JPH1036667A - 導電性ポリアニリン組成物及びこれを固体電解質とする固体電解コンデンサ - Google Patents

導電性ポリアニリン組成物及びこれを固体電解質とする固体電解コンデンサ

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JPH1036667A
JPH1036667A JP8189700A JP18970096A JPH1036667A JP H1036667 A JPH1036667 A JP H1036667A JP 8189700 A JP8189700 A JP 8189700A JP 18970096 A JP18970096 A JP 18970096A JP H1036667 A JPH1036667 A JP H1036667A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐熱性にすぐれる導電性ポリアニリン組成物
と、これを固体電解質とする固体電解コンデンサを提供
することにある。 【解決手段】本発明による導電性ポリアニリン組成物
は、カルボキシル基を有する脂肪族モノスルホン酸(好
ましくは、スルホ酢酸又はスルホコハク酸)をドーパン
トとして有するポリアニリンからなる。本発明による固
体電解コンデンサは、皮膜形成金属上に誘電体皮膜が形
成されており、この誘電体皮膜上に上記導電性ポリアニ
リン組成物のフィルムが固体電解質として形成されてな
ることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性ポリアニリ
ン組成物及びこれを固体電解質として用いる固体電解コ
ンデンサに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、大容量のコンデンサとして知られ
ている電解コンデンサには、電解液式と固体式とがあ
る。このうち、固体電解質を用いる固体式コンデンサと
しては、二酸化マンガン又は7,7,8,8−テトラシアノキ
ノジメタン(TCNQ)錯体を用いる方式が知られてい
るが、前者は、インピーダンスが大きく、後者は、熱安
定性に乏しい等、種々の問題を有している。
【0003】そこで、近年、導電性有機高分子を固体電
解質として用いる固体電解コンデンサが種々提案されて
いる。例えば、特開昭63−158829号公報には、
表面に酸化アルミニウムからなる誘電体を形成させたア
ルミニウム箔上にアルミニウムを真空蒸着し、これを陽
極とし、ステンレスからなる陰極との間に支持電解質と
共にピロールを含む水溶液を電解酸化して、陽極上に導
電性ポリピロールの膜を生成させて、固体電解コンデン
サを得ることが記載されている。
【0004】しかし、この方法によれば、酸化アルミニ
ウムからなる誘電体皮膜が絶縁性であるために、この上
に導電性ポリピロールの薄膜を電解重合にて形成させる
ために、予め誘電体皮膜の表面上にアルミニウムを蒸着
する等の作業を必要とし、製造工程が複雑であり、製造
費用も高くならざるを得ない。特開昭63−17331
3号公報には、皮膜形成金属上に誘電体酸化皮膜を形成
し、その上にピロールの化学酸化重合によってポリピロ
ールを析出させて、これを導電層とし、この導電層を利
用して、更に、ピロールを電解重合させ、そのポリピロ
ールからなる導電性高分子を固体電解質として積層させ
ることが記載されている。また、特開平1−25322
6号公報には、同じく、誘電体皮膜上に二酸化マンガン
からなる導電層を形成し、その上にポリピロール又はポ
リチオフェンを電解重合によって積層させて、固体電解
質とすることが記載されている。
【0005】しかしながら、これらの方法によれば、い
ずれも、本来、導電体ではない誘電体皮膜上にポリピロ
ール等を電解反応によって積層させる必要があり、この
点に問題がある。即ち、誘電体皮膜上に電解重合用電極
となるべき導電層として、化学酸化重合膜層や二酸化マ
ンガン層を設けなければならず、このようにしてはじめ
て電解重合が可能となるので、製造工程が非常に煩雑で
ある。同様に、特開平6−310380号公報に記載さ
れているように、誘電体皮膜上に化学酸化重合のみによ
って導電性有機重合体を形成させる方法も知られてい
る。この方法によれば、誘電体皮膜上に予め導電層を形
成する必要はないが、重合反応の制御が容易ではない
等、種々の問題がある。
【0006】他方、本発明者らは、種々の有機溶剤に可
溶性であり、しかも、非常に高分子量のポリアニリンを
得ることに成功しており、このポリアニリンの溶液を適
宜の基材上に塗布することによって、自立性のフィルム
を得ることができること、更に、このフィルムをプロト
ン酸にてドーピングすることによって、導電性ポリアニ
リン組成物を得ることができることを見出している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明者ら
は、このような導電性ポリアニリン組成物を固体電解質
として用いる固体電解コンデンサを開発すべく、鋭意、
研究を進めた結果、ある種のカルボキシル基を有する脂
肪族モノスルホン酸をドーパントとすることによって、
その耐熱性が飛躍的に向上した導電性ポリアニリン組成
物を得ることができ、このような導電性ポリアニリン組
成物を固体電解質として用いることによって、耐熱性に
すぐれ、従って、耐久性及び信頼性にすぐれ、更に、誘
電体皮膜との密着性にすぐれ、高周波領域におけるイン
ピーダンスが小さく、静電容量が大きい固体電解コンデ
