I線矢視断面図を示し、
(c) は、(b) のB部拡大図を示す。
【0017】図1において、1は導電性金属基板、2は
下層が溶射金属皮膜、中間層がセラミックス皮膜、上層
が樹脂皮膜から構成される積層部である電気絶縁部で、
3は該電気絶縁部を構成するセラミックス皮膜、4は該
電気絶縁部を構成する樹脂皮膜、5は該電気絶縁部を構
成する溶射金属皮膜、6は吊り手を示す。すなわち、図
1に示す金属電解析出用電極板は、導電性金属基板1の
縁部に、電気絶縁部2として、下層が溶射金属皮膜5、
中間層がセラミックス皮膜3、上層が樹脂皮膜4からな
る積層部を有する金属電解析出用電極板である。
【0018】本発明において、セラミックス皮膜3は、
樹脂皮膜4と共に電気絶縁性機能を付与すると共に、樹
脂皮膜4の電気絶縁部2への密着性を改善するために形
成し、樹脂皮膜4はセラミックス皮膜3の酸に対する保
護膜の機能を付与するために形成する。また、溶射金属
皮膜5はセラミックス皮膜3の導電性金属基板1への密
着力を強化するために形成するものである。
【0019】導電性金属基板1としては、材質がステン
レス、チタン、アルミ、金、銅などの導電性金属基板が
例示されるが、金属の電解精製用種板製造時の種板電解
または金属の電解採取に適した金属板であれば特に制限
されるものではない。セラミックス皮膜3のセラミック
スとしては、好ましくは、Al2O3 、TiO2、Cr 2O3 、Zr
O2、SiO2、ThO2、ZrO2・MgO 、 Al2O3・TiO2、 Al2O3
ZrO2、ZrO2・Y2O3などの酸化物系セラミックス、TiC 、
WC、ZrC 、SiC などの炭化物系セラミックス、TiN 、Zr
N 、WN、MnN 、LaN 、TaN 、Cr2N、HfN などの窒化物系
セラミックスが例示され、さらには、導電性金属基板と
の密着性の面から前記酸化物系セラミックスがより好ま
しい。
【0020】セラミックス皮膜3のセラミックスの厚み
は、50〜200 μm が好ましく、さらには、70〜160 μm
であることがより好ましい。50μm 未満の場合は、電気
絶縁性が不良となり、逆に200 μm 超えの場合は電気絶
縁効果が飽和し、経済的でない。本発明においては、セ
ラミックス皮膜3は、セラミックス溶射によって形成さ
れた溶射セラミックス皮膜であることがより好ましい。
【0021】これは、溶射セラミックス皮膜は気孔率が
高く、導電性金属基板の熱膨張、収縮に対する追随性並
びに樹脂皮膜との密着性が良好であるためである。ま
た、セラミックスの溶射法としては、フレーム溶射法、
アーク溶射法、プラズマ溶射法などが例示される。ま
た、樹脂皮膜4の樹脂としては、耐酸性でセラミックス
との密着性に優れた樹脂であればその種類は特に制限さ
れるものではない。
【0022】本発明における樹脂皮膜4の樹脂として
は、好ましくは、PTFE(ポリテトラフルオロエチレ
ン)、PFA (テトラフルオロエチレン−ペルフルオロア
ルキルビニルエーテル共重合体)、FEP (テトラフルオ
ロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体)、PC
TFE (ポリクロロトリフルオロエチレン)などのフッ素
樹脂、グリシジルエーテル型末端基を有する環状シリコ
ーンを架橋剤で架橋したO −Si−O 結合を有するポリマ
ー、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂
またはこれらの混合物などが例示される。
【0023】樹脂皮膜4の樹脂の厚みは、50〜1000μm
が好ましく、さらには、100 〜200μm であることがよ
り好ましい。50μm 未満の場合は、セラミックスの酸に
よる浸食が防止できず、逆に1000μm 超えの場合は、熱
膨張による逃げが悪くなり、樹脂皮膜のセラミックス皮
膜からの剥離が生じる。
【0024】樹脂皮膜4の形成方法としては、セラミッ
クス皮膜3の表面に樹脂塗料を塗布する方法、樹脂のフ
ィルムまたはシートをセラミックス皮膜3の表面に熱圧
着などによりラミネートする方法、またはセラミックス
の溶射法と同様なフレーム溶射法が例示される。樹脂皮
膜4として被覆された樹脂は、気孔率が高いセラミック
ス皮膜3中に一部は含浸するため、樹脂皮膜4とセラミ
ックス皮膜3との接着強度およびセラミックス皮膜3と
溶射金属皮膜5との接着強度はより強固なものとなる。
【0025】溶射金属皮膜5の金属としては、Mo、Ni、
Cu、Crまたはこれらの合金、またはNi−Al合金、Ni−Al
−Mo合金、Cu−Al合金、Fe−Cr−Al合金などが好ましく
例示される。これは、これらの金属が、金属基板とセラ
ミックス皮膜の両者に対して密着性が良好であるためで
ある。
【0026】溶射金属皮膜5の金属の厚みは、20〜100
