JPH10331707A - エンジンの失火診断装置 - Google Patents

エンジンの失火診断装置

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JPH10331707A
JPH10331707A JP14238397A JP14238397A JPH10331707A JP H10331707 A JPH10331707 A JP H10331707A JP 14238397 A JP14238397 A JP 14238397A JP 14238397 A JP14238397 A JP 14238397A JP H10331707 A JPH10331707 A JP H10331707A
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JP
Japan
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misfire
lock
clutch
misfire determination
threshold value
Prior art date
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Application number
JP14238397A
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English (en)
Inventor
Shigeaki Kakizaki
成章 柿▲ざき▼
Hirobumi Tsuchida
博文 土田
Akira Tayama
彰 田山
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 クランク軸と動力伝達系が直結状態にあるか
どうかに関係なく、失火判定を精度良く行う。 【解決手段】 燃焼行程で発生するトルクに応じた失火
パラメータを検出手段21が検出し、この失火パラメー
タと失火判定しきい値を比較することにより失火判定手
段22が失火判定を行う。動力伝達系の慣性モーメント
を検出手段23が検出し、この動力伝達系の慣性モーメ
ントに応じて前記失火判定しきい値を設定手段24が設
定する。このときの失火判定しきい値の設定は、失火時
の失火パラメータの値が動力伝達系の慣性モーメントに
応じて変化することに合わせたもので、これによって動
力伝達系の慣性モーメントが変化することがあっても、
失火判定の精度を高く保つことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明はエンジンの失火診
断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】失火が生じると、出力の低下やエンジン
の安定性の低下を招くほか、未燃焼の混合気がそのまま
排出されて排気中の有害成分が増加するので、各種の失
火診断装置が提案されている。この種の装置にたとえ
ば、クランク軸に固着される回転板の周縁に180°離
して2つの突起を形成する一方で、この突起に対向しか
つ圧縮上死点位置近傍とその位置より90°進角した位
置とに近接スイッチ(圧縮上死点位置近傍のほうが第1
近接スイッチ、90°進角したほうが第2近接スイッ
チ)を設け、各近接スイッチ近傍の所定角度θを通過す
る時間(第1近接スイッチ近傍のθを通過するに要する
時間がT1、第2近接スイッチ近傍のθを通過するに要
する時間がT2)の差T1−T2より失火したかどうか
の判定を行うものがある(特開昭57−188748号
公報参照)。
【0003】このものでは、正常燃焼時に第1近接スイ
ッチから第2近接スイッチまでの過程で回転板が加速さ
れるため、T2が小さくなり、T1−T2が所定値αよ
り大きくなるのに対して、失火時には逆にT1−T2が
所定値より小さくなることから、T1とT2の時間差よ
り失火の有無を判定できるわけである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来装
置ではエンジンのクランク軸がトランスミッション等の
動力伝達系から切り離され定常回転しているアイドル時
には、失火の有無を精度良く判定できても、クランク軸
と動力伝達系が直結された状態になると、失火判定の精
度が落ちてしまう。
【0005】これは、 Δω=(Te−Tc)/(Ipt+Ipc) …(1) ただし、Δω:クランク軸の角加速度 Te:軸トルク(エンジン発生トルク) Tc:車両の走行抵抗トルク Ipt:エンジンの慣性モーメント Ipc:動力伝達系の総慣性モーメント の式で示されるように、クランク軸角加速度Δωが動力
伝達系の慣性モーメントIpcの影響を強く受け、クラ
ンク軸が動力伝達系に機械的に直結されている状態で
は、失火に伴う負のエンジントルクが車両の保有する慣
性モーメントの変化に影響され、クランク軸角加速度と
して正確に現れないためである。
【0006】そこでこの発明は、燃焼行程で発生するト
ルクに応じた失火パラメータと失火判定しきい値の比較
により失火判定を行うとともに、その失火判定しきい値
を動力伝達系の慣性モーメントに応じて設定することに
より、クランク軸と動力伝達系が直結状態にあるかどう
かに関係なく、失火判定を精度良く行うことを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、図16に
示すように、燃焼行程で発生するトルクに応じた失火パ
ラメータを検出する手段21と、この失火パラメータと
失火判定しきい値を比較することにより失火判定を行う
手段22と、動力伝達系の慣性モーメントを検出する手
段23と、この動力伝達系の慣性モーメントに応じて前
記失火判定しきい値を設定する手段24とを設けた。
【0008】第2の発明は、図17に示すように、燃焼
行程に対応して決められたクランク角区間でのクランク
軸角加速度Δωを検出する手段31と、動力伝達系の慣
性モーメントを検出する手段23と、失火判定しきい値
JDTをマイナスの値でかつ前記動力伝達系の慣性モー
メントが大きくなるほど0に近づく値で設定する手段3
2と、この失火判定しきい値JDTと前記クランク軸角
加速度Δωを比較することにより失火判定を行う手段3
3とを設けた。
【0009】第3の発明では、第2の発明において所定
の運転領域でロックアップクラッチを締結する自動変速
機を備える一方、前記動力伝達系慣性モーメント検出手
段23が前記ロックアップクラッチが締結状態であるの
か解除状態であるのかを判定する手段であり、前記失火
判定しきい値設定手段32がロックアップクラッチ締結
状態での失火判定しきい値を、ロックアップクラッチ解
除状態での失火判定しきい値よりも0に近く設定する手
段である。
【0010】第4の発明では、第3の発明において前記
ロックアップクラッチが締結状態であるのか解除状態で
あるのかを、ロックアップ制御信号から判定する。
【0011】第5の発明では、第3の発明においてエン
ジン回転数Neと車速VSPの比から前記ロックアップ
クラッチが締結状態であるのか解除状態であるのかを判
定する。
【0012】第6の発明では、第2の発明において手動
変速機を備える一方、前記動力伝達系慣性モーメント検
出手段23がクランク軸と前記手動変速機が直結状態で
あるのか非直結状態であるのかを判定する手段であり、
前記失火判定しきい値設定手段32がクランク軸と手動
変速機の直結状態での失火判定しきい値を、非直結状態
での失火判定しきい値よりも0に近く設定する手段であ
る。
【0013】第7の発明では、第6の発明においてクラ
ッチの締結状態を検出する手段とギヤがニューラル位置
にあることを検出する手段からの信号より前記クランク
軸と前記手動変速機が直結状態であるのか非直結状態で
あるのかを判定する。
【0014】第8の発明では、第6の発明においてエン
