JPH1034168A - セレン含有水の処理方法 - Google Patents
セレン含有水の処理方法Info
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Abstract
て還元処理する方法において、鉄金属の消耗量及び沈殿
汚泥量の低減を図るとともに、セレンを効率的に除去す
ることができるセレン含有水の処理方法を提供する。 【解決手段】セレン含有水を鉄金属充填層に通水して還
元処理する方法において、鉄金属と接触した水のpHが5
〜6でありかつ2価の鉄イオン濃度が100mg/リット
ル以上であること、又は、鉄金属と接触した水のpHが5
〜6でありかつ酸化還元電位が−50mV以下であること
を特徴とするセレン含有水の処理方法。
Description
理方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、6価のセ
レンを含有する水を鉄金属充填層に通水して還元処理す
る方法において、充填層より流出する水の水質を測定す
ることにより、セレン含有水の処理条件を最適に保ち、
鉄金属の消耗量及び沈殿汚泥量を低減するとともに、セ
レンを効率的に除去することができるセレン含有水の処
理方法に関する。
製工場排水は、セレンを含有する場合がある。また、セ
レンは工業原料として、ガラスの脱色剤や着色剤、高級
顔料、鉄鋼や銅への添加剤に使われるほか、ウレタンや
尿素の合成時の触媒としても使用されるので、これらの
工場排水にもセレンが含有される可能性がある。セレン
は排水中に高濃度に含有されることは稀であるが、環境
保全のためにセレンに対する規制が行われるにいたり、
排水中のセレンの処理が必要となった。さらに、平成6
年8月より、水質汚濁防止法に基づくセレンの排水基準
は、0.1mg/リットルと示されている。排水中のセレ
ンは、通常コロイド状のセレン、4価の亜セレン酸イオ
ン(SeO3 2-)又は6価のセレン酸イオン(Se
O4 2-)として存在することが多い。このようなセレン
含有水の処理方法としては、凝集沈殿法とイオン交換法
があり、Encyclopedia of Envir
onmental Control Technolo
gy(Gulf Publishing Co.,19
93)、第6巻、632頁にその概要が記載されてい
る。凝集沈殿法によるセレン含有水の処理に関しては多
くの改良法が提案されており、例えば、特開平6−79
286号公報には、排水に鉄塩として硫酸第一鉄又は塩
化第一鉄を加えたのち中和剤を添加し、セレンを水酸化
鉄フロックと共沈させて除去する方法が提案されてい
る。しかし、この方法では最終処理水中のセレン濃度は
0.2〜0.4mg/リットルにまでしか低下せず、0.1m
g/リットルという排水基準を達成することができな
い。また、R.H.Lien は、EPD Cong
r.'90,334頁において、Chemical a
nd Biological Cyanide Des
truction and Selenium Rem
oval from Precious Metal
Tailing Pond Water と題して、セ
レン酸イオンを含有する排水にFeSO4・7H2O又は
FeCl2・4H2Oを添加し、Na2SeO4+6Fe
(OH)2 → Se0+3Fe2O3+2NaOH+5H2O
にしたがってセレン酸イオンを還元処理する方法を提案
している。しかし、この方法によれば、最終処理水中の
セレン濃度を0.1mg/リットル以下にするために必要
なFeSO4・7H2Oの添加量は25g/リットル以上
となり、発生する汚泥の量が多くなるので、実用的、経
済的に問題があり、現実には適用困難である。また、還
元処理を効率的に行うために、あらかじめ塩酸、硫酸な
どを添加して酸性条件下で処理する必要がある。本発明
者らは、凝集沈殿法によって排水中のセレンを0.1mg
/リットル以下に除去することが困難である原因につい
て鋭意研究し、その原因は含有される6価のセレンの除