ンサを得ることができることを見出して、本発明に至っ
たものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明による導電性ポリ
アニリン組成物は、カルボキシル基を有する脂肪族モノ
スルホン酸をドーパントとして有するポリアニリンから
なることを特徴とする。また、本発明による固体電解コ
ンデンサは、皮膜形成金属上に誘電体皮膜が形成されて
おり、この誘電体皮膜上にカルボキシル基を有する脂肪
族モノスルホン酸をドーパントとして有する導電性ポリ
アニリン組成物のフィルムが固体電解質として形成され
ていることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明による導電性ポリアニリン
組成物は、カルボキシル基を有する脂肪族モノスルホン
酸をドーパントとして有するポリアニリンからなる。本
発明によれば、上記ポリアニリンとしては、好ましく
は、一般式(III)
【0010】
【化3】
【0011】(式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中
のキノンジイミン構造単位及びフエニレンジアミン構造
単位のモル分率を示し、0<m<1、0<n<1、m+
n=1である。)を主たる繰返し単位として有するポリ
アニリンであって、脱ドープ状態において有機溶剤に可
溶性であり、457.9nmの波長の光で励起して得られ
るレーザー・ラマンスペクトルにおけるパラ置換ベンゼ
ンの骨格振動のうち、1600cm-1よりも高波数にあら
われる骨格延伸振動のラマン線の強度Iaと1600cm
-1よりも低波数にあらわれる骨格延伸振動のラマン線強
度Ibの比Ia/Ibが1.0以上であるポリアニリンが
用いられる。
【0012】このように、本発明においては、脱ドープ
状態において有機溶剤に可溶性のポリアニリンが好まし
く用いられるが、このようなポリアニリンは、特開平3
−28229号公報に記載されているように、既に知ら
れている。このような有機溶剤に可溶性のポリアニリン
は、先ず、プロトン酸にてドーピングされた導電性ポリ
アニリン組成物を調製し、これを脱ドーピングすること
によって得ることができる。
【0013】先ず、上記プロトン酸にてドーピングされ
た導電性ポリアニリン組成物の製造について説明する。
このような導電性ポリアニリン組成物は、酸解離定数
(pKa値)が3.0以下であるプロトン酸の存在下に適
宜の溶剤中にてアニリンに温度を5℃以下、好ましくは
0℃以下の温度に保持しつつ、標準水素電極を基準とす
る還元半電池反応における起電力として定められる標準
電極電位が0.6V以上である酸化剤の水溶液をアニリン
1モル当りに、酸化剤の1モルを、酸化剤1分子を還元
するのに必要な電子数で割った量として定義される当量
で、2当量以上、好ましくは2〜2.5当量徐々に加え
て、アニリンを酸化重合させることによって得ることが
できる。
【0014】次いで、このプロトン酸にてドーピングさ
れた導電性ポリアニリン組成物を塩基性物質によって脱
ドーピングすることによって、本発明において好適に用
いることができる有機溶剤に可溶性のポリアニリンを得
ることができる。上記アニリンの酸化重合においては、
酸化剤としては、二酸化マンガン、ペルオキソ二硫酸ア
ンモニウム、過酸化水素、第二鉄塩、ヨウ素酸塩等が特
に好ましく用いられる。これらのなかで、例えば、ペル
オキソ二硫酸アンモニウムや過酸化水素は、その酸化反
応において、共に1分子当りに2個の電子が関与するの
で、通常、アニリン1モルに対して1〜1.25モルの範
囲の量が用いられる。
【0015】上記アニリンの酸化重合において用いられ
るプロトン酸は、酸解離定数(pKa値)が3.0以下で
あれば、特に、限定されるものではなく、例えば、塩
酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、ホウフッ化水素酸、リンフ
ッ化水素酸、フッ化水素酸、ヨウ化水素酸等の無機酸、
ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の芳香
族スルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等
のアルカンスルホン酸、ピクリン酸等のフェノール類、
m−ニトロ安息香酸等の芳香族カルボン酸、ジクロロ酢
酸、マロン酸等の脂肪族カルボン酸等を挙げることがで
きる。また、ポリマー酸も用いることができる。かかる
ポリマー酸としては、例えば、ポリスチレンスルホン
酸、ポリビニルスルホン酸、ポリアリルスルホン酸、ポ
リビニル硫酸等を挙げることができる。
【0016】用いるプロトン酸の量は、用いる酸化剤の
反応様式に依存する。例えば、二酸化マンガンの場合
は、酸化反応は、 MnO2+4H++2e- → Mn2++2H2O で示されるから、用いる二酸化マンガンの少なくとも4
倍モル量のプロトンを供給し得るプロトン酸を用いる必
要がある。また、過酸化水素の場合も、酸化反応は、 H2O2+2H++2e- → 2H2O で示されるから、用いる過酸化水素の少なくとも2倍モ
ル量のプロトンを供給し得るプロトン酸を用いる必要が
ある。他方、ペルオキソ二硫酸アンモニウムの場合は、
酸化反応は、 S2O8 2-+2e- → 2SO4 2- で示されるから、特に、プロトン酸を用いる必要はな
い。しかし、酸化剤として、ペルオキソ二硫酸アンモニ
ウムを用いる場合であっても、この酸化剤と等モル量の
プロトン酸を用いることが好ましい。
