JPH10330668A - 印刷インキ用ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

印刷インキ用ポリアミド樹脂組成物

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JPH10330668A
JPH10330668A JP15786397A JP15786397A JPH10330668A JP H10330668 A JPH10330668 A JP H10330668A JP 15786397 A JP15786397 A JP 15786397A JP 15786397 A JP15786397 A JP 15786397A JP H10330668 A JPH10330668 A JP H10330668A
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寛 藤田
Tetsuya Yamada
哲也 山田
Kazutoshi Hayashi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 相反する性能である耐水性と耐油性とがとも
に優れ、且つ低温安定性にも優れた特性をグラビア印刷
インキに付与する印刷インキ用ポリアミド樹脂組成物を
提供する。 【解決手段】 重合脂肪酸、炭素数1〜10の脂肪族モ
ノカルボン酸および/または炭素数2〜18脂肪族ヒド
ロキシモノカルボン酸からなるモノカルボン酸およびポ
リアミン(C)を縮合重合せしめてなるポリアミド樹脂
からなり、燐酸を該ポリアミド樹脂重量に対して0.0
1〜0.4重量%含有することを特徴とする印刷インキ
用ポリアミド樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は印刷インキ用ポリア
ミド樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、とくにプラ
スチックフイルムや金属箔を印刷対象物とする表刷り特
殊グラビア印刷インキ(以下、グラビア印刷インキと称
する。)用のポリアミド樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】グラビア印刷インキの組成は通常、ポリ
アミド樹脂、硝化綿、ロジンエステル等のタッキフアイ
ヤー、アルキルチタネート等の有機金属配位化合物、着
色料(染料や顔料)および必要によりワックス等の添加
剤からなっており、溶剤には芳香族系溶剤、アルコール
およびエステルからなる混合溶剤(例えばトルエン、イ
ソプロピルアルコール、酢酸エチルの混合溶剤)が多く
使用されている。グラビア印刷インキには、相反する性
能の耐水性と耐油性との両立および冬期の低温時でも良
好な流動性を保持することが重要な特性として要求され
る。主バインダーとして使用されるポリアミド樹脂は、
芳香族系溶剤、アルコールおよびエステルの混合溶剤に
対し優れた溶解性と溶液低温安定性を有することが必要
とされる。従来から、芳香族系溶剤、アルコールおよび
エステルの混合溶剤に対する溶解性と溶液低温安定性と
を向上させたポリアミド樹脂は知られており、重合脂肪
酸とエチレンジアミンを主原料としたポリアミド樹脂を
製造するに際し、変性剤として、ヒドロキシカルボン
酸を用いたもの;低級脂肪族モノカルボン酸を用いた
もの;分岐モノカルボン酸を用いたもの等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
のポリアミド樹脂は、芳香族、アルコールおよびエステ
ルとの混合溶剤に対し変性剤を使用しない例えば、重合
脂肪酸、オレイン酸およびエチレンジアミンを縮合重合
せしめた通常のインキ用ポリアミド樹脂と比較すると良
好な溶解性と溶液低温安定性を示し耐油性にも優れてい
るが、重要なインキ特性である耐水性が劣り、特にコン
ニャク、漬け物等の水物の包装袋や、屋外に置かれ雨や
