JPH1036841A - 低温下での溶液硬化安定性に優れる土質安定化剤 - Google Patents

低温下での溶液硬化安定性に優れる土質安定化剤

Info

Publication number
JPH1036841A
JPH1036841A JP21314296A JP21314296A JPH1036841A JP H1036841 A JPH1036841 A JP H1036841A JP 21314296 A JP21314296 A JP 21314296A JP 21314296 A JP21314296 A JP 21314296A JP H1036841 A JPH1036841 A JP H1036841A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ferric
soil stabilizer
magnesium
acid
soil
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP21314296A
Other languages
English (en)
Inventor
Tadashi Kitamura
正 北村
Hideki Kuroki
英樹 黒木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Original Assignee
Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Petrochemical Industries Ltd filed Critical Mitsui Petrochemical Industries Ltd
Priority to JP21314296A priority Critical patent/JPH1036841A/ja
Publication of JPH1036841A publication Critical patent/JPH1036841A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B28/00Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements
    • C04B28/24Compositions of mortars, concrete or artificial stone, containing inorganic binders or the reaction product of an inorganic and an organic binder, e.g. polycarboxylate cements containing alkyl, ammonium or metal silicates; containing silica sols
    • C04B28/26Silicates of the alkali metals
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B2103/00Function or property of ingredients for mortars, concrete or artificial stone
    • C04B2103/10Accelerators; Activators
    • C04B2103/14Hardening accelerators
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B2111/00Mortars, concrete or artificial stone or mixtures to prepare them, characterised by specific function, property or use
    • C04B2111/00474Uses not provided for elsewhere in C04B2111/00
    • C04B2111/00732Uses not provided for elsewhere in C04B2111/00 for soil stabilisation

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Inorganic Chemistry (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Structural Engineering (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Soil Conditioners And Soil-Stabilizing Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水ガラス/燐酸・グリオキザールからなる長
結型の1液型土質安定化剤の問題である、沈殿の発生、
ゲル化遅延、注入管や注入ノズルの閉鎖等の現象を解決
し、冬場でも現場の作業安定性が優れたグラウト剤を提
供すること。 【解決手段】 主剤が特定の珪酸ソーダまたは珪酸ソー
ダとコロイダルシリカとを含有し、硬化剤が特定量の燐
酸、グリオキザールおよび水溶性マグネシウム塩もしく
は水溶性第二鉄塩とを含有する土質安定化剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、珪酸ソーダと燐酸
とグリオキザールと可溶性のマグネシウム塩または第二
鉄塩とを含有する土質安定化剤およびそれを用いた土質
安定化工法に関する。より詳しくは、珪酸ソーダ水溶液
または珪酸ソーダとコロイダルシリカ混合水溶液を主剤
とし、人体に対する安全性が高い燐酸とグリオキザール
と少量のマグネシウム塩化合物もしくは第二鉄塩化合物
を含有する水溶液を硬化剤とする土質安定化剤およびそ
れを用いた土質安定化工法に関する。本発明の土質安定
化剤は、冬場のゲルタイムが15分〜45分間の任意に
調整が可能で、かつ1液土質安定化剤としたときの冬場
の低温下での溶液安定性に優れ、再現性あるゲル化挙動
を示し、そのゲル体の圧縮強度が従来の水ガラス系のも
のに比し高く、省力化が図れるという特徴を有し、経済
的な低コスト型の土質安定化剤である。
【0002】
【従来の技術】従来、トンネル工事、都市土木工事に於
ける軟弱地盤の安定化や止水を目的としたグラウト工法
に際しては、種々の土質安定化剤がその地盤の性状に応
じて使い分けされている。グラウト工法に於いて使用さ
れる土質安定化剤は、地盤注入薬液やグラウト薬剤とも
言われる。これまでに種々の土質安定化剤とその工法が
提案され実用化されているが、いずれに於いてもグラウ
ト剤に対する要求性能は、硬化後の強度、ゲルタイム調
整の容易さ、地盤への浸透性、環境への影響等様々であ
り、コストと機能の両面から種々選択使用されている。
現在最も多く用いられているのは珪酸ソーダ(水ガラ
ス)水溶液を主剤とする土質安定化剤である。
【0003】水ガラス系土質安定化剤には懸濁型と溶液
型の2つがある。このうち、前者の懸濁型においては、
水ガラスの硬化剤成分として、セメント、石灰、スラグ
等の水に懸濁する物質が知られている。例えば特開平7
−166163号には、モル比が1.5〜2.8の範囲
にある水ガラスと微粒子スラグを有効成分とする土質安
定化剤が、また特開平1−133965号にはポルトラ
ンドセメントを有効成分とする土質安定化剤が提案され
ている。一般に懸濁型の土質安定化剤は総じてその1次
粒子径が比較的大きいため地盤への浸透性が不足するこ
とが知られており、主流となっていない。また後者の溶
液型では、水ガラスの硬化剤として硫酸、塩酸、燐酸等
の無機酸やその塩類、グリオキザール、エチレンカーボ
ネート等の強アルカリ中で有機酸を徐放する水溶性有機
単量体が公知である。特にグリオキザールは安全性が高
く、高強度の水ガラス系固結体を与えるとして近年では
水ガラスの有機系硬化剤成分の主流になっている。
【0004】また最近では、水ガラスのアルカリ成分溶
出を嫌らって酸性水ガラスやコロイダルシリカを主成分
とする土質安定化剤の提案がなされている。例えば水性
コロイダルシリカ系土質安定化剤にあっては、硬化剤と
して消石灰やポルトランドセメントを使用する方法が特
開昭59−66482号に、硬化剤としてスルファミン
酸マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩とする方法が
特開昭63−168485号等に開示されている。また
硬化剤として塩化ナトリウムや硫酸水素ナトリウム等を
使用する方法が特開昭59−152985号に、グリオ
キザール等を使用する方法が特開平2−36156号に
それぞれ開示されており、それぞれ水ガラス系と同様
な、懸濁ないし溶液性の電解質を加えて硬化される方法
が提案されている。しかしこれまで提案された水性コロ
イダルシリカ系土質安定化剤では、ゲル強度が比較的低
いという問題を抱えている。
【0005】一方、近年では水ガラス系土質安定化剤の
ゲル化時間を20〜60分程度とする長結型(ゲルタイ
ムが長いタイプ)の土質安定化剤が特に重宝されてい
る。長結型の土質安定化剤の使用によって、薬液注入を
必要とする対象軟弱地盤に対し、より均一に地盤浸透固
結させることが可能で、従来の瞬結型土質安定化剤を用
いる方法よりも、より一層高度に地盤の高強度化が図れ
るとされている。
【0006】高強度化と長結型の両方の目的に最適とさ
れる土質安定化剤としては、例えば特開昭51−481
5号に開示される技術等によってアルカリ性水ガラス溶
液を主剤とし、硬化剤として燐酸とグリオキザールを併
用する技術が公知である。この技術によれば、前記効果
と共にさらに薬剤の温度変化によってゲルタイムが影響
されにくいとしている。また、特に水ガラスの硬化剤と
して、ゲル化促進剤として酢酸で代表される第3成分の
併用により、より一層効果的になると提案している。こ
の技術の最大の特徴は1ショット注入方式で対応できる
点にあり、グラウト注入装置が安価で経済性に富み省力
・省エネ型の工法と言える事から使用実績は高い。しか
しながら、この技術は以下のような問題がある。
【0007】即ち、該技術に従って調製された土質安定
化剤を冬場1〜10℃の低温下で1液とし、1ショット
方式で地盤注入を実施する際、その薬液が連続または断
続的に攪拌混合された場合や微振動が連続または断続的
に加わった場合等には、しばしば比較的短時間の内に系
全体が白濁し所定時間内の固結挙動が観察されなくなる
と同時に、その進行と共に送液やグラウト管を介した地
盤注入が全く出来なくなる等の問題が頻繁に発生する。
その白濁の原因は本発明者が行なった解析結果では、該
薬液中に化学的に生成存在する燐酸塩の過飽和溶解にあ
り、その過飽和が崩れて燐酸塩水和結晶を析出する挙動
であり、この析出物質は分析の結果、燐酸第2ナトリウ
ム水和物結晶や燐酸第3ナトリウム水和物結晶であり、
珪酸ナトリウムや珪酸コロイドを該結晶に取込んだ複雑
な複塩結晶沈殿となっている事が判明した。
【0008】このように該技術に開示されたグラウト剤
は、冬場の注入現場作業下では種々の刺激を複雑に受け
る結果、初期の透明溶液が短時間の内に白濁・スラリー
溶液と変化し、浸透作業や送液ポンプ注入作業に著しく
支障を来す等の数々の現場トラブルを発生していた。よ
り具体的には、例えば、該技術の最も代表的な開示例で
ある3号水ガラスの35ccと75重量%の燐酸の1.
