JPH10315417A - 積層ポリエステルシート - Google Patents

積層ポリエステルシート

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JPH10315417A
JPH10315417A JP9129576A JP12957697A JPH10315417A JP H10315417 A JPH10315417 A JP H10315417A JP 9129576 A JP9129576 A JP 9129576A JP 12957697 A JP12957697 A JP 12957697A JP H10315417 A JPH10315417 A JP H10315417A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 透明性、耐熱性、耐熱水性、耐衝撃性及びガ
スバリア性などに優れた積層ポリエステルフィルムを提
供する。 【解決手段】 コア層とその片面又は両面に積層された
スキン層とからなり、極限粘度が0.60dl/g以
上、スキン層の厚さが全体の5〜40%を占める積層ポ
リエステルシートで、コア層とスキン層はいずれもポリ
オール成分として50モル%以下のシクロヘキサンジメ
タノールを含有しており、かつコア層及びスキン層の酸
成分に占めるナフタレンジカルボン酸の比率が5〜74
モル%及び75〜98モル%であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は透明性、耐熱性、耐
熱水性、耐衝撃性及びガスバリア性などに優れた積層ポ
リエステルシートに関するものである。本発明に係る積
層ポリエステルシートから熱成形により製造される容器
は、加熱殺菌を要する飲食物などを充填するのに好適で
ある。
【0002】
【従来の技術】ポリエチレンテレフタレートは機械的強
度、化学的安定性、透明性、ガスバリア性などに優れて
いるので、フィルム、シート、容器などとして広く用い
られている。ポリエチレンテレフタレートから容器を製
造する方法はいくつか知られているが、その一方法で
は、ポリエチレンテレフタレートを先ずシートとし、次
いでこれを真空成形、圧空成形、プラグアシスト真空/
圧空成形などの熱成形により容器に成形する。この熱成
形により製造される容器の問題点の一つは、容器が未延
伸ないし低延伸状態であり、かつ結晶化していないの
で、耐熱性が不十分であることである。その結果、高温
にさらされると、容器に収縮、反り、脹らみなどの変形
が生じる。また、耐熱水性も不十分であり、飲料などを
高温で充填したり、内容物を充填してから熱湯殺菌した
りすると、主に吸水による可塑化が原因で白化が起る。
これらの問題に対処するため、容器の製造に際し延伸操
作や結晶化処理を行う方法が検討されているが、これら
の方法は操作が困難であったり、容器の透明性を低下さ
せるという問題がある。
【0003】また、ポリエチレンテレフタレートよりも
耐熱性、ガスバリア性、紫外線遮断性に優れているポリ
エチレンナフタレンジカルボキレートを用いることも検
討されている。しかしポリエチレンナフタレンジカルボ
キシレートは、ポリエチレンテレフタレートに比べて高
価であり、かつ耐衝撃性が劣る。また、溶融粘度が高い
のでシートに成形する際の成形性が悪く、熱劣化しやす
いという問題がある。
【0004】ポリエチレンテレフタレートやポリエチレ
ンナフタレンジカルボキシレートの耐衝撃性を向上させ
るため、シクロヘキサンジメタノールを共重合させるこ
とも検討されている。しかしシクロヘキサンジメタノー
ルを共重合させるとガスバリア性、熱安定性、耐溶剤性
が低下する。ポリエチレンテレフタレートの上述のよう
な問題の解決法として、ポリエチレンテレフタレート
に、他のポリマーを混合したり積層したりすることも提
案されている。しかしながら、他のポリマーを混合する
方法は、相分離して白化しやすいという問題がある。ま
た他のポリマーを積層する方法は、一般にスクラップの
再使用が困難となるという問題がある。特開平4−13
5752号公報や特開平8−283554号公報には、
ポリエステルとポリカーボネート又はポリアリレートと
を積層又は混合するという白化の生じない組成物も提案
されているが、ビスフェノールAを構成単位として含む
これらのシートや組成物は、ガスバリア性が低いという
問題がある。特開平8−113631号公報には、テレ
フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、エチレングリコー
ル及びシクロヘキサンジメタノールの4成分を構成成分
とする共重合ポリエステルが、また特開平8−2691
79号公報や特開平8−276925号公報にも上記の
4成分からなる共重合ポリエステルが開示されている
が、一般にこのような4成分からなる共重合ポリエステ
ルはその組成により物性が大きく変化する。また耐熱
性、耐熱水性及び耐衝撃性に富む組成のものは重合が困
難であり、従って高価であるという問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は耐熱性、耐熱
水性に優れていて熱湯殺菌が可能であり、かつガスバリ
ア性、紫外線遮断性に優れた透明なポリエステル成形
品、及び熱成形によりこのような成形品を与えることが
でき、かつシートの製造やシートからの成形品の製造に
際し発生する切断片などのスクラップの再使用が可能な
ポリエステルシートを提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係るポリエステ
ルシートは、下記のポリエステルAから成るコア層と、