去が困難であるため、あるいは、排水中に凝集沈殿を阻
害、妨害する物質が存在するためであることを見いだし
た。この知見に基づき、本発明者らは、先にセレン含有
水の処理方法として、pHを5以下に調整したセレン含有
水を鉄金属充填層に通水し、2価イオンとして溶出した
鉄によりセレン酸を、次式にしたがって還元処理する方
法を提案した。 SeO4 2-+6Fe2++8H+ → Se0+6Fe3++4
H2O 還元されたセレンを含む被処理水は、アルカリを添加し
てpHを7以上とすることにより、水中の鉄イオンを水不
溶性の水酸化鉄とし、還元されたセレンを水酸化鉄のフ
ロックに吸着させて凝集分離する。この方法によれば、
最終処理水中のセレン濃度を安定して0.1mg/リット
ル以下にすることができるが、さらにセレン含有水のpH
調整に必要な酸の量を減少し、中和に使用するアルカリ
と発生する汚泥量を低減することができる運転管理方法
の開発が求められていた。
有する排水を鉄金属充填層に通水して還元処理する方法
において、鉄金属の消耗量及び沈殿汚泥量の低減を図る
とともに、セレンを効率的に除去することができるセレ
ン含有水の処理方法を提供することを目的としてなされ
たものである。
題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、鉄金属と接触し
た流出水のpHと2価の鉄イオン濃度又はpHと酸化還元電
位を測定することにより、セレン含有水に添加すべき酸
の量及び鉄金属充填層の管理時期を的確にモニターし得
ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成す
るに至った。すなわち、本発明は、(1)セレン含有水
を鉄金属充填層に通水して還元処理する方法において、
鉄金属と接触した水のpHが5〜6であり、2価の鉄イオ
ン濃度が100mg/リットル以上であることを特徴とす
るセレン含有水の処理方法、及び、(2)セレン含有水
を鉄金属充填層に通水して還元処理する方法において、
鉄金属と接触した水のpH及び酸化還元電位を測定し、該
水のpHが5〜6であり、酸化還元電位が−50mV以下で
あるよう調整することを特徴とするセレン含有水の処理
方法、を提供するものである。
に6価のセレンを含有する水に効果的に適用することが
できる。このようなセレン含有水としては、例えば、セ
レン数mg/リットルを含有する火力発電所排水を凝集沈
殿処理及び生物脱窒処理し、セレン濃度を約1mg/リッ
トル程度としたセレン含有水などを挙げることができ
る。本発明方法においては、セレン含有水に塩酸又は硫
酸を添加して酸性とし、鉄金属充填層に通水することが
好ましい。セレン含有水は、塩酸又は硫酸の添加によ
り、pHを3以下とすることが好ましく、pHを2〜2.5
とすることがより好ましい。セレン含有水のpHを3以下
とすることにより、セレン含有水と鉄金属が接触したと
き、次式により2価の鉄イオンが水中へ溶出する。 Fe+2H+ → Fe2++H2 セレン含有水のpHが3を超えると、鉄イオンの溶出に時
間がかかり、鉄金属充填層の通水速度を遅くして接触時
間を長くする必要が生ずるおそれがある。セレン含有水
のpHが2未満となるし、鉄イオンの溶出が速すぎて、鉄
イオンが過剰に溶出し、いたずらに汚泥量が増加して不
経済となるおそれがある。本発明方法において、水中に
溶出した2価の鉄イオンは、水中のセレン酸と反応し、
セレン酸は次式にしたがって還元されると考えられる。 SeO4 2-+6Fe2++8H+ → Se0+6Fe3++4
H2O 本発明方法においては、鉄金属充填層に通水することに
より水中のセレン酸を還元したのち、流出水の凝集処理
を行うことが好ましい。凝集処理の方法には特に制限は
ないが、アルカリ剤を添加することにより、水中の2価
の鉄イオン及び3価の鉄イオンを水不溶性の水酸化第一
鉄及び水酸化第二鉄とし、鉄フロックを形成して凝集す
ることが好ましい。アルカリ剤の添加により、被処理水