5ccと40重量%グリオキザールの3.5ccとを含
有し市水で総量を100ccとする1液型土質安定化剤
では、液温が5℃±3℃、線速度で秒速60m程度の刺
激を連続または断続で与えたり、または50〜2、00
0Hzの振動を連続または断続的に与えた条件下等で
は、調製後数分から数十分で難溶性燐酸塩の水和物結晶
が析出する現象が再現性良く観察される。析出量はその
刺激の程度によって異なるが、時間経過と共により肥大
化し、ついにはタンク低部にケーキ物を作る等して、現
場注入に供する事が出来ない状態へと変化する。
【0009】結晶の形態は刺激の種類と度合いにより種
々に変化するが、その形態の差に関係なく、系全体が懸
濁化するため、結果として、地盤浸透性不良や注入ノズ
ルを詰めるなどのトラブルを発生させることが確認され
た。またその系に少量の酢酸を含有させた土質安定化剤
においてもこの問題は解決出来ず、その系に多量に酢酸
を含有させるとゲル化時間が極端に短縮され、もはや長
結型土質安定化剤としては機能しなくなることも確認さ
れた。
【0010】特開昭51−4815号等によって開示さ
れている水ガラス/燐酸・グリオキザールからなる長結
型の1液型土質安定化剤は、調製時以外は全く振動も攪
拌も与えない静置状態下ではたしかにゲルタイムは液温
度の変動に際して比較的影響されにくい。しかし実際の
多くの地盤改良注入現場では、例えば、連続攪拌槽によ
る稼働、送液ポンプの稼働による振動、薬液の注入圧調
整用バイパスラインの作動による液循環等があり、それ
らの攪拌・振動因子が複雑に該組成物溶液に作用する
為、そのゲル化特性は静置状態下の結果と著しく異な
る。すなわち、低温下での取扱現場では、沈殿の発生、
ゲル化遅延、注入管や注入ノズルの閉鎖等の現象が見ら
れ、現場不適合の問題がある。すなわち、特開昭51−
4815号で示された開示技術等はグラウト剤分野では
夏場実績が高い技術であるが、冬場の現場作業安定性と
ゲル化挙動の不安定性という重要な問題をかかえてお
り、その解決手段が強く求められている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、水ガ
ラス/燐酸・グリオキザールからなる長結型の1液型土
質安定化剤の問題である、結晶の析出に伴う沈殿の発
生、ゲル化遅延、注入管や注入ノズルの閉鎖等の現象を
解決し、冬場でも現場の作業安定性が優れたグラウト剤
を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を克
服するため鋭意検討した結果、珪酸ソーダ水溶液または
珪酸ソーダとコロイダルシリカの混合水溶液のいずれか
を主剤成分とし、これに硬化剤成分として燐酸とグリオ
キザールとマグネシウム化合物もしくは第二鉄化合物を
含有させた1液型土質安定化剤とすることで前記課題を
解決できる事を見出し本発明を完成した。
【0013】すなわち本発明は、主剤が下記(a)また
は(b)であり、(a)SiO2/Na2Oモル比が2.
45〜4.5の珪酸ソーダを、そのSiO2とNa2Oの
総量で10〜50重量%含有してなる水溶液、(b)S
iO2/Na2Oモル比が4.5を超えない珪酸ソーダ
と、SiO2/Na2Oモル比が20〜250のコロイダ
ルシリカとを含有し、その混合水溶液のSiO2/Na2
Oモル比が3〜50、SiO2とNa2Oの総量が10〜
50重量%である混合水溶液、硬化剤が、該硬化剤と主
剤とを下記の割合で混合したときに、主剤中のNa2
の20〜50モル%相当分を中和する事が出来る量の燐
酸(c)と、5〜30モル%相当分を中和する事が出来
る量のグリオキザール(d)と、さらに硬化剤総量20
0リットル当り水溶性マグネシウム塩(e)及びまたは
水溶性第二鉄塩(f)0.1〜7モルとを含有させてな
る水溶液であって、上記主剤と硬化剤を容積比で(1:
0.9)〜(0.9:1)の割合で混合してなる低温下
での硬化溶液安定性に優れる土質安定化剤である。
【0014】また本発明の土質安定化工法とは、軟弱地
盤中に予めセットされたグラウト注入管を介して、前記
本発明の土質安定化剤を、1ショット方式で注入し、浸
透・流動・固結させ、土質を強化安定させる方法であ
る。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の主剤の一つである(a)
液における珪酸ソーダは、SiO2/Na2Oモル比が
2.45〜4.5であり、好ましくは2.45〜4.
0、より好ましくは3.0〜3.5である。またその珪
酸ソーダは、通常、JIS K 1408に規定されて
いる3号珪酸ソーダが好ましく挙げられ、その他、2号
珪酸ソーダや4号珪酸ソーダ等であっても、またそれら
の混合珪酸ソーダであっても、何等問題なく使用でき
る。
【0016】(a)液中の該珪酸ソーダの含有濃度はS
iO2とNa2Oの総量濃度であらわした場合、10〜5
0重量%であり、好ましくは15〜45重量%、特に好
ましくは18〜40重量%である。含有量が10重量%
未満では、固結した後の土質の強度が低くて安定強化が
図りにくく、含有量が50重量%を越えると、液自体の
粘度が高すぎて土質浸透性に欠ける傾向にある。
【0017】(b)液における珪酸ソーダは、SiO2
/Na2Oモル比が4.5を超えないものであり、好ま
しくは3.0〜3.5である。通常、JIS K 14
08に規定されている3号珪酸ソーダが好ましく挙げら
れ、その他、1号珪酸ソーダ、2号珪酸ソーダや4号珪
酸ソーダ等であっても何等問題なく使用できる。
【0018】(b)液におけるコロイダルシリカとは、
通称シリカゾルと呼ばれているもので、例えば前記した
珪酸ソーダ水溶液を原料にして、イオン交換法、酸中和
法、電気透析法、微細シリカ粉末の水分散法等で製造さ
れるものが代表的である。その分散粒子径としては3〜
100nmのものがよく、より実用的には3〜30nm
のものが良い。コロイダルシリカはSiO2/Na2Oモ
ル比が20〜250であり、好ましくは20〜130、
より好ましくは20〜80である。モル比が20未満で
は密度と分子量の大きい独立分散シロキサンゾル粒子が
得られにくく、250を越えると一次分散粒子径が10
0nmを超えるため、それ自体の液安定性に欠けると同
時に、得られる土質安定化剤組成物が懸濁溶液型に近似
した挙動を示す結果となり、軟弱土質への均一浸透性に
欠ける。
【0019】前記(b)液の珪酸ソーダとコロイダルシ
リカとを含有する混合水溶液のSiO2/Na2Oモル比
は3〜50であり、好ましくは3〜35、より好ましく
は3〜30である。また、有効成分であるSiO2とN
2Oの総量は混合水溶液中で10〜50重量%であ
り、好ましくは15〜45重量%、最も好ましくは18
〜40重量%がホモゲル強度が高くて経済的でありかつ
作業性が良い。両成分の総含有量が10重量%未満であ
る時は、固結した後の土質の強度が低く安定強化が図り
にくく、含有量が50重量%を越えると液自体の粘度が
高すぎて土質浸透性に欠けるかまたは溶液自体の安定性
が欠ける傾向にある。主剤を前記(b)とする事によ
り、固結後の土質強度を一層向上させる事やゲルタイム
を安定かつ任意に調整する事ができる。
【0020】また主剤液中には、事前に重炭酸アルカリ
有機化合物またはアルカリ性金属塩類を加えてその水溶
液pHを11以上とすることは好ましい。その理由は、
主剤液のpHを11未満とした場合、液は不安定とな
り、数十分以内にはゲル化して使用出来ない状態となる
からである。pHが11以上である場合は少なくとも調
製後数時間は溶液状態を確保できると共に、硬化剤液と
の混合時には気温によるゲルタイムの変動が低い土質安
定化剤となる。重炭酸アルカリ有機化合物としては炭酸
グアニジンや炭酸コリン等が挙げられる。アルカリ金属
塩類としては例えば炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリ
ウム、燐酸水素二カリウム、燐酸水素二ナトリウム、硫
酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム等が挙げられる。
【0021】次に、本発明の硬化剤液について以下に述
べる。本発明の硬化剤液とは、該硬化剤と主剤とを所定
の割合で混合したときに、主剤中のNa2Oの20〜5
0モル%相当分を中和することが出来る量の燐酸(c)
と、5〜30モル%相当分を中和することが出来る量の
