JPH1036573A - 水膨潤性ゴム用吸水速度向上剤および水膨潤性ゴム - Google Patents

水膨潤性ゴム用吸水速度向上剤および水膨潤性ゴム

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JPH1036573A
JPH1036573A JP19106296A JP19106296A JPH1036573A JP H1036573 A JPH1036573 A JP H1036573A JP 19106296 A JP19106296 A JP 19106296A JP 19106296 A JP19106296 A JP 19106296A JP H1036573 A JPH1036573 A JP H1036573A
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JP
Japan
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water
swellable rubber
weight
absorption rate
water absorption
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Application number
JP19106296A
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English (en)
Inventor
Naotake Shioji
尚武 塩路
Eri Gotou
江利 後藤
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸水速度が従来よりも速く、かつ、可溶性有
機炭素分が少ない水膨潤性ゴムを提供する。 【解決手段】 水膨潤性ゴム用吸水速度向上剤とエラス
トマーと吸水性樹脂とを混合することによって水膨潤性
ゴムを得る。上記水膨潤性ゴム用吸水速度向上剤として
は、ゼオライトおよび/またはシラス発泡粒が好適に用
いられる。このようにして得られた水膨潤性ゴムは、従
来と比較して吸水速度が速く、可溶性有機炭素分が低減
されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、土木工事
や建設工事等における止水材等として好適に供される水
膨潤性ゴム、および、該水膨潤性ゴムの吸水速度を向上
させるための水膨潤性ゴム用吸水速度向上剤に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば、土木工事や建設工事
等の分野において、間隙の充填、密封止水、機器類の気
密保持等を目的として、エラストマーに吸水性樹脂を混
合してなる水膨潤性ゴムが好適に用いられている。該水
膨潤性ゴムは、例えば、土木工事や建設工事等におい
て、例えば、シールドセグメント継手面、ヒューム管や
カルバードボックス等のジョイント部等に亀裂等が生
じ、漏水が起こった場合でも水と接触して膨潤すること
により止水効果を発揮する。
【0003】しかしながら、従来の水膨潤性ゴムは漏水
してから止水が完了するまでに長時間を要することか
ら、実質的には限られた用途でしか利用し得ない。特
に、水膨潤性ゴムのなかでもノニオン性基を有する水膨
潤性ゴムは、吸水倍率が高い反面、漏水してから止水が
完了するまでにより長時間を要するという問題点を有し
ている。
【0004】そこで、早期に止水効果をあげるべく、水
膨潤性ゴム用吸水速度向上剤の検討が種々なされてい
る。このような水膨潤性ゴム用吸水速度向上剤として
は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)等の有
機系の吸水速度向上剤が知られている。一方、無機系の
吸水速度向上剤として、例えば、特開昭 59-145230号
公報、特公平 1-55664号公報には、クレー、カーボンブ
ラック(CB)、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、ベ
ントナイトが、また、特開昭61-62539号公報、特公平
4-64543号公報には、シリカ、タルク、クレー、炭酸カ
ルシウム、水酸化アルミニウムが、特開昭 63-213537
号公報には、比表面積1m2 /g以上の多孔質充填剤と
してポーラスビーズ、珪藻土、フローライト、粒状軽
石、活性炭が、特開平1-294747号公報には、珪藻土、
ベントナイト、タルク、石綿、クレー、炭酸カルシウム
が、特開平 3-59087号公報には、ケイ酸塩、ベントナ
イト等の無機系吸水剤が、特開平4-309589号公報に
は、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、カオリン、クレ
ー、ベントナイト、シリカが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、PEG
等の有機系の吸水速度向上剤を用いた場合、得られる水
膨潤性ゴムの吸水速度は向上するものの、可溶性有機炭
素分が増加し、止水性や安全性の面で問題が生じる。
【0006】一方、上記従来の無機系の水膨潤性ゴム用
吸水速度向上剤は、有機系の吸水速度向上剤を用いた場
合と比較して可溶性有機炭素分を抑えることはできるも
のの未だ充分であるとは言い難く、また、早期止水の点
では尚、問題の残るものであった。
【0007】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、吸水速度が従来よりも速
く、かつ、可溶性有機炭素分が少ない水膨潤性ゴム、お
よび、該水膨潤性ゴムを得るための水膨潤性ゴム用吸水
速度向上剤を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記目
的を達成すべく鋭意検討した結果、ゼオライトおよび/
またはシラス発泡粒を含む水膨潤性ゴム用吸水速度向上
剤が、水膨潤性ゴムの可溶性有機炭素分を抑えることが
できると共に、吸水速度の向上に特に効果的であること
を見いだした。さらに、比表面積が 0.1m2 /g〜10m
2 /gで、かつ、平均粒子径が 0.1μm〜 100μmの範
囲内にあるケイ酸アルミニウム含有無機化合物を含む水
膨潤性ゴム用吸水速度向上剤もまた水膨潤性ゴムの可溶
性有機炭素分を抑えることができると共に、吸水速度の
向上に特に効果的であることを見いだした。そして、本
願発明者等は、これら水膨潤性ゴム用吸水速度向上剤と
エラストマーおよび吸水性樹脂とを混合することで従来
と比較して吸水速度が速く、しかも可溶性有機炭素分が
少ない水膨潤性ゴムを得ることができることを見いだし
て本発明を完成させるに至った。
【0009】即ち、請求項1記載の発明の水膨潤性ゴム
用吸水速度向上剤は、上記の課題を解決するために、比
表面積が 0.1m2 /g〜10m2 /gの範囲内、かつ、平
均粒子径が 0.1μm〜 100μmの範囲内にあるケイ酸ア
ルミニウム含有無機化合物を含むことを特徴としてい
る。
【0010】請求項2記載の発明の水膨潤性ゴム用吸水
速度向上剤は、上記の課題を解決するために、ゼオライ
トおよび/またはシラス発泡粒を含むことを特徴として
いる。
【0011】上記の構成によれば、水膨潤性ゴムの吸水
速度を従来よりも向上させることができると共に、可溶
性有機炭素分を抑えることができる水膨潤性ゴム用吸水
速度向上剤を提供することができる。
【0012】また、請求項3記載の発明の水膨潤性ゴム
は、上記の課題を解決するために、請求項1または2記
載の水膨潤性ゴム用吸水速度向上剤とエラストマーと吸
水性樹脂とを含むことを特徴としている。
【0013】請求項4記載の発明の水膨潤性ゴムは、上
