JPH10327770A - 飼料用マイクロカプセル - Google Patents
飼料用マイクロカプセルInfo
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- JPH10327770A JPH10327770A JP9157914A JP15791497A JPH10327770A JP H10327770 A JPH10327770 A JP H10327770A JP 9157914 A JP9157914 A JP 9157914A JP 15791497 A JP15791497 A JP 15791497A JP H10327770 A JPH10327770 A JP H10327770A
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Abstract
て好適な、各種の栄養成分がバランスよく含有された飼
料を得る。 【解決手段】 水溶性栄養成分を含有する水相が油溶性
栄養成分を含有する油相中に分散されて、生分解性ポリ
マーの膜により被覆されているマイクロカプセルから成
る飼料用マイクロカプセル。油相がDHA、EPAおよ
び/またはこれらの脂肪酸を構成成分として含む食用油
を含有し、水相がアミノ酸および/または水溶性タンパ
ク質を含有し、粒径が5〜20μmである場合は、特に稚
魚の餌用生物の飼料に用いられる。
Description
ば、養殖稚魚が捕食する餌用生物の飼料として用いられ
るのに好適な新規なマイクロカプセルに関する。
は、適切な栄養成分を含有する飼料または餌料を用いて
飼育を行うことが重要であり、いろいろな工夫がなされ
ている。例えば、ハマチ、タイなどの高級魚を得るため
の養殖においては、ふ化から稚魚までの段階を人工的環
境で飼育した後、自然環境に放流して収穫する栽培漁業
方式が採られており、稚魚の飼育には、ワムシと呼ばれ
る体長 200μm程度の生物を餌として与えている。この
際、栄養価を高めるために一般にクロレラ中でワムシ類
を生育させる。このような栄養強化させた餌料を稚魚に
捕食させることにより、栄養不足に起因する稚魚の死滅
をある程度防止できるが未だ充分ではない。最近の研究
によれば、稚魚の健全な発育のためには、各種の栄養成
分がバランス良く摂取されることが重要であり、特に不
飽和脂肪酸(特にDHA、EPA)およびアミノ酸(特
に必須アミノ酸)またはそれらを構成成分として含むタ
ンパク質が不可欠であることが判明している。したがっ
て、稚魚の餌となるワムシ類にもこれらの成分が確実に
含有されていることが必要であるが単にクロレラで生育
させたようなワムシ類はこの要求を満たしておらず稚魚
の死滅をもたらすものと考えられる。
酸)やEPA(イコサペンタエン酸)などをワムシ類を
効率的に取り込ませることは容易ではない。その理由
は、DHAやEPAは水にほとんど溶けないこと及びワ
ムシ類は5〜20μmの大きさのものしか体内に取り込め
ないことにある。DHAやEPAはワムシ類の培養水槽
に投入されると、油状化して水槽の水への酸素の溶解を
遮断すると同時に、ワムシ類の体表にも付着する。その
結果、DHAやEPAは、ワムシ類に取り込まれないこ
とはもちろん、逆にそれらの生物を死滅させてしまう。
DHAやEPAと水の混合物を予め強く攪拌し、DHA
やEPAの微小油滴を形成した後、ワムシ類に投与する
方法が考えられるが、この方法で作られた油滴は、すぐ
に合一し、大きな油滴もしくは油膜を形成することが知
られている。
やEPAを含有する魚油をゼラチンなどの膜で被覆した
マイクロカプセルが考案され市販されている。このマイ
クロカプセルはワムシ類の飼料として適当な大きさを有
するものであるが、本質的に水溶性栄養成分を充分に含
有することができないという欠点がある。すなわち、該
マイクロカプセルにおいては、薄いゼラチン皮膜に僅少
量の水溶性成分(例えば、水溶性ビタミン類)を含有さ
せることができるのみで、水溶性栄養成分、特に、必須
アミノ酸またはそのようなアミノ酸を構成成分として含
むタンパク質を多量に含有することはできない。
ような問題を解決し、養殖稚魚が捕食する餌用生物の飼
料などとして好適な、各種の栄養成分がバランスよく含
有された飼料を得ることにある。本発明は、研究を重ね
た結果、従来のものとは異なる新しいタイプのマイクロ
カプセルを案出して本発明を導き出した。
溶性栄養成分を含有する水相が油溶性栄養成分を含有す
る油相中に分散されて、生分解性ポリマーの膜により被
覆されているマイクロカプセルから成ることを特徴とす
る飼料用マイクロカプセルを提供するものである。本発
明に従うこの飼料用カプセルは、養殖業や畜産業などに
おいて魚介類や動物に与える飼料としての他、ペットや
観賞魚などの飼料として、そのまま、またはその他の飼
料と混合して使用することができる。
として、油相がDHA、EPAおよび/またはこれらの
脂肪酸を構成成分として含む食用油を含有し、水相がア
ミノ酸および/または水溶性タンパク質を含有し、粒径
