JPH10321229A - 非水系電解質二次電池用正極活物質およびその製造法 - Google Patents
非水系電解質二次電池用正極活物質およびその製造法Info
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- JPH10321229A JPH10321229A JP9150338A JP15033897A JPH10321229A JP H10321229 A JPH10321229 A JP H10321229A JP 9150338 A JP9150338 A JP 9150338A JP 15033897 A JP15033897 A JP 15033897A JP H10321229 A JPH10321229 A JP H10321229A
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- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
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- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
- Secondary Cells (AREA)
- Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 二次電池のサイクル特性を向上(放電容量を
維持)させることが可能であるのみならず、製造コスト
が安価で利用範囲が広いリチウム−ニッケル複酸化物を
用いた非水系電解質二次電池用正極活物質およびその製
造法を提供する。 【解決手段】 ニッケルとコバルトを含む溶液、苛性ア
ルカリ水溶液およびアンモニウムイオン供給体とを同時
かつ連続的に供給して合成して得られるとともに、9〜
25モル%のコバルトを含み、X線回折で測定した[0
01]面の回折図形の半価幅が0.5゜〜1.0゜であ
り、かつタップ密度が2.0〜2.4g/ミリリットル
であるコバルト−ニッケル共沈水酸化物を原料としてな
る非水系電解質二次電池用正極活物質を特徴とする。ま
たコバルト−ニッケル共沈水酸化物およびリチウム化合
物をモル比(Li/Μ(=Co+Ni))で1.0〜
1.1とし、該水酸化物の二次粒子の形骸が残るように
混合した後、酸素雰囲気中で温度620〜730℃で8
〜20時間焼成する非水系電解質二次電池用正極活物質
の製造法を特徴とする。
維持)させることが可能であるのみならず、製造コスト
が安価で利用範囲が広いリチウム−ニッケル複酸化物を
用いた非水系電解質二次電池用正極活物質およびその製
造法を提供する。 【解決手段】 ニッケルとコバルトを含む溶液、苛性ア
ルカリ水溶液およびアンモニウムイオン供給体とを同時
かつ連続的に供給して合成して得られるとともに、9〜
25モル%のコバルトを含み、X線回折で測定した[0
01]面の回折図形の半価幅が0.5゜〜1.0゜であ
り、かつタップ密度が2.0〜2.4g/ミリリットル
であるコバルト−ニッケル共沈水酸化物を原料としてな
る非水系電解質二次電池用正極活物質を特徴とする。ま
たコバルト−ニッケル共沈水酸化物およびリチウム化合
物をモル比(Li/Μ(=Co+Ni))で1.0〜
1.1とし、該水酸化物の二次粒子の形骸が残るように
混合した後、酸素雰囲気中で温度620〜730℃で8
〜20時間焼成する非水系電解質二次電池用正極活物質
の製造法を特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は負極にリチウム、リ
チウム合金またはカーボンを用いる非水系電解質二次電
池用の正極活物質およびその製造方法に関するものであ
り、特に電池の高容量化およびサイクル特性の向上(高
容量の維持)を計ることができた正極活物質の改良に関
するものである。
チウム合金またはカーボンを用いる非水系電解質二次電
池用の正極活物質およびその製造方法に関するものであ
り、特に電池の高容量化およびサイクル特性の向上(高
容量の維持)を計ることができた正極活物質の改良に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯電話やノート型パソコンなど
の携帯機器の普及にともない、高いエネルギー密度を有
する小型、軽量で高い容量を持つ二次電池の開発が強く
望まれている。このようなものとしてリチウム、リチウ
ム合金あるいはカーボンを負極として用いるリチウムイ
オン二次電池があり、現在研究開発が盛んに行われてい
る。またリチウム−コバルト複酸化物(LiCoO2)
を正極活物質に用いたリチウムイオン二次電池は4V級
の高い電圧が得られるため、高エネルギー密度を持つ電
池として期待され、実用化が進んでいる。
の携帯機器の普及にともない、高いエネルギー密度を有
する小型、軽量で高い容量を持つ二次電池の開発が強く
望まれている。このようなものとしてリチウム、リチウ
ム合金あるいはカーボンを負極として用いるリチウムイ
オン二次電池があり、現在研究開発が盛んに行われてい
る。またリチウム−コバルト複酸化物(LiCoO2)
を正極活物質に用いたリチウムイオン二次電池は4V級
の高い電圧が得られるため、高エネルギー密度を持つ電
池として期待され、実用化が進んでいる。
【0003】しかしながら、原料に高価なコバルト化合
物を用いるため活物質、さらには電池の製造コストのア
ップの原因となり安価な活物質の開発が望まれていた。
また容量当たりの単価はニッケル水素電池の約4倍と高
価であるため、適用される用途がかなり限定されてい
る。したがって活物質のコストを下げて、より安価なリ
チウムイオン二次電池を製造することができると、現在
普及している携帯機器の軽量化、小型化において工業的
に大きな意義を持ち、したがってリチウムイオン二次電
池の正極活物質として、リチウム−コバルト複酸化物よ
りも安価で、しかもより高容量が期待できるリチウム−
ニッケル複酸化物の開発が盛んに行われている。
物を用いるため活物質、さらには電池の製造コストのア
ップの原因となり安価な活物質の開発が望まれていた。
また容量当たりの単価はニッケル水素電池の約4倍と高
価であるため、適用される用途がかなり限定されてい
る。したがって活物質のコストを下げて、より安価なリ
チウムイオン二次電池を製造することができると、現在
普及している携帯機器の軽量化、小型化において工業的
に大きな意義を持ち、したがってリチウムイオン二次電
池の正極活物質として、リチウム−コバルト複酸化物よ
りも安価で、しかもより高容量が期待できるリチウム−
ニッケル複酸化物の開発が盛んに行われている。
【0004】また前記リチウム−ニッケル複酸化物の合
成に関しては以下のような報告がなされている。すなわ
ち+3価のニッケルは温度が850℃以上になると不安
定になり、その結果として得られるリチウム−ニッケル
複酸化物は非化学量論組成をとり易い(例えば、Μ.