コア層の片面又は両面に積層された下記のポリエステル
Bから成るスキン層との積層構造を有する積層ポリエス
テルシートであって、スキン層の厚さが全体の5〜40
%を占めており、かつ全体の極限粘度が0.60dl/
g以上であることを特徴とするものである。
【0007】ポリエステルA;全カルボン酸成分に占め
るナフタレンジカルボン酸成分の比率が5〜74モル%
で、ナフタレンジカルボン酸成分とテレフタル酸成分の
合計の比率が85モル%以上であり、且つ全アルコール
成分に占めるシクロヘキサンジメタノール成分の比率が
1〜50モル%で、シクロヘキサンジメタノール成分と
エチレングリコール成分の合計の比率が85モル%以上
であるポリエステル。
【0008】ポリエステルB;全カルボン酸成分に占め
るナフタレンジカルボン酸成分の比率が75〜98モル
%で、ナフタレンジカルボン酸成分とテレフタル酸成分
の合計の比率が85モル%以上であり、且つ全アルコー
ル成分に占めるシクロヘキサンジメタノール成分の比率
が8〜50モル%で、シクロヘキサンジメタノール成分
とエチレングリコール成分の合計の比率が85モル%以
上であるポリエステル。また、本発明に係る成形品は、
上記の積層ポリエステルシートを熱成形して製造され
る。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明に係る積層ポリエステルシ
ートは、コア層とコア層の片面又は両面に積層されたス
キン層とから成る積層体である。その厚さは通常は0.
02〜3mmであるが、その主要な用途である熱成形に
対する適性からみて0.04〜2mm、特に0.05〜
1.2mmであるのが好ましい。
【0010】本発明に係る積層ポリエステルシートにお
いて、スキン層はコア層の少なくとも一面に存在すれば
よく、その厚さ(スキン層がコア層の両面に存在する場
合は、その合計厚さ)は積層ポリエステルシート全体の
5〜40%を占めることが必要である。スキン層は耐熱
性を向上させる機能を有しており、スキン層の厚さが5
%未満の場合には、耐熱性及び成形性が低下する。逆に
スキン層の厚さが40%を超えるものは、ポリエステル
BはポリエステルAよりも高価なので、経済性が悪化す
る。スキン層の厚さは通常は8〜35%であるが10〜
30%であるのが好ましい。一般にスキン層の最適の厚
さは12〜25%である。なお、スキン層がコア層の両
面に存在する場合には、スキン層の厚さは必ずしも同一
でなくてもよい。本発明に係る積層ポリエステルシート
の極限粘度、すなわちコア層とスキン層とを合せた全体
としての極限粘度は0.60dl/g以上でなければな
らない。極限粘度が0.60dl/g未満では、積層ポ
リエステルシート及びこれから得られる熱成形品の耐衝
撃性が劣り、好ましくない。極限粘度は通常は0.62
dl/g以上であり、0.64dl/g以上であるのが
好ましい。なお、極限粘度が高すぎるとシートへの成形
が困難となるので、極限粘度の上限は通常は0.90d
l/gである。極限粘度の最も好ましい範囲は0.65
dl/g〜0.85dl/gである。また、本発明に係
る積層ポリエステルシートのヘーズ値は、厚さ方向で測
定して5%以下でなければならず、通常は4%以下であ
る。ヘーズ値が大きいと積層ポリエステルシート及びこ
れから得られる熱成形品の透明性が低下する。一般にヘ
ーズ値は小さいほど好ましく、3%以下、特に2%以下
であるのが好ましい。
【0011】本発明に係る積層ポリエステルシートのコ
ア層を形成するポリエステルA、及びスキン層を形成す
るポリエステルBは、共に全カルボン酸成分に占めるナ
フタレンジカルボン酸成分及びテレフタル酸成分の合計
の比率が85モル%以上であり、且つ全アルコール成分
に占めるエチレングリコール成分及びシクロヘキサンジ
メタノール成分の合計の比率が85モル%以上であるポ
リエステルである。ナフタレンジカルボン酸成分とテレ
フタル酸成分との合計、及びエチレングリコール成分と
シクロヘキサンジメタノール成分との合計がそれぞれ9
0モル%以上、特に95モル%以上を占めるポリエステ
ルが好ましい。他の共重合成分としては、ジカルボン酸
としてはフタル酸、イソフタル酸、4,4′−ジフェニ
ルスルホンジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカル
ボン酸などの芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキ
サンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸、1,3−
フェニレンジオキシジ酢酸のような芳香環を内部に有す
る脂肪族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシ
ン酸、ジグリコール酸などの脂肪族ジカルボン酸が用い
られる。またジオール成分としてはジエチレングリコー
ル、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチ
ル−1,3−プロパンジオールなどの脂肪族ジオール、
1,2−シクロヘキサンジオールのような脂環式グリコ
ール、ビスフェノールAやビスフェノールSなどの芳香
族ジオールなどが用いられる。またP−オキシ安息香酸
やグリコール酸などのオキシカルボン酸も共重合成分と
して用いることができる。更にトリメリット酸、ピロメ
リット酸、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリト
ールなどの3官能以上のカルボン酸やアルコールも共重
合成分として用いることができる。これらの多官能成分
はゲル化を起さないように1.0モル%以下、特に0.