が5〜20μmであり、稚魚の餌用生物の飼料に用いられ
ることを特徴とする飼料用マイクロカプセルを提供す
る。この本発明のマイクロカプセルは、前述したような
稚魚の餌用ワムシ類などに与えるに際して、各種の栄養
成分がバランスよく強化され消化性も良好な飼料として
該餌用生物によって確実に摂取され、その結果、それを
捕食する稚魚を死滅させることなく健全に生長させるこ
とができる。
における油相に含有される油溶性(脂溶性)栄養成分と
しては、飼料の用途(使用目的)に応じて、各種の動物
性油脂もしくは植物性油脂、または、それらから抽出、
精製された脂肪酸(特に不飽和脂肪酸)が適用可能であ
る。更に、油相には、一般に、油溶性ビタミン(ビタミ
ンA、D、Eなど)を含有させる。それらのビタミン類
は、油脂中に含まれていることもあるが、不足する場合
には、油相中に追加含有させておく。
発明のマイクロカプセルにおいては、油相は、DHA、
EPA、および/またはこれらの脂肪酸を構成成分とし
て含む食用油を含有する。食用油としては、DHAおよ
びEPAを豊富に含むイワシ、サバ、アジ、ブリ、サン
マ、マグロ、カツオなどの青み魚の魚油が好ましいが、
これに限られるものではない。例えば、DHAやEPA
を含有する海洋性動物(例えば、アザラシ)由来の油脂
などを使用することもできる。
は、上記のような油相中に、水溶性栄養成分を含有する
水相が分散されて存在していることにある。水溶性栄養
成分としては、各種のアミノ酸、水溶性タンパク質、水
溶性ビタミン(ビタミンB1 、B2 、B6 、Cなど)、
パントデン酸、ニコチン酸などが挙げられる。本発明の
マイクロカプセルを稚魚餌用生物の飼料として用いる態
様において、特に重要なのは、アミノ酸および水溶性タ
ンパク質である。前述したような従来の飼料用マイクロ
カプセルとは異なり、本発明のマイクロカプセルにおい
ては、アミノ酸やタンパク質(水溶性)が水相として油
中分散されていることにより、それらの水溶性栄養成分
を多量に存在させることを可能にした。水溶性タンパク
質としては、アルブミン系タンパク質、プロタミン系タ
ンパク質、酵母エキスなどを挙げることができるが、こ
れらに限られるものではない。
のような水相が油相中に分散された状態で、生分解性ポ
リマーの膜により被覆されて構成される。ここで、生分
解ポリマーとは、マイクロカプセル飼料を食する生物
〔ワムシのような餌用生物の飼料の場合は、該餌用生物
を食する生物(すなわち稚魚)〕の体内で消化分解され
得るポリマーを指称する。使用可能な生分解性ポリマー
としては、多糖、ポリペプチド、核酸、脂肪族ポリエス
テル、ゼラチンなどが挙げられるが、多糖系ポリマー
(例えばポリ乳酸系ポリマー)が特に好ましい。本発明
のマイクロカプセルは、その使用目的に応じて数μmか
ら数百μmの粒径を有するように調製される。本発明の
マイクロカプセルを稚魚餌用ワムシの飼料として用いる
ような場合には、5〜20μmの粒径とする。
セル化に用いられている手法を創意工夫することによっ
て製造することができる。本発明の飼料用カプセルを製
造するために本発明者が見出した1つの方法は、(1)
油溶性栄養成分および生分解性ポリマーを揮発性有機溶
媒に溶かした油性溶液に、水溶性栄養成分の水性溶液
(内水相)を添加し攪拌することによりW/O型エマル
ションを調製する工程(一次乳化工程)、(2)該W/
O型エマルションを別の水性溶液(外水相)に添加し攪
拌することによりW/O/W型エマルションを調製する
工程(二次乳化工程)、および、(3)該W/O/W型
エマルションを吸引下に加温して有機溶媒を蒸発させる
ことにより、油溶性栄養成分が含有された油相内に、水
溶性栄養成分が含有された水相を内包するマイクロカプ
セルを形成する工程(蒸発工程)を含む。以下、各工程
につき更に説明する。
溶性栄養成分を適当な緩衝液(例えば、リン酸緩衝液)
中に入れて水性溶液とする。水溶性栄養成分の濃度は、
使用目的にもよるが、通常、水溶性栄養成分全量で数m
g/ml〜100mg/ml程度とする。他方、一次乳化
工程に用いる油性溶液は、揮発性有機溶媒(例えば、ジ
クロロエタン)に、生分解性ポリマーおよび油溶性栄養
成分(DHA、EPA、魚油、脂溶性ビタミンなど)を
溶解させることによって調製する。用途にもよるが、通
常、生分解ポリマーの濃度は2〜10重量%とし、また、
油溶性栄養成分の濃度は全量で10〜20重量%程度とす
る。乳化効率を高めるため、油性溶液には、適当な界面
活性剤を少量(通常、1〜3重量%程度)添加してお
く。
水性溶液を少しずつ注入しながらエマルション化機(ホ
モジナイザー)または超音波照射により激しく攪拌する
ことによってW/O型エマルションが形成される。用い
られる水性溶液:油性溶液の比(体積比)は、用途にも
よるが、通常、1:2〜10である。この一次乳化は、氷
冷下に、攪拌速度1,000 〜10,000rpm、好ましくは3,
000 〜 5,000rpmで、5〜20分間攪拌することによっ
て行われる。