【0017】アニリンの酸化重合における溶剤として
は、アニリン、プロトン酸及び酸化剤を溶解し、且つ、
酸化剤によって酸化されないものが用いられる。水が最
も好ましく用いられるが、しかし、必要に応じて、メタ
ノール、エタノール等のアルコール類、アセトニトリル
等のニトリル類、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチ
ルスルホキシド等の極性溶剤、テトラヒドロフラン等の
エーテル類、酢酸等の有機酸類も用いることができる。
また、これら有機溶剤と水との混合溶剤も用いることが
できる。
【0018】前記有機溶剤可溶性のポリアニリンの調製
において、反応の間、特に、酸化剤溶液をアニリン溶液
に加える間に、反応混合物の温度を常に5℃以下に保持
することが重要である。従って、酸化剤溶液は、アニリ
ンに徐々に加えて、反応混合物の温度が5℃を越えない
ようにする必要がある。急激に酸化剤を加えるときは、
外部からの冷却によっても、反応混合物の温度が上昇し
て、低分子量の重合体を生成したり、或いは後述する脱
ドーピング後にも溶剤不溶性の酸化重合体が生成する。
【0019】特に、上記の反応においては、反応温度を
0℃以下に保持するのが好ましく、これによって、脱ド
ーピング後、N−メチル−2−ピロリドン中、30℃で
測定した(以下、同じ。)極限粘度〔η〕が1.0dl/
g以上の高分子量の有機溶剤可溶性ポリアニリンを得る
ことができる。このようにして、アニリンの酸化重合に
用いたプロトン酸によってドープされたポリアニリン組
成物を得ることができる。このようなドープ状態では、
このポリアニリン組成物は、プロトン酸と塩を形成して
いるために、後述するような有機溶剤に溶解しない。高
分子量アミンの塩が一般に有機溶剤に難溶性であること
はよく知られている。しかしながら、この有機溶剤不溶
性のポリアニリン組成物を脱ドーピングすることによっ
て、有機溶剤可溶性のポリアニリンを得ることができ
る。
【0020】このプロトン酸にてドープされているポリ
アニリン組成物の脱ドーピングは、一種の中和反応であ
るから、この中和反応に用いる塩基性物質としては、ド
ーパントとしてのプロトン酸を中和し得るものであれ
ば、特に、限定されるものではないが、好ましくは、ア
ンモニア水、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸
化リチウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等
の金属水酸化物が用いられる。脱ドーピングは、上記ア
ニリンの酸化重合の後、導電性ポリアニリン組成物を含
む反応混合物中に直接に塩基性物質を加えてもよく、ま
た、ポリアニリン組成物を一旦分離した後、これに塩基
性物質を作用させてもよい。
【0021】前述したようなアニリンの酸化重合によっ
て得られるドープ状態の導電性ポリアニリン組成物は、
通常、10-6S/cm以上の電導度を有して、黒緑色を
呈するが、脱ドーピング後は、紫色或いは紫がかった銅
色である。この変色は、ポリアニリン組成物中の塩構造
のアミン窒素が遊離アミンに変化したためである。電導
度は、通常、10-10 S/cm台である。
【0022】このようにして得られる脱ドープ状態のポ
リアニリンは、高分子量を有し、しかも、種々の有機溶
剤に溶解する。本発明において好適に用いることができ
るこのように有機溶剤に可溶性のポリアニリンは、N−
メチルピロリドン中、30℃で測定した極限粘度〔η〕
が0.40dl/g以上を有し、例えば、N−メチル−2
−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N
−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,3
−ジメチル−2−イミダゾリジノン、スルホラン等の有
機溶剤に溶解する。このような有機溶剤への脱ドープ状
態のポリアニリンの溶解度は、その平均分子量や溶剤に
もよるが、通常、ポリアニリンの0.5〜100%が溶解
し、1〜30重量%濃度の溶液を得ることができる。特
に、この脱ドープ状態のポリアニリンは、N−メチル−
2−ピロリドンに高い溶解性を示し、通常、ポリアニリ
ンの20〜100%が溶解し、3〜30重量%溶液を得
ることができる。しかし、テトラヒドロフラン、80%
酢酸水溶液、60%ギ酸水溶液、アセトニトリル等には
溶解しない。
【0023】本発明において好ましく用いることができ
る上述したような有機溶剤に可溶性の脱ドープ状態のポ
リアニリンは、波長457.9nmの光で励起して得られ
るレーザー・ラマンスペクトルにおいて、1622及び
1591cm-1にパラ置換ベンゼンの骨格延伸振動、1
489及び1479cm-1にキノンジイミン構造のC=
C及びC=Nの伸縮振動、1220cm-1にC−N伸縮
振動とC−C伸縮振動の混在、1185及び1165c
-1にC−Hの面内変角振動に基づくラマン線を有す
る。
【0024】本発明において好ましく用いることができ
る有機溶剤に可溶性の脱ドープ状態のポリアニリンで
は、パラ置換ベンゼンの骨格振動のうち、1600cm
-1よりも高波数にあらわれる骨格延伸振動のラマン線強
度Iaと1600cm-1よりも低波数にあらわれるラマ
ン線強度Ibとの比Ia/Ibが1.0以上である。前記
一般式(I)で表わされる有機溶剤に可溶性のポリアニ
リンにおいて、m及びnの値は、ポリアニリンを酸化又
は還元することによって調整することができる。即ち、
