JPH10310710A - 水崩壊性樹脂組成物及びその製造方法 - Google Patents

水崩壊性樹脂組成物及びその製造方法

Info

Publication number
JPH10310710A
JPH10310710A JP13608397A JP13608397A JPH10310710A JP H10310710 A JPH10310710 A JP H10310710A JP 13608397 A JP13608397 A JP 13608397A JP 13608397 A JP13608397 A JP 13608397A JP H10310710 A JPH10310710 A JP H10310710A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
water
resin
resin composition
fine particles
colloid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP13608397A
Other languages
English (en)
Inventor
Tsugio Kimura
次雄 木村
Takeshi Takeda
健 竹田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toagosei Co Ltd
Original Assignee
Toagosei Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toagosei Co Ltd filed Critical Toagosei Co Ltd
Priority to JP13608397A priority Critical patent/JPH10310710A/ja
Publication of JPH10310710A publication Critical patent/JPH10310710A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水によって容易に崩壊し、塗料、接着剤等に
有用な水崩壊性樹脂組成物及びその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 高吸水性樹脂等の水膨潤性樹脂からなる
微粒子を含むコロイドを調製する。このコロイドを、有
機溶剤に疎水性樹脂を溶解させてなる溶液などに配合し
た後、水、有機溶剤等の揮発分を除去する。このように
して、水膨潤性樹脂からなる微粒子が、疎水性樹脂に分
散された水崩壊性樹脂組成物を得る。有機溶剤に疎水性
樹脂を溶解してなる溶液などとしては、特に溶剤型の塗
料、接着剤等が好ましい。また、水膨潤性樹脂からなる
微粒子の粒径は、3μm以下、特に1μm以下、更には
0.5μm以下であることが好ましい。上記のコロイド
は、水溶性ビニルモノマー、架橋性の多官能ビニルモノ
マー、界面活性剤及び開始剤等を有機溶剤中で反応させ
ることにより調製することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水膨潤性樹脂から
なる粒子、特に粒径が1μm以下の微粒子が、疎水性樹
脂に、分散されてなる水崩壊性樹脂組成物に関する。ま
た、本発明は、水膨潤性樹脂からなる微粒子を含むコロ
イドと、疎水性樹脂と有機溶剤とからなる溶液又は懸濁
液とを用いることを特徴とする水崩壊性樹脂組成物の製
造方法に関する。本発明の水崩壊性樹脂組成物は、水と
接触することにより容易に崩壊するフィルム等の樹脂成
形体、及び水によって容易に剥離することができる塗
料、接着剤などとして使用することができる。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境の汚染、温暖化、或いは
資源の枯渇などが切実な問題になってきている。そのた
め、人類が持続可能な成長を達成するための方策を見い
だすことが緊急、且つ重要な課題になっている。このよ
うな状況下、我々が使用している高分子材料を低コス
ト、且つ安全に再利用することも重要なテーマの一つと
なっており、各種の方法が模索されている。しかし、現
時点では、大量の有機溶剤が必要であったり、再利用の
ための特別な設備等を必要とするなど、安全性、コスト
等の面で必ずしも満足のいく方法は提供されていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来
の問題を解決するものであり、水と接触することにより
容易に崩壊し、回収することができる水崩壊性樹脂組成
物及びその製造方法を提供することを課題とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、疎水性の樹脂
に、所謂、高吸水性樹脂等の、水によって膨潤する樹脂
からなる微粒子を分散させたことを特徴とする。このよ
うな樹脂組成物からなる樹脂成形体、例えば、樹脂フィ
ルムに水、或いは水を含む溶剤、特に水を含むアルール
類等を接触させれば、吸水して膨潤する微粒子によって
フィルムは容易に崩壊し、水等とともに回収することが
できる。このように、本発明の水崩壊性樹脂組成物から
なるフィルム等の成形体或いは塗料、接着剤などは、通
