JP2002047068A - 窒化珪素質焼結体およびその窒化珪素質焼結体を用いた切削工具並びにそれらの製造方法 - Google Patents

窒化珪素質焼結体およびその窒化珪素質焼結体を用いた切削工具並びにそれらの製造方法

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JP2002047068A
JP2002047068A JP2000228461A JP2000228461A JP2002047068A JP 2002047068 A JP2002047068 A JP 2002047068A JP 2000228461 A JP2000228461 A JP 2000228461A JP 2000228461 A JP2000228461 A JP 2000228461A JP 2002047068 A JP2002047068 A JP 2002047068A
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Yutaka Sekiguchi
豊 関口
Yasuhiro Takagi
保宏 高木
Kazuhiro Urashima
和浩 浦島
Satoshi Iio
聡 飯尾
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特別な装置を用いることなく、優れた耐欠損
性を維持したまま、優れた耐摩耗性をも兼備した窒化珪
素質焼結体およびその窒化珪素質焼結体を用いた切削工
具並びにそれらの製造方法を提供すること。 【構成】 窒化珪素質焼結体の表面層の耐摩耗性が、該
窒化珪素質焼結体の表面層を研磨除去して得られる研磨
面の耐摩耗性よりも優れるようにする。耐摩耗性は、摩
耗量を用いて評価するのがよい。切削工具に用いた場合
においては、窒化珪素質焼結体の表面層である逃げ面の
摩耗量Vsが、逃げ面を研磨して得られる研磨面の摩耗
量Viよりも少ないようにするとよい。より好ましく
は、この表面層の表面粗度Raが1μm以下になるよう
にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、切削工具、摺動部品等
の耐摩耗性を要求される窒化珪素質焼結体およびその窒
化珪素質焼結体を用いた切削工具並びにそれらの製造方
法に関する。特には、鋳鉄の切削加工に適した窒化珪素
質焼結体およびその窒化珪素質焼結体を用いた切削工具
並びにそれらの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化珪素質焼結体は、高強度で、耐摩耗
性、耐熱性等の機械的特性に優れるため、切削工具等に
用いられている。切削工具用途の窒化珪素質焼結体に要
求される大事な特性として、耐摩耗性と耐欠損性があ
る。耐摩耗性が悪いと、切削工具を頻繁に交換するため
生産性が悪くなる。また、耐欠損性が悪いと、切削加工
中に焼結体が欠損して、被削材の加工面を傷つけること
になる。
【0003】窒化珪素質焼結体の機械的特性を向上させ
るために、焼結助剤の検討や、硬質粒子の分散等の方法
が種々検討されている。特開平2−74564号公報や
特開平4−154669号公報には、Mg成分、Zr成
分、Ce成分を焼結助剤に含む窒化珪素質焼結体が開示
されている。また、特開平11−217271号公報に
は、希土類元素成分、Mg成分およびAl成分からなる
焼結助剤を含み、硬質粒子を分散した硬質表面層を有す
る高靭性窒化珪素質焼結体が開示されている。
【0004】焼結助剤の添加量を増やせば、窒化珪素質
焼結体の焼結は容易になる。しかし、焼結助剤の添加量
が多いと、焼結体の耐摩耗性が低下する。一方、焼結助
剤の添加量を少なくすれば、窒化珪素質焼結体の耐摩耗
性は向上するものの、大事な耐欠損性を低下させること
になる。また、硬質粒子を添加する方法は簡便ではある
が、硬質粒子の脱粒により欠損を生じて、やはり長期間
にわたって優れた切削性を持続させるのは困難である。
そこで、窒化珪素質焼結体の表面層近傍の組織を所定の
状態に制御して機械的特性を向上させる方法が検討され
ている。
【0005】特開平8−112705号公報には、β窒
