JPH10317412A - オフセット式建設機械 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 油圧ショベルなどのオフセット式の建設機械
において、アームを運転席側にオフセットして道路脇に
幅狭の溝を掘削する場合にも、十分な掘削深さを確保す
る。 【解決手段】 運転席１を有する上部旋回体２にロアブ
ーム３を回動可能に取り付ける。ロアブーム３の先端部
分はロアブーム３の中心線Ｘ０に対して運転席１側にオ
フセットされて、アッパブーム４の取付部３Ａを形成し
ている。アッパブーム、シリンダステー６およびステー
７により平行リンク機構が構成される。オフセットシリ
ンダ８を駆動することにより、バケット１０をオフセッ
トして掘削作業を行うが、オフセット０の状態において
は、運転席１側にバケット１０が位置することとなる。
したがって、運転席１の略正面において幅狭の溝を掘削
する場合でも、十分な掘削深さを確保することができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、オフセット式建設
機械に関し、詳しくは、ブームを左右にオフセット可能
な油圧ショベルなどのオフセット式建設機械に関する。

【０００２】

【従来の技術】油圧ショベルなどにおいて、上下水道管
などの埋設工事を行う場合において、油圧ショベルを道
路の脇に寄せて幅狭の溝を掘削するために、例えば、実
公平７−２８２０６号公報、実公平７−５６３６４号公
報に記載されたように、側溝掘り用のフロント（オフセ
ットフロント）を装着したものが使用されている。この
ようなオフセットフロントを装着した油圧ショベル（オ
フセット式油圧ショベル）の構成を図６に示す。

【０００３】図６に示すように、オフセット式油圧ショ
ベルは、上部旋回体２２に上下方向に回動可能に設けら
れたロアブーム２３と、ロアブーム２３の先端に左右方
向に回動可能に設けられたアッパブーム２４と、アッパ
ブーム２４の先端に左右方向に回動可能に取り付けられ
たシリンダステー２６と、アッパブーム２４に平行にか
つロアブーム２３とシリンダステー２６とに回転支持さ
れるステー２７とを備えている。そして、アッパブーム
２４、シリンダステー２６、ステー２７により平行リン
ク機構が構成されている。シリンダステー２６の先端に
は上下方向に回動可能にアーム２９が取り付けられてお
り、アーム２９の先端にはバケット３０が取り付けられ
ている。また、ロアブーム２３とアッパブーム２４とに
は、これらに回転可能に支持されるオフセットシリンダ
２８が取り付けられている。そして、オフセットシリン
ダ２８を伸縮させることにより、アッパブーム２４がロ
アブーム２３に対して左右方向に回動し、シリンダステ
ー２６から先のアーム２９およびバケット３０が、図７
（ａ）に示すようにアッパブーム２４とシリンダステー
２６から先が平行となっているオフセット０の状態か
ら、図７（ｂ）に示すようにロアブーム２３の長手方向
中心線に対して左右方向に平行移動（オフセット）す
る。このため、道路の脇にショベルを停止して溝掘削す
る場合に、車体が道路脇いっぱいに寄せられていなくて
も溝掘削を行うことができる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述したようなオフセ
ット式の油圧ショベルにおいては、上下水道管や電線を
埋設するための幅狭の深い溝を掘削する場合において、
掘削中の溝内における運転者の視界を確保するために、
図７（ｂ）に示すように、バケットを運転席側にオフセ
ットして、運転席の正面において作業を行うことが多
い。しかしながら、バケットを運転席側にオフセットす
ると、アッパブーム２４の先端はロアブーム２３との連
結部を中心として円運動を行うため、ロアブーム２３の
長手方向におけるロアブーム２３の先端からアッパブー
ム２４の先端までの距離が短くなり、また、幅狭の溝を
掘削する場合は、図７（ｂ）に示すように、アッパブー
ムが溝の開口部に接触してしまうため、最大掘削深さが
距離Ａ分小さくなってしまう。