常の使用条件下では使用目的を十分に満足し、不要にな
れば水を作用させるだけで容易に崩壊して回収すること
ができ、再利用することができる。
【0005】本発明の水崩壊性樹脂組成物の水による崩
壊のし易さ、言い換えれば、組成物の耐水性は、母材相
を形成する樹脂の疎水性の程度によって調整することが
できる。即ち、共重合などにより多量の親水性基を導入
して樹脂の疎水性を低下させれば、より容易に崩壊し得
る樹脂組成物が得られる。一方、より疎水性の高い樹脂
を用いれば、ある程度の耐水性を有する樹脂組成物とす
ることができる。また、水崩壊性樹脂組成物の崩壊のし
易さは、水膨潤性樹脂の膨潤の程度或いはこの水膨潤性
樹脂からなる微粒子の粒径、その含有量等によっても調
整することができる。
【0006】請求項1記載の水崩壊性樹脂組成物は、疎
水性樹脂からなる母材相と、該母材相中に分散される水
膨潤性樹脂からなる微粒子と、からなることを特徴とす
る。また、請求項2記載の水崩壊性樹脂組成物は、水膨
潤性樹脂からなる上記微粒子は、水によって膨潤する前
は球状であり、吸水して膨潤した後は棒状若しくは平板
状となることを特徴とする。尚、この平板状とは、板
状、円盤状等の偏平なものを意味し、その平面形状は特
に限定されない。
【0007】更に、請求項3記載の水崩壊性樹脂組成物
の製造方法は、水膨潤性樹脂からなる微粒子を分散相と
するコロイドを、有機溶剤に疎水性樹脂を溶解させてな
る溶液又は有機溶剤に疎水性樹脂を分散させてなる懸濁
液に配合し、その後、上記コロイド及び上記溶液又は懸
濁液に含まれる揮発分を除去することを特徴とする。上
記の懸濁液は、疎水性樹脂の粒子を有機溶剤に分散させ
て調製したものであってもよいし、有機溶剤を使用し、
非水分散重合によって調製したものであってもよい。
【0008】また、請求項1乃至請求項2記載の水崩壊
性樹脂組成物は、請求項3記載の製造方法の他、コロイ
ドを疎水性樹脂を含む溶液又は懸濁液に配合した後、揮
発分を除去し、得られる固形物を、溶融した熱可塑性樹
脂に配合し、分散させた後、冷却し、固化させて製造す
ることもできる。更に、このコロイドを可塑剤に配合
し、分散させた後、水及び有機溶剤を除去し、これを疎
水性樹脂を含む溶液又は懸濁液に配合し、揮発分を除去
し、製造することもできる。また、この可塑剤に水膨潤
性樹脂が分散されたものを、溶融した熱可塑性樹脂に配
合し、分散させた後、冷却して製造することもできる。
尚、コロイドに含まれる水或いは有機溶剤は、熱可塑性
樹脂に配合する前に必ず除去しておく必要はない。コロ
イドをそのまま押出成形機に投入し、熱可塑性樹脂の加
熱、溶融とともに水或いは有機溶剤を成形機外へ排出
し、除去することもできる。
【0009】上記のコロイド及び固形物等を配合し、分
散するための熱可塑性樹脂は特に限定されない。溶液又
は懸濁液に含まれる疎水性樹脂と同じものを、この熱可
塑性樹脂として使用することもでき、例えば、ポリアミ
ド、ポリオレフィン、ポリエステル等、汎用の熱可塑性
樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂へのコロイ
ド、固形物等の配合、分散は、通常のミキサー、ニーダ
ー或いは押出成形機等によって行うことができる。この
コロイド、固形物等の熱可塑性樹脂への配合量は、得ら
れる水崩壊性樹脂組成物の用途、所要の崩壊の速度、崩
壊の程度等によって適宜調整すればよい。
【0010】吸水して膨潤する水膨潤性樹脂としては、
高分子電解質を部分架橋して得られる高吸水性樹脂がよ
く知られており、各種用途において実用に供されてい
る。本発明においては、上記「水膨潤性樹脂」からなる
粒子は微粒子でなければならず、粒径が100〜数千μ
mもある粗粒からなる通常の高吸水性樹脂は使用するこ
とができない。上記「微粒子」の粒径は3μm以下、特
に1μm以下、更には0.5μm以下であることが好ま
しい。この水膨潤性樹脂からなる微粒子の粒径が1μm
を越え、特に3μmを越える場合は、疎水性樹脂に均一
に分散させることができないことがある。また、薄いフ
ィルム或いは被膜等とすることが難しくなり、フィルム
等の樹脂成形体及び塗料被膜、接着剤被膜等の表面の平
滑性が低下することもある。更に、疎水性樹脂が本来有
する透明性が損なわれるとの問題もある。
【0011】上記「疎水性樹脂」としては、そのガラス
転移温度(Tg)が−80〜100℃、特に−56〜5
0℃程度のアクリル樹脂を使用することが好ましい。し
かし、これに限定されるものではない。アクリル樹脂の
他、フェノール樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル
等のビニル樹脂、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエ
ステル等、水溶性でない樹脂であればいずれも用いるこ
とができる。この疎水性樹脂に対する微粒子の量比は、
水崩壊性樹脂組成物の用途、微粒子の膨潤の速さ、膨潤
の程度等によって適宜設定することができる。更に、よ
り膨潤性能の高い微粒子を使用すれば、少量であっても
十分な水崩壊性を有する樹脂組成物を得ることができ
る。一般には、微粒子の量比が低いと水崩壊性が低下
し、強靱な樹脂成形体等を得ることができる。また、微
粒子の量比が高ければ、通常、水崩壊性は向上する。