化珪素粒子の面積%やアスペクト比等を規定した窒化珪
素質焼結体からなる切削工具が開示されている。また、
特開平9−87036号公報には、表層部に含まれるA
l成分の含有率に傾斜を持たせた窒化珪素質焼結体が開
示されている。しかし、微妙な組織制御は材料ロットや
調合条件によって左右されやすいため、工業的な生産性
を担保した製品を安価に供給し難い。
【0006】ところで、切削工具等の所定の形状を有す
るセラミック製品を製造するには、多かれ少なかれ、窒
化珪素質焼結体を機械加工する必要がある。機械加工を
容易にするために、成形体を仮焼した仮焼体の段階で機
械加工して、更に本焼成して最終製品を得る方法が、特
公平6−25037号公報、特公平6−39344号公
報、特公平7−106942号公報、特開平9−268
070号公報等に開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、窒化珪素質
焼結体の耐欠損性や生産性を損なうことなく、優れた耐
摩耗性を有する窒化珪素質焼結体およびその窒化珪素質
焼結体を用いた切削工具並びにそれらの製造方法を提供
することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】耐欠損性を確保しながら
耐摩耗性を向上するには、窒化珪素質焼結体の表面層ま
たは必要最低限の部分の表面の耐摩耗性を向上するのが
効果的である。具体的には、窒化珪素質焼結体の表面層
の耐摩耗性が、その表面層を研磨除去して得られる研磨
面の耐摩耗性よりも優れる焼結体にする。窒化珪素質焼
結体の表面層をより耐摩耗性に優れた状態にすること
で、窒化珪素質焼結体全体としての耐欠損性を確保しな
がら、耐摩耗性をも確保することができる。尚、ここに
いう「必要最低限の部分の表面の耐摩耗性を向上する」
例としては、窒化珪素質焼結体を用いた切削工具の逃げ
面の耐摩耗性を向上することが挙げられる。ここにいう
「逃げ面」とは、図1に示すように、切削工具のチップ
(1)の側面(2)をいう。尚、切削工具のチップの上
面(3)は「すくい面」という。
【0009】ここにいう「窒化珪素質焼結体の表面層」
とは、窒化珪素質焼結体の最表面から焼結体の内側へ向
かって600μmまでの深さの範囲をいう。また、ここ
にいう「表面層を研磨除去して得られる研磨面」とは、
この600μmまでの深さの範囲を研磨除去して得られ
た新たな露出面をいう。この600μmまでの深さの範
囲にある表面層の耐摩耗性を、この表面層を研磨除去し
て得られる新たな露出面である研磨面の耐摩耗性よりも
優れるようにすることで、窒化珪素質焼結体全体として
の耐欠損性を確保しながら、耐摩耗性をも確保すること
ができる。
【0010】本発明は、具体的には以下のように特定す
ることができる。製品例として切削工具を用いた場合を
例に説明する。切削工具を用いる場合、工具の逃げ面を
用いて本発明の検証をするのがよい。切削工具の逃げ面
は、被削材と直接接触する部位であるため、切削工具の
耐欠損性と耐摩耗性の両方を兼備する必要があり、評価
部位として最適だからである。
【0011】窒化珪素質焼結体の表面層と研磨面との耐
摩耗性の相対的な優劣を判断する方法としては、表面層
と研磨面との耐摩耗性を相対的に評価できる試験方法で
あれば特に制限無く用いることができる。同じ試験条件
下における表面層と研磨面との摩耗量Vを用いて相対的
な優劣を評価するのが簡便でよい。摩耗量を評価パラメ
ータとして耐摩耗性の相対的な優劣を判断する方法の好
ましい一例を以下に示す。まず、その切削工具に適した
被削材や切削条件等の特定条件を予め設定しておく。次
いで、本発明の窒化珪素質焼結体を用いた切削工具で、
被削材を特定条件にて切削加工して、初期の製品の表面
層の摩耗量Vsを測定する。他の未使用の逃げ面につい
ては、予め切り込み量を600μm以上にして表面層を
研磨除去しておく。尚、研磨面の仕上げは、初期状態と
同じになるようにする。この研磨面について同様の条件
にて切削加工を行い、研磨面の摩耗量Viを測定する。
この両者の摩耗量を比較すれば、本発明の構成要件を満
たすか否かが検証できる。
【0012】同じ試験条件下における表面層と研磨面と
の摩耗量の相対的な優劣の判断基準としては、表面層の
