JPH1034404A - 窒化ケイ素製切削工具 - Google Patents

窒化ケイ素製切削工具

Info

Publication number
JPH1034404A
JPH1034404A JP8191116A JP19111696A JPH1034404A JP H1034404 A JPH1034404 A JP H1034404A JP 8191116 A JP8191116 A JP 8191116A JP 19111696 A JP19111696 A JP 19111696A JP H1034404 A JPH1034404 A JP H1034404A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
silicon nitride
cutting tool
wear
sintered body
cutting
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP8191116A
Other languages
English (en)
Inventor
Yusuke Okamoto
本 裕 介 岡
Naoto Hirosaki
崎 尚 登 広
Motohide Ando
藤 元 英 安
Yoshio Akimune
宗 淑 雄 秋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP8191116A priority Critical patent/JPH1034404A/ja
Publication of JPH1034404A publication Critical patent/JPH1034404A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)
  • Ceramic Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 窒化ケイ素の素材自体の耐摩耗性を向上させ
ることにより、従来の表面被膜や硬質粒子分散などとい
った手法を用いる場合に比べ、単純な工程で容易にかつ
低コストで製造でき、摩耗量が少なく長期間の使用に耐
え得る窒化ケイ素製切削工具を提供する。 【解決手段】 焼結助剤成分を1重量%以上10重量%
以下含有し、残部が窒化ケイ素と不可避的不純物とから
なる窒化ケイ素質焼結体を素材とし、素材の熱伝導率が
室温で80W/(m・K)以上である窒化ケイ素製切削
工具10。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳鉄などの切削加
工に好適に用いられる窒化ケイ素製切削工具に関するも
のである。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】窒化ケイ素は、強度,
靭性,硬度などにバランスよく優れたセラミックス材料
であり、鋳鉄の切削加工などに好適に用いられている。
この窒化ケイ素に限らず、切削工具は使用とともに摩耗
が進行して、その寿命を迎える。従って、摩耗を低減す
るための種々の試みがなされている。
【0003】このような試みの例として、表面に被膜を
施す方法(サイアロンセラミックスの表面にTi,Z
r,V,Nbの窒化物,炭化物,炭窒化物の1種または
2種以上より構成される被覆層を有するものとした特開
昭63−17277号、窒化ケイ素を主成分とした焼結
体の基材表面にチタン化合物よりなる内層とアルミニウ
ム化合物よりなる外層とを有する硬質被膜を被覆するこ
ととした特開平05−43323号など)や、素材中に
硬質の粒子を分散させる方法(αおよびβサイアロン中
に炭化物,窒化物などの分散相形成成分と酸化物,酸窒
化物などの結合相形成成分を含有させたものとした特開
昭60−239364号、SiCウイスカーとZr化合
物と残部β−サイアロンを主成分としたものとした特開
昭63−156076号、セラミックス粒子によるマト
リックス中にTiの化合物である分散粒を含ませるもの
とした特開平06−122563号など)などが試みら
れている。
【0004】そして、表面に被膜を施すには、化学的気
相堆積や蒸着などのプロセスが用いられているが、いず
れもコストがかかる処理法であり、また、被膜が一旦摩
滅すると以後は効果が十分でなくなるという問題があっ
た。また、硬質粒子を分散させる方法においても、比較
的高価な硬質粒子を混ぜ込むためにコスト高となり、硬
質粒子を添加しない場合に比べて緻密化が難しくなると
いう問題があった。