のpHを7以上とすることが好ましく、pHを9〜10とす
ることがより好ましい。被処理水のpHが7未満である
と、鉄フロックなどの凝集が不十分となるおそれがあ
る。被処理水のpHを7以上とすることにより、次式のよ
うに、水中の2価の鉄イオンは水不溶性の水酸化第一鉄
となり、3価の鉄イオンは水不溶性の水酸化第二鉄とな
る。 Fe2++2NaOH → Fe(OH)2+2Na+ Fe3++3NaOH → Fe(OH)3+3Na+ このとき、還元されたセレンは、生成する水酸化鉄のフ
ロックに吸着され、凝集分離される。
触した水のpHが5〜6であり、2価の鉄イオンの濃度が
100mg/リットル以上であるよう、あるいは、(2)
鉄金属と接触した水のpHが5〜6であり、酸化還元電位
が−50mV以下であるよう調整する。2価の鉄イオンの
濃度の測定法としては、比色法が知られているが、現場
において簡単な操作により分析することができ、効率的
で精度の高い下記の方法が好ましい。すなわち、鉄金属
と接触した水約20mlをビーカーにとり、硫酸1容量部
と水2容量部の混合液1mlを加え、N/40過マンガン
酸カリウム溶液で滴定する。わずかに紅色を呈するとこ
ろを終点とし、 A=1400a/V にしたがって、2価の鉄イオンの濃度を算出する。ただ
し、aは滴定に要したN/40過マンガン酸カリウム溶
液量(ml)、Vは検水量(ml)、Aは2価の鉄イオン濃
度(mg/リットル)である。本発明方法において、鉄金
属と接触した水のpH及び2価の鉄イオン濃度を管理する
ことにより、セレンの処理を確実に行うことができる。
水のpHが5〜6であり、2価の鉄イオン濃度が100mg
/リットル以上であれば、処理水中のセレン濃度は、規
制値である0.1mg/リットル以下となる。しかし、2
価の鉄イオン濃度は、検水をサンプリングし分析しなけ
ればならないので、より簡便には、鉄金属と接触した水
のpH及び酸化還元電位を管理することにより、セレンの
処理を行うことができる。水のpHが5〜6であり、酸化
還元電位が−50mV以下であれば、処理水中のセレン濃
度は、通常は規制値である0.1mg/リットル以下とな
る。pH及び酸化還元電位は、鉄金属充填層から流出する
水の配管内に、pH計及び酸化還元電位計のセンサを設置
することにより、簡便かつ連続的に測定することができ
る。
オン濃度と酸化還元電位の間には相関関係があり、2価
の鉄イオン濃度100mg/リットル以上が通常は酸化還
元電位−50mV以下に対応する。ただし、酸化還元電位
は、水中の共存物質の濃度の変化などにより必ずしも2
価の鉄イオン濃度と対応しない場合もあるので、日常的
にはpH及び酸化還元電位により管理し、必要に応じて2
価の鉄イオン濃度を分析して確認することが好ましい。
原水の水質変動が比較的少ない場合には、pH及び酸化還
元電位の測定により十分管理することができる。本発明
方法において、鉄金属充填層と接触した水のpHが5〜6
の範囲を外れかつ2価の鉄イオン濃度が100mg/リッ
トル未満となったとき、あるいは、pHが5〜6の範囲を
外れかつ酸化還元電位が−50mVを超えた場合には、鉄
金属充填層との接触工程の異常を検査する。鉄金属充填
層との接触工程の異常としては、原水への酸の注入量の
過不足、鉄金属充填層の汚染、鉄金属充填層の短絡通
水、鉄金属充填層の鉄量不足などがある。原水への酸の
注入量が不足すると、鉄の溶解量が不足し、2価の鉄イ
オン濃度が100mg/リットル未満となり、あるいはpH
が6を超える。原水への酸の注入量が過剰であると、pH
が5未満となる。鉄金属充填層が汚染すると、2価の鉄
イオンの溶出が起こりにくく、2価の鉄イオン濃度が1
00mg/リットル未満となり、同時に酸が消費されない
ので、pHが5未満となる。鉄金属充填層に短絡通水が起
こると、2価の鉄イオンの溶出が不足し、2価の鉄イオ
ン濃度が100mg/リットル未満となり、同時に酸が消
費されないので、pHが5未満となる。鉄金属充填層の鉄
量が不足すると、2価の鉄イオンの溶出が不足し、2価