摩耗量Vsの値を研磨面の摩耗量Viの値で除した比率が
0.8以下、好ましくは0.7以下、より好ましくは
0.6以下、更には0.5以下であるとよい。比率がこ
の範囲であれば、窒化珪素質焼結体の表面層の耐摩耗性
が、この表面層を研磨除去して得られる研磨面の耐摩耗
性よりも優れる、ということができる。その結果、耐摩
耗性と耐欠損性とをバランスよく向上することができ
る。尚、この比率の下限値は、強度等の基本的な機械的
特性を確保できる範囲で決定すればよいため、特には制
限はない。あえて言うならば、実質的な下限値として
は、0.3以上である。究極的な下限値としては0であ
る。例えば、表面層の摩耗量が実質的に0の場合であ
る。
【0013】摩耗量の絶対値は試験条件によって左右さ
れるが、ここでは、その絶対値自体に拘泥する必要はな
い。その絶対値に基づいて得られる相対的な優劣を示す
判断基準である比率(Vs/Vi)が重要である。試験条
件自体は、耐摩耗性を評価するに際して常識的な条件で
あって、かつ、表面層と研磨面に課される試験条件が同
一であればよい。
【0014】窒化珪素質焼結体の組成に制限はないが、
α窒化珪素、β窒化珪素およびサイアロン結晶相の少な
くとも一種を主相とするものを用いる。更に、周期律表
第3a族元素、第4a族元素、第5a族元素および第6
a族元素の少なくとも一種を含有する窒化珪素質焼結体
を用いるのがよい。これらの元素は、窒化珪素質焼結体
の焼結助剤として、効果的に作用する。これらの元素の
少なくとも一種を含有する窒化珪素質焼結体の表面層の
摩耗量を、その表面を研磨して得られる研磨面の摩耗量
よりも少ないように調整する。従来の窒化珪素質焼結体
では得難かった耐欠損性と耐摩耗性と高いレベルで兼備
する窒化珪素質焼結体を得ることができる。
【0015】これらの元素の窒化珪素質焼結体中におけ
る存在箇所に制限はないが、特には粒界相に存在するの
がよい。耐欠損性をより効果的に向上することができる
からである。これらの元素の含有量としては、酸化物換
算で1〜10質量%がよい。1質量%以下では粒界相が
殆ど無くなり耐欠損性が低下し、また、10質量%以上
では耐摩耗性が低下してしまうからである。窒化珪素質
焼結体の表面層の耐摩耗性を、より効果的に窒化珪素質
焼結体の表面層を研磨除去して得られる研磨面の耐摩耗
性よりも優れるようにするには、これらの元素の含有量
を、2〜5質量%の範囲にするのがよい。
【0016】これらの元素の中でも、特には、希土類元
素成分、Al成分、Mg成分およびZr成分の少なくと
も一種を含有するとよい。緻密化を促進するこれらの元
素を含有する窒化珪素質焼結体の表面層の耐摩耗性を、
窒化珪素質焼結体の表面層を研磨除去して得られる研磨
面の耐摩耗性よりも優れるようにする。これらの成分の
好ましい組合わせとしては、Yb−Mg−Al、Y−M
g−Zr等を挙げることができる。特に好ましい組合わ
せは、Yb−Mg−Alである。燒結体の緻密化を容易
にできるとともに、耐摩耗性に優れた表面層を形成しや
すいからである。この窒化珪素質焼結体を切削工具に用
いることで、鋳鉄の切削加工時の欠損および摩耗の発生
を効果的に防止することができる。
【0017】窒化珪素質焼結体の表面層の表面粗度Ra
は、1μm以下になるように調製するのがよい。耐欠損
性、耐摩耗性、摺動特性といった性能面が良好であるの
みならず、外観上の審美性にも優れるため、消費者の購
買意欲を刺激する効果があるからである。具体的には、
窒化珪素質焼結体と、少なくとも液状媒体と、を回転可
能な容器に入れて、容器を回転させることにより、窒化
珪素質焼結体の表面層の表面粗度Raを1μm以下にす
るとよい。簡便な工程で効率よく表面粗度Raを1μm
以下にすることができる。他に、表面粗度の調製を容易
にする粒状の媒体を加えるとよい。この粒状の媒体とし
ては、粒度の細かいSiC粒子等がよい。
【0018】本発明のように、窒化珪素質焼結体の表面
層の耐摩耗性が、この表面層を研磨除去して得られる研
磨面の耐摩耗性よりも優れる窒化珪素質焼結体を得るに
は、以下のような方法を取るとよい。まず焼成方法とし
ては、仮焼成工程と本焼成工程の少なくとも2段階のス
テップを経る焼成工程とする。そして、仮焼成工程の段
