JPH10313560A - 車両用交流発電機 - Google Patents

車両用交流発電機

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JPH10313560A
JPH10313560A JP9120435A JP12043597A JPH10313560A JP H10313560 A JPH10313560 A JP H10313560A JP 9120435 A JP9120435 A JP 9120435A JP 12043597 A JP12043597 A JP 12043597A JP H10313560 A JPH10313560 A JP H10313560A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速回転時に磁石の重量による遠心力を受け
にくくして、耐高速性向上を図ること。 【解決手段】 永久磁石8は、磁石保持器に保持され
て、隣合う爪状磁極6B同士の対向する側面間に配設さ
れ、隣合う爪状磁極6B間の磁束の漏洩を減少する向き
に着磁されている。磁石保持器は、永久磁石8を保持す
る保持部12Aの底部12a(永久磁石8の外周面を覆
う部位)の厚みが、鉄心6へ組付ける前の状態で、永久
磁石8の長手方向に沿って一方から他方へ向かって次第
に大きくなる様に設けられ、鉄心6へ組付けた時(静止
状態)に、底部12aの厚みの違いにより爪状磁極6B
の根元側の方で当接される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ランデル型鉄心の
隣合う爪状磁極間に永久磁石が配設された車両用交流発
電機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、ランデル型鉄心に界磁巻線を
巻装して界磁回転子とする交流発電機がある。この交流
発電機では、ランデル型鉄心の周方向に隣合う爪状磁極
間に永久磁石を配設し、その爪状磁極間の漏洩磁束を減
らして発電に寄与する有効磁束を増量させることにより
出力向上を図る技術が提案されている(例えば、特開昭
61−85045号公報、特開平5−56616号公報
参照)。また、この磁石併用型の回転子では、爪状磁極
の側面外周部に鍔部を設けることにより、高速回転時の
遠心力によって永久磁石が外側へ飛び出すのを防止する
対策も成されている(特開平7−123664号公報参
照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記公知例
では、爪状磁極の爪先端部から爪根元部まで磁石を当接
させているため、磁石の遠心力は略爪状磁極全体に平均
的にかかる。当接面が先端から根元まで均一に当接させ
るには各々の面を平面化させ、更に組み付け時にも均一
に当接するように精巧に組み付けなければならないの
で、製作上工数がかかり、製造コストが大変大きくなっ
ていた。もし、精巧な製作をしなければ、組み付け時の
バラツキで爪根元の支点から遠い爪状磁極先端部のみで
当接している場合が発生し、爪状磁極へのモーメントは
大きくなり、爪状磁極が外側に拡がることを促進し、高
速回転時に対向する固定子と干渉して故障する不具合が
生じていた。本発明は、上記事情に基づいて成されたも
ので、その目的は、磁石部に働く遠心力を爪状磁極の遠
心方向への拡がりの支点に近接した部分で受けるように
して、爪状磁極へのモーメントを軽減して高速回転時の
爪状磁極の拡がりを抑えて高速回転に耐えうる車両用交
流発電機を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】請求項1の手段では、爪
間磁石部は、2 つの爪状磁極の根元側で回転時に当接す
る構成にし、拡がり支点に近接させたので、爪先端部の
みで当接することを無くすることにより、爪状磁極の高
速回転時に拡がりを抑えることができる。
【0005】請求項2の手段では、静止状態の時に爪状
磁極の根元側で当接させる構成としているので、磁石部
は、回転しても遠心力で動くことがないので、安定した
組み付け状態を保つことができる。
【0006】請求項3の手段によれば、鍔部と爪間磁石