還元することによって、mを低減させ、nを増大させる
ことができる。逆に、酸化すれば、mを増大させ、nを
低減させることができる。ポリアニリンの還元によっ
て、ポリアニリン中のキノンジイミン構造単位が減少す
ると、ポリアニリンの有機溶剤への溶解性が高められ
る。また、還元前に比べて、溶液の粘度は低下する。
【0025】このような溶剤可溶性のポリアニリンの還
元のためには、例えば、N−メチル−2−ピロリドンに
溶解するが、N−メチル−2−ピロリドンを還元しない
点から、フェニルヒドラジンが最も好ましく用いられ、
他方、溶剤可溶性ポリアニリンの酸化のために用いられ
る酸化剤は、一般式におけるフェニレンジアミン構造単
位を酸化し得るものであれば、特に、限定されるもので
はないが、例えば、穏和な酸化銀が好ましく用いられ
る。必要に応じて、過マンガン酸カリウムや重クロム酸
カリウム等も用いることができる。
【0026】このような有機溶剤に可溶性のポリアニリ
ンを還元すれば、ポリアニリンは、キノンジイミン構造
をもたないために、1621cm-1にのみラマン線を生
じるが、キノンジイミン構造を有する脱ドープ状態のポ
リアニリンでは、前述したように、1622及び159
1cm-1にラマン線があらわれる。これに対して、従来
より知られているポリアニリンは、化学酸化重合による
ものを含めて、すべて上記比Ia/Ibは1.0よりも小
さい。本発明による導電性ポリアニリン組成物は、この
ような有機溶剤に可溶性のポリアニリンをカルボキシル
基を有する脂肪族モノスルホン酸にてドーピングするこ
とによって得ることができる。
【0027】本発明によれば、ドーパントとして、カル
ボキシル基を有する脂肪族モノスルホン酸が用いられ
る。このようなカルボキシル基を有する脂肪族モノスル
ホン酸は、好ましくは、一般式(I) HOOC-R1-SO3H(I) (式中、R1 は水酸基を有していてもよい炭素数1又は
2の2価の飽和脂肪族炭化水素基を示す。)で表わされ
るか、又は一般式(II) (HOOC)2-R2-SO3H(II) (式中、R2 は水酸基を有していてもよい炭素数1又は
2の3価の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基を示す。)
で表わされるものである。
【0028】上記一般式(I)で表わされるカルボキシ
ル基を有する脂肪族モノスルホン酸の具体例として、例
えば、スルホ酢酸や、2−又は3−スルホ乳酸を挙げる
ことができるが、特に、スルホ酢酸が好ましく用いられ
る。他方、上記一般式(II)で表わされるものの具体例
として、例えば、スルホマロン酸、スルホコハク酸、ス
ルホ酒石酸、2−又は3−スルホリンゴ酸、スルホマレ
イン酸、スルホフマル酸等を挙げることができるがなか
でも、スルホコハク酸が好ましく用いられる。
【0029】本発明において用いるこれらのドーパント
は、分子量が比較的小さいので、ポリアニリンを速やか
にドーピングし、従って、効率よく、導電性ポリアニリ
ン組成物を得ることができるので、工業上、非常に有利
である。更に、本発明において好ましく用いることがで
きるポリアニリンは、有機溶剤に可溶性であるので、こ
れを適宜の有機溶剤に溶解し、適宜の基材上にキャステ
イングして、フィルムとし、このフィルムに上記ドーパ
ントを接触させることによって、導電性ポリアニリン組
成物からなるフィルムを効率よく容易に得ることができ
る。フィルム調製時の乾燥温度は、適宜に選択すればよ
いが、通常、50〜150℃の範囲の温度が好適であ
る。
【0030】本発明において、ドーパントであるカルボ
キシル基を有する脂肪族モノスルホン酸は、通常、これ
を適宜の溶剤に溶解し、溶液として、上記フィルムに接
触させるのが有利である。従って、より詳細には、フィ
ルムをドーパントの溶液に浸漬するか、又はフィルムに
上記水溶液を塗布した後、必要に応じて、適当な溶剤に
てフィルムを洗浄することによって、導電性ポリアニリ
ン組成物からなるフィルムを容易に得ることができる。
【0031】ドーパントの溶液を調製するための溶剤と
しては、通常、水が好ましく用いられるが、必要に応じ
て、有機溶剤や、水と有機溶剤との混合物も用いられ
る。ドーパント溶液の濃度は、特に、限定されるもので
はなく、5〜95重量%にわたってよいが、好ましく
は、20〜70重量%である。ドーピングの温度は、特
に、限定されるものではなく、ドーパントの溶剤によっ
て適宜に選択すればよいが、ドーパントの水溶液を用い
る場合、効率の点から、ドーピング温度は、通常、50
〜80℃の範囲が好適である。
【0032】本発明による導電性ポリアニリン組成物
は、ポリアニリンのモル数に対して25モル%から75
モル%のドーパントを含む。ポリアニリンのドーピング
は、ポリアニリン中のイミン構造窒素へのプロトン化に
よって引き起こされるので、全窒素の25〜75%がイ
ミン窒素へのプロトン化から生じるカチオンラジカルに
変わり、そこにドーパント由来のアニオンが同数、イオ
ン結合していることになる。ポリアニリンの電導度が最
も高くなるのは、ポリアニリンの50モル%がドーピン
グされた状態のときとされている。
【0033】このようにして得られる本発明による導電
性ポリアニリン組成物からなるフィルムは、通常、10
-3S/cm以上、多くの場合、100 S/cm以上であ
るが、好ましい態様によれば、101 S/cm以上のも
のを得ることができ、最も好ましい態様によれば、10
0S/cmを越えるものも得ることができる。本発明に
よるこのような導電性ポリアニリン組成物からなるフィ