夜露に暴露される機会の多い肥料や園芸土等の包装袋で
インキが剥げ落ちる問題を起す。本発明の目的は、芳香
族、アルコールおよびエステルの混合溶剤に対して優れ
た溶解性と溶液低温安定性とを示し、しかも優れた耐水
性と耐油性をグラビア印刷インキに付与するポリアミド
樹脂組成物を提供することにある。
【0004】本発明者らは、上記課題を解決するグラビ
ア印刷インキ用ポリアミド樹脂について鋭意研究を重ね
た結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、重合脂
肪酸(A)、炭素数1〜10の脂肪族モノカルボン酸お
よび/または炭素数2〜18の脂肪族ヒドロキシモノカ
ルボン酸からなるモノカルボン酸(B)およびポリアミ
ン(C)を縮合重合せしめて得られるポリアミド樹脂か
らなり、燐酸(D)を該ポリアミド樹脂の重量に対して
0.01〜0.4重量%含有してなることを特徴とする
印刷インキ用ポリアミド樹脂組成物である。
【0005】
【発明実施の形態】本発明において、重合脂肪酸(A)
としては、例えばオレイン酸やリノール酸等の不飽和脂
肪酸またはこれらの低級アルキルエステル(炭素数1〜
3)を重合した後、蒸留精製したものでダイマー酸とも
称せられる下記のごとき組成のものが挙げられる。(数
値は重量%) 炭素数18の一塩基酸:0〜15%(好ましくは0〜1
0%) 炭素数36の二塩基酸:60〜99%(好ましくは70
〜99%) 炭素数54の三塩基酸:0〜30%(好ましくは0〜2
0%) また、重合脂肪酸(A)の不飽和結合にラネ−ニッケル
等を触媒にして水素添加したものも使用できる。該
(A)を構成する重合脂肪酸の一部を他の二塩基酸また
はその低級アルキルジエステル(炭素数1〜3)に置き
換えてもよい。この二塩基酸またはその低級アルキルジ
エステルとしては、下記一般式(1)で示される化合物
が挙げられる。 R1OOCRCOOR2
(1) (式中、Rは炭素数2〜20の脂肪族、芳香族または脂
環族のジカルボン酸残基を表し、R1およびR2はそれぞ
れ水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を表す。) 重合脂肪酸に対する該一般式(1)で示される化合物の
比率は通常20当量%以下、好ましくは10当量%以下
である。20当量%を超えて使用すると得られるポリア
ミド樹脂組成物の溶解性が低下する。
【0006】炭素数1〜10の脂肪族系モノカルボン酸
または炭素数2〜18の脂肪族ヒドロキシモノカルボン
酸からなるモノカルボン酸(B)としては、蟻酸、酢
酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草
酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、2−エチル
ヘキサン酸、ヒドロキシ酢酸、ヒドロキシプロピオン
酸、ヒドロキシオクタン酸、ヒドロキシデカン酸、ヒド
ロキシステアリン酸およびヒドロキシオレイン酸等が挙
げられ、好ましいものは酢酸、プロピオン酸、カプリル
酸およびヒドロキシオレイン酸である。 これらはそれ
ぞれ単独もしくは任意の割合で混合して使用することが
できる。脂肪族モノカルボン酸の炭素数が10を超える
と芳香族、アルコールおよびエステル混合溶剤に対して
得られるポリアミド樹脂組成物の溶液低温安定性が低下
し、印刷物の耐油性が低下する。脂肪族ヒドロキシモノ
カルボン酸の炭素数が2未満もしくは19以上のものは
入手が困難であり工業的価値も低い。また、必要により
(B)の一部を、炭素数11以上の直鎖もしくは分岐の
飽和もしくは不飽和脂肪酸、天然油脂から得られる混合
脂肪酸、芳香族モノカルボン酸およびヒドロキシモノカ
ルボン酸として脂肪族以外の芳香族ヒドロキシモノカル
ボン酸や脂環族ヒドロキシモノカルボン酸等に置き換え
ることができるが、その比率は、通常全モノカルボン酸