部との間に介在される磁石保持部材の外径が爪状磁極の
先端側より根元側の方で大きく形成されている。この様
に、磁石保持部材の外径に変化を持たせることにより、
容易に鍔部と磁石保持部材とを爪状磁極の根元側で当接
させることができる。
【0007】請求項4の手段によれば、爪状磁極は、回
転軸から鍔部の内周面までの距離が爪状磁極の先端側よ
り根元側の方で小さく形成されている。この様に、回転
軸から鍔部の内周面までの距離に変化を持たせることに
より、容易に鍔部と磁石部とを爪状磁極の根元側で当接
させることができる。なお、請求項3の手段と請求項4
の手段とを組み合わせることにより、鍔部と磁石部とを
爪状磁極の根元側でより確実に当接させる構成にするこ
とができる。
【0008】請求項5の手段によれば、磁石保持部材
は、複数の爪間磁石部の各々を保持する複数の保持部
と、この複数の保持部を連結する連結部とを有する。か
かる構成によると、複数の爪間磁石部をランデル型鉄心
への組み付け前にも連結体として扱うことができ、製造
が容易になる。なお、さらにこの連結体を環状体とすれ
ば、組立作業を容易にできる。さらには磁石保持部材を
樹脂製とすれば、爪状磁極の鍔部との当接面の高さを一
方向抜きの成形型にて製作することができ、さらに安価
にすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】次に、本発明の車両用交流発電機
を図面に基づいて説明する。 (第1実施例)車両用交流発電機は、図2に示す様に、
電機子として働く固定子1と、界磁として働く回転子2
とを具備する。固定子1は、図示しないハウジングの内
周に固定された電機子鉄心3と、この電機子鉄心3に巻
線された電機子巻線4とで構成される。電機子鉄心3
は、例えば、円環状の薄い鋼板を複数枚重ね合わせて形
成され、内周側に多数のスロット(図示しない)が設け
られている。電機子巻線4は、例えば3個の独立したコ
イルをY結線またはΔ結線して電機子鉄心3の各スロッ
トに挿入され、回転子2との相対回転運動によって各コ
イルに交流電圧が発生する。
【0010】回転子2は、回転軸5と、この回転軸5に
固定された一対のランデル型鉄心6(以下鉄心6と略
す)と、この鉄心6に巻線された界磁巻線7と、鉄心6
に装着、保持された複数の永久磁石8を含む爪間磁石部
とにより構成されている。回転軸5は、ハウジングに固
定された軸受(図示しない)を介して回転自在に支持さ
れ、エンジンの回転動力が伝達されて回転する。鉄心6
は、図1に示す様に、回転軸5の外周に嵌合する円筒状
のボス部6Aと、このボス部6Aの外周に設けられた複
数の爪状磁極6Bとを有する。各鉄心6は、互いの爪状
磁極6Bが噛み合う様に軸方向に対向して組付けられて
いる。また、爪状磁極6Bの側面外周部には、回転時に
永久磁石8ならびに磁石保持器12(図4参照)が遠心
方向へ飛び出すのを防止するための鍔部6aが設けられ
ている。この鍔部6aは、爪状磁極6Bの長手方向(図
3の上下方向)全体に渡って周方向へ(隣合う爪状磁極
6B側へ)突出して設けられている。なお、鍔部6aの
厚みt(図1参照)は爪状磁極6Bの長手方向全体で等
しく設定されている。即ち、回転軸5の軸中心から鍔部
6aの内周面までの距離が爪状磁極6Bの長手方向全体
で等しい。
【0011】界磁巻線7は、ボビン9を介して各鉄心6
のボス部6Aの外周に巻線されている。この界磁巻線7
は、図示しないリード線を通じて回転軸5の端部に設け
られたスリップリング10に接続され、そのスリップリ
ング10の外周面に摺接するブラシ(図示しない)を通
じて車載バッテリから励磁電流が供給される。界磁巻線
7に励磁電流が流れると、一方の鉄心6の各爪状磁極6
Bが全てS極となり、他方の鉄心6の各爪状磁極6Bが
全てN極となる。各鉄心6の軸方向端面には、遠心式の
冷却ファン11が溶接等により固定され、鉄心6と一体
に回転することで冷却風を発生する。
【0012】永久磁石8は、鉄心6への組み付け前に磁
石保持部材としての磁石保持器12に保持されて、図3
に示す様に、隣合う爪状磁極6B同士の対向する側面間
に配設され、爪状磁極6Bと対向する側面がその爪状磁
極6Bと同極となる極性(つまり、隣合う爪状磁極6B