【0005】そこで、窒化ケイ素の素材自体の耐摩耗性
を向上できれば、これらの特殊なプロセスを用いずに、
長期の使用に耐え得る切削工具を安価に提供することが
可能となる。
【0006】
【発明の目的】本発明は、上記の問題に鑑みてなされた
もので、窒化ケイ素の素材自体の耐摩耗性を向上させる
ことにより、前述したような表面被膜や硬質粒子分散な
どといった手法を用いる場合に比べ、単純な工程で容易
にかつ低コストで製造でき、摩耗量が少なく長期間の使
用に耐え得る窒化ケイ素製切削工具を提供することを目
的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、窒化ケイ素
製切削工具の耐摩耗性と材料因子との関連について鋭意
検討した結果、素材の熱伝導率を室温で80W/(m・
K)以上とすると、刃先の摩耗量が急激に低減されるこ
とを見い出して本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明に係わる窒化ケイ素製切
削工具は、請求項1に記載しているように、窒化ケイ素
質焼結体を素材とし、素材の熱伝導率が室温で80W/
(m・K)以上であるものとしたことを特徴としてい
る。
【0009】そして、本発明に係わる窒化ケイ素製切削
工具の実施態様においては、請求項2に記載しているよ
うに、焼結助剤成分を1重量%以上10重量%以下含有
し、残部が窒化ケイ素と不可避的不純物とからなる窒化
ケイ素質焼結体を素材とし、素材の熱伝導率が室温で8
0W/(m・K)以上であるものとすることが望まし
い。
【0010】また、同じく、実施態様においては、請求
項3に記載しているように、不純物として含有するアル
ミニウムの割合が1重量%以下であるものとすることが
場合によっては望ましく、請求項4に記載しているよう
に、素材の断面において、短径5μm以上の窒化ケイ素
粒子の占める割合が面積比で10%以上45%以下であ
るものとすることが場合によっては望ましい。
【0011】
【発明の作用】本発明に係わる窒化ケイ素製切削工具
は、請求項1に記載しているように、素材の熱伝導率が
室温で80W/(m・K)以上である窒化ケイ素質焼結
体を素材とするものであるから、切削時に刃先で発生す
る熱は効率良く放散させうるものとなる。
【0012】ところで、刃先でおこる摩耗は、凝着摩
耗,引っかき摩耗など、多種の形態の摩耗が同時におこ
るが、実験的には、その摩耗量は、exp(−Q/k
T)に比例するアレニウスの式の形でよく近似できる。
ここにおいて、Qは定数、kはボルツマン定数、Tは絶
対温度である。従って、刃先温度を低下させることで摩
耗量の低減を図りうることとなる。
【0013】本発明者は、さらに詳細に検討を重ねた結
果、通常の鋳鉄の切削条件では、熱伝導率が80W/
(m・K)以上となると、刃先の温度低減作用が顕著と
なり、従来の切削工具と比較して刃先の摩耗が著しく低
減することを見い出した。そして、熱伝導率が80W/
(m・K)に満たない場合、刃先温度の上昇が顕著とな
り、摩耗の進行が速くなる。
【0014】また、その組成に関し、請求項2に記載し
ているように、焼結助剤成分は1重量%以上10重量%
以下であり、残部が窒化ケイ素と不可避的不純物とから
なる窒化ケイ素質焼結体とすることがより望ましく、こ
の場合、焼結助剤成分が1重量%未満では緻密化が困難
となる傾向となり、10重量%超過では粒界相内におけ
るフォノン散乱のため熱伝導率が低下する傾向となる。
【0015】さらに、請求項3に記載しているように、
素材中に不純物として存在するアルミニウムの量は1重
量%以下であるものとすることがより望ましく、このよ
うにした場合に、80W/(m・K)以上の熱伝導率を
有する窒化ケイ素製工具を得ることが容易となる。
【0016】アルミニウムは窒化ケイ素中にパーセント
のオーダーで固溶するが、固溶した場合、原子価の関係
から原子空孔を発生し、この空孔がフォノンの散乱源と
なるため、熱伝導率を低下させる。従って、焼結体に含
まれる不純物アルミニウムの含有量は極力少ない方がよ
く、さらに望ましくは0.1重量%以下とするのがよ
い。そして、不純物としてのアルミニウムの含有量が1
重量%を超過するとフォノン散乱が著しくなる傾向とな
り、熱伝導率が80W/(m・K)以下となって耐摩耗
性を劣化させる傾向となる。
【0017】さらにまた、請求項4に記載しているよう
に、素材の断面において、短径5μm以上の窒化ケイ素
粒子の占める割合が面積比で10%以上45%以下とし
た場合、より一層良好な耐摩耗性を有する切削工具が得