グリオキザール(d)と、更に硬化剤総量200リット
ル当り水溶性マグネシウム塩(e)及びまたは水溶性第
二鉄塩(f)0.1〜7モル、好ましくは1〜7モル、
より好ましくは2〜7モルとを含有させてなる水溶液で
ある。好ましくは、主剤液中のNa2Oの25〜40モ
ル%相当分を中和することが出来る量の燐酸(c)と、
10〜25モル%相当分を中和することが出来る量のグ
リオキザール(d)と、硬化剤総量200リットル当り
水溶性マグネシウム塩(e)及びまたは水溶性第二鉄塩
(f)2〜5モルとを含有させてなる水溶液である。
【0022】(c)の燐酸とは精製燐酸、粗燐酸等であ
り、特に限定はなく、前記のように主剤液のNa2Oの
20〜50モル%を中和出来る量を用いる。このモル%
は燐酸1モルが主剤液のNa2Oの1モルを消費すると
みなして算出され、以下同様である。20モル%相当分
を中和する事が出来る量未満の使用では、一般に経済性
に欠け、またゲルタイムが不適当であり生成する珪酸ゲ
ルの1軸圧縮強度特性が低くなる傾向にある。また50
モル%相当分を中和する事が出来る量を越えて使用した
場合では、ゲルタイムが短すぎて均等かつ高範囲への浸
透固結が可能とならない傾向にあり、いわゆる長結型の
1ショット注入方式が採用困難となる。
【0023】(c)の燐酸はその酸分の1〜50%相当
分を硫酸、硝酸、塩酸、ほう酸又はこれらの混合物で代
替してもよい。この場合、燐酸との合計で、主剤液のN
2Oの50モル%を中和出来る量を越えないようにす
る。ここで酸分とはアルカリを中和できる量の酸をい
い、以下同様である。
【0024】(d)のグリオキザールは、公知の製造方
法で得た物を適宜使用する事で良く、特に限定はない。
例えば、アセトアルデヒドの硝酸酸化法で得られたグリ
オキザール水溶液や、エチレングリコールから1分子を
脱水する方法等で得たグリオキザール水溶液等が代表的
な例として挙げられる。通常40重量%前後のグリオキ
ザール水溶液として市販されており、各種製造方法の違
いにより、精製グリオキザール水溶液であっても、また
蟻酸、酢酸、グリオキシル酸、蓚酸などの不純物をグリ
オキザール100に対して数重量%以内で含有している
非精製グリオキザール水溶液であっても本発明のグリオ
キザール成分として使用できる。
【0025】また精製グリオキザールの40重量%前後
の水溶液等は、しばしば長期溶液安定性確保の点から
0.01〜3重量%の極く少量の添加剤、例えば、グリ
セリン、エチレングリコール等の水溶性グルコール類、
また特公昭57−45729等で公知の窒素または窒素
とイオウとを環内に含む複素環式化合物等のグリオキザ
ール液安定化助剤を含んでいる場合があるが、このよう
なグリオキザール水溶液であっても問題なく使用でき、
特に制約はない。
【0026】グリオキザール自体は一般的にpH値が1
0以上の強アルカリ水溶液中で、カニツァロ反応(不均
化反応)によってグリコール酸に徐々に変質する事が知
られている。したがって本発明の(d)のグリオキザー
ルの使用割合は次のようにして算出する。即ち、1分子
のグリオキザールが完全にカニツァロ反応で100%グ
リコール酸に改質したと仮定し、それにより生成したグ
リコール酸の1分子がNa2Oの1/2分子と結合する
とし、この方法によって主剤液のNa2Oの5〜30モ
ル%相当を中和出来る量のグリオキザール(遊離グリー
コール酸換算)を算出する。5モル%相当分を中和する
事が出来る量未満の使用では、一般にゲルタイムが不適
当であり生成する珪酸ゲルの1軸圧縮強度特性が低くな
る傾向にある。また30モル%相当分を中和する事が出
来る量を越えてグリオキザールを使用した場合では、低
温作業性が欠如すると同時に、ゲルタイムが一般に短か
くなり過ぎて均等かつ高範囲への浸透固結が可能となら
ない傾向にある。またいわゆる長結型の1ショット注入
方式が採用困難となる。
【0027】また(d)のグリオキザールは、その遊離
グリコール酸換算の酸分であらわしたときの1〜100
%相当量を、グリオキザール以外のアルカリ領域で加水
分解反応によって遊離酸を放出する水溶性有機単量体で
置き換えてもよい。この場合、グリオキザールとの合計
で主剤液のNa2Oの30モル%を中和出来る量を越え
ないようにする。この様な有機単量体としては、グリコ
ール酸2酢酸エステル、エチレンカーボネート、プロピ
レンカーボネートおよびγ−ブチロラクトンが例示でき
る。
【0028】本発明の硬化剤液には前記燐酸(c)と、
グリオキザール(d)の他に硬化剤液総量200リット
ル当り水溶性マグネシウム塩(e)及びまたは水溶性第
二鉄塩(f)を0.1〜7モル含有させることが最も重
要である。水溶性マグネシウム塩(e)または水溶性第
二鉄塩(f)を含有させることで冬場5℃±3℃の低温
下で1ショット注入液とするいわゆる1液組成物として
現場調製され、該現場で取扱う際の経時溶液安定性がき
わめて優れる特徴を持つ。
【0029】一般に、特開昭51−4815号等ですで
に明らかになっている土質安定化剤、すなわち、3号水
ガラス(前記(a)の一種)と燐酸(c)とグリオキザ
ール(d)からなる1液型土質安定化剤は、冬場の1液
化注入現場に於いて白濁化とゲルタイム不安定化が重要
な問題となっていることはすでに述べてきたとおりであ
る。この課題を解決する上で、本発明の土質安定化剤で
は、硬化剤液中の第3成分として水溶性マグネシウム塩
(e)又は水溶性第二鉄塩(f)の使用は欠くことが出
来ない。(e)又は(f)による前記作用効果発現の理
由はまだ十分明確になっていないが、その一つにはマグ
ネシウムイオンや第二鉄イオンはグリオキザールのカニ
ツァロ反応促進触媒(不均化反応触媒)としての働きが
認められること、またそのひとつには水ガラス珪酸コロ
イドの凝結促進電解質成分として働くこと等があげら
れ、それらの相乗効果と考られる。
【0030】本発明記載の水溶性マグネシウム塩(e)
とは、例えば塩化マグネシウム、燐酸水素マグネシウム
塩、オキシカルボン酸マグネシウム塩、炭素数1〜4の
脂肪族カルボン酸マグネシウム塩、炭素数1〜4の脂肪
族ジカルボン酸マグネシウム塩が好ましく、特に好まし
くは塩化マグネシウム、オキシカルボン酸マグネシウム
塩、炭素数1〜4の脂肪族カルボン酸マグネシウム塩及
びそれらの水和結晶化合物である。
【0031】前記オキシカルボン酸マグネシウム塩と
は、例えば乳酸マグネシウム塩、グリコール酸マグネシ
ウム塩、グリオキシル酸マグネシウム塩、リンゴ酸マグ
ネシウム塩等が挙げられ、乳酸マグネシウム塩またはグ
リコール酸マグネシウム塩が最も好ましい。また炭素数
1〜4の脂肪族カルボン酸マグネシウム塩とは、例えば
蟻酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、プロピオン酸マ
グネシウム、ブタン酸マグネシウム等が挙げられ、好ま
しくは蟻酸マグネシウム、酢酸マグネシウムである。ま
た炭素数1〜4の脂肪族ジカルボン酸マグネシウム塩と
は、琥珀酸マグネシウム、蓚酸マグネシウム、アジピン
酸マグネシウム等が挙げられ、好ましくは琥珀酸マグネ
シウムである。
【0032】本発明記載の水溶性第二鉄塩(f)とは、
例えば塩化第二鉄、オキシカルボン酸第二鉄塩、炭素数
1〜4の脂肪族カルボン酸第二鉄塩、炭素数1〜4の脂
肪族ジカルボン酸第二鉄塩が好ましく、特に好ましくは
塩化第二鉄、オキシカルボン酸第二鉄塩、炭素数1〜4
の脂肪族カルボン酸第二鉄塩、それらの水和結晶化合物
である。
【0033】前記オキシカルボン酸第二鉄塩とは、例え
ば乳酸第二鉄塩、グリコール酸第二鉄塩、グリオキシル
酸第二鉄塩、リンゴ酸第二鉄塩等が挙げられ、乳酸第二
鉄塩またはグリコール酸第二鉄塩が最も好ましい。また
炭素数1〜4の脂肪族カルボン酸第二鉄塩とは、例えば
蟻酸第二鉄、酢酸第二鉄、プロピオン酸第二鉄、ブタン
酸第二鉄が挙げられ、特に好ましくは蟻酸第二鉄、酢酸
第二鉄である。また炭素数1〜4の脂肪族ジカルボン酸
第二鉄塩とは、琥珀酸第二鉄、蓚酸第二鉄、アジピン酸
第二鉄等が挙げられ、特に好ましくは琥珀酸第二鉄であ
る。
【0034】水溶性マグネシウム塩(e)及びまたは水
溶性第二鉄塩(f)の量は、硬化剤液総量200リット
ル当り0.1〜7モルである。0.1モル未満の使用で
は冬場の薬液安定性が確保されず、7モルを越えて使用
すると、前記主剤(a)もしくは(b)または燐酸
