JPH10340084A - スピーカ取付構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 楽器ケースなどの本体ケース内に音がこもら
ず、クリアーな音を放音することができ、かつスピーカ
ボックスの強度を高め、高音用スピーカなどの第２スピ
ーカの振動に対する音響的な影響を改善することであ
る。 【解決手段】 スピーカボックス２０の手前側の側壁に
取り付けられた高音用スピーカ５から放音された楽音を
メインスピーカ４の放音方向と異なる方向に導く導音ダ
クト２５をスピーカボックス２０に設けたので、高音用
スピーカ５から放音された楽音が楽器ケース１内にこも
らず、クリアーな楽音を楽器ケース１の外部に放音でき
る。また、スピーカボックス２０の壁は中空部を挾む内
壁部と外壁部との２重構造に形成され、かつ中空部に充
填材を充填した構成であるから、スピーカボックス２０
の機械的強度を高めることができ、これにより高音用ス
ピーカ５によるスピーカボックス２０の振動が軽減さ
れ、振動による音響的な影響を改善できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、電子ピアノなど
の電子楽器に用いられるスピーカ取付構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】電子ピアノなどの電子楽器には、例えば
図４に示すような電子鍵盤楽器がある。この種の電子鍵
盤楽器は、楽器ケース（本体ケース）１内の手前側（同
図では左側）に白鍵２ａおよび黒鍵２ｂを並列に配置し
た鍵盤部２が配置され、楽器ケース１内の後側上部に鍵
盤部２を開閉自在に覆う鍵盤蓋３が引出し自在に収納さ
れ、さらに楽器ケース１内における鍵盤部２の後側でか
つ収納された鍵盤蓋３の下側にメインスピーカ（第１ス
ピーカ）４および高音用スピーカ（第２スピーカ）５が
配置された構成になっている。

【０００３】このような電子鍵盤楽器では、楽器ケース
１が、底板６、左右の各側板７、上面板８、前板９、背
面板１０、および上前板１１によって手前側のほぼ半分
が一段低い箱状に形成され、鍵盤部２が楽器ケース１内
の手前側の底部６上に設けられた鍵盤シャーシ１２上に
設けられて前板９と上前板１１との間から外部に露出
し、この鍵盤部２が楽器ケース１の各側板７に設けられ
たガイド部材１３に沿って引出された鍵盤蓋３によって
開閉自在に覆われるようになっている。

【０００４】また、楽器ケース１内のメインスピーカ４
は、楽器ケース１の底板６の後部側に下向きに設けら
れ、底板６に設けられた放音孔６ａから楽器ケース１の
下側に向けて楽音を放音するように構成されている。ま
た、高音用スピーカ５は、鍵盤シャーシ１２とメインス
ピーカ４との間に位置する底板６上に立設された支持板
１４の先端部に前側斜め上方に向けて取り付けられ、鍵
盤蓋３が収納されて鍵盤部２が露出した状態で、鍵盤部
２と鍵盤蓋３との間から楽音を放音するように構成され
ている。この場合、鍵盤部２とガイド部材１３との間に
は、コンソールパネル１５が設けられており、このコン
ソールパネル１５には、高音用スピーカ５から発生した
楽音を楽器ケース１の外部に放音するための放音孔（図
示せず）が設けられている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな電子鍵盤楽器では、高音用スピーカ５が鍵盤蓋３の
下側における鍵盤部２の後方に配置され、かつ鍵盤部２
とガイド部材１３との間がコンソールパネル１５で塞が
れているため、高音用スピーカ５から放音された高域の
楽音が楽器ケース１内にこもってしまい、クリアーな音
を放音することができないという問題がある。また、こ
の電子鍵盤楽器では、高音用スピーカ５が底板６上に立
設された支持板１４の先端部に前側斜め上方に向けて取
り付けられている構造であるから、支持板１４を補強し
ても、高音用スピーカ５による支持板１４の振動を確実
に防ぐことができず、音響的に多少悪影響が残るという
問題がある。