記の課題を解決するために、請求項3記載の水膨潤性ゴ
ムにおいて、上記エラストマー 100重量部に対して、吸
水性樹脂5重量部〜50重量部、水膨潤性ゴム用吸水速度
向上剤 0.1重量部〜10重量部を含むことを特徴としてい
る。
【0014】請求項5記載の発明の水膨潤性ゴムは、上
記の課題を解決するために、請求項3または4記載の水
膨潤性ゴムにおいて、上記吸水性樹脂が、ノニオン性単
量体を含む単量体成分を重合してなる吸水性樹脂である
ことを特徴としている。
【0015】請求項6記載の発明の水膨潤性ゴムは、上
記の課題を解決するために、請求項5記載の水膨潤性ゴ
ムにおいて、上記ノニオン性単量体が一般式(1)
【0016】
【化2】
【0017】(式中、Rは水素原子またはメチル基を表
し、Xは全オキシアルキレン基に対するオキシエチレン
基のモル分率が50モル%以上である炭素数2〜4のオキ
シアルキレン基を表し、Yは炭素数1〜5のアルコキシ
基、フェノキシ基、または置換基として炭素数1〜9の
アルキル基を1〜3個有するオキシアルキルフェニル基
を表し、nは平均で3〜 100の整数を表す)で表される
(メタ)アクリル酸エステル系単量体であることを特徴
としている。
【0018】上記の構成によれば、従来よりも吸水速度
が速く、かつ、可溶性有機炭素分が少ない水膨潤性ゴム
を提供することができる。該水膨潤性ゴムは、従来と比
較して吸水速度が速いことから、漏水してから止水が完
了するまでの時間が従来と比較して短時間で済み、早期
に止水効果をあげることができる。また、該水膨潤性ゴ
ムは、可溶性有機炭素分が従来と比較して少ないことか
ら、安全性が高度に求められる用途でも好適に用いるこ
とができる。従って、該水膨潤性ゴムは、早急な止水を
必要とする用途や安全性が高度に求められる用途等、広
範囲の用途分野に好適に用いることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に本発明の一実施の形態につ
いて詳しく説明する。本発明にかかる水膨潤性ゴム用吸
水速度向上剤(以下、単に吸水速度向上剤と記す)は、
ケイ酸アルミニウム含有無機化合物を含んでなる。本発
明においてケイ酸アルミニウム含有無機化合物とは、ケ
イ酸アルミニウムを、主成分として50重量%以上含む化
合物であり、該ケイ酸アルミニウム含有無機化合物に
は、その骨格構造中に、ケイ酸塩のケイ素の一部がアル
ミニウムで置換された構造を有する化合物、即ち、アル
ミノケイ酸塩も含まれる。
【0020】上記ケイ酸アルミニウム含有無機化合物と
しては、具体的には、例えば、クレー、ベントナイト、
珪藻土、軽石、ケイ酸塩、カオリン、ゼオライト、シラ
ス等が挙げられ、用いるケイ酸アルミニウム含有無機化
合物の種類に応じて必要により発泡および/または粉砕
することにより用いられる。
【0021】これらケイ酸アルミニウム含有無機化合物
は、一種類のみを用いてもよく、適宜二種類以上を混合
して用いてもよい。これらケイ酸アルミニウム含有無機
化合物のなかでもゼオライトおよび/またはシラス発泡
粒が、有機炭素分を低減させることができると共に、吸
水速度の向上に特に効果的であることから好ましく、そ
のなかでも比表面積が 0.1m2 /g〜10m2 /gで、か
つ、平均粒子径が 0.1μm〜 100μmの範囲内にあるゼ
オライトやシラス発泡粒が最も好ましい。但し、上記ケ
イ酸アルミニウム含有無機化合物としては、これに限定
されるものではなく、比表面積が 0.1m2 /g〜10m2
/gで、かつ、平均粒子径が 0.1μm〜100μmの範囲
内にある化合物であれば、好適に用いることができる。
【0022】上記平均粒子径を 0.1μm〜 100μmの範
囲内に揃えるためには、必要に応じて例えば、ジェット
ミル等による細粒化や、分級操作等を行うことが望まし
い。上記平均粒子径とは、体積平均粒子径であり、 0.5
μm〜80μm程度であることがさらに好ましく、 1.0μ
m〜30μm程度であることが特に好ましい。また、上記
平均粒子径が 0.1μm〜 100μmの範囲内にあること
で、該ケイ酸アルミニウム含有無機化合物と、水膨潤性
ゴムを形成するエラストマーや吸水性樹脂とを均一に混
合(分散)することができ、しかも水膨潤性ゴムを均一
に膨潤させることができるので、水膨潤性ゴム内面にま
で効率良く水を導入することができる。この結果、止水
速度並びに止水効果を向上させることができる。
【0023】また、上記比表面積を 0.1m2 /g〜10m
2 /gの範囲内に揃えるためには、例えば、必要に応じ
て発泡操作等を行うことが望ましい。上記比表面積は、
0.5m2 /g〜8m2 /g程度であることがさらに好ま
しく、1m2 /g〜5m2 /g程度であることが特に好
ましい。上記比表面積が 0.1m2 /g〜10m2 /gの範
囲内にあることで、水と接触した際に、水の保持や水膨
潤性ゴム内面への水の導入を促し、止水速度並びに止水
効果を向上させることができる。
【0024】上記ゼオライトは、規則正しい網目状構造
を有するアルミノケイ酸塩の含水アルカリ金属塩または
アルカリ土類金属塩であり、特に限定されるものではな
いが、具体的には、例えば、チャバザイト(Ca2 (Al
O2)4(SiO2)8 ・13H2O)、モルデナイト(Na8 (AlO2)8
(SiO2)40 ・24H2O)、エリオナイト((Ca,Mg,Na2,K2)4.
5 (AlO2)9(SiO2)27 ・27H2O)、ホージャサイト((Ca,M
g,Na2,K2)29.5 (AlO2)59(SiO2)133 ・235H2O) 、クリ
ノプチロライト(Na6 (AlO2)6(SiO2)30 ・24H2O)等の
天然ゼオライト;A型ゼオライト(Na12 (AlO2)12(Si
O2)12 ・27H2O)、X型ゼオライト(Na86 (AlO2)86(Si
O2)106 ・264H2O) 、Y型ゼオライト(Na56 (AlO2)
56(SiO2)136 ・250H2O) 、L型ゼオライト(K9 (AlO2)
9(SiO2)27 ・22H2O)、オメガ型ゼオライト(Na6.8TMA
1.6 (AlO2)8(SiO2)28 ・21H2O 、TMA:tetramethyl-ammo
nium) 、ZSM−5((Na,TPA)3 (AlO2)3(SiO2)93 ・16
H2O 、TPA:tetrapropyl-ammonium) 等の合成ゼオライト
が挙げられる。
【0025】また、シラス発泡粒とは、シラスを原料と
して発泡させてなるガラス性の金属酸化物を有する化合
物であり、例えばシラス中の火山ガラス粒子を焼成して
加熱膨張させることにより容易に得ることができる。
【0026】上記シラス発泡粒としては、特に限定され
るものではないが、SILAX(商品名;株式会社シラ
ックスウ製、品名PB−02、PB−03、PB−3
3、PB−05)等が挙げられる。上記SILAXは、
5重量%〜15重量%の吸水率を有すると共に、85容量%
以上の水浮遊率を有し、SiO2 約65重量%〜73重量
%、Al2 3 約12重量%〜16重量%、Fe2 3 約1
重量%〜3重量%、Na2O約3重量%〜4重量%、K
2 O約2重量%〜4重量%、CaO約2重量%〜4重量
%、TiO2 約0.2 重量%〜0.7 重量%、MgO約 0.4
重量%〜1重量%を含む化合物である。具体的には、例
えば上記「PB−02」、「PB−03」、「PB−3
3」は、何れも、SiO2 約74重量%、Al2 3 約1
5.2重量%、Fe2 3 約 2.5重量%、Na2 O約 2.4
重量%、K2 O約3重量%、CaO約 2.5重量%を含む
化合物である。
【0027】そのなかでも上記「PB−02」は、かさ
比重0.28〜0.31、空気置換比重(見掛け密度)0.9 〜1.