ジン回転数と車速の比から前記クランク軸と前記手動変
速機が直結状態であるのか非直結状態であるのかを判定
する。
【0015】第9の発明では、図18に示すように、ロ
ックアップクラッチのスリップ率が調整可能な自動変速
機を備える一方、燃焼行程に対応して決められたクラン
ク角区間のクランク軸角加速度Δωを検出する手段31
と、前記ロックアップクラッチのスリップ率を検出する
手段41と、失火判定しきい値をマイナスの値でかつこ
のスリップ率が小さくなるほど0に近づく側に設定する
手段42と、この失火判定しきい値JDTと前記クラン
ク軸角加速度Δωを比較することにより失火判定を行う
手段43とを設けた。
【0016】第10の発明では、図19に示すように、
所定の運転領域でロックアップクラッチを締結する自動
変速機を備える一方、燃焼行程に対応して決められたク
ランク角区間のクランク軸角加速度Δωを検出する手段
31と、前記ロックアップクラッチが締結状態であるの
か解除状態であるのかを判定する手段51と、失火判定
しきい値をマイナスの値でかつこの判定結果よりロック
アップクラッチ締結状態での失火判定しきい値を、ロッ
クアップクラッチ解除状態での失火判定しきい値よりも
0に近く設定する手段52と、前記判定結果よりロック
アップクラッチ締結状態であるときその状態での前記ク
ランク軸角加速度Δωと前記ロックアップクラッチ締結
状態での失火判定しきい値JDTを比較することにより
第1の失火判定を行う手段53と、この第1の失火判定
で失火が生じたと判定されたとき前記ロックアップクラ
ッチの締結を強制的に解除する手段54と、このロック
アップクラッチ強制解除状態のときその状態での前記ク
ランク軸角加速度Δωと前記ロックアップクラッチ解除
状態での失火判定しきい値JDTを比較することにより
第2の失火判定を行う手段55とを設けた。
【0017】第11の発明では、図20に示すように、
所定の運転領域でロックアップクラッチを締結する自動
変速機を備える一方、燃焼行程に対応して決められたク
ランク角区間のクランク軸角加速度Δωを検出する手段
31と、前記ロックアップクラッチが締結状態であるの
か解除状態であるのかを判定する手段51と、失火判定
しきい値をマイナスの値でかつこの判定結果よりロック
アップクラッチ締結状態での失火判定しきい値を、ロッ
クアップクラッチ解除状態での失火判定しきい値よりも
0に近く設定する手段52と、前記判定結果よりロック
アップクラッチ締結状態であるときその状態での前記ク
ランク軸角加速度Δωと前記ロックアップクラッチ締結
状態での失火判定しきい値JDTを比較することにより
第1の失火判定を行う手段53と、この第1の失火判定
で失火が生じたと判定された場合にその後にロックアッ
プクラッチ解除状態となったときその状態での前記クラ
ンク軸角加速度Δωと前記ロックアップ解除状態での失
火判定しきい値JDTを比較することにより第2の失火
判定を行う手段61とを設けた。
【0018】第12の発明では、第2から第9までのい
ずれか一つの発明において前記失火判定手段が、前記ク
ランク軸角加速度Δωが前記失火判定しきい値JDTよ
り小さくなったかどうかを一定の周期で判定する手段
と、この判定結果より所定期間当たりにクランク軸角加
速度Δωが失火判定しきい値JDTより小さくなった回
数を失火回数CNGとして計測する手段と、この所定期
間当たりの失火回数と判定値JCの比較により所定期間
当たりの失火回数が判定値JCを超えたとき失火が生じ
たと判定する手段とからなる。
【0019】第13の発明では、第1、第2、第3、第
4、第5、第6、第7、第8、第9、第12のいずれか
一つの発明において前記失火判定手段により失火が生じ
たと判定されたとき故障を警報する。
【0020】第14の発明では、第10または第11の
発明において前記失火判定手段が、前記クランク軸角加
速度Δωが前記失火判定しきい値JDTより小さくなっ
たかどうかを一定の周期で判定する手段と、この判定結
果より所定期間当たりにクランク軸角加速度Δωが失火
判定しきい値JDTより小さくなった回数を失火回数C
NGとして計測する手段と、この所定期間当たりの失火
回数と判定値JCの比較により所定期間当たりの失火回
数が判定値JCを超えたとき失火が生じたと判定する手
段とからなる。
【0021】第15の発明では、第10、第11、第1
4のいずれか一つの発明において前記第2の失火判定手
段により失火が生じたと判定されたとき故障を警報す
る。
【0022】第16の発明では、第2から第15までの
いずれか一つの発明において前記クランク軸角加速度検
出手段が、クランク角の基準位置を検出する手段と、ク
ランク角の単位角を検出する手段と、これら検出値に基
づいて前記燃焼行程に対応して決められたクランク角区
間のうち前半と後半に離して設けた第1計測区間と第2
計測区間を経過するに要する時間T1、T2を計測する
手段と、前記検出値に基づいて前記2つの計測区間のあ
いだを経過するに要する時間Tdtをサンプリング時間
として計測する手段と、このサンプリング時間Tdtと
前記各計測区間の経過時間T1、T2とから前記クラン
ク軸角加速度Δωを計算する手段とからなる。
【0023】
【発明の効果】燃焼行程で発生するトルクに応じた失火
パラメータとして燃焼行程に対応するクランク角区間に
要する時間を用いる従来装置では、この時間計測値が失
火時に長くなるので、時間計測値と失火判定しきい値を
比較し、時間計測値が失火判定しきい値を超えたとき失
火が生じたと判定している。
【0024】しかしながら、クランク軸と動力伝達系が
直結されている状態では、失火してもクランク軸の回転
がたいして落ちず、失火時の時間計測値がそれほど長く
ならない(つまり失火判定に対する感度が鈍くなる)の
で、失火時の時間計測値が失火判定しきい値を超えるこ
とができない場合も生じ、失火判定の精度が落ちてく
る。このとき、第1の発明では、クランク軸と動力伝達
系が直結されている状態(つまりクランク軸からみた動
力伝達系の慣性モーメントが大きい状態)になると、失
火時の時間計測値が動力伝達系の慣性モーメントの影響
を受けて小さくなるのに合わせて、失火判定しきい値
が、クランク軸と動力伝達系が直結されていない状態
(クランク軸からみた動力伝達系の慣性モーメントがな
い状態)よりも小さくなる側に設定されるので、クラン
ク軸と動力伝達系が直結されている状態での失火判定の
精度が落ちることを防止することができる。
【0025】第2の発明は、燃焼行程に対応して決めら
れたクランク角区間でのクランク軸角加速度を失火パラ
メータとする場合である。前記(1)式より動力伝達系
の慣性モーメントが一定であれば、クランク軸角加速度
が軸トルクに比例するので、このクランク軸角加速度と
失火判定しきい値を比較することにより失火判定を行う
ことができる。失火時は軸トルクがマイナス(したがっ
てクランク軸角加速度もマイナス)となるので、失火判
定しきい値をマイナスの値で設定しておき、クランク軸
角加速度が失火判定しきい値よりも小さくなったとき失
火が生じたと判定するわけである。
【0026】ただし、前記(1)式より失火時には動力
伝達系の慣性モーメントが大きいほどクランク軸角加速
度がマイナス側より0に近づいてくる。このため、たと
えば動力伝達系の慣性モーメントが小さい場合にマッチ
ングした失火判定しきい値を、動力伝達系の慣性モーメ
ントが大きい場合にもそのまま用いたのでは、失火時の
クランク軸角加速度が失火判定しきい値よりも大きくな
って失火と判定されないことになる。このとき第2の発
明では、失火判定しきい値を動力伝達系の慣性モーメン
トの大きさに合わせて、つまり失火判定しきい値を動力
伝達系の慣性モーメントが大きくなるほどマイナス側よ
り0に近づく値で設定するので、動力伝達系の慣性モー
メントが変化し、その変化に伴って失火時のクランク軸
角加速度が影響を受けることがあっても、失火判定の精