【0012】この微粒子の量比は、疎水性樹脂と微粒子
との合計量を100重量%とした場合に、微粒子を1〜
50重量%、特に5〜40重量%、更には10〜30重
量%とすることが好ましい。微粒子の量比が1重量%未
満では、膨潤性能の高い微粒子であっても、十分な水崩
壊性を有する樹脂組成物が得られ難い。一方、膨潤性能
の低い微粒子であっても、その量比が50重量%であれ
ば、十分な水崩壊性を有する樹脂組成物が得られ、より
多量に配合する必要はない。
【0013】本発明の水崩壊性樹脂組成物は、フィルム
等の樹脂成形体、塗料、接着剤など、フィルム状の被膜
に形成し、使用することが好ましい。その場合、請求項
2記載の発明のように、成形後、水と接触させる前は、
微粒子は球状等の塊状になっているが(図1参照)、水
によって膨潤した後は棒状となり(図2参照)、その形
状が変化する。この形状の変化がもたらす作用は明らか
ではないが、被膜表面近傍に水膨潤性樹脂からなる棒状
体(図2では棒状であるが、実際にはこれは板状、円盤
状等であり得る。)が並ぶことにより、被膜が容易に剥
離するようになるのではないかと考えられる。
【0014】尚、上記のような非常に粒径の小さい水膨
潤性樹脂を得るためには、逆相懸濁重合法が好適であ
る。この逆相懸濁重合法では、水溶性ビニルモノマーと
架橋性の多官能ビニルモノマーを含む水溶液を、界面活
性剤を含む有機分散媒に配合し、乳化させた後、開始剤
を添加し、反応させる。それによって、水溶性ビニルモ
ノマーが重合し、且つ架橋性の多官能ビニルモノマーに
よって部分的に架橋される。このようにして、高吸水性
樹脂として知られる水膨潤性樹脂からなる微粒子を分散
相とする上記「コロイド」が形成される。以下、この逆
相懸濁重合法について説明する。
【0015】水溶性ビニルモノマーとしてはイオン性モ
ノマーが使用される。アニオン性のモノマーとしては、
アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、
フマール酸等のカルボキシル基を有するモノマー及びこ
れらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニ
ウム塩、アミン塩等を使用することができる。また、2
−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ア
リルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン
酸等のスルホン基を有するモノマー及びこれらのアルカ
リ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミ
ン塩等を用いることもできる。
【0016】カチオン性のモノマーとしては、ジメチル
アミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエ
チル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキ
ル(メタ)アクリレートの中和塩又は4級化物を使用す
ることができる。また、ジメチルアミノメチル(メタ)
アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アク
リルアミド等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アク
リルアミドの中和塩又は4級化物を用いることもでき
る。更に、水溶性ビニルモノマーとしては非イオン性モ
ノマーを併用することもできる。このノニオン性のモノ
マーとしては、(メタ)アクリルアミド、ビニルメチル
エーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルピロリドン等
が挙げられる。
【0017】架橋性の多官能ビニルモノマーとしては、
N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジビ
ニルベンゼン等のジビニル化合物及び(メタ)アクリル
酸ビニルを使用することができる。また、メチロール
(メタ)アクリルアミド等のビニル系メチロール化合
物、アクロレイン等のビニルアルデヒド化合物及びメチ
ルアクリルアミドグリコレートメチルエーテルなどを用
いることができる。更に、これらビニルモノマーの他、
エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレン
グリコールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグ
リシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエー
テル、ソルビトールポリグリシジルエーテル等の多官能
の水溶性エポキシモノマーなどを使用することもでき
る。尚、ビニルモノマーは重合時に使用するが、この多
官能の水溶性エポキシモノマーは重合時の他、重合後に
添加しても同様の作用が得られる。これら架橋性のモノ
マーは、水溶性ビニルモノマーに対して0.001〜5
重量%、特に0.05〜2重量%程度配合することがで
きる。
【0018】界面活性剤としては親水親油バランス(H
LB値)の低いものが好ましい。通常、HLB値が3.