階で得られる仮焼体を、所定の形状に研削加工する。研
削加工を終えた仮焼体を、本焼成工程により焼成して、
目的とする製品を得る。
【0019】このように、仮焼体の状態で予め所定の形
状に研削加工した後に本焼成することで、窒化珪素質焼
結体の表面層の耐摩耗性が、該窒化珪素質焼結体の表面
層を研磨除去して得られる研磨面の耐摩耗性よりも優れ
る状態にすることができる。本焼成してから所定の形状
に研削加工すると、耐摩耗性に優れる表面層が研磨除去
されて、耐摩耗性が低下するので好ましくない。
【0020】ここにいう「仮焼体」とは、完成品におけ
る密度の78%以上、好ましくは90%以上(ただし、
100%は除く。)になるまで仮焼成されたものをい
う。仮焼体の密度が78%未満の場合は、本焼成後に緻
密化しにくく、ポア等の欠陥が残留する傾向があり好ま
しくない。仮焼成工程は、窒素を含む非酸化性の雰囲気
下で行う。
【0021】本焼成工程は、窒素を含む非酸化性の雰囲
気下で、1450〜1950℃で行う。1450℃未満
では、仮焼体中のポア等の欠陥を消滅させることが困難
で強度低下を招くため好ましくない。一方、1950℃
を越えると、焼結体の組織が粒成長により粗大化して、
やはり強度低下を招くため好ましくない。
【0022】本発明の窒化珪素質焼結体は、鋳鉄等の難
切削材の切削加工に用いる切削工具用途に適する。切削
工具の場合、仮焼体の段階で所定の形状になるように加
工工程において加工体とするが、この際、逃げ面を研削
加工しておくことが重要である。この加工体を本焼成す
れば、窒化珪素質焼結体の表面層である逃げ面の耐摩耗
性が、逃げ面を研磨して得られる研磨面の耐摩耗性より
も優れる切削工具が得られる。製造方法の他の工程につ
いては、既に説明したものと実質同じなので、ここでは
省略する。
【0023】切削工具の逃げ面の表面粗度Raは、1μ
m以下になるように調製するのがよい。耐欠損性、耐摩
耗性といった性能面が良好であるのみならず、外観上の
審美性にも優れるため、消費者の購買意欲を刺激する効
果があるからである。具体的には、切削工具と、少なく
とも液状媒体と、を回転可能な容器に入れて、容器を回
転させることにより、切削工具の逃げ面の表面層の表面
粗度Raを1μm以下にするとよい。簡便な工程で効率
よく表面粗度Raを1μm以下にすることができる。他
に、表面粗度の調製を容易にする粒状の媒体を加えると
よい。この粒状の媒体としては、粒度の細かいSiC粒
子等がよい。
【0024】
【実施例】(実施例1)原料粉末として、窒化珪素粉末
(比表面積10m2/g、平均粒径0.6μm)と、焼
結助剤とを、表1に示す組成になるように所定量秤量、
混合する。この混合物を有機バインダ及び溶媒とともに
窒化珪素ボールの入った窒化珪素製ポットに投入して、
70rpm×40時間の条件にて湿式粉砕混合する。得
られたスラリを500メッシュのふるいを通して、溶媒
を乾燥除去する。残った粉末を回収して、60メッシュ
のふるいを通して、造粒粉末を得る。
【0025】造粒粉末を一軸加圧成形法により所定の形
状に成形した後、200MPaの圧力でCIP(冷間静
水圧プレス)して成形体を得る。得られた成形体を、窒
素圧力3〜5気圧で、1800〜1900℃×2〜4時
間の条件で仮焼成する。具体的な仮焼成条件の組合わせ
は表2に示す。得られた仮焼体を、最終的な製品の段階
で「SNGN432型」の寸法になるように、各試料毎
の収縮率に合わせて研削加工して加工体を得る。
【0026】ここで「SNGN432型」とは、JIS
B 4120に記載されている「スローアウェイチッ
プの呼び記号」に従って付けられるチップの寸法等を示
す記号である。ここで、「S」は形状記号であり、試料
形状が正方形であることを示す。続く「N」は逃げ角記
号であり、逃げ角が0°であることを示す。続く「G」
は精度記号であり、寸法許容差(単位;mm)が、内接
円直径で±0.025、チップ厚さで±0.13、コー
ナー高さで±0.025であることを示す。続く「N」
は溝・穴記号であり、穴・溝が共に無い形状であること
を示す。続く「4」は内接円記号(インチ系)であり、
内接円直径(単位;mm)が12.70であることを示