6モル%以下の比率で用いるのが好ましい。これらの多
官能成分を含むポリエステルを用いると、熱成形に際し
て積層ポリエステルシートがドローダウンし難しくなる
傾向がある。また、安息香酸、ステアリン酸、ベンジル
アルコールなどの単官能成分も共重合成分として用いる
ことができ、その量は一般に0.005〜1.0モル
%、特に0.01〜0.75モル%であるのが好まし
い。単官能成分を共重合したポリエステルを用いると、
シートを製造する際の熱安定性が向上する傾向がある。
【0012】最も一般的な共重合成分は重縮合に際しエ
チレングリコールから副生するジエチレングリコールで
あるが、ポリエステルのアルコール成分に占めるジエチ
レングリコール成分の比率は5モル%以下であるのが好
ましい。ジエチレングリコール成分の比率が大きいと、
シートに成形する際の溶融熱安定性や、積層ポリエステ
ルシートから得られる熱成形品の耐熱性が低下する傾向
がある。ジエチレングリコール成分の好ましい比率は4
モル%以下、特に3モル%以下である。なお、前述の如
くジエチレングリコールはポリエステルの製造に際しエ
チレングリコールから副生するので、これを全く含まな
いポリエステルを得ることは困難である。最も好ましい
のは上記の4成分と重合に際し生成するジエチレングリ
コールなどの副生物から成るポリエステルである。
【0013】ナフタレンジカルボン酸としては、2,6
−又は2,7−異性体、特に2,6−異性体を用いるの
が好ましいが、所望ならば他の異性体、例えば1,4
−、1,5−、1,8−、2,8−異性体などを用いる
こともできるし、2種以上の異性体を併用することもで
きる。シクロヘキサンジメタノールも、1,2−、1,
3−及び1,4−異性体のいずれを用いてもよいが、
1,4−異性体を用いるのが好ましい。また、そのシス
/トランス比は、60/40〜0/100、特に50/
50〜20/80であるのが好ましい。
【0014】本発明に係る積層ポリエステルシートのコ
ア層を形成するポリエステルAは、上記のポリエステル
のうち、全カルボン酸成分に占めるナフタレンジカルボ
ン酸成分の比率が5〜74モル%であり、且つ全アルコ
ール成分に占めるシクロヘキサンジメタノール成分の比
率が1〜50モル%のものである。ナフタレンジカルボ
ン酸成分の比率が5モル%未満のものは、積層ポリエス
テルシート及びそれから得られる熱成形品の耐熱性及び
耐熱水性が劣るので好ましくない。またナフタレンジカ
ルボン酸成分の比率が74モル%を超えるものは耐衝撃
性が劣り、かつ高価となって経済的にも不利である。シ
クロヘキサンジメタノール成分の比率が1%未満では、
積層ポリエステルシート及びそれから得られる熱成形品
の耐衝撃性が低くなり好ましくない。逆に、この比率が
50モル%を超えるものは、ポリエステルが高価とな
り、かつ熱分解し易くなる。ポリエステルAの全カルボ
ン酸成分に占めるナフタレンジカルボン酸成分の好まし
い比率は7〜50モル%。特に8〜40モル%であり、
同じく全アルコール成分に占めるシクロヘキサンジメタ
ノール成分の好ましい比率は3〜40モル%、特に5〜
37モル%である。
【0015】ポリエステルAは、各成分をその組成比で
含む単一の共重合体であってもよく、また2種以上のポ
リエステルを各成分が所定の組成比となるように混合し
たものであってもよい。好ましくは、重合が容易である
点よりして、2種以上のポリエステルの混合物が用いら
れる。例えば全カルボン酸成分に占めるテレフタル酸成
分の比率、及び全アルコール成分に占めるエチレングリ
コール成分の比率が共に90モル%以上、好ましくは9
5モル%以上を占め、ナフタレンジカルボン酸成分及び
シクロヘキサンジメタノール成分を実質的に含まないポ
リエステルと他のポリエステルとの混合物、又は全カル
ボン酸成分に占めるテレフタル酸成分の比率、及び全ア
ルコール成分に占めるエチレングリコール成分及びシク
ロヘキサンジメタノール成分の合計の比率が共に90モ
ル%以上、好ましくは95モル%以上を占め、ナフタレ
ンジカルボン酸を実質的に含まないポリエステルと他の
ポリエステルとの混合物が用いられる。他のポリエステ
ルとしては例えばポリエステルBを用いる。好ましく
