JPH10324789A - ブロー成形性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

ブロー成形性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形品

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JPH10324789A
JPH10324789A JP13486697A JP13486697A JPH10324789A JP H10324789 A JPH10324789 A JP H10324789A JP 13486697 A JP13486697 A JP 13486697A JP 13486697 A JP13486697 A JP 13486697A JP H10324789 A JPH10324789 A JP H10324789A
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polycarbonate resin
resin composition
aromatic polycarbonate
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JP13486697A
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Yoshihide Hashimoto
喜秀 橋元
Toshimasa Hodaka
寿昌 帆高
Yasuaki Kobayashi
泰明 小林
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
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  • Blow-Moulding Or Thermoforming Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形品とした場合の表面外観が良好であり、
更に衝撃強度、疲労特性、剛性等の機械的特性、ドロー
ダウン特性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成
物、及びそれからの成形品を提供する。 【解決手段】 粘度平均分子量10,000〜40,0
00の芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)、粘度平
均分子量70,000〜200,000の超高分子量芳
香族ポリカーボネート樹脂(B成分)、及びジエン系ゴ
ム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物を
グラフトした熱可塑性グラフト共重合体(C成分)から
なる樹脂組成物に対して、特定のワラストナイト、及び
カルボキシル基及び/又はその無水物基を含有するオレ
フィン系ワックスを配合した充填剤で補強されたブロー
成形性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組成物、及
び、それからの成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は充填剤で補強された
芳香族ポリカーボネート樹脂、及びジエン系ゴム成分に
シアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物をグラフト
した熱可塑性グラフト共重合体からなるブロー成形性に
優れた樹脂組成物に関する。更に詳しくは成形品とした
場合の表面外観が良好であり、更に、衝撃強度、剛性等
の機械的特性、及びドローダウン特性に優れた充填剤で
補強されたブロー成形性に優れた芳香族ポリカーボネー
ト樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネート樹脂、及びジエ
ン系ゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化
合物をグラフトした熱可塑性グラフト共重合体からなる
樹脂組成物は、耐衝撃性、機械特性、熱的特性、寸法安
定性などに優れた材料として各種工業分野に幅広く射出
成形用途等に使用されている。
【0003】ブロー成形用途では射出成形分野と異な
り、成形時のブロー特性が別途要求される。ポリカーボ
ネート樹脂組成物では、超高分子量のポリカーボネート
樹脂を配合することでこのブロー特性を改良する技術が
開示されている(特開平4−2537566)。かかる
組成物は厚肉のブロー成形品として利用させている。ま
た、特開平9−12847には、耐溶剤性や表面外観性
が良好で、射出成形用途等に有用な樹脂組成物が開示さ
せており、自動車のドアーハンドル等に応用されてい
る。しかし、かかる樹脂組成物では近年要求されている
薄肉ブロー成形品の要求特性を十分には満足し得なかっ