度を高く保つことができる。
【0027】なお、燃焼行程に対応するクランク角区間
に要する時間の計測値TINTを失火パラメータとして
用いる公知もの(たとえば特開平9−32625号公報
参照)ものでは、失火パラメータを得るのに二行程(4
気筒では360°区間)以上が必要となるのに対して第
2の発明では一行程(4気筒では180°区間)で失火
パラメータが得られるほか、前後の燃焼気筒の影響を排
除できる分だけ失火判定精度が向上する。さらに詳述す
ると、TINTを失火パラメータとして用いるもので
は、特定気筒が失火した場合にTINTが長くなるので
あるが、特定気筒の直前の燃焼気筒の発生トルクが何ら
かの原因で大きくなった場合でも、特定気筒に失火が生
じていないのにTINTが長くなる。すなわち、TIN
Tを失火パラメータとして用いるものでは気筒間の燃焼
状態を相対的に比較しているので、他の気筒の影響を分
離できないのである。これに対して、第2の発明では、
燃焼による筒内圧力(回転力を与える)によって、その
燃焼が生じた気筒の膨張行程でクランク軸がどのくらい
加速されたかを計測するので、慣性モーメントが一定
(または既知)であれば発生トルクの絶対値を計測でき
るほどで、したがって他の気筒の燃焼状態の影響を受け
にくいのである。
【0028】第3の発明では、ロックアップクラッチ締
結状態(つまりトルクコンバータ以降の動力伝達系の慣
性モーメントがクランク軸に加わり、エンジンからみた
総慣性モーメントが大きくなる)での失火判定しきい値
をロックアップクラッチが解除状態にあるときよりも0
に近く設定するので、ロックアップクラッチ締結状態に
おいても、失火判定しきい値が失火時のクランク軸角加
速度に応じたものとなり、これによってロックアップク
ラッチ締結状態での失火判定を高精度に行うことができ
る。
【0029】エンジン回転数と車速の比より概略のギア
位置を推定することができることから、第5の発明では
推定したギア位置よりロックアップクラッチの締結状態
であることを、また第8の発明では推定したギヤ位置よ
りクランク軸と手動変速機が直結状態にあると判断でき
る。これによって、新たなセンサを追加する必要がな
い。
【0030】第6の発明では、クランク軸と手動変速機
の直結状態(動力伝達系の慣性モーメントがクランク軸
に加わり、エンジンからみた総慣性モーメントが大きく
なる)での失火判定しきい値を非直結状態のときより0
に近く設定するので、クランク軸と手動変速機が直結状
態となるときでも、失火判定しきい値が失火時のクラン
ク軸角加速度に応じたものとなり、これによってクラン
ク軸と手動変速機の直結状態での失火判定を高精度に行
うことができる。
【0031】第9の発明では、ロックアップクラッチの
スリップ率の変化により動力伝達系の慣性モーメントが
連続的に変化する領域においても、失火判定を高精度に
行うことができる。
【0032】動力伝達系の慣性モーメントの影響で失火
時のクランク軸角加速度の検出能力が小さくなるロック
アップクラッチ締結状態で第1の失火判定を行ったとき
には、路面外乱等の影響によって失火していないのに失
火が生じたとして誤判定されることがある。このとき第
10の発明ではロックアップクラッチの締結を強制解除
して失火判定に対するクランク軸角加速度の感度が増し
た状態で、また第11の発明ではその後にロックアップ
クラッチが解除され失火判定に対するクランク軸角加速
度の感度が増した状態でそれぞれ第2の失火判定を行う
ので、第1の失火判定では路面外乱等の影響によって失
火が生じたと誤判定されることがあっても、第2の失火
判定によれば失火が生じたと誤判定されることがなく、
これによって失火判定の精度がさらに向上する。
【0033】自動変速機を備える車両におけるロックア
ップクラッチ締結状態や手動変速機を備える車両におけ
るクランク軸と手動変速機の直結状態では動力伝達系の
慣性モーメントの影響を受けて失火時のクランク軸角加
速度が0に近づき、失火判定に対するクランク軸角加速
度の感度が落ちるので、失火以外の何らかの原因により
クランク軸角加速度が失火判定しきい値を下回って失火
が生じたと誤判定されることがある。このとき、第12
と第14の各発明では、所定期間当たりの失火回数が判
定値を超えたとき失火が生じたと判定するので、1回だ
けたまたまクランク軸角加速度が失火判定しきい値を下
回ったような場合には失火と判定されることがなく、こ
れによって安定して失火判定を行うことができる。
【0034】
【発明の実施の形態】図1において、1と2はエンジン
のクランク軸(図示しない)と一体に回転するシグナル
プレートで、シグナルプレート1はたとえば自動変速機
を備える車両の場合クランクプーリに、またシグナルプ
レート2は自動変速機のドライブプレートにそれぞれ取
り付けられる。なお、手動変速機を備える車両の場合は
シグナルプレート2をフライホイールに取り付ければよ
い。
【0035】シグナルプレート1の周縁には1番気筒の
上死点位置近傍(正確には上死点より所定クランク角だ
け進角側)とこれより180°離れた位置とに突起1
a、1bが、またシグナルプレート2の周縁には等間隔
で180個(図では12個で代表させている)の突起が
形成されている。
【0036】これらのシグナルプレート1、2の突起に
対向して、鉄心とコイルからなる磁気ピックアップ3、
4が設置され、クランク軸が回転すると、この突起が磁
気ピックアップ3、4の鉄心に発生する磁界を断続する
ため、磁気ピックアップ3、4のコイルに磁力変化が生
じて、交流電流が誘導される。この交流信号は波形整形
されて矩形波のON、OFFパルスに変換され、クラン
ク角信号(磁気ピックアップ3からの信号がREF信
号、磁気ピックアップ4からの信号がPOS信号)とし
て使用される。つまり、REF信号はクランク角で18
0°毎にハイレベルとなり、POS信号はクランク角で
1°おきにハイレベルとなるわけである(図3参照)。
なお、本実施形態では直列4気筒エンジンの場合で説明
するため、REF信号が180°毎の信号となっている
が、6気筒エンジンではREF信号が120°毎の信号
になる。
【0037】これら磁気ピックアップ3、4からの信号
は、エアフローメータ5、水温センサ6、スロットルセ
ンサ7からの信号とともに、エンジン制御用コントロー
ルユニット8に入力され、コントロールユニット8では
これらの信号に基づいて運転条件に応じた要求噴射量と
要求点火時期を演算し、この要求噴射量が所定の噴射タ
イミングでエンジンに供給されるように気筒別のインジ
ェクタ9a〜9dに噴射信号を、また要求点火時期で点
火が行われるように点火コイルと一体化されたイグナイ
タ10に点火信号を出力する。11a〜11dは点火プ
ラグである。
【0038】一方、自動変速機の変速制御などに加えて
ロックアップ制御を行うため、自動変速機制御用コント
ロールユニット(図ではAT制御ユニットで略記)12
を備える。ロックアップ制御では、スロットルセンサ7
により検出される絞り弁開度と車速センサ(図示しな
い)により検出される車速とで定まる車両走行状態に適
したロックアップ領域を設定しており、このロックアッ
プ領域になると、トルクコンバータ内のロックアップピ
ストンを締結させてトルクコンバータのすべりをなくす
(伝達効率を上げ)わけである。
【0039】さて、エンジンに失火が生じると、エンジ
ンの出力低下や安定性低下を招くほか、未燃焼の混合気
がそのまま排出されて排気中の有害成分が増加するの
で、失火したかどうかの判定を行うことが要請されるわ
けであるが、従来装置ではクランク軸がトランスミッシ
ョン等の動力伝達系から切り離され定常回転しているア
イドル時には、失火の有無を精度良く判定できても、ク
ランク軸と動力伝達系が直結された状態になると、失火
判定の精度が落ちてしまう。
【0040】これに対処するため本発明の第1実施形態
では、軸トルクに比例するクランク軸角加速度を検出