1 、水分1%以下、軟化開始温度 850℃〜1000℃、融点
1200℃〜1300℃、熱伝導率0.06kcal/mhr ℃〜0.07cal
/mhr ℃を有し、 105μm〜74μmに5重量%〜15重量
%、74μm〜53μmに13重量%〜18重量%、53μm〜37
μmに18重量%〜23重量%、37μm以下に50重量%以下
の粒度分布を有する平均粒径37μmの化合物である。
【0028】また、「PB−03」は、かさ比重0.17〜
0.2 、空気置換比重0.7 〜0.9 、水分1%以下、軟化開
始温度 850℃〜1000℃、融点1200℃〜1300℃、熱伝導率
0.05kcal/mhr ℃〜0.06cal /mhr ℃を有し、 149μm
以上に5重量%以下、 149μm〜 105μmに15重量%〜
20重量%、 105μm〜74μmに25重量%〜30重量%、74
μm〜53μmに25重量%〜35重量%、53μm〜37μmに
15重量%〜20重量%、37μm以下に5重量%〜15重量%
の粒度分布を有する平均粒径75μmの化合物である。
【0029】「PB−33」は、かさ比重0.32〜0.35、
空気置換比重0.9 〜1.1 、水分1%以下、軟化開始温度
850℃〜1000℃、融点1200℃〜1300℃、熱伝導率0.08kc
al/mhr ℃〜0.07cal /mhr ℃を有し、 149μm以上に
5重量%以下、 149μm〜 105μmに4重量%〜6重量
%、 105μm〜74μmに5重量%〜6重量%、74μm〜
53μmに6重量%〜7重量%、53μm〜37μmに25重量
%〜30重量%、37μm以下に50重量%〜60重量%の粒度
分布を有する平均粒径40μmの化合物である。
【0030】また、珪藻土は、例えばSiO2 約88.1重
量%、Al2 3 約 4.8重量%、Fe2 3 約1重量
%、CaO約 0.9重量%、MgO約0.05重量%を含む化
合物であり、ベントナイトは、例えばSiO2 約 58.79
重量%、Al2 3 約 14.27重量%、Fe2 3 約2.99
重量%、CaO約 0.7重量%、MgO約1.28重量%、N
2 O約3.42重量%、K2 O約 0.7重量%を含む化合物
である。但し、上記例示の各成分比率は、成分例であっ
て、必ずしも上記例示の比率に限定されるものではな
い。
【0031】上記各ケイ酸アルミニウム含有無機化合物
は、それぞれ単独で水膨潤性ゴム用の吸水速度向上剤と
して用いることができるが、適宜二種類以上を混合して
用いてもよい。また、本発明にかかる上記吸水速度向上
剤は、他の添加剤や、従来、吸水速度向上剤として用い
られている化合物等を、本発明の効果を阻害しない範囲
内で含んでいてもよい。
【0032】本発明にかかる水膨潤性ゴムは、上記吸水
速度向上剤とエラストマーと吸水性樹脂とを含んでな
る。本発明において用いられる上記吸水性樹脂として
は、特に限定されるものではないが、ノニオン性基を有
する吸水性樹脂が、吸水能に優れ、前記吸水速度向上剤
との併用効果が大きいことから好ましい。上記ノニオン
性基を有する吸水性樹脂は、少なくともノニオン性単量
体を含む単量体成分を例えば架橋剤の存在下で重合させ
ることにより容易に得ることができる。また、少なくと
もノニオン性単量体を含む単量体成分を重合させた後、
架橋剤を添加して架橋させることにより得ることも可能
である。
【0033】上記ノニオン性単量体としては、特に限定
されるものではないが、具体的には、例えば、前記一般
式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル系単量
体;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエ
チレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロ
ピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリルア
ルコール、ビニルアルコール等の水酸基含有不飽和単量
体;(メタ)アクリルアミド、N-ビニルアセトアミド、
t-ブチル(メタ)アクリルアミド等のアミド系不飽和単
量体;(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、2-メチ
ルスチレン、酢酸ビニル等の疎水性不飽和単量体;(メ
タ)アクリロニトリル等のニトリル系不飽和単量体;エ
チレン、プロピレン、1-ブテン、イソブチレン、α−ア
ミレン、2-メチル -1-ブテン、3-メチル -1-ブテン(α
−イソアミレン)、1-ヘキセン、1-ヘプテン等のα−オ
レフィン系単量体等が挙げられる。また、上記の(メ
タ)アクリル酸エステル系単量体としては、具体的に
は、例えば、メトキシポリエチレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、ブトキシポリエチレングリコールモ
ノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコ
ール・ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート、メトキシポリエチレングリコール・ポリブチレン
グリコールモノ(メタ)アクリレート、エトキシポリエ
チレングリコール・ポリプロピレングリコールモノ(メ
タ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール・
ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等が
挙げられる。これらノニオン性単量体は、単独で用いて
もよく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよ
い。上記例示の単量体のうち、前記一般式(1)で表さ
れる(メタ)アクリル酸エステル系単量体およびアミド
系不飽和単量体がより好ましく、メトキシポリエチレン
グリコールメタクリレートが特に好ましい。また、ノニ
オン性単量体としてメトキシポリエチレングリコールメ
タクリレートを用いる場合には、エチレンオキサイドの
平均付加モル数は5モル〜50モルの範囲内が好ましい。
つまり、一般式(1)におけるXがオキシエチレン基で
あり、Rがメチル基であり、Yがメトキシ基である場合
には、nは5〜50の範囲内が好ましい。
【0034】また、上記単量体成分は、上記ノニオン性
単量体と共重合可能なその他の単量体を含んでいてもよ
い。上記その他の単量体としては、例えばアニオン性単
量体の多価金属塩等が挙げられる。
【0035】上記アニオン性単量体の多価金属塩として
は、特に限定されるものではないが、具体的には、例え
ば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸等の不飽和モノカ
ルボン酸系単量体;マレイン酸、フマル酸、イタコン
酸、シトラコン酸等の不飽和ジカルボン酸系単量体;ビ
ニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン
酸、スチレンスルホン酸、2-アクリルアミド -2-メチル
プロパンスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレー
ト、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキ
シスルホプロピル(メタ)アクリレート等の不飽和スル
ホン酸系単量体;(メタ)アクリルアミドメタンホスホ
ン酸、2-(メタ)アクリルアミド -2-メチルプロパンホ
スホン酸等の不飽和ホスホン酸系単量体等の多価金属塩
が挙げられる。
【0036】また、上記その他の単量体としては、酸型
アニオン性単量体やアニオン性単量体の1価塩を用いて
もよい。上記酸型アニオン性単量体としては、例えば、
上記例示のアニオン性単量体を用いることができる。さ
らに、アニオン性単量体の1価塩としては、上記例示の
化合物の1価金属塩の他に、アンモニウム塩やアミン塩
も用いることができる。
【0037】これらその他の単量体は、一種類のみを用
いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用いても
よい。上記その他の単量体のなかでも、不飽和モノカル
ボン酸系単量体の2価金属塩が好ましく、アクリル酸マ
グネシウムが特に好ましい。アニオン性単量体、特に不
飽和モノカルボン酸系単量体のマグネシウム塩は水への
溶解性が大きいので、重合反応に特に好適である。
【0038】上記のノニオン性単量体とその他の単量体
との比、つまり、上記単量体成分におけるノニオン性単
量体の割合は、20重量%〜100 重量%の範囲内が好まし
く、30重量%〜90重量%の範囲内が特に好ましい。ノニ
