JPH1036842A - 低温下での溶液硬化安定性に優れる土質注入改良剤と土質安定化方法 - Google Patents

低温下での溶液硬化安定性に優れる土質注入改良剤と土質安定化方法

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JPH1036842A
JPH1036842A JP21314396A JP21314396A JPH1036842A JP H1036842 A JPH1036842 A JP H1036842A JP 21314396 A JP21314396 A JP 21314396A JP 21314396 A JP21314396 A JP 21314396A JP H1036842 A JPH1036842 A JP H1036842A
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liquid
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Tadashi Kitamura
正 北村
Hideki Kuroki
英樹 黒木
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Mitsui Petrochemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水ガラス/燐酸・グリオキザールからなる長
結型の1液型土質安定化剤の問題である、沈殿の発生、
ゲル化遅延、注入管や注入ノズルの閉鎖等の現象を解決
し、冬場でも現場の作業安定性が優れたグラウト剤を提
供すること。 【解決手段】 主剤が特定の珪酸ソーダまたは珪酸ソー
ダとコロイダルシリカとよりなり、硬化剤が特定量の燐
酸とグリオキザールよりなり、さらに糖を含有する土質
安定化剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、珪酸ソーダと燐酸
とグリオキザールと糖を含有する土質注入改良剤および
それを用いた土質安定化工法に関する。より詳しくは、
珪酸ソーダ水溶液または珪酸ソーダとコロイダルシリカ
混合水溶液を主剤とし、人体に対する安全性が高い燐酸
とグリオキザールと糖を含有する水溶液を硬化剤とする
土質注入改良剤およびそれを用いた土質安定化工法に関
する。本発明の土質注入改良剤は、冬場のゲルタイムが
15分〜45分間の任意に調整が可能で、かつ1液土質
注入改良剤としたときの冬場の低温下での溶液安定性に
優れ、再現性あるゲル化挙動を示し、そのゲル体の圧縮
強度が従来の水ガラス系のものに比し高く、省力化が図
れるという特徴を有し、経済的な低コスト型の土質注入
改良剤である。
【0002】
【従来の技術】従来、トンネル工事、都市土木工事に於
ける軟弱地盤の安定化や止水を目的としたグラウト工法
に際しては、種々の土質注入改良剤がその地盤の性状に
応じて使い分けされている。グラウト工法に於いて使用
される土質注入改良剤は、地盤注入薬液やグラウト薬剤
とも言われる。これまでに種々の土質注入改良剤とその
工法が提案され実用化されているが、いずれに於いても
グラウト剤に対する要求性能は、硬化後の強度、ゲルタ
イム調整の容易さ、地盤への浸透性、環境への影響等様
々であり、コストと機能の両面から種々選択使用されて
いる。現在最も多く用いられているのは珪酸ソーダ(水
ガラス)水溶液を主剤とする土質注入改良剤である。
【0003】水ガラス系土質注入改良剤には懸濁型と溶
液型の2つがある。このうち、前者の懸濁型において
は、水ガラスの硬化剤成分として、セメント、石灰、ス
ラグ等の水に懸濁する物質が知られている。例えば特開
平7−166163号には、モル比が1.5〜2.8の
範囲にある水ガラスと微粒子スラグを有効成分とする土
質注入改良剤が、また特開平1−133965号にはポ
ルトランドセメントを有効成分とする土質注入改良剤が
提案されている。一般に懸濁型の土質注入改良剤は総じ
てその1次粒子径が比較的大きいため地盤への浸透性が
不足することが知られており、主流となっていない。ま
た後者の溶液型では、水ガラスの硬化剤として硫酸、塩
酸、燐酸等の無機酸やその塩類、グリオキザール、エチ
レンカーボネート等の強アルカリ中で有機酸を徐放する
水溶性有機単量体が公知である。特にグリオキザールは
安全性が高く、高強度の水ガラス系固結体を与えるとし
て近年では水ガラスの有機系硬化剤成分の主流になって
いる。
【0004】また最近では、水ガラスのアルカリ成分溶
出を嫌らって酸性水ガラスやコロイダルシリカを主成分
とする土質注入改良剤の提案がなされている。例えば水
性コロイダルシリカ系土質注入改良剤にあっては、硬化
剤として消石灰やポルトランドセメントを使用する方法
が特開昭59−66482号に、硬化剤としてスルファ
ミン酸マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩とする方
法が特開昭63−168485号等に開示されている。
また硬化剤として塩化ナトリウムや硫酸水素ナトリウム
等を使用する方法が特開昭59−152985号に、グ
リオキザール等を使用する方法が特開平2−36156
号にそれぞれ開示されており、それぞれ水ガラス系と同
様な、懸濁ないし溶液性の電解質を加えて硬化される方
法が提案されている。しかしこれまで提案された水性コ
ロイダルシリカ系土質注入改良剤では、ゲル強度が比較
的低いという問題を抱えている。
【0005】一方、近年では水ガラス系土質注入改良剤
のゲル化時間を20〜60分程度とする長結型(ゲルタ
イムが長いタイプ)の土質注入改良剤が特に重宝されて
いる。長結型の土質注入改良剤の使用によって、薬液注
入を必要とする対象軟弱地盤に対し、より均一に地盤浸
透固結させることが可能で、従来の瞬結型土質注入改良
剤を用いる方法よりも、より一層高度に地盤の高強度化
を図れるとされている。
【0006】高強度化と長結型の両方の目的に最適とさ
れる土質注入改良剤としては、例えば特開昭51−48
15号等によってアルカリ性水ガラス溶液を主剤とし、
硬化剤として燐酸とグリオキザールを併用する技術が公
知である。この技術によれば、前記効果と共にさらに薬
剤の温度変化によってゲルタイムが影響されにくいとし
ている。また、特に水ガラスの硬化剤として、ゲル化促
進剤として酢酸で代表される第3成分の併用により、よ
り一層効果的になると提案している。この技術の最大の
特徴は1ショット注入方式で対応できる点にあり、グラ
ウト注入装置が安価で経済性に富み省力・省エネ型の工
法と言える事から使用実績は高い。しかしながら、この
技術は以下のような問題がある。
【0007】即ち、該技術に従って調製された土質注入
改良剤を冬場1〜10℃の低温下で1液とし、1ショッ
ト方式で地盤注入を実施する際、その薬液が連続または
断続的に攪拌混合された場合や微振動が連続または断続
的に加わった場合等には、しばしば比較的短時間の内に
系全体が白濁し所定時間内の固結挙動が観察されなくな
ると同時に、送液やグラウト管を介した地盤注入が全く
出来なくなる等の問題が頻繁に発生する。その白濁の原
因は本発明者が行なった解析結果では、該薬液中に化学
量論的に生成する燐酸塩の過飽和溶解にあり、その過飽
和が崩れて燐酸塩水和結晶を析出する挙動であり、この
析出物質は分析の結果、燐酸第2ナトリウム水和物結晶
や燐酸第3ナトリウム水和物結晶であり、珪酸ナトリウ
ムや珪酸コロイドを該結晶に取込んだ複雑な複塩結晶沈
殿となっている事が判明した。
【0008】このように該技術に開示されたグラウト剤
は、冬場の注入現場作業下では種々の刺激を複雑に受け
る結果、初期の透明溶液が短時間の内に白濁・スラリー
溶液と変化し、浸透作業や送液ポンプ注入作業に著しく
支障を来す等の数々の現場トラブルを発生していた。よ
り具体的には、例えば、該技術の最も代表的な開示例で
ある3号水ガラスの35ccと75重量%の燐酸の1.