G.S.R.Thomas et al,Μat.Re
s.Bull.,20,1137(1985))。また
600℃以下の低温で合成を行った場合、LiCoO2
の低温相と同様に立方と菱面体格子の中間的なイオン分
布をもったLi1−xNi1+xO2で表される固溶体
が合成される(平野敦ら、電気化学協会第62回大会要
旨集、p264(1995))。
成に関しては以下のような報告がなされている。すなわ
ち+3価のニッケルは温度が850℃以上になると不安
定になり、その結果として得られるリチウム−ニッケル
複酸化物は非化学量論組成をとり易い(例えば、Μ.
G.S.R.Thomas et al,Μat.Re
s.Bull.,20,1137(1985))。また
600℃以下の低温で合成を行った場合、LiCoO2
の低温相と同様に立方と菱面体格子の中間的なイオン分
布をもったLi1−xNi1+xO2で表される固溶体
が合成される(平野敦ら、電気化学協会第62回大会要
旨集、p264(1995))。
【0005】以上の報告のように、リチウム−ニッケル
複酸化物の合成時の温度条件が厳しく、より定比組成に
近いリチウム−ニッケル複酸化物を得るためにはリチウ
ム原料としては過酸化リチウム(Li2O2)、ニッケ
ル原料としては硝酸ニッケルなどの反応性の良い原料を
用いる必要があった。
複酸化物の合成時の温度条件が厳しく、より定比組成に
近いリチウム−ニッケル複酸化物を得るためにはリチウ
ム原料としては過酸化リチウム(Li2O2)、ニッケ
ル原料としては硝酸ニッケルなどの反応性の良い原料を
用いる必要があった。
【0006】しかしこれらの材料は吸湿性が強く取扱に
難があり、さらには工業原料として用いるにはあまりに
高価であるという問題があった。またよい性状の正極活
物質を得ることができたとしても、二次電池の正極材料
として考えた場合、合成時の温度が低いため通常の合成
では大きな粒径を持った粒子を得ることができないとい
う問題もあった。大きな粒径をもった粒子を得ることが
できれば、電池のような限られた体積により多くの活物
質を詰め込むことができることによって、一層高容量の
二次電池を製造することが可能となるが、細かい粒径の
粒子では活物質の密度を上げることは非常に困難であ
る。
難があり、さらには工業原料として用いるにはあまりに
高価であるという問題があった。またよい性状の正極活
物質を得ることができたとしても、二次電池の正極材料
として考えた場合、合成時の温度が低いため通常の合成
では大きな粒径を持った粒子を得ることができないとい
う問題もあった。大きな粒径をもった粒子を得ることが
できれば、電池のような限られた体積により多くの活物
質を詰め込むことができることによって、一層高容量の
二次電池を製造することが可能となるが、細かい粒径の
粒子では活物質の密度を上げることは非常に困難であ
る。
【0007】通常工業原料として用いられる水酸化ニッ
ケル、酸化ニッケル、水酸化リチウムおよび炭酸リチウ
ムを合成原料とした場合、化学量論組成のリチウム−ニ
ッケル複酸化物が得られにくいため初期特性は優れてい
るものの、サイクル特性に問題があり、電池容量が低下
し、結果として正極活物質としての利用範囲の低下を招
くなど実用化には改良するべき点があった。
ケル、酸化ニッケル、水酸化リチウムおよび炭酸リチウ
ムを合成原料とした場合、化学量論組成のリチウム−ニ
ッケル複酸化物が得られにくいため初期特性は優れてい
るものの、サイクル特性に問題があり、電池容量が低下
し、結果として正極活物質としての利用範囲の低下を招
くなど実用化には改良するべき点があった。
【0008】リチウム−ニッケル複酸化物系でサイクル
特性が悪いことの原因は、リチウムイオンをデインター
カレートした際に生じる対称性の低下である。これは、
0.5モル程度のリチウムイオンをデインターカレート
すると単斜晶相が出現し、リチウムのインターカレート
により元のα−NaFeO2型に戻らなくなることによ
る。この原因としては、例えば、菅野了次、電気化学6
3、No.7、778(1995)に記載されている通
りニッケルの共同ヤーンテラー歪などが挙げられてい
る。
特性が悪いことの原因は、リチウムイオンをデインター
カレートした際に生じる対称性の低下である。これは、
0.5モル程度のリチウムイオンをデインターカレート
すると単斜晶相が出現し、リチウムのインターカレート
により元のα−NaFeO2型に戻らなくなることによ
る。この原因としては、例えば、菅野了次、電気化学6
3、No.7、778(1995)に記載されている通
りニッケルの共同ヤーンテラー歪などが挙げられてい
る。
【0009】これを解決する目的で特開昭63−114
063号公報、特開昭63−211565号公報などに
よりコバルトを添加することが提案されている。しかし
これら公報では容量のサイクル特性を向上させるために
式LiNixCo1−xO2におけるxの範囲を0.4
以下とし、ニッケルの含有量よりもコバルトの含有量を
多くしているのでリチウム−コバルト複酸化物を改良す
る技術を開示するものであり、容量の向上や低コスト化
を目指したリチウム−ニッケル複酸化物を実用化するた
めの技術の開示とは言い難いものである。
063号公報、特開昭63−211565号公報などに
よりコバルトを添加することが提案されている。しかし
これら公報では容量のサイクル特性を向上させるために
式LiNixCo1−xO2におけるxの範囲を0.4
以下とし、ニッケルの含有量よりもコバルトの含有量を
多くしているのでリチウム−コバルト複酸化物を改良す
