JPH1036339A - スルフィド化合物の製造方法 - Google Patents

スルフィド化合物の製造方法

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JPH1036339A
JPH1036339A JP8193513A JP19351396A JPH1036339A JP H1036339 A JPH1036339 A JP H1036339A JP 8193513 A JP8193513 A JP 8193513A JP 19351396 A JP19351396 A JP 19351396A JP H1036339 A JPH1036339 A JP H1036339A
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直明 三須
Yuji Kobayashi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明者は芳香族ジアゾカップリング反応の
方法について工業的規模においても簡便な装置で反応の
制御がしやすく、かつ生産性の良いスルフィド化合物の
製造方法を提供する。 【解決手段】 芳香族ジアゾニウム塩とメルカプト化合
物とをジアゾカップリング反応させ対応するスルフィド
化合物を製造する方法において、その芳香族ジアゾニウ
ム塩とメルカプト化合物を混合部に供給、混合させ、得
られた混合液を配管部に通入し、その配管部を流通中に
反応させることを特徴とするスルフィド化合物の製造方
法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医農薬中間体など
工業的に重要な位置づけを持つスルフィド化合物の製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ジアゾニウム塩は親電子試薬として働
き、電子供与基や電子供与基をもつ芳香族化合物と容易
にカップリング反応を行う。従ってこれらを用いたジア
ゾカップリング反応は従来より各種有機薬品、医農薬中
間体、医農薬品製造のための非常に優れた反応として一
般に広く知られている。近年これらの反応を利用して、
除草剤成分の中間体として有用な種々のトリアゾール系
スルフィド化合物が合成されている。また、これらスル
フィド化合物はジアゾニウム化合物とメルカプト化合物
とのカップリング反応を行わせることによって製造でき
ることが知られている(特開平1−121279号、特
開平2−1481号、特開平2−233665号、特開
平3−99066号、特開平3−279368号)。こ
の反応は通常次のように実施される。すなわち、対応す
るアミンに塩酸や硫酸等の鉱酸の存在下に亜硝酸ナトリ
ウムや亜硝酸カリウム等の亜硝酸塩を加えてジアゾニウ
ム化合物を得る。これとは別にメルカプト化合物のアル
カリ溶液を調製し、両者を混合させ、カップリング反応
を行う。カップリング反応の具体的な方法として、ジア
ゾニウム化合物にメルカプト化合物を滴下する方法、あ
るいはこれとは逆にメルカプト化合物にジアゾニウム化
合物を滴下する方法のいずれかを行ういわゆるバッチ方
法が知られている。しかしながら、前述の特許文献には
詳細な反応条件等についてはほとんど記載されていな
い。
【0003】本発明者らがこれらの反応を種々検討した
ところ、ジアゾニウム化合物とメルカプト化合物がカッ
プリング反応を行う際の反応熱は約50〜100kca
l/molと極めて大きく、それにもかかわらず、いず
れの方法においても反応温度が少なくとも0℃以下実質
的には−10℃以下という低温でなければ収率が大きく
低下することがわかった。このためスルフィド化合物を
高収率で得るには低温における十分な除熱が不可欠であ
ることがわかった。またジアゾニウム化合物又はメルカ
プト化合物の滴下時間が長い場合にも収率は大きく低下
した。このことからジアゾニウム化合物又はメルカプト
化合物の滴下は短時間で実施することが必要であること
がわかった。従ってこれらの方法で収率良くスルフィド
化合物を製造するためには、低温でしかも短時間でジア
ゾニウム化合物又はメルカプト化合物を全量滴下し、反
応で発生する大量の窒素ガスの大部分と多大な発熱を除
去し反応温度を低温に保ちながら反応を実施する必要が
あることが判明した。これは実験室的な小スケールでは
必ずしも問題ではないかもしれないが、工業的な規模で
実施するのは極めて困難で、反応を制御できない、危険