5ccと40重量%グリオキザールの3.5ccとを含
有し市水で総量を100ccとする1液型土質注入改良
剤では、液温が5℃±3℃、線速度で秒速60m程度の
刺激を連続または断続で与えたり、または50〜2、0
00Hzの振動を連続または断続的に与えた条件下等で
は、調製後数分から数十分で難溶性燐酸塩の水和物結晶
が析出する現象が再現性良く観察される。析出量はその
刺激の程度によって異なるが、時間経過と共により肥大
化し、ついにはタンク低部にケーキ物を作る等して、現
場注入に供する事が出来ない状態へと変化する。
【0009】結晶の形態は刺激の種類と度合いにより種
々に変化するが、その形態の差に関係なく、系全体が懸
濁化するため、結果として、地盤浸透性不良や注入ノズ
ルを詰めるなどのトラブルを発生させる。また第三成分
として少量の酢酸を含有させた場合においてもこの問題
は解決出来ず、その系に多量に酢酸を含有させるとゲル
化時間が極端に短縮され、もはや長結型土質注入改良剤
としては機能しなくなることも確認された。
【0010】特開昭51−4815号等によって開示さ
れている水ガラス/燐酸・グリオキザールからなる長結
型の1液型土質注入改良材は、調製時以外は全く振動も
攪拌も与えない静置状態下ではたしかにゲルタイムは液
温度の変動に際して比較的影響されにくい。しかし実際
の多くの地盤改良注入現場では、例えば、連続攪拌槽に
よる稼働、送液ポンプの稼働による振動、薬液の注入圧
調整用バイパスラインの作動による液循環等があり、そ
れらの攪拌・振動因子が複雑に該組成物溶液に作用する
為、そのゲル化特性は静置状態下の結果と著しく異な
る。すなわち、低温下での取扱現場では、沈殿の発生、
ゲル化遅延、注入管や注入ノズルの閉鎖等の現象が見ら
れ、現場不適合の問題がある。すなわち、特開昭51−
4815号で示された開示技術等はグラウト剤分野では
夏場実績が高い技術であるが、冬場の現場作業安定性と
ゲル化挙動の不安定性という重要な問題をかかえてお
り、その解決手段が強く求められている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、水ガ
ラス/燐酸・グリオキザールからなる長結型の1液型土
質注入改良材の問題である、結晶の析出に伴う沈殿の発
生、ゲル化遅延、注入管や注入ノズルの閉鎖等の現象を
解決し、冬場でも現場の作業安定性が優れたグラウト剤
を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を克
服するため鋭意検討した結果、珪酸ソーダ水溶液または
珪酸ソーダとコロイダルシリカの混合水溶液のいずれか
を主剤成分とし、これに硬化剤成分として燐酸とグリオ
キザールとを含有させ、その混合液に糖を含有させて1
液型土質注入改良剤とすることで前記課題を解決できる
事を見出し本発明を完成した。
【0013】すなわち本発明は、主剤が下記(a)また
は(b)であり、(a)SiO2/Na2Oモル比が2.
45〜4.5の珪酸ソーダを、そのSiO2とNa2Oの
総量で10〜50重量%含有してなる水溶液、(b)S
iO2/Na2Oモル比が4.5を超えない珪酸ソーダ
と、SiO2/Na2Oモル比が20〜250のコロイダ
ルシリカとを含有し、その混合水溶液のSiO2/Na2
Oモル比が3〜50、SiO2とNa2Oの総量が10〜
50重量%である混合水溶液、硬化剤が、該硬化剤と主
剤とを下記の割合で混合したときに、主剤中のNa2
の20〜50モル%相当分を中和する事が出来る量の燐
酸(c)と、5〜30モル%相当分を中和する事が出来
る量のグリオキザール(d)とを含有させてなる水溶液
であって、上記主剤と硬化剤を容積比で(1:0.9)
〜(0.9:1)の割合で混合してなり、その混合液の
総量200リットル当り糖(e)を0.1〜10kgの
割合で含有させてなる低温下での溶液硬化安定性に優れ
る土質注入改良剤である。
【0014】また本発明の土質安定化工法とは、軟弱地
盤中に予めセットされたグラウト注入管を介して、前記
本発明の土質注入改良剤を、1ショット方式で注入し、
浸透・流動・固結させ、土質を強化安定させる方法であ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の主剤の一つである(a)
液における珪酸ソーダは、SiO2/Na2Oモル比が
2.45〜4.5であり、好ましくは2.45〜4.
0、より好ましくは3.0〜3.5である。またその珪
酸ソーダは、通常、JIS K 1408に規定されて
いる3号珪酸ソーダが好ましく挙げられ、その他、2号
珪酸ソーダや4号珪酸ソーダ等であっても、またそれら
の混合珪酸ソーダであっても、何等問題なく使用でき
る。
【0016】(a)液中の該珪酸ソーダの含有濃度はS
iO2とNa2Oの総量濃度であらわした場合、10〜5
0重量%であり、好ましくは15〜45重量%、特に好
ましくは18〜40重量%である。含有量が10重量%
未満では、固結した後の土質の強度が低くて安定強化が
図りにくく、含有量が50重量%を越えると、液自体の
粘度が高すぎて土質浸透性に欠ける傾向にある。
【0017】(b)液における珪酸ソーダは、SiO2
/Na2Oモル比が4.5を超えないものであり、好ま
しくは3.0〜3.5である。通常、JIS K 14
08に規定されている3号珪酸ソーダが好ましく挙げら
れ、その他、1号珪酸ソーダ、2号珪酸ソーダや4号珪
酸ソーダ等であっても何等問題なく使用できる。
【0018】(b)液におけるコロイダルシリカとは、
通称シリカゾルと呼ばれているもので、例えば前記した
珪酸ソーダ水溶液を原料にして、イオン交換法、酸中和
法、電気透析法、微細シリカ粉末の水分散法等で製造さ
れるものが代表的である。その分散粒子径としては3〜
100nmのものがよく、より実用的には3〜30nm
のものが良い。コロイダルシリカはSiO2/Na2Oモ
ル比が20〜250であり、好ましくは20〜130、
より好ましくは20〜80である。モル比が20未満で
は密度と分子量の大きい独立分散シロキサンゾル粒子が
得られにくく、250を越えると一次分散粒子径が10
0nmを超えるため、それ自体の液安定性に欠けると同
時に、得られる土質注入改良剤組成物が懸濁溶液型に近
似した挙動を示す結果となり、軟弱土質への均一浸透性
に欠ける。
【0019】前記(b)液の珪酸ソーダとコロイダルシ
リカとを含有する混合水溶液のSiO2/Na2Oモル比
は3〜50であり、好ましくは3〜35、より好ましく
は3〜30である。また、有効成分であるSiO2とN
2Oの総量は混合水溶液中で10〜50重量%であ
り、好ましくは15〜45重量%、最も好ましくは18
〜40重量%がホモゲル強度が高くて経済的でありかつ
作業性が良い。両成分の総含有量が10重量%未満であ
る時は、固結した後の土質の強度が低く安定強化が図り
にくく、含有量が50重量%を越えると液自体の粘度が
高すぎて土質浸透性に欠けるかまたは溶液自体の安定性
が欠ける傾向にある。主剤を前記(b)とする事によ
り、固結後の土質強度を一層向上させる事やゲルタイム
を安定かつ任意に調整する事ができる。
【0020】また主剤液中には、事前に重炭酸アルカリ
有機化合物またはアルカリ性金属塩類を加えてその水溶
液pHを11以上とすることは好ましい。その理由は、
主剤液のpHを11未満とした場合、液は不安定とな
り、数十分以内にはゲル化して使用出来ない状態となる
からである。pHが11以上である場合は少なくとも調
製後数時間は溶液状態を確保できると共に、硬化剤液と
の混合時には気温によるゲルタイムの変動が低い土質注
入改良剤となる。重炭酸アルカリ有機化合物としては炭
酸グアニジンや炭酸コリン等が挙げられる。アルカリ金
属塩類としては例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カ
リウム、燐酸水素二カリウム、燐酸水素二ナトリウム、
硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム等が挙げられ
る。
【0021】なお、本発明の主剤液は前記した様に
(a)または(b)含有の水溶液をその基本とするが、
必要に応じて後述の糖(e)を、薬液総量200リット
ル当り0.1〜10kg、好ましくは0.5〜7kg、
より好ましくは1〜5kgのとなるような範囲で含有さ
せてよく、好ましい態様である。
【0022】次に、本発明の硬化剤液について以下に述
べる。本発明の硬化剤液とは、該硬化剤と主剤とを所定
の割合で混合したときに、主剤中のNa2Oの20〜5
0モル%相当分を中和することが出来る量の燐酸(c)
と、5〜30モル%相当分を中和することが出来る量の
グリオキザール(d)とからなる水溶液で、必要に応じ
て後述の糖(e)を、薬液総量200リットル当り0.