(c)もしくはグリオキザール(d)等と混合使用した
場合に、直ちに水酸化マグネシウム等の難溶解性マグネ
シウム化合物や水酸化第二鉄などの難溶解性第二鉄化化
合物が系中に必要以上に大量に生成する結果、白濁化
し、浸透性不良やゲル化遅延を一層促進する傾向にあ
る。
【0035】本発明の硬化剤には、更に本発明の薬液安
定性をより一層図る目的など、必要に応じて、他に糖、
尿素またはその水溶性誘導体、蛋白質、水溶性セルロー
ス化合物、ヘキサ燐酸アルカリ金属塩等を適宜併用して
よい。これらの中で好ましくは糖、尿素またはその水溶
性誘導体である。また毒性が強いことを問題にしない場
合等では水溶性銅錯化合物、水溶性錫鉛錯化合物、水溶
性カドミウム錯化合物等の水溶性の遷移金属錯錯化合物
を併用してもよい。またさらに価格的に問題はあるもの
の、水溶性の銀錯化合物や水溶性白金錯化合物類も同様
に併用できる。糖としては、単糖類、二糖類、三糖類、
多糖類等が例示でき、その中で好ましくは燐酸塩との包
接化合物または錯化合物を形成可能なものである。水溶
性の尿素誘導体としては、モノメチロール尿素、ジメチ
ロール尿素、チオ尿素、モノメチロールチオ尿素、ジメ
チロールチオ尿素が例示でき、燐酸塩との錯化合物を形
成可能な化合物が好ましい。これらの使用量は、通常薬
液総量200リットル当たり、糖類では0.01〜5k
g、尿素または水溶性誘導体では0.01〜10kgと
なるような量である。
【0036】その他に本発明の硬化剤には必要に応じて
水溶性有機脂肪酸を主剤液のNa2Oの0.01〜5モ
ル%相当量を中和できる範囲で使用してもよい。有機脂
肪酸としては、例えば蟻酸、酢酸、グリコール酸、グリ
オキシル酸、乳酸、リンゴ酸、イタコン酸、コハク酸、
フィチン酸等が好ましい。有機脂肪酸を少量併用すると
薬液のゲルタイムの温度依存性が極めて少なくなる等の
効果がある。
【0037】本発明の土質安定化剤は、主剤液と硬化剤
液とを容積比で1:0.9〜0.9:1の範囲、好まし
くは1:1により近似させて混合する。その結果、冬場
の現場に即した液安定性が確保された、実用性のあるホ
モゲル強度を呈する経時安定性と一定したゲル化挙動と
を兼ね備えた組成物となる。本発明の土質安定化剤を1
液・1ショット方式で取り扱う際は、主剤と硬化剤は地
盤に注入を開始する数分前、例えば3〜8分前に混合す
ることが好ましい。しかし、1.5ショット方式または
2ショット方式等で地盤に注入する地盤改良工法では2
液を送液すると同時に最終的に混合され注入されるので
この限りではない。また本発明の土質安定化剤を調製す
る際に使用される水は、例えば、河川水、湖水、湧水、
地下水、水道水、海水、蒸留水、イオン交換水、氷水、
雪水、雨水などであって良く、特に限定は無い。本発明
の土質安定化剤を調製する方法には特に制限はないが、
地盤注入開始の数分前、例えば3〜8分前に主剤と硬化
剤とを混合均一化させて1液とすることは好ましい。
【0038】本発明の土質安定化剤を用いる土質安定化
方法は、ゲルタイムに応じて両者を混合し、1液1系統
式で地盤注入固結させるいわゆる1ショット方式、2液
1系統式で地盤注入固結させるいわゆる1.5ショット
方式、2液2系統式で地盤注入固結させるいわゆる2シ
ョット方式で行ないうる。特に本発明の土質安定化剤の
特徴を生かした経済的な方法としては、1ショット方式
が適当な例としてあげられる。
【0039】本発明の土質安定化剤は、現場の1ショッ
ト配合注入装置の稼働時のゲル化前の溶液安定性と安定
したゲル化特性が確保される他、極めて顕著な止水性
能、強固な実用性の高い地盤強度確保がされる等の特徴
も有する。
【0040】本発明の作用について以下に考察するが、
仮に以下の推定が事実と異なっていたとしても本発明に
何等影響を及ぼすものではない。後述の比較例1で生成
した沈殿をロ紙でロ過分別した後、メタノール−水1:
1の混合液にて水洗浄して精製沈殿物を得た。この沈殿
物に関してはNa元素の含有量として15.3%、Si
元素含有量が5.2%、P元素含有量が7.22%、結
晶水として50〜52%と定量分析された。この結果と
赤外吸収スペクトルの測定結果より、第2燐酸ナトリウ
ム12水塩と第3燐酸ナトリウム12水塩及び少量の水
ガラスゲルを内包する複塩結晶構造体である可能性がき
わめて高いと考えられた。おおよそ第2燐酸ナトリウム
12水塩として55〜65%、第3燐酸ナトリウム12
水塩として15%前後、水ガラス珪酸水和物として5〜
15%の複塩沈殿と推定された。
【0041】一方、燐酸の中和曲線は第1変曲点がpH
値で4〜6にあり、第2変曲点がpH値で9〜10に在
ることが知られている。その事と、後述の実施例2また
は比較例1のおのおのの土質安定化剤の溶液pH値は概
略10.8と言う事が出来、したがって各液中には燐酸
の使用量に応じた第2燐酸ナトリウム・12水塩ないし
少割合の第3燐酸ナトリウム・12水塩の生成が理論付
けされる。
【0042】日本化学会発行編者、昭和59年6月25
日発行の化学便覧基礎編・改定3版のII−173に、第
2燐酸ナトリウム・12水和物の水100gに対する飽
和溶解度が記載されており、その値は0℃で1.58
g、10℃で3.48g、20℃で7.15gとされ
る。すなわち、該第2燐酸塩は0℃で0.04モル/L
が飽和濃度と算出でき、5℃では0.06モル/L、1
0℃では0.09モル/Lが飽和濃度であることが判
る。
【0043】ところで後述の実施例2、比較例1ではそ
の燐酸の使用量から、100%の確率で該第2燐酸塩水
和物が生成すると仮定するとおおよそ0.18モル/L
(5℃)の存在濃度と算出され、前記公知の値の3倍に
相当し、かなりの過飽和系である事が判る。また50%
の確率で該第2燐酸塩水和物が生成すると仮定するとお
およそ0.09モル/L(5℃)の存在濃度と算出さ
れ、前記公知の値の1.5倍に相当し、やはり過飽和系
が成立している事が判る。これらの計算結果と沈殿物の
成分の特定結果とを合せると、特開昭51−4815号
に開示された土質安定化処方に於ける冬場の液安定性の
問題がきわめて明瞭になる。
【0044】本発明の土質安定化剤は、この問題の原因
と考えられる燐酸ナトリウム塩複塩結晶の析出を何等か
の作用効果で抑制しており、結果として、低温下の該薬
液の過飽和状態をゲル化するまでの時間内安定化してい
ることが明らかである。その理由は参考例に明らかにし
た様に不均化反応促進と全く無関係ではないと考えられ
る。またマグネシウムイオンや第二鉄イオンの電解質イ
オンの存在は生成する珪酸コロイドの凝結促進成分とし
ても働いていると考えられ、それらの相乗効果と推定さ
れる。
【0045】一方、後述の比較例1または比較例4〜1
0の土質安定化剤では過飽和系が加えられた攪伴刺激で
崩れ微細な結晶核の生成と共に経時で肥大化し、ついに
は過飽和分の結晶を大量に系中に析出させていると判断
出来る。この様にしてみると本発明の効果は明らかであ
り、特定された第3成分とその特定された使用量によっ
て本発明の目的が達成される事が判る。
【0046】
【実施例】以下に本発明の実施例および比較例を示す
が、本発明はこれらによって限定されない。また、%、
部とは特記する以外はそれぞれ重量%、重量部を意味す
る。また、以下の記載・表中のLの記号は容積単位でリ
ットルの意味で使用する。また各例に於ける土質安定化
剤の評価は、次の方法で行なった。
【0047】[ゲルタイム測定方法]主剤液と硬化剤液
とを混合均一化した時間を基点とし、調製された混合液
の静置状態から90度傾斜させた時に流動性が失われて
流出しなくなるまでの時点までの経過時間で計測して表
示した。
【0048】[低温作業・液安定性試験方法]内容量2
00mlの円筒形ビーカーを2ケ用意し、5℃に調整さ
れた恒温水槽中にセットし、その内の1ケに半径2.5
cmのタービン型またはスクリュー型攪拌棒をビーカー
内の液を連続攪拌できる位置にセットする。もうひとつ
のビーカーは静置するのみの条件で使用する。セット完
了後、予め3℃にそれぞれ調温した主剤と硬化剤の各液
をすばやく混合して後、その150mlづつを各ビーカ
ー中に注いで、一方は連続攪拌下に、もう一方は無刺激
下で放置した。
【0049】攪拌は線速度で60m/秒速の剪断抵抗を
連続的に加える条件下を選定した。前記方法でゲル化す
るまでの時間と系の状態を観察し、低温作業性を判断し