は、他のポリエステルの少なくとも一部として、本発明
に係る積層ポリエステルシートを製造する際の切断片
や、このシートから熱成形品を製造する際のスクラップ
を用いる。これによりスクラップを系内でリサイクルす
ることができ、積層ポリエステルシート及びこれから熱
成形される成形品のコストの低減と、廃棄物の減少を計
ることができる。
【0016】本発明に係る積層ポリエステルシートのス
キン層を形成するポリエステルBとしては、全カルボン
酸成分に占めるナフタレンジカルボン酸成分の比率が7
5〜98モル%であり、且つ全アルコール成分に占める
シクロヘキサンジメタノール成分の比率が8〜50モル
%のものを用いる。全カルボン酸成分に占めるナフタレ
ンジカルボン酸成分の比率が75モル%未満では、積層
ポリエステルシート及びそれから得られる熱成形品の耐
熱性及び耐熱水性が劣るため好ましくない。逆にナフタ
レンジカルボン酸成分の比率が98モル%を超えると、
耐衝撃性が低下する。また、全アルコール成分に占める
シクロヘキサンジメタノール成分の比率が8モル%未満
では耐衝撃性が低い。かつ、スクラップをリサイクルす
る際に透明性が低下することがある。
【0017】逆にシクロヘキサンジメタノール成分の比
率が50モル%を超えるものは、ポリエステルが高価と
なり、かつ熱分解し易くなる。ポリエステルBの全カル
ボン酸成分に占めるナフタレンジカルボン酸成分の好ま
しい比率は80〜95モル%、特に83〜93モル%で
ある。またシクロヘキサンジメタノール成分の占める好
ましい比率は15〜45モル%、特に18〜42モル%
である。ポリエステルBも、ポリエステルAと同じく、
2種以上のポリエステルを各成分が所定の組成比となる
ように混合したものであってもよいが、各成分を所定の
組成比で含む単一の共重合体であるのが好ましい。何故
ならば一般に2種以上のポリエステルの混合物を用いる
よりも、一種類の共重合体を用いる方が、積層ポリエス
テルシート及びこれから得られる熱成形品の透明性、耐
熱性、耐熱水性及び耐衝撃性などの点で優れた効果が奏
されるからである。
【0018】本発明に係る積層ポリエステルシートのコ
ア層及びスキン層を形成するポリエステルは、常法に従
って製造することができる。通常はジカルボン酸とジオ
ールとの直接エステル化反応又はこれらの誘導体からの
エステル交換反応によりオリゴマーを製造し、次いでこ
れを減圧下に重縮合してポリエステルとする。このポリ
エステルはそのままでも積層ポリエステルフィルムの製
造に用いることができるし、所望ならばこれを更に固相
重合してから用いることもできる。エステル交換反応の
触媒としてはマンガンやマグネシウムなど、重縮合反応
の触媒としてはチタン、アンチモン、ゲルマニウムなど
常用のものを用いればよい。このようにして製造された
ポリエステルは、必要により2種以上を混合して各成分
が所定の組成比となるようにしたのち、本発明に係る積
層ポリエステルシートの製造に用いられる。なお、ポリ
エステル中には所望により常用の各種の添加剤、例えば
着色剤、蛍光剤、ヒンダードフェノール系、リン系、チ
オール系などの酸化防止剤、離型剤、難燃剤、熱安定
剤、耐加水分解剤、帯電防止剤、耐光安定剤などを含有
させることができ、これらはポリエステルの製造過程で
含有させてもよく、また製造後に含有させてもよい。
【0019】積層ポリエステルシートの製造はダイ中で
積層する共押出し方式によるのが好ましいが、コア層又
はスキン層を先ず押出し、次いでこの上に他の層を押出
す押出しラミネート方式によることもできる。また所望
ならば、コア層及びスキン層を別々に押出したのちこれ
らを積層して一体化させる方式によることもできる。い
ずれの場合でも、押出機としては二軸押出機、特にベン
トポート付二軸押出機を用いるのが好ましい。ベント付
二軸押出機を用いれば、通常は0.01重量%以下、好
ましくは0.005重量%以下の含水率にまで乾燥しな
ければならない原料ポリエステルを、未乾燥のままで押
出機に投入でき、また2種以上の原料を投入した場合の
混練性が良いという利点がある。ベントポートは一般に
200mmHg以下の減圧系に接続するが、アセトアル
デヒドなどの揮発性不純物の除去のためにも減圧度はで