し、このクランク軸角加速度と失火判定しきい値を比較
して失火判定を行うとともに、その失火判定しきい値
を、ロックアップクラッチの締結状態とロックアップク
ラッチの解除状態とで異ならせる。
【0041】ここで、失火判定を行うのはエンジン制御
用コントロールユニット8であり、失火判定にロックア
ップ制御信号が必要となるので、この信号が自動変速機
用コントロールユニット12より通信装置を介してエン
ジン制御用コントロールユニット8に送られている。
【0042】エンジン制御用コントロールユニット8で
実行されるこの制御の内容を以下のフローチャートにし
たがって説明する。
【0043】図2のフローチャートは軸トルクに比例す
るクランク軸角加速度を計算するためのもので、POS
信号(クランク角の単位角信号)の入力毎に実行する。
【0044】まずステップ1でREF信号(クランク角
の基準位置信号)の入力タイミングからの経過クランク
角を計測するためのカウンタ(始動時に0に初期設定)
POSNと第1計測区間の開始角OMGS1を比較す
る。POSNは、後述するように1のREF信号の入力
より次のREF信号の入力までのあいだPOS信号の入
力毎に1ずつ大きくなるカウンタである。
【0045】POSNがOMGS1未満のとき(第1計
測区間までクランク角が経過していない)は、ステップ
2で計測区間の経過時間タイマTMPOSをゼロクリア
する。経過クランク角が第1計測区間の開始角まで至ら
ない場合にTMPOSをゼロクリアし続けることで、経
過時間の計測待ち状態となるわけである。ここで、計測
区間の経過時間タイマTMPOSはエンジン制御用コン
トロールユニット8に内蔵されたフリーランニングタイ
マで構成する。フリーランニングタイマは内容をゼロク
リアし続けない限り、コントロールユニット8内蔵のク
ロックに同期してカウントアップされるので、エンジン
制御用コントロールユニット8のCPUの処理負荷を増
すことにならないし、また計測区間の経過時間を正確に
計測することが可能となる。なお、フリーランニングタ
イマのインクリメント開始トリガはPOSセンサの信号
とすればよい。
【0046】ステップ3では経過クランク角計測カウン
タPOSNをインクリメントして図2のルーチンを終了
する。このPOSNは、後述するステップ12、13で
REF信号レべルがハイレベルになったときゼロクリア
されるので、1のREF信号の入力より次のREF信号
の入力までのあいだPOS信号の入力毎に1ずつ大きく
なるカウンタである(図3第3段目参照)。このPOS
Nのインクリメントの結果、POSN>OMGS1にな
ると、ステップ1よりステップ4に進み、今度はPOS
Nと第1計測区間の終了角OMGE1(OMGE1>O
MGS1)を比較する。
【0047】POSN>OMGS1になった当初はPO
SN<OMGE1であるので、ステップ5よりステップ
3に進み、ステップ3の操作を実行して図2のルーチン
を終了する。なお、このときはステップ2の操作を実行
していない。つまり、POSN>OMGS1となったタ
イミングより計測区間の経過時間タイマTMPOSが増
加していく(図3第4段目参照)。
【0048】POSNの増加によりやがてPOSNがO
MGE1と等しくなると、ステップ4よりステップ6に
進み、計測区間の経過時間タイマTMPOSの値を第1
の経過時間計測値T1iに入れ、サンプリング時間を計
測するためのタイマTMDTをゼロクリアする。このと
きもステップ3の操作を実行して図2のルーチンを終了
する。
【0049】ここで、 POSNが第1計測区間の終了角OMGE1となるタ
イミングよりPOSNが第2計測区間の終了角OMGE
2(後述する)となるまでの時間のほか、 POSNが第1計測区間の開始角OMGS1となるタ
イミングよりPOSNが第2計測区間の開始角OMGS
2(後述する)となるまでの時間、 POSNが第1計測区間の開始角OMGS1となるタ
イミングよりPOSNが第2計測区間の終了角OMGE
2となるまでの時間、 POSNが第1計測区間の終了角OMGE1となるタ
イミングよりPOSNが第2計測区間の開始角OMGS
2となるまでの時間 のいずれかをサンプリング時間とすることができる。実
験によりいずれの場合でも検出精度が大きく変わらない
ことを確認している。ただし、回転数が大きく変動して
いる場合には、各計測値が確定した時点でのサンプリン
グ時間が最も信頼できるため、本実施形態ではを採用
している。
【0050】サンプリング時間計測タイマTMDTはス
テップ6でのゼロクリアにより図示しないルーチンにお
いて時間計測を開始する(図3最下段参照)。
【0051】POSNがOMGE1を超えたときは、ス
テップ5よりステップ7に進む。ステップ7、8、9、
10の操作はステップ1、4、5、6と同様である。
【0052】ステップ7ではPOSNと第2計測区間の
開始角OMGS2(OMGS2>OMGE1)を比較
し、OMGE1≦POSN≦OMGS2であるときはス
テップ2、3の操作を行って図2のルーチンを終了す
る。
【0053】POSN>OMGS2になった当初はPO
SN<OMGE2(OMGE2>OMGS2)であるの
で、ステップ9よりステップ3に進み、ステップ3の操
作を実行して図2のルーチンを終了する。このときステ
ップ2の操作を実行していないので、POSN>OMG
S2となったタイミングより計測区間経過時間タイマT
MPOSがふたたび増加していく(図3第4段目参
照)。
【0054】POSNの増加によりやがてPOSNがO
MGE2と等しくなると、ステップ8よりステップ10
に進み、計測区間の経過時間タイマTMPOSの値を第
2の経過時間計測値T2iに入れ、サンプリング時間計
測タイマTMDTの値をサンプリング時間計測値Tdt
に入れる。このときもステップ3の操作を実行して図2
のルーチンを終了する。
【0055】POSNがOMGE2を超えたときは、ス
テップ9よりステップ11に進んでREF信号レベルを
読み込み、そのレべルをステップ12でみて、これがハ
イレべルでないときはステップ3の操作を実行して図2
のルーチンを終了する。
【0056】REF信号レベルがハイレべルになったと
きはステップ13でPOSNをゼロクリアしたあと、ス
テップ14において、一行程(4気筒では180°区
間)中の2カ所の計測区間に要した経過時間計測値T1
i、T2iとサンプリング時間計測値Tdtを用いて Δω=K1(1/T2i−1/T1i)/Tdt …(2) ただし、K1:定数 の式により、一行程中のクランク軸角加速度Δωを計算
する。
【0057】(2)式右辺において、K1/T2iは第
2計測区間のクランク軸角速度ω2、K1/T1iは第
1計測区間のクランク軸角速度ω1であり、角速度差ω
2−ω1をサンプリング時間Δtで除した値によりクラ
ンク軸角加速度Δω(=(ω2−ω1)/Δt)を得る
わけである。
【0058】この場合、失火によりエンジントルクが負
となるため、失火時のΔωは負の値となり、この逆に非
失火時には正のエンジントルクが生じて、Δωが正の値
をとる。たとえば、失火が生じてないときはT2i<T
1i(したがって1/T2i>1/T1i)であること
より、Δω>0となるのに対して、1番気筒で失火が生
じたときには、図3に示したようにT2iがT1iより
大きくなり、これによってΔω<0となるわけである。
なお、図3において1番気筒用REF信号(図では#1
REFで略記)の入力より180°区間が1番気筒の燃
焼行程に対応するクランク角区間である。
【0059】ステップ15では(2)式のクランク軸角
加速度Δωを計算した行程が、ちょうど燃焼行程(膨張
行程)に当たる気筒の失火パラメータPi(n)(nは
気筒番号)に入れる。各気筒の膨張行程でのクランク軸
角加速度は各気筒の軸トルクに比例するので、これを失
火パラメータとするわけである。なお、クランク軸角加
速度Δωは図示平均有効圧力Piにほぼ比例するため、