オン性単量体の割合が20重量%よりも少ない場合には、
最終的に得られる水膨潤性ゴムの吸水倍率、即ち、体積
変化率が低くなる傾向があるので好ましくない。尚、ノ
ニオン性単量体の割合が90重量%を越える場合、可溶性
有機炭素分が増加傾向にある。従って、可溶性有機炭素
分をより少なくするためには、ノニオン性単量体の割合
を90重量%以下に抑えることがより好ましい。
【0039】また、上記ノニオン性単量体と共重合可能
な単量体として、上記酸型アニオン性単量体および/ま
たはアニオン性単量体の1価塩を用いる場合、つまり、
得られる吸水性樹脂がカルボン酸基等の酸基、カルボン
酸ナトリウム等の1価金属塩基、カルボン酸アンモニウ
ム等のアンモニウム基、カルボン酸有機アミン基等のア
ミン基を含む場合には、水溶性多価金属塩をさらに添加
することが好ましい。
【0040】上記水溶性多価金属塩としては、特に限定
されるものではないが、具体的には、例えば、マグネシ
ウム、アルミニウム、カルシウム、チタン、マンガン、
鉄、錫、セリウム、鉛、クロム、銅、モリブデン等の硝
酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物、燐酸塩、および、蟻酸、
酢酸等の有機酸塩等が挙げられる。これら水溶性多価金
属塩は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜
混合して用いてもよい。これら水溶性多価金属塩のなか
でもマグネシウムおよびカルシウムの硝酸塩、硫酸塩、
ハロゲン化物が好ましく、硫酸マグネシウムが特に好ま
しい。
【0041】上記水溶性多価金属塩の使用量は、特に限
定されるものではないが、吸水性樹脂100 重量部に対し
て、1重量部〜1000重量部の範囲内が好ましく、5重量
部〜100重量部の範囲内がさらに好ましい。
【0042】また、上記単量体成分がノニオン性単量体
以外にアニオン性単量体の多価金属塩を含むことで、最
終的に得られる水膨潤性ゴムの可溶性有機炭素分を、よ
り一層少なく抑えることができる。単量体成分がノニオ
ン性単量体以外にアニオン性単量体の多価金属塩を含む
ことで、得られる水膨潤性ゴムの可溶性有機炭素分が少
なくなる理由については明確ではないが、次のように推
察される。
【0043】即ち、可溶性有機炭素分は、可溶性ポリマ
ーを主成分とするが、該可溶性ポリマーが多価金属によ
り、二次的、或いは、三次的に架橋される結果、可溶性
ポリマーの溶解性が低下するためであると推察される。
【0044】また、上記架橋剤としては、具体的には、
例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペ
ンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールトリ(メタ)アクリレート、N,N-メチレン
ビスアクリルアミド、イソシアヌル酸トリアリル、トリ
メチロールプロパンジアリルエーテル等の、1分子中に
エチレン系不飽和基を2個以上有する化合物;エチレン
グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリ
コール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリグ
リセリン、プロピレングリコール、ポリプロピレングリ
コール、ポリビニルアルコール、ペンタエリスリトー
ル、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ソル
ビット、ソルビタン、グルコース、マンニット、マンニ
タン、ショ糖、ブドウ糖等の多価アルコール;エチレン
グリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコ
ールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエ
ーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、
ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオ
ペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサ
ンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロ
パンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパント
リグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエー
テル等のポリエポキシ化合物等が挙げられる。これら架
橋剤は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜
混合して用いてもよい。
【0045】このように、架橋剤を用いることにより、
得られる重合体の架橋密度を制御することができる。架
橋剤の使用量は、特に限定されるものではなく、例え
ば、用いる単量体成分や架橋剤の種類、所望する架橋密
度等によって適宜設定すればよい。具体的には、架橋剤
の使用量は、単量体成分に対するモル比が凡そ0.0001〜
0.02の範囲内がより好ましく、 0.001〜0.01の範囲内が
さらに好ましい。尚、架橋剤として多価アルコールを用
いる場合には、重合反応後、得られた重合体を 150℃〜
250℃で加熱処理することが好ましい。また、架橋剤と
してポリエポキシ化合物を用いる場合には、重合反応
後、得られた重合体を50℃〜 250℃で加熱処理すること
が好ましい。
【0046】上記単量体成分の重合方法は、特に限定さ
れるものではなく、従来公知の種々の方法を採用するこ
とができる。例えば、溶液重合法、懸濁重合法、逆相懸
濁重合法等を採用することができる。尚、重合反応を行
なう際の重合容器は、特に限定されるものではないが、
重合とゲル解砕が可能な双腕型ニーダーがより好まし
い。
【0047】反応温度は、特に限定されるものではない
が、比較的低温の方が得られる重合体の分子量が大きく
なるので好ましく、20℃〜 100℃の範囲内が重合反応が
完結するのでさらに好ましい。尚、反応時間は、上記重
合反応が完結するように、反応温度や、単量体成分、重
合開始剤、および溶媒等の種類(性質)や組み合わせ、
使用量等に応じて、適宜設定すればよい。
【0048】単量体成分を重合させる際には、重合開始
剤を用いることができる。該重合開始剤としては、具体
的には、例えば、過酸化水素、ベンゾイルパーオキサイ
ド、キュメンヒドロパーオキサイド等の過酸化物; 2,
2'-アゾビスイソブチロニトリル、 2,2'-アゾビス(2-
アミジノプロパン)塩酸塩等のアゾ化合物;過硫酸アン
モニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫
酸塩等のラジカル発生剤(ラジカル重合開始剤)等が挙
げられる。これら重合開始剤は、単独で用いてもよく、
また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。さら
に、これらラジカル発生剤と、亜硫酸水素ナトリウムや
L-アスコルビン酸(塩)、第一鉄塩等の還元剤とを組み
合わせてなるレドックス系開始剤を用いてもよい。尚、
重合開始剤を用いる代わりに、放射線や電子線、紫外線
等を照射してもよく、また、重合開始剤とこれら放射線
や電子線、紫外線等の照射とを併用してもよい。
【0049】重合開始剤の使用量は、特に限定されるも
のではないが、単量体成分に対して0.001重量%〜10重
量%の範囲内がより好ましく、0.01重量%〜1重量%の
範囲内がさらに好ましい。また、レドックス系開始剤を
用いる場合における還元剤の使用量は、特に限定される
ものではないが、ラジカル発生剤に対して重量比で0.01
〜5の範囲内がより好ましく、0.05〜2の範囲内がさら
に好ましい。
【0050】さらに、単量体成分を重合させる際には、
必要に応じて溶媒を用いてもよい。該溶媒としては、特
に限定されるものではないが、具体的には、例えば、
水;シクロヘキサン、トルエン;メタノール、エタノー
ル、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホ
キシド等が挙げられる。これら溶媒は、単独で用いても
よく、また、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
上記例示の溶媒のうち、水単独、および、水と水に可溶
な水性溶媒との混合溶媒が、安全性がより一層高くかつ
安価に吸水性樹脂を製造することができるので、より好
ましい。尚、溶媒を用いる場合における単量体成分の濃
度は、特に限定されるものではないが、20重量%〜80重