5〜12、好ましくは5〜10程度のものが使用される
が、水溶性ビニルモノマーのイオン性の大小によって最
適なHLB値の界面活性剤を選択することが好ましい。
この界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフ
ェニルエーテル、ソルビタンモノステアレート、ソルビ
タンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、グ
リセリルモノオレエート等を使用することができる。ま
た、ICI社より提供されている高分子乳化剤(商品名
「ハイパーマー」)などを用いることもできる。これら
界面活性剤は1種のみを使用してもよいし、2種以上を
併用してもよい。尚、HLB値の低いものと高いものと
を適宜組み合わせて使用することもできる。
【0019】有機分散媒は生成する水膨潤性樹脂が溶解
しないものであればよく、特に限定はされない。一般に
は溶解度パラメータ(SP値)が接近していないSP値
の低い分散媒の使用が好ましく、そのような分散媒を使
用すれば水膨潤性樹脂の重合が容易である。この有機分
散媒としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチ
ル等の酢酸エステル類、アセトン、メチルエチルケト
ン、メチルイソブチルケトン等のケトン類を使用するこ
とができる。
【0020】また、ノルマルヘキサン等の脂肪族炭化水
素、シクロヘキサン等の脂環族炭化水素、トルエン、キ
シレン等の芳香族炭化水素などの炭化水素溶媒を用いる
こともできる。以上、例示した有機分散媒はいずれも比
較的沸点の低いものであるが、本発明では、ミネラルス
ピリット、ミネラルターペン等の沸点がやや高い溶媒を
使用することもできる。更に、各種の可塑剤のように沸
点のより高いものを有機分散媒として用いることもでき
る。可塑剤としては、フタル酸ジオクチル等のフタル酸
エステル類、アジピン酸−2−エチルヘキシル等の脂肪
族二塩基酸エステル類、リン酸トリクレジル、リン酸ト
リフェニル等のリン酸エステル類などが挙げられる。
【0021】開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過
硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩及び過酸
化水素などを使用することができる。また、2,2’−
アゾビス(2−アミジノプロパン)ジハイドロクロライ
ド、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等のアゾ
化合物、t−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過
酸化物などを用いることもできる。これらはいずれも水
溶性の開始剤である。また、2,2’−アゾビス(4−
メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,
2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等の油溶性のア
ゾ化合物或いは油溶性の有機過酸化物などを使用するこ
ともできる。
【0022】更に、酸化剤と還元剤よりなる酸化還元系
によって重合が開始されるレドックス系の開始剤を用い
ることもできる。開始剤の分解速度を大きくする還元剤
としては、チオ硫酸ナトリウム、酸性亜硫酸ナトリウ
ム、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、次
亜リン酸ナトリウム等を使用することができる。また、
硫酸第一鉄アンモニウム等のFe、Co、Niなどの金
属を含む多価金属塩、モノ又はジアルキルアニリン等の
アミン類の他、アスコルビン酸、酒石酸、エリソルビン
酸ナトリウム等を用いることもできる。このレドックス