る技術を開示するものであり、容量の向上や低コスト化
を目指したリチウム−ニッケル複酸化物を実用化するた
めの技術の開示とは言い難いものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記問
題に鑑みなされたものであり、二次電池のサイクル特性
を向上(放電容量を維持)させることが可能であるのみ
ならず、製造コストが安価で利用範囲が広いリチウム−
ニッケル複酸化物を用いた非水系電解質二次電池用正極
活物質およびその製造法を提供することであり、さらに
詳細には通常の工業原料を用いても結晶性に優れ、かつ
正極材料としての粉体特性に優れた粒径の大きなリチウ
ム−ニッケル複酸化物を用いることを特徴とするもので
ある。
題に鑑みなされたものであり、二次電池のサイクル特性
を向上(放電容量を維持)させることが可能であるのみ
ならず、製造コストが安価で利用範囲が広いリチウム−
ニッケル複酸化物を用いた非水系電解質二次電池用正極
活物質およびその製造法を提供することであり、さらに
詳細には通常の工業原料を用いても結晶性に優れ、かつ
正極材料としての粉体特性に優れた粒径の大きなリチウ
ム−ニッケル複酸化物を用いることを特徴とするもので
ある。
【0011】
【課題を解決するための手段】放電容量のサイクル維持
率の低下の改善を目的としたコバルトの添加は、同時に
初期容量の低下をも招いてしまう。したがって低コスト
化および初期容量とサイクル特性の向上のためには、可
能な限りコバルトの添加量を低くし、ニッケルによるヤ
ーンテラー歪を緩和してやらなければならない。そこで
本発明者らは、添加したコバルトが原子レベルでニッケ
ルと混合されていれば25モル%程度のコバルトの添加
で十分であり、ヤーンテラー歪の緩和があればさらに少
ないコバルトの添加でも放電容量のサイクル維持率の低
下を改善できる可能性があると考えた。
率の低下の改善を目的としたコバルトの添加は、同時に
初期容量の低下をも招いてしまう。したがって低コスト
化および初期容量とサイクル特性の向上のためには、可
能な限りコバルトの添加量を低くし、ニッケルによるヤ
ーンテラー歪を緩和してやらなければならない。そこで
本発明者らは、添加したコバルトが原子レベルでニッケ
ルと混合されていれば25モル%程度のコバルトの添加
で十分であり、ヤーンテラー歪の緩和があればさらに少
ないコバルトの添加でも放電容量のサイクル維持率の低
下を改善できる可能性があると考えた。
【0012】本発明者らはこの可能性について種々研究
を進めた結果、−次粒子が凝集し、ほぼ球状の二次粒子
を形成しているコバルト−ニッケル共沈水酸化物が原料
として有効であり、この形態が焼成後に得られる正極活
物質の特性に影響を及ぼすことを見い出し、また二次粒
子の形骸を残し大き粒径とすることで限られた体積によ
り多くの活物質を詰め込むことが可能となり、実電池の
製造においてより高容量の二次電池を得ることを見い出
した。
を進めた結果、−次粒子が凝集し、ほぼ球状の二次粒子
を形成しているコバルト−ニッケル共沈水酸化物が原料
として有効であり、この形態が焼成後に得られる正極活
物質の特性に影響を及ぼすことを見い出し、また二次粒
子の形骸を残し大き粒径とすることで限られた体積によ
り多くの活物質を詰め込むことが可能となり、実電池の
製造においてより高容量の二次電池を得ることを見い出
した。
【0013】この点に関し本発明者らはさらに研究を進
めた。そして二次粒子(凝集体)の形状および粒度分布
を反映したものとしてタップ密度があり、−次粒子の粒
径を表わすものとしてはΧ線回折における回折図形の半
価幅があり、この考えに基づき、タップ密度およびX線
回折図形における半価幅により粉体特性を制御した分子
レベルでコバルトが分散しているコバルト−ニッケル共
沈水酸化物を原料とすると結晶性に優れ、コバルトの含
有量が少なく、かつ粒径の大きな正極活物質を得ること
ができることを見い出して本発明を完成するに至った。
めた。そして二次粒子(凝集体)の形状および粒度分布
を反映したものとしてタップ密度があり、−次粒子の粒
径を表わすものとしてはΧ線回折における回折図形の半
価幅があり、この考えに基づき、タップ密度およびX線
回折図形における半価幅により粉体特性を制御した分子
レベルでコバルトが分散しているコバルト−ニッケル共
沈水酸化物を原料とすると結晶性に優れ、コバルトの含
有量が少なく、かつ粒径の大きな正極活物質を得ること
ができることを見い出して本発明を完成するに至った。
【0014】したがって、本発明の第1の実施態様は、
ニッケルとコバルトを含む溶液、苛性アルカリ水溶液お
よびアンモニウムイオン供給体とを同時かつ連続的に供
給して合成して得られるとともに、9〜25モル%のコ
バルトを含み、X線回折で測定した[001]面の回折
図形の半価幅が0.5゜〜1.0゜であり、かつタップ
密度が2.0〜2.4g/ミリリットルであるコバルト
−ニッケル共沈水酸化物を原料としてなる非水系電解質
二次電池用正極活物質を特徴とするものである。
ニッケルとコバルトを含む溶液、苛性アルカリ水溶液お
よびアンモニウムイオン供給体とを同時かつ連続的に供
給して合成して得られるとともに、9〜25モル%のコ
バルトを含み、X線回折で測定した[001]面の回折
図形の半価幅が0.5゜〜1.0゜であり、かつタップ
密度が2.0〜2.4g/ミリリットルであるコバルト
−ニッケル共沈水酸化物を原料としてなる非水系電解質
二次電池用正極活物質を特徴とするものである。
【0015】本発明の第2の実施態様は、コバルト−ニ
ッケル共沈水酸化物およびリチウム化合物をモル比(L