【０００５】本発明の目的は、最大掘削深さを小さくす
ることなく運転席の正面において幅狭の溝を掘削するこ
とができるオフセット式建設機械を提供することにあ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】一実施の形態を示す図１
〜図５を参照して説明すると、本発明は、前後方向の中
心線に対して偏心した位置に運転席１を有する上部旋回
体２と、上部旋回体２に上下方向に回動可能に取り付け
られた第１ブーム３と、第１ブーム３の先端に設けられ
た取付部３Ａに、左右方向に回動可能に取り付けられた
少なくとも１つの第２ブーム４と、第２ブーム４の先端
に上下方向に回動可能に取り付けられたアーム９と、第
１および第２ブーム３，４ならびにアーム９をそれぞれ
回動させる回動手段１１，１２，１３とを備え、アーム
９を第１ブーム３に対して平行移動することにより、ア
ーム９を第１ブーム３に対してオフセットさせて作業を
行うオフセット式建設機械に適用され、第１ブーム３の
長手方向中心線Ｘ０に対して、取付部３Ａを運転席１側
にオフセットして第１ブーム３に設けることにより上記
目的を達成する。

【０００７】なお、本発明の構成を説明する上記課題を
解決するための手段の項では、本発明を分かり易くする
ために発明の実施の形態の図を用いたが、これにより本
発明が実施の形態に限定されるものではない。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施
の形態について説明する。図１は本発明の実施の形態に
係るオフセット式油圧ショベルの構成を示す側面図、図
２はその平面図である。図１および図２に示すように、
本実施の形態に係るオフセット式油圧ショベルは、運転
席１を有する上部旋回体２に、ロアブーム３が上下方向
に回動可能に取り付けられている。ロアブーム３はシリ
ンダ１１が伸縮することにより駆動される。ロアブーム
３はその先端部分がロアブーム３の長手方向中心線Ｘ０
に対して運転席１側にオフセットされてアッパブーム４
の取付部３Ａを形成している。この取付部３Ａには、ア
ッパブーム４の基端がピン５により左右方向に回動可能
に取り付けられている。アッパブーム４の先端には不図
示のピンによりシリンダステー６が左右方向に回動可能
に取り付けられている。ロアブーム３の先端に設けられ
たブラケット３Ｂとシリンダステー６に設けられたブラ
ケット６Ａとの間には、ステー７がそれぞれ回動可能に
取り付けられている。そして、アッパブーム４、シリン
ダステー６およびステー７により平行リンク機構が形成
されている。ロアブーム３のブラケット３Ｂとアッパブ
ーム４に設けられたブラケット４Ａとの間には、後述す
るように駆動されるオフセットシリンダ８がその両端連
結部をそれぞれ回転可能にして取り付けられている。一
方、シリンダステー６の先端には、アーム９が上下方向
に回動可能に取り付けられており、アーム９の先端には
バケット１０が上下方向に回転可能に取り付けられてい
る。アーム９はシリンダステー６に設けられたシリンダ
１２が伸縮することにより上下方向に駆動され、バケッ
ト１０はアーム９に設けられたシリンダ１３が伸縮する
ことにより上下方向に駆動される。

【０００９】次いで、本実施の形態の動作について説明
する。図３〜図５は本実施の形態の動作説明図であり、
図３はオフセット０、図４は運転席１からみて右方にオ
フセットされた状態、図５は運転席１からみて左方にオ
フセットされた状態を示す。図３に示すように、ロアブ
ーム３の取付部３Ａが運転席１側に予めオフセットされ
ているため、オフセット０の状態においては、バケット
１０は運転席１の略正面にある。したがって、油圧ショ
ベルを道路脇に寄せて幅狭の深い溝を掘削する際に運転
席１の正面において掘削作業を行うことができるととも
に、この状態において、中心線Ｘ０に沿った方向におけ
るロアブーム３の先端（アッパブーム４との連結点）か
らアッパブーム４の先端（シリンダステー６との連結
点）までの距離Ｌ０が最大となり、かつ掘削中において
上記図７（ｂ）に示すようにアッパブーム４が溝開口部
に接触することもないため、十分な掘削深さを確保する
ことができる。

【００１０】一方、図３に示すオフセット０の状態か
ら、オフセットシリンダ８を伸張すると、アッパシリン
ダ４およびステー７が平行状態を保持したまま回動する
とともに、シリンダステー６はロアブーム３の中心線Ｘ
０に対して平行移動し、図４に示すような右オフセット
状態となる。逆に、図３に示すオフセット０の状態か
ら、オフセットシリンダ８を収縮すると、アッパシリン
ダ４およびステー７が平行状態を保持したまま回動する
とともに、シリンダステー６はロアブーム３の中心線Ｘ
０に対して平行移動し、図５に示すような左オフセット
状態となる。