系の開始剤の具体例としては、過硫酸塩と亜硫酸塩又は
第一鉄塩との組み合わせ、t−ブチルハイドロパーオキ
サイドと亜硫酸塩との組み合わせ等が挙げられる。ま
た、過酸化水素と酒石酸、クエン酸、グルコース、第一
鉄塩との組み合わせ、過酸化ベンゾイルとジメチルアニ
リン、パラトルイジン等のアミン類との組み合わせなど
を挙げることもできる。
【0023】反応は、通常、バッチ式或いはセミバッチ
式で行われる。バッチ式では、反応開始時にすべての原
料を仕込んでしまうため簡便であり、且つ分子量が大き
くなるため好ましいが、熱の除去を十分に行えないこと
がある。セミバッチ式では、原料の一部を重合反応中に
連続的に、或いは間欠的に添加して反応させる。この方
法では、一般に分子量は小さくなる傾向にあるが、温度
制御が容易であるとの利点がある。バッチ式及びセミバ
ッチ式のいずれを採用するかは、目的とする水膨潤性樹
脂の分子量及び反応制御の簡便性等に応じて適宜決めれ
ばよい。また、反応後、水等の揮発分を除去する場合
は、例えば、40〜100mmHgの圧力、40〜10
0℃の温度において減圧乾燥すればよく、この圧力、温
度は揮発分の沸点等に応じて適宜設定することができ
る。尚、揮発分をすべて除去し、固形の樹脂として使用
することもできるが、揮発分が残った状態で使用する場
合は、留出液から水を分離して廃棄し、有機溶剤を再び
系内にリサイクイルさせる等の方法を採ることができ
る。
【0024】請求項3記載の発明において、上記「溶
液」又は上記「懸濁液」における上記「疎水性樹脂」
は、請求項1記載の発明及び請求項2記載の発明におけ
る疎水性樹脂に相当するものである。また、上記「有機
溶剤」は、この疎水性樹脂を十分に溶解し得るもの或い
は分散させ得るものであればよく、アセトン、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類及び
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒などを用い
ることができる。更に、この溶液又は懸濁液としては、
特に、塗料或いは接着剤等が好ましい。尚、この接着剤
には、粘着によって接合される粘着剤も含まれる。これ
ら塗料、接着剤等に水膨潤性樹脂からなる微粒子を含む
コロイドを配合することにより、水によって容易に崩壊
し、剥離する塗料被膜、接着剤被膜等を形成することが
できる塗料及び接着剤等を得ることができる。
【0025】本発明の水崩壊性樹脂組成物には、必要に
応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤等を添加することが
できる。また、用途によっては難燃剤、顔料、無機充填
剤等を配合してもよい。これらの添加量は樹脂組成物の
水崩壊性が損なわれない範囲で適宜設定することができ
る。更に、本発明の水崩壊性樹脂組成物を塗料、接着剤
等として用いる場合など、塗布、接合するための基体と
しては、金属、合成樹脂、合成ゴム、織布、不織布等い
ずれも使用することができる。また、このような基体へ
の水崩壊性樹脂組成物の塗布は、ドクターナイフ法、ロ
ールコーター法等の他、刷毛塗り、吹き付け塗布等、各
種の方法によって行うことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を更に
詳しく説明する。 合成例(コロイドの調製) 逆相懸濁重合法により、水膨潤性樹脂である高吸水性樹
脂からなる微粒子を分散相とするコロイドを調製した。
各成分としては下記のものを使用した。 有機溶剤 トルエン 650.0g 界面活性剤 レオドール AO−15 17.4g エマルゲン 905 7.6g ハイパーマー B246 4.8g (界面活性剤の合計量;29.8g) 尚、株式会社花王製、商品名「レオドール AO−1
5」は、ソルビタンセスキオレエート(HLB値;3.