量%の範囲内がより好ましく、30重量%〜60重量%の範
囲内がさらに好ましい。該単量体成分や重合開始剤、架
橋剤等を含む溶液における単量体成分の濃度を上記の範
囲内とすることにより、重合反応を容易に制御すること
ができると共に、重合体の収率を向上させることがで
き、該重合体を経済的に得ることができる。
【0051】重合反応後、得られる重合体がゲル状の場
合、該ゲル状の重合体をそのまま、或いは、必要に応じ
て洗浄や解砕等の所定の操作を行なった後、乾燥させ
る。乾燥温度は、特に限定されるものではないが、50℃
〜 180℃の範囲内が好適であり、 100℃〜 170℃の範囲
内が最適である。また、乾燥物は、例えば、ハンマーミ
ル、ジェットミル等により、粉砕等の操作を行なって細
粒化した後、必要に応じてふるい分け等の分級操作を行
なうことが望ましい。
【0052】また、吸水性樹脂に残留する未反応の単量
体成分を減少させて該吸水性樹脂の安全性をより一層向
上させるために、ゲル状の重合体または、その乾燥物
を、還元剤を用いて処理することが好ましい。該還元剤
としては、具体的には、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜
硫酸カリウム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナトリ
ウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸水素アンモニウム、
チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アン
モニウム、L-アスコルビン酸、アンモニア、モノエタノ
ールアミン、グルコース等が挙げられる。これら還元剤
は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合
して用いてもよい。上記例示の還元剤のうち、亜硫酸ナ
トリウム、亜硫酸水素ナトリウム、およびチオ硫酸ナト
リウムがより好ましい。還元剤の使用量は、特に限定さ
れるものではないが、具体的には、用いた単量体成分に
対するモル比が凡そ0.0001〜0.02の範囲内がより好まし
く、0.001〜0.01の範囲内がさらに好ましい。
【0053】吸水性樹脂の形状等は、特に限定されるも
のではないが、その平均粒子径は1μm〜 100μmの範
囲内であることが好ましい。上記平均分子量を1μm〜
100μmの範囲内に揃えるためには、上述したように、
例えば、ジェットミル等による細粒化や、分級操作等を
行うことが望ましい。上記平均粒子径とは、体積平均粒
子径であり、5μm〜70μm程度であることがさらに好
ましく、10μm〜50μm程度であることが特に好まし
い。また、上記平均粒子径が、1μm〜 100μmの範囲
内にあることで、該吸水性樹脂とエラストマーとを均一
に混合(分散)することができ、かつ、水膨潤性ゴムが
均一に膨潤し、止水効果が高まるものである。
【0054】上記のエラストマーは、特に限定されるも
のではなく、従来公知の種々の化合物を用いることがで
きる。該エラストマーとしては、具体的には、例えば、
ポリブタジエンゴム、ポリイソプレンゴム、スチレン−
ブタジエン共重合体ゴム、クロロプレンゴム、イソプレ
ン−イソブチレン共重合体ゴム、エチレン−α- オレフ
ィン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン共重合体(E
PDM)ゴム等のエチレン−α- オレフィン−非共役ジ
エン共重合体ゴム等の合成ゴム;塩素化ポリエチレン、
クロロスルホン化ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル
共重合体、軟質ポリ塩化ビニル、ポリウレタン等のゴム
弾性を有する合成樹脂;天然ゴム等が挙げられる。これ
らエラストマーは、単独で用いてもよく、また、二種類
以上を適宜混合して用いてもよい。これらエラストマー
のなかでも、クロロプレンゴムが特に好ましい。
【0055】本発明にかかる水膨潤性ゴムにおけるエラ
ストマーと吸水性樹脂と吸水速度向上剤との使用割合
は、エラストマー 100重量部に対して、吸水性樹脂5重
量部〜50重量部の範囲内、および吸水速度向上剤 0.1重
量部〜10重量部の範囲内であることが好ましい。
【0056】吸水性樹脂の使用量が上記の範囲よりも少
ない(5重量部未満)場合には、水膨潤性ゴムが充分に
膨潤することができないので好ましくない。また、吸水
性樹脂の使用量が上記の範囲よりも多い(50重量部を越
える)場合には、水膨潤性ゴムが脆くなり、強度が低下
するので好ましくない。
【0057】また、吸水速度向上剤の使用量が上記の範
囲よりも少ない( 0.1重量部未満)場合には、水膨潤性
ゴムの膨潤度が不足したり、膨潤時間が長くなり、充分
な止水効果を得ることができなくなるので好ましくな
い。また、吸水速度向上剤の使用量が上記の範囲よりも
多い(10重量部を越える)場合には、水膨潤性ゴムが脆
くなり、強度が低下するので好ましくない。
【0058】本発明にかかる水膨潤性ゴムの製造方法、
つまり、吸水性樹脂とエラストマーと吸水速度向上剤と
の混合(混練)方法は、特に限定されるものではない
が、ロールミルやバンバリーミキサー等の混練機を用い
た混練等の、ゴム製品の製造に供される従来公知の機械
的な手法を用いて均一に混合することが好ましい。ま
た、該混合物は、必要に応じて、押出成形やプレス成形
等の成形方法を用いて所定形状に成形すればよい。これ
により、水膨潤性ゴムが得られる。
【0059】水膨潤性ゴムは、吸水性樹脂およびエラス
トマーの他に、必要に応じて添加剤が添加されていても
よい。該添加剤としては、例えば、加硫剤、加硫促進
剤、加硫助剤、無機充填剤、補強剤、軟化剤、可塑剤、
着色剤、紫外線吸収剤、滑剤、老化防止剤等が挙げられ
る。これら添加剤は、単独で用いてもよく、また、二種
類以上を適宜混合して用いてもよい。添加剤の使用量
は、吸水性樹脂およびエラストマーの合計量に対して、
例えば、 100重量%以下、好ましくは 0.1重量%〜60重
量%の範囲内とすればよいが、水膨潤性ゴムの物性(例
えば、強度等)を損なわない量であればよく、特に限定
されるものではない。また、添加剤の添加方法は、特に
限定されるものではない。
【0060】上記の加硫剤としては、具体的には、例え
ば、硫黄、硫黄華、脱酸硫黄、沈降硫黄、コロイド硫
黄、塩化硫黄;酸化亜鉛、酸化マグネシウム、セレン、
テルル;過酸化物;芳香族ニトロ化合物等が挙げられる
が、特に限定されるものではない。これら加硫剤は、単
独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合して用
いてもよい。加硫剤の使用量は、吸水性樹脂およびエラ
ストマーの合計量に対して、例えば、 0.1重量%〜10重
量%の範囲内とすればよいが、特に限定されるものでは
ない。
【0061】上記の加硫促進剤としては、具体的には、
例えば、グアニジン類、アルデヒドアンモニア類、アル
デヒドアミン類、ニトロソ化合物、チアゾール類、チア
ゾリン類、イミダゾリン類、チオ尿素類、チオ酸塩類、
カルビチオ酸塩類、イソチオ尿素塩類等が挙げられる
が、特に限定されるものではない。これら加硫促進剤
は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合
して用いてもよい。加硫促進剤の使用量は、吸水性樹脂
およびエラストマーの合計量に対して、例えば、 0.1重
量%〜10重量%の範囲内とすればよいが、特に限定され
るものではない。
【0062】上記の加硫助剤としては、具体的には、例
えば、水酸化ナトリウム、酸化カルシウム、酸化マグネ
シウム(マグネシア)、亜鉛華、酸化鉛(II)等が挙げら
れるが、特に限定されるものではない。これら加硫助剤
は、単独で用いてもよく、また、二種類以上を適宜混合
して用いてもよい。加硫助剤の使用量は、吸水性樹脂お
よびエラストマーの合計量に対して、例えば、 0.1重量
%〜10重量%の範囲内とすればよいが、特に限定される
ものではない。
【0063】エラストマーを加硫する際には、例えば、
100℃〜 200℃で1分間〜30分間、加熱処理すればよい
が、処理条件は、特に限定されるものではない。尚、該
加熱処理は、例えば、吸水性樹脂およびエラストマー等
からなる混合物の成形時、若しくは成形後に行なえばよ
い。
【0064】このようにして得られた水膨潤性ゴムは、
従来よりも吸水速度が速く、かつ、可溶性有機炭素分が
低減されている。
【0065】以上のように、本発明に係る吸水速度向上
剤は、比表面積が 0.1m2 /g〜10m2 /gの範囲内、
かつ、平均粒子径が 0.1μm〜 100μmの範囲内にある
ケイ酸アルミニウム含有無機化合物を含む構成である。