の鉄イオン濃度が100mg/リットル未満となり、同時
に酸が消費されないので、pHが5未満となる。
ン濃度のいずれかが管理限界を外れたとき、あるいは、
pH又は酸化還元電位のいずれかが管理限界を外れたとき
は、鉄金属充填層との接触工程を検査し、適切な処置を
とることが好ましい。通常は、鉄金属充填層から流出す
る水のpH及び酸化還元電位を測定し、管理限界を外れた
ときは先ず酸の注入量を増加し、さらに管理限界を外れ
たときは鉄金属充填層の洗浄を行うことが好ましい。鉄
金属充填層の洗浄方法には特に制限はなく、例えば、鉄
金属充填層に洗浄水を通じて酸を添加した原水を洗浄水
により置換したのちに、洗浄水と空気の混合流を上向流
で供給し、鉄金属充填層の汚染物質を除去することがで
きる。このような洗浄方法により、鉄金属充填層は展
開、流動化し、洗浄水と空気の混合流を停止することに
より、沈静化してふたたび鉄金属充填層が形成されるの
で、鉄金属充填層の短絡通水も解消する。鉄金属充填層
の鉄量が不足した場合は、鉄金属を補充する。pH及び酸
化還元電位の測定により管理する場合は、酸注入量の増
加、鉄金属充填層の洗浄及び鉄金属の補充を、測定値と
連動して自動化することができる。図1は、本発明の実
施の一態様を示す工程系統図である。pH調整槽1に原水
を受け入れ、塩酸を加えてpH調整を行う。pH調整槽に
は、pH計2を設置する。pH調整した水は、ポンプ3によ
り鉄金属充填槽4に送り、鉄金属と接触せしめる。鉄金
属充填槽より流出する水の配管内に、pH計5及び酸化還
元電位計6を設置し、pH及び酸化還元電位を連続的に測
定する。また、この配管にはサンプリングバルブ7を設
け、必要に応じて検水をサンプリングして2価の鉄イオ
ン濃度の分析を行う。鉄金属充填槽から流出した水は、
凝集反応槽8へ導き、水酸化ナトリウムを添加して、溶
解している鉄イオンを水不溶性の水酸化鉄とし、還元さ
れたセレンとともに凝集沈殿せしめる。この水は、さら
に沈殿分離槽9において凝集沈殿物を沈降分離し、必要
に応じて上澄水にpH調整を行って処理水とする。本発明
方法によれば、6価のセレンを含む排水を鉄金属充填層
に通水し、鉄金属と接触することにより6価のセレンを
還元処理する方法において、pHと2価の鉄イオン濃度又
はpHと酸化還元電位を測定することにより、排水に注入
する酸の量、鉄金属充填層の洗浄、鉄金属の補充などを
制御し、経済的、かつ安定したセレンの除去が可能とな
る。
に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限
定されるものではない。 参考例1(凝集沈殿及び生物脱窒による火力発電所排水
の処理) 図2に示す工程により、火力発電所排水の処理を行っ
た。貯槽10より流出する火力発電所排水は、pH6.5
であり、SS500mg/リットル、鉄10mg/リット
ル、鉛1.0mg/リットル、マンガン8.5mg/リット
ル、フッ素50mg/リットル、全窒素65mg/リットル
及びセレン2.5mg/リットルを含有していた。この排
水を第1凝集反応槽11に導き、硫酸バンド100mg/
リットル及びアニオン性高分子凝集剤0.5mg/リット
ルを添加し撹拌したのち、第1沈殿池12において固液
分離を行った。第1沈殿池の上澄水を第2凝集反応槽1
3に導き、ソーダ灰500mg/リットルを添加し、水酸
化ナトリウムをpHが8.5になるように添加したのち、
第2沈殿池14において固液分離を行った。第2沈殿池
の上澄水は、pH7.2であり、SS30mg/リットル、
鉄0.1mg/リットル以下、鉛0.1mg/リットル以下、
マンガン0.1mg/リットル以下、フッ素30mg/リッ
トル、全窒素60mg/リットル及びセレン2.1mg/リ
ットルを含有していた。第2沈殿池の上澄水を、硝化槽
15及び脱窒槽16へ通水処理し、さらに沈殿分離槽1
7においてSSを除去した。沈殿槽の汚泥は、一部を硝
化槽へ返送した。沈殿槽より上澄水として流出する脱窒
処理水は、pH7.5であり、SS5mg/リットル、鉄0.