1〜10kg、好ましくは0.5〜7kg、より好まし
くは1〜5kgになるような量含有させることができ
る。より好ましい硬化剤液としては、主剤液中のNa2
Oの25〜40モル%相当分を中和することが出来る量
の燐酸(c)と、主剤液中のNa2Oの10〜25モル
%相当分を中和することが出来る量のグリオキザール
(d)と、糖(e)を薬液総量200リットル当り1〜
5kgとなるような量含有させてなる水溶液が挙げられ
る。
【0023】(c)の燐酸とは精製燐酸、粗燐酸等であ
り、特に限定はなく、前記のように主剤液のNa2Oの
20〜50モル%を中和出来る量を用いる。このモル%
は燐酸1モルが主剤液のNa2Oの1モルを消費すると
みなして算出され、以下同様である。20モル%相当分
を中和する事が出来る量未満の使用では、一般に経済性
に欠け、またゲルタイムが不適当であり生成する珪酸ゲ
ルの1軸圧縮強度特性が低くなる傾向にある。また50
モル%相当分を中和する事が出来る量を越えて使用した
場合では、ゲルタイムが短すぎて均等かつ高範囲への浸
透固結が可能とならない傾向にあり、いわゆる長結型の
1ショット注入方式が採用困難となる。
【0024】(c)の燐酸はその酸分の1〜50%相当
分を硫酸、硝酸、塩酸、ほう酸又はこれらの混合物で代
替してもよい。また同様に1〜50%相当分をフィチン
酸またはその酸性アルカリ金属塩で代替してもよい。こ
の場合、燐酸との合計で、主剤液のNa2Oの50モル
%を中和出来る量を越えないようにする。ここで酸分と
はアルカリを中和できる量の酸をいい、以下同様であ
る。
【0025】(d)のグリオキザールは、公知の製造方
法で得た物を適宜使用する事で良く、特に限定はない。
例えば、アセトアルデヒドの硝酸酸化法で得られたグリ
オキザール水溶液や、エチレングリコールから1分子を
脱水する方法等で得たグリオキザール水溶液等が代表的
な例として挙げられる。通常40重量%前後のグリオキ
ザール水溶液として市販されており、各種製造方法の違
いにより、精製グリオキザール水溶液であっても、また
蟻酸、酢酸、グリオキシル酸、蓚酸などの不純物をグリ
オキザール100に対して数重量%以内で含有している
非精製グリオキザール水溶液であっても本発明のグリオ
キザール成分として使用できる。
【0026】また精製グリオキザールの40重量%前後
の水溶液等は、しばしば長期溶液安定性確保の点から
0.01〜3重量%の極く少量の添加剤、例えば、グリ
セリン、エチレングリコール等の水溶性グルコール類、
また特公昭57−45729等で公知の窒素または窒素
とイオウとを環内に含む複素環式化合物等のグリオキザ
ール液安定化助剤を含んでいる場合があるが、このよう
なグリオキザール水溶液であっても問題なく使用でき、
特に制約はない。
【0027】グリオキザール自体は一般的にpH値が1
0以上の強アルカリ水溶液中で、カニツァロ反応(不均
化反応)によってグリコール酸に徐々に変質する事が知
られている。したがって本発明の(d)のグリオキザー
ルの使用割合は次のようにして算出する。即ち、1分子
のグリオキザールが完全にカニツァロ反応で100%グ
リコール酸に改質したと仮定し、それにより生成したグ
リコール酸の1分子がNa2Oの1/2分子と結合する
とし、この方法によって主剤液のNa2Oの5〜30モ
ル%相当を中和出来る量のグリオキザール(遊離グリー
コール酸換算)を算出する。5モル%相当分を中和する
事が出来る量未満の使用では、一般にゲルタイムが不適
当であり生成する珪酸ゲルの1軸圧縮強度特性が低くな
る傾向にある。また30モル%相当分を中和する事が出
来る量を越えてグリオキザールを使用した場合では、低
温作業性が欠如すると同時に、ゲルタイムが一般に短か
くなり過ぎて均等かつ高範囲への浸透固結が可能となら
ない傾向にある。またいわゆる長結型の1ショット注入
方式が採用困難となる。
【0028】また(d)のグリオキザールは、その遊離
グリコール酸換算の酸分であらわしたときの1〜100
相当量をグリコール酸2酢酸エステル、エチレンカーボ
ネート、プロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン
またはこれらの混合物で置き換えてもよい。この場合、
グリオキザールとの合計で主剤液のNa2Oの30モル
%を中和出来る量を越えないようにする。
【0029】また本発明の硬化剤にはゲルタイムの温度
依存性をより一層軽減する目的も併せて達成するため
に、主剤液のNa2Oの0.01〜5モル%相当分を中
和できる量の有機脂肪酸を含有させてよい。有機脂肪酸
としては、例えば蟻酸、酢酸、グリコール酸、グリオキ
シル酸、乳酸、リンゴ酸、イタコン酸、コハク酸等が例
示できる。
【0030】本発明の土質注入改良剤液中には、薬液総
量200リットル当り糖(e)を0.1〜10kgを含
有させることが重要である。これにより、冬場5℃±4
℃の低温下で1ショット注入液とするいわゆる1液組成
物として現場調製され、該現場で取扱う際の経時溶液安
定性がきわめて優れる特徴を持つ。
【0031】一般に、特開昭51−4815号等ですで
に明らかになっている土質注入改良剤、すなわち、3号
水ガラス(前記(a)の一種)と燐酸(c)とグリオキ
ザール(d)からなる1液型土質注入改良剤は、冬場の
1液化注入現場に於いて白濁化とゲルタイム不安定化が
重要な問題となっていることはすでに述べてきたとおり
である。それらの現場に於ける課題を解決する目的で、
本発明の土質注入改良剤の液安定化助剤成分として糖
(e)は欠くことが出来ない成分である。その糖の液安
定化助剤機能がどの様に働いているかの理由はまだ十分
明確になっていないが、推定されるその一つとしては包
接錯化合物の形成によるものと考えられる。
【0032】糖(e)としては、単糖類、二糖類、三糖
類、多糖類等の1種または2種以上を使用でき、特に冷
水に対する相溶性の高い糖を使用することが好ましい。
単糖類としては特に限定するものではないが、例えば、
グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンニット
ール、ソルビトール、イノシトール等が挙げられる。二
糖類としては特に限定するものではないが、例えば、ラ
クトース、マルトース、スクロース等がある。多糖類と
しては特に限定するものではないが、例えば、デキスト
ラン、デキストリン、シクロデキストリン、アミロー
ス、キサンタンガム、プルラン、マルニトール等が挙げ
られる。また糖(e)として一般的な、砂糖、ショ糖、
ブドウ糖、果糖、麦芽糖、乳糖、蜂蜜糖等の天然糖類、
異性化糖、デンプン糖、精製ブドウ糖、マンニトール、
酸化糖、オリゴ糖等の改質糖類、その他デンプンや水溶