失火パラメータをPiとしている。Pi(n)は正負の
値を取り得る。たとえば、図3において、1番気筒用R
EF信号の立ち上がりより180°区間で計算したΔω
を1番気筒の失火パラメータPi(1)に入れるわけで
ある。同様にして次から180°毎に3番、4番、2番
の各気筒の膨張行程が訪れるとすれば、3番気筒用RE
F信号の入力より180°区間で計算されるΔωを3番
気筒の失火パラメータPi(3)に、4番気筒用REF
信号の入力より180°区間で計算されるΔωを4番気
筒の失火パラメータPi(4)に格納するのである。
【0060】なお、図3において4気筒の場合、2つの
計測区間は正確には第1計測区間がBTDC10°〜A
TDC20°程度、第2計測区間がATDC50°〜8
0°程度である。6気筒では一行程が120°区間であ
るため、2つの計測区間が非常に近く位置することにな
るが、2つの計測区間をオーバーラップさせることはな
い(オーバーラップさせるとT2iとT1iの差がわず
かとなり、S/N比が悪化するため)。
【0061】図4のフローチャートは気筒別の失火判定
を行うためのもので、図2とは独立に各気筒のREF信
号の入力毎に実行する。
【0062】ステップ20では失火判定条件かどうかを
みる。クランク軸角加速度に基づいて失火判定を行うの
であれば、エンジンの回転や負荷に変動が生じても失火
判定の精度が極端に悪化することはないので、失火判定
条件を設定することは基本的に必要ない。しかしなが
ら、ギヤチェンジ中は慣性モーメントが急変するためギ
ヤチェンジ中を失火判定条件の非成立時とし、このとき
はそのまま図4のルーチンを終了する。ギヤチェンジ中
でなければ(失火判定条件の成立時)、このときはステ
ップ21で気筒判定を行う。ここで気筒別の失火判定に
用いる値(カウント値CNT(n)、失火検出回数CN
G(n)、失火判定フラグFLGMF(n))には気筒
番号nをつけて区別しているが、各気筒とも操作の内容
は同じであるので、以下では1番気筒で代表させて述べ
る。
【0063】ステップ21での判定気筒が1番気筒のと
きは1番気筒の失火パラメータPi(1)(図2のステ
ップ15ですでに得ている)をステップ22において読
み込む。たとえば、図5第1段目左端に示す1番気筒用
REF信号の入力タイミングで360°前に計測されて
いるPi(1)を読み込むわけである。
【0064】ステップ23では、1番気筒用のカウント
値(始動時に0に初期設定)CNT(1)をインクリメ
ントし、そのカウント値CNT(1)と所定値CCNT
をステップ24で比較する。CNT(1)≦CCNTの
ときはすぐにステップ26に進むのに対してCNT
(1)>CCNTのときはステップ25において1番気
筒用のCNT(1)および1番気筒用の失火検出回数
(始動時に0に初期設定)CNG(1)を0にリセット
した後でステップ26に進む。
【0065】ここで、CNT(1)はCCNTを超える
たびに0に戻され、再び1番気筒用REF信号の入力毎
に1ずつ増加していく値である(図5第2段目参照)。
また、CNG(1)は所定期間(CNT(1)がCCN
Tに達するまでの期間)当たりの失火検出回数である。
【0066】ステップ26では自動変速機制御用コント
ロールユニット12からのロックアップ制御信号のレベ
ルを読み込み、このレべルをステップ27においてみて
ハイレベル(ロックアップクラッチ締結状態)のとき
は、ステップ28でロックアップクラッチ締結状態に対
するしきい値(一定値)MISSLを失火判定しきい値
JDTとしてセットし、ロックアップ制御信号レベルが
ローレべルのときはステップ29に進み、MISSLに
補正係数(一定値)GTを乗じた値を失火判定しきい値
JDTとしてセットする。
【0067】ここで、図6最下段に示したように、ロッ
クアップクラッチ解除状態での失火気筒(図では1番気
筒)のクランク軸角加速度の値よりも少し大きな位置に
ロックアップクラッチ解除状態に対する失火判定しきい
値MISSL×GTが、またロックアップクラッチ締結
状態での失火気筒のクランク軸角加速度の値よりも少し
大きな位置にロックアップクラッチ締結状態に対する失
火判定しきい値MISSLがくるように、MISSLと
GTを設定する。図示のように、失火気筒のクランク軸
角加速度はマイナスの値であるため、MISSLもマイ
ナスの値で、またGTは1より大きな正の値でマッチン
グするのである。
【0068】ステップ30ではこのしきい値JDTと1
番気筒用の失火パラメータPi(1)を比較し、Pi
(1)<JDTのときは失火を生じていると判断し、ス
テップ31に進んで1番気筒用の失火検出回数CNG
(1)をインクリメントする。ステップ32ではさらに
この1番気筒用のCNG(1)と所定値JCを比較し、
CNG(1)>JC(所定頻度以上の失火が発生してい
る)になると、ステップ33に進んで1番気筒用の失火
判定フラグ(始動時に“0”に初期設定)FLGMF
(1)を“1”にセットする。つまり、1番気筒で失火
が1回検出されただけでは1番気筒用失火判定フラグを
“1”とせず、所定期間当たり所定回数以上の失火が検
出された段階で1番気筒用失火判定フラグを“1”にセ
ットしているわけである。たとえば上記のCCNTが
4、JCが2の場合で具体的に説明すると、図5に示し
たように、CNT(1)がCCNT+1(=5)となる
前にCNG(1)がJC+1(=3)に達したタイミン
グで1番気筒用失火判定フラグFLGMF(1)が
“1”になるのである。なお、失火判定フラグFLGM
F(1)=1のとき失火が生じていることを運転者に知
らせるため警報ランプを点灯している(ステップ3
4)。
【0069】一方、Pi(1)≧JDTのときやCNG
(1)≦JCのときはステップ30、32よりステップ
35、36に進んで失火判定フラグFLGMF(1)に
“0”を入れ、警報ランプを消灯する。
【0070】ここで、本実施形態の作用を、図6を参照
しながら説明する。
【0071】図6上段に示したように1番気筒に2回に
1回の失火を生じている場合に、クランク軸角加速度が
どうなるかを示したのが図6中段、下段であり、失火に
よりマイナスのトルクが生じるので、クランク軸角加速
度がマイナス側に振れている。この場合、ロックアップ
クラッチ解除状態ではトルクコンバータ以降の動力伝達
系の慣性モーメントがワンウェイクラッチを介してクラ
ンク軸に接続されているため、失火が生じたときには失
火による回転低下で動力伝達系の慣性モーメントがクラ
ンク軸より切り離され、これによって動力伝達系の慣性
モーメントによる失火時のクランク軸角加速度への影響
が小さくなるのに対して、ロックアップクラッチを介し
て動力伝達系の慣性モーメントがクランク軸に機械的に
接続されているロックアップクラッチ締結状態になる
と、動力伝達系の慣性モーメントが失火時のクランク軸
角加速度に与える影響が大きくなり、図示のように失火
時のクランク軸角加速度が0に近づくことから、図6中
段に示したように、ロックアップクラッチ締結状態のこ
とを考慮することなく図示の位置に失火判定しきい値を
定めたのでは、ロックアップクラッチ締結状態での失火
を検出することができない。車両用エンジンでは走行状
態が常に変化し、これに伴ってロックアップの締結状態
と解除状態とが頻繁に変化するので、ロックアップクラ
ッチ締結状態になるたびに失火判定が困難になるのであ
る。
【0072】これに対して、本実施形態では、各気筒の
膨張行程でのクランク軸角加速度を気筒別の失火パラメ
ータPi(n)として計測し、この失火パラメータPi
(n)と失火判定しきい値JDTとを比較し、Pi
(n)がJDTを下回れば失火が発生していると判断す
る。
【0073】この場合に、失火判定しきい値JDTは自
動変速機制御用コントロールユニット12からのロック
アップ制御信号に基づいてロックアップクラッチ解除状
態とロックアップクラッチ締結状態とで異なる失火判定
しきい値が設定され、図6下段に示したようにロックア