ルムは、強靱であって、折り曲げても、容易には割れな
い。また、このフィルムは、非常に高い耐熱性を有して
おり、例えば、温度125℃で1000時間にわたる長
期試験においても、電導度の低下は1桁以内である。
【0034】次に、本発明による固体電解コンデンサに
ついて説明する。本発明によれば、表面を粗面化した皮
膜形成金属箔や、皮膜形成金属の微粉末を焼結した多孔
質焼結体等を電解酸化等して、その金属の酸化物を形成
させて、誘電体皮膜とし、次いで、有機溶剤に可溶性の
ポリアニリンの溶液をこの誘電体皮膜上に塗布し、溶剤
を乾燥させて、フィルムとし、このフィルムを前述した
ようにドーパントを含む溶液に浸漬するか、又はフィル
ムにドーパントを含む溶液を塗布し、ドーピングした
後、適宜の溶剤にてフィルムを洗浄し、乾燥させること
によって、誘電体皮膜上に導電性ポリアニリン組成物か
らなるフィルムを形成することができる。上記皮膜形成
金属としては、通常、アルミニウム又はタンタルが好ま
しく用いられ、従って、誘電体皮膜としては、酸化アル
ミニウム又は酸化タンタルの皮膜が好ましく用いられ
る。
【0035】一般に、誘電体は、上記したように、通
常、酸化アルミニウム又は酸化タンタルの皮膜からな
り、この皮膜は、表面積を増すために、通常、アルミニ
ウムの場合は、粗面処理されており、タンタルの場合に
は、微粉末金属の焼結によって多孔質化されている。固
体電解質は、かかる酸化皮膜の多孔質粗面に密着するこ
とが必要である。ここに、本発明によれば、ポリアニリ
ンの溶液を誘電酸化皮膜上に塗布してフィルム化できる
ので、誘電体上のフィルムの厚みを任意に調整すること
ができる。例えば、誘電体上に厚み0.01〜200μm
にわたる種々の厚みのフィルムを得ることができ、従っ
て、このようなフィルムをドーピングすることによっ
て、その導電性を10-3〜102 S/cmの範囲、好ま
しくは100 〜102 S/cmの範囲に容易に調整する
こともできる。
【0036】しかも、本発明による固体電解コンデンサ
によれば、導電性ポリアニリン組成物の導電性が電子伝
導によるから、イオン伝導の電解液式コンデンサに比べ
て、高周波領域にてインピーダンスが小さく、且つ、容
量が大きい。また、固体電解質として、導電性ポリアニ
リン組成物は、二酸化マンガンやTCNQ錯体に比べ
て、電導度が1桁から2桁高いので、固体電解質コンデ
サとしても、高周波特性の非常にすぐれたものとするこ
とができる。また。耐熱性も非常に高い。
【0037】
【発明の効果】以上のように、本発明による導電性ポリ
アニリン組成物は、ドーパントとして、カルボキシル基
を有する脂肪族モノスルホン酸を有し、非常にすぐれた
耐熱性を有し、耐熱性の要求される用途に好適に用いる
ことができる。また、上記ドーパントは分子量が比較的
小さいので、ポリアニリンを短時間で効率よくドーピン
グすることができ、実用上、有利である。
【0038】特に、本発明による固体電解コンデンサに
よれば、誘電体皮膜上にこのような導電性が電子伝導に
よる導電性ポリアニリン組成物からなるフィルムが形成
されているから、高周波領域にてインピーダンスが小さ
く、且つ、容量が大きいのみならず、耐熱性にすぐれて
おり、耐久性及び信頼性にすぐれる。更に、本発明によ
れば、ポリアニリン溶液を用いて、誘電体皮膜上にポリ
アニリンのフィルムを形成し、これをドーパントの溶液
によってドーピングして、導電性フィルムとして、固体
電解コンデンサを得ることができ、このように、導電性
フィルムの製造が簡単容易であるから、大量生産も可能
である。
【0039】
【実施例】以下に本発明にて用いる有機溶剤に可溶性の
ポリアニリンの製造を示すための参考例と共に、実施例
によって本発明を説明するが、本発明はこれら実施例に
より何ら限定されるものではない。
【0040】参考例1 (アニリンの酸化重合による導電性ポリアニリン組成物
の調製)攪拌装置、温度計及び直管アダプターを備えた
10L容量セパラブル・フラスコに蒸留水6000g、
36%塩酸360mL及びアニリン400g(4.295
モル)をこの順序にて仕込み、アニリンを溶解させた。
別に、氷水にて冷却しながら、ビーカー中の蒸留水14
93gに97%濃硫酸434g(4.295モル)を加
え、混合して、硫酸水溶液を調製した。この硫酸水溶液
を上記セパラブル・フラスコに加え、フラスコ全体を低
温恒温槽にて−4℃まで冷却した。
【0041】次に、ビーカー中にて蒸留水2293gに
ペルオキソ二硫酸アンモニウム980g(4.295モ
ル)を加え、溶解させて、酸化剤水溶液を調製した。フ
ラスコ全体を低温恒温槽で冷却して、反応混合物の温度
を−3℃以下に保持しつつ、攪拌下にアニリン塩の酸性
水溶液に、チュービングポンプを用いて、直管アダプタ
ーから上記ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液を1m
L/分以下の割合にて徐々に滴下した。最初、無色透明
の溶液は、重合の進行に伴って緑青色から黒緑色とな
り、次いで、黒緑色の粉末が析出した。
【0042】この粉末析出時に反応混合物において温度
の上昇がみられるが、この場合にも、本発明に従って、
高分子量のポリアニリンを得るためには、反応系内の温
度を0℃以下、好ましくは、−3℃以下に抑えることが
肝要である。粉末析出後は、ペルオキソ二硫酸アンモニ
ウム水溶液の滴下速度を例えば8mL/分程度とやや速
くしてもよい。しかし、この場合にも、反応混合物の温
度をモニターしつつ、温度を−3℃以下に保持するよう