す。続く「3」は厚さ記号であり、インチ系の通常系列
にて厚み(単位;mm)が4.76であることを示す。
末尾の「2」はコーナ記号であり、インチ系でコーナ半
径(単位;mm)が0.8であることを示す。
【0027】加工体は、表2に示す本焼成工程の条件に
よって本焼成する。一部試料によっては、カーボン粉末
に埋設して本焼成したり、本焼成後にアニール処理を行
ったりする。得られた試料の密度をアルキメデス法によ
り測定する。結果を表3に示す。
【0028】また、別途、仮焼成後に研削加工をしない
で本焼成した試料を作製する。これについては、本焼成
後に「SNGN432型」の寸法になるように研削加工
する。
【0029】得られた試料の逃げ面の耐摩耗性と耐欠損
性について評価する。評価結果を表3に示す。 .逃げ面の耐摩耗性の評価 SNGN432、チャンファ0.085のチップ状の試
料を用いて、鋳鉄(名称;FC200)を被削材とす
る。乾式下、切削速度;300mm/分、切り込み;
1.5mm、送り速度;0.34mm/分の条件にて切
削を行った後、フランク最大摩耗量を測定し、これを逃
げ面の摩耗量をVs(単位;mm)とする。また、別途
逃げ面から600μm研削して表面層を除去して研磨面
を形成した試料を作製する。この試料の逃げ面である研
磨面の摩耗量をVi(単位;mm)とする。各摩耗量及
び比率(Vs/Vi)の結果を表3に併記する。
【0030】.耐欠損性の評価 SNGN432、チャンファ0.085のチップ状の試
料を用いて、鋳鉄(名称;FC200)を被削材とす
る。乾式下、切削速度;150mm/分、切り込み;
2.0mm、送り速度;1.0mm/分の条件にて欠損
が生ずるまで切削を行った。欠損が生ずるまでのワーク
の加工山数が、20個以上のものを◎(優秀)、10〜
19個のものを○(良好)、9個以下のものを×(不合
格)として、表3に示す。尚、加工山数とは、ワークに
多数溝を設けて作った山をチップ状の試料を用いて連続
で切削する際、試料が欠損せずに切削できた山の数をい
う。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】結果より、仮焼体の段階で逃げ面を加工形
成した試料は、全て十分に緻密に焼成している。逃げ面
の表面層の摩耗量は、研磨面の摩耗量よりも少なく、ま
た、表面層の摩耗量も少なく、良い結果である。更に、
表面層の耐摩耗性の高さに加えて、耐欠損性も十分であ
る。
【0035】一方、本焼成後に逃げ面を加工形成した試
料では、表面の摩耗量Vsが研磨面の摩耗量Viと同等の
レベルになっており、表面の耐摩耗性に劣る結果となっ
ている。
【0036】また、焼結助剤に周期律表第3a族元素、
第4a族元素、第5a族元素および第6a族元素の少な
くとも一種を含有しない試料では、耐摩耗性のみならず
耐欠損性にも劣る結果である。
【0037】焼結助剤の含有量が10質量%を越える
(12質量%)の試料では、たとえ仮焼体の段階で逃げ
面を加工形成していても、焼結助剤の含有量が10質量
%以下の試料よりも相対的に特性が落ちることがわか
る。また、焼結助剤の含有量が1質量%未満(0.6質
量%)の試料では、密度が低く、耐欠損性も相対的に落
ちることがわかる。
【0038】(実施例2)窒化珪素96.5質量%に対
して、焼結助剤成分を酸化物換算にて、Yb232質量
%、MgO1質量%、ZrO20.5質量%含む原料組
成の成形体を形成する。仮焼工程の条件は、窒素ガス5
気圧下、1900℃×2時間で行う。得られた仮焼体の
逃げ面を研磨加工する。次いで、窒素ガス1000気圧
下、1700℃×2時間の条件で本焼成工程を行い、試
料を得る。試料の逃げ面の表面粗度Raは1.2μmで
ある。
【0039】試料の一部については、水およびφ2mm
の窒化珪素製球とともに窒化珪素製の容器に入れて回転
させて、逃げ面の表面粗度Raを0.3μmあるいは
1.0μmに調製する。この2種類の試料を用いて、実
施例1と同様の評価を行う。結果を表4に示す。
【0040】
【表4】
【0041】結果より、逃げ面の表面粗度Raを1μm
以下にした方が、表面の耐摩耗性および耐欠損性に共に
優れることがわかる。また、外観上も、表層の不均一感
が無くなり、製品としての質感が向上し、受け入れ検査