ップクラッチ締結状態では失火判定しきい値(MISS
L×GT)が、ロックアップクラッチ締結状態での失火
時のクランク軸角速度よりも、0に近い位置にくること
から、失火時のクランク軸角加速度がロックアップクラ
ッチ締結状態における動力伝達系の慣性モーメントによ
って影響を受ける場合にも、失火判定が可能となる。
【0074】ただし、ロックアップクラッチ締結状態で
は動力伝達系の慣性モーメントの影響を受けて失火時の
クランク軸角加速度が0に近づくので、失火してもない
のに失火が生じたと誤判定される気筒(4番気筒)が生
じる(図6下段の丸印参照)。しかしながら、本実施形
態では、所定期間当たりの失火回数が所定値を超えたと
き、失火が生じたと判定されるので、たとえば、図示の
位置で失火判定条件が成立したとすると、このときの4
番気筒に対するCNT(4)、CNG(4)、FLGM
F(4)は、図5のようになり、フラグFLGMF
(4)は“0”のままである(つまり、4番気筒につい
て失火と誤判定されることを避けることができる)。
【0075】なお、図5において1番気筒に対するCN
T(1)、CNG(1)、FLGMF(1)は図6と対
応するものでない。
【0076】図7、図8のフローチャートはそれぞれ第
2、第3の各実施形態で、第1実施形態の図4に対応す
る。なお、図4と同一の部分には同一のステップ番号を
つけている。
【0077】ロックアップ制御信号よりロックアップク
ラッチの締結状態かどうかを判定する第1実施形態に対
して、第2実施形態(第1実施形態と同じにロックアッ
プ制御を行う自動変速機を備える車両を前提とする)は
ロックアップ制御信号以外の信号を用いてロックアップ
クラッチの締結状態かどうかを判定するようにしたもの
である。
【0078】具体的には図7のステップ41で回転数N
eと車速VSPを読み込み、これらの比と所定値を比較
し、Ne/VSPが所定値を超えるときはロックアップ
クラッチの締結状態と判断してステップ28に進み、そ
れ以外のとき(ロックアップクラッチの解除状態)ステ
ップ29に進む。エンジン回転数と車速の比は概略のギ
ア位置を表し、中間変速比を含めたギヤ位置毎の変速比
が予め分かっているので、エンジン回転数と車速の比が
ギヤ位置毎の変速比と一致した場合は、ロックアップク
ラッチの締結状態であると、また一致しない場合はスリ
ップ状態(つまりロックアップクラッチの解除状態)で
あると分かるのである。
【0079】なお、トルクコンバータのポンプインペラ
ー回転数とタービンランナー回転数とが一致したときロ
ックアップクラッチの締結状態となるので、ポンプイン
ペラー回転数をエンジン回転数センサにより、またター
ビンランナー回転数をタービンセンサ(あるいは車速セ
ンサとギヤ比)よりそれぞれ検出して両者の比からスリ
ップ率を推定し、その推定したスリップ率よりロックア
ップクラッチ締結状態かどうかを判定することもでき
る。
【0080】これに対して第3実施形態は手動変速機を
備える車両を対象とするものである。この場合には、図
8のステップ51、52で公知のクラッチセンサにより
クラッチが締結状態にあるかどうか、またニュートラル
スイッチより変速機がニュートラル位置以外であるかど
うかみて、クラッチ締結状態かつニュートラル位置以外
であるときクランク軸と変速機が直結状態にあると判断
してステップ28に、それ以外のとき(クランク軸と変
速機が直結状態にないとき)はステップ29に進む。
【0081】なお、図7は手動変速機を備える車両の場
合にも適用できる。手動変速機のときも自動変速機の時
と同じであり(中間変速比を含めたギヤ位置毎の変速比
が予め分かっている)、エンジン回転数と車速の比がギ
ヤ位置毎の変速比と一致した場合は、クランク軸と変速
機が直結状態にあると、また一致しない場合は半クラッ
チ状態(非直結状態)であると判断し、ステップ28に
進ませればよい。
【0082】図9のフローチャートは第4実施形態で、
第1実施形態の図4に対応する。なお、図4と同一の部
分には同一のステップ番号をつけている。
【0083】本実施形態(第1実施形態と同じにロック
アップ制御を行う自動変速機を備える車両を前提とす
る)では、ロックアップクラッチ締結状態での失火判定
を第1失火判定とし、この結果、失火と判定されたとき
は続いてロックアップ制御を強制的に解除しての失火判
定(つまりロックアップクラッチ解除状態での失火判
定)を行うため、ロックアップ制御を強制的に解除して
の失火判定を第2失火判定として、上記の第1失火判定
と区別する。
【0084】第1実施形態と相違する部分を主に説明す
ると、第4実施形態においても、第1実施形態と同じに
各気筒とも操作の内容は同じであるので、1番気筒で代
表させて述べる。
【0085】CNT(1)>CCNTのときは、ステッ
プ61に進んで、CNT(1)のほか、1番気筒用の第
1失火判定に用いる失火回数CNG1(1)と1番気筒
用の第2失火判定に用いる失火回数CNG2(1)をと
もに0にする。
【0086】ステップ62では1番気筒用の第1失火判
定フラグ(始動時に“0”に初期設定)FLGMFL1
(1)をみる。FLGMFL1(1)=1がロックアッ
プクラッチ締結状態で失火と判定されたことを、またF
LGMFL1(1)=0がロックアップクラッチ締結状
態で失火と判定されなかったことを表す。
【0087】FLGMFL1(1)が“0”でないとき
(すでにロックアップクラッチ締結状態で失火が判定さ
れている)は、ステップ63に進んでロックアップ制御
を強制解除するためロックアップ強制解除フラグを
“1”にセットし、ステップ29の操作を実行したあ
と、図10のステップ69以降の第2失火判定を実行す
る。ここで、ステップ64〜68に示す第1失火判定の
内容は、図7のステップ30〜33、35と比較すれば
わかるように、第1失火判定であることを示すため、失
火回数、失火判定フラグを表す変数CNG、FLGMF
の後に1がついている以外、ほぼ同じである。
【0088】これに対して、図10に示す第2失火判定
の内容も、図9ステップ64〜68に示す第1失火判定
と比較すればわかるように、第2失火判定であることを
示すため、失火回数、失火判定フラグを表す変数CN
G、FLGMFの後に2がついている以外、第1失火判
定の内容とほとんど同じである。
【0089】ただし、第2失火判定に用いる失火回数C
NG2(1)がJC以下のとき、路面外乱等の影響によ
って第1失火判定が誤判定であったと判断し(上記
(1)式のように軸トルク(エンジン発生トルク)と車
両の走行抵抗トルクの差を検出している。したがって、
エンジン発生トルクTeが一定でも、たとえば波状路を
走行した場合等では車両の走行抵抗トルクTc変動し、
クランク軸の角加速度変動を生じる。つまり、Tcが大
きくなると、Δωが小さくなる(失火状態と同じ)から
である)、ステップ71よりステップ74に進んで1番
気筒用の第2失火判定フラグ(始動時に“0”に初期設
定)FLGMFL2(1)を“0”にセットし、ステッ
プ75でロックアップ制御を通常制御に復帰させるため
ロックアップ強制解除フラグに“0”を入れる。これに
対して、CNG2(1)>JCのときは、第1失火判定
に誤判定はなかったと判断し、ステップ71よりステッ
プ72に進んで第2失火判定フラグFLGMFL2
(1)を“1”にセットする。つまり第4実施形態で
は、動力伝達系の慣性モーメントの影響でクランク軸角
加速度の検出能力が小さくなるロックアップクラッチ締
結状態で第1失火判定を行い、この結果、失火が生じた
と判定されたときは、ロックアップを強制解除して失火
判定に対するクランク軸角加速度の感度を増した状態で
第2失火判定を行うので、路面外乱等の影響により第1
失火判定に誤判定が生じることがあっても、第2失火判
定によればこの誤判定が除かれ、これによって第1実施
形態より失火判定の精度が向上するのである。
【0090】したがって、第4実施形態では、第2失火