i/Μ(=Co+Ni))で1.0〜1.1とし、該水
酸化物の二次粒子の形骸が残るように混合した後、酸素
雰囲気中で温度620〜730℃で8〜20時間焼成す
る非水系電解質二次電池用正極活物質の製造法を特徴と
するものである。
ッケル共沈水酸化物およびリチウム化合物をモル比(L
i/Μ(=Co+Ni))で1.0〜1.1とし、該水
酸化物の二次粒子の形骸が残るように混合した後、酸素
雰囲気中で温度620〜730℃で8〜20時間焼成す
る非水系電解質二次電池用正極活物質の製造法を特徴と
するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明において正極活物質の原料
として用いるコバルト−ニッケル共沈水酸化物の合成
は、本出願人が出願した特願平8−231937号に記
載されたニッケル水素二次電池用の正極である水酸化ニ
ッケルの合成法と同様にして、ニッケル、コバルトを含
む水溶液、苛性アルカリ水溶液およびアンモニウムイオ
ン供給体とを反応溶液系内にニッケルおよびコバルトの
金属イオン濃度を所定の値に保ちつつ、一定以上の撹拌
強度下で同時かつ連続的に供給することにより実施され
る。
として用いるコバルト−ニッケル共沈水酸化物の合成
は、本出願人が出願した特願平8−231937号に記
載されたニッケル水素二次電池用の正極である水酸化ニ
ッケルの合成法と同様にして、ニッケル、コバルトを含
む水溶液、苛性アルカリ水溶液およびアンモニウムイオ
ン供給体とを反応溶液系内にニッケルおよびコバルトの
金属イオン濃度を所定の値に保ちつつ、一定以上の撹拌
強度下で同時かつ連続的に供給することにより実施され
る。
【0017】その際ニッケル、コバルトを含む水溶液を
得るためのニッケル化合物としては硝酸ニッケル、硫酸
ニッケルおよび塩化ニッケルなどの水溶性のニッケル塩
が挙げられ、またコバルト化合物としては硝酸コバル
ト、硫酸コバルトおよび塩化コバルトを挙げることがで
きる。金属イオンの全濃度は、特に限定されないがあま
りに低い場合は生産性が悪化してしまう。
得るためのニッケル化合物としては硝酸ニッケル、硫酸
ニッケルおよび塩化ニッケルなどの水溶性のニッケル塩
が挙げられ、またコバルト化合物としては硝酸コバル
ト、硫酸コバルトおよび塩化コバルトを挙げることがで
きる。金属イオンの全濃度は、特に限定されないがあま
りに低い場合は生産性が悪化してしまう。
【0018】つぎに苛性アルカリ水溶液を得るための原
料としては、苛性リチウム、苛性ソーダ、苛性カリウム
などを用い、またアンモニウムイオン供給体としてはア
ンモニア水、アンモニアガスなどを用いる。アンモニア
水を用いる場合、10%以上の濃度のものが生産性上望
ましい。
料としては、苛性リチウム、苛性ソーダ、苛性カリウム
などを用い、またアンモニウムイオン供給体としてはア
ンモニア水、アンモニアガスなどを用いる。アンモニア
水を用いる場合、10%以上の濃度のものが生産性上望
ましい。
【0019】以上のようにして合成された本発明に係る
コバルト−ニッケル共沈水酸化物中のコバルトの含有量
については、25モル%を超える場合、2.0g/ミリ
リットル以上の高いタップ密度をもつ球状の共沈水酸化
物を得ることができない。またコバルト−ニッケル共沈
水酸化物中のコバルトの含有量は電極活物質中の含有量
となるが、該含有量を9〜25モル%の範囲とする必要
がある。コバルトの含有量が9モル%未満になると放電
容量のサイクル維持率が低下し、一方25モル%を超え
た場合には、放電容量のサイクル維持率が向上するもの
の、容量そのものがコバルトの添加により低下するため
電池特性の向上にはつながらないからである。したがっ
てコバルトの共沈水酸化物中の含有量としては、9〜2
5モル%の範囲にあることが望ましい。より好ましいコ
バルトの添加量としては12モル%以上、20モル%以
下である。
コバルト−ニッケル共沈水酸化物中のコバルトの含有量
については、25モル%を超える場合、2.0g/ミリ
リットル以上の高いタップ密度をもつ球状の共沈水酸化
物を得ることができない。またコバルト−ニッケル共沈
水酸化物中のコバルトの含有量は電極活物質中の含有量
となるが、該含有量を9〜25モル%の範囲とする必要
がある。コバルトの含有量が9モル%未満になると放電
容量のサイクル維持率が低下し、一方25モル%を超え
た場合には、放電容量のサイクル維持率が向上するもの
の、容量そのものがコバルトの添加により低下するため
電池特性の向上にはつながらないからである。したがっ
てコバルトの共沈水酸化物中の含有量としては、9〜2
5モル%の範囲にあることが望ましい。より好ましいコ
バルトの添加量としては12モル%以上、20モル%以
下である。
【0020】またX線回折で測定した[001]面の回
折図形の半価幅を0.5゜未満である場合、タップ密度
を高くし、混合時に粉砕されにくい粒子を得ることがで
きるものの、タップ密度が2.4g/ミリリットルを超
えると焼成時にLiとの反応性が低下してしまうために
結晶性および化学量論性のよい活物質を得ることができ
ず、結果として電池の初期容量が低下してしまう。一方
半価幅が1.0゜を超えるとタップ密度は2.0g/ミ
リリットル以下になってしまう。タップ密度が2.0g
/ミリリットル以下ではLi原料との混合時に粉砕され
て二次粒子の粒形が維持できなくなり、粒子の大きな活
物質を得ることができなくなるため、X線回折で測定し
た[001]面の回折図形の半価幅を0.5゜〜1.0
゜の範囲にする必要がある。
折図形の半価幅を0.5゜未満である場合、タップ密度