【0066】また、本発明に係る吸水速度向上剤は、ゼ
オライトおよび/またはシラス発泡粒を含む構成であ
る。
【0067】上記の構成によれば、水膨潤性ゴムの吸水
速度を従来よりも向上させることができると共に、可溶
性有機炭素分を抑えることができる吸水速度向上剤を提
供することができる。
【0068】本発明において、吸水速度向上剤としてケ
イ酸アルミニウム含有無機化合物を用いることは特に重
要であり、比表面積が 0.1m2 /g〜10m2 /gで、か
つ、平均粒子径が 0.1μm〜 100μmの範囲内であった
としても、ケイ酸アルミニウム含有無機化合物以外の化
合物、例えば炭酸カルシウム等では、充分な吸水速度の
向上並びに可溶性有機炭素分の低減をはかることはでき
ない。
【0069】但し、例えばクレー、ベントナイト、珪藻
土、軽石、ケイ酸塩、カオリン等のケイ酸アルミニウム
含有無機化合物を用いる場合でも、上記比表面積および
平均粒子径のうち何れか一方でも上記範囲を逸脱すれ
ば、充分な吸水速度の向上並びに可溶性有機炭素分の低
減をはかることはできない。つまり、吸水速度向上剤と
して従来知られているクレー、ベントナイト、珪藻土、
軽石、ケイ酸塩、カオリン等の化合物は、市販品をその
まま用いたのでは、充分な吸水速度の向上効果並びに可
溶性有機炭素分の低減効果を得ることは到底できない。
【0070】また、ゼオライトおよびシラス発泡粒を吸
水速度向上剤として用いることは従来知られておらず、
ケイ酸アルミニウム含有無機化合物のなかでも、ゼオラ
イトおよびシラス発泡粒を用いることで特に顕著な吸水
速度向上効果および可溶性有機炭素分の低減効果を得る
ことができることは、本願発明者等が鋭意検討した結
果、初めて明らかになったものである。
【0071】さらに、本発明に係る水膨潤性ゴムは、上
記吸水速度向上剤とエラストマーと吸水性樹脂とを含む
構成であり、該水膨潤性ゴムは、上記エラストマー 100
重量部に対して、吸水性樹脂5重量部〜50重量部、水膨
潤性ゴム用吸水速度向上剤 0.1重量部〜10重量部を含む
ことが好ましい。また、上記吸水性樹脂は、ノニオン性
単量体を含む単量体成分を重合してなる吸水性樹脂であ
ることが好ましく、上アニオン性単量体としては、前記
一般式(1)で表される(メタ)アクリル酸エステル系
単量体が特に好ましい。
【0072】以上の構成によれば、従来よりも吸水速度
が速く、かつ、可溶性有機炭素分が少ない水膨潤性ゴム
を提供することができる。本発明の水膨潤性ゴムは、従
来と比較して吸水速度が速く、短時間で高い体積変化率
を示すことから、漏水してから止水が完了するまでの時
間が従来と比較して短時間で済む。このため、早期に止
水効果をあげることができる。
【0073】また、該水膨潤性ゴムは、可溶性有機炭素
分が従来と比較して少ないことから、安全性が高度に求
められる用途でも好適に用いることができる。従って、
該水膨潤性ゴムは、早急な止水を必要とする用途や安全
性が高度に求められる用途等、広範囲の用途分野に好適
に用いることができる。本発明の水膨潤性ゴムは、例え
ば、トンネル掘削等の土木工事や建設工事等における止
水材や、水道水の止水材、産業廃水の外部への漏出を防
止する漏出防止材等として好適に供される。尚、該水膨
潤性ゴムは、ブロック状等の所定形状に成形されていて
もよい。
【0074】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限
定されるものではない。尚、実施例および比較例に記載
の「部」は、「重量部」を示している。また、水膨潤性
ゴムの吸水速度は、イオン交換水の吸水による体積変化
率(以下、単に体積変化率と記す)で評価した。粗粉砕
吸水性樹脂の吸水倍率、並びに、水膨潤性ゴムの体積変
化率および可溶性有機炭素分の測定方法を以下に示す。
【0075】(a)粗粉砕吸水性樹脂の吸水倍率 粗粉砕吸水性樹脂約 0.1gをティーバッグ式袋に均一に
入れ、イオン交換水中に浸漬した。尚、このとき採取し
た粗粉砕吸水性樹脂の重量をA (g) とする。次に、上
記ティーバッグ式袋を3時間静置後、イオン交換水から
引き上げ、一定時間水切りを行なった後、吸水後のティ
ーバッグ式袋の重量を含む全重量B(g) を測定した。
また、空試験として同様の操作を粗粉砕吸水性樹脂を用
いないで行ない、そのときのティーバッグ式袋の重量を
含む全重量C (g) を測定した。そして、これら重量A
・B・Cから、次式 吸水倍率(g/g)=(重量B (g) −重量C (g) )
/A (g) に従って吸液倍率(g/g)を算出した。
【0076】(b)体積変化率 内容積1000mlのプラスチック製容器にイオン交換水1000
mlを入れた。次いで、このイオン交換水中に、10mm×10
mm角で厚さ2mmとなるように裁断したシート状の水膨潤
性ゴムをステンレス製の針金で吊るして浸漬した後、23
℃に調節された恒温室内に静置した。5日間経過後の上
記水膨潤性ゴムの体積変化率および7日間経過後の上記
水膨潤性ゴムの体積変化率をJIS K 6301に記
載の方法により測定した。
【0077】(c)可溶性有機炭素分 内容積1000mlのプラスチック製容器にイオン交換水1000
mlを入れた。次いで、このイオン交換水中に、35mm×25
mm角で厚さ2mm、表面積20cm2 となるように裁断したシ
ート状の水膨潤性ゴムをステンレス製の針金で吊るして
浸漬した後、23℃に調節された恒温室内に静置した。5
日間経過後、溶出した可溶性有機炭素分をTOC計(島
津製作所製;モデル TOC−500)により測定し
た。
【0078】〔実施例1〕温度計を備えた容量 10Lのジ
ャケット付きニーダーに、アニオン性単量体の多価金属
塩としての43重量%メタクリル酸ナトリウム水溶液3837
部、ノニオン性単量体としてのメトキシポリエチレング
リコールメタクリレート1100部、溶媒としてのイオン交
換水 427部、および架橋剤としてのポリエチレングリコ
ールジアクリレート19.6部を仕込んで反応液とした。上
記のメトキシポリエチレングリコールメタクリレートに
おけるエチレンオキサイドの平均付加モル数は9モルで
あり、ポリエチレングリコールジアクリレートにおける
エチレンオキサイドの平均付加モル数は8モルである。
【0079】次に、ブレード回転数を 40rpmに調節して
上記の反応液を攪拌しながら窒素ガスを吹き込み、反応
系から溶存酸素を追い出すと共に、反応系を窒素ガス置
換した。続いて、ジャケットに40℃の温水を流して攪拌
することにより、反応液の温度を40℃に昇温した後、重
合開始剤としての10重量% 2,2'-アゾビス(2-アミジノ
プロパン)塩酸塩(和光純薬工業株式会社製;商品名
V−50)水溶液71.7部を添加した。そして、該反
応液を攪拌・混合した後、攪拌を停止した。すると、直
ちに重合反応が開始された。このとき、メタクリル酸ナ
トリウム水溶液中のメタクリル酸成分と、メトキシポリ
エチレングリコールメタクリレートとの合計の濃度、即
ち、単量体成分の濃度は、50重量%であった。また、
2,2'- アゾビス(2-アミジノプロパン)塩酸塩は、単量
体成分に対する割合が0.15モル%となるように添加し
た。
【0080】上記の重合反応においては、反応を開始し
てから 110分後に反応液の温度が85℃になり、ピークに
達した。この間、ジャケットの温度は、反応液の温度と
ほぼ等しくなるように適宜昇温させた。反応液の温度が
ピークに達した後、ジャケットの温度を80℃に維持し、
該反応液を30分間熟成した。反応終了後、ブレード回転
数を 40rpmに調節して、得られた含水ゲル状重合体を微
粒子状に解砕した。
【0081】次に、解砕した微細な含水ゲル状重合体
を、熱風循環式乾燥機を用いて窒素気流下、 150℃で1
時間乾燥した。その後、この乾燥物を卓上型粉砕機を用
いて粉砕し、分級して60メッシュ〜 100メッシュの粒径
を有する粗粉砕吸水性樹脂を得た。得られた粗粉砕吸水
性樹脂の吸水倍率を上述の方法により測定した。この結
果、上記粗粉砕吸水性樹脂の吸水倍率は207 g/gであ
った。
【0082】また、上記粗粉砕吸水性樹脂をジェットミ
ルで粉砕して平均粒子径が15μmの微粉砕吸水性樹脂を
得た。そして、上記微粉砕吸水性樹脂70.3部に、比表面
積2.3 m2 /g、平均粒子径3.2 μmのゼオライト(日
本化学工業株式会社製;商品名 NA−100P)3.7
部、エラストマーとしてのクロロプレンゴム(東ソー株
式会社製;商品名 B−10) 100部、加硫剤および加
硫助剤としての酸化マグネシウム(協和化学工業株式会
社製;商品名 酸化マグネシウム#150)4部、加硫
剤としての酸化亜鉛(白水化学工業株式会社製;商品名
酸化亜鉛#1号)5部、滑剤としてのステアリン酸
(日本油脂株式会社製)0.5 部、および加硫促進剤(三
新化学工業株式会社製;商品名 加硫促進剤#22)0.