間の磁束の漏洩を減少する向き)に着磁されている。磁
石保持器12は、樹脂等の非磁性体により形成され、図
4に示す様に、複数の永久磁石8の各々を保持する複数
の保持部12Aと、この複数の保持部12Aを環状に連
結する連結部12Bとを有する。
【0013】但し、保持部12Aは、永久磁石8の周側
面と外周面とを包み込む箱形状に形成され、永久磁石8
の外周面を覆う部位(以下、底部12aと言う)の厚み
が、永久磁石8の長手方向に沿って一方から他方へ向か
って次第に大きくなる様に設けられている(図1(a)
参照)。即ち、爪状磁極6Bの先端側(軸方向へ突出す
る先端側)に対向する部位より根元側(ボス部6Aに繋
がる側)に対向する部位の方が磁石保持器12全体の径
方向寸法が大きくなる様に設けられている。なお、前記
の「一方」とは、鉄心6へ組付けた時に、爪状磁極6B
の先端側に対向する部位であり、「他方」とは、爪状磁
極6Bの根元側に対向する部位である。従って、1個の
保持部12Aは、図5(保持部12Aの斜視図)に示す
様に、その長辺に沿って2つの爪状磁極6Bと当接する
ために、その長辺に沿って反対方向に傾いた外周面を有
する。この磁石保持器12は、保持部12Aに永久磁石
8を保持して鉄心6へ組付けた時(静止状態)に、鍔部
6aの内周面と永久磁石8の外周面との間に挟まれる底
部12aは爪根元部の図3の○印部の周辺で保持され
る。
【0014】次に、本実施例の作用及び効果を説明す
る。エンジンの回転動力が伝達されて回転子2が高速回
転すると、遠心力の作用により鉄心6の各爪状磁極6B
が根元側を支点として径方向外側へ拡がる。この時、永
久磁石8を含む磁石部にも遠心力が作用するが、磁石部
の遠心力は爪状磁極の曲げの支点近くである爪根元部に
働くので、爪状磁極6Bの曲げモーメントがそれ自身の
遠心力によるもの以上に大きくなることを抑えることが
できる。これにより、爪状磁極6Bの拡がりに対して永
久磁石8の影響を抑え、従来と同じような高速回転が可
能となる。
【0015】なお、永久磁石8として汎用性に優れたフ
ェライト焼結磁石を使用した場合には経済性を向上する
ことができ、焼結磁石に比べて比重の小さい樹脂磁石を
使用した場合には、永久磁石8の遠心力荷重が低減する
ため、鉄心6の回転強度を向上することができる。ま
た、永久磁石8に代えて電磁石を用いても良く、回転子
2は界磁巻線7をハウジングに固定したいわゆるブラシ
レス型として構成しても良い。
【0016】(第2実施例)本実施例は、図6に示す様
に、爪状磁極6Bの鍔部6aの厚みが先端側から根元側
へ向かって次第に大きく(厚く)形成されている。即
ち、回転軸5の軸中心から鍔部6aの内周面までの距離
が爪状磁極6Bの先端側より根元側の方で小さくなる様
に設けられている。一方、磁石保持器12は、保持部1
2Aの底部12aの厚みが長手方向全体で等しく形成さ
れている(図6(a)参照)。これにより、磁石保持器
12を鉄心6へ組付けた時(静止状態)に、爪状磁極6
Bの根元側の方で保持部12A(底部12a)と当接さ
せることができる(図6(b)参照)。その結果、第1
実施例と同様の効果を得ることができる。
【0017】(第3実施例)本実施例は、図7(保持部
12Aの斜視図)及び図8(a)に示す様に、磁石保持
器12の底部12aの厚みが、爪状磁極6Bの先端側に
対向する部位より根元側に対向する部位の方が若干厚く
なる様に、爪状磁極6Bの根元側に対向する部位に鍔部
6a側へ突出する凸部12bが形成されている。なお、
爪状磁極6Bの鍔部6aは、第1実施例と同様に厚みt
が一定に設けられている。これにより、保持部12Aに
永久磁石8を保持して鉄心6へ組付けた時(静止状態)
に、図8(b)に示す様に、底部12aの厚みの違いに
より爪状磁極6Bの根元側の方で当接させることができ
る。
【0018】その結果、高速回転時に生じる遠心力の作
用で爪状磁極6Bが根元側を支点として径方向外側へ拡
がっても、爪状磁極6Bの根元側で永久磁石8を保持で
きるため、永久磁石8が遠心方向(径方向外側)へ移動
するのを防止でき、永久磁石8を安定して保持すること
ができる。なお、凸部12bの高さを高くして爪状磁極
6Bの先端側で鍔部6a内周面と永久磁石8の外周面と