マルションをすばやく、第2の水性溶液に添加し攪拌す
ることによって行われる。この第2の水性溶液(外水
相)は、水溶性の分散安定剤の水溶液である。水溶性分
散安定剤として特に好適なものはPVA(ポリビニルア
ルコール)であり、蒸留水を用いて、通常、2〜10重量
%程度の濃度の水溶液として調製する。このPVAの使
用により表面の滑らかなマイクロカプセルを得ることが
できる。この外水相にも適当な界面活性剤を微量(通
常、0.1 〜 0.5重量%)添加しておく。
するのに最も重要な工程であり、特に、一次乳化工程で
得られたW/O型エマルションの油相の粘り具合と攪拌
の強さとの兼ね合いは、微妙である。攪拌が強すぎると
W/O/W型エマルションが形成されず、中間の球殻状
の油相はこわれてしまって、油相が水溶液面に浮いてひ
ろがる。また、攪拌が弱いと、W/O/W型液滴が多数
凝集したような凝集カプセルになってしまう。二次乳化
の最適条件は、使用器具、攪拌装置、有機溶液相の粘度
などによって変わるが、一般的に一次乳化よりも遅い攪
拌速度で短時間、すなわち、通常、300 〜 1,000rpm
の攪拌速度で3〜10分間、室温下に攪拌することによっ
て行われる。
ルションを軽く吸引しながら加温してゆるやかな攪拌を
続けることにより、該エマルションの油相に含まれてい
た揮発性溶媒(例えば、ジクロロエタン)が徐々に外水
相に溶け出し、さらに空中に蒸散してゆき、水相を内包
する油性マイクロカプセルが形成される。この蒸発工程
は、揮発性溶媒の沸点よりも僅かに高い温度(ジクロロ
エタンの場合、25〜30℃)に加熱しながら、ゆるやかな
攪拌下に、通常、3〜5時間行う。得られたマイクロカ
プセルは、ろ過、乾燥して使用に供するか、またはろ過
後、水相中に貯蔵する。
め、実施例を示すが、本発明はこの実施例によって制限
されるものではない。
下に示す組成および条件を用いて、稚魚の餌用ワムシの
飼料として好適なマイクロカプセルを製造した。W/Oエマルションの調製(一次乳化) ・水性溶液(内水相):タンパク質(酵母エキス:和光
純薬(株)製525-00301)20mg/mlのリン酸緩衝液36
ml ・油性溶液: 1)Lacty ((株)島津製作所製ポリ乳酸ポリマー)5
重量% 2)イワシ油 12重量% 3)界面活性剤:縮合リシノレイン酸デカグリセリン
( 818SX:太陽化学(株)製)1.5重量% 4)ジクロロエタン 108 ml ・攪拌速度: 5,000rpm ・温度:氷で冷却 ・攪拌時間:10分
化) ・水性溶液(外水相): 1)PVA 4重量% 2)界面活性剤:モノラウリン酸デカグリセリン( Q12
-S:太陽化学(株)製)0.30重量% 3)蒸留水 680 ml ・攪拌速度: 500rpm ・温度:室温 ・攪拌時間:5分
たマイクロカプセルの粒径をレーザー回折式粒度分布装
置を測定したところ、5〜20μmの粒径を有していた。
また、マイクロカプセルの表面形状を走査型電子顕微鏡
(SEM: 500倍)を用いて観察し、さらに、マイクロ
カプセルをエポキシ樹脂で硬化させたものを切断するこ
とにより、その断面のSEM観察も行った。図1は、マ
イクロカプセルの表面形状を示すSEM写真であり、ま
た、図2は、マイクロカプセルの断面形状を示すSEM
写真であり、本発明のマイクロカプセルが、油相内に水
相が内包され、滑らかな表面を呈していることが理解さ
れる。
養成分を含有する油相中に水溶性栄養成分の水相が分散
されていることにより、油溶性栄養成分に加えて水溶性
栄養成分も充分に含有され各種の栄養成分のバランスの
とれた飼料を構成する。
表面を拡大して示す顕微鏡写真である。
断面を拡大して示す顕微鏡写真である。
Claims (2)
- 【請求項1】 水溶性栄養成分を含有する水相が油溶性
栄養成分を含有する油相中に分散されて、生分解性ポリ
マーの膜により被覆されているマイクロカプセルから成
ることを特徴とする飼料用マイクロカプセル。 - 【請求項2】 油相がDHA、EPAおよび/またはこ
れらの脂肪酸を構成成分として含む食用油を含有し、水
相がアミノ酸および/または水溶性タンパク質を含有
し、粒径が5〜20μmであり、稚魚の餌用生物の飼料に
用いられることを特徴とする請求項1の飼料用マイクロ
カプセル。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP15791497A JP4189860B2 (ja) | 1997-05-30 | 1997-05-30 | 飼料用マイクロカプセル |
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JPH10327770A true JPH10327770A (ja) | 1998-12-15 |
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ID=15660223
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