μm が好ましく、さらには、40〜80μm であることがよ
り好ましい。20μm 未満の場合は、セラミックス皮膜3
と導電性金属基板1との密着性改善効果が得られず、逆
に100 μm 超えの場合は、密着性改善効果が飽和し、経
済的でない。
【0027】また、溶射金属皮膜5の金属の溶射法とし
ては、前記したセラミックスの溶射法と同様の溶射法を
用いることができる。なお、本発明に係わる金属電解析
出用電極板においては、図1(a) に示すように、導電性
金属基板1の周縁部の内、少なくとも、導電性金属基板
1の縦縁部両側および下部縁部である周縁部に、前記し
た電気絶縁部2である積層部を形成することが好まし
い。
【0028】以上述べたように、前記した従来のプラス
チックカバーの場合は、ステンレス板などの導電性金属
基板とプラスチックの熱膨張係数の相違により、母板の
繰り返し使用時に両者のズレが生じるが、本発明の金属
電解析出用電極板(:母板)の場合、導電性金属基板お
よび樹脂皮膜の熱膨張、熱収縮はセラミックス皮膜がク
ッション材として機能するため、両者のズレが生じず、
樹脂皮膜の剥離等の問題を生じない。
【0029】また、プラスチックカバーの場合、前記し
たように、プラスチックカバーの継ぎ目において銅など
金属の電着が生じ易く、その場合、種板自動剥離装置に
おいて大きなトラブルを生じるが、本発明の母板の場
合、母板の繰り返し使用においても、母板縁部において
母板の表面、裏面の両面にまたがって接続した金属の電
着部は形成されず、種板自動剥離装置における剥ぎ取り
不能などのトラブルが激減し、種板製造または電解採取
における生産性の向上が可能となった。
【0030】また、プラスチックカバーの場合、母板1
枚の寿命は6箇月程度であるのに対し、本発明の母板の
場合、寿命は1年以上と長く、耐久性に優れた母板が得
られた。また再組み立てに要する時間は、母板1枚につ
き約2時間とプラスチックカバーの場合と同程度でよ
く、上記した耐久性の向上により、種板製造または電解
採取において大きな問題となっていた母板の補修作業が
大幅に軽減可能となった。
【0031】さらに、前記した母板の下部縁部にワック
スを塗布する従来技術の場合、電着金属を剥離する毎に
ワックスを再塗布する必要があったが、本発明の母板の
場合、ワックス塗布などの保守は不要である。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明
する。 (実施例1)導電性金属基板として、SUS304の板を用
い、該基板に前処理としてショットブラストを施した。
【0033】粉末式溶射機(アセチレン−酸素燃焼フレ
ーム溶射式、型式:キャストダインDS8000、日本ユテク
(株)社製)により、上記の前処理を施した導電性金属
基板の両面の縁部(:縦縁部両側および下部縁部)に、
基板側面部を含め、厚さが75μm のモリブデンの溶射皮
膜を形成した。得られた導電性金属基板のモリブデンの
溶射皮膜の上層に、さらに、上記した粉末式溶射機によ
り、厚さが150 μm のTiO2溶射皮膜を形成した。
【0034】次に、得られた導電性金属基板縁部のTiO2
溶射皮膜の上層に、基板側面部を含め、グリシジルエー
テル型末端基を有する環状シリコーンを架橋剤で架橋し
たO−Si−O 結合を有するポリマ−から成る、厚さが150
μm の樹脂皮膜を形成した。上記樹脂皮膜は、2液タ
イプの常温硬化型コーティング剤〔商品名:YSK 3157、
(株)ワイエスコーティング工業社製、主剤:無機Si−
O を芳香族オキシランの末端基と結合させた化合物〕を
塗布、乾燥することにより形成した。
【0035】上記した方法で試作した金属電解析出用電
極板は、本発明に係わる金属電解析出用電極板(:母
板)を示す図1において、導電性金属基板1の材質がSU
S304で、溶射金属皮膜5の金属がモリブデンで、セラミ
ックス皮膜3が溶射によって形成されたTiO2皮膜で、樹
脂皮膜4の樹脂が架橋剤で架橋されたO −Si−O 結合お
よびエーテル結合を有するポリマ−である。
【0036】次に、試作した金属電解析出用電極板を用
い、種板電解槽で、下記条件下で種板電解実験を行っ
た。 〔種板電解実験条件〕 陰極 :試作した金属電解析出用電極板 陽極 :粗銅 電解液 :硫酸銅水溶液(Cu:46g/l 、H2SO4 :200g/
l) 電着時間:24h 電着時間24h 後に、金属電解析出用電極板に電着した銅
を種板自動剥離装置で剥離、回収し、銅剥離後の金属電
解析出用電極板を同様に繰り返し使用した結果、200 回
繰り返し使用後においても、金属電解析出用電極板の縁
部への銅の電着は生ぜず、電着した銅と母板の剥離性は
良好であり、種板自動剥離装置における剥離不能などの
トラブルを生じることがなかった。
【0037】(実施例2)実施例1と同一の導電性金属