判定フラグFLGMFL2により警報ランプを点灯する
かどうかを決定する(FLGMFL2(1)=1のと
き、ステップ73で警報ランプを点灯、FLGMFL2
(1)=0のときステップ76で警報ランプを消灯)。
【0091】なお、1番気筒で第1失火判定により失火
が生じたと判定されたときは、同じ1番気筒で第2失火
判定を行う場合で述べたが、1番気筒と異なる気筒(3
番、4番、2番の各気筒)で第2失火判定を行ってもか
まわない。ただし、1番気筒で第1失火判定により失火
が生じたと判定されたとき同じ1番気筒で第2失火判定
を行う場合のほうが、失火判定がより確実なものとなる
ことはいうまでもない。
【0092】また、第1失火判定により失火が生じてい
ると判定されておらずかつロックアップクラッチ解除状
態のときは、ステップ62、27よりステップ29に進
んでステップ29の操作を実行したあと、ロックアップ
制御を強制解除する場合と同じに、図10に示す第2失
火判定のほうへ進ませるようにしている。
【0093】図11のフローチャートはロックアップ制
御を行うためのもので、一定時間周期で(たとえば10
ms毎に)実行する。なお、ロックアップ制御は自動変
速機用コントロールユニット12のほうで受け持ってお
り、したがって、ロックアップ強制解除フラグの判定結
果を通信装置を介してエンジン制御用コントロールユニ
ット8に送信するようにしている。
【0094】ロックアップ制御は、スロットルセンサに
より検出される絞り弁開度TVOと車速センサにより検
出される車速VSPとからなる運転点が図12に示すロ
ックアップ領域にあるときは、ステップ82よりステッ
プ84に進んで、ロックアップソレノイド(図示しな
い)にON信号を出力し、ロックアップ領域でないとき
はステップ82よりステップ85に進んでロックアップ
ソレノイドにOFF信号を出力するものであるが、第4
実施形態ではステップ83を新たに追加している。ロッ
クアップ領域であってもロックアップ強制解除フラグ=
1であるときは、ステップ85に進ませることで、ロッ
クアップ制御の強制解除を行うわけである。
【0095】次に、図13のフローチャートは第5実施
形態で、第1実施形態の図4に対応する。なお、図4と
同一の部分には同一のステップ番号をつけている。
【0096】ロックアップ制御に加えて、近年の燃費向
上要求から導入されつつあるロックアップクラッチのス
リップ制御では、ロックアップクラッチのトルク伝達量
に制限が加えられるため、上記の(1)式より、スリッ
プ率に応じて車両走行抵抗トルクが制限されたり、動力
伝達系の慣性モーメントが切り離されたりするので、ク
ランク軸角加速度がこれらの影響を受けることになり、
失火の判定がより困難となる。こうしたロックアップク
ラッチのスリップ率を制御するものに適用したが第5実
施形態である。
【0097】ここで、ロックアップクラッチのスリップ
率の制御は、その作動油圧をコントロールし、クラッチ
の圧着力を調整することで行っている。たとえば、ロッ
クアップソレノイドを自動変速機用コントロールユニッ
トからの信号により一定周期(たとえば50Hz)でO
N、OFF制御できるように構成し、ロックアップソレ
ノイドに与えるOFFデューティ比(OFF時間割合)
が最大のときロックアップクラッチ解除状態となり、O
FFデューティ比が最小のときロックアップクラッチ締
結状態となるようにしておけば、図14に示したよう
に、OFFデューティ比に応じてロックアップクラッチ
のスリップ率を制御できる。
【0098】図13において、第1実施形態と相違する
部分を説明すると、ステップ91では自動変速機制御用
コントロールユニットからのロックアップ制御信号(つ
まりロックアップクラッチをスリップ制御するためのデ
ューティ比)を読み込み、このOFFデューティ比より
ステップ92において図15を内容とするテーブル(T
JDTテーブル)を検索し、その検索値を失火判定しき
い値JDTとして設定する。テーブルTJDTは実験等
により予め求めてROMに記憶させておく。
【0099】テーブル検索値は図15のように、スリッ
プ率が大きいときはマイナスで大きく、スリップ率が小
さくなるほど0に近づいていく値である。図15の特性
が非線形であるのは、ロックアップソレノイドのデュー
ティ比特性およびロックアップクラッチのμ特性が非線
形であるためである。
【0100】このようにして、第5実施形態では、ロッ
クアップクラッチのスリップ率制御によって動力伝達系
の慣性モーメントが連続的に変化しても、その慣性モー
メントの連続変化に影響されることなく失火判定を精密
に行うことができる。
【0101】実施形態では、燃焼行程で発生するトルク
に応じた失火パラメータが、燃焼行程に対応して決めら
れたクランク角区間でのクランク軸角加速度である場合
で説明したが、これに限られるものでなく、燃焼行程に
対応するクランク角区間に要する時間を失火パラメータ
として用いる公知のもの(たとえば特開平9−3262
5号公報参照)に対しても適用することができることは
いうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の制御システム図である。
【図2】クランク軸角加速度の計算を説明するためのフ
ローチャートである。
【図3】クランク軸角加速度の計測を説明するための波
形図である。
【図4】気筒別の失火判定を説明するためのフローチャ
ートである。
【図5】気筒別の失火判定を説明するための波形図であ
る。
【図6】第1実施形態の作用を説明するための波形図で
ある。
【図7】第2実施形態の気筒別の失火判定を説明するた
めのフローチャートである。
【図8】第3実施形態の気筒別の失火判定を説明するた
めのフローチャートである。
【図9】第4実施形態の気筒別の失火判定を説明するた
めのフローチャートである。
【図10】第4実施形態の気筒別の失火判定を説明する
ためのフローチャートである。
【図11】第4実施形態のロックアップ制御を説明する
ためのフローチャートである。
【図12】第4実施形態のロックアップ領域を示す特性
図である。
【図13】第5実施形態の気筒別の失火判定を説明する
ためのフローチャートである。
【図14】第5実施形態のロックアップソレノイドOF
Fデューティ比に対する作動油圧の特性図である。
【図15】第5実施形態のロックアップソレノイドOF
Fデューティ比に対する失火判定しきい値の特性図であ
る。
【図16】第1の発明のクレーム対応図である。
【図17】第2の発明のクレーム対応図である。
【図18】第9の発明のクレーム対応図である。
【図19】第10の発明のクレーム対応図である。
【図20】第11の発明のクレーム対応図である。
【符号の説明】
1、2 シグナルプレート 3、4 磁気ピックアップ 8 エンジン制御用コントロールユニット 12 自動変速機制御用コントロールユニット

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】燃焼行程で発生するトルクに応じた失火パ
    ラメータを検出する手段と、 この失火パラメータと失火判定しきい値を比較すること
    により失火判定を行う手段と、 動力伝達系の慣性モーメントを検出する手段と、 この動力伝達系の慣性モーメントに応じて前記失火判定
    しきい値を設定する手段とを設けたことを特徴とするエ
    ンジンの失火診断装置。
  2. 【請求項2】燃焼行程に対応して決められたクランク角
    区間でのクランク軸角加速度を検出する手段と、 動力伝達系の慣性モーメントを検出する手段と、 失火判定しきい値をマイナスの値でかつ前記動力伝達系
    の慣性モーメントが大きくなるほど0に近づく値で設定
    する手段と、 この失火判定しきい値と前記クランク軸角加速度を比較
    することにより失火判定を行う手段とを設けたことを特
    徴とするエンジンの失火診断装置。