に、滴下速度を調整することが必要である。かくして、
7時間を要して、ペルオキソ二硫酸アンモニウム水溶液
の滴下を終了した後、更に1時間、−3℃以下の温度に
て攪拌を続けた。得られた粉末を濾別し、水洗、アセト
ン洗浄し、室温で真空乾燥して、黒緑色の導電性ポリア
ニリン組成物の粉末430gを得た。これを直径13m
m、厚さ700μmのディスクに加圧成形し、ファン・
デル・ポー法によって、その電導度を測定したところ、
14S/cmであった。
【0043】(導電性ポリアニリン組成物の脱ドーピン
グによる有機溶剤に可溶性のポリアニリンの製造)上記
ドープされている導電性ポリアニリン組成物の粉末35
0gを2Nアンモニア水4L中に加え、オートホモミキ
サーにて回転数5000rpmにて5時間攪拌した。混
合物は、黒緑色から青紫色に変化した。ブフナー漏斗に
て粉末を濾別し、ビーカー中にて攪拌しながら、蒸留水
にて濾液が中性になるまで繰り返して洗浄し、続いて、
濾液が無色になるまでアセトンにて洗浄した。この後、
粉末を室温にて10時間真空乾燥して、黒褐色の脱ドー
ピングしたポリアニリンの粉末280gを得た。このポ
リアニリンはN−メチル−2−ピロリドンに可溶性であ
って、溶解度は同溶剤100gに対して8g(7.4%)
であった。また、これを溶剤として30℃で測定した極
限粘度〔η〕は1.23dl/gであった。
【0044】このポリアニリンは、ジメチルスルホキシ
ド及びジメチルホルムアミドには1%以下の溶解度であ
った。テトラヒドロフラン、ピリジン、80%酢酸水溶
液、60%ギ酸水溶液及びアセトニトリルには実質的に
溶解しなかった。この脱ドープ状態のポリアニリンの粉
末をディスク状に成形した試料について、1400〜1
700cm-1の範囲について、ラマンスペクトルを測定
した結果、波長を457.9nmの光で励起して得られた
ラマンスペクトルによれば、前記Ia/Ibが1.0以上
であった。更に、上記有機溶剤に可溶性のポリアニリン
について、N−メチル−2−ピロリドン用のGPCカラ
ムを用いて、GPC測定を行なった結果、数平均分子量
23000、重量平均分子量160000(いずれも、
ポリスチレン換算)であった。
【0045】参考例2 (有機溶剤に可溶性のポリアニリンを用いる自立性フィ
ルムの調製)参考例1にて得た脱ドープしたポリアニリ
ン粉末5gをN−メチル−2−ピロリドン95g中に少
量ずつ加え、室温にて溶解させて、黒青色溶液を得た。
この溶液をG3ガラスフィルターにて真空濾過したとこ
ろ、フィルター上に残存した不溶物は極めて少量であっ
た。このフィルターをアセトンにて洗浄し、残存する不
溶物を乾燥後、重量測定したところ、75mgであっ
た。従って、ポリアニリンは、その98.5%が溶解し、
不溶物は1.5%であった。
【0046】このようにして得られたポリアニリン溶液
をガラス板上にキャステイングし、ガラス棒にてしごい
た後、熱風循環乾燥器中でN−メチル−2−ピロリドン
を蒸発揮散させた。この後、ガラス板を冷水中に浸漬す
ることによって、ポリアニリンフィルムがガラス板より
自然に剥離し、かくして、厚さ40μmのポリアニリン
フィルムを得た。このフィルムをアセトンで洗浄した
後、室温で風乾して、銅色の金属光沢を有するフィルム
を得た。このようにして得た脱ドープ状態のポリアニリ
ンフイルムは、電導度はいずれも10-11 S/cm台で
あった。また、フィルムは10000回の折り曲げによ
っても割れず、引張強度は850kg/cm2 であっ
た。
【0047】参考例3 (自立性フィルムのプロトン酸によるドーピング)参考
例2において、160℃で2時間加熱乾燥して得た自立
性フィルムをそれぞれ1Nの硫酸、過塩素酸及び塩酸水
溶液中に室温にて66時間浸漬した後、アセトンで洗浄
し、風乾して、それぞれ導電性フィルムを得た。フィル
ムは、いずれも濃青色を呈し、電導度は、それぞれ9S
/cm、13S/cm及び6S/cmであった。また、
過塩素酸にてドーピングしたフィルムの引張強度は52
0kg/cm2 であった。
【0048】実施例1 参考例1にて得られた脱ドープした有機溶剤に可溶性の
ポリアニリン粉末5.0gをN−メチル−2−ピロリドン
95.0g中に少量ずつ加えて溶解させ、フィルターで濾
過して、黒青色溶液を得た。この溶液をガラス板上にキ
ャステイングし、120℃で30分間乾燥させて、脱ド
ープ状態のポリアニリンのフィルムを得た。このフィル
ムをガラス板から剥離し、1cm四方の大きさに裁断し
た。フィルム厚さは35μmであった。
【0049】別に、ドープ液として、スルホ酢酸の50
重量%水溶液を調製し、65℃の温度に調整した後、こ
れに上記ポリアニリンフィルムを10分間浸漬し、次い
で、アセトンに2分間浸漬した後、洗浄した。この後、
50℃で10分間乾燥させた。このようにして得られた
導電性ポリアニリン組成物からなるフィルムは、電導度
27.6S/cmを有し、これを125℃で650時間放
置した後の電導度は11.8S/cmであって、当初の4
2.8%を維持した。以後、125℃で650時間放置し
た後の電導度を耐熱試験後の電導度という。
【0050】実施例2 スルホコハク酸の50重量%水溶液をドープ液として調
製し、65℃の温度に調整した後、これに実施例1で得
られた脱ドープ状態のポリアニリンのフィルムを4時間
浸漬し、次いで、アセトンに2分間浸漬した後、洗浄し
た。この後、50℃で10分間乾燥させた。このように
して得られた導電性ポリアニリン組成物のフィルムは、
電導度34.3S/cmを有し、耐熱試験後の電導度は9.