た。攪拌下したビーカー内でゲル化せず、系内が著しく
白濁した場合を×の記号で表示し、極く少量の析出が見
られるものの静置ビーカー内液とほぼ同様なゲル化が観
察された場合を○の記号で、全く正常なゲル化挙動をそ
の2つのビーカー試験で得た場合を◎の記号で表示し
た。
【0050】[地盤注入簡易試験]前記の低温作業液安
定性試験と同様にして調製した20〜25分経過後のゲ
ル化前の土質安定化剤液を採り、150メッシュのステ
ンレス製ロ布でその液をロ過する方法で、注入管先端部
の注入ノズル詰める問題が発生しないかの判定をおこな
った。ロ布に沈殿が残る場合はノズルを詰めやすいと判
定し、記号×と表示した。全くロ布に沈殿が認められな
い場合をノズルを詰めないとして記号○で表示した。
【0051】[圧縮強度]成分を均一に混合してなる土
質安定化剤をゲル化前に50mmφ×100mmHの型
枠に注ぎ込み、ゲル化させて、そのまま水分の気散を防
止して一定期間養生させて後、脱型し、アームスラー型
強度試験機を用いてホモゲルの一軸圧縮強度を測定し
た。
【0052】調製例1 [実施例の主剤a−1液]JIS3号珪酸ソーダ原液
(SiO2分濃度29.8重量%、Na2O分濃度9.1
5重量%、SiO2/Na2Oモル比が3.16)の1L
と水道水1Lとを混合してSiO2/Na2Oモル比が
3.16、SiO2とNa2O分の総量が22.77%
(5.35%のNa2O含有量、17.42%のSiO2
含有量)の番号(a−1)の珪酸ソーダ水溶液2Lとし
た。
【0053】調製例2 [実施例の主剤a−2液]JIS3号珪酸ソーダ原液
(SiO2分濃度29.8重量%、Na2O分濃度9.1
5重量%、SiO2/Na2Oモル比が3.16)の1.
4Lと水道水0.6Lとを混合してSiO2/Na2Oモ
ル比が3.16、SiO2とNa2O分の総量が30.5
3%(7.02%のNa2O含有量)の番号(a−2)
の珪酸ソーダ水溶液2Lとした。
【0054】調製例3 [実施例の主剤a−3液]市販2号珪酸ソーダ原液(S
iO2分濃度35.90重量%、Na2O分濃度14.0
5重量%、SiO2/Na2Oモル比が2.50)の1.
5Lと水道水0.5Lとを混合してSiO2/Na2Oモ
ル比が2.50、SiO2とNa2O分の総量が41.3
8%(11.64%のNa2O含有量、29.74%の
SiO2含有量)の番号(a−3)の珪酸ソーダ水溶液
2Lとした。
【0055】調製例4 [実施例の主剤b−1液]JIS3号珪酸ソーダ原液
(SiO2分濃度29.8重量%、Na2O分濃度9.1
5重量%、SiO2/Na2Oモル比が3.16)の1L
と表1の番号(S−1)で示されたS−1コロイダルシ
リカ溶液(SiO2分濃度29.8重量%、Na2O分濃
度0.55重量%、SiO2/Na2Oモル比が52.
5、粒子径が12nm、比重1.23)の0.2Lと水
道水0.8Lとを混合して、該混合液中のSiO2/N
2Oモル比が4.33、SiO2とNa2O分の総量が
27.61%(5.32%のNa2O含有量)の番号
(b−1)の珪酸ソーダ水溶液2Lとした。
【0056】調製例5 [実施例の主剤b−2液]市販4号珪酸ソーダ原液(S
iO2分濃度24.55重量%、Na2O分濃度6.67
重量%、SiO2/Na2Oモル比が3.57)の1Lと
表1の番号(S−1)で示されたS−1コロイダルシリ
カ溶液(SiO2分濃度29.8重量%、Na2O分濃度
0.55重量%、SiO2/Na2Oモル比が52.5、
粒子径が12nm、比重1.23)の0.2Lと市水
0.8Lとを混合して、該混合液中のSiO2/Na2
モル比が11.5、SiO2とNa2O分の総量が20.
4%(3.7%のNa2O含有量)の番号(b−2)の
珪酸ソーダ水溶液2Lとした。
【0057】調製例6 [実施例の主剤a−4液]JIS3号珪酸ソーダ原液
(SiO2分濃度29.8重量%、Na2O分濃度9.1
5重量%、SiO2/Na2Oモル比が3.16)の1.
2Lと水道水0.8Lとを混合してSiO2/Na2Oモ
ル比が3.16、SiO2とNa2O分の総量が23.3
7%(5.49%のNa2O含有量)の番号(a−4)
の珪酸ソーダ水溶液2Lとした。表1に前記実施例の主
剤液(a−1)〜(a−4)、(b−1)〜(b−2)
の各組成を纏めて表示した。
【0058】比較調製例1 [比較例の主剤液a1]JIS3号珪酸ソーダ溶液(S
iO2分濃度29.8重量%、Na2O分濃度9.15重
量%、SiO2/Na2Oモル比が3.16)の0.2L
と水道水1.8Lとを混合してSiO2/Na2Oモル比
が3.16、SiO2とNa2O分の総量が5.27%
(1.24%のNa2O含有量、4.03%のSiO2
有量)の番号(a1)の珪酸ソーダ水溶液2Lとした。
【0059】比較調製例2 [比較例の主剤液b1]S−2コロイダルシリカ溶液
(SiO2分濃度49.9重量%、Na2O分濃度0.7
1重量%、SiO2/Na2Oモル比が70.3、粒子径
が15nm、比重1.34)そのものをあてた。表2に
前記比較例の主剤液(a1)、(b1)の各組成を纏め
て表示した。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】実施例1 主剤として表1記載の(a−1)溶液を選択しその10
0mlと、74%粗燐酸の3mlと40%グリオキザー
ルの3mlと更に乳酸マグネシウム3水和物の0.5部
(3.9モル/硬化剤200L中)および水道水の94
部とから成る硬化剤液100mlとを、それぞれ3.5
℃で混合均一化した。主剤中のアルカリ分の中和理論算
出%は、各硬化剤成分毎に、燐酸分で35.5%、グリ
オキザールで13%と算出される。混合2分後の液温度
は5℃を示した。
【0063】低温作業・液安定性試験の結果、静置法及
び連続攪拌法で測定した本薬剤は、ゲルタイムが25〜
27分で正常ゲル化し、沈殿生成はいずれも全く観察さ
れなかった。従って低温作業・液安定性試験の判定結果
は◎であった。上記低温作業・液安定性試験と同様にし
て調製した、攪拌法/20分経過後の5℃液を用いて行
なった、簡易地盤注入試験の結果は○であり、低温現場
作業性が確保されている事が判明した。
【0064】なお、室温20℃のゲルタイムは静置法で
おおよそ17〜18分であった。またその固結したホモ
ゲルの1軸圧縮強度は5日室温養生品で0.33kgf/c
m2でゲル収縮率が8.7vol%と測定された。また本
土質安定化剤を豊浦標準砂に隙間充填率97%となる様
に砂と配合して固結させたサンドゲルの5日室温養生ゲ
ルの1軸圧縮強度は、4.01kgf/cm2と高強度を示し
た。
【0065】実施例2 主剤として表1記載の(a−2)溶液を選択しその10
0mlと、75%精製燐酸の3mlと40%グリオキザ
ールの5.25mlと更に乳酸第二鉄水和物の0.6部
(3.16モル/硬化剤200L)および水道水の92
部とから成る硬化剤液100mlとを、それぞれ3.5
℃で混合均一化した。主剤中のアルカリ分の中和理論算
出%は、各硬化剤成分毎に、燐酸分で24.1%、グリ
オキザールで16.4%と算出される。混合2分後の液
温度は5℃を示し、混合溶液の初期pH値は10.77
であった。
【0066】低温作業・液安定性試験の結果、静置法及
び連続攪拌法で測定した本薬剤は、ゲルタイムが21〜
22分で正常ゲル化し、沈殿生成はいずれも全く観察さ
れなかった。従って該低温作業・液安定性試験の判定結
果は◎であった。上記低温作業・液安定性試験と同様に
して調製した本薬液は、攪拌法/18分経過後の5℃液
を用いて行なった簡易地盤注入試験の結果は○であり、
低温現場作業性が確保されている事が判明した。
【0067】なお、本薬液の液温20℃のゲルタイムは
静置法でおおよそ24〜25分であった。またそのホモ
ゲルの1軸圧縮強度は5日室温養生品で1.47kgf/c
m2でゲル収縮率が16.2vol%と測定された。また
本土質安定化剤を豊浦標準砂に隙間充填率97%となる
様に砂と配合して固結させたサンドゲルの5日室温養生
ゲルの1軸圧縮強度は、7.22kgf/cm2と高強度を示
した。
【0068】実施例3 主剤として表1記載の(a−2)溶液を選択しその10
0mlと、75%精製燐酸の3mlと40%グリオキザ
ールの5.25mlと更に塩化マグネシウムの0.15
部(3.15モル/硬化剤200L)および水道水の9
2部とから成る硬化剤液100mlとを、それぞれ3.
