JPH10337801A - 光触媒機能を有する積層シート材及びその製造方法 - Google Patents

光触媒機能を有する積層シート材及びその製造方法

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JPH10337801A
JPH10337801A JP9147536A JP14753697A JPH10337801A JP H10337801 A JPH10337801 A JP H10337801A JP 9147536 A JP9147536 A JP 9147536A JP 14753697 A JP14753697 A JP 14753697A JP H10337801 A JPH10337801 A JP H10337801A
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Japan
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sheet
thermoplastic fluororesin
photocatalytic function
fiber
powder
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JP9147536A
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Katsuyuki Toma
克行 当麻
Takahiro Washimi
高弘 鷲見
Shinji Okumura
新司 奥村
Tetsuya Sawara
哲也 佐原
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Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い光触媒機能を維持しつつ、優れた機械的
強度を有するとともに光触媒の脱落が少なくて耐久性に
富み、しかも、成形加工性に優れた光触媒機能を有する
積層シート材及びその製造方法を提供する。 【解決手段】 光触媒機能を有するシートの片面又は両
面に光、気体及び液体が透過する補強用シートを設けた
光触媒機能を有する積層シート材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光触媒機能を有す
る積層シート材及びその製造方法に関する。さらに詳し
くは水中や大気中の汚染物質を光触媒反応で分解除去す
るのに好適な光触媒機能を有する積層シート材及びその
製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、二酸化チタンに代表される半導体
光触媒を利用した水中の汚染物質(揮発性有機塩素化合
物等)や大気中の低濃度汚染物質(窒素酸化物等)の分
解除去方法及び浄化材に関する試みが注目されている。
一般に、半導体光触媒は比表面積が大きい方が効率が高
いため、これらに使用される半導体光触媒は平均粒径1
μm以下の微粒子が用いられている。しかし、半導体光
触媒を微粒子の状態で使用するには触媒の設置、使用、
分離、回収、再生、交換が困難であったり、取扱い難い
ため、微粒子を何らかの担体に担持固定化して使用する
のが好ましい。
【0003】半導体光触媒微粒子を無機材料の担体に担
持固定化したものとしては、例えば、特開平5−253
544号公報には、タイル表面にバインダー層を塗布
し、次いでバインダー層表面に二酸化チタンゾルを吹き
付け、この後バインダー層を加熱溶融させた後、冷却固
化させる方法が開示されているが、この方法は製作工程
が煩雑であり、またタイルを担体とするので、その性質
上、用途に制限があった。また、半導体光触媒微粒子を
有機材料固体に担持固定化する方法として、特開平5−
96181号公報には、球状又は棒状のポリアミド等の
合成樹脂と半導体光触媒粉末とをボールミルにより混合
し、その衝撃力により固定化する方法が開示されている
が、この方法は担体材料であるポリアミド等の合成樹脂
が半導体光触媒による酸化分解を受け、使用時間の経過
とともに材料の強度が大きく低下したり、担持された半
導体光触媒粉末が脱落し易いという問題があった。さら
に、半導体光触媒による酸化分解に対する耐性を有する
合成樹脂材料としてはフッ素樹脂を用いるものとして、