7)である。また、同じく株式会社花王製、商品名「エ
マルゲン 905」は、ポリオキシエチレンノニルフェ
ニルエーテル(HLB値;9.2)である。更に、IC
I社製、商品名「ハイパーマー B246」は、ABA
型のブロック共重合体である。
【0027】 モノマー水溶液 アクリル酸ナトリウム(36%水溶液) 550.0g N,N'- メチレンビスアクリルアミド 2.0g 水 48.0g 〔モノマー水溶液合計量;600.0g(モノマー合計量;200.0g)〕 開始剤水溶液 t−ブチルハイドロパーオキサイド 0.12g 水 7.88g (開始剤水溶液の合計量;8.00g) 還元剤水溶液 亜硫酸水素ナトリウム 0.30g 水 9.70g (還元剤水溶液の合計量;10.00g) 尚、開始剤としてはととからなるレドックス系のも
のを用いた。
【0028】容量2リットルのガラス製の四つ口フラス
コに、トルエン及び3種類の界面活性剤を投入した。そ
の後、フラスコにモノマー溶液の全量を投入し、攪拌
下、窒素置換し、温度を30℃に調整した。次いで、開
始剤水溶液を7g添加し、続いて、還元剤水溶液を4g
添加した。直ちに重合反応が始まり、温度は最高47℃
にまで達した。その後、温度を40℃に保持し、開始剤
水溶液の残量1gを添加した。次いで、還元剤水溶液
を、10分の間隔をおいて各2gづつ3回添加した。そ
の後、温度を50℃に昇温させて50分間保持した。次
いで、冷却し、室温にまで降温した後、得られたコロイ
ドから200目の樹脂製ネットによって固形分を濾別し
た。減圧乾燥して得られた固形物、即ち、微粒子状の高
吸水性樹脂は、各成分の全仕込み量に対して16.5重
量%であり、電子顕微鏡によって観察した粒径は0.0
1〜0.2μmの範囲であった。
【0029】比較合成例(水溶性樹脂を含む溶液の調
製) 合成例において架橋性モノマーであるN,N’−メチレ
ンビスアクリルアミドを使用しなかった以外は同様にし
て反応させた。得られたコロイドに含まれる樹脂は水に
より膨潤するものではなく、水溶性となる。
【0030】実施例1及び比較例1 有機溶剤に樹脂を溶解してなる溶液が粘着剤である場合
について、本発明の水崩壊性樹脂組成物の効果を確認し
た。市販のアクリル樹脂系溶剤型粘着剤(モノマー組
成;ブチルアクリレート/アクリル酸=95/5)に、
合成例及び比較合成例において得られたコロイドを、そ
れぞれ固形分換算で20重量%となるように配合し、混
合液を調製した。この混合液を厚さ25μmのポリエチ
レンテレフタレート(PET)製フィルム及び上質紙の
各々に、揮発分を除去した後の樹脂層の厚さが20μm
になるように塗布し、乾燥して、トルエン及び水等の揮
発分を蒸発させて被膜を形成した。これらの試料を用い
て下記の評価を行った。
【0031】透明性の評価 PET製フィルムに、合成例のコロイドを含む混合液及
び比較合成例のコロイドを含む混合液を塗布し、被膜を
形成した試料を、印字された紙の上に置き、文字が明瞭
に見えるか否かを目視によって確認した。その結果、合
成例、比較合成例のコロイドのいずれを用いた場合も、
上記のアクリル樹脂系溶剤型粘着剤そのものをPETフ
ィルムに塗布した場合とほとんど同程度に明瞭に文字を
読み取ることができた。
【0032】粘着性、水崩壊性の評価(その1) PET製フィルムに合成例のコロイドを含む混合液を塗
布し、被膜を形成した試料をステンレス鋼板に接合し、
水に常温で1週間浸漬した。その結果、接合面の周縁か
ら5〜10mm程度の部分が白化した以外は異常は認め
られなかった。白化した部分は容易に剥離することがで
き、再度ステンレス鋼板に接合することはできなかっ
た。また、白化していない部分は剥離後、再度接合する
ことができた。これは、白化した部分では粘着剤が水に
よって崩壊し、剥落してしまったためであると考えられ
る。この結果は、本発明の水崩壊性樹脂組成物が、通常
の使用条件下では使用目的を十分に満足し、不要になれ
ば水によって容易に崩壊させることができるものである
ことを示唆するものである。
【0033】粘着性、水崩壊性の評価(その2) 上質紙に混合液を塗布し、被膜を形成した試料をステン
レス鋼板に接合し、水に常温で1昼夜浸漬した。その結
果、合成例のコロイドを用いた場合は、粘着剤が水によ
って崩壊し、上質紙は自然に剥離した。そして、この上
質紙を再度ステンレス鋼板に接合することはできなかっ
た。一方、比較合成例のコロイドを用いた場合は、粘着
剤は崩壊しないため、外力を加えれば剥離することがで
きたが、自然に剥離することはなかった。
【0034】尚、水に浸漬する前の上質紙に対する剥離
強度は、アクリル樹脂系溶剤型粘着剤そのものが165
0g/inch(界面剥離)であり、合成例のコロイド
を用いた場合が910g/inch(凝集破壊)、比較
合成例のコロイドを用いた場合が930g/inch
(凝集破壊)であった。このように、コロイドの配合に
より、粘着剤そのものに比べれば剥離強度が低下した
が、合成例のコロイドと比較合成例のコロイドとの間
で、浸漬前の剥離強度にはほとんど差はなかった。
【0035】実施例2 溶剤として酢酸エチルを使用し、モノマーとしてメチル
メタアクリレート(MMA)とブチルアクリレート(B
A)とを使用し、その量比を変化させて単独又は共重合
させた。この重合反応では、MMAとBAとの量比によ
って、その重量平均分子量及びTgが異なる疎水性樹脂
が得られた。この重合溶液に合成例により調製されたコ