【０００６】この発明の課題は、楽器ケースなどの本体
ケース内に音がこもらず、クリアーな音を放音すること
ができ、かつスピーカボックスの強度を高め、高音用ス
ピーカなどの第２スピーカの振動に対する音響的な影響
を改善することである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】この発明は、本体ケース
と、この本体ケース内に設けられた第１スピーカと、こ
の第１スピーカを囲むスピーカボックスと、このスピー
カボックスの内壁面に第１スピーカの向きと異なる向き
に取り付けられた第２スピーカとを備え、スピーカボッ
クスは、その壁が中空部を挾む内壁部と外壁部との２重
構造に形成され、かつ中空部に充填材が充填された構成
になっており、このスピーカボックスには、第２スピー
カから発生した音を第１スピーカの放音方向と異なる方
向に導く導音ダクトが設けられていることを特徴とす
る。したがって、この発明によれば、スピーカボックス
の内壁面に取り付けられた第２スピーカからの音を第１
スピーカの放音方向と異なる方向に導く導音ダクトをス
ピーカボックスに設けたので、第２スピーカから発生し
た音が本体ケース内にこもらず、クリアーな音を本体ケ
ースの外部に放音することができ、またスピーカボック
スの壁が中空部を挾む内壁部と外壁部との２重構造に形
成され、かつ中空部に充填材を充填した構成であるか
ら、スピーカボックスの機械的強度を高めることがで
き、これにより第２スピーカによるスピーカボックスの
振動が大幅に軽減され、振動による音響的な影響を改善
することができる。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下、図１〜図３を参照して、こ
の発明を電子鍵盤楽器に適用した一実施形態について説
明する。なお、図４に示された従来例と同一部分には同
一符号を付し、その説明は省略する。この電子鍵盤楽器
は、図１に示すように、楽器ケース１内における鍵盤部
２の後側でかつ収納された鍵盤蓋３の下側に、メインス
ピーカ４が配置されているとともに、このメインスピー
カ４を囲むスピーカボックス２０が配置され、このスピ
ーカボックス２０内の手前側（図１では左側）の側壁に
高音用スピーカ５が取り付けられており、これら以外は
従来と同様に構成されている。メインスピーカ４は、図
２に示すように、楽器ケース１内の右後側に位置し、従
来例と同様、図１に示すように楽器ケース１の底板６に
下向きで設けられ、この底板６に設けられた放音孔６ａ
から楽器ケース１の下側に向けて楽音を放音するように
なっている。

【０００９】スピーカボックス２０は、図１に示すよう
に、手前側の側壁が斜めに傾斜し、かつ下側が開放され
た箱状に形成され、下端周縁部が底板６上に固定されて
いる。このスピーカボックス２０は、図３に示すよう
に、中空成形により、その壁が中空部２１を挾む内壁部
２２と外壁部２３との２重構造に形成され、かつ中空部
２１内に発泡ウレタンなどの合成樹脂からなる充填材２
４が充填された構成になっている。そして、スピーカボ
ックス２０の手前側の側壁には、円形状の開口部２０ａ
が形成され、この開口部２０ａの周縁部には、高音用ス
ピーカ５の周縁部が取り付けられている。これにより、
高音用スピーカ５は、メインスピーカ４の向きと異なる
前側斜め上方を向いた状態で、スピーカボックス２０内
に設けられている。

【００１０】また、スピーカボックス２０の手前側の側
壁には、図１に示すように、高音用スピーカ５から放音
された楽音を鍵盤部２とガイド部材３との間に設けられ
たコンソールパネル１５の放音孔１５ａに導いて、この
放音孔１５ａから楽器ケース１の外部に放音させる放音
ダクト２５が取り付けられている。この放音ダクト２５
は、メインスピーカ４の放音方向と異なる楽器ケース１
の前側斜め上方に向けて導くためのものであり、ほぼ四
角形の角筒状に形成され、その両側部がコンソールパネ
ル１５の放音孔１５ａ全体の幅とほぼ同じ幅に形成され
た構成になっている。この場合、放音ダクト２５の上部
は、スピーカボックス２０の手前側の側壁の上部からコ
ンソールパネル１５の放音孔１５ａの後側に亘ってほぼ
水平に設けられており、また放音ダクト２５の下部は、
スピーカボックス２０の手前側の側壁の下部からコンソ
ールパネル１５の放音孔１５ａの手前側に亘って、鍵盤
シャーシ１２および鍵盤部２を避けるように屈曲形成さ
れている。