特開平6−315614号公報には、半導体光触媒、粉
末活性炭とフッ素樹脂微粒子とを混合・圧延することに
よりシート状又はパネル状に成形する方法が開示されて
いるが、この方法によって得られるたシートは粉末のみ
から構成されているため、機械的強度が低く、成形加工
性においても十分とはいえなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】かかる状況に鑑み、本
発明の課題は、高い光触媒機能を維持しつつ、優れた機
械的強度を有するとともに光触媒の脱落が少なくて耐久
性に富み、しかも、成形加工性に優れた光触媒機能を有
する積層シート材及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意研究の
結果、光触媒機能を有するシートの表面に、光、気体及
び液体が透過可能な補強用シートを設けた積層シートと
することによって上記課題を解決できることを見出し、
本発明に到達した。すなわち、第一発明は、光触媒機能
を有するシートの片面又は両面に光、気体及び液体が透
過する補強用シートを設けたことを特徴とする光触媒機
能を有する積層シート材を要旨とするものである。第二
発明は、上記の光触媒機能を有するシートが(A)半導
体光触媒粉末と(B)(b1)熱可塑性フッ素樹脂の繊
維、(b2)熱可塑性フッ素樹脂の繊維及び熱可塑性フ
ッ素樹脂の粉末、(b3)熱可塑性フッ素樹脂の繊維及
び強化用繊維、(b4)熱可塑性フッ素樹脂の粉末及び
強化用繊維又は、(b5)熱可塑性フッ素樹脂の繊維、
熱可塑性フッ素樹脂の粉末及び強化用繊維とからなる気
孔率が20〜90体積%のシートであることを特徴とす
る光触媒機能を有する積層シート材を要旨とするもので
ある。第三発明は、(A)半導体光触媒粉末と(B)
(b1)熱可塑性フッ素樹脂の繊維、(b2)熱可塑性
フッ素樹脂の繊維及び熱可塑性フッ素樹脂の粉末、(b
3)熱可塑性フッ素樹脂の繊維及び強化用繊維、(b
4)熱可塑性フッ素樹脂の粉末及び強化用繊維又は、
(b5)熱可塑性フッ素樹脂の繊維、熱可塑性フッ素樹
脂の粉末及び強化用繊維とを均一に分散複合化してシー
ト化し、次いで、このシートの片面又は両面に補強用シ
ートを積層し、前記熱可塑性フッ素樹脂の繊維又は熱可
塑性フッ素樹脂の粉末の熱変形温度以上、熱分解温度未
満の温度で面圧0.1kgf/cm2 以上の圧力下に加
熱加圧し、しかる後に前記範囲の圧力を保持した状態で
冷却することを特徴とする光触媒機能を有する積層シー
ト材の製造方法を要旨とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本発明の光触媒機能を有する積層シート材は光触
媒機能を有するシートの片面又は両面に、光、気体及び
液体が透過する補強用シートを設けたものである。この
光、気体及び液体が透過する補強用シートとしては織
物、編物、不織布又はネット等が挙げられる。本発明に
おいて、光、気体及び液体が透過する補強用シートを設
けるのは、光触媒機能を有するシートの強度を補強し、
光触媒反応に必要な光及び被処理物質である水中や大気
中の汚染物質を補強用シートを透過させるためである。
したがって、補強用シートの材料としては、十分な強度
を有するとともに光触媒による酸化分解に対する耐性を
有する材料が用いられる。かかる材料としては、具体的
にはガラス繊維、炭素繊維、金属等の無機材料、又は熱
可塑性フッ素樹脂等が用いられ、特に、ガラス繊維から
なる織物すなわちガラスクロスが好ましい。また、織
物、編物、不織布又はネット等の目開きは20%以上が
好ましく、特に50%以上であることが好ましい。目開
きが20%未満の場合には光触媒反応に必要な光の量が
不足したり、被処理物質の透過が妨げられて光触媒反応
が有効に行われないことがある。なお、ここで目開きと
は、織物を例にとると、以下の方法で決定される。すな
わち、織物の面積をScm2 、織物の糸と糸の間の空隙
の面積をTcm2 とすると、次の式から算出されるもの
である。 (T/S)×100(%)
【0007】本発明の光触媒機能を有するシートとして
は、半導体光触媒をシート基材の表面や内部担持させて
得られるシート又は半導体光触媒物質を他の材料と混合
してシート状に成形して得られる複合シート等が挙げら
れる。特に、可撓性に富み、耐久性を備えている点から
して、半導体光触媒粉末と、熱可塑性フッ素樹脂の繊維