  3. 【請求項3】所定の運転領域でロックアップクラッチを
    締結する自動変速機を備える一方、前記動力伝達系慣性
    モーメント検出手段が前記ロックアップクラッチが締結
    状態であるのか解除状態であるのかを判定する手段であ
    り、前記失火判定しきい値設定手段がロックアップクラ
    ッチ締結状態での失火判定しきい値を、ロックアップク
    ラッチ解除状態での失火判定しきい値よりも0に近く設
    定する手段であることを特徴とする請求項2に記載のエ
    ンジンの失火診断装置。
  4. 【請求項4】前記ロックアップクラッチが締結状態であ
    るのか解除状態であるのかを、ロックアップ制御信号か
    ら判定することを特徴とする請求項3に記載のエンジン
    の失火診断装置。
  5. 【請求項5】エンジン回転数と車速の比から前記ロック
    アップクラッチが締結状態であるのか解除状態であるの
    かを判定することを特徴とする請求項3に記載のエンジ
    ンの失火診断装置。
  6. 【請求項6】手動変速機を備える一方、前記動力伝達系
    慣性モーメント検出手段がクランク軸と前記手動変速機
    が直結状態であるのか非直結状態であるのかを判定する
    手段であり、前記失火判定しきい値設定手段がクランク
    軸と手動変速機の直結状態での失火判定しきい値を、非
    直結状態での失火判定しきい値よりも0に近く設定する
    手段であることを特徴とする請求項2に記載のエンジン
    の失火診断装置。
  7. 【請求項7】クラッチの締結状態を検出する手段とギヤ
    がニューラル位置にあることを検出する手段からの信号
    より前記クランク軸と前記手動変速機が直結状態である
    のか非直結状態であるのかを判定することを特徴とする
    請求項6に記載のエンジンの失火診断装置。
  8. 【請求項8】エンジン回転数と車速の比から前記クラン
    ク軸と前記手動変速機が直結状態であるのか非直結状態
    であるのかを判定することを特徴とする請求項6に記載
    のエンジンの失火診断装置。
  9. 【請求項9】ロックアップクラッチのスリップ率が調整
    可能な自動変速機を備える一方、 燃焼行程に対応して決められたクランク角区間のクラン
    ク軸角加速度を検出する手段と、 前記ロックアップクラッチのスリップ率を検出する手段
    と、 失火判定しきい値をマイナスの値でかつこのスリップ率
    が小さくなるほど0に近づく側に設定する手段と、 この失火判定しきい値と前記クランク軸角加速度を比較
    することにより失火判定を行う手段とを設けたことを特
    徴とするエンジンの失火診断装置。
  10. 【請求項10】所定の運転領域でロックアップクラッチ
    を締結する自動変速機を備える一方、 燃焼行程に対応して決められたクランク角区間のクラン
    ク軸角加速度を検出する手段と、 前記ロックアップクラッチが締結状態であるのか解除状
    態であるのかを判定する手段と、 失火判定しきい値をマイナスの値でかつこの判定結果よ
    りロックアップクラッチ締結状態での失火判定しきい値
    を、ロックアップクラッチ解除状態での失火判定しきい
    値よりも0に近く設定する手段と、 前記判定結果よりロックアップクラッチ締結状態である
    ときその状態での前記クランク軸角加速度と前記ロック
    アップクラッチ締結状態での失火判定しきい値を比較す
    ることにより第1の失火判定を行う手段と、 この第1の失火判定で失火が生じたと判定されたとき前
    記ロックアップクラッチの締結を強制的に解除する手段
    と、 このロックアップクラッチ強制解除状態のときその状態
    での前記クランク軸角加速度と前記ロックアップクラッ
    チ解除状態での失火判定しきい値を比較することにより
    第2の失火判定を行う手段とを設けたことを特徴とする
    エンジンの失火診断装置。
  11. 【請求項11】所定の運転領域でロックアップクラッチ
    を締結する自動変速機を備える一方、 燃焼行程に対応して決められたクランク角区間のクラン
    ク軸角加速度を検出する手段と、 前記ロックアップクラッチが締結状態であるのか解除状
    態であるのかを判定する手段と、 失火判定しきい値をマイナスの値でかつこの判定結果よ
    りロックアップクラッチ締結状態での失火判定しきい値
    を、ロックアップクラッチ解除状態での失火判定しきい
    値よりも0に近く設定する手段と、 前記判定結果よりロックアップクラッチ締結状態である
    ときその状態での前記クランク軸角加速度と前記ロック
    アップクラッチ締結状態での失火判定しきい値を比較す
    ることにより第1の失火判定を行う手段と、 この第1の失火判定で失火が生じたと判定された場合に
    その後にロックアップクラッチ解除状態となったときそ
    の状態での前記クランク軸角加速度と前記ロックアップ
    解除状態での失火判定しきい値を比較することにより第
    2の失火判定を行う手段とを設けたことを特徴とするエ
    ンジンの失火診断装置。
  12. 【請求項12】前記失火判定手段は、前記クランク軸角
    加速度が前記失火判定しきい値より小さくなったかどう
    かを一定の周期で判定する手段と、この判定結果より所
    定期間当たりにクランク軸角加速度が失火判定しきい値
    より小さくなった回数を失火回数として計測する手段
    と、この所定期間当たりの失火回数と判定値の比較によ
    り所定期間当たりの失火回数が判定値を超えたとき失火
    が生じたと判定する手段とからなることを特徴とする請
    求項2から9までのいずれか一つに記載のエンジンの失
    火診断装置。
  13. 【請求項13】前記失火判定手段により失火が生じたと
    判定されたとき故障を警報することを特徴とする請求項
    1、2、3、4、5、6、7、8、9、12のいずれか
    一つに記載のエンジンの失火診断装置。
  14. 【請求項14】前記失火判定手段は、前記クランク軸角
    加速度が前記失火判定しきい値より小さくなったかどう
    かを一定の周期で判定する手段と、この判定結果より所
    定期間当たりにクランク軸角加速度が失火判定しきい値
    より小さくなった回数を失火回数として計測する手段
    と、この所定期間当たりの失火回数と判定値の比較によ
    り所定期間当たりの失火回数が判定値を超えたとき失火
    が生じたと判定する手段とからなることを特徴とする請
    求項10または11に記載のエンジンの失火診断装置。
  15. 【請求項15】前記第2の失火判定手段により失火が生
    じたと判定されたとき故障を警報することを特徴とする
    請求項10、11、14のいずれか一つに記載のエンジ
    ンの失火診断装置。
  16. 【請求項16】前記クランク軸角加速度検出手段は、ク
    ランク角の基準位置を検出する手段と、クランク角の単
    位角を検出する手段と、これら検出値に基づいて前記燃
    焼行程に対応して決められたクランク角区間のうち前半
    と後半に離して設けた第1計測区間と第2計測区間を経
    過するに要する時間を計測する手段と、前記検出値に基
    づいて前記2つの計測区間のあいだを経過するに要する
    時間をサンプリング時間として計測する手段と、このサ
    ンプリング時間と前記各計測区間の経過時間とから前記
    クランク軸角加速度を計算する手段とからなることを特
    徴とする請求項1から14までのいずれか一つに記載の
    エンジンの失火診断装置。
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