られることとなる。
【0018】本発明者は、焼結体の組織と工具の特性と
の関係を詳細に検討した結果、焼結体を構成する窒化ケ
イ素粒子のうち、短径が5μm以上の粒子の割合が熱伝
導率および耐摩耗性と関連していることを見い出した。
そして、この短径5μ以上の粒子の割合が、断面中の面
積比で10%以上とすることで、熱伝導率を80W/
(m・K)以上に高めることが容易となっている。ま
た、短径5μm以上の粒子の割合が多くなり過ぎると、
切削の際チッピングによる損耗が進みやすくなるため、
断面中の面積比で45%以下とするのがよい。
【0019】
【発明の効果】本発明による窒化ケイ素製切削工具で
は、請求項1に記載しているように、窒化ケイ素質焼結
体を素材とし、素材の熱伝導率が室温で80W/(m・
K)以上であるものとしたから、切削時に刃先で発生す
る熱を効率良く放散させることが可能となり、刃先の温
度低減効果が顕著となって、従来の切削工具に比べて刃
先の摩耗を著しく低減することが可能となって、長期間
の使用に耐え得る切削工具を提供することが可能である
という著しく優れた効果がもたらされる。
【0020】そして、請求項2に記載しているように、
焼結助剤成分を1重量%以上10重量%以下含有し、残
部が窒化ケイ素と不可避的不純物とからなる窒化ケイ素
質焼結体を素材とすることによって、焼結体を安定して
緻密化させることが可能となって工具強度を向上させた
ものとしたうえで、熱伝導率を安定して80W/(m・
K)以上に高めることが可能であり、長期間の使用に耐
え得る切削工具を提供することが可能であるという著し
く優れた効果がもたらされる。
【0021】そして、請求項3に記載しているように、
不純物として含有するアルミニウムの割合が1重量%以
下であるようになすことによって、80W/(m・K)
以上の熱伝導率を有する窒化ケイ素製切削工具を得るこ
とがより一層容易になるという著しく優れた効果がもた
らされる。
【0022】さらにまた、請求項4に記載しているよう
に、素材の断面において、短径5μm以上の窒化ケイ素
粒子の占める割合が面積比で10%以上45%以下であ
るものとすることによって、より一層良好な耐摩耗性を
有する切削工具を提供することが可能であるという著し
く優れた効果がもたらされる。
【0023】
【実施例】次に、本発明による窒化ケイ素製切削工具の
実施例を比較例と共に詳細に説明する。
【0024】実施例1 平均粒径0.8μm、不純物アルミニウム含有量0.0
08重量%、β相含有率94重量%の窒化ケイ素粉末
と、助剤第一成分としての酸化イットリウム粉末(信越
化学社製)および助剤第二成分としての酸化ネオジム粉
末(信越化学社製)を表1に示す割合でそれぞれ秤量
し、エタノールを用いた湿式ボールミルで94時間混合
して、ロータリーエバポレータで乾燥した。
【0025】次に、得られた粉末を金型を用いて圧力2
0MPaで成形し、引き続いて圧力400MPaで冷間
静水圧プレスして20×20×8mmの板状の成形体を
得た。さらに、この成形体を熱間静水圧プレス装置を用
いて、10MPaの窒素雰囲気中1900℃で2時間予
備焼成した。次いで、30MPaの窒素雰囲気中200
0℃で2時間本焼成して緻密な窒化ケイ素質焼結体を得
た。
【0026】ここで得た焼結体について熱伝導率の測定
は次に示す方法によった。すなわち、上記の焼結体を研
削加工し、直径10mm、厚さ3mmの円盤状の試験片
として、日本工業規格R−1611に制定される方法に
従って、試験片の比熱と熱拡散率をレーザフラッシュ法
による熱定数測定装置(理学電機社製、LF/TCM−
FA8510B)で測定した。
【0027】熱拡散率の測定においては、試料の表面に
黒鉛被膜を形成した後、温度300K・大気中でレーザ
パルスを上面に照射し、反対面の温度変化を赤外線温度
検出器で測定し、対数法で熱拡散率の値を求めた。
【0028】比熱の測定では、試料に直径11mm,厚
さ0.25mmの黒鉛製の薄板を貼り付け、温度300
K・大気中でレーザパルスを照射し、反対面の温度を白
金/白金ロジウム熱電対で測定した。標準試料には同様
の形状のニッケルを用いた。
【0029】以上の熱拡散率および熱伝導率の測定で
は、同一の材料につき3点の試験片を用意し、それぞれ
3回の測定を繰り返し行って平均を取った。また、試験
片の密度を水中のアルキメデス法で別個に測定した。こ
れも、同一材料について3点の試験片を用意して平均を
取った。以上のデータから、熱伝導率は比熱と熱拡散率
と密度の積として求められる。
【0030】素材中の不純物アルミニウムの定量には、