又は熱可塑性フッ素樹脂の粉末とを含み、半導体光触媒
粉末が熱可塑性フッ素樹脂のバインダー作用によって捕
捉されてなるシートが好ましく用いられる。その様なシ
ートは気孔率が20〜90体積%であることが好まし
く、特に50〜80体積%であることが好ましい。気孔
率が20体積%より小さい場合には、光触媒反応による
処理容量が小さくなることがあり、一方、気孔率が90
体積%より大きい場合には、シートの強度が低下し、取
り扱いや使用上に問題が生じることがある。ここで気孔
率とは、以下の方法で決定するものとする。すなわち、
シートの気孔を有しない場合の理論密度をAg/cm3
とし、本発明の光触媒機能を有するシートの見かけ密度
をBg/cm3 とすると、気孔率は次の式から算出され
るものである。 〔(A−B)/A〕×100(%)
【0008】前記の半導体光触媒粉末としては、酸化チ
タン、チタン酸ストロンチウム、硫化カドミウム、酸化
亜鉛、テルル化カドミウム、セレン化カドミウム、珪
素、酸化タングステン、酸化鉄、硫化モリブデン等が挙
げられ、これらを目的に応じて単独または混合して用い
ることができる。半導体光触媒粉末の形状としては、そ
の平均粒子径が150μm以下のものが好ましい。平均
粒子径が150μmを超えると、シート中に均一に分散
させることが困難になる傾向があり、また、シートの取
り扱い及び使用時にシートから脱落しやすい傾向があ
る。
【0009】また、前記の熱可塑性フッ素樹脂として
は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチ
レン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、
テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共
重合体、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロ
ピレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合
体、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ポリ
ビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチ
レン、ポリビニルフルオライド、クロロトリフルオロエ
チレン・エチレン共重合体等が挙げられる。特にテトラ
フルオロエチレン成分を95モル%以上含有するもの
が、耐久性の面から好ましく用いられる。
【0010】本発明において、熱可塑性フッ素樹脂の繊
維又は熱可塑性フッ素樹脂の粉末を光触媒機能を有する
シートに用いる際に、これらは、上記の(b1)、(b
2)、(b3)、(b4)又は(b5)の組み合わせで
用いられる。更に、光触媒機能を有するシートの機能を
さらに高める目的で、粉末活性炭、活性炭素繊維、ゼオ
ライト等をシートの性能を損なわない範囲で添加するこ
ともできる。
【0011】本発明の光触媒機能を有する積層シート材
は例えば次のような方法で製造することができる。ま
ず、半導体光触媒粉末と、熱可塑性フッ素樹脂の繊維、
熱可塑性フッ素樹脂の粉末又は強化用無機繊維を上記の
組み合わせとしたものとを、所定の割合で水等の水性媒
体中において分散、混合したのち、シートを形成する。
熱可塑性フッ素樹脂の繊維としては、延伸繊維又は未延
伸繊維のいずれでもよいが、後述する熱プレス工程にお
いて樹脂の熱変形温度以上に加熱した際のシートの寸法
変化がより少ないと言う点で、未延伸繊維がより好まし
い。熱可塑性フッ素樹脂の繊維の繊維長は、1〜50m
mのものが用いられ、特に3〜25mmが好ましい。繊
維長が50mmよりも長い場合には半導体光触媒粉末と
繊維とが均一に分散されにくい傾向があり、一方、1m
mより短い場合にはシートに充分な強度が得られにくい
傾向がある。また、その繊維径は100μm以下が好ま
しく、さらに好ましくは30μm以下である。繊維径が
100μmより太い場合には、均一なシートが得られに
くい傾向があり、また半導体光触媒粉末を多量に捕捉す
ることが困難になる傾向がある。
【0012】また、熱可塑性フッ素樹脂の粉末は、平均
粒子径が500μm以下のものが好ましい。平均粒子径
が500μmを超える場合には、均一なシートが得られ