の30当量%以下、好ましくは20当量%以下である。
30当量%を超えて使用すると得られるポリアミド樹脂
組成物の溶解性や溶液低温安定性が低下し、印刷物の耐
油性や光沢が低下する。
【0007】本発明において、ポリアミン(C)として
は、脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミンおよび芳香族
ポリアミンが挙げられる。脂肪族ポリアミンとしては、
エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、プロピレン
ジアミン、イミノビスプロピルアミン、ヘキサメチレン
ジアミン、デカメチレンジアミン、2−メチルペンタメ
チレンジアミンなどが挙げられる。脂環式ジアミンとし
ては、イソホロンジアミン、シクロヘキシレンジアミン
およびジアミノシクロヘキサンなどが挙げられる。芳香
族ポリアミンとしては、ジアミノフエニルメタンおよび
キシリレンジアミンなどが挙げられる。これらのポリア
ミンのうち特に好ましいものはエチレンジアミンであ
り、他のポリアミンと併用する場合は、、エチレンジア
ミンを全ポリアミン中の50当量%以上用いることが好
ましい。50当量%未満では得られるポリアミド樹脂組
成物の融点が低下し、印刷物の耐ブロッキング性や光沢
が低下する。
【0008】本発明において、燐酸(D)としては、オ
ルト燐酸、ピロ燐酸、トリ燐酸、トリメタ燐酸およびテ
トラメタ燐酸等が挙げられ、好ましいものはオルト燐酸
およびピロ燐酸である。(D)の使用量は、ポリアミド
樹脂の重量に対して通常0.01〜0.4重量%、好ま
しくは0.02〜0.2重量%である。(D)の使用量
が0.01重量%未満では、印刷物の耐水性の向上効果
が得られず、0.4重量%を超えると印刷物の耐水性の
向上効果が低下したり光沢が低下する。該(D)の添加
時期はポリアミド樹脂の縮合重合反応の初期から末期の
どの時点でもよいが、好ましいのは、縮合重合反応が進
行して全アミン価が5以下、特に好ましくは4以下に到
達した時点である。
【0009】本発明のポリアミド樹脂組成物は、全酸価
(燐酸およびカルボン酸に由来する酸価の合計)が通常
4〜20、好ましくは5〜15であり、全アミン価が通
常5以下、好ましくは4以下である。全酸価が4未満で
は印刷物の耐水性が低下し、20を超えると得られるポ
リアミド樹脂組成物の融点が低下し、印刷物の耐ブロッ
キング性やヒトシール耐熱性が低下する。また、全アミ
ン価が5を超えると印刷物の耐水性が低下したり、黄変
したりする。
【0010】本発明のポリアミド樹脂組成物の微量融点
測定方法による融点は、通常80〜170℃であり、好
ましくは90〜150℃である。融点が80℃未満では
印刷物の耐ブロキング性やヒートシール耐熱性が低下
し、170℃を超えると耐セロテープ性が低下する。ま
た、該ポリアミド樹脂の重量平均分子量は通常3000
〜30000、好ましくは5000〜20000であ
る。重量平均分子量が3000未満では印刷物のヒート
シール耐熱性が低下し、30000を超えると溶液低温
安定性が低下したり、インキの粘度か高くなるので好ま
しくない。
【0011】本発明のポリアミド樹脂組成物は、通常の
重合脂肪酸系ポリアミド樹脂の合成法と同じ方法で製造
することができる。反応温度は、通常160〜250
℃、好ましくは180〜230℃である。反応は着色を
防止するため窒素ガス等の不活性ガス中で行うことが好
ましく、反応末期には反応の完結あるいは揮発性成分の
除去を促進するため、反応を減圧下で行ってもよい。ポ
リアミド樹脂を合成する際のカルボン酸成分とアミン成
分の当量比(カルボキシル基/アミノ基)は、通常1/
1.02〜1.06/1、好ましくは1/1〜1.05
/1である。
【0012】本発明のポリアミド樹脂組成物は、通常、
芳香族系溶剤、炭素数1〜4の脂肪族アルコールおよび
酢酸エステルの混合溶剤、例えばトルエン、イソプロピ
ルアルコールおよび酢酸エチルの混合溶剤に溶解して用