た。
【0004】一方、芳香族ポリカーボネート樹脂、及び
ジエン系ゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニ
ル化合物をグラフトした熱可塑性グラフト共重合体から
なる樹脂組成物の剛性を改良する為に、ガラス繊維など
の繊維状充填剤を配合する方法(特公昭55−1170
2号、特開平6−128474号)が開示されている。
これらのガラス繊維などの繊維状充填剤で強化した芳香
族ポリカーボネート樹脂、及びジエン系ゴム成分にシア
ン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物からなる樹脂組
成物は、ガラス繊維などの繊維状充填剤の配合により、
剛性等の機械的特性、のみならずドローダウン特性に優
れた材料であり、ブロー成形用途として各種工業分野に
使用されている。
【0005】しかしながら、ガラス繊維、カーボン繊維
等の繊維状充填剤で強化した芳香族ポリカーボネート樹
脂、及びジエン系ゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳
香族ビニル化合物をグラフトした熱可塑性グラフト共重
合体からなる樹脂組成物は通常の金型温度(100℃以
下)でブロー成形した場合、その成形品外観はガラス繊
維、カーボン繊維等の繊維状充填剤が表面に浮きでて和
紙模様となり、例えば良好な塗装外観が必要な自動車部
品、OA機器等に使用する場合、その塗膜を非常に厚く
しなければならないという欠点を有している。また、非
常に高温の金型温度(120℃〜150℃)でブロー成
形することにより、ある程度良好な外観を有する成形品
を得ることが可能であるが、成形サイクルが長くなり、
生産性が著しく低下するという問題点を有するものであ
る。
【0006】そこで、表面外観、衝撃強度、剛性等の機
械的特性、及びドローダウン特性に優れた充填剤で強化
された芳香族ポリカーボネート樹脂、及びジエン系ゴム
成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物をグ
ラフトした熱可塑性グラフト共重合体からなる樹脂組成
物が要求されていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、成形品の表
面外観が良好であり、更に衝撃強度、剛性等の機械的特
性、及びドローダウン特性に優れた、充填剤にて補強さ
れたブロー成形性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂
組成物を提供することを目的とする。
【0008】本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意
検討を重ねた結果、粘度平均分子量10,000〜4
0,000の芳香族ポリカーボネート樹脂、粘度平均分
子量70,000〜200,000の超高分子量芳香族
ポリカーボネート樹脂、及びジエン系ゴム成分にシアン
化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物をグラフトした熱
可塑性グラフト共重合体からなる樹脂組成物に特定のワ
ラストナイト、及びカルボキシル基及び/又はカルボン
酸無水物基を含有するオレフィン系ワックスを配合する
事により、特に特定の充填剤と超高分子量のポリカーボ
ネート樹脂を組み合わせることで、ブロー成形性と表面
外観や衝撃強度、剛性等の機械的特性のバランスに優れ
ることを見いだし、本発明に到達した。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、粘度平均分子
量10,000〜40,000の芳香族ポリカーボネー
ト樹脂(A成分)88〜8重量%、粘度平均分子量7
0,000〜200,000の超高分子量芳香族ポリカ
ーボネート樹脂(B成分)2〜30重量%、及び熱可塑
性ジエン系ゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族ビ
ニル化合物をグラフトした熱可塑性グラフト共重合体
(C成分)10〜90重量%からなる樹脂組成物100
重量部に対して、アスペクト比L/D=3〜50のワラ
ストナイト(D成分)1〜100重量部、カルボキシル
基及び/又はカルボン酸無水物基を含有するオレフィン
系ワックス(E成分)0.02〜5重量部を配合してな
るブロー成形性に優れた芳香族ポリカーボネート樹脂組
成物、及びこれからなる成形品に係るものである。
【0010】本発明で使用する芳香族ポリカーボネート
樹脂(A成分)は、二価フェノールとカーボネート前駆
体との反応によって製造される。ここで使用する2価フ
ェノールとしては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン[通称ビスフェノールA]を対象とする
が、その一部又は全部を他の二価フェノールで置換えて