にくい傾向があり、また半導体光触媒粉末を多量に捕捉
することが困難になる傾向がある。
【0013】さらに、強化用繊維としては、ピッチ系又
はポリアクリロニトリル系のカーボン繊維、活性炭素繊
維、ガラス繊維、アルミナ繊維等が単独又は混合して用
いられる。その平均繊維長は、1〜50mmのものが好
ましく、特に3〜25mmが好ましい。平均繊維長が1
mmより短い場合には、強化用繊維としての作用を発揮
しにくい傾向にあり、一方、50mmを超える場合に
は、シート中に均一に分散され難い傾向にある。また、
平均繊維径としては、2〜100μmが好ましく、特に
5〜50μmが好ましい。平均繊維径が2μmより小さ
い場合には、強化用繊維としての作用を発揮しにくい傾
向にあり、一方、100μmを超える場合には、シート
中に均一に分散され難い傾向にある。
【0014】熱可塑性フッ素樹脂の繊維を半導体光触媒
粉末のバインダーとして用いる場合、半導体光触媒粉末
100重量部に対して、熱可塑性フッ素樹脂の繊維は2
5〜1900重量部であり、これに加えて、強化用繊維
を使用する場合は、上記半導体光触媒粉末に対して2〜
1500重量部である。また、熱可塑性フッ素樹脂の粉
末を半導体光触媒粉末のバインダーとして用いる場合、
好ましくは、半導体光触媒粉末100重量部に対して、
熱可塑性フッ素樹脂の粉末は400〜1700重量部、
強化用無機繊維は200〜1500重量部であり、これ
に加えて、熱可塑性フッ素樹脂の繊維を使用する場合
は、上記半導体光触媒粉末に対して300〜1600重
量部である。上記範囲の組成において、十分なシート強
度及び光触媒機能を有するシートが得られ、また、気孔
率を20〜90体積%に確保することができる。
【0015】半導体光触媒粉末と熱可塑性フッ素樹脂の
繊維、熱可塑性フッ素樹脂の粉末又は強化用無機繊維と
を水性媒体中で分散混合する際には、例えば、結合剤を
用いることが好ましく、結合剤を複合シートの1〜10
重量%、特に3〜5重量%添加させることが好ましい。
そのような結合剤としては、例えば、結合したスルホニ
ウム基、イソチオウロニウム基、ピリジニウム基、第四
アンモニウム基、サルフェート基、スルホネート基又は
カルボキシレート基を含有するアクリルポリマー又はス
チレン・ブタジエンポリマーのような結合した陰イオン
もしくは陽イオン電荷を有する実質的に水に不溶な有機
ポリマーからなるポリマーラテックスが挙げられる。
【0016】この他、半導体光触媒粉末と熱可塑性フッ
素樹脂の繊維、熱可塑性フッ素樹脂の粉末、強化用無機
繊維とを水性媒体中に分散させて複合化する方法におい
ては、澱粉、特に天然澱粉又はコーンスターチのような
線状澱粉及び陽イオン澱粉を含む酵素的又は化学的に変
性した澱粉を含めた澱粉を結合剤として使用することが
できる。さらに、この結合剤を使用する好ましい方法と
しては有機凝集剤を併用する。適当な有機凝集剤として
は、アルミニウム・ポリクロリド(アルミニウム・ヒド
ロオキシクロリド)、一部加水分解したポロアクリルア
ミド、変性陽イオンポリアクリルアミド、ジアリルジエ
チルアンモニウムクロリドなどの種々の有機凝集剤が挙
げられる。この凝集剤の添加量は、光触媒機能を有する
シートの約3重量%未満、好ましくは1重量%未満であ
る。また、分散性を向上させるために、例えばキサンタ
ンガム等のスラリー粘度調整剤を用いることもできる。
このような増粘剤の添加量は光触媒機能を有するシート
の2重量%未満であることが好ましい。
【0017】このようにして、水性媒体中で半導体光触
媒粉末と熱可塑性フッ素樹脂の繊維、熱可塑性フッ素樹
脂の粉末又は強化用無機繊維とを複合化した後、望まし
くは抄紙機等を用いて抄紙の要領で、水性媒体中の固形
分をシート状となすように固液分離する。これにより、
半導体光触媒粉末と熱可塑性フッ素樹脂の繊維、熱可塑
性フッ素樹脂の粉末又は強化用無機繊維とが十分に分散
混合されて、半導体光触媒が均一に分散したシートが得
られる。得られた湿ったシートを乾燥して、光触媒機能
を有するシートとなし、このシートの片面又は両面に
光、気体及び液体が透過する補強用シートを配し、熱可
塑性フッ素樹脂の繊維又は熱可塑性フッ素樹脂の粉末の
熱変形温度以上、好ましくは熱変形温度より10℃高い
温度から該熱可塑性フッ素樹脂の融点又は軟化点より2
0℃高い範囲の温度で、面圧0.1kg/cm2 以上、