性が高い、結果として得られたスルフィド化合物の純度
及び収率が低い、反応器に対して仕込量を減らす必要が
あり大量に生産することはできないなどの大きな障害が
ある。
【0004】このような問題を解決する方法として特開
平7−53530、特開平7−53531に記載されて
いるように反応器に外部熱交換器を併設して強制循環を
行う方法及びジアゾニウム化合物又はメルカプト化合物
を間欠的に滴下する方法が示されている。しかしなが
ら、これらの方法においても熱交換器へ強制循環を行う
方法においては設備が必要以上に大がかりになることや
急激な窒素ガスによる発泡に対処できないこと、間欠的
に滴下する方法では反応を開始してから完了するまでの
時間が著しく長くなるため生産性の低下をひき起こすな
どの問題が残り、本質的な問題の解決にはなっておら
ず、十分に満足できる方法とは言えない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は芳香族ジア
ゾカップリング反応の方法について工業的規模において
も簡便な装置で反応の制御がしやすく、かつ生産性の良
いスルフィド化合物の製造方法を提供せんとするもので
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は上記課題を解
決するため鋭意検討した結果、芳香族ジアゾニウム塩と
メルカプト化合物(メルカプタンまたはその塩)とを混
合部に供給、混合させて得られた混合液を配管部に通入
し、その配管部を流通中にジアゾカップリング反応させ
て対応するスルフィド化合物を製造することができるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用する芳香族ジアゾニウム塩は、一般にジア
ゾカップリング反応に使用できる化合物であれば特に制
限はない。
【0008】例えば、下記式(1)〜(4)
【化3】 [式中、Xはアニオン残基(例えば、塩素、臭素、HS
4 、NO3 、ClO4イオン)を示す;W118は同
一または相異なる、水素原子、ハロゲン原子(フッ素原
子、塩素原子、臭素原子)、アルキル基(好ましくは、
1 〜C5 アルキル基)、シクロアルキル基(好ましく
は、低級アルキル基で置換されてもよいC5 〜C7 シク
ロアルキル基)、アルコキシ基(好ましくは、C1 〜C
5 アルコキシ基)、アルコキシカルボニル基(好ましく
は、C2 〜C5 アルコキシカルボニル基)、フェニル
基、ベンジル基またはフェノキシ基を示す。ただし、該
アルキル基、該シクロアルキル基、該アルコキシ基は水
酸基またはハロゲン原子で置換されてもよく、該フェニ
ル基、該ベンジル基、該フェノキシ基のベンゼン環はハ
ロゲン原子、アルキル基またはアルコキシ基で置換され
てもよい(例えば、4−ヒドロキシシクロヘキシル基、
トリフルオロメチル基、2−フルオロ−4−メチルフェ
ニル基、4−メトキシベンジル基など);mは3〜5の
整数を示す。]で表される芳香族ジアゾニウム塩を挙げ
ることができる。
【0009】上記式(1)〜(4)の化合物のなかで、
好ましくは、式(1)で表されるフェニルジアゾニウム
塩化合物であり、好適な例として2,4,6−トリメチ
ルフェニルジアゾニウム塩が挙げられる。
【0010】また、本発明で使用できるメルカプト化合
物は、メルカプト基を有する化合物またはその塩であれ
ば特に制限はない。塩としては例えばアルカリ金属塩、
またはアルカリ土類金属塩などで、具体的にはナトリウ
ム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩など
であるが、アルカリ金属塩が好ましい。
【0011】例えば、下記式(5)
【化4】 [式中、Mは水素原子またはアルカリ金属を示す;V1
は水素原子またはアルカリ金属を示す;V2 は水素原
子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原
子)、アルキル基(好ましくは、C1 〜C5 アルキル
基)、シクロアルキル基(好ましくは、低級アルキル基
で置換されてもよいC5 〜C7 シクロアルキル基)、ア
ルコキシ基(好ましくは、C1 〜C5 アルコキシ基)、
アルコキシカルボニル基(好ましくは、C2 〜C5 アル
コキシカルボニル基)、フェニル基、ベンジル基または
フェノキシ基を示す。ただし、該アルキル基、該シクロ
アルキル基、該アルコキシ基は水酸基またはハロゲン原
子で置換されてもよく、該フェニル基、該ベンジル基、