いたり、樹脂を顔料等と溶融混練してマスターバッチと
して使用する。本発明のポリアミド樹脂組成物を用いた
グラビア印刷インキは、着色剤(顔料や染料)および硝
化綿の他に、必要に応じてロジン系、石油系もしくは芳
香族系の樹脂類、可塑剤、有機金属配位化合物、低分子
量ポリオレフインもしくは低分子量アミドのワックス類
等を添加し、ボールミル、サンドミル、ロールミル等の
公知のインキ製造装置を用いて製造される。
【0013】本発明のポリアミド樹脂組成物を使用した
グラビア印刷インキの配合処方の一例を示せば以下の通
りである(数値は重量%)。 ポリアミド樹脂組成物:通常 18〜27%(好ましくは21〜27%) 硝化綿 :通常 3〜12%(好ましくは3〜9%) 顔料 :通常 5〜40%(好ましくは10〜30%) 添加剤 :通常 0〜15%(好ましくは1〜10%) 溶剤 :通常40〜65%(好ましくは50〜60%) 硝化綿とポリアミド樹脂組成物の比率は、通常10:9
0〜40:60(重量比)、好ましくは10:90〜3
0:70(重量比)である。
【0014】本発明のポリアミド樹脂組成物を用いたグ
ラビア印刷インキの印刷対象物としては、コロナ放電処
理および未処理ポリオレフインフイルム、ポリエステル
フイルム、ナイロンフイルム、ポリ塩化ビニルフイル
ム、アルミ蒸着フイルム、金属箔等が挙げられる。これ
らのうち特に好ましいものは、コロナ放電処理ポリオレ
フインフイルム、ポリエステルフイルム、アルミ蒸着フ
イルムおよび金属箔である。
【0015】本発明のポリアミド樹脂組成物を用いたグ
ラビア印刷インキの印刷方法は、プラスチックフイルム
や金属箔を印刷対象物とする従来のグラビア印刷インキ
の場合と同じでよく、また最新の高濃度印刷方法に準ず
るものであってもよい。
【0016】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に説明する
が、本発明はこれに限定されるものではない。以下にお
いて、特に断りのないかぎり「部」、「%」および「比
率」は、それぞれ重量部、重量%および重量比を示す。
【0017】実施例1 温度計、攪拌機、窒素導入管、脱水排気管を備えた四ツ
口フラスコに、重合脂肪酸〔一塩基酸:約5%、二塩基
酸:約75%、三塩基酸:約20%:ヘンケルジャパン
製「バーサダイム216」〕273.6部(0.95当
量)、酢酸3部(0.05当量)およびエチレンジアミ
ン30部(1当量))を仕込み、窒素ガス雰囲気中、2
10〜220℃で5時間反応させた後、オルト燐酸0.
06部(0.02%/樹脂)を添加し、更に210〜2
20℃で15分間撹拌して、淡褐色固体のポリアミド樹
脂組成物(PA1)を得た。該PA1の分析値、物性値
および溶液低温安定性を表1に示す。
【0018】実施例2 実施例1と同様の反応装置に、「バーサダイム216」
273.6部(0.95当量)、酢酸3部(0.05当
量)、エチレンジアミン30部(1当量)およびオルト
燐酸0.58部(0.2%/樹脂)を仕込み、実施例1
と同じ方法で淡褐色固体のポリアミド樹脂組成物(PA
2)を得た。該PA2の分析値、物性値および溶液低温
安定性を表1に示す。
【0019】実施例3 実施例1と同様の反応装置に、「バーサダイム216」
273.6部(0.95当量)、カプリル酸7.2部
(0.05当量)、エチレンジアミン30部(1当量)
およびピロ燐酸0.15部(0.05%/樹脂)を仕込
み、実施例1と同じ方法で淡褐色固体のポリアミド樹脂
組成物(PA3)を得た。該PA3の分析値、物性値お
よび溶液低温安定性を表1に示す。
【0020】実施例4 実施例1と同様の反応装置に、「バーサダイム216」
259.2部(0.9当量)、12−ヒドロキシオレイ
ン酸29.8部(0.1当量)、エチレンジアミン2
9.1部(0.97当量)およびオルト燐酸0.16部
(0.05%/樹脂)を仕込み、実施例1と同じ方法で
淡褐色固体のポリアミド樹脂組成物(PA4)を得た。