50部を混合した。そして、この混合物を、6''Φ×15''
の大きさのロールを用いて20分間混練することにより、
コンパウンドを得た。次いで、上記のコンパウンドを電
熱プレス機を用いて 160℃で10分間加硫することによ
り、厚さ2mmのシート状の水膨潤性ゴムを得た。
【0083】得られた水膨潤性ゴムの体積変化率および
可溶性有機炭素分を上述の方法により測定した。その結
果、5日間経過後の体積変化率は1590容量%であり、7
日間経過後の体積変化率は1930容量%であった。また、
可溶性有機炭素分は 28ppmであった。これら結果を表1
に記載した。
【0084】〔実施例2〕実施例1において、ゼオライ
トに代えて、比表面積3.2 m2 /g、平均粒子径37μm
のシラス発泡粒(株式会社シラックスウ社製;商品名
PB−02) 3.7部を用いた以外は実施例1と同様の反
応・操作を行って、厚さ2mmのシート状の水膨潤性ゴム
を得た。得られた水膨潤性ゴムの体積変化率および可溶
性有機炭素分を上述の方法により測定した。その結果、
5日間経過後の体積変化率は1680容量%であり、7日間
経過後の体積変化率は2130容量%であった。また、可溶
性有機炭素分は 25ppmであった。これら結果を表1に記
載した。
【0085】〔実施例3〕実施例2において、シラス発
泡粒の添加量を 3.7部から 0.5部に変更した以外は実施
例2と同様の反応・操作を行って、厚さ2mmのシート状
の水膨潤性ゴムを得た。得られた水膨潤性ゴムの体積変
化率および可溶性有機炭素分を上述の方法により測定し
た。その結果、5日間経過後の体積変化率は1430容量%
であり、7日間経過後の体積変化率は1850容量%であっ
た。また、可溶性有機炭素分は 26ppmであった。これら
結果を表1に記載した。
【0086】〔実施例4〕実施例2において、シラス発
泡粒の添加量を 3.7部から 9.0部に変更した以外は実施
例2と同様の反応・操作を行って、厚さ2mmのシート状
の水膨潤性ゴムを得た。得られた水膨潤性ゴムの体積変
化率および可溶性有機炭素分を上述の方法により測定し
た。その結果、5日間経過後の体積変化率は1870容量%
であり、7日間経過後の体積変化率は2160容量%であっ
た。また、可溶性有機炭素分は 43ppmであった。これら
結果を表1に記載した。
【0087】
【表1】
【0088】〔比較例1〕実施例1において、ゼオライ
トに代えて、比表面積18.1m2 /g、平均粒子径12μm
のベントナイト(クニミネ工業株式会社製 商品名 ク
ニゲルV1 ) 3.7部を用いた以外は実施例1と同様の反
応・操作を行って、厚さ2mm、シート状の比較用の水膨
潤性ゴムを得た。得られた比較用の水膨潤性ゴムの体積
変化率および可溶性有機炭素分を上述の方法により測定
した。その結果、5日間経過後の体積変化率は1200容量
%であり、7日間経過後の体積変化率は1640容量%であ
った。また、可溶性有機炭素分は 64ppmであった。これ
ら結果を表2に記載した。
【0089】〔比較例2〕実施例1において、ゼオライ
トに代えて、比表面積17.3m2 /g、平均粒子径0.9μ
mのクレー(ECC:English China Clays P.L.C 製)
3.7部を用いた以外は実施例1と同様の反応・操作を行
って、厚さ2mm、シート状の比較用の水膨潤性ゴムを得
た。得られた比較用の水膨潤性ゴムの体積変化率および
可溶性有機炭素分を上述の方法により測定した。その結
果、5日間経過後の体積変化率は1000容量%であり、7
日間経過後の体積変化率は1400容量%であった。また、
可溶性有機炭素分は 83ppmであった。これら結果を表2
に記載した。
【0090】〔比較例3〕実施例1において、ゼオライ
トに代えて、比表面積25.0m2 /g、平均粒子径9.2μ
mの珪藻土(関東化学株式会社製の試薬) 3.7部を用い
た以外は実施例1と同様の反応・操作を行って、厚さ2
mm、シート状の比較用の水膨潤性ゴムを得た。得られた
比較用の水膨潤性ゴムの体積変化率および可溶性有機炭
素分を上述の方法により測定した。その結果、5日間経
過後の体積変化率は 340容量%であり、7日間経過後の
体積変化率は 530容量%であった。また、可溶性有機炭
素分は 78ppmであった。これら結果を表2に記載した。
【0091】〔比較例4〕実施例1において、ゼオライ
トに代えて、比表面積1.3 m2 /g、平均粒子径450μ
mの火砕流シラス(天然シラス) 3.7部を用いた以外は
実施例1と同様の反応・操作を行って、厚さ2mm、シー
ト状の比較用の水膨潤性ゴムを得た。得られた比較用の
水膨潤性ゴムの体積変化率および可溶性有機炭素分を上
述の方法により測定した。その結果、5日間経過後の体
積変化率は 420容量%であり、7日間経過後の体積変化
率は 640容量%であった。また、可溶性有機炭素分は 6
1ppmであった。これら結果を表2に記載した。
【0092】〔比較例5〕実施例1において、ゼオライ
トに代えて、ケイ酸アルミニウムを含まない無機化合物
である炭酸カルシウム(三共製粉株式会社製 商品名
エスカロン#1500、比表面積2.8 m2 /g、平均粒
子径 2.4μm) 3.7部を用いた以外は実施例1と同様の
反応・操作を行って、厚さ2mm、シート状の比較用の水
膨潤性ゴムを得た。得られた比較用の水膨潤性ゴムの体
積変化率および可溶性有機炭素分を上述の方法により測
定した。その結果、5日間経過後の体積変化率は 330容
量%であり、7日間経過後の体積変化率は 510容量%で
あった。また、可溶性有機炭素分は 89ppmであった。こ
れら結果を表2に記載した。
【0093】〔比較例6〕実施例1において、ゼオライ
トに代えて、有機系の吸水速度向上剤であるポリエチレ
ングリコール(和光純薬工業株式会社製 試薬PEG#
4000) 3.7部を用いた以外は実施例1と同様の反応
・操作を行って、厚さ2mm、シート状の比較用の水膨潤
性ゴムを得た。得られた比較用の水膨潤性ゴムの体積変
化率および可溶性有機炭素分を上述の方法により測定し
た。その結果、5日間経過後の体積変化率は2010容量%
であり、7日間経過後の体積変化率は2100容量%であっ
た。また、可溶性有機炭素分は136ppmであった。これら
結果を表2に記載した。
【0094】〔比較例7〕実施例1において、ゼオライ
トを添加しなかった以外は実施例1と同様の反応・操作
を行って、厚さ2mm、シート状の比較用の水膨潤性ゴム
を得た。得られた比較用の水膨潤性ゴムの体積変化率お
よび可溶性有機炭素分を上述の方法により測定した。そ
の結果、5日間経過後の体積変化率は 360容量%であ