もよい。他の二価フェノールとしては、例えばビス(4
−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒ
ドキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフォン等があげら
れる。
【0011】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カルボニルエステル又はハロホルメート等があ
げられ、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネー
ト、二価フェノールのジハロホルメート及びこれらの混
合物である。芳香族ポリカーボネート樹脂を製造するに
当り、前記の二価フェノールを単独でまたは2種以上を
使用することができる。また得られた芳香族ポリカーボ
ネート樹脂を2種以上混合して使用してもよい。
【0012】芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)の
分子量は、粘度平均分子量で表して一般に10,000
〜40,000、好ましくは15,000〜30,00
0である。本発明でいう粘度平均分子量(M)は塩化メ
チレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7gを20
℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηSP)を次式に挿
入して求めたものである。 ηSP/C=[η]+0.45×[η]2C [η]=1.23×10-40.83 (但し[η]は極限粘度であり、Cはポリマー濃度で
0.7である。)
【0013】かかる分子量の芳香族ポリカーボネート樹
脂を製造するに当たって、適当な分子量調節剤、反応を
促進するための触媒等を使用してもよい。
【0014】A成分の芳香族ポリカーボネート樹脂とし
て粘度平均分子量が10,000未満のものを使用した
場合は、ブロー時の膨らみ性が不均一となり、偏肉の多
いブロー成形物となる。また、粘度平均分子量が40,
000を越えたものを使用した場合は、溶融粘度が過剰
に増大し、パリソンの成形が困難となる。
【0015】本発明で使用する超高分子量芳香族ポリカ
ーボネート樹脂(B成分)は、上記芳香族ポリカーボネ
ート樹脂(A成分)で記述した成分を任意にとり得る
が、使用する上記芳香族ポリカーボネート樹脂(A成
分)と同一のものが好ましい。超高分子量芳香族ポリカ
ーボネート樹脂(B成分)の重合度は、単独では溶融成
形に供し得ない粘度平均分子量70,000〜200,
000、好ましくは100,000〜160,000で
ある。粘度平均分子量70,000未満のものを使用し
た場合は、ドローダウンを防止するために配合量を多量
にしなければならず、その結果溶融粘度が過剰に増大
し、パリソンの成形が困難になる。また、粘度平均分子
量200,000を越えたものを使用した場合は、混合
時の分散が悪く、ブロー成形品の外観が悪くなる。
【0016】本発明で使用するジエン系ゴム成分にシア
ン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物をグラフトした
熱可塑性グラフト共重合体(C成分)としては通常AB
S樹脂と称される樹脂を用いることができる。この熱可
塑性グラフト共重合体を形成するジエン系ゴム成分とし
ては、例えばポリブタジエン、ポリイソプレン及びスチ
レン−ブタジエン共重合体等のガラス転移点が10℃以
下のゴムが用いられ、その割合はC成分中5〜80重量
%であることが好ましい。ジエン系ゴム成分にグラフト
されるシアン化ビニル化合物としては、例えばアクリロ
ニトリル、メタアクリロニトリル等を挙げることができ
る。また、ジエン系ゴム成分にグラフトされる芳香族ビ
ニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチ
レン及び核置換スチレンを挙げることができる。このシ
アン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物のC成分中の
含有割合は、シアン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合
物との合計で95〜20重量%が好ましく、またシアン
化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物の重量比は50:
50〜5:95であることが好ましい。更にメチル(メ
タ)アクリレート、エチルアクリレート、無水マレイン
酸、N置換マレイミド等を混合使用することができる。
この熱可塑性グラフト共重合体成分は塊状重合、懸濁重
合、乳化重合のいずれの方法で製造されたものでもよ
く、また共重合の方法も一段で共重合しても、多段で共
重合してもよい。このC成分は一種のみならず二種以上
を混合して用いることもできる。