性セルロース化合物等なども好ましく使用できる。好ま
しい糖(e)としては、グルコースまたはソルビトール
が挙げられ、ラクトース、マルトースまたはスクロース
がより好ましく、デキストリン、シクロデキストリンが
最も好ましい。
【0033】糖の含有量は土質注入改良剤総量200リ
ットル当り0.1〜10kg、好ましくは0.5〜7k
g、より好ましくは1〜5kgである。0.1kg未満
では冬場の薬液安定性が確保されず、10kgを越えて
使用した場合は顕著な効果がそれ以上引出せずコスト的
に不経済となるからである。
【0034】本発明の土質注入改良剤の好ましい調製方
法としては、例えば、注入開始前の数分前に主剤、硬化
剤のいずれか一方ないし両方に糖を事前に溶解させて
後、該主剤と該硬化剤とを混合均一化させて1液とする
方法がある。また、主剤と硬化剤とを混合直後に必要量
の糖を後添加溶解させて1液とする調製方法がある。ま
た、主剤、硬化剤のいずれか一方ないし両方に糖を事前
に溶解させて後、該主剤と該硬化剤とを混合均一化させ
た1液に、更に必要に応じて同種または別種の糖を後添
加溶解させる調製方法などがある。このように、糖
(e)は主剤中に配合しても、硬化剤中に配合してもよ
く、またその両方に配合してもよい。あるいは主剤、硬
化剤の何れにも配合せずに、両者を混合して後糖(e)
を配合してもよく、また主剤、硬化剤のいずれかまたは
両方にその一部を配合し、残りを両者を混合して後配合
してもよい。要は、得られる土質注入改良剤に前記の量
の糖(e)が含まれていればよい。
【0035】主剤液と硬化剤液は容積比で1:0.9〜
0.9:1の範囲、好ましくは1:1により近似させて
混合する。その結果、冬場の現場に即した液安定性が確
保された、実用性のあるホモゲル強度を呈する経時安定
性と一定したゲル化挙動とを示す組成物となる。
【0036】本発明において、糖と全く異質の作用によ
って同様な過飽和液刺激安定性を引出す物として、アル
カリ土類金属塩やヘキサメタ燐酸アルカリ金属塩などが
あり、それらを糖と併用することは何等問題ない。アル
カリ土類金属塩とは、例えばマグネシウム塩や第2鉄塩
が挙げられる。マグネシウム塩とは、例えば塩化マグネ
シウム、燐酸水素マグネシウム塩、オキシカルボン酸マ
グネシウム塩、炭素数1〜4の脂肪族カルボン酸マグネ
シウム塩、炭素数1〜4の脂肪族ジカルボン酸マグネシ
ウム塩などである。好ましくは塩化マグネシウム、オキ
シカルボン酸マグネシウム塩、炭素数1〜4の脂肪族カ
ルボン酸マグネシウム塩である。
【0037】オキシカルボン酸マグネシウム塩とは、例
えば乳酸マグネシウム塩、グリコール酸マグネシウム
塩、グリオキシル酸マグネシウム塩、リンゴ酸マグネシ
ウム塩等である。また炭素数1〜4の脂肪族カルボン酸
マグネシウム塩とは、例えば蟻酸マグネシウム、酢酸マ
グネシウム、プロピオン酸マグネシウム、ブタン酸マグ
ネシウム等である。また炭素数1〜4の脂肪族ジカルボ
ン酸マグネシウム塩とは、例えば琥珀酸マグネシウム、
蓚酸マグネシウム、アジピン酸マグネシウム等である。
【0038】第2鉄塩としては、例えば塩化第2鉄、オ
キシカルボン酸第2鉄塩、炭素数1〜4の脂肪族カルボ
ン酸第2鉄塩、炭素数1〜4の脂肪族ジカルボン酸第2
鉄塩があげられる。オキシカルボン酸第2鉄塩として
は、例えば乳酸第2鉄塩、グリコール酸第2鉄塩、グリ
オキシル酸第2鉄塩、リンゴ酸第2鉄塩等がある。また
炭素数1〜4の脂肪族カルボン酸第2鉄塩としては、例
えば蟻酸第2鉄、酢酸第2鉄、プロピオン酸第2鉄、ブ
タン酸第2鉄が挙げられ、また炭素数1〜4の脂肪族ジ
カルボン酸第2鉄塩としては、琥珀酸第2鉄、蓚酸第2
鉄、アジピン酸第2鉄等が挙げられる。
【0039】ヘキサメタ燐酸アルカリ金属塩には重合度
6〜50のヘキサメタ燐酸ナトリウムやヘキサメタ燐酸
カリウムがある。これらアルカリ土類金属塩やヘキサメ
タ燐酸アルカリ金属塩は通常は硬化剤液に配合する。
【0040】本発明の土質注入改良剤を調製する際に使
用される水は、例えば、河川水、湖水、湧水、地下水、
水道水、海水、蒸留水、イオン交換水、氷水、雪水、雨
水などであって良く、特に限定はない。
【0041】本発明の土質注入改良剤を用いる土質安定
化方法は、ゲルタイムに応じて両者を混合し、1液1系
統式で地盤注入固結させるいわゆる1ショット方式、2
液1系統式で地盤注入固結させるいわゆる1.5ショッ
ト方式、2液2系統式で地盤注入固結させるいわゆる2
ショット方式で行ないうる。特に本発明の土質注入改良
剤の特徴を生かした経済的な方法としては、1ショット
方式が適当な例としてあげられる。本発明の土質注入改
良剤は、現場の1ショット配合注入装置の稼働時のゲル
化前の溶液安定性と安定したゲル化特性が確保される
他、極めて顕著な止水性能、強固な実用性の高い地盤強
度確保がされる等の特徴も有する。
【0042】本発明の作用について以下に考察するが、
仮に以下の推定が事実と異なっていたとしても本発明に
何等影響を及ぼすものではない。後述の比較例1で生成
した沈殿をロ紙でロ過分別した後、メタノール−水1:
1の混合液にて水洗浄して精製沈殿物を得た。この沈殿
物に関してはNa元素の含有量として15.3%、Si
元素含有量が5.2%、P元素含有量が7.22%、結
晶水として50〜52%と定量分析された。この結果と
赤外吸収スペクトルの測定結果より、第2燐酸ナトリウ
ム12水塩と第3燐酸ナトリウム12水塩及び少量の水
ガラスゲルを内包する複塩結晶構造体である可能性がき
わめて高いと考えられた。おおよそ第2燐酸ナトリウム
12水塩として55〜65%、第3燐酸ナトリウム12
水塩として15%前後、水ガラス珪酸水和物として5〜
15%の複塩沈殿と推定された。
【0043】一方、燐酸の中和曲線は第1変曲点がpH
値で4〜6にあり、第2変曲点がpH値で9〜10に在
ることが知られている。その事と、後述の実施例2また
は比較例1のおのおのの土質注入改良剤の溶液pH値は
概略10.8と言う事が出来、したがって各液中には燐
酸の使用量に応じた第2燐酸ナトリウム・12水塩ない
し少割合の第3燐酸ナトリウム・12水塩の生成が理論
付けされる。
【0044】日本化学会発行編者、昭和59年6月25
日発行の化学便覧基礎編・改定3版のII−173に、第
2燐酸ナトリウム・12水和物の水100gに対する飽
和溶解度が記載されており、その値は0℃で1.58
g、10℃で3.48g、20℃で7.15gとされ
る。すなわち、該第2燐酸塩は0℃で0.04モル/L
が飽和濃度と算出でき、5℃では0.06モル/L、1
0℃では0.09モル/Lが飽和濃度であることが判
る。
【0045】ところで後述の実施例2、比較例1ではそ
の燐酸の使用量から、100%の確率で該第2燐酸塩水