5℃で混合均一化した。主剤中のアルカリ分の中和理論
算出%は、各硬化剤成分毎に、燐酸分で24.1%、グ
リオキザールで16.4%と算出される。混合2分後の
液温度は5℃を示した。
【0069】低温作業・液安定性試験の結果、静置法及
び連続攪拌法で測定した本薬剤は、ゲルタイムが25〜
27分で正常ゲル化し、沈殿生成はいずれも全く観察さ
れなかった。従って本薬液を用いた現場低温下の液安定
性試験の判定結果は◎と判明した。また上記低温作業・
液安定性試験と同様にして調製した本薬液の攪拌法/1
8分経過後の5℃液を用いて行なった簡易地盤注入試験
の結果は○であり、低温現場作業性が確保されている事
が判明した。なお、本薬液の液温20℃のゲルタイムは
静置法でおおよそ27〜28分であった。またそのホモ
ゲルの1軸圧縮強度は5日室温養生品で1.35kgf/c
m2でゲル収縮率が15.8vol%と測定された。
【0070】実施例4 主剤として表1記載の(a−2)溶液を選択しその10
0mlと、75%精製燐酸の3mlと40%グリオキザ
ールの5.25mlと更に塩化第二鉄6水塩の0.4部
(3モル/硬化剤200L)および水道水の92部とか
ら成る硬化剤液100mlとを、それぞれ3.5℃で混
合均一化した。主剤中のアルカリ分の中和理論算出%
は、各硬化剤成分毎に、燐酸分で24.1%、グリオキ
ザールで16.4%と算出される。混合2分後の液温度
は5℃を示した。
【0071】低温作業・液安定性試験の結果、静置法及
び連続攪拌法で測定した本薬剤は、ゲルタイムが13〜
15分で正常ゲル化し、沈殿生成はいずれも全く観察さ
れなかった。本薬液を使用し、上記低温作業・液安定性
試験と同様にして調製した攪拌法/10分経過後の5℃
液を用いて行なった簡易地盤注入試験の結果は○であ
り、低温現場作業性が確保されている事が判明した。ま
た本薬液の液温20℃のゲルタイムは静置法でおおよそ
23〜24分であり、そのホモゲルの1軸圧縮強度は5
日室温養生品で1.66kgf/cm2でゲル収縮率が18.
8vol%と測定された。
【0072】実施例5 主剤として表1記載の(a−4)溶液を選択しその10
0mlと、75%精製燐酸の3mlと40%グリオキザ
ールの4mlと更に酢酸マグネシウムの0.27部(4
モル/硬化剤200L)および1%海水が混合された水
の93部とから成る硬化剤液100mlとを、それぞれ
3.5℃で混合均一化した。主剤中のアルカリ分の中和
理論算出%は、各硬化剤成分毎に、燐酸分で32.9
%、グリオキザールで16.5%と算出される。混合2
分後の液温度は5℃を示した。
【0073】低温作業・液安定性試験の結果、静置法及
び連続攪拌法で測定した本薬剤は、ゲルタイムが15〜
17分で正常ゲル化し、沈殿生成はいずれも全く観察さ
れなかった。従って低温作業・液安定性試験の判定結果
は◎であった。また、上記低温作業・液安定性試験と同
様にして調製した攪拌法/10分経過後の5℃液を用い
て行なった簡易地盤注入試験の結果は○であり、低温現
場作業性が確保されている事が判明した。なお、室温2
0℃のゲルタイムは静置法でおおよそ22〜23分であ
り、そのホモゲルの1軸圧縮強度は5日室温養生品で
0.79kgf/cm2でゲル収縮率が13.3vol%と測
定された。
【0074】実施例6 主剤として表1記載の(b−1)溶液を選択しその10
0mlと、75%精製燐酸の3mlと40%グリオキザ
ールの2.5mlと更に琥珀酸マグネシウムの0.21
部(3モル/硬化剤200L)および水道水の94.5
部とから成る硬化剤液100mlとを、それぞれ3.5
℃で混合均一化した。主剤中のアルカリ分の中和理論算
出%は、各硬化剤成分毎に、燐酸分で34.5%、グリ
オキザールで10.9%と算出される。混合2分後の液
温度は5℃を示した。
【0075】低温作業・液安定性試験の結果、静置法及
び連続攪拌法で測定した本薬剤は、ゲルタイムが23〜
25分で正常ゲル化し、沈殿生成はいずれも全く観察さ
れなかった。従って低温作業・液安定性試験の判定結果
は◎であった。上記低温作業・液安定性試験と同様にし
て調製した攪拌法/10分経過後の5℃液を用いて行な
った簡易地盤注入試験の結果は○であり、低温現場作業
性が確保されている事が判明した。
【0076】実施例7 主剤として表1記載の(b−2)溶液を選択しその10
0mlと、75%精製燐酸の2mlと40%グリオキザ
ールの1.7mlと更に酢酸第二鉄塩の0.67部(6
モル/硬化剤200L)および水道水の96.5部とか
ら成る硬化剤液100mlとを、それぞれ5℃で混合均
一化した。主剤中のアルカリ分の中和理論算出%は、各
硬化剤成分毎に、燐酸分で35.2%、グリオキザール
で10.9%と算出される。
【0077】低温作業・液安定性試験の結果、静置法及
び連続攪拌法で測定した本薬剤は、ゲルタイムが21〜
22分で正常ゲル化し、沈殿生成はいずれも全く観察さ
れなかった。従って低温作業・液安定性試験の判定結果
は◎であった。上記低温作業・液安定性試験と同様にし
て調製した攪拌法/10分経過後の5℃液を用いて行な
った簡易地盤注入試験の結果は○であり、低温現場作業
性が確保されている事が判明した。
【0078】実施例8 主剤として表1記載の(a−3)溶液を選択しその10
0mlと、75%精製燐酸の6.7mlと40%グリオ
キザールの7.35mlと更にりんご酸第二鉄塩の0.