【００１１】このように、本発明においては、オフセッ
ト０の状態において、運転席１の略正面にバケット１０
が位置するように、ロアブーム３の取付部３Ａを運転席
１側にオフセットさせてあるため、道路脇において幅狭
の深い溝を掘削する際にも、掘削中の溝内における運転
者の視界を確保することができる。また、オフセット０
の状態において、ロアブーム３の先端からアッパブーム
４の先端までの中心線Ｘ０に沿った方向の距離Ｌ０が最
大となり、かつアッパブーム４がロアブーム３に対して
傾斜していないため、アッパブーム４が掘削中の溝開口
部に接触することがなくなり、これにより十分な掘削深
さを確保することができる。

【００１２】さらに、本実施の形態によるオフセット式
建設機械は、次のような効果も奏する。図５において、
ロアブーム３の先端に運転席１側にオフセットされた取
付部３Ａを設けることなく、従来のようにアッパブーム
４などのオフセット機構を設けた場合、アッパブーム４
は中心線４１で示す位置に取り付けられる。この場合、
最大オフセット量が本実施の形態と比較して小さくな
る。一方、同一のオフセット量を確保するためには、中
心線４２で示すようなアッパブームが必要となり、その
長さが大きくなり、コストおよび重量が大きくなる。さ
らに、本実施の形態のアッパブーム４の中心線と比較し
てその角度θが浅くなるため、図７（ｂ）にて説明した
ように、アッパブーム４が掘削縦孔の地上開口線に接触
し易くなり、その結果同一の掘削深さを確保するために
は、最大オフセット量が小さくなり、最大オフセット量
を同一とすると、その位置での掘削深さが浅くなる。す
なわち、本実施の形態によれば、従来例と比較して、同
一掘削深さでの最大オフセット量が大きくなり、同一オ
フセット量での掘削深さが大きくなるという効果を奏す
る。

【００１３】以上の実施の形態と請求項との対応におい
て、ロアブーム３が第１ブームを、アッパブーム４が第
２ブームを、シリンダ１１，１２，１３が回動手段を構
成する。

【００１４】

【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明によ
れば、第２ブームを取り付けるためのの取付部が第１ブ
ームの長手方向中心線に対して運転席側にオフセットさ
れているため、オフセット０の状態において、アームは
運転席側に位置せしめられることとなる。したがって、
運転席側において道路脇における幅狭の溝の掘削作業を
行うことができ、これにより掘削中の溝内におけるの運
転者の視界を十分に確保することができる。また、オフ
セット０の状態において、第１ブームの先端から第２ブ
ームの先端までの、第１ブームの長手方向中心線に沿っ
た方向における距離が最大となり、かつ第１ブームと第
２ブームとが互いに平行となるため、第２ブームが掘削
中の溝開口部に接触することがなくなり、これにより十
分な掘削深さを確保することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本実施の形態によるオフセット式油圧ショベル
の構成を示す側面図

【図２】本実施の形態によるオフセット式油圧ショベル
の構成を示す平面図

【図３】オフセット式油圧ショベルの動作説明図（オフ
セット０）

【図４】オフセット式油圧ショベルの動作説明図（右オ
フセット）

【図５】オフセット式油圧ショベルの動作説明図（左オ
フセット）

【図６】従来のオフセット式油圧ショベルの構成を示す
図

【図７】従来のオフセット式油圧ショベルの動作説明図

【符号の説明】

１ 運転席 ２ 上部旋回体 ３ ロアブーム ４ アッパブーム ５ ピン ６ シリンダステー ７ ステー ８ オフセットシリンダ ９ アーム １０ バケット １１，１２，１３ シリンダ

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 前後方向の中心線に対して偏心した位置
   に運転席を有する上部旋回体と、 該上部旋回体に上下方向に回動可能に取り付けられた第
   １ブームと、 該第１ブームの先端に設けられた取付部に、左右方向に
   回動可能に取り付けられた少なくとも１つの第２ブーム
   と、 該第２ブームの先端に上下方向に回動可能に取り付けら
   れたアームと、 前記第１および第２ブームならびに前記アームをそれぞ
   れ回動させる回動手段とを備え、 前記アームを前記第１ブームに対して平行移動すること
   により、前記アームを前記第１ブームに対してオフセッ
   トさせて作業を行うオフセット式建設機械において、 前記取付部は、前記第１ブームの長手方向中心線に対し
   て、前記運転席側にオフセットされて該第１ブームに設
   けられていることを特徴とするオフセット式建設機械。