り、7日間経過後の体積変化率は 570容量%であった。
また、可溶性有機炭素分は 27ppmであった。これら結果
を表2に記載した。
【0095】
【表2】
【0096】表1および表2の結果から明らかなよう
に、ゼオライトやシラス発泡粒を吸水速度向上剤として
含む水膨潤性ゴムは、イオン交換水浸漬後5日間経過後
あるいは7日間経過後の体積変化率が、比較例1〜5お
よび比較例7で得られた水膨潤性ゴムよりも大きく、吸
水速度が速い。しかも、本実施例で得られた水膨潤性ゴ
ムは、比較例で得られた水膨潤性ゴムよりも可溶性有機
炭素分が少ない。
【0097】また、比較例6で得られた有機系の吸水速
度向上剤を含む水膨潤性ゴムは、イオン交換水浸漬後5
日間経過後あるいは7日間経過後の体積変化率は大きい
ものの、可溶性有機炭素分が極めて多く、安全性に問題
がある。
【0098】さらに、比較例1〜4の結果から、比表面
積が 0.1m2 /g〜10m2 /g、かつ、平均粒子径が
0.1μm〜 100μmの範囲を逸脱するベントナイト、ク
レー、珪藻土、天然シラス、即ち、何ら発泡処理や粉砕
処理等の処理を施していない市販のベントナイト、クレ
ー、珪藻土、天然シラスは、充分な膨潤性や吸水速度向
上効果、および可溶性有機炭素分の低減効果を得ること
ができないことが判る。
【0099】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の水膨潤性ゴム用
吸水速度向上剤は、以上のように、比表面積が 0.1m2
/g〜10m2 /gの範囲内、かつ、平均粒子径が 0.1μ
m〜 100μmの範囲内にあるケイ酸アルミニウム含有無
機化合物を含む構成である。
【0100】本発明の請求項2記載の水膨潤性ゴム用吸
水速度向上剤は、以上のように、ゼオライトおよび/ま
たはシラス発泡粒を含む構成である。
【0101】上記の構成によれば、水膨潤性ゴムの吸水
速度を従来よりも向上させることができると共に、可溶
性有機炭素分を抑えることができる水膨潤性ゴム用吸水
速度向上剤を提供することができるという効果を奏す
る。
【0102】本発明の請求項3記載の水膨潤性ゴムは、
以上のように、請求項1または2記載の水膨潤性ゴム用
吸水速度向上剤とエラストマーと吸水性樹脂とを含む構
成である。
【0103】本発明の請求項4記載の水膨潤性ゴムは、
以上のように、請求項3記載の水膨潤性ゴムにおいて、
上記エラストマー 100重量部に対して、吸水性樹脂5重
量部〜50重量部、水膨潤性ゴム用吸水速度向上剤 0.1重
量部〜10重量部を含む構成である。
【0104】本発明の請求項5記載の水膨潤性ゴムは、
以上のように、請求項3または4記載の水膨潤性ゴムに
おいて、上記吸水性樹脂が、ノニオン性単量体を含む単
量体成分を重合してなる吸水性樹脂である構成である。
【0105】本発明の請求項6記載のは、以上のよう
に、請求項5記載の水膨潤性ゴムにおいて、上記ノニオ
ン性単量体が一般式(1)
【0106】
【化3】
【0107】(式中、Rは水素原子またはメチル基を表
し、Xは全オキシアルキレン基に対するオキシエチレン
基のモル分率が50モル%以上である炭素数2〜4のオキ
シアルキレン基を表し、Yは炭素数1〜5のアルコキシ
基、フェノキシ基、または置換基として炭素数1〜9の
アルキル基を1〜3個有するオキシアルキルフェニル基
を表し、nは平均で3〜 100の整数を表す)で表される
(メタ)アクリル酸エステル系単量体である構成であ
る。
【0108】上記の構成によれば、従来よりも吸水速度
が速く、かつ、可溶性有機炭素分が少ない水膨潤性ゴム
を提供することができる。該水膨潤性ゴムは、従来と比
較して吸水速度が速いことから、漏水してから止水が完
了するまでの時間が従来と比較して短時間で済み、早期
に止水効果をあげることができる。また、該水膨潤性ゴ
ムは、可溶性有機炭素分が従来と比較して少ないことか
ら、安全性が高度に求められる用途でも好適に用いるこ
とができる。従って、該水膨潤性ゴムは、早急な止水を
必要とする用途や安全性が高度に求められる用途等、広
範囲の用途分野に好適に用いることができるという効果
を奏する。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】比表面積が 0.1m2 /g〜10m2 /gの範
    囲内、かつ、平均粒子径が 0.1μm〜 100μmの範囲内
    にあるケイ酸アルミニウム含有無機化合物を含むことを
    特徴とする水膨潤性ゴム用吸水速度向上剤。
  2. 【請求項2】ゼオライトおよび/またはシラス発泡粒を
    含むことを特徴とする水膨潤性ゴム用吸水速度向上剤。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の水膨潤性ゴム用吸
    水速度向上剤とエラストマーと吸水性樹脂とを含むこと
    を特徴とする水膨潤性ゴム。
  4. 【請求項4】上記エラストマー 100重量部に対して、吸
    水性樹脂5重量部〜50重量部、水膨潤性ゴム用吸水速度
    向上剤 0.1重量部〜10重量部を含むことを特徴とする請
    求項3記載の水膨潤性ゴム。
  5. 【請求項5】上記吸水性樹脂が、ノニオン性単量体を含
    む単量体成分を重合してなる吸水性樹脂であることを特
    徴とする請求項3または4記載の水膨潤性ゴム。
  6. 【請求項6】上記ノニオン性単量体が一般式(1) 【化1】 (式中、Rは水素原子またはメチル基を表し、Xは全オ
    キシアルキレン基に対するオキシエチレン基のモル分率
    が50モル%以上である炭素数2〜4のオキシアルキレン
    基を表し、Yは炭素数1〜5のアルコキシ基、フェノキ
    シ基、または置換基として炭素数1〜9のアルキル基を
    1〜3個有するオキシアルキルフェニル基を表し、nは
    平均で3〜 100の整数を表す)で表される(メタ)アク
    リル酸エステル系単量体であることを特徴とする請求項
    5記載の水膨潤性ゴム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN101974193A (zh) * 2010-11-17 2011-02-16 武汉工程大学 一种低溶失率遇水膨胀橡胶的制备方法
JP2018521204A (ja) * 2015-06-16 2018-08-02 アターフィル,エセ.エレ. 自己修復特性を有している、自己支持する合成重合体の防水性膜

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