和物が生成すると仮定するとおおよそ0.18モル/L
(5℃)の存在濃度と算出され、前記公知の値の3倍に
相当し、かなりの過飽和系である事が判る。また50%
の確率で該第2燐酸塩水和物が生成すると仮定するとお
およそ0.09モル/L(5℃)の存在濃度と算出さ
れ、前記公知の値の1.5倍に相当し、やはり過飽和系
が成立している事が判る。これらの計算結果と沈殿物の
成分の特定結果とを合せると、特開昭51−4815号
に開示された土質安定化処方に於ける冬場の液安定性の
問題がきわめて明瞭になる。
【0046】本発明の土質注入改良剤は、この問題の原
因と考えられる燐酸ナトリウム塩複塩結晶の析出を何等
かの作用効果で抑制しており、結果として、低温下の該
薬液の過飽和状態をゲル化するまでの時間内安定化して
いることが明らかである。その理由はまだ十分明らかで
はないが、糖類の存在により、難溶解性燐酸塩類が液中
で包接ミセルに準じた形態を形成することによる効果と
予想される。
【0047】一方、後述の各比較例の土質注入改良剤で
は過飽和系が加えられた攪伴刺激で崩れ、微細な結晶核
の生成と共に経時で肥大化し、ついには過飽和分の結晶
を大量に系中に析出させていると判断出来る。この様に
してみると本発明の土質注入改良剤は理由は不明だが、
きわめてあきらかに比較例と低温安定性およびその硬化
挙動には差が認められ、糖類が必須な成分であることが
明らかである。
【0048】
【実施例】以下に本発明の実施例および比較例を示す
が、本発明はこれらによって限定されない。また、%、
部とは特記する以外はそれぞれ重量%、重量部を意味す
る。また、以下の記載・表中のLの記号は容積単位でリ
ットルの意味で使用する。また各例に於ける土質安定化
剤の評価は、次の方法で行なった。
【0049】[ゲルタイム測定方法]主剤液と硬化剤液
とを混合均一化した時間を基点とし、調製された混合液
の静置状態から90度傾斜させた時に流動性が失われて
流出しなくなるまでの時点までの経過時間で計測して表
示した。
【0050】[低温作業・液安定性試験方法]内容量2
00mlの円筒形ビーカーを2ケ用意し、5℃に調整さ
れた恒温水槽中にセットし、その内の1ケに半径2.5
cmのタービン型またはスクリュー型攪拌棒をビーカー
内の液を連続攪拌できる位置にセットする。もうひとつ
のビーカーは静置するのみの条件で使用する。セット完
了後、予め3℃にそれぞれ調温した主剤と硬化剤の各液
をすばやく混合して後、その150mlづつを各ビーカ
ー中に注いで、一方は連続攪拌下に、もう一方は無刺激
下で放置した。
【0051】攪拌は線速度で60m/秒速の剪断抵抗を
連続的に加える条件下を選定した。前記方法でゲル化す
るまでの時間と系の状態を観察し、低温作業性を判断し
た。攪拌下したビーカー内でゲル化せず、系内が著しく
白濁した場合を×の記号で表示し、極く少量の析出が見
られるものの静置ビーカー内液とほぼ同様なゲル化が観
察された場合を○の記号で、全く正常なゲル化挙動をそ
の2つのビーカー試験で得た場合を◎の記号で表示し
た。 [地盤注入簡易試験]
【0052】前記の低温作業液安定性試験と同様にして
調製した20〜25分経過後のゲル化前の土質安定化剤
液を採り、150メッシュのステンレス製ロ布でその液
をロ過する方法で、注入管先端部の注入ノズル詰める問
題が発生しないかの判定をおこなった。ロ布に沈殿が残
る場合はノズルを詰めやすいと判定し、記号×と表示し
た。全くロ布に沈殿が認められない場合をノズルを詰め
ないとして記号○で表示した。
【0053】[圧縮強度]成分を均一に混合してなる土
質安定化剤をゲル化前に50mmφ×100mmHの型
枠に注ぎ込み、ゲル化させて、そのまま水分の気散を防
止して一定期間養生させて後、脱型し、アームスラー型
強度試験機を用いてホモゲルの一軸圧縮強度を測定し
た。
【0054】調製例1 [実施例の主剤a−1液]JIS3号珪酸ソーダ原液
(SiO2分濃度29.8重量%、Na2O分濃度9.1
5重量%、SiO2/Na2Oモル比が3.16)の1L
と水道水1Lとを混合してSiO2/Na2Oモル比が
3.16、SiO2とNa2O分の総量が22.77%
(5.35%のNa2O含有量、17.42%のSiO2
含有量)の番号(a−1)の珪酸ソーダ水溶液2Lとし
た。
【0055】調製例2 [実施例の主剤a−2液]JIS3号珪酸ソーダ原液
(SiO2分濃度29.8重量%、Na2O分濃度9.1
5重量%、SiO2/Na2Oモル比が3.16)の1.
4Lと水道水0.6Lとを混合してSiO2/Na2Oモ
ル比が3.16、SiO2とNa2O分の総量が30.5
3%(7.02%のNa2O含有量)の番号(a−2)
の珪酸ソーダ水溶液2Lとした。
【0056】調製例3 [実施例の主剤a−3液]市販2号珪酸ソーダ原液(S
iO2分濃度35.90重量%、Na2O分濃度14.0
5重量%、SiO2/Na2Oモル比が2.50)の1.
5Lと水道水0.5Lとを混合してSiO2/Na2Oモ
ル比が2.50、SiO2とNa2O分の総量が41.3
8%(11.64%のNa2O含有量、29.74%の
SiO2含有量)の番号(a−3)の珪酸ソーダ水溶液
2Lとした。
【0057】調製例4 [実施例の主剤b−1液]JIS3号珪酸ソーダ原液
(SiO2分濃度29.8重量%、Na2O分濃度9.1
5重量%、SiO2/Na2Oモル比が3.16)の1L
と表1の番号(S−1)で示されたS−1コロイダルシ
リカ溶液(SiO2分濃度29.8重量%、Na2O分濃
度0.55重量%、SiO2/Na2Oモル比が52.
5、粒子径が12nm、比重1.23)の0.2Lと水
道水0.8Lとを混合して、該混合液中のSiO2/N
2Oモル比が4.33、SiO2とNa2O分の総量が
27.61%(5.32%のNa2O含有量)の番号
(b−1)の珪酸ソーダ水溶液2Lとした。
【0058】調製例5 [実施例の主剤b−2液]市販4号珪酸ソーダ原液(S
iO2分濃度24.55重量%、Na2O分濃度6.67
重量%、SiO2/Na2Oモル比が3.57)の1Lと
表1の番号(S−1)で示されたS−1コロイダルシリ
カ溶液(SiO2分濃度29.8重量%、Na2O分濃度
0.55重量%、SiO2/Na2Oモル比が52.5、
粒子径が12nm、比重1.23)の0.2Lと市水
0.8Lとを混合して、該混合液中のSiO2/Na2
モル比が11.5、SiO2とNa2O分の総量が20.
4%(3.7%のNa2O含有量)の番号(b−2)の
珪酸ソーダ水溶液2Lとした。
【0059】調製例6 [実施例の主剤a−4液]JIS3号珪酸ソーダ原液
(SiO2分濃度29.8重量%、Na2O分濃度9.1
5重量%、SiO2/Na2Oモル比が3.16)の1.