【００１１】このような電子鍵盤楽器では、スピーカボ
ックス２０の側壁に取り付けられた高音用スピーカ５か
ら放音された楽音をメインスピーカ４の放音方向と異な
る楽器ケース１の前側斜め上方に導く導音ダクト２５を
スピーカボックス２０に設けたので、高音用スピーカ５
から放音された楽音が従来のように楽器ケース１内にこ
もらず、クリアーな楽音として楽器ケース１の前側斜め
上方に向けて放音することができる。また、この電子鍵
盤楽器では、スピーカボックス２０の壁が中空部２１を
挾む内壁部２２と外壁部２３との２重構造に形成され、
かつ中空部２１内に充填材２４が充填された構成である
から、スピーカボックス２０の機械的強度を高めること
ができ、これにより高音用スピーカ５によるスピーカボ
ックス２０の振動が大幅に軽減され、振動による音響的
な影響を改善することができる。

【００１２】なお、上記実施形態では、スピーカボック
ス２０の手前側の側壁に高音用スピーカ５および放音ダ
クト２５を設けて、高音用スピーカ５からの楽音を楽器
ケース１の前側斜め上方に導くようにしたが、これに限
らず、スピーカボックス２０の後側の側壁に高音用スピ
ーカ５および放音ダクト２５を設けて、高音用スピーカ
５からの楽音を楽器ケース１の背面側に導くようにして
も良く、またスピーカボックス２０の左右側の側壁に高
音用スピーカ５および放音ダクト２５を設けて、高音用
スピーカ５からの楽音を楽器ケース１の背面側に導くよ
うにしても良い。また、上記実施形態では、電子鍵盤楽
器に適用した場合について述べたが、これに限らず、電
子ギターなどの電子楽器にも広く適用することができ
る。

【００１３】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、スピーカボックスの内壁面に取り付けられた第２ス
ピーカからの音を第１スピーカの放音方向と異なる方向
に導く導音ダクトをスピーカボックスに設けたので、第
２スピーカから発生した音が本体ケース内に音がこもら
ず、クリアーな音を本体ケースの外部に放音することが
でき、またスピーカボックスの壁が中空部を挾む内壁部
と外壁部との２重構造に形成され、かつ中空部に充填材
を充填した構成であるから、スピーカボックスの強度を
高めることができ、これにより第２スピーカによるスピ
ーカボックスの振動が大幅に軽減され、振動による音響
的な影響を改善することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明のスピーカ取付構造を適用した電子鍵
盤楽器の断面図。

【図２】図１の要部平面図。

【図３】図１のスピーカボックスの拡大断面図。

【図４】従来のスピーカ取付構造を適用した電子鍵盤楽
器の断面図。

【符号の説明】

１ 楽器ケース ４ メインスピーカ ５ 高音用スピーカ ２０ スピーカボックス ２１ 中空部 ２２ 内壁部 ２３ 外壁部 ２４ 充填材 ２５ 放音ダクト

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】本体ケースと、この本体ケース内に設けら
   れた第１スピーカと、この第１スピーカを囲むスピーカ
   ボックスと、このスピーカボックスの内壁面に前記第１
   スピーカの向きと異なる向きに取り付けられた第２スピ
   ーカとを備え、 前記スピーカボックスは、その壁が中空部を挾む内壁部
   と外壁部との２重構造に形成され、かつ前記中空部に充
   填材が充填された構成になっており、 前記スピーカボックスには、前記第２スピーカから発生
   した音を前記第１スピーカの放音方向と異なる方向に導
   く導音ダクトが設けられていることを特徴とするスピー
   カ取付構造。
2. 【請求項２】前記第１スピーカは、前記本体ケース内の
   底部に配置されて前記本体ケースの下方に向けて放音す
   るメインスピーカであり、 前記第２スピーカは、前記スピーカボックスの側壁に取
   り付けられて前記導音ダクトを経て前記本体ケースの前
   側斜め上方に向けて放音する高音用スピーカであること
   を特徴とする請求項１記載のスピーカ取付構造。