【0017】本発明で使用するワラストナイト(D成
分)は、針状結晶をもつ天然白色鉱物(カルシウムメタ
シリケート)であり、化学式CaSiO3で表され、通
常SiO2 50重量%、CaO 47重量%、その他
Fe23、Al23などを含有しており、比重は約2.
9である。本発明においては、該ワラストナイトはアス
ペクト比L/D=3〜50、好ましくは5〜50の範囲
にあることが必要である。本発明でアスペクト比L/D
とは、ワラストナイトを走査型電子顕微鏡写真を撮影
し、写真中の100個のワラストナイト繊維の平均繊維
長(L)と平均繊維径(D)との比で表されるものであ
る。
【0018】また、該ワラストナイトは、通常の表面処
理剤、例えばシラン系カップリング剤、チタネート系カ
ップリング剤などのカップリング剤などで表面処理を施
したものを使用しても差し支えない。アスペクト比が3
未満では、補強効果が不十分であり、耐薬品性、疲労特
性が低下するようになり、アスペクト比が50を超える
と得られる成形品の外観が悪化するようになり好ましく
ない。また、該ワラストナイトは、通常の表面処理剤、
例えばシラン系カップリング剤、チタネート系カップリ
ング剤などのカップリング剤などで表面処理を施したも
のを使用しても差し支えない。
【0019】本発明で使用するカルボキシル基及び/又
はカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス
(E成分)とは、オレフィン系ワックスを特殊処理して
得られるカルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基
を持つワックスである。このワックスを配合することに
より、成形加工時のせん断による無機充填剤の破壊を低
減させ、本来のアスペクト比を保持する効果が発現する
ものと考えられる。
【0020】このカルボキシル基及びカルボン酸無水物
基は、このオレフィン系ワックスのどの部分に結合して
もよく、またその濃度は特に限定されないが、該オレフ
ィン系ワックス1g当り0.1〜6meq/gの範囲が
好ましい。0.1meq/gより少なくなると剛性及び
耐衝撃性の改良効果が不十分となり、6meq/gより
多くなると該オレフィン系ワックス自身の熱安定性が悪
化し好ましくない。かかるオレフィン系ワックスの市販
品としては例えばダイヤカルナ−PA30(三菱化成
(株)製:商品名)、ハイワックス酸処理タイプの22
03A、1105A(三井石油化学(株)製:商品
名)、あるいは酸化パラフィン(日本精蝋(株)製)な
どが挙げられ、これら単独あるいは2種以上の混合物と
して使用される。
【0021】本発明のブロー成形性に優れた芳香族ポリ
カーボネート樹脂組成物は、A成分、B成分、C成分の
合計を100重量%とした時、上述の芳香族ポリカーボ
ネート樹脂(A成分)88〜8重量%、好ましくは76
〜20重量%、超高分子量芳香族ポリカーボネート樹脂
(B成分)2〜30重量%、好ましくは4〜25重量
%、ジエン系ゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香族
ビニル化合物をグラフトした熱可塑性グラフト共重合体
(C成分)10〜90重量%、好ましくは15〜85重
量%からなる樹脂組成物100重量部に対して、アスペ
クト比L/D=3〜50のワラストナイト(D成分)1
〜100重量部、好ましくは5〜70重量部、更に好ま
しくは10〜40重量部、カルボキシル基及び/又はカ
ルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス(E
成分)を0.02〜5重量部、好ましくは0.05〜3
重量部、配合してなるものである。
【0022】超高分子量芳香族ポリカーボネート樹脂
(B成分)の配合割合が2重量%未満ではドローダウン
特性の改良が不十分であり、30重量%を超えると溶融
粘度が増大し成形が困難となる。
【0023】ジエン系ゴム成分にシアン化ビニル化合物
と芳香族ビニル化合物をグラフトした熱可塑性グラフト
共重合体(C成分)の配合割合が90重量%を超えると
機械的強度、耐熱性が低下するようになり、10重量%
未満では厚肉部の衝撃強度が低下するようになり好まし
くない。
【0024】アスペクト比L/D=3〜50のワラスト
ナイト(D成分)の配合割合が1重量部未満では、補強
効果が小さく、剛性が不十分となり、100重量部を超
えると得られる成形品の外観が悪化するようになり好ま
しくない。
【0025】カルボキシル基及び/又はカルボン酸無水
物基を含有するオレフィン系ワックス(E成分)の配合
割合が0.02重量部未満では剛性、耐衝撃性改良効果
が小さく、5重量部を超えると外観、機械的強度が低下
するようになり好ましくない。
【0026】本発明においてA成分、B成分、C成分、
D成分、及びE成分からなる樹脂組成物にて目的とする
樹脂組成物を得ることが可能であるが、更に、耐衝撃