2Lと水道水0.8Lとを混合してSiO2/Na2Oモ
ル比が3.16、SiO2とNa2O分の総量が23.3
7%(5.49%のNa2O含有量)の番号(a−4)
の珪酸ソーダ水溶液2Lとした。表1に前記実施例の主
剤液(a−1)〜(a−4)、(b−1)〜(b−2)
の各組成を纏めて表示した。
【0060】比較調製例1 [比較例の主剤液a1]JIS3号珪酸ソーダ溶液(S
iO2分濃度29.8重量%、Na2O分濃度9.15重
量%、SiO2/Na2Oモル比が3.16)の0.2L
と水道水1.8Lとを混合してSiO2/Na2Oモル比
が3.16、SiO2とNa2O分の総量が5.27%
(1.24%のNa2O含有量、4.03%のSiO2
有量)の番号(a1)の珪酸ソーダ水溶液2Lとした。
【0061】比較調製例2 [比較例の主剤液b1]S−2コロイダルシリカ溶液
(SiO2分濃度49.9重量%、Na2O分濃度0.7
1重量%、SiO2/Na2Oモル比が70.3、粒子径
が15nm、比重1.34)そのものをあてた。表2に
前記比較例の主剤液(a1)、(b1)の各組成を纏め
て表示した。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】実施例1 主剤として表1記載の(a−1)溶液を選択しその10
0mlと、74%粗燐酸の3mlと40%グリオキザー
ルの3mlと更に砂糖の1部(2kg/硬化剤総量20
0L当り)および水道水の94部とから成る硬化剤液1
00mlとを、それぞれ3.5℃で混合均一化した。主
剤中のアルカリ分の中和理論算出%は、各硬化剤成分毎
に、燐酸分で35.5%、グリオキザールで13%と算
出される。混合2分後の液温度は5℃を示した。
【0065】低温作業・液安定性試験の結果、静置法及
び連続攪拌法で測定した本薬剤は、ゲルタイムが27〜
28分で正常ゲル化し、沈殿生成はいずれも全く観察さ
れなかった。従って低温作業・液安定性試験の判定結果
は◎であった。上記低温作業・液安定性試験と同様にし
て調製した、攪拌法/20分経過後の5℃液を用いて行
なった、簡易地盤注入試験の結果は○であり、低温現場
作業性が確保されている事が判明した。
【0066】なお、室温20℃のゲルタイムは静置法で
おおよそ19〜20分であった。またその固結したホモ
ゲルの1軸圧縮強度は5日室温養生品で0.35kgf/c
m2でゲル収縮率が8.5vol%と測定された。また本
土質安定化剤を豊浦標準砂に隙間充填率97%となる様
に砂と配合して固結させたサンドゲルの5日室温養生ゲ
ルの1軸圧縮強度は、4.17kgf/cm2と高強度を示し
た。
【0067】実施例2 主剤として表1記載の(a−2)溶液を選択しその10
0mlと、75%精製燐酸の3mlと40%グリオキザ
ールの5mlとD−ソルビトールの2部(4kg/硬化
剤総量200L当り)と無水酢酸の0.1部および水道
水の91部とから成る硬化剤液100mlとを、それぞ
れ3.5℃で混合均一化した。主剤中のアルカリ分の中
和理論算出%は、各硬化剤成分毎に、燐酸分で24.1
%、グリオキザールで15.6%と算出される。混合2
分後の液温度は5℃を示し、混合溶液の初期pH値は1
0.79であった。
【0068】低温作業・液安定性試験の結果、連続攪拌
法で測定した本薬剤は、ゲルタイムが27分34秒で正
常ゲル化し、沈殿生成は全く観察されなかった。従って
該低温作業・液安定性試験の判定結果は◎であった。上
記低温作業・液安定性試験と同様にして調製した本薬液
は、攪拌法/20分経過後の5℃液を用いて行なった簡
易地盤注入試験の結果は○であり、低温現場作業性が確
保されている事が判明した。なお、本薬液の液温20℃
のゲルタイムは静置法で31分25秒であった。またそ
のホモゲルの1軸圧縮強度は5日室温養生品で1.62
kgf/cm2と測定された。また本土質注入改良剤を豊浦標
準砂に隙間充填率97%となる様に砂と配合して固結さ
せたサンドゲルの5日室温養生ゲルの1軸圧縮強度は、
7kgf/cm2と高強度を示した。
【0069】実施例3 主剤として表1記載の(a−2)溶液を選択しその10
0mlと、75%精製燐酸の3mlと40%グリオキザ
ールの5mlとシクロデキストリンの0.5部(1kg
/硬化剤総量200L当り)と乳酸0.16部および水
道水の91部とから成る硬化剤液100mlとを、それ
ぞれ3.5℃で混合均一化した。主剤中のアルカリ分の
中和理論算出%は、各硬化剤成分毎に、燐酸分で24.
1%、グリオキザールで15.6%と算出される。混合
2分後の液温度は5℃を示した。
【0070】低温作業・液安定性試験の結果、静置法の
ゲルタイムが30分11秒、連続攪拌法ではゲルタイム
が29分34秒で、それぞれ正常ゲル化し、沈殿生成は
いずれも全く観察されなかった。従って実施例3の薬液
を用いた現場低温下の液安定性試験の判定結果は◎と判
明した。また上記低温作業・液安定性試験と同様にして
調製した本薬液の攪拌法/25分経過後の5℃液を用い
て行なった簡易地盤注入試験の結果は○であり、低温現
場作業性が確保されている事が判明した。なお、本薬液
の液温20℃のゲルタイムは静置法でおおよそ30〜3
1分であった。
【0071】実施例4 主剤として表1記載の(a−2)溶液を選択しその10
0mlと、75%精製燐酸の3.15mlと40%グリ
オキザールの5mlと上白糖0.5部(1kg/硬化剤
総量200L当り)とグラニュー糖の0.2部(0.4
kg/硬化剤総量200L当り)および水道水の91部
とから成る硬化剤液100mlとを、それぞれ3.5℃
で混合均一化した。主剤中のアルカリ分の中和理論算出
%は、各硬化剤成分毎に、燐酸分で25.3%、グリオ
キザールで15.6%と算出される。混合2分後の液温
度は5℃を示した。
【0072】低温作業・液安定性試験の結果、連続攪拌
法でゲルタイムが26分29秒で正常ゲル化し、沈殿生
成は全く観察されなかった。本薬液を使用し、上記低温
作業・液安定性試験と同様にして調製した攪拌法/20
分経過後の5℃液を用いて行なった簡易地盤注入試験の
結果は○であり、低温現場作業性が確保されている事が
判明した。また本薬液の液温20℃のゲルタイムは静置
法でおおよそ32〜33分であり、そのホモゲルの1軸
圧縮強度は5日室温養生品で1.49kgf/cm2でゲル収
縮率が16.9vol%と測定された。
【0073】実施例5 主剤として表1記載の(a−4)溶液を選択しその10
0mlと、75%精製燐酸の30mlと40%グリオキ
ザールの40mlと蟻酸の0.1部と酢酸の0.1部と
グリコール酸の0.2部とD/L−ソルビトールの5部
(1kg/硬化剤総量200L当り)および1%海水が
混合された水の930部とから成る硬化剤液約1Lから
100mlを採取し、それぞれ3.5℃で混合均一化し
た。主剤中のアルカリ分の中和理論算出%は、各硬化剤
成分毎に、燐酸分で32.9%、グリオキザールで1
6.5%と算出される。混合2分後の液温度は5℃を示
した。
【0074】低温作業・液安定性試験の結果、静置法及
び連続攪拌法で測定した本薬剤は、ゲルタイムが15〜
17分で正常ゲル化し、沈殿生成はいずれも全く観察さ
れなかった。従って低温作業・液安定性試験の判定結果