1mg/リットル以下、鉛0.1mg/リットル以下、マン
ガン0.1mg/リットル以下、フッ素10mg/リットル
以下、全窒素10mg/リットル及びセレン0.8mg/リ
ットルを含有していた。 実施例1 参考例1で得られたpH7.5であり、セレン0.8mg/リ
ットルを含有する脱窒処理水を原水として、さらに図1
に示す工程によって処理した。容量2リットルのpH調整
槽において、原水に塩酸を300mg/リットル注入して
pH2.5に調整した。この水を、ポンプにより直径0.6
mmの鉄金属粒子200ml(約1,000g)を充填した
カラムに上向流で通水速度4リットル/hr、すなわちS
V20hr-1で通水し、流出する水を容量2リットルの反
応槽に導いた。流出する水のpHは5.5であり、酸化還
元電位は−200mV、2価の鉄イオン濃度は150mg/
リットルであった。反応槽において、水酸化ナトリウム
300mg/リットルを注入してpH9に調整し、凝集反応
を行った。その後、容量5リットルの沈殿分離槽に導き
固液分離を行った。沈殿分離槽の上澄水に塩酸を加えて
中和し、処理水を得た。処理水は、pH7であり、セレン
濃度は0.03mg/リットルであった。 比較例1 pH調整槽において原水に注入する塩酸を100mg/リッ
トルとした以外は、実施例1と同様な操作を繰り返し
た。塩酸100mg/リットルを注入した原水のpHは、
3.0であった。鉄金属粒子を充填したカラムより流出
する水のpHは5.8であり、酸化還元電位は−30mVで
あり、2価の鉄イオン濃度は60mg/リットルであっ
た。反応槽において、水酸化ナトリウム200mg/リッ
トルを注入してpH9に調整し、実施例1と同様に処理し
た。処理水はpH7であり、セレン濃度は0.11mg/リ
ットルであった。pH調整槽において注入する塩酸の量を
300mg/リットルに増加して通水を続け、実施例1と
同様に処理したところ、処理水中のセレン濃度は0.0
3mg/リットルになった。このとき、鉄金属粒子を充填
したカラムより流出する水のpHは5.6であり、酸化還
元電位は−200mVであり、2価の鉄イオン濃度は15
0mg/リットルであった。実施例1及び比較例1の結果
を、第1表に示す。
実施例1においては、カラム流出水のpHが5.5、酸化
還元電位が−200mV、2価の鉄イオン濃度が150mg
/リットルであり、その結果、処理水中のセレン濃度は
0.03mg/リットルとなっている。これに対して、原
水に塩酸100mg/リットルを注入した比較例1におい
ては、カラム流出水のpHは5.8であるが、酸化還元電
位が−30mVと高く、2価の鉄イオン濃度が60mg/リ
ットルと低く、その結果、処理水中のセレン濃度は0.
11mg/リットルとなっている。しかし、比較例1にお
いて、原水への塩酸の注入量を300mg/リットルに増
すと、カラム流出水のpHは5.6、酸化還元電位は−2
00mV、2価の鉄イオン濃度は150mg/リットルとな
り、処理水中のセレン濃度は0.03mg/リットルとな
った。すなわち、カラム流出水のpHと酸化還元電位又は
2価の鉄イオン濃度を測定して、原水への塩酸の注入量
を制御することにより、処理水中のセレン濃度を低く保
つことができる。 実施例2 実施例1の通水試験を70時間継続したところ、処理水
中のセレン濃度が0.15mg/リットルに上昇した。こ
のとき鉄金属充填カラムから流出する水のpH4.8、酸
化還元電位−10mV、2価の鉄イオン濃度は100mg/
リットルであった。塩酸注入量を400mg/リットルに
増加したところ、処理水中のセレン濃度は0.05mg/
リットルとなった。このとき、カラム流出水のpHは5.