きるだけ高い方が好ましいので、減圧系を50mmHg
以下、特に10mmHg以下とするのが好ましい。樹脂
シートの押出しに際しては、押出機のシリンダー内の樹
脂温度が270〜330℃、スクリュー先端からダイス
出口での樹脂温度が240〜300℃程度となるように
各部の温度調節を行うのが好ましい。ダイス出口から押
出されたシートは、静電密着式やタッチロール式などの
キャスティングロールに接触させて急冷し、結晶化の進
行を阻止するのが好ましい。キャスティングロールの表
面温度に20〜70℃、特に25〜60℃に制御するの
が好ましい。
【0020】このようにして得られた本発明に係る積層
ポリエステルシートは、透明性、耐熱性、耐熱水性、耐
衝撃性、ガスバリア性、保香性、紫外線遮断性などに優
れているので、これらの特性を生した各種の用途に供す
ることができる。例えば本発明に係る積層ポリエステル
シートの重要な用途の一つである熱成形により得られる
成形品は、高温の内容物を充填したり熱湯殺菌を行って
も変形や白化を生じ難いので、高温殺菌を要する飲食物
の容器として好適である。熱成形の代りにヒートシール
により形成した袋は、耐熱性、耐熱水性に優れたパウチ
として有用である。また、保香性に優れている特性を生
かして、清涼飲料、酒、食品、香料、化粧品など香気の
変質を嫌うものに直接に接触する包装材料として好適で
ある。
【0021】本発明に係る積層ポリエステルシートの熱
成形は、真空成形、圧空成形、スナップバック成形、レ
バースドロー成形、エアースリップ成形、プラグアシス
ト成形及びこれらの組合せなど、常用の任意の方法で行
うことができる。熱成形に際してはシートの成形性の点
よりして、シートをガラス転移温度以上で200℃以
下、特にガラス転移温度より20℃以上高く、かつ19
0℃以下の温度に加熱するのが好ましい。また、この温
度範囲で熱成形して得られる成形品は一般に耐熱性にも
優れている。熱成形に際しての絞り率は通常0.05〜
5倍、好ましくは0.1〜2倍である。
【0022】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。なお、以下の実施例において、極限粘度、ヘ
ーズ、耐熱温度、耐熱水温度、及び裁断時の割れは下記
により測定した。 極限粘度;試料0.25gを、フェノールと1,1,
2,2−テトラクロロエタンとの混合溶媒(重量比1:
1)25mlに加えて、110℃で溶解させる。次いで
これを30℃まで冷却し、この温度で中央理化社製の2
CH型全自動溶液粘度計(DJ504)で粘度を測定す
る。極限粘度は下記により算出される。
【0023】
【数1】 O :ブランクの落下時間 TS :試料溶液の落下時間 K :ハギンス定数(0.33) C :試料溶液の濃度
【0024】ヘーズ;積層ポリエステルシートから50
×50mmの試料片を切出し、スガ試験機社製のHGM
−2DP型直読ヘーズコンピュータで測定する。 耐熱性;積層ポリエステルシートを、所定温度の脱塩水
中に外力を加えない状態で浸漬して30分間放置したと
きに、実質的な変形が認められなかった最高温度を耐熱
温度とする。試験は80℃から96℃まで2℃刻みで行
う。 耐熱水温度;積層ポリエステルシートを所定温度の脱塩
水中に外力を加えない状態で浸漬して30分間放置した
ときに、目視でヘーズの増加が実質的に認められなかっ
た最高温度を耐熱水温度とする。試験は80℃から96
℃まで2℃刻みで行う。 裁断時の割れ;積層ポリエステルシートを鋏で裁断した
際に割れが発生するか否かをチェックした。また、実施
例では表−1に記載の8種類のポリエステル(これら
は、いずれも溶融重縮合により製造した単一の重合体で
ある)を、単独又は混合して用いた。
【0025】
【表1】 N :ナフタレンジカルボン酸成分 T :テレフタル酸成分 CH:1,4−シクロヘキサンジメタノール成分 EG:エチレングリコール成分 DEG:ジエチレングリコール成分
【0026】実施例1〜9及び比較例1〜7 Tダイを用いた共押出し方式により、コア層の両面に同
一厚さのスキン層を有する積層ポリエステルシートを製
造した。コア層の押出しには1mmHgの減圧系に接続
された3箇所のベントポートを有する40mmφの二軸