は◎であった。また、上記低温作業・液安定性試験と同
様にして調製した攪拌法/10分経過後の5℃液を用い
て行なった簡易地盤注入試験の結果は○であり、低温現
場作業性が確保されている事が判明した。
【0075】実施例6 主剤として表1記載の(b−1)溶液を選択しその10
0mlと、75%精製燐酸の3mlと34%グリオキザ
ールの3mlとラクトースとスクロースの1:1混合物
3部(6kg/硬化剤総量200L当り)および水道水
の91部とから成る硬化剤液100mlとを、それぞれ
3.5℃で混合均一化した。主剤中のアルカリ分の中和
理論算出%は、各硬化剤成分毎に、燐酸分で34.5
%、グリオキザールで10.9%と算出される。混合2
分後の液温度は5℃を示した。低温作業・液安定性試験
の結果、静置法及び連続攪拌法で測定した本薬剤は、ゲ
ルタイムが20〜23分で正常ゲル化し、沈殿生成はい
ずれも全く観察されなかった。従って低温作業・液安定
性試験の判定結果は◎であった。上記低温作業・液安定
性試験と同様にして調製した攪拌法/13分経過後の5
℃液を用いて行なった簡易地盤注入試験の結果は○であ
り、低温現場作業性が確保されている事が判明した。
【0076】実施例7 主剤として表1記載の(b−2)溶液を選択しその10
0mlと、75%精製燐酸の2mlと40%グリオキザ
ールの1.7mlと酢酸第2鉄塩の0.5部と精製ブド
ウ糖0.15部(0.3kg/硬化剤200L)および
水道水の96部とから成る硬化剤液100mlとを、そ
れぞれ5℃で混合均一化した。主剤中のアルカリ分の中
和理論算出%は、各硬化剤成分毎に、燐酸分で35.2
%、グリオキザールで10.9%と算出される。低温作
業・液安定性試験の結果、静置法及び連続攪拌法で測定
した本薬剤は、ゲルタイムがそれぞれ19分、22分で
正常ゲル化し、沈殿生成はいずれも全く観察されなかっ
た。従って低温作業・液安定性試験の判定結果は◎であ
った。上記低温作業・液安定性試験と同様にして調製し
た攪拌法/15分経過後の5℃液を用いて行なった簡易
地盤注入試験の結果は○であり、低温現場作業性が確保
されている事が判明した。
【0077】実施例8 主剤として表1記載の(a−3)溶液を選択しその10
0mlと、75%精製燐酸の6.7mlと40%グリオ
キザールの7.35mlとりんご酸の0.25部とブド
ウ糖の5部(10kg/硬化剤総量200L当り)およ
び水道水の78部とから成る硬化剤液の100mlとを
採取し、それぞれ5℃で混合均一化した。主剤中のアル
カリ分の中和理論算出%は、各硬化剤成分毎に、燐酸分
で30%、グリオキザールで24.5%と算出される。
低温作業・液安定性試験の結果、静置法及び連続攪拌法
で測定した本薬剤は、ゲルタイムが23〜27分で正常
ゲル化し、沈殿生成はいずれも全く観察されなかった。
従って低温作業・液安定性試験の判定結果は◎であっ
た。上記低温作業・液安定性試験と同様にして調製した
攪拌法/17分経過後の5℃液を用いて行なった簡易地
盤注入試験の結果は○であり、低温現場作業性が確保さ
れている事が判明した。
【0078】実施例9 実施例2に於いて使用したD−ソルビトールに替えて、
D−ガラクトースにした以外は同様にして行なった結果
は実施例2とほぼ同様な結果を得た。
【0079】実施例10 実施例2に於いて使用した無水酢酸に替えて、同モル当
量のグリコール酸とした場合もほぼ実施例2と全く同様
な結果を得た。
【0080】実施例11 実施例2に於いて使用した無水酢酸に替えて、同モル相
当量のグリオキシル酸とした場合の低温作業・液安定性
試験は◎、簡易地盤注入試験の結果は○であった。
【0081】実施例12 実施例2に於いてグリオキザールの使用量を半減し、グ
リオキザール量の50モル%分をエチレングリコールジ
アセテートに代替した以外は同様に行なった結果、連続
攪拌法・低温作業・液安定性試験の結果は◎、連続攪拌
法/20分経過液で行なった簡易地盤注入試験の結果は
○であった。
【0082】実施例13 実施例2に於いてグリオキザールの使用量を半減し、グ
リオキザール量の50モル%分をγ−ブチロラクトンに
代替した以外は同様にして行なった結果、連続攪拌法・
低温作業・液安定性試験の結果は◎、連続攪拌法/20
分経過液で行なった簡易地盤注入試験の結果は○であっ
た。
【0083】実施例14 主剤として表1記載の(a−2)溶液を選択しその10
0mlにD−ソルビトールの1部(2kg/硬化剤総量
200L当り)を溶解させた主剤液と、一方、75%精
製燐酸の3mlと40%グリオキザールの5mlとD−
ソルビトールの1部(2kg/硬化剤総量200L当
り)と無水酢酸の0.1部および水道水の92部とから
成る硬化剤液100mlとを、それぞれ3.5℃で混合
均一化した。連続攪拌法・低温作業・液安定性試験の結
果は◎、連続攪拌法/20分経過液で行なった簡易地盤
注入試験の結果は○であった。
【0084】実施例15 主剤として表1記載の(a−2)溶液を選択しその10
0mlにD−ソルビトールの2部(4kg/硬化剤総量
200L当り)を溶解させた主剤液と、一方、75%精
製燐酸の3mlと40%グリオキザールの5mlと無水
酢酸の0.1部および水道水の93部とから成る硬化剤
液100mlとを、それぞれ3.5℃で混合均一化し
た。連続攪拌法・低温作業・液安定性試験の結果は◎、
連続攪拌法/20分経過液で行なった簡易地盤注入試験
の結果は○であった。
【0085】比較例1 主剤として表1記載の(a−2)溶液を選択しその10
0mlと、74%粗燐酸の30mlと40%グリオキザ
ールの52.5mlと酢酸の1部(3.3モル/硬化剤
200L)および水道水の910mlとから成る硬化剤
液の100mlとをそれぞれ3.5℃で混合均一化し
た。主剤中のアルカリ分の中和理論算出%は、各硬化剤
成分毎に、燐酸分で25.1%、グリオキザールで1
6.4%と算出される。混合2分後の液温度は5℃を示
し、溶液のpH値は10.79を示した。
【0086】低温作業・液安定性試験の結果、静置法で
測定したゲルタイムは18〜19分で白濁せずに正常ゲ
ル化した。一方、連続攪拌法で測定した場合には7〜8
分後に、系中に微細結晶の析出が観察され始め、15〜
16分後には完全に系が白濁スラリー状となり、60分
後に於いてもゲル化は全く観察されなかった。従って本
薬液の低温作業・液安定性試験の判定結果は×であっ
た。連続攪拌法/20分経過液で行なった簡易地盤注入
試験の結果も×であった。
【0087】比較例2 主剤として表1記載の(a1)溶液を選択しその100
mlと、74%粗燐酸の0.86mlと40%グリオキ
ザールの0.7mlと砂糖の0.1部(0.2kg/硬
化剤総量200L当り)および水道水の98.35ml
とから成る硬化剤液の100mlとを、それぞれ3.5
℃で混合均一化して得たホモゲルの1軸圧縮強度は0.
1kgf/cm2以下と弱く脆弱で土質安定化には適さない物
であった。
【0088】比較例3 主剤として表1記載の(b1)溶液を選択しその100
mlと、74%粗燐酸の0.86mlと40%グリオキ
ザールの0.7mlとD−ソルビトールの15部(30
kg/硬化剤総量200L当り)および水道水の85m
lとから成る硬化剤液の100mlとを、それぞれ3.