性、特に低温雰囲気下の耐衝撃性を向上させるために、
ゴム質重合体(F成分)を、難燃性を付与するために、
難燃剤(G成分)、難燃助剤(H成分)を配合すること
が可能である。
【0027】ゴム質重合体(F成分)としては、例え
ば、ブタジエン−アルキル(メタ)アクリレート−スチ
レン共重合体等のジエン系弾性重合体、ブタジエン−ア
ルキルアクリレート−アルキル(メタ)アクリレート共
重合体等のアクリル系弾性重合体、ポリオルガノシロキ
サンゴムとポリアルキル(メタ)アクリレートゴム成分
とが相互に絡み合った構造を有している複合弾性重合
体、オレフィン系共重合体などが挙げられ、これらを単
独あるいは2種以上混合して用いることも可能である。
さらにオレフィン系共重合体とは、エチレン及び/また
は炭素数3以上のα−オレフィンと不飽和カルボン酸エ
ステルとを重合させて得られるものである。かかるオレ
フィン系共重合体を構成する炭素数3以上のα−オレフ
ィンとしては、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−
1、デセン−1、4−メチルブテン−1、4−メチルペ
ンテン−1などが挙げられるがプロピレン又はブテン−
1が好ましい。また不飽和カルボン酸エステルとして
は、炭素数3〜8の不飽和カルボン酸、例えば、アクリ
ル酸、メタクリル酸などのアルキルエステルであり、具
体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、ア
クリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、メタクリ
ル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プ
ロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−
ブチル、メタクリル酸イソブチル、などが挙げられる
が、アクリル酸エチル又はメタクリル酸メチルが好まし
い。該オレフィン系共重合体はエチレン及び/又は炭素
数3以上のα−オレフィンは50〜99重量%、不飽和
カルボン酸エステル1〜50重量%の範囲内で共重合し
たものを用いることが好ましい。
【0028】ゴム質重合体(F成分)の配合割合は通
常、1〜100重量部、好ましくは5〜70重量部であ
る。1重量部未満では衝撃強度改良効果が低く、100
重量部を超えると剛性が低下するようになる。
【0029】難燃剤(G成分)としては、芳香族ポリカ
ーボネート樹脂(A成分)及びジエン系ゴム成分にシア
ン化ビニル化合物と芳香族ビニル化合物をグラフトした
熱可塑性グラフト共重合体(C成分)からなる樹脂組成
物に対して一般的に使用される、ハロゲン系またはリン
系のものが好ましい。ハロゲン系難燃剤としては例えば
芳香族ハロゲン化合物、ハロゲン化エポキシ樹脂、ハロ
ゲン化ポリカーボネート樹脂、ハロゲン化芳香族ビニル
系重合体、ハロゲン化シアヌレート樹脂、ハロゲン化ポ
リフェニルエーテル、ハロゲン化ポリフェニルチオエー
テル等が挙げられ、好ましくはデカブロモジフェニルオ
キサイド、ブロム化ビスフェノール系エポキシ樹脂、ブ
ロム化ビスフェノール系フェノキシ樹脂、ブロム化ビス
フェノール系ポリカーボネート樹脂、ブロム化ポリスチ
レン樹脂、ブロム化架橋ポリスチレン樹脂、ブロム化ビ
スフェノールシアヌレート樹脂、ブロム化ポリフェニレ
ンオキサイド、ポリジブロムフェニレンオキサイド、デ
カブロモジフェニルオキサイドビスフェノール縮合物
(テトラブロムビスフェノールA、そのオリゴマー等)
が挙げられる。リン系難燃剤としては例えばトリメチル
ホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホ
スフェート、トリオクチルホスフェート、トリブトキシ
コチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリ
クレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェー
ト、オクチルジフェニルホスフェート等の非ハロゲンリ
ン酸エステル、トリス(クロロエチル)ホスフェート、
トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、ビス(2,
3−ジブロモプロピル)−2,3−ジクロロプロピルホ
スフェート、トリス(2,3−ジブロモプロピル)ホス
フェート、ビス(クロロプロピル)モノオクチルホスフ
ェート等の含ハロゲンリン酸エステル等が挙げられる。
かかる難燃剤(G成分)の配合割合はA成分〜E成分の
5成分からなる樹脂組成物または、A成分〜F成分の6
成分からなる樹脂組成物100重量部に対して通常、1
〜30重量部である。1重量部未満では十分な難燃効果
が得られ難く、30重量部を越えると成形時の熱安定性
が低下するようになる。
【0030】また、難燃剤の効果を増大させるために難