を高くし、混合時に粉砕されにくい粒子を得ることがで
きるものの、タップ密度が2.4g/ミリリットルを超
えると焼成時にLiとの反応性が低下してしまうために
結晶性および化学量論性のよい活物質を得ることができ
ず、結果として電池の初期容量が低下してしまう。一方
半価幅が1.0゜を超えるとタップ密度は2.0g/ミ
リリットル以下になってしまう。タップ密度が2.0g
/ミリリットル以下ではLi原料との混合時に粉砕され
て二次粒子の粒形が維持できなくなり、粒子の大きな活
物質を得ることができなくなるため、X線回折で測定し
た[001]面の回折図形の半価幅を0.5゜〜1.0
゜の範囲にする必要がある。
【0021】さらに活物質合成における特徴は、上記コ
バルト−ニッケル共沈水酸化物およびリチウム化合物を
Μ(=Co+Ni)とするとき、Li/Μ(モル比)=
1.0〜1.1で共沈水酸化物の二次粒子の形骸が残る
ように20〜40分間乾式混合した後、酸素雰囲気中
で、温度620〜730℃で8〜20時間焼成すること
にある。
バルト−ニッケル共沈水酸化物およびリチウム化合物を
Μ(=Co+Ni)とするとき、Li/Μ(モル比)=
1.0〜1.1で共沈水酸化物の二次粒子の形骸が残る
ように20〜40分間乾式混合した後、酸素雰囲気中
で、温度620〜730℃で8〜20時間焼成すること
にある。
【0022】なお前記Li/Μ(モル比)を1.0〜
1.1とした理由は、リチウムが焼成中に気散するため
1.0以上とすることが望ましいが、1.1を超えると
リチウムが残留して電池の初期容量が低下するからであ
る。またリチウム化合物の残留は電池製造時にバインダ
ー(PVdF)のゲル化を引き起こすため実電池用の正
極活物質としては、リチウムの過剰分は最小とすること
が望ましい。この際リチウム化合物としては水酸化リチ
ウム、水酸化リチウム一水塩、炭酸リチウム、硝酸リチ
ウムなどを用いることができる。
1.1とした理由は、リチウムが焼成中に気散するため
1.0以上とすることが望ましいが、1.1を超えると
リチウムが残留して電池の初期容量が低下するからであ
る。またリチウム化合物の残留は電池製造時にバインダ
ー(PVdF)のゲル化を引き起こすため実電池用の正
極活物質としては、リチウムの過剰分は最小とすること
が望ましい。この際リチウム化合物としては水酸化リチ
ウム、水酸化リチウム一水塩、炭酸リチウム、硝酸リチ
ウムなどを用いることができる。
【0023】また焼成温度を620〜730℃とし、焼
成時間を8〜20時間とした理由は、620℃未満ある
いは8時間未満では反応速度が十分でなく、逆に730
℃を超えるかあるいは20時間を超えるとニッケルの3
価が不安定となるため化学量論性に優れた活物質を得る
ことができないからである。
成時間を8〜20時間とした理由は、620℃未満ある
いは8時間未満では反応速度が十分でなく、逆に730
℃を超えるかあるいは20時間を超えるとニッケルの3
価が不安定となるため化学量論性に優れた活物質を得る
ことができないからである。
【0024】一方混合法としては乾式が好ましく、振動
ミル、V型ブレンダーなどを用いることが可能である
が、混合時にコバルト−ニッケル共沈水酸化物の二次粒
子の形状が保持されて形骸が残る方法であればその他の
装置も用いることができる。混合法として振動ミルを用
いることが好ましいが、この場合は10G以下の振動力
とし、混合時間を20〜40分とする必要がある。その
理由は40分を超えて混合するとコバルト−ニッケル共
沈水酸化物の二次粒子が一部粉砕されてしまい形骸が残
らず、また20分未満では混合が不十分となるからであ
る。
ミル、V型ブレンダーなどを用いることが可能である
が、混合時にコバルト−ニッケル共沈水酸化物の二次粒
子の形状が保持されて形骸が残る方法であればその他の
装置も用いることができる。混合法として振動ミルを用
いることが好ましいが、この場合は10G以下の振動力
とし、混合時間を20〜40分とする必要がある。その
理由は40分を超えて混合するとコバルト−ニッケル共
沈水酸化物の二次粒子が一部粉砕されてしまい形骸が残
らず、また20分未満では混合が不十分となるからであ
る。
【0025】以上述べたように本発明のコバルト添加リ
チウム−ニッケル複酸化物を正極活物質として用いるこ
とにより、放電容量が高く利用範囲が広く、またクーロ
ン効率の高いサイクル特性の優れた二次電池を得ること
が可能となる。
チウム−ニッケル複酸化物を正極活物質として用いるこ
とにより、放電容量が高く利用範囲が広く、またクーロ
ン効率の高いサイクル特性の優れた二次電池を得ること
が可能となる。
【0026】
(実施例1) (合成法)Li/M(=Co+Ni)比を1.05とな
るように、水酸化リチウム一水和物359.5g、コバ
ルト−ニッケル共沈水酸化物(16.5モル%コバル
卜;タップ密度2.03g/ミリリットル、半価幅0.
799゜)775.9gを精秤し、1100gの直径1
0.3mmφのステンレスボールを3リットルのミル容
器に入れ、振動ミル(バイブロポットYAMP−6SN
D;安川商事(株)製)を用いて30分間混合した。得
られた混合粉末をマグネシアの焼成容器に入れ酸素雰囲
気中、700℃で20時間焼成を行った。調製した活物
質のSEM観察の結果を図1に示す。図1より原料であ
るコバルト−ニッケル共沈水酸化物の形骸を残した10
μm程度の粒子であることが分かった。
るように、水酸化リチウム一水和物359.5g、コバ
ルト−ニッケル共沈水酸化物(16.5モル%コバル
卜;タップ密度2.03g/ミリリットル、半価幅0.