該PA4の分析値、物性値および溶液低温安定性を表1
に示す。
【0021】実施例5 実施例1と同様の反応装置に、「バーサダイム216」
265部(0.92当量)、酢酸4.8部(0.08当
量)、エチレンジアミン27部(0.9当量)、ジエチ
レントリアミン1.7部(0.05当量)およびオルト
燐酸0.3部(0.1%/樹脂)を仕込み、実施例1と
同じ方法で淡褐色固体のポリアミド樹脂組成物(PA
5)を得た。該PA5の分析値、物性値および溶液低温
安定性を表1に示す。
【0022】比較例1 実施例1と同様の反応装置に、「バーサダイム216」
273.6部(0.95当量)、酢酸3部(0.05当
量)およびエチレンジアミン30部(1当量)仕込み、
210〜220℃で5時間15分反応し、淡褐色固体の
比較のポリアミド樹脂(PA6)を得た。該PA6の分
析値、物性値および溶液低温安定性を表2に示す。
【0023】比較例2 実施例1と同様の反応装置に、「バーサダイム216」
273.6部(0.95当量)、カプリル酸7.2部
(0.05当量)およびエチレンジアミン30部(1当
量)を仕込み、比較例1と同じ方法で淡褐色固体の比較
のポリアミド樹脂(PA7)を得た。該PA7の分析
値、物性値および溶液低温安定性を表2に示す。
【0024】比較例3 実施例1と同様の反応装置に、「ハリダイマー216」
259.2部(0.9当量)、12−ヒドロキシオレイ
ン酸29.8部(0.1当量)、エチレンジアミン2
9.1部(0.97当量)を仕込み、比較例1と同じ方
法で淡褐色固体の比較のポリアミド樹脂(PA8)を得
た。該PA8の分析値、物性値および溶液低温安定性を
表2に示す。
【0025】比較例4 実施例1と同様の反応装置に、「バーサダイム216」
265部(0.92当量)、酢酸4.8部(0.08当
量)、エチレンジアミン27部(0.9当量)およびジ
エチレントリアミン1.7部(0.05当量)を仕込
み、比較例1と同じ方法で淡褐色固体の比較のポリアミ
ド樹脂(PA9)を得た。該PA9の分析値、物性値お
よび溶液低温安定性を表2に示す。
【0026】比較例5 実施例1と同様の反応装置に、「バーサダイム216」
273.6部(0.95当量)、オレイン酸14部
(0.05当量)およびエチレンジアミン30部(1当
量)を仕込み、比較例1と同じ方法で淡褐色固体の比較
のポリアミド(PA10)を得た。該PA10の分析
値、物性値および溶液低温安定性を表2に示す。
【0027】
【表1】 注)12−OHオレイン酸;12−ヒドロキシオレイン酸の略称
【0028】
【表2】 注)12−OHオレイン酸:12−ヒドロキシオレイン酸の略称
【0029】表1および表2に記載の融点と溶液低温安
定性の測定方法は以下のとおりである。 融点:微量融点測定器(柳本制作所製)による。 溶液低温安定性:ポリアミド樹脂組成物もしくは、ポリ
アミド樹脂の30%溶液(溶剤組成;トルエン:イソプ
ロピルアルコール:酢酸エチル=6:3:1)を70m
lのガラス瓶に約50g採取し、密栓後0℃で静置し2
4時間後溶液の状態を観察し、流動性が良好なものを
○、不良のものを×とした。
【0030】試験例1 前記、実施例1〜5で得られたポリアミド樹脂組成物
(PA1〜PA5)および比較例1〜5で得られたポリ
アミド樹脂(PA6〜PA10)の各々の30%溶液
(溶剤組成;トルエン:イソプロピルアルコール:酢酸
エチル=6:3:1)を作成し、下記の処方でグラビア
印刷インキを調製した。 (イ)ポリアミド樹脂組成物(ポリアミド樹脂)の30%溶液 :60部 (ロ)硝化綿の20%溶液(注1) :10部 (ハ)ブリリアントカーミン6B :10部 (ニ)溶剤(注2) :20部 合計 :100部
【0031】(注1)硝化綿の20%溶液;硝化綿〔ダ
イセル化学工業(株)「RS1/4秒」〕をトルエン:
イソプロピルアルコール:酢酸エチル=6:3:1の混
合溶剤に溶解したもの (注2)溶剤;トルエン:イソプロピルアルコール:酢