該フェノキシ基のベンゼン環はハロゲン原子、アルキル
基またはアルコキシ基で置換されてもよい(例えば、4
−ヒドロキシシクロヘキシル基、トリフルオロメチル
基、2−フルオロ−4−メチルフェニル基、4−メトキ
シベンジル基など)]で表される化合物が挙げられ、こ
の3−メルカプト−1H−1,2,4−トリアゾール類
のなかで、好適な化合物として、3−メルカプト−1H
−1,2,4−トリアゾールまたはそのアルカリ金属塩
が例示される。
【0012】次に、本発明を図1により説明する。図1
は原料を供給ライン内で混合して反応を実施する例であ
る。1、2はそれぞれ芳香族ジアゾニウム化合物(以
下、単にジアゾニウム化合物ともいう。)、メルカプト
化合物の原料供給槽である。原料は必要に応じて攪拌さ
れる。ジアゾニウム化合物、メルカプト化合物はそれぞ
れポンプなどにより供給され、混合部3において混合し
た後、配管部3’に通入し、3’を流通し、受槽4に供
給される。混合部3は一般的な混合装置で混合がしっか
り行われていればどのような装置でも構わない。場合に
よっては小さめな反応器やまた単なる接続コネクターで
あっても実施できる。配管部3’は一般的に使用される
配管で構わない。また、最適な配管の長さは反応速度に
依存するため原料の供給速度によっても変化するが、配
管内滞留時間を数秒以上とれるような配管の長さ以上で
あれば良い。
【0013】反応により副生したN2 ガスは必要に応じ
て除害した後、大気へ放出される。反応に先立ち、ジア
ゾニウム化合物は分解を防ぐため5℃以下、望ましくは
−10℃以下に冷却しておくことが望ましい。メルカプ
ト化合物槽2や受槽4は冷却してもしなくとも構わな
い。混合部は反応熱が蓄熱し、原料が混合される前に原
料が分解される可能性があるので冷却することが好まし
い。ジアゾニウム化合物、メルカプト化合物の供給は両
者を同時に行えさえすれば連続的であっても断続的であ
ってもかまわない。供給が同時ではない、すなわちジア
ゾニウム化合物、メルカプト化合物のいずれか一方だけ
が供給された場合には所望の反応は起こらないし、副反
応を起こす可能性があるので好ましくない。ジアゾニウ
ム化合物とメルカプト化合物の混合モル比は望ましくは
ジアゾニウム化合物に対しメルカプト化合物を望ましく
は0.4〜1.6さらに望ましくは0.7〜1.3であ
ることが好ましい。
【0014】本発明者らが、ジアゾニウム化合物、メル
カプト化合物として、それぞれ2,4,6−トリメチル
フェニルジアゾニウムクロライドと3−メルカプト−1
H−1,2,4−トリアゾールを用いてアルカリ性条件
下でジアゾカップリング反応を検討した結果、メルカプ
ト化合物に加えるアルカリ量を変化させ、反応後のpH
と収率の関係について詳細に検討したところ、出発原料
である2,4,6−トリメチルアニリンを基準としたス
ルフィド化合物の収率はpH10.8の際には54.4
%、pH11.3の際には57.5%、pH12.8の
際には67.1%、13.0の際には68.2%、pH
14.0の際には65.1%であった。このことからカ
ップリング反応を行うpHは、望ましくはpH11.0
以上、さらに望ましくは12.0以上である。本発明の
最も重要なポイントは反応液が受槽に到達する前に配管
内で反応がほぼ終了することである。受槽に直接原料を
それぞれ投入した場合はスルフィドの収率は13%と極
めて悪かった。
【0015】本発明者らは、従来の方法通りジアゾニウ
ム化合物またはメルカプト化合物のいずれか一方をもう
一方に滴下する方法でカップリング反応を行った際、冷
却が十分に行われなかった場合または短時間で一方の原
料を滴下できなかった場合にスルフィド化合物の収率が
低下する原因について検討した。その結果このような条
件下では安定性の低いジアゾニウム化合物やその反応中
間体の分解が起こりやすくなること及び生成したスルフ
ィド化合物とジアゾニウム化合物やメルカプト化合物が
逐次反応することによりスルフィド化合物の収率及び純
度がさらに低下することを見いだした。本発明者らが
2,4,6−トリメチルフェニルジアゾニウムクロライ
ドと3−メルカプト−1H−1,2,4−トリアゾール
をアルカリ性条件下でジアゾカップリング反応を検討し
た結果、以下のようなことがわかった。
【0016】例えば、2,4,6−トリメチルフェニル
ジアゾニウムの場合、自己環化反応や分解し各種副生成
物が生成し、また、生成したスルフィド化合物がジアゾ
ニウム化合物存在下で3−メルカプト−1H−1,2,