における外観検査の歩留まりが向上できる。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、特別な装置を用いるこ
となく、優れた耐欠損性を維持したまま、優れた耐摩耗
性をも兼備した窒化珪素質焼結体およびその窒化珪素質
焼結体を用いた切削工具並びにそれらの製造方法を提供
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】切削工具の各部名称を示す説明図。
【符号の説明】
1 切削工具チップ 2 逃げ面 3 すくい面
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 飯尾 聡 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日 本特殊陶業株式会社内 Fターム(参考) 3C046 FF33 4G001 BA03 BA06 BA08 BA09 BA14 BA32 BA67 BB03 BB06 BB08 BB09 BB14 BB32 BB67 BC57 BD12 BD18 BE35

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化珪素質焼結体の表面層の耐摩耗性
    が、該窒化珪素質焼結体の表面層を研磨除去して得られ
    る研磨面の耐摩耗性よりも優れることを特徴とする窒化
    珪素質焼結体。
  2. 【請求項2】 周期律表第3a族元素、第4a族元素、
    第5a族元素および第6a族元素の少なくとも一種を含
    有することを特徴とする請求項1に記載の窒化珪素質焼
    結体。
  3. 【請求項3】 希土類元素成分、Al成分、Mg成分お
    よびZr成分の少なくとも一種を、酸化物換算で1〜1
    0質量%含有することを特徴とする請求項1又は請求項
    2に記載の窒化珪素質焼結体。
  4. 【請求項4】 窒化珪素質焼結体の表面層の表面粗度R
    aが1μm以下であることを特徴とする請求項1乃至請
    求項3のいずれかに記載の窒化珪素質焼結体。
  5. 【請求項5】 仮焼成と本焼成とを行うことにより、請
    求項1乃至請求項4のいずれかに記載の窒化珪素質焼結
    体を得るための製造方法であって、 密度78%以上の仮焼体を得る仮焼成工程と、 該仮焼体を所定の形状に加工して加工体を得る加工工程
    と、 該加工体を本焼成して窒化珪素質焼結体を得る本焼成工
    程と、を含むことを特徴とする窒化珪素質焼結体の製造
    方法。
  6. 【請求項6】 上記本焼成により得られた窒化珪素質焼
    結体と、少なくとも液状媒体と、を回転可能な容器に入
    れて、該容器を回転させることにより、該窒化珪素質焼
    結体の表面層の表面粗度Raを1μm以下にした窒化珪
    素質焼結体を得ることを特徴とする請求項5に記載の窒
    化珪素質焼結体の製造方法。
  7. 【請求項7】 上記窒化珪素質焼結体の表面層である逃
    げ面の耐摩耗性が、該逃げ面を研磨して得られる研磨面
    の耐摩耗性よりも優れることを特徴とする請求項1乃至
    請求項4のいずれかに記載の窒化珪素質焼結体を用いた
    切削工具。
  8. 【請求項8】 仮焼成と本焼成とを行うことにより、窒
    化珪素質焼結体からなる切削工具を得るための製造方法
    であって、 密度78%以上の仮焼体を得る仮焼成工程と、 該仮焼体を所定の形状に加工して加工体を得る加工工程
    と、 該加工体を本焼成して切削工具を得る本焼成工程と、を
    含むことを特徴とする請求項7に記載の切削工具の製造
    方法。
  9. 【請求項9】 上記本焼成により得られた窒化珪素質焼
    結体からなる切削工具と、少なくとも液状媒体と、を回
    転可能な容器に入れて、該容器を回転させることによ
    り、該切削工具の逃げ面の表面粗度Raを1μm以下に
    した切削工具を得ることを特徴とする請求項8に記載の
    切削工具の製造方法。
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