01S/cmであって、当初の26.3%を維持した。
【0051】 実施例3スルホコハク酸の50重量%水溶液をドープ液
として調製し、70℃の温度に調整した後、これに実施
例1で得られた脱ドープ状態のポリアニリンのフィルム
を2時間浸漬し、次いで、アセトンに2分間浸漬した
後、洗浄した。この後、50℃で10分間乾燥させた。
このようにして得られた導電性ポリアニリン組成物のフ
ィルムは、電導度40.7S/cmを有し、耐熱試験後の
電導度は13.8S/cmであって、当初の33.9%を維
持した。
【0052】比較例1 メタンジスルホン酸の50重量%水溶液をドープ液とし
て調製し、65℃の温度に調整した後、これに実施例1
で得られた脱ドープ状態のポリアニリンのフィルムを5
分間浸漬し、次いで、アセトンに2分間浸漬した後、洗
浄した。この後、50℃で10分間乾燥させた。このよ
うにして得られた導電性ポリアニリン組成物のフィルム
は、電導度47.1S/cmを有し、耐熱試験後の電導度
は5.1S/cmであって、当初の10.8%にまで減少し
た。
【0053】比較例2 プロパンジスルホン酸の50重量%水溶液をドープ液と
して調製し、70℃の温度に調整した後、これに実施例
1で得られた脱ドープ状態のポリアニリンのフィルムを
2時間浸漬し、次いで、アセトンに2分間浸漬した後、
洗浄した。この後、50℃で10分間乾燥させた。この
ようにして得られた導電性ポリアニリン組成物のフィル
ムは、電導度27.2S/cmを有し、耐熱試験後の電導
度は2.70S/cmであって、当初の9.9%にまで減少
した。
【0054】比較例3 p−フェノールスルホン酸の50重量%水溶液をドープ
液として調製し、70℃の温度と調整した後、これに実
施例1で得られた脱ドープ状態のポリアニリンのフィル
ムを3時間浸漬し、次いで、アセトンに2分間浸漬した
後、洗浄した。この後、50℃で10分間乾燥させた。
このようにして得られた導電性ポリアニリン組成物のフ
ィルムは、電導度12.9S/cmを有し、耐熱試験後の
電導度は0.430S/cmであって、当初の3.33%に
まで減少した。
【0055】比較例4 p−スルホ安息香酸の50重量%水溶液をドープ液とし
て調製し、70℃の温度と調整した後、これに実施例1
で得られた脱ドープ状態のポリアニリンのフィルムを3
時間浸漬し、次いで、アセトンに2分間浸漬した後、洗
浄した。この後、50℃で10分間乾燥させた。このよ
うにして得られた導電性ポリアニリン組成物のフィルム
は、電導度24.4S/cmを有し、耐熱試験後の電導度
は0.627S/cmであって、当初の2.57%にまで減
少した。
【0056】比較例5 p−トルエンスルホン酸の50重量%水溶液をドープ液
として調製し、70℃の温度と調整した後、これに実施
例1で得られた脱ドープ状態のポリアニリンのフィルム
を4時間浸漬し、次いで、アセトンに2分間浸漬した
後、洗浄した。この後、50℃で10分間乾燥させた。
このようにして得られた導電性ポリアニリン組成物のフ
ィルムは、電導度47.7S/cmを有し、耐熱試験後の
電導度は0.0672S/cmであって、当初の0.141
%にまで減少した。
【0057】実施例4 皮膜形成金属として、タンタルの微粉末を焼結して得ら
れた体積20.8mm3の多孔質焼成体を用い、85℃の
0.1重量%リン酸水溶液中で直流電圧30Vを印加し、
上記多孔質体の表面に酸化タンタルからなる誘電体皮膜
を形成させ、コンデンサ陽極体とした。このコンデサ陽
極体を、実施例1と同様にして得られた脱ドープ状態の
ポリアニリン/N−メチル−2−ピロリドン溶液(5重
量%)中に浸漬した後、80℃で20分間乾燥させ、陽
極体にポリアニリン膜を形成させた。この操作を7回繰
り返した。
【0058】このようにして得られたコンデンサ陽極体
を65℃の温度に調整した50重量%スルホ酢酸水溶液
に6時間浸漬した後、アセトンで洗浄し、50℃で20
分間乾燥させた。この後、導電性ペーストを塗布し、陰
極リードを取付けた。このようにして得られた固体電解
コンデンサは、表1に示すように、120Hzにおい
て、95.5μFの静電容量を有し、また、100kHz
の等価直列抵抗(ESR)は235mΩであった。これ
らの電気特性を耐熱試験前の電気特性という。また、こ
の固体電解コンデンサは、125℃で100時間放置し
た後、表1に示すように、120Hzにおいて、90.1
μFの静電容量を有し、また、100kHzの等価直列
抵抗(ESR)は251mΩであって、すぐれた耐熱性
を有するものであった。これらの電気特性を耐熱試験後
の電気特性という。
【0059】実施例5 ドープ液として、50重量%スルホコハク酸水溶液を用
いた以外は、実施例4と同様にして、固体電解コンデン
サを作製した。この固体電解コンデンサの耐熱試験前後
の電気特性を表1に示す。
【0060】比較例1 ドープ液として、50重量%メタンジスルホン酸水溶液
を用いた以外は、実施例4と同様にして、固体電解コン
デンサを作製した。この固体電解コンデンサの耐熱試験
前後の電気特性を表1に示す。
【0061】比較例2 ドープ液として、50重量%プロパンジスルホン酸水溶
液を用いた以外は、実施例4と同様にして、固体電解コ
ンデンサを作製した。この固体電解コンデンサの耐熱試
験前後の電気特性を表1に示す。
【0062】比較例3 ドープ液として、50重量%p−フェノールスルホン酸
水溶液を用いた以外は、実施例4と同様にして、固体電
解コンデンサを作製した。この固体電解コンデンサの耐