押出機を用い、スキン層の押出しには1mmHgの減圧
系に接続された2箇所のベントポートを有する30mm
φの二軸押出機を用いた。結果を表−2及び表−3に示
す。
【0027】
【表2】
【0028】
【表3】

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記のポリエステルAから成るコア層
    と、コア層の片面又は両面に積層された下記のポリエス
    テルBから成るスキン層との積層構造を有する積層ポリ
    エステルシートであって、スキン層の厚さが全体の5〜
    40%を占めており、かつ全体の極限粘度が0.60d
    l/g以上であることを特徴とする積層ポリエステルシ
    ート。 ポリエステルA;全カルボン酸成分に占めるナフタレン
    ジカルボン酸成分の比率が5〜74モル%で、ナフタレ
    ンジカルボン酸成分とテレフタル酸成分の合計の比率が
    85モル%以上であり、且つ全アルコール成分に占める
    シクロヘキサンジメタノール成分の比率が1〜50モル
    %で、シクロヘキサンジメタノール成分とエチレングリ
    コール成分の合計の比率が85モル%以上であるポリエ
    ステル。 ポリエステルB;全カルボン酸成分に占めるナフタレン
    ジカルボン酸成分の比率が75〜98モル%で、ナフタ
    レンジカルボン酸成分とテレフタル酸成分の合計の比率
    が85モル%以上であり、且つ全アルコール成分に占め
    るシクロヘキサンジメタノール成分の比率が8〜50モ
    ル%で、シクロヘキサンジメタノール成分とエチレング
    リコール成分の合計の比率が85モル%以上であるポリ
    エステル。
  2. 【請求項2】 ポリエステルAが、全カルボン酸成分に
    占めるテレフタル酸成分の比率が90モル%以上であ
    り、全アルコール成分に占めるエチレングリコール成分
    の比率が90モル%以上であって、且つナフタレンジカ
    ルボン酸成分及びシクロヘキサンジメタノール成分を実
    質的に含まないポリエステルと、他のポリエステルとの
    混合物であることを特徴とする請求項1記載の積層ポリ
    エステルシート。
  3. 【請求項3】 ポリエステルAが、全カルボン酸成分に
    占めるテレフタル酸成分の比率が90モル%以上であ
    り、全アルコール成分に占めるエチレングリコール成分
    とシクロヘキサンジメタノール成分の合計の比率が90
    モル%以上であって、且つナフタレンジカルボン酸成分
    を実質的に含まないポリエステルと、他のポリエステル
    との混合物であることを特徴とする請求項1記載の積層
    ポリエステルシート。
  4. 【請求項4】 ポリエステルAが、少なくとも請求項1
    ないし3のいずれかに記載の積層ポリエステルシートの
    スクラップと、全カルボン酸成分に占めるテレフタル酸
    成分の比率が90モル%以上であり、全アルコール成分
    に占めるエチレングリコール成分とシクロヘキサンジメ
    タノール成分の合計の比率が90モル%以上であって、
    且つナフタレンジカルボン酸成分を実質的に含まないポ
    リエステルとの混合物であることを特徴とする請求項1
    記載の積層ポリエステルシート。
  5. 【請求項5】 シートの厚み方向に測定したヘーズが5
    %以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいず
    れかに記載の積層ポリエステルシート。
  6. 【請求項6】 耐熱温度及び耐熱水温度が共に86℃以
    上であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか
    に記載の積層ポリエステルシート。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載の積
    層ポリエステルシートを熱成形してなる成形品。
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