好ましくは1〜1000kg/cm2 のプレス圧力下に
加熱し、次いで前記範囲のプレス圧力を保持した状態で
冷却して本発明の光触媒機能を有する積層シート材を得
る。この加熱プレス工程において熱可塑性フッ素樹脂の
融点近傍の温度に加熱されることにより半導体光触媒粉
末が該熱可塑性樹脂によって接着され、光触媒機能を有
するシート中に強固に捕捉された状態となる。なお、光
触媒機能を有するシートの気孔率を20〜90体積%の
範囲内とするためには、上記のプレス圧力で調整する
か、所定のシート厚みとなるような金型もしくはスぺー
サーを使用することもできる。
【0018】また、光触媒機能を有するシートに補強用
シートを積層して一体化する方法は、上記方法に限定さ
れるものではなく、例えば接着剤による接着法、テープ
等による接着法、圧着法等が挙げられ、光、気体及び液
体の透過が確保される条件で、目的に応じて選択され
る。また、本発明の光触媒機能を有する積層シート材に
おいては、片面にのみ上記の補強用シートを積層する場
合には、機械的強度を更に向上させる等の目的で光触媒
反応が行われない他方の面に補強のための他のシートを
配してもよく、この場合に他のシートには光、気体及び
液体を透過させる性質を有しないものが用いられる。本
発明の光触媒機能を有する積層シート材においては、光
触媒機能を有するシートの片面又は両面に、光、気体及
び液体が透過する補強用シートを設けることにより、光
触媒機能を維持しつつ機械的強度が向上し、使用時や使
用途中での洗浄時における光触媒機能を有するシートの
破損やそれに伴う光触媒の脱落を防止することができ
る。さらに、本発明において、可撓性に富むシート材料
を選ぶと、切断や加工がより容易になり、また他の材料
の表面に貼る等して使用に供することもできる。
【0019】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
する。 実施例1 水12.25リットル中に、攪拌しながらスラリー粘度
調整剤としてキサンタンガム0.47gを加えた後、主
成分がテトラフルオロエチレンからなる平均繊維長が5
mm、平均繊維径が12μmの熱可塑性フッ素樹脂の繊
維[東レファインケミカル(株)、商品名トヨフロン]
17.42g、強化用無機繊維として平均繊維長5mm
のピッチ系炭素繊維[ドナック(株)、商品名ドナカー
ボS−231]8.71gをこの水に加え、5分間攪拌
してよく分散させた。次いで、この分散物に平均粒子径
0.02μmの二酸化チタン粉末[石原産業(株)、商
品名ST−21]17.42gと、固体アクリルポリマ
ーラテックス2gを加えた後、0.41重量%の陽イオ
ン凝集剤[Betz Laboratories 社製、商品名Betz126
0]26.56gを徐々に加えることによって凝集させ
てスラリーを得た。このスラリーを水12.25リット
ルを含有するシートマシン[熊谷理機工業(株)製]に
加え、0.18mmのスクリーン上で脱水して湿ったシ
ートを得、135℃で乾燥し、目付424g/m2 の光
触媒機能を有するシートを得た。この時、二酸化チタン
粉末100重量部に対し、熱可塑性フッ素樹脂の繊維は
100重量部、炭素繊維は50重量部であった。
【0020】この光触媒機能を有するシートの両面に目
付50g/m2 、目開き50%の平織のガラスクロスを
配し、面圧100kgf/cm2 、温度320℃にて3
分間加熱プレスし、この圧力を保持しつつ室温まで冷却
し、厚みが0.74mmの光触媒機能を有する積層シー
ト材を得た。この光触媒機能を有する積層シート材中の
光触媒機能を有するシートの厚みは0.67mmであ
り、気孔率は70%と計算された。
【0021】得られた光触媒機能を有する積層シート材
(10cm角)1枚をテドラーバッグ中に入れて密閉
し、450ppmのアンモニアガス3リットルを注入し
た。次いで、上方から光化学用蛍光灯(10W×3本)
で近紫外光を2時間照射した。照射後、テドラーバッグ
中のアンモニアの残留濃度をガス検知管にて測定したと
ころ、0.1ppm以下であった。また、この光触媒機
能を有する積層シート材は手では容易に引き裂くことは
できず、十分な引き裂き強度を有するものであった。ま
た、鋏やカッターで容易に切断でき、加工が容易であ
り、また可撓性も十分に備えているものであった。
【0022】比較例1 実施例1で得られた光触媒機能を有するシートのみを面