799゜)775.9gを精秤し、1100gの直径1
0.3mmφのステンレスボールを3リットルのミル容
器に入れ、振動ミル(バイブロポットYAMP−6SN
D;安川商事(株)製)を用いて30分間混合した。得
られた混合粉末をマグネシアの焼成容器に入れ酸素雰囲
気中、700℃で20時間焼成を行った。調製した活物
質のSEM観察の結果を図1に示す。図1より原料であ
るコバルト−ニッケル共沈水酸化物の形骸を残した10
μm程度の粒子であることが分かった。
【0027】(電池評価)得られた活物質を用いて以下
のように電池を作製し、充放電容量を測定した。すなわ
ち活物質粉末85重量%にアセチレンブラック6重量%
およびΡVdF(ポリフッ化ビニリデン)9重量%を混
合し、NMP(n−メチルピロリドン)を加えペースト
化した。これをアルミニウム合金製のエキスパンドメタ
ルメッシュに乾燥後の活物質重量が0.07g/cm2
になるように塗布し、その後120℃で真空乾燥を行
い、図2に示すようにこれを正極4とした。一方負極5
としてはリチウムメタルを、また電解液2には1ΜのL
iPF6を支持塩とするエチレンカーボネート(EC)
とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合溶液を用
いて、アルゴン雰囲気中のグローブボックス中で図2に
示すビーカー電池1に組み立てた。なお、図2において
3はテフロン栓、6はリチウムメタル製の参照極を示
す。
のように電池を作製し、充放電容量を測定した。すなわ
ち活物質粉末85重量%にアセチレンブラック6重量%
およびΡVdF(ポリフッ化ビニリデン)9重量%を混
合し、NMP(n−メチルピロリドン)を加えペースト
化した。これをアルミニウム合金製のエキスパンドメタ
ルメッシュに乾燥後の活物質重量が0.07g/cm2
になるように塗布し、その後120℃で真空乾燥を行
い、図2に示すようにこれを正極4とした。一方負極5
としてはリチウムメタルを、また電解液2には1ΜのL
iPF6を支持塩とするエチレンカーボネート(EC)
とジエチルカーボネート(DEC)の等量混合溶液を用
いて、アルゴン雰囲気中のグローブボックス中で図2に
示すビーカー電池1に組み立てた。なお、図2において
3はテフロン栓、6はリチウムメタル製の参照極を示
す。
【0028】そして作製した電池を10時間程放置し
て、OCVが安定した後、正極に対する電流密度を1.
0mΑ/cm2とし、カットオフ4.3−3.0Vで充
放電試験を行った。その結果を表1に示す。表1におい
てクーロン効率は(放電容量)/(充電容量)であり、
放電容量のサイクル維持率は(50サイクル後の放電容
量)/(1サイクル目の放電容量)である。
て、OCVが安定した後、正極に対する電流密度を1.
0mΑ/cm2とし、カットオフ4.3−3.0Vで充
放電試験を行った。その結果を表1に示す。表1におい
てクーロン効率は(放電容量)/(充電容量)であり、
放電容量のサイクル維持率は(50サイクル後の放電容
量)/(1サイクル目の放電容量)である。
【0029】(実施例2)Li/M(=Co+Ni)比
を1.05となるように、水酸化リチウム一水和物35
0.5g、コバルト−ニッケル共沈水酸化物(24.4
モル%コバル卜;タップ密度2.02g/ミリリット
ル、半価幅0.565゜)772.6gを精秤し、実施
例1と同様にして混合した。得られた混合粉末をマグネ
シアの焼成容器に入れ酸素雰囲気中、650℃で20時
間焼成を行った。得られた活物質を用いて実施例1と同
様に電池を作製し、充放電試験を行い、その結果を表1
に示す。
を1.05となるように、水酸化リチウム一水和物35
0.5g、コバルト−ニッケル共沈水酸化物(24.4
モル%コバル卜;タップ密度2.02g/ミリリット
ル、半価幅0.565゜)772.6gを精秤し、実施
例1と同様にして混合した。得られた混合粉末をマグネ
シアの焼成容器に入れ酸素雰囲気中、650℃で20時
間焼成を行った。得られた活物質を用いて実施例1と同
様に電池を作製し、充放電試験を行い、その結果を表1
に示す。
【0030】(実施例3)Li/M(=Co+Ni)比
を1.05となるように、水酸化リチウム一水和物35
9.5g、コバルト−ニッケル共沈水酸化物(12.8
モル%コバルト;タップ密度2.09g/ミリリット
ル、半価幅0.766゜)774.6gを精秤し、実施
例1と同様にして混合した。得られた混合粉末をマグネ
シアの焼成容器に入れ酸素雰囲気中、650℃で20時
間焼成を行った。得られた活物質を用いて実施例1と同
様に電池を作製し、充放電試験を行い、その結果を表1
に示す。
を1.05となるように、水酸化リチウム一水和物35
9.5g、コバルト−ニッケル共沈水酸化物(12.8
モル%コバルト;タップ密度2.09g/ミリリット
ル、半価幅0.766゜)774.6gを精秤し、実施
例1と同様にして混合した。得られた混合粉末をマグネ
シアの焼成容器に入れ酸素雰囲気中、650℃で20時
間焼成を行った。得られた活物質を用いて実施例1と同
様に電池を作製し、充放電試験を行い、その結果を表1
に示す。
【0031】(比較例1)Li/M(=Co+Ni)比
が1.05、コバルトの含有量が17.1モル%となる
ように、水酸化リチウム一水和物359.5g、水酸化
ニッケル(Ni(OH)2;タップ密度2.43g/ミ
リリットル、半価幅1.06゜)632.9g、水酸化
コバルト(CO(OH)2)127.1gを精秤し、脱
水エタノール(1リットル)を溶媒とし、直径10mm
φのジルコニアボールを使用して、4リットルボールミ
ル容器に入れ15時間混合を行った。ジルコニアボール
とスラリーを篩分けし、防爆型乾燥機により80℃で3
時間予備乾燥した後、さらに100℃で1時間乾燥し
た。得られた混合粉末をマグネシアの焼成容器に入れ酸
素雰囲気中、650℃で20時間焼成を行った。得られ
た活物質はX線回折により調べたところLiCoO2相
が確認されコバルト−ニッケル共沈水酸化物を用いたよ
うに単一相を得ることはできなかった。SEMによる観
察結果を図3に示すが、得られた活物質は1μm程度の
微粒子であることが分かった。得られた活物質を用いて
実施例1と同様に電池を作製し、充放電試験を行い、そ
の結果を表1に示す。
が1.05、コバルトの含有量が17.1モル%となる
ように、水酸化リチウム一水和物359.5g、水酸化