酸エチル=6:3:1の混合溶剤
【0032】前記処方に従い、(イ)60g、(ロ)1
0g、(ハ)10g、(ニ)20gおよびガラスビーズ
(直径約3mm)120gを240mlのガラス瓶に採
取し、ペイントコンデショナー(米国、レッドデビル社
製)で30分間振盪した後、ガラスビーズを取り除いた
ものを性能評価用インキとした。
【0033】各インキをバーコーター(約25ミクロ
ン)でコロナ放電高処理度重袋用ポリエチレンフイルム
(表面張力41dyne/cm,以下、PEと称す)、
コロナ放電処理二軸延伸ポリプロピレンフイルム(以
下、OPPと称す)およびコロナ放電処理無延伸ポリプ
ロピレンフイルム(以下、CPPと称す)に展色し、ヘ
アードライヤー〔小泉産業(株)製JD−1200〕で
15秒間熱風乾燥後、室温で約2時間放置したものを性
能評価用試験片とした。
【0034】これらの各試験片について、下記方法でイ
ンキの性能評価を行った。その結果を表3に示した。 耐水性:インキを展色したPEを水道水に浸漬し、室温
で静置24時間後に水中で手揉み試験(20回)を行い
インキの剥離の程度を目視観察した。 判定基準;5段階表示 5(良)〜1(不良) 耐油性:CPPのインキ展色面にサラダ油を塗布し、室
温で静置24時間後に手揉み試験(10回)を行い、イ
ンキの剥離の程度を目視観察した。 判定基準;5段階表示 5(良)〜1(不良) 耐セロテープ性:OPP,PEおよびCPPのインキ展
色面にニチバンセロテープを強く貼り着けた直後に、高
速でセロテープを剥してインキの剥離の程度を目視観察
した。 判定基準;5段階表示 5(良)〜1(不良) 耐ブロキング性:OPPのインキ展色面同士を合わせ、
3Kg/cm2の荷重をかけ、40℃で1日後に剥し、
インキの剥離の程度および剥離抵抗を観察した。
判定基準;5段階表示 5(良)〜1(不良)
【0035】
【表3】
【0036】
【発明の効果】本発明のポリアミド樹脂組成物は、グラ
ビア印刷インキ用樹脂として下記の効果を有する。 (1)耐水性と耐油性との相反する性能を兼ね備えた表
刷りグラビア印刷インキが得られる。 (2)耐水性の問題が発生しやすい、コロナ放電高処理
度ポリエチレンフイルム(表面張力:41dyne/c
m)、コンニャク、漬け物等の水物および屋外に置かれ
雨や夜露に曝される機会の多い肥料、園芸用土の包装資
材の印刷に適している。 (3)低温安定性が優れており冬期でもインキの凍結に
よるトラブルを防止できる。 上記の効果を奏することから本発明のポリアミド樹脂組
成物は、特にプラスチックフイルムや金属箔の包装資材
の印刷に用いられる表刷りグラビア印刷インキ用バイン
ダーとして極めて有用である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合脂肪酸(A)、炭素数1〜10の脂
    肪族モノカルボン酸および/または炭素数2〜18の脂
    肪族ヒドロキシモノカルボン酸からなるモノカルボン酸
    (B)およびポリアミン(C)を縮合重合せしめて得ら
    れるポリアミド樹脂からなり、燐酸(D)を該ポリアミ
    ド樹脂の重量に対して0.01〜0.4重量%含有して
    なることを特徴とする印刷インキ用ポリアミド樹脂組成
    物。
  2. 【請求項2】 (D)が、オルト燐酸、ピロ燐酸、トリ
    燐酸、トリメタ燐酸およびテトラメタ燐酸から選ばれる
    少なくとも1種である請求項1に記載のポリアミド樹脂
    組成物。
  3. 【請求項3】 全酸価が4〜20であり、全アミン価が
    5以下である請求項1または2に記載のポリアミド樹脂
    組成物。
JP15786397A 1997-05-30 1997-05-30 印刷インキ用バインダー Expired - Fee Related JP3060101B2 (ja)

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