56部(6モル/硬化剤200L)および水道水の9
6.5部とから成る硬化剤液100mlとを、それぞれ
5℃で混合均一化した。主剤中のアルカリ分の中和理論
算出%は、各硬化剤成分毎に、燐酸分で30%、グリオ
キザールで24.5%と算出される。
【0079】低温作業・液安定性試験の結果、静置法及
び連続攪拌法で測定した本薬剤は、ゲルタイムが21〜
22分で正常ゲル化し、沈殿生成はいずれも全く観察さ
れなかった。従って低温作業・液安定性試験の判定結果
は◎であった。上記低温作業・液安定性試験と同様にし
て調製した攪拌法/10分経過後の5℃液を用いて行な
った簡易地盤注入試験の結果は○であり、低温現場作業
性が確保されている事が判明した。
【0080】実施例9 実施例2に於いて使用した乳酸第二鉄に替えて、同モル
相当量のグリコール酸第二鉄とした以外は同様にして行
なった結果は実施例1とほとんど同じ結果を得た。
【0081】実施例10 実施例2に於いて使用した乳酸第二鉄に替えて、同モル
相当量の蟻酸第二鉄とした場合もほぼ実施例1と同様な
結果を得た。
【0082】実施例11 実施例2に於いて使用した乳酸第二鉄に替えて、同モル
相当量のプロピオン酸第二鉄とした場合の低温作業・液
安定性試験は◎、簡易地盤注入試験の結果は○であっ
た。
【0083】実施例12 実施例2に於いて使用した乳酸第二鉄に替えて、同モル
相当量の蓚酸第二鉄とした場合の低温作業・液安定性試
験は◎、簡易地盤注入試験の結果は○であった。
【0084】実施例13 実施例3に於いて使用した塩化マグネシウムに替えて、
同モル相当量の燐酸水素マグネシウムとした以外は同様
にして行なった、低温作業・液安定性試験結果は◎、お
よび簡易地盤注入試験の結果は○であった。
【0085】実施例14 実施例3に於いて使用した塩化マグネシウムに替えて、
同モル相当量の酢酸マグネシウムとした以外は同様にし
て行なった結果は実施例1とほとんど同じ結果を得た。
【0086】実施例15 実施例3に於いて使用した塩化マグネシウムに替えて、
同モル相当量のグリオキシル酸マグネシウムとした場合
の低温作業・液安定性試験は◎、簡易地盤注入試験の結
果は○であった。
【0087】実施例16 実施例3に於いて使用した塩化マグネシウムに替えて、
同モル相当量の乳酸マグネシウム塩とした場合の低温作
業・液安定性試験は◎、簡易地盤注入試験の結果は○で
あった。
【0088】比較例1 主剤として表1記載の(a−2)溶液を選択しその10
0mlと、74%粗燐酸の30mlと40%グリオキザ
ールの52.5mlと酢酸の1部(3.3モル/硬化剤
200L)および水道水の910mlとから成る硬化剤
液の100mlとを、それぞれ3.5℃で混合均一化し
た。主剤中のアルカリ分の中和理論算出%は、各硬化剤
成分毎に、燐酸分で25.1%、グリオキザールで1
6.4%と算出される。混合2分後の液温度は5℃を示
し、溶液のpH値は10.79を示した。
【0089】低温作業・液安定性試験の結果、静置法で
測定したゲルタイムは18〜19分で白濁せずに正常ゲ
ル化した。一方、連続攪拌法で測定した場合には7〜8
分後に、系中に微細結晶の析出が観察され始め、15〜
16分後には完全に系が白濁スラリー状となり、60分
後に於いてもゲル化は全く観察されなかった。従って本
薬液の低温作業・液安定性試験の判定結果は×であっ
た。
【0090】比較例2 主剤として表1記載の(a1)溶液を選択しその100
mlと、74%粗燐酸の0.86mlと40%グリオキ
ザールの0.7mlと酢酸マグネシウムの0.2部
(2.9モル/硬化剤200L)および水道水の98.
35mlとから成る硬化剤液の100mlとを、それぞ
れ3.5℃で混合均一化して得たホモゲルの1軸圧縮強
度は0.1kgf/cm2以下と弱く脆弱で土質安定化には適
さない物であった。
【0091】比較例3 主剤として表1記載の(b1)溶液を選択しその100
mlと、74%粗燐酸の0.86mlと40%グリオキ
ザールの0.7mlと酢酸マグネシウムの0.2部
(2.9モル/硬化剤200L)および水道水の98.
35mlとから成る硬化剤液の100mlとを、それぞ
れ3.5℃で混合均一化して得たホモゲルの1軸圧縮強
度は0.1kgf/cm2程度と強度の弱いゲルしか生成しな
かった。
【0092】比較例4〜5 実施例2に於いて、乳酸第二鉄塩の替りに、同モル当量
の乳酸カルシウム(比較例4)またはリンゴ酸カルシウ
ム(比較例5)とした以外は全く同様にして行なった比
較例4と同5の結果は以下で示す結果であった。両者と
も混合直後の溶液のpH値は10.8を示し、かつその
いずれの薬液に於いても、低温作業・液安定性試験の静
置法で測定したゲルタイムは数分から5分以内に沈殿の
生成が見られ、10分から15分後には完全に白濁スラ
リー液に変質したため、30分でもゲル化が観察されな
かった。同様に、連続攪拌法で測定した場合には1〜2
分後に、系中に微細結晶の析出が観察され始め、5〜8
分後には完全に系が白濁スラリー状となり、60分後に
於いてもゲル化は全く観察されなかった。従ってこれら
の薬液の低温作業・液安定性試験の判定結果はいずれの
場合も×であった。
【0093】比較例6〜9 実施例2に於いて、乳酸第二鉄塩の替りに、同モル当量
の燐酸カルシウム(比較例6)または硫酸ナトリウム
(比較例7)またはピロ燐酸カリ(比較例8)またはピ
ロ燐酸ソーダ(比較例9)とした以外は全く同様にして
行なった。そのいずれの薬液に於いても、低温作業・液
安定性試験の連続攪拌法での測定で、1〜2分後には系
中に微細結晶の析出が観察され始め、5〜8分後には完
全に系が白濁スラリー状となり、60分後に於いてもゲ
ル化は全く観察されなかった。従ってこれらの薬液の低
温作業・液安定性試験の判定結果はいずれの場合も×で
あった。
【0094】比較例10 実施例5に於いて、酢酸マグネシウムの替りに、同モル
当量の塩化カルシウムとした以外は全く同様にして土質
安定化薬液を調製した。そしてその低温作業・液安定性
試験の連続攪拌法で測定した結果は、セット後1〜2分
後に、系中に微細結晶の析出が観察され始め、5〜8分
後には完全に系が白濁スラリー状となり、60分後に於
いてもゲル化は全く観察されなかった。従って本薬液の
低温作業・液安定性試験の判定結果は×であった。
【0095】実施例17 主剤として表1記載の(a−2)溶液を選択しその10
0mlと、74%粗燐酸の30mlと40%グリオキザ
ールの26.25mlとエチレングリコールジアセテー
トの33.6部と乳酸マグネシウム3水塩の5部(3.
9モル/硬化剤200L)および水道水の910mlと
から成る硬化剤液の100mlとを、それぞれ5℃で混
合均一化した。主剤中のアルカリ分の中和理論算出%
は、各硬化剤成分毎に、燐酸分で25.1%、グリオキ
ザールとエチレングリコールジアセテートの合計で1
6.4%と算出される。混合直後の溶液のpH値は1
0.80を示した。低温作業・液安定性試験の連続攪拌
法で測定した結果は、沈殿の生成が無く、ゲルタイムが
19〜20分で正常ゲル化をした 従って低温作業・液
安定性試験の判定結果は◎であった。
【0096】実施例18〜19 実施例17に於いて、エチレングリコールジアセテート
に替えて、同モル当量のγ−ブチロラクトン(実施例1
8)またはエチレンカーボネート(実施例19)とした
以外は全く同様にして得た土質安定化薬剤は低温作業・
液安定性試験の判定結果はそれぞれ◎であった。
【0097】実施例20 実施例17に於いて、使用した燐酸の20モル%分だけ
をその相当モル量の硫酸に代替して無機酸成分を併用使
用した以外は全く同様にして得た土質安定化薬剤の低温
作業・液安定性試験の判定結果は◎であった。
【0098】実施例21 実施例1に記載の主剤と硬化剤の各液200リットルを
1m3容量のタンクに注ぎ液温を5℃とした。ただし注
入開始20分前に主剤液に対し硬化剤液を全量添加配合
した。主剤液と硬化剤液との混合は添加後、スクリュウ
ー型電動攪拌機で毎分30回転で連続とした。その土質
安定化剤を混合2分後から、定量送液ポンプを介して、
いわゆる1ショット方式にて、先端部に0.5mm直径
のノズル孔を50ケ有した長さ1mの直径2インチ単管
からなる注入管から5℃雰囲気の空気中に定量吐出させ
た。吐出量は18L/分とした。以上の試験の結果、実
施例1の土質安定化剤はスムーズかつ安定した現場注入
作業が可能である事が確認された。
【0099】参考例1 [カニツァロ反応速度比較実験結果]0.0392N−
可性ソーダ水溶液(純水にて調製)50mlと40%グ
リオキザール溶液の2.00g(2.76モル/L;実
施例2または比較例1に於ける溶液濃度とほぼ等しい)
とからなる溶液の初期pH値は10.7であり、実施例
2とほぼ同じアルカリ性を示す。この液を標準液とし、
その標準液の液温5℃の系中のアルカリ消費量を測定し
てグリオキザールの不均化反応速度を算出した結果、1
時間経過後で5モル%/hrsと判明した。また、その
標準液に更に塩化第二鉄を0.01g〜0.03g含有
させて同様に反応速度を測定した結果、不均化反応速度
は実質6.3〜7.5モル%/hrsと向上していた。
【0100】
【発明の効果】実施例1〜16から、本発明の土質安定
剤はその主要な解決すべき課題、すなわち、低温下での
種々の刺激が加わった状態で取扱われる際の液挙動安定
性を確保できることが明きらかである。本発明の土質安
定剤が20〜40分程度の長結型土質安定化剤の分類に
入り、その薬液を用いた注入方式として経済的に最適な
ものが1ショットである事も実施例21で明らかであ
る。また本発明の土質安定化薬剤は最終的に高強度な固
結体を形成するとともに離漿の発生度合いも比較的低い
レベルにある。本発明の土質安定化剤は夏冬に関係なく
現場で安定して使用可能であり、各種の液刺激に対して
過飽和安定性が長時間確保された新規な組成物である。
【0101】一方、比較例1、及び4〜10では、冬場