ニッケル(Ni(OH)2;タップ密度2.43g/ミ
リリットル、半価幅1.06゜)632.9g、水酸化
コバルト(CO(OH)2)127.1gを精秤し、脱
水エタノール(1リットル)を溶媒とし、直径10mm
φのジルコニアボールを使用して、4リットルボールミ
ル容器に入れ15時間混合を行った。ジルコニアボール
とスラリーを篩分けし、防爆型乾燥機により80℃で3
時間予備乾燥した後、さらに100℃で1時間乾燥し
た。得られた混合粉末をマグネシアの焼成容器に入れ酸
素雰囲気中、650℃で20時間焼成を行った。得られ
た活物質はX線回折により調べたところLiCoO2相
が確認されコバルト−ニッケル共沈水酸化物を用いたよ
うに単一相を得ることはできなかった。SEMによる観
察結果を図3に示すが、得られた活物質は1μm程度の
微粒子であることが分かった。得られた活物質を用いて
実施例1と同様に電池を作製し、充放電試験を行い、そ
の結果を表1に示す。
【0032】(比較例2)Li/M(=Co+Ni)比
を1.05となるように、水酸化リチウム一水和物35
9.5g、コバルト−ニッケル共沈水酸化物(8.1モ
ル%コバルト;タップ密度2.06g/ミリリットル、
半価幅0.86゜)774.5gを精秤し、実施例1と
同様にして混合した。得られた混合粉末をマグネシアの
焼成容器に入れ酸素雰囲気中、700℃で20時間焼成
を行った。得られた活物質を用いて実施例1と同様に電
池を作製し、充放電試験を行い、その結果を表1に示
す。
を1.05となるように、水酸化リチウム一水和物35
9.5g、コバルト−ニッケル共沈水酸化物(8.1モ
ル%コバルト;タップ密度2.06g/ミリリットル、
半価幅0.86゜)774.5gを精秤し、実施例1と
同様にして混合した。得られた混合粉末をマグネシアの
焼成容器に入れ酸素雰囲気中、700℃で20時間焼成
を行った。得られた活物質を用いて実施例1と同様に電
池を作製し、充放電試験を行い、その結果を表1に示
す。
【0033】(比較例3)Li/M(=Co+Ni)比
を1.05となるように、水酸化リチウム一水和物35
0.5g、コバルト−ニッケル共沈水酸化物(27.5
モル%コバル卜;タップ密度1.92g/ミリリット
ル、半価幅0.46゜)778.0gを精秤し、実施例
1と同様にして混合した。得られた混合粉末をマグネシ
アの焼成容器に入れ酸素雰囲気中、700℃で20時間
焼成を行った。得られた活物質を用いて実施例1と同様
に電池を作製し、充放電試験を行い、その結果を表1に
示す。
を1.05となるように、水酸化リチウム一水和物35
0.5g、コバルト−ニッケル共沈水酸化物(27.5
モル%コバル卜;タップ密度1.92g/ミリリット
ル、半価幅0.46゜)778.0gを精秤し、実施例
1と同様にして混合した。得られた混合粉末をマグネシ
アの焼成容器に入れ酸素雰囲気中、700℃で20時間
焼成を行った。得られた活物質を用いて実施例1と同様
に電池を作製し、充放電試験を行い、その結果を表1に
示す。
【0034】
【表1】
【0035】表1に示されるように実施例1〜3では、
50サイクル後の放電容量が190mAh/gを超え、
高い放電容量を示している。コバルト−ニッケル共沈水
酸化物を用いない場合では、比較例1に示すように形骸
粒子がなく、かつ完全にコバルトが固溶しないため放電
容量が低いことが分かる。比較例2に示すようにタップ
密度が高い共沈水酸化物を用いてもコバルトの添加量が
低い場合には、1サイクル目のクーロン効率が低くさら
に容量維持率も低いことが分かる。比較例3に示すよう
にコバルト含有量が多い場合は、タップ密度の高い共沈
水酸化物を得ることができず、Li原料との混合時に粉
砕されて得られる活物質に微粉末が混入してしまう。こ
のためサイクル維持率が低下し、コバルト添加の改善効
果が相殺されていまう。結果としてコバルトの添加によ
り放電容量のみ低くなってしまうことが分かる。
50サイクル後の放電容量が190mAh/gを超え、
高い放電容量を示している。コバルト−ニッケル共沈水
酸化物を用いない場合では、比較例1に示すように形骸
粒子がなく、かつ完全にコバルトが固溶しないため放電
容量が低いことが分かる。比較例2に示すようにタップ
密度が高い共沈水酸化物を用いてもコバルトの添加量が
低い場合には、1サイクル目のクーロン効率が低くさら
に容量維持率も低いことが分かる。比較例3に示すよう
にコバルト含有量が多い場合は、タップ密度の高い共沈
水酸化物を得ることができず、Li原料との混合時に粉
砕されて得られる活物質に微粉末が混入してしまう。こ
のためサイクル維持率が低下し、コバルト添加の改善効
果が相殺されていまう。結果としてコバルトの添加によ
り放電容量のみ低くなってしまうことが分かる。
【0036】以上のように本発明によるコバルト添加リ
チウム−ニッケル複酸化物は、リチウム二次電池の正極
活物質として用いた場合、充放電のクーロン効率が高
く、しかも放電容量のサイクル維持率の高い性能を有す
る電池が得られることが分かった。また本発明の実施例
における電池は、リチウムメタルを負極とするビーカー
電池であったが、本発明の正極活物質の使用が負極をリ
チウムメタル製とすることに限定されるものではなく、
負極には電池反応によりリチウムが可逆的にインターカ
レートが可能なカーボンファイバー、グラファイトなど
のカーボンも用いることができる。
チウム−ニッケル複酸化物は、リチウム二次電池の正極
活物質として用いた場合、充放電のクーロン効率が高
く、しかも放電容量のサイクル維持率の高い性能を有す
る電池が得られることが分かった。また本発明の実施例
における電池は、リチウムメタルを負極とするビーカー
電池であったが、本発明の正極活物質の使用が負極をリ
チウムメタル製とすることに限定されるものではなく、
負極には電池反応によりリチウムが可逆的にインターカ
レートが可能なカーボンファイバー、グラファイトなど
のカーボンも用いることができる。
【0037】
【発明の効果】以上述べた通り本発明により製造された
コバルト添加リチウム−ニッケル複酸化物を非水系二次
電池の正極活物質として用いることで二次電池の放電容
量(正極活物質の利用範囲)およびクーロン効率を向上
させることが可能であり、放電容量のサイクル維持率の
優れた二次電池が作製できるという効果がある。
コバルト添加リチウム−ニッケル複酸化物を非水系二次