4、酸化還元電位−120mV、2価の鉄イオン濃度13
0mg/リットルであった。しかし、このまま80時間通
水を継続すると、処理水中のセレン濃度は0.12mg/
リットルとなった。このとき、カラム流出水のpH4.
9、酸化還元電位−50mV、2価の鉄イオン濃度は11
0mg/リットルであった。この時点で通水をとめ、鉄金
属充填層に工業用水を上向流で通水して洗浄し、さらに
工業用水と空気の混合流を上向流で供給して鉄金属粒子
の充填層の汚染物質を除去したのち、再び塩酸の注入量
を300mg/リットルとして、実施例1と同じ条件で通
水した。処理水中のセレン濃度は0.05mg/リットル
となり、セレン除去性能は回復していた。このとき、カ
ラム流出水のpH5.5、酸化還元電位−200mV、2価
の鉄イオン濃度140mg/リットルであった。実施例2
の結果を、第2表に示す。
酸を一定量注入し、鉄金属充填層へ通水して6価セレン
を還元する反応は、流出水のpHと酸化還元電位又は2価
の鉄イオン濃度を測定することによって、処理水中のセ
レン濃度が規制値である0.1mg/リットル以下を達成
できるか否か、モニターすることが可能であることが分
かる。 実施例3 通水を鉄金属の充填量が不足するまで長期間継続し、鉄
金属と接触した水のpH、酸化還元電位及び2価の鉄イオ
ン濃度を測定し、さらに処理水中のセレン濃度を測定し
た。セレン0.5mg/リットルを含む水に塩酸を350m
g/リットル注入し、鉄金属粒子200mlを充填したカ
ラムに上向流で通水速度SV20hr-1で通水し、カラム
流出水に水酸化ナトリウムを加えてpH9に調整し、凝集
沈殿分離した。通水は、44日間継続した。カラム流出
水のpH、酸化還元電位、2価の鉄イオン濃度及び処理水
中のセレン濃度を第3表に示す。
未満となると、処理水中のセレン濃度が0.1mg/リッ
トルを超えることが分かる。また、カラム流出水の酸化
還元電位と2価の鉄イオン濃度の間には、おおむね相関
関係がある。本実施例の場合、通水35日目に鉄金属粒
子を補給すれば、安定してセレンを含有する水の処理を
継続することができると推定される。
水のpHと2価の鉄イオン濃度又はpHと酸化還元電位を管
理することにより、排水に含まれるセレンを効率的に除
去し、セレンの規制値0.1mg/リットル以下の処理水
を安定して得ることができる。また、pH調整剤、凝集剤
などの薬剤使用量に無駄がなく、汚泥発生量が少なく、
経済的に処理を行うことができる。
図である。
による火力発電所排水の処理工程図である。
Claims (2)
- 【請求項1】セレン含有水を鉄金属充填層に通水して還
元処理する方法において、鉄金属と接触した水のpHが5
〜6であり、2価の鉄イオン濃度が100mg/リットル
以上であることを特徴とするセレン含有水の処理方法。 - 【請求項2】セレン含有水を鉄金属充填層に通水して還
元処理する方法において、鉄金属と接触した水のpH及び
酸化還元電位を測定し、該水のpHが5〜6であり、酸化
還元電位が−50mV以下であるよう調整することを特徴
とするセレン含有水の処理方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21547296A JP3981843B2 (ja) | 1996-07-26 | 1996-07-26 | セレン含有水の処理方法 |
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JP21547296A JP3981843B2 (ja) | 1996-07-26 | 1996-07-26 | セレン含有水の処理方法 |
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JPH1034168A true JPH1034168A (ja) | 1998-02-10 |
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ID=16672944
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JP (1) | JP3981843B2 (ja) |
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1996
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