4−トリアゾールと過剰に反応した副生物などが生成す
る。
【0017】これらの不純物(副生成物)の生成量は、
カップリング反応が開始するところのpHによって変化
することがわかった。pHが適当な値より若干低い場合
には生成したスルフィド化合物がジアゾニウム化合物存
在下でトリアゾール化合物と過剰に反応した場合に示さ
れる化合物が不純物として増加する傾向にあり、逆にp
Hが高い場合にはジアゾニウム塩が自己環化反応や分解
を起こしたときに示される不純物が増加する傾向にある
ことがわかった。ジアゾニウム化合物は酸性溶液でメル
カプト化合物はアルカリ溶液にしてあるため従来の方法
通りジアゾニウム化合物またはメルカプト化合物のいず
れか一方をもう一方に滴下する方法でカップリング反応
を行った際に冷却が十分でなく、短時間で一方の原料を
滴下できずにカップリング反応が滴下途中で開始してし
まった場合には、反応が実質的に開始する時のpHは最
適なpHの範囲から外れ、原料や生成物の分解が生じて
上記に示した不純物が増加してスルフィドの収率低下に
つながる。また、逆に良好な温度及びpH条件下でスル
フィド化合物が生成する場合、ジアゾニウム化合物とメ
ルカプト化合物との反応は極めて速く数秒ないし数十秒
でほとんど完結する。
【0018】したがってこれらの反応を効率良く進行さ
せるためには瞬時に最適なpHで連続的に反応させ、し
かも生成物であるスルフィド化合物と加える原料を極力
共存させることなく反応させることが必要である。即
ち、ジアゾニウム化合物またはトリアゾール化合物の一
方を滴下するいわゆるバッチ式の方法においては本質的
に十分な問題解決をはかることは困難であるという結論
に達し、本発明者らが種々検討した結果、本方法を発明
するに至った。
【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するがこれら実施例に限定されるべきものではなく、広
範囲に変化させることが可能である。 [実施例1] (A)メルカプト化合物溶液の調製 120LのSUS製反応器にメタノール71.85k
g、3−メルカプト−1H−1,2,4−トリアゾール
11.33kg(純度97%、108.7mol)を仕
込み攪拌した。さらに水冷下95%KOH18.11k
g(306.6mol)を徐々に投入しメルカプト化合
物溶液とした。
【0020】(B)ジアゾニウム化合物溶液の調製 200Lのグラスライニング製反応器にメタノール4
4.6kg、2,4,6−トリメチルアニリン16.5
8kg(122.6mol)を仕込み攪拌した。さらに
水冷下、35%HCl27.38kg(262.8mo
l)を発熱を抑えながら滴下して加えた。滴下終了直
前、2,4,6−トリメチルアニリンの塩酸塩が析出
し、スラリー化した。その後反応器のジャケットに−1
5℃のブラインを通して−10℃まで冷却した。この中
に13.93kgの水に溶解させた亜硝酸ナトリウム
8.90kg(129.0mol)を−5℃を越えない
ように発熱を押さえながら2時間かけて滴下した。その
後反応液を−10℃まで冷却し、ジアゾニウム化合物溶
液とした。
【0021】(C)カップリング反応 反応装置図1のような方法でカップリング反応を実施し
た。受槽4として300Lのグラスライニング製反応器
を用いた。25℃のメルカプト化合物溶液の反応器及び
−10℃に保たれたジアゾニウム化合物溶液の反応器の
底に内径10mmのバイトンチューブを原料送液管とし
て取り付け、混合部3であるプラスチック製のY字コネ
クターに接続した。さらに混合部へ長さ11.8m、内
径10mmのバイトンチューブを接続し、その配管7の
出口を受槽の口に差し込んだ。また原料の混合部を−1
5℃に冷却した。2台のスラリーポンプを同時にスター
トさせ、混合部へメルカプト化合物溶液とジアゾニウム
化合物溶液のそれぞれの原料を0.74L/minの同
じ速度で送液した。原料は混合部で混合され、その結果
反応溶液は明るい、やまぶき色を呈し一定の発熱と多量
の窒素ガスの泡を伴いながら受槽へ送液された。混合部
配管出口から受槽へ流出する反応液の温度は45℃前後
でほぼ一定であった。また受槽内部の反応液の温度は3
8℃でほぼ一定に推移した。バッチ式で短時間に片方の
原料を投入した際に見られるような反応器内部における
急激な大量の窒素ガスの発生や温度上昇は全く観察され
なかった。原料の送液は150分で同時に終了し、その
ままの状態でさらに約30分攪拌した。反応終了後の反