電池の正極活物質として用いることで二次電池の放電容
量(正極活物質の利用範囲)およびクーロン効率を向上
させることが可能であり、放電容量のサイクル維持率の
優れた二次電池が作製できるという効果がある。
【図1】本発明の実施例1で合成した正極活物質のSE
M(7500倍)による粒子構造の写真である。
M(7500倍)による粒子構造の写真である。
【図2】本発明に得られたビーカー電池の縦断面図であ
る。
る。
【図3】比較例1で合成した正極活物質のSEM(75
00倍)による粒子構造の写真である。
00倍)による粒子構造の写真である。
1 ビーカー電池 2 電解液 3 テフロン栓 4 正極 5 負極 6 参照極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01M 10/40 H01M 10/40 Z (72)発明者 武石 和之 千葉県市川市中国分3−18−5 住友金属 鉱山株式会社中央研究所内 (72)発明者 矢島 悦士 千葉県市川市中国分3−18−5 住友金属 鉱山株式会社中央研究所内
Claims (2)
- 【請求項1】 ニッケルとコバルトを含む水溶液、苛性
アルカリ水溶液およびアンモニウムイオン供給体とを同
時かつ連続的に供給して合成して得られるとともに、9
〜25モル%のコバルトを含み、X線回折で測定した
[001]面の回折図形の半価幅が0.5゜〜1.0゜
であり、かつタップ密度が2.0〜2.4g/ミリリッ
トルであるコバルト−ニッケル共沈水酸化物を原料とし
てなることを特徴とする非水系電解質二次電池用正極活
物質。 - 【請求項2】 コバルト−ニッケル共沈水酸化物および
リチウム化合物をモル比(Li/Μ(=Co+Ni))
で1.0〜1.1とし、該水酸化物の二次粒子の形骸が
残るように混合した後、酸素雰囲気中で、温度620〜
730℃で8〜20時間焼成することを特徴とする非水
系電解質二次電池用正極活物質の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9150338A JPH10321229A (ja) | 1997-05-23 | 1997-05-23 | 非水系電解質二次電池用正極活物質およびその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9150338A JPH10321229A (ja) | 1997-05-23 | 1997-05-23 | 非水系電解質二次電池用正極活物質およびその製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10321229A true JPH10321229A (ja) | 1998-12-04 |
Family
ID=15494826
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9150338A Pending JPH10321229A (ja) | 1997-05-23 | 1997-05-23 | 非水系電解質二次電池用正極活物質およびその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH10321229A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6334992B1 (en) * | 1999-06-30 | 2002-01-01 | Seimi Chemical Co., Ltd. | Process for producing a positive electrode active material for a lithium secondary cell |
WO2002063704A1 (en) * | 2001-02-08 | 2002-08-15 | Qni Technology Pty Ltd | Cobalt (iii) encapsulated nickel hydroxides and basic carbonates for battery electrodes |
AU2002227801B2 (en) * | 2001-02-08 | 2005-12-01 | Qni Technology Pty Ltd | Cobalt (III) encapsulated nickel hydroxides and basic carbonates for battery electrodes |
CN100385712C (zh) * | 2004-10-26 | 2008-04-30 | 深圳市比克电池有限公司 | 多元金属氧化物、锂离子电池正极材料及其制备方法 |
-
1997
- 1997-05-23 JP JP9150338A patent/JPH10321229A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6334992B1 (en) * | 1999-06-30 | 2002-01-01 | Seimi Chemical Co., Ltd. | Process for producing a positive electrode active material for a lithium secondary cell |
WO2002063704A1 (en) * | 2001-02-08 | 2002-08-15 | Qni Technology Pty Ltd | Cobalt (iii) encapsulated nickel hydroxides and basic carbonates for battery electrodes |
AU2002227801B2 (en) * | 2001-02-08 | 2005-12-01 | Qni Technology Pty Ltd | Cobalt (III) encapsulated nickel hydroxides and basic carbonates for battery electrodes |
CN100385712C (zh) * | 2004-10-26 | 2008-04-30 | 深圳市比克电池有限公司 | 多元金属氧化物、锂离子电池正极材料及其制备方法 |
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