蛍光X線法を用いた。そして、未加工の焼結体を5g程
度適宜粉砕し、これをフッ化水素酸水溶液に溶解させ、
蛍光X線分析装置(フィリップス社製、PW1404
型)により焼結体におけるアルミニウムの含有量を求め
た。
【0031】次いで、以下の手順で焼結体の組織観察を
行った。すなわち、ダイヤモンドブレードを用いて焼結
体を各辺が3ないし6mmとなる直方体に切り出し、断
面の一つをラッピングし、さらにダイヤモンドスラリー
で研磨して鏡面を得た。そして、この面を8%の酸素を
含有するCFガスプラズマ中でエッチングした後、走
査型電子顕微鏡で組織を観察した。次に、組織の写真を
撮影し、これを画像解析装置(カールツァイス社製、V
IDAS Plus)で処理して短径5μm以上の粒子
が占める面積比を求めた。なお、この画像処理で定量し
た視野は、200μm×150μm程度である。
【0032】図1は粒子の短径を求める方法を説明した
ものであるが、図1に示すように、窒化ケイ素粒子(切
断面)1,2は六角柱状をしており、断面はほとんどの
場合六角形となる。そして、3組の対辺間の距離のうち
最小のものを以て短径D,Dとする。
【0033】さらに、摩耗量の測定を行った。この場
合、得られた焼結体をダイヤモンドホイールで研削し、
一辺が12.7mm、角Rが1.2mm、厚さが4.7
6mmのスローアウェイチップに加工した。そして、こ
のチップで鋳鉄の円筒旋削試験を行い、切削距離と摩耗
量との関係を調べた。試験の条件は以下のとおりであ
る。
【0034】工作機械:CNC旋盤(村田W&S、WS
C−8II) ホルダー:PSBNL2020 切削速度:毎分300mm,切込み2mm,送り 1回
転あたり0.3mm 被削材:ねずみ鋳鉄FC20,直径80mm,長さ20
0mm チャンファ形状:0.15mm×25° 上記の条件で距離6200mを切削した後、スローアウ
ェイチップ逃げ面の摩耗部分を実体顕微鏡で観察して逃
げ面の摩耗幅を測定した。図2はスローアウェイチップ
10のすくい面11、逃げ面12および観察の方向Aの
関係を示すものである。
【0035】また、図3は逃げ面摩耗幅の求め方を説明
する図である。この摩耗幅の測定においては、図3で符
号23を付して示されるような局部的に突出した摩耗箇
所である前縁突出部分は無視し、それ以外の摩耗部分2
1の前縁を摩耗部分前縁近似直線22で近似し、この直
線22と切削試験前の稜との間隔を、顕微鏡視野の十字
線を基準としてマイクロメータの送りから読みとって求
めた。
【0036】以上の条件で測定した実施例1の切削工具
について、短径5μm以上の粒子の割合、熱伝導率、逃
げ面摩耗幅は、表1に示す通り、それぞれ、22%、9
1W/(m・K)、0.12mmであった。一方、市販
の切削工具3種に対し同じ試験条件で摩耗量の測定を行
った結果、逃げ面摩耗幅はそれぞれ0.22mm、0.
25mm、0.30mmであり、本発明品の優位性が確
認された。
【0037】比較例1,2 比較例1は、表1に示すように、添加する助剤の量を減
らした場合を示すものであり、また、比較例2は逆に添
加する助剤の量を増やした場合を示すものである。そし
て、そのほかの工程は実施例1と同様の工程を経てスロ
ーアウェイチップを作り、実施例1と同様の方法で熱伝
導率の測定、組織観察、摩耗量の測定を行った。その結
果、比較例1においては助剤の量が少なすぎたため十分
に緻密化せず、熱伝導率が50W/(m・K)と低いと
ともに、逃げ面摩耗幅は0.46mmと大きく、耐摩耗
性に劣る結果となった。また、比較例2においては助剤
の量が多すぎ、緻密化は十分であったものの、熱伝導率
が80W/(m・K)に達せず、これも満足な耐摩耗性
を得ることができなかった。
【0038】比較例3,4 この比較例では、助剤としてYとAlの組
み合せを故意に選んだ場合を示す。各々の助剤の添加量
は表に示す通りであり、そのほかの条件は実施例1と同
様にして行った。この結果、焼結体にアルミニウムが入
ったことにより熱伝導率がかなり低下し、実施例1と比
較して摩耗量はかなり大きなものとなった。
【0039】比較例5,6、実施例2〜4 この比較例および実施例では、焼成の時間を60分から
480分まで変化させた場合を示すものである。そし
て、焼成時間の増加にともなって断面中における短径5
μm以上の粒子の割合が増加した。そして、この面積比
が8%である比較例5では熱伝導率が80W/(m・
K)に満たないものとなり、同時に耐摩耗性も実施例2
〜4と比較して劣るものとなった。これに対し、断面中
での短径5μm以上の粒子が占める面積比が10%以上