燃助剤(H成分)を用いることも可能である。難燃助剤
(H成分)の例としてはモリブデン化合物、アンチモン
化合物等を挙げることができる。このうち、特に好まし
いものは、アンチモン酸ナトリウム、三酸化アンチモン
である。また、更に難燃性能を更に向上させるためにフ
ィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンを
用いることも可能である。フィブリル形成能を有するポ
リテトラフルオロエチレンはASTM規格においてタイ
プIIIに分類されているものである。フィブリル形成能
を有するポリテトラフルオロエチレンは、UL規格の垂
直燃焼テストにおいて試験片の燃焼テスト時に溶融滴下
防止性能を有しており、かかるフィブリル形成能を有す
るポリテトラフルオロエチレンは、一層の難燃効果を与
えるものである。かかるフィブリル形成能を有するポリ
テトラフルオロエチレンは、例えば三井・デュポンフロ
ロケミカル(株)よりテフロン6Jとして、またはダイ
キン工業(株)よりポリフロンとして市販されており容
易に入手することが可能である。かかるフィブリル形成
能を有するポリテトラフルオロエチレンの配合量はA成
分〜E成分の5成分からなる樹脂組成物または、A成分
〜F成分の6成分からなる樹脂組成物100重量部に対
して通常、0.1〜1重量部である。0.1重量部未満
では十分な溶融滴下防止性能が得られ難く、1重量部を
越えると外観が悪化するようになる。
【0031】本発明のA成分〜E成分からなる組成物に
は、更にF成分〜H成分以外にも、本発明の目的を損な
わない範囲で、核剤(例えば、ステアリン酸ナトリウ
ム、エチレンーアクリル酸ナトリウム等)、安定剤(例
えば、リン酸エステル、亜リン酸エステル等)、酸化防
止剤(例えばヒンダードフェノール系化合物等)、光安
定剤、着色剤、発泡剤、滑剤、離型剤、帯電防止剤、等
を配合してもよい。また、少量の他の熱可塑性樹脂を添
加してもよい。
【0032】本発明の樹脂組成物は、各成分をV型ブレ
ンダー、リボンミキサー、タンブラー等で均一に混合し
た後、通常の押出機などにて溶融混練し、ペレット化す
ることができる。また、任意の各成分のいずれかをあら
かじめ混合した後、残りの成分を混合し、通常の押出機
などにて溶融混練し、ペレット化してもよい。かくして
得られた樹脂組成物はブロー成形、インジェクションブ
ロー成形のほか、押出成形、熱成形、真空成形、射出成
形、ガスアシスト成形等の任意の方法で容易に成形する
ことができる。
【0033】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を更に詳細に説
明する。なお、評価は下記の方法によった。
【0034】(1)表面外観;箱型のブロー成形品の一
部を切り出し、日本ビーケミカル(株)製R−230ド
ーバーホワイトを塗布し、80℃×1時間乾燥した後、
万能表面形状測定機(SURFCOM 3B.E−MD
−S10A:東京精密(株)製)にて触針径2μm、触
針圧0.07gの条件にて平均表面粗さ(Ra)を測定
した。なお塗装膜厚は30μmであった。
【0035】(2)衝撃強度;ASTM D256に従
い、[1/8″]厚及び[1/4″]厚試験片にてノッ
チ付きアイゾット衝撃強度を測定した。
【0036】(3)剛性;ASTM D790に従い曲
げ試験を実施し、曲げ弾性率を測定した。
【0037】(4)ドローダウン性(以下DDと表
示);ブロー成形機のダイより押出されたパリソンがダ
イ下、任意の長さに達した時の重量を測定し、図1に示
すように横軸にパリソン長さ、縦軸にパリソン重量をと
って曲線OPを作成し、この曲線に原点で接線OBを引
き、パリソン長さLiに対応する重量をWpi、パリソ
ン長さLiに対応する接線OBとの交点の重量をWBi
とし下式より求める。 DD(%)={(WBi−WPi)/WBi}×100 ドローダウン性は小さい方が好ましい。
【0038】[実施例1〜7及び比較例1〜5]表1に
示す各成分を表記載の配合割合でV型ブレンダーで混合
した後、径30mmのベント式押出機[ナカタニ(株)
製VSK−30]によりシリンダー温度260℃でペレ
ット化した。このペレットを105℃で5時間乾燥した
後、射出成形機[FANUC(株)製T−150D]に
よりシリンダー温度260℃、金型温度70℃で試験片
を作成し、評価結果を表1に示した。
【0039】また、上記ペレットを105℃で5時間乾
燥した後、ブロー成形機[住友重機械工業(株)製住友
ベクームSE51/BA2]を用いて、パリソンを形成
し、Li=50cmの位置でドローダウン性を測定し
た。使用したブロー成形機のスクリュー径は50mm
φ、ダイ外径は60mmφ、ダイ内径は56mmφであ
る。さらに、得られたパリソンを型締め、吹き込みし、
W100mm×T40mm×H300mmの箱型のブロ
ー成形品を得た。この時の成形条件は、シリンダー温度
260℃、金型温度60℃、ブロー空気圧が5kgf/
cm2である。
【0040】なお、表1記載の各成分を示す記号は下記