熱試験前後の電気特性を表1に示す。
【0063】比較例4 ドープ液として、50重量%p−スルホ安息香酸水溶液
を用いた以外は、実施例4と同様にして、固体電解コン
デンサを作製した。この固体電解コンデンサの耐熱試験
前後の電気特性を表1に示す。
【0064】比較例5 ドープ液として、50重量%p−トルエンスルホン酸水
溶液を用いた以外は、実施例4と同様にして、固体電解
コンデンサを作製した。この固体電解コンデンサの耐熱
試験前後の電気特性を表1に示す。
【0065】
【表1】

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カルボキシル基を有する脂肪族モノスルホ
    ン酸をドーパントとして有するポリアニリンからなるこ
    とを特徴とする導電性ポリアニリン組成物。
  2. 【請求項2】脂肪族モノスルホン酸が一般式(I) HOOC-R1-SO3H(I) (式中、R1 は水酸基を有していてもよい炭素数1又は
    2の2価の飽和脂肪族炭化水素基を示す。)で表わされ
    る請求項1に記載の導電性ポリアニリン組成物。
  3. 【請求項3】脂肪族モノスルホン酸が一般式(II) (HOOC)2-R2-SO3H(II) (式中、R2 は水酸基を有していてもよい炭素数1又は
    2の3価の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基を示す。)
    で表わされる請求項1に記載の導電性ポリアニリン組成
    物。
  4. 【請求項4】脂肪族モノスルホン酸がスルホ酢酸又はス
    ルホ乳酸である請求項2に記載の導電性ポリアニリン組
    成物。
  5. 【請求項5】脂肪族モノスルホン酸がスルホマロン酸、
    スルホコハク酸、スルホ酒石酸、スルホリンゴ酸、スル
    ホマレイン酸又はスルホフマル酸である請求項3に記載
    の導電性ポリアニリン組成物。
  6. 【請求項6】ポリアニリンが一般式(III) 【化1】 (式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイ
    ミン構造単位及びフェニレンジアミン構造単位のモル分
    率を示し、0<m<1、0<n<1、m+n=1であ
    る。)を主たる繰返し単位として有するポリアニリンで
    あって、脱ドープ状態において有機溶剤に可溶性であ
    り、457.9nmの波長の光で励起して得られるレーザ
    ー・ラマンスペクトルにおけるパラ置換ベンゼンの骨格
    振動のうち、1600cm -1よりも高波数にあらわれる
    骨格延伸振動のラマン線の強度Iaと1600cm -1
    りも低波数にあらわれる骨格延伸振動のラマン線強度I
    bの比Ia/Ibが1.0以上である有機溶剤に可溶性の
    ポリアニリンに、請求項1乃至5のいずれかに記載の脂
    肪族モノスルホン酸がドーピングされてなる導電性ポリ
    アニリン組成物。
  7. 【請求項7】皮膜形成金属上に誘電体皮膜が形成されて
    おり、この誘電体皮膜上にカルボキシル基を有する脂肪
    族モノスルホン酸をドーパントとして有する導電性ポリ
    アニリン組成物の膜が固体電解質として形成されている
    ことを特徴とする固体電解コンデンサ。
  8. 【請求項8】脂肪族モノスルホン酸が一般式(I) HOOC-R1-SO3H(I) (式中、R1 は水酸基を有していてもよい炭素数1又は
    2の2価の飽和脂肪族炭化水素基を示す。)で表わされ
    る請求項7に記載の固体電解コンデンサ。
  9. 【請求項9】脂肪族モノスルホン酸が一般式(II) (HOOC)2-R2-SO3H(II) (式中、R2 は水酸基を有していてもよい炭素数1又は
    2の3価の飽和又は不飽和脂肪族炭化水素基を示す。)
    で表わされる請求項7に記載の固体電解コンデンサ。
  10. 【請求項10】脂肪族モノスルホン酸がスルホ酢酸又は
    スルホ乳酸である請求項7に記載の固体電解コンデン
    サ。
  11. 【請求項11】脂肪族モノスルホン酸がスルホマロン
    酸、スルホコハク酸、スルホ酒石酸、スルホリンゴ酸、
    スルホマロン酸、スルホマレイン酸又はスルホフマル酸
    である請求項7に記載の固体電解コンデンサ。
  12. 【請求項12】導電性ポリアニリン組成物が、一般式
    (III) 【化2】 (式中、m及びnはそれぞれ繰返し単位中のキノンジイ
    ミン構造単位及びフェニレンジアミン構造単位のモル分
    率を示し、0<m<1、0<n<1、m+n=1であ
    る。)を主たる繰返し単位として有するポリアニリンで
    あって、脱ドープ状態において有機溶剤に可溶性であ
    り、457.9nmの波長の光で励起して得られるレーザ
    ー・ラマンスペクトルにおけるパラ置換ベンゼンの骨格
    振動のうち、1600cm -1よりも高波数にあらわれる
    骨格延伸振動のラマン線の強度Iaと1600cm -1
    りも低波数にあらわれる骨格延伸振動のラマン線強度I
    bの比Ia/Ibが1.0以上である有機溶剤可溶性ポリ
    アニリンと、請求項7乃至11のいずれかに記載のカル
    ボキシル基を有する脂肪族モノスルホン酸からなるドー
    パントとからなる固体電解コンデンサ。
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