となると熱伝導率が80W/(m・K)以上となり、耐
摩耗性にも富むものとなった。また、短径5μm以上の
粒子が占める面積比が45%を超えると、摩耗量が増加
する傾向が見られたので、それ以下となるように焼成条
件を選定すればより一層耐摩耗性に優れる切削工具を得
ることができることが認められた。
【0040】実施例5〜7 この実施例では、実施例1と比べて、添加する助剤の量
を変化させた場合を示すものである。この場合、助剤の
量が増えるに従って熱伝導率はやや低下する傾向にあっ
たが、いずれも80W/(m・K)以上の熱伝導率を確
保することができ、摩耗量も少ないものであった。
【0041】実施例8〜13 この実施例では、実施例1と比べて、添加する助剤の種
類および量を変化させた場合を示すものである。この場
合、酸化ネオジムと酸化イットリウム以外の組合せで
も、熱伝導率80W/(m・K)以上の焼結体が得ら
れ、いずれも優れた耐摩耗性を示した。
【0042】実施例14 この実施例では、原料粉末に平均粒径0.9μm、不純
物アルミニウム含有量0.8重量%、β相含有量93重
量%の窒化ケイ素粉末を用いて切削工具を製造した場合
を示すものである。この場合、アルミニウムの影響によ
り若干熱伝導率が低下し、摩耗量もやや増えたものの十
分な耐摩耗性を有するものと判断された。
【0043】実施例15〜18、比較例7〜12 実施例1〜4、比較例1〜6のスローアウェイチップに
ついて、切削条件を変更し、切削速度毎分200mの条
件で試験した場合を示すものである。この試験条件で、
実施例15〜18の切削工具の逃げ面摩耗幅はいずれも
0.13mm以下であったのに対し、比較例7〜12の
切削工具の逃げ面摩耗幅は0.22mm以上であり、こ
の試験条件でも本発明の切削工具では摩耗量が著しく低
減することを重ねて確認できた。
【0044】
【表1】
【0045】
【表2】
【0046】
【表3】
【0047】評価結果 以上の評価試験より明らかなように、比較例1〜12の
窒化ケイ素製切削工具の逃げ面摩耗幅は0.22mm
(比較例12)ないし0.46mm(比較例1)であっ
たのに対し、実施例1〜18の切削工具ではいずれも
0.16mm以下となっており、著しく優れた耐摩耗性
を有する切削工具とすることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】切断面の電子顕微鏡写真において、窒化ケイ素
粒子の短径を求める要領を示した説明図である。
【図2】スローアウェイチップの逃げ面、すくい面、観
察方向の関係を示した説明図である。
【図3】スローアウェイチップの摩耗幅の測定要領を示
す説明図である。
【符号の説明】
1,2 窒化ケイ素粒子(切断面) D,D 窒化ケイ素粒子の短径 10 スローアウェイチップ(窒化ケイ素製切削工具) 11 すくい面 12 逃げ面 21 摩耗部分 22 摩耗部分の前縁近似直線 23 前縁突出部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 秋 宗 淑 雄 神奈川県横浜市神奈川区宝町2番地 日産 自動車株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化ケイ素質焼結体を素材とし、素材の
    熱伝導率が室温で80W/(m・K)以上であることを
    特徴とする窒化ケイ素製切削工具。
  2. 【請求項2】 焼結助剤成分を1重量%以上10重量%
    以下含有し、残部が窒化ケイ素と不可避的不純物とから
    なる窒化ケイ素質焼結体を素材とし、素材の熱伝導率が
    室温で80W/(m・K)以上であることを特徴とする
    請求項1に記載の窒化ケイ素製切削工具。
  3. 【請求項3】 不純物として含有するアルミニウムの割
    合が1重量%以下であることを特徴とする請求項2に記
    載の窒化ケイ素製切削工具。
  4. 【請求項4】 素材の断面において、短径5μm以上の
    窒化ケイ素粒子の占める割合が面積比で10%以上45
    %以下であることを特徴とする請求項1ないし3のいず
    れかに記載の窒化ケイ素製切削工具。
JP8191116A 1996-07-19 1996-07-19 窒化ケイ素製切削工具 Pending JPH1034404A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8191116A JPH1034404A (ja) 1996-07-19 1996-07-19 窒化ケイ素製切削工具