の通りである。 (A)芳香族ポリカーボネート樹脂 ビスフェノールAとホスゲンより製造される粘度平均分
子量25,000のポリカーボネート樹脂[帝人化成
(株)製パンライトL−1250](以下PCと称す) (B)超高分子量芳香族ポリカーボネート樹脂 ビスフェノールAとホスゲンより製造される粘度平均分
子量120,000のポリカーボネート樹脂(以下UH
M−PCと称す) (C)ジエン系ゴム成分にシアン化ビニル化合物と芳香
族ビニル化合物をグラフトした熱可塑性グラフト共重合
体 ABS樹脂:三井東圧化学(株)製「サンタック」UT
−61(以下ABSと称す) (D)無機充填剤 ワラストナイト:WIC10;キンセイマテック
(株)製、平均径(D)=4.5μm、アスペクト比L
/D=8(以下W−1と称す) ワラストナイト:NN−4;巴工業(株)製、平均径
(D)=4μm、アスペクト比L/D=20(以下W−
2と称す) ガラス繊維:3PE−941;日東紡(株)製、平均
径(D)=13μmアスペクト比L/D=230(以下
CSと称す) (E)オレフィン系ワックス α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合によるオレ
フィン系ワックス:ダイヤカルナ−PA30;三菱化成
(株)製(無水マレイン酸含有量=10重量%)(以下
WAXと称す) (F)ゴム質重合体 ブタジエン−アルキルアクリレート−アルキルメタア
クリレート共重合体:EXL−2602;呉羽化学工業
(株)製(以下E−1と称す) ポリオルガノシロキサン成分及びポリアルキル(メ
タ)アクリレートゴム成分が相互侵入網目構造を有して
いる複合ゴム:S−2001;三菱レイヨン(株)製)
(以下E−2と称す)
【0041】
【表1】
【0042】
【発明の効果】本発明の樹脂組成物では、製品のリブ数
を少なくでき、ブロー成形品の製品設計が容易であり、
更に薄肉化が可能になる。また、ブロー成形品の表面外
観が良好であり、更に詳しくは衝撃強度、疲労特性、剛
性等の機械的特性、ブロー成形性に優れたものであり、
自動車分野、OA機器分野などの各種工業用途に有用で
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のドローダウン性を測定するた
めの図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08L 69:00 23:26) (C08L 69/00 55:02 23:26) B29K 55:02 69:00

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粘度平均分子量10,000〜40,0
    00の芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)88〜8
    重量%、粘度平均分子量70,000〜200,000
    の超高分子量芳香族ポリカーボネート樹脂(B成分)2
    〜30重量%、及びジエン系ゴム成分にシアン化ビニル
    化合物と芳香族ビニル化合物をグラフトした熱可塑性グ
    ラフト共重合体(C成分)10〜90重量%からなる樹
    脂組成物100重量部に対して、アスペクト比L/D=
    3〜50のワラストナイト(D成分)1〜100重量
    部、カルボキシル基及び/又はカルボン酸無水物基を含
    有するオレフィン系ワックス(E成分)0.02〜5重
    量部を配合してなるブロー成形性に優れた芳香族ポリカ
    ーボネート樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のブロー成形性に優れた芳
    香族ポリカーボネート樹脂組成物から形成された成形
    品。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6664362B2 (en) 1998-08-28 2003-12-16 Teijin Chemicals Ltd Polycarbonate resin composition and molded article
US6780917B2 (en) 2001-03-02 2004-08-24 Teijin Chemicals, Ltd. Aromatic polycarbonate resin composition
US7271212B2 (en) 2003-08-07 2007-09-18 Daicel Polymer, Ltd. Thermoplastic resin composition and shaped article
JP2019116562A (ja) * 2017-12-27 2019-07-18 キヤノン株式会社 樹脂組成物、樹脂組成物の製造方法および電子機器

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