基板を用い、実施例1と同様の方法で導電性金属基板の
両面の縁部(縦縁部両側および下部縁部)に、基板板厚
側面部を含め、厚さが75μm のNi−Al合金の溶射皮膜を
形成した。得られた導電性金属基板のNi−Al合金の溶射
皮膜の上層に、さらに、実施例1で用いた粉末式溶射機
により、厚さが150 μm の Al2O3・TiO2溶射皮膜を形成
した。
【0038】次に、得られた導電性金属基板縁部の Al2
O3・TiO2溶射皮膜の上層に、基板板厚側面部を含め、厚
さが200 μm のフッ素樹脂皮膜を形成した。なお、フッ
素樹脂皮膜は、PFA (テトラフルオロエチレン−ペルフ
ルオロアルキルビニルエーテル共重合体)を含有する樹
脂塗料を粉体溶射し、その後加熱炉内で熔融焼付けして
形成した。
【0039】すなわち、上記した方法で試作した金属電
解析出用電極板は、本発明に係わる金属電解析出用電極
板(:母板)を示す図1において、導電性金属基板1の
材質がSUS304で、溶射金属皮膜5の金属がNi−Al合金
で、セラミックス皮膜3が溶射によって形成された Al2
O3・TiO2皮膜で、樹脂皮膜4の樹脂がフッ素樹脂であ
る。
【0040】次に、試作した金属電解析出用電極板を用
い、種板電解槽で、実施例1と同様の条件下で種板電解
実験を行った。電着時間24h 後に、金属電解析出用電極
板に電着した銅を種板自動剥離装置で剥離、回収し、銅
剥離後の金属電解析出用電極板を同様に繰り返し使用し
た結果、200 回繰り返し使用後においても、金属電解析
出用電極板の縁部への銅の電着は生ぜず、電着した銅と
母板の剥離性は良好であり、種板自動剥離装置における
剥離不能などのトラブルを生じることがなかった。
【0041】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、種
板製造または電解採取の電解工程において用いられる母
板の寿命が著しく延長可能となり、また母板の補修頻度
も減少し、さらには電着金属の自動剥離装置における剥
離不能による装置停止等の問題がなくなり、種板など目
的とする金属を生産性および経済性の両者に優れた方法
で製造することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる金属電解析出用電極板の一例を
示す平面図(a) 、A部I−I線矢視断面図(b) 、および
B部拡大図(c) である。
【図2】金属電解析出用電極板を示す平面図である。
【図3】従来の金属電解析出用電極板を示す平面図(a)
、C部拡大平面図( b−1)、II−II線矢視断面
図( b−2)である。
【図4】金属電解析出用電極板を示す平面図(a) 、(b)
およびD部拡大図(c) である。
【符号の説明】
1 導電性金属基板 1a 導電性金属基板の縁部 2 電気絶縁部 3 セラミックス皮膜 4 樹脂皮膜 5 溶射金属皮膜 6、7、11 吊り手 8 プラスチックカバー 9 シール部材 10 締め付けロッド

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 湿式電解法により金属を電解析出し、電
    着金属を剥離、回収する際に使用される金属電解析出用
    電極板であって、導電性金属基板の縁部に、電気絶縁部
    として、下層が溶射金属皮膜、中間層がセラミックス皮
    膜、上層が樹脂皮膜からなる積層部を有することを特徴
    とする金属電解析出用電極板。
  2. 【請求項2】 前記セラミックス皮膜がセラミックス溶
    射によって形成された溶射セラミックス皮膜である請求
    項1記載の金属電解析出用電極板。
JP19429796A 1996-07-24 1996-07-24 金属電解析出用電極板 Pending JPH1036990A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1182277A2 (de) * 2000-08-16 2002-02-27 KM Europa Metal AG Kathodenblech

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1182277A2 (de) * 2000-08-16 2002-02-27 KM Europa Metal AG Kathodenblech
EP1182277A3 (de) * 2000-08-16 2002-03-06 KM Europa Metal AG Kathodenblech
AU783801B2 (en) * 2000-08-16 2005-12-08 Km Europa Metal Aktiengesellschaft Cathode plate

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