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP8191116A JPH1034404A (ja) 1996-07-19 1996-07-19 窒化ケイ素製切削工具

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH1034404A true JPH1034404A (ja) 1998-02-10

Family

ID=16269139

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP8191116A Pending JPH1034404A (ja) 1996-07-19 1996-07-19 窒化ケイ素製切削工具

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH1034404A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008221454A (ja) * 2007-02-15 2008-09-25 Kobe Steel Ltd 工具磨耗の予測方法、工具磨耗予測プログラム、および工具摩耗予測システム
US9774912B2 (en) 2010-09-10 2017-09-26 Accenture Global Solutions Limited Set top box

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008221454A (ja) * 2007-02-15 2008-09-25 Kobe Steel Ltd 工具磨耗の予測方法、工具磨耗予測プログラム、および工具摩耗予測システム
JP4583415B2 (ja) * 2007-02-15 2010-11-17 株式会社神戸製鋼所 工具磨耗の予測方法、工具磨耗予測プログラム、および工具摩耗予測システム
US9774912B2 (en) 2010-09-10 2017-09-26 Accenture Global Solutions Limited Set top box
US10123075B2 (en) 2010-09-10 2018-11-06 Accenture Global Solutions Limited Set top box

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7485278B2 (en) Method for making silicon carbide whiskers
EP2402098B1 (en) Sialon insert, cutting tool equipped therewith, and manufacturing method thereof
JPH0647505B2 (ja) ホイスカー強化セラミツクス及びそれに対するクラツド/熱間静圧プレス成形法
US5059564A (en) Alumina-titanium carbide-silicon carbide composition
JP2010264574A (ja) 切削工具
WO2014126178A1 (ja) 切削工具
JP4716855B2 (ja) サイアロン製切削工具及びこれを備えた工具
JPH04322904A (ja) 酸化物系セラミック切削インサート及びその製造方法
WO2016052468A1 (ja) サイアロン焼結体及び切削インサート
JPH1034404A (ja) 窒化ケイ素製切削工具
JP2004338080A (ja) 切削工具用インサート及びその製造方法
JP2022174067A (ja) 焼結体
JP6683887B2 (ja) セラミックス焼結体、インサート、切削工具、及び摩擦攪拌接合用工具
JPH0881270A (ja) 立方晶窒化ホウ素含有セラミックス焼結体および切削工具
JP7204558B2 (ja) 窒化硼素質焼結体、インサートおよび切削工具
JP2006305708A (ja) サイアロン製スローアウェイチップおよび切削工具
JP4434938B2 (ja) サイアロン製インサートの製造方法
JP2015009327A (ja) 切削インサート
JP6938227B2 (ja) 窒化珪素質複合焼結体、切削工具、及び摩擦攪拌接合用工具
JP2977308B2 (ja) 機械加工用のセラミックス焼結体
JPH08112705A (ja) 窒化ケイ素質焼結体製切削工具およびその製造方法
JP2002047068A (ja) 窒化珪素質焼結体およびその窒化珪素質焼結体を用いた切削工具並びにそれらの製造方法
JP2001253767A (ja) アルミナ基複合焼結体及び耐摩耗部材並びにアルミナ基複合焼結体の製造方法
JP3560629B2 (ja) 工具用高靱性硬質焼結体の製造法
JP2735919B2 (ja) 工具用焼結体及びその製造方法