応液のpHは13.0であった。その後室温に戻した。
減圧でメタノールを留去したのち水を147kg加え
た。35%HClを11.34kg攪拌下除々に滴下し
pHを7に調整しスルフィド化合物の結晶を析出させ
た。結晶を遠心分離機にかけ、61kgの水で洗浄し
た。得られた結晶を乾燥機で乾燥しスルフィド化合物と
して20.84kg得た。液体クロマトグラフィーで定
量したところ純度は88%であり2,4,6−トリメチ
ルアニリンを基準とした収率は68.2%であった。
【0022】[実施例2]実施例1(A),(B)と同
様な方法でトリアゾール化合物溶液及びジアゾニウム化
合物溶液を調製した。 (C)カップリング反応 混合部へメルカプト化合物溶液とジアゾニウム化合物溶
液のそれぞれの原料を0.35L/minの同じ速度で
送液した以外は実施例1(C)と同様な方法で反応を実
施した。混合部配管出口から受槽へ流出する反応液の温
度は44℃前後でほぼ一定であった。また受槽内部の反
応液の温度は38℃前後でほぼ一定に推移した。バッチ
式に見られるような反応器内部における急激な大量の窒
素ガスの発生や温度上昇は全く観察されなかった。原料
の送液は300分で同時に終了した。反応終了後の反応
液のpHは13.1であった。反応終了後実施例1
(C)と同様な後処理をした結果スルフィド化合物を2
0.71kg得た。液体クロマトグラフィーで定量した
ところ純度は88%であり、2,4,6−トリメチルア
ニリンを基準とした収率は67.8%であった。
【0023】[実施例3]実施例1(A),(B)と同
様な方法でトリアゾール化合物溶液及びジアゾニウム化
合物溶液を調製した。 (C)カップリング反応 反応装置図2のように混合部13を3Lの反応装置に変
更した以外は実施例1(C)と同様な方法で反応を実施
した。配管13’の出口から受槽14へ流出する反応液
の温度は43℃前後の温度で維持された。また受槽内部
の反応液の温度は36℃前後でほぼ一定に推移した。バ
ッチ式に見られるような反応器内部における急激な大量
の窒素ガスの発生や温度上昇は全く観察されなかった。
原料の送液は150分で同時に終了した。反応終了後実
施例1(C)と同様な後処理をした結果スルフィド化合
物を20.77kg得た。液体クロマトグラフィーで定
量したところ純度は87%であり2,4,6−トリメチ
ルアニリンを基準とした収率は67.2%であった。
【0024】[比較例]実施例1(A),(B)と同様
な方法でトリアゾール化合物溶液及びジアゾニウム化合
物溶液を調製した。 (C)カップリング反応 ジャケットに−15℃のブラインを流した300Lのグ
ラスライニング製反応器にトリアゾール化合物溶液を移
液し、−10℃以下に保った。この中へ−10℃以下に
保たれたジアゾニウム化合物溶液を11.34kg、1
50分かけて滴下した。反応器内部温度は滴下に伴い上
昇し、滴下終了時点で20℃になった。滴下終了後、3
0分間そのまま攪拌した後室温に戻しメタノールを減圧
留去した。反応器に水を147kg加え、35%HCl
を攪拌下除々に滴下しpHを7に調整しスルフィド化合
物の結晶を析出させた。結晶を遠心分離機にかけ、61
kgの水で洗浄した。得られた結晶を乾燥機で乾燥しス
ルフィド化合物として13.58kg得た。液体クロマ
トグラフィーで定量したところ純度は62.6%であり
2,4,6−トリメチルアニリンを基準とした収率は3
1.6%であった。
【0025】
【発明の効果】本発明者らが発明した方法は従来の方法
と異なり、芳香族ジアゾニウム塩とメルカプト化合物と
をジアゾカップリング反応させ対応するスルフィド化合
物を製造する方法において、その芳香族ジアゾニウム塩
とメルカプト化合物を混合部に供給、混合させ、得られ
た混合液を配管部に通入し、その配管部を流通中に反応
させることを特徴とするスルフィド化合物の製造方法で
ある。これらの方法においては原料供給速度は自由に変
えられ収率に大きな影響を与えない。これは原料供給ラ
イン内で反応が迅速に進行し、ほぼ完結させることが可
能であるからである。このことにより発生した反応熱と
窒素ガスの除去は安定に行え、原料供給速度によってこ
れらの反応の制御を自由にしかも十分に行うことができ
る。原料供給を停止させれば反応を一時停止させること
も可能である。また反応の際に発生する熱はあえて除去
する必要性が全くない。
【0026】さらに大変驚くべきことに本発明の方法は
ジアゾニウム化合物槽さえ冷却すれば、必ずしもメルカ