5℃で混合均一化して得たホモゲルの1軸圧縮強度は
0.1kgf/cm2程度と強度の弱いゲルしか生成しなかっ
た。
【0089】比較例4 主剤として表1記載の(a−2)溶液を選択しその10
0mlと、75%精製燐酸の3mlと40%グリオキザ
ールの6mlおよび水道水の91mlとから成る硬化剤
液の100mlとをそれぞれ3.5℃で混合均一化し
た。その結果、混合2分後の液温度は5℃を示し、溶液
のpH値は10.80を示した。低温作業・液安定性試
験の結果、静置法で測定したゲルタイムは26〜27分
で白濁せずに正常ゲル化した。一方、連続攪拌法で測定
した場合には6〜7分後に、系中に微細結晶の析出が観
察され始め、12〜14分後には完全に系が白濁スラリ
ー状となり、60分後に於いてもゲル化は全く観察され
なかった。従って本薬液の低温作業・液安定性試験の判
定結果は×であった。連続攪拌法/20分経過液で行な
った簡易地盤注入試験の結果も×であった。
【0090】実施例16 実施例2に於いて、使用した燐酸の20モル%分だけを
その相当モル量の硫酸に代替して無機酸成分を併用した
以外は全く同様にして得た土質注入改良剤の低温作業・
液安定性試験の連続攪拌法にわる結果は◎であった。
【0091】実施例17 実施例1の主剤と硬化剤の各液200リットルを1m3
容量のタンクに注ぎ液温を5℃とした。ただし注入開始
20分前に主剤液に対し硬化剤液を全量添加配合した。
主剤液と硬化剤液との混合は添加後、スクリュー型電動
攪拌機で毎分30回転で連続とした。その土質安定化剤
を混合2分後から、定量送液ポンプを介して、いわゆる
1ショット方式にて、先端部に0.5mm直径のノズル
孔を50ケ有した長さ1mの直径2インチ単管からなる
注入管から5℃雰囲気の空気中に定量吐出させた。吐出
量は18L/分とした。以上の試験の結果、実施例1の
土質注入改良剤はスムーズかつ安定した現場注入作業が
可能である事が確認された。
【0092】参考例1 [カニツァロ反応速度測定結果]0.0392N−可性
ソーダ水溶液(純水にて調製)50mlと40%グリオ
キザール溶液の2.00g(2.76モル/L;実施例
2または比較例1に於ける溶液濃度とほぼ等しい)とか
らなる溶液の初期pH値は10.7であり、実施例2と
ほぼ同じアルカリ性を示す。この液を標準液とし、その
標準液の液温5℃の系中のアルカリ消費量を測定してグ
リオキザールの不均化反応速度を算出した結果、1時間
経過後で5モル%/hrsと判明した。
【0093】
【発明の効果】各実施例から、本発明の土質注入改良剤
はその主要な解決すべき課題、すなわち、低温下での種
々の刺激が加わった状態で取扱われる際の液挙動安定性
を確保できることが明きらかである。本発明の土質注入
改良剤が20〜40分程度の長結型土質安定化剤の分類
に入り、その薬液を用いた注入方式として経済的に最適
なものが1ショットである事も実施例17で明らかであ
る。また本発明の土質安定化薬剤は最終的に高強度な固
結体を形成するとともに離漿の発生度合いも比較的低い
レベルにある。本発明の土質安定化剤は夏冬に関係なく
現場で安定して使用可能であり、各種の液刺激に対して
過飽和安定性が長時間確保された新規な組成物である。
【0094】一方、比較例1や4等では、冬場の液刺激
安定性に問題があり、燐酸−グリオキザールを基本硬化
系とし更に酢酸を併用しても本発明の課題を解決出来な
い事が判明した。また本発明の土質注入改良剤は、軟弱
地盤の強化安定化、地下水の止水機能に有効な土質安定
化剤である。

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主剤が下記(a)または(b)であり、
    (a)SiO2/Na2Oモル比が2.45〜4.5の珪
    酸ソーダを、そのSiO2とNa2Oの総量で10〜50
    重量%含有してなる水溶液、(b)SiO2/Na2Oモ
    ル比が4.5を超えない珪酸ソーダと、SiO2/Na2
    Oモル比が20〜250のコロイダルシリカとを含有
    し、その混合水溶液のSiO2/Na2Oモル比が3〜5
    0、SiO2とNa2Oの総量が10〜50重量%である
    混合水溶液、 硬化剤が、該硬化剤と主剤とを下記の割合で混合したと
    きに、主剤中のNa2Oの20〜50モル%相当分を中
    和する事が出来る量の燐酸と、5〜30モル%相当分を
    中和する事が出来る量のグリオキザールとを含有させて
    なる水溶液であって、上記主剤と硬化剤を容積比で
    (1:0.9)〜(0.9:1)の割合で混合してな
    り、その混合液の総量200リットル当り糖を0.1〜
    10kgの割合で含有させてなる低温下での溶液硬化安
    定性に優れる土質注入改良剤。
  2. 【請求項2】 (a)または(b)の珪酸ソーダのSi
    2/Na2Oモル比が3.0〜3.5であることを特徴
    とする請求項1記載の土質注入改良剤。
  3. 【請求項3】 糖が単糖類、二糖類、三糖類および多糖
    類から選ばれた1種または2種以上であることを特徴と
    する請求項1または2の土質注入改良剤。
  4. 【請求項4】 糖がグルコースまたはソルビトールであ
    ることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の
    土質注入改良剤。
  5. 【請求項5】 糖がラクトース、マルトースまたはスク
    ロースであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか
    1項記載の土質注入改良剤。
  6. 【請求項6】 糖がデキストリンまたはシクロデキスト
    リンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1
    項記載の土質注入改良剤。
  7. 【請求項7】 硬化剤が、主剤液中のNa2Oの0.0
    1〜5モル%相当分を中和することが出来る量の有機脂
    肪酸を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれ
    か1項記載の土質注入改良剤。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7のいずれか1項記載の土質
    安定化剤における燐酸の酸分の1〜50%相当量を硫
    酸、塩酸、硝酸およびほう酸から選ばれた1種または2
    種以上で置き換えることを特徴とする土質安定化剤。
  9. 【請求項9】 請求項1〜7のいずれか1項記載の土質
    安定化剤における燐酸の酸分の1〜50%相当量をフィ
    チン酸またはその酸性アルカリ金属塩で置き換えること
    を特徴とする土質安定化剤。
  10. 【請求項10】 請求項1〜7のいずれか1項記載の土
    質安定化剤におけるグリオキザールの遊離グリコール酸
    換算の酸分の1〜100%相当量をグリコール酸2酢酸
    エステル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネ
    ートおよびγ−ブチロラクトンから選ばれた1種または
    2種以上で置き換えることを特徴とする土質安定化剤。
  11. 【請求項11】 地盤注入開始前の数分前に主剤または
    硬化剤のいずれか一方ないし両方に糖を溶解させて後、
    主剤と硬化剤とを混合均一化させて1液として得られた
    請求項1〜10のいずれか1項記載の土質注入改良剤。
  12. 【請求項12】 主剤と硬化剤とを混合直後に必要量の
    糖を添加溶解させて1液として得られたものである請求
    項1〜10のいずれか1項記載の土質注入改良剤。
  13. 【請求項13】 請求項1〜12のいずれか1項記載の
    土質注入改良剤を地盤中に1ショット方式で注入し、浸
    透・流動・固結させて、土質を強化安定させることを特
    徴とする土質安定化工法。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009051929A (ja) * 2007-08-27 2009-03-12 Shimoda Gijutsu Kenkyusho:Kk グラウト
JP2012012483A (ja) * 2010-06-30 2012-01-19 Nippon Chem Ind Co Ltd 地盤注入用グラウト材および地盤注入工法
JP2020060072A (ja) * 2018-10-12 2020-04-16 富士化学株式会社 地盤注入用固結材及びその製造方法
WO2020236107A1 (en) * 2019-05-23 2020-11-26 Bursa Tekni̇k Üni̇versi̇tesi̇ A method for preparing an injection material and the obtained injection material

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