の液刺激安定性に問題があり、燐酸−グリオキザールを
基本硬化系とし更に酢酸、燐酸塩、カルシウム塩を併用
しても本発明の課題を解決出来ない事が判明した。また
本発明の土質安定剤は、軟弱地盤の強化安定化、地下水
の止水機能に有効な土質安定化剤である。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主剤が下記(a)または(b)であり、
    (a)SiO2/Na2Oモル比が2.45〜4.5の珪
    酸ソーダを、そのSiO2とNa2Oの総量で10〜50
    重量%含有してなる水溶液、(b)SiO2/Na2Oモ
    ル比が4.5を超えない珪酸ソーダと、SiO2/Na2
    Oモル比が20〜250のコロイダルシリカとを含有
    し、その混合水溶液のSiO2/Na2Oモル比が3〜5
    0、SiO2とNa2Oの総量が10〜50重量%である
    混合水溶液、 硬化剤が、該硬化剤と主剤とを下記の割合で混合したと
    きに、主剤中のNa2Oの20〜50モル%相当分を中
    和する事が出来る量の燐酸と、5〜30モル%相当分を
    中和する事が出来る量のグリオキザールと、さらに硬化
    剤総量200リットル当り水溶性マグネシウム塩及びま
    たは水溶性第二鉄塩0.1〜7モルとを含有させてなる
    水溶液であって、上記主剤と硬化剤を容積比で(1:
    0.9)〜(0.9:1)の割合で混合してなる低温下
    での硬化溶液安定性に優れる土質安定化剤。
  2. 【請求項2】 (a)または(b)の珪酸ソーダのSi
    2/Na2Oモル比が3.0〜3.5であることを特徴
    とする請求項1記載の土質安定化剤。
  3. 【請求項3】 水溶性マグネシウム塩が塩化マグネシウ
    ム、燐酸水素マグネシウム塩、オキシカルボン酸マグネ
    シウム塩、炭素数1〜4の脂肪族カルボン酸マグネシウ
    ム塩、炭素数1〜4の脂肪族ジカルボン酸マグネシウム
    塩から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする
    請求項1または2記載の土質安定化剤。
  4. 【請求項4】 水溶性第二鉄塩が、塩化第二鉄、オキシ
    カルボン酸第二鉄塩、炭素数1〜4の脂肪族カルボン酸
    第二鉄塩、炭素数1〜4の脂肪族ジカルボン酸第二鉄塩
    から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請
    求項1または2記載の土質安定化剤。
  5. 【請求項5】 オキシカルボン酸マグネシウム塩が乳酸
    マグネシウム塩またはグリオキシル酸マグネシウム塩で
    あることを特徴とする請求項3記載の土質安定化剤。
  6. 【請求項6】 炭素数1〜4の脂肪族カルボン酸マグネ
    シウム塩が酢酸マグネシウム塩または蟻酸マグネシウム
    塩あることを特徴とする請求項3記載の土質安定化剤。
  7. 【請求項7】 炭素数1〜4の脂肪族ジカルボン酸マグ
    ネシウム塩が琥珀酸マグネシウム塩であることを特徴と
    する請求項3記載の土質安定化剤。
  8. 【請求項8】 オキシカルボン酸第二鉄塩が乳酸第二鉄
    塩塩またはグリオキシル酸第二鉄塩であることを特徴と
    する請求項4記載の土質安定化剤。
  9. 【請求項9】 炭素数1〜4の脂肪族カルボン酸第二鉄
    塩が酢酸第二鉄塩または蟻酸第二鉄塩であることを特徴
    とする請求項4記載の土質安定化剤。
  10. 【請求項10】 炭素数1〜4の脂肪族ジカルボン酸第
    二鉄塩が琥珀酸第二鉄塩であることを特徴とする請求項
    4記載の土質安定化剤。
  11. 【請求項11】 請求項1〜10のいずれか1項記載の
    土質安定化剤における燐酸の酸分の1〜50%相当量を
    硫酸、塩酸、硝酸およびほう酸から選ばれた1種または
    2種以上で置き換えることを特徴とする土質安定化剤。
  12. 【請求項12】 請求項1〜10のいずれか1項記載の
    土質安定化剤におけるグリオキザールの遊離グリコール
    酸換算の酸分の1〜100%相当量を、グリオキザール
    以外のアルカリ領域で加水分解反応によって遊離酸を放
    出する水溶性有機単量体で置き換えることを特徴とする
    土質安定化剤。
  13. 【請求項13】 水溶性有機単量体がグリコール酸2酢
    酸エステル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボ
    ネートおよびγ−ブチロラクトンから選ばれた1種また
    は2種以上であることを特徴とする請求項12記載の土
    質安定化剤。
  14. 【請求項14】 地盤注入開始の数分前に主剤と硬化剤
    とを混合均一化させて1液として得られたものである請
    求項1〜13記載のいずれか1項記載の土質安定化剤。
  15. 【請求項15】 請求項1〜13記載のいずれか1項記
    載の土質安定化剤を地盤中に1ショット方式で注入し、
    浸透・流動・固結させて、土質を強化安定させることを
    特徴とする土質安定化工法。
JP21314296A 1996-07-24 1996-07-24 低温下での溶液硬化安定性に優れる土質安定化剤 Pending JPH1036841A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21314296A JPH1036841A (ja) 1996-07-24 1996-07-24 低温下での溶液硬化安定性に優れる土質安定化剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21314296A JPH1036841A (ja) 1996-07-24 1996-07-24 低温下での溶液硬化安定性に優れる土質安定化剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1036841A true JPH1036841A (ja) 1998-02-10

Family

ID=16634279

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21314296A Pending JPH1036841A (ja) 1996-07-24 1996-07-24 低温下での溶液硬化安定性に優れる土質安定化剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1036841A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102690099A (zh) * 2012-06-15 2012-09-26 新疆惠森生物技术有限公司 一种土壤固化剂在温室大棚墙体建筑上的应用
JP2021038371A (ja) * 2019-02-13 2021-03-11 強化土エンジニヤリング株式会社 地盤注入材およびそれを用いた地盤改良工法
CN116283102A (zh) * 2023-03-24 2023-06-23 华中科技大学 一种利用镁离子调控地聚合物凝结时间的方法

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102690099A (zh) * 2012-06-15 2012-09-26 新疆惠森生物技术有限公司 一种土壤固化剂在温室大棚墙体建筑上的应用
JP2021038371A (ja) * 2019-02-13 2021-03-11 強化土エンジニヤリング株式会社 地盤注入材およびそれを用いた地盤改良工法
CN116283102A (zh) * 2023-03-24 2023-06-23 华中科技大学 一种利用镁离子调控地聚合物凝结时间的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0273445B1 (en) Chemical grout for ground injection and method for accretion
JP2012012483A (ja) 地盤注入用グラウト材および地盤注入工法
JP6159963B1 (ja) 地盤注入材および地盤改良工法
JPH1036841A (ja) 低温下での溶液硬化安定性に優れる土質安定化剤
JPH1036842A (ja) 低温下での溶液硬化安定性に優れる土質注入改良剤と土質安定化方法
JPH1036840A (ja) 低温下での溶液安定性に優れる土質安定化剤と土質安定化工法
JPH1036843A (ja) 低温下での溶液安定性に優れる土質注入改良剤
JP4090982B2 (ja) 地盤注入剤及び地盤注入工法
KR100402456B1 (ko) 지반 고결재
JPH0155679B2 (ja)
JP3437084B2 (ja) 地盤固結用注入材およびこの注入材を用いた地盤注入工法
JP2001098271A (ja) 地盤固結材
JP3283171B2 (ja) 地盤注入用薬液
JPS6312514B2 (ja)
JP2853772B2 (ja) 地盤注入剤
JP5189282B2 (ja) 地盤注入剤及びそれを用いた地盤注入工法
JPH10110168A (ja) 溶液型グラウト剤およびその調整方法と地盤注入改良工 法
JP3425737B2 (ja) 地盤注入用薬液
JPS61215685A (ja) 土質安定化工法
JP2000109835A (ja) 地盤注入用薬液
JP2987625B1 (ja) 地盤固結材
JP3101949B2 (ja) 地盤注入工法
JP4094285B2 (ja) 珪酸塩系土質安定用薬液
JP3370254B2 (ja) 地盤注入工法
JPH08269449A (ja) 地盤注入用薬液および地盤注入工法