の間に若干の隙間を持たせることにより、爪状磁極6B
の根元側のみ鍔部6aと永久磁石8とを当接させる様に
設けても良い(図8(b)参照)。
【0019】(第4実施例)本実施例は、図9(a)に
示す様に、爪状磁極6Bの鍔部6aの厚みが先端側6a1
と根元側6a2とで異なり、根元側6a2の方が厚く形成さ
れている。即ち、回転軸5の軸中心から鍔部6aの内周
面までの距離が爪状磁極6Bの先端側6a1より根元側6
a2の方で小さくなる様に設けられている。一方、磁石保
持器12は、保持部12Aの底部12aの厚みが長手方
向全体で等しく形成されている(図9(a)参照)。こ
れにより、磁石保持器12を鉄心6へ組付けた時(静止
状態)に、爪状磁極6Bの根元側6a2の方で底部12a
が当接することができる(図9(b)参照)。その結
果、第3実施例と同様の効果を得ることができる。な
お、鍔部6aの厚みを先端側6a1と根元側6a2とを異な
らせて爪状磁極6Bの先端側6a1で鍔部6a内周面と永
久磁石8の外周面との間に若干の隙間を持たせることに
より、爪状磁極6Bの根元側6a2のみ鍔部6aと永久磁
石8とを当接する様に設けても良い(図9(b)参
照)。
【0020】(変形例)上記実施例では、磁石保持器1
2を用いた例を示したが、磁石保持器12を使用するこ
となく、永久磁石8単体を直接隣合う爪状磁極6B間に
介在させても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)永久磁石の組付け前断面図、(b)永久
磁石の組付け後断面図である(第1実施例)。
【図2】固定子と回転子の半断面図である。
【図3】爪状磁極の平面図である。
【図4】磁石保持器の斜視図である。
【図5】磁石保持器の保持部の斜視図である。
【図6】(a)永久磁石の組付け前断面図、(b)永久
磁石の組付け後断面図である(第2実施例)。
【図7】磁石保持器の斜視図である(第3実施例)。
【図8】(a)永久磁石の組付け前断面図、(b)永久
磁石の組付け後断面図である(第3実施例)。
【図9】(a)永久磁石の組付け前断面図、(b)永久
磁石の組付け後断面図である(第4実施例)。
【符号の説明】
2 回転子 5 回転軸 6 ランデル型鉄心 6B 爪状磁極 6a 鍔部 8 永久磁石 12 磁石保持器(磁石保持部材) 12A 保持部 12B 連結部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の爪状磁極を有するランデル型鉄心
    と、隣合う前記爪状磁極の間に配設され、その隣合う前
    記爪状磁極間の漏洩磁束を減少させる極性の爪間磁石部
    とを有する回転子を備えた車両用交流発電機において、 前記爪間磁石部又は前記爪状磁極のいずれかには、爪根
    元部側のみに相互の遠心方向の位置決め部を形成したこ
    とを特徴とする車両用交流発電機。
  2. 【請求項2】静止状態の時に前記爪状磁極の根元部と前
    記爪間磁石部とを当接させる構成にしたことを特徴とす
    る請求項1記載の車両用交流発電機。
  3. 【請求項3】前記爪状磁極の側部外周部に形成された鍔
    部と前記爪間磁石部との間に介在される磁石保持部材を
    備え、その外径が爪先端側より根元側の方で大きく形成
    されていることを特徴とする請求項1又は2記載の車両
    用交流発電機。
  4. 【請求項4】前記爪状磁極の側部外周部に形成され前記
    爪間磁石部の遠心方向への移動を規制する鍔部は、前記
    ランデル型鉄心回転軸から前記鍔部の内周面までの距離
    が前記爪状磁極の先端側より根元側の方で小さく形成さ
    れていることを特徴とする請求項1〜3記載の何れかの
    車両用交流発電機。
  5. 【請求項5】複数の前記爪間磁石部の各々を保持する複
    数の保持部と、この複数の保持部を連結する連結部とを
    有し、前記保持部が前記爪状磁極に当接する磁石保持部
    材を備えることを特徴とする請求項2〜4記載の何れか
    の車両用交流発電機。
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