圧100kgf/cm2 、温度320℃にて3分間加熱
プレスし、この圧力を保持しつつ室温まで冷却し、光触
媒機能を有するシート材を得た。この光触媒機能を有す
るシート材の厚みは0.67mmであり、気孔率は70
%であった。得られた光触媒機能を有するシート材に実
施例1と同様にして近紫外光を照射してアンモニアの残
留濃度を測定したところ、0.1ppm以下であった。
しかし、この光触媒機能を有するシート材は比較的容易
に手で引き裂くことができた。
【0023】以上の結果から明らかなように、本発明の
実施例1の光触媒機能を有する積層シート材は、補強用
シートが積層されていない比較例1の光触媒機能を有す
るシート材と同等の光触媒機能を有し、補強用シートが
積層されていない比較例1の光触媒機能を有するシート
材と比べて優れた引き裂き強度を有するものであった。
【0024】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の光触媒機能を有する積層シート材は、特定の補強用シ
ートを設けたので、高い光触媒機能を維持しつつ、優れ
た機械的強度を有するとともに光触媒の脱落が少なくて
耐久性に富み、しかも、成形加工性にも優れている。ま
た、本発明の製造法によると、上記光触媒機能を有する
積層シート材を容易に製造することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B32B 27/30 B32B 27/30 D 31/20 31/20 // B01J 35/02 B01J 35/02 J (72)発明者 佐原 哲也 大阪府大阪市中央区久太郎町4丁目1番3 号 ユニチカ株式会社大阪本社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光触媒機能を有するシートの片面又は両
    面に光、気体及び液体が透過する補強用シートを設けた
    ことを特徴とする光触媒機能を有する積層シート材。
  2. 【請求項2】 補強用シートが織物、編物、不織布又は
    ネットであることを特徴とする請求項1記載の光触媒機
    能を有する積層シート材。
  3. 【請求項3】 織物がガラスクロスであることを特徴と
    する請求項2記載の光触媒機能を有する積層シート材。
  4. 【請求項4】 光触媒機能を有するシートが (A)半導体光触媒粉末と (B)(b1)熱可塑性フッ素樹脂の繊維、 (b2)熱可塑性フッ素樹脂の繊維及び熱可塑性フッ素
    樹脂の粉末、 (b3)熱可塑性フッ素樹脂の繊維及び強化用繊維、 (b4)熱可塑性フッ素樹脂の粉末及び強化用繊維又
    は、 (b5)熱可塑性フッ素樹脂の繊維、熱可塑性フッ素樹
    脂の粉末及び強化用繊維 とからなる気孔率が20〜90体積%のシートであるこ
    とを特徴とする請求項1記載の光触媒機能を有する積層
    シート材。
  5. 【請求項5】(A)半導体光触媒粉末と (B)(b1)熱可塑性フッ素樹脂の繊維、 (b2)熱可塑性フッ素樹脂の繊維及び熱可塑性フッ素
    樹脂の粉末、 (b3)熱可塑性フッ素樹脂の繊維及び強化用繊維、 (b4)熱可塑性フッ素樹脂の粉末及び強化用繊維又
    は、 (b5)熱可塑性フッ素樹脂の繊維、熱可塑性フッ素樹
    脂の粉末及び強化用繊維 とを均一に分散複合化してシート化し、次いで、このシ
    ートの片面又は両面に補強用シートを積層し、前記熱可
    塑性フッ素樹脂の繊維又は熱可塑性フッ素樹脂の粉末の
    熱変形温度以上、熱分解温度未満の温度で面圧0.1k
    gf/cm2 以上の圧力下に加熱加圧し、しかる後に前
    記範囲の圧力を保持した状態で冷却することを特徴とす
    る請求項4記載の光触媒機能を有する積層シート材の製
    造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005271511A (ja) * 2004-03-26 2005-10-06 Teijin Techno Products Ltd 複合繊維構造体
JP2013169408A (ja) * 2012-02-22 2013-09-02 Pearl Lighting Co Ltd 光触媒脱臭装置

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