プト化合物や生成物を冷却する必要性がない。このため
従来の通常の方法と比較して冷却設備、除熱設備、排ガ
ス設備などを大幅に軽減することが可能で格段に簡便な
設備でスルフィド化合物の製造を実施できる。さらに本
発明の方法によって得られるスルフィド化合物の純度及
び収率は極めて高い。これは、生成するスルフィド化合
物とそれと反応する可能性がある原料のジアゾニウム化
合物またはメルカプト化合物が基本的に混合されること
なく、しかも常に最適なpHで反応を実施できることも
要因の一つである。従って本発明の方法は工業的規模に
おいて高収率に容易にスルフィド化合物を製造する極め
て優れた画期的製造方法と言える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を模式的に表わした図。
【図2】実施例3の反応装置図。
【符号の説明】
1 ジアゾニウム化合物供給槽 2 メルカプト化合物供給槽 3 混合物 3’ 配管部 4 受槽 5 ポンプ 6 ブライン 7 流通の向き 11 ジアゾニウム化合物供給槽 12 メルカプト化合物供給槽 13 混合物 13’ 配管部 14 受槽 15 ポンプ 16 ブライン 17 流通の向き
フロントページの続き (72)発明者 本名 健一 福島県河沼郡河東町大字東長原字長谷地 111 昭和電工株式会社東長原工場内 (72)発明者 三須 直明 神奈川県川崎市川崎区扇町5番1号 昭和 電工株式会社化学品研究所内 (72)発明者 小林 有二 神奈川県川崎市川崎区千鳥町2番3号 昭 和電工株式会社川崎工場内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 芳香族ジアゾニウム塩とメルカプト化合
    物とをジアゾカップリング反応させ対応するスルフィド
    化合物を製造する方法において、その芳香族ジアゾニウ
    ム塩とメルカプト化合物を混合部に供給、混合させ、得
    られた混合液を配管部に通入し、その配管部を流通中に
    反応させることを特徴とするスルフィド化合物の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 芳香族ジアゾニウム塩が下記式(1)〜
    (4) 【化1】 (式中、Xはアニオン残基を示す;W118は同一また
    は相異なる、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シ
    クロアルキル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル
    基、フェニル基、ベンジル基またはフェノキシ基を示
    す。ただし、該アルキル基、該シクロアルキル基、該ア
    ルコキシ基は水酸基またはハロゲン原子で置換されても
    よく、該フェニル基、該ベンジル基、該フェノキシ基の
    ベンゼン環はハロゲン原子、アルキル基またはアルコキ
    シ基で置換されてもよい;mは3〜5の整数を示す。)
    で表される化合物である請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 メルカプト化合物が下記式(5) 【化2】 (式中、Mは水素原子またはアルカリ金属を表す;V1
    は水素原子またはアルカリ金属を示し;V2 は水素原
    子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、ア
    ルコキシ基、アルコキシカルボニル基、フェニル基、ベ
    ンジル基またはフェノキシ基を示す。該アルキル基、該
    シクロアルキル基、該アルコキシ基は水酸基またはハロ
    ゲン原子で置換されてもよく、該フェニル基、該ベンジ
    ル基、該フェノキシ基のベンゼン環はハロゲン原子、ア
    ルキル基またはアルコキシ基で置換されてもよい。)で
    表される化合物である請求項1または2記載の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 芳香族ジアゾニウム塩が2,4,6−ト
    リメチルフェニルジアゾニウム塩であり、かつメルカプ
    ト化合物が3−メルカプト−1H−1,2,4−トリア
    ゾールまたはその塩である請求項1、2または3記載の
    スルフィド化合物の製造方法。
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