ロイドを固形分換算で20重量%となるように配合し、
トルエン、水及び酢酸エチル等の揮発分を蒸発させて成
膜した皮膜を常温の水に浸漬した。一昼夜浸漬した後、
この被膜の状態を観察した結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
【0037】表1の結果によれば、MMAとBAとの量
比が75/25〜0/100の範囲において、重量平均
分子量及びTgはかなり大きく変化することが分かる。
しかし、それらの変化にはかかわりなく、いずれの場合
も、被膜はスラリー状の塊となり、僅かに攪拌すること
により水中に分散した。また、常温で水を除去した場
合、MMAの量比が75〜50では白化した不完全な被
膜又は少し白化した被膜が形成されたが、MMAの量比
が25〜0では透明な被膜が形成された。これは、樹脂
のTgが風乾温度に対して十分に低い場合は、樹脂の粒
子が容易に融着するためであり、常温では白化したもの
でも、風乾温度を上げれば透明な被膜が形成されるもの
と考えられる。
【0038】尚、本発明においては、上記の具体的な実
施例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明
の範囲内で種々変更した実施例とすることができる。例
えば、逆相懸濁重合法により得られるコロイドから揮発
分を除去した固形分を、有機溶剤に疎水性樹脂を溶解し
てなる溶液又は疎水性樹脂が分散した懸濁液に配合する
こともできる。この方法では、固形分である樹脂粉末が
凝集することも有り得るため、十分な剪断応力を加えて
混練し、分散させることが好ましい。
【0039】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、疎水性の
樹脂に、高吸水性樹脂等の水によって膨潤する樹脂から
なる微粒子を分散させることにより、例えば、樹脂フィ
ルム等の成形体或いは塗料、接着剤等とした場合に、こ
れに水、或いは水を含む溶剤を接触させることにより、
容易に崩壊、剥離し、水等とともに回収することができ
る水崩壊性樹脂組成物を得ることができる。また、請求
項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明及び請求
項2記載の発明における水崩壊性樹脂組成物を容易に製
造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1においてPET製フィルム上に被膜を
形成した場合の、被膜の縦断面における水膨潤性樹脂か
らなる微粒子の粒子構造を表す顕微鏡写真である。
【図2】実施例1においてPET製フィルム上に形成し
た被膜を、粘着性、水崩壊性の評価(その1)におい
て水に浸漬した後の、被膜の縦断面における水膨潤性樹
脂からなる微粒子の粒子構造を表す顕微鏡写真である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 疎水性樹脂からなる母材相と、該母材相
    中に分散される水膨潤性樹脂からなる微粒子と、からな
    ることを特徴とする水崩壊性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 水膨潤性樹脂からなる上記微粒子は、水
    によって膨潤する前は球状であり、吸水して膨潤した後
    は棒状若しくは平板状となることを特徴とする請求項1
    記載の水崩壊性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 水膨潤性樹脂からなる微粒子を分散相と
    するコロイドを、有機溶剤に疎水性樹脂を溶解させてな
    る溶液又は有機溶剤に疎水性樹脂を分散させてなる懸濁
    液に配合し、その後、上記コロイド及び上記溶液又は懸
    濁液に含まれる揮発分を除去することを特徴とする水崩
    壊性樹脂組成物の製造方法。
JP13608397A 1997-05-09 1997-05-09 水崩壊性樹脂組成物及びその製造方法 Pending JPH10310710A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13608397A JPH10310710A (ja) 1997-05-09 1997-05-09 水崩壊性樹脂組成物及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13608397A JPH10310710A (ja) 1997-05-09 1997-05-09 水崩壊性樹脂組成物及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH10310710A true JPH10310710A (ja) 1998-11-24

Family

ID=15166860

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13608397A Pending JPH10310710A (ja) 1997-05-09 1997-05-09 水崩壊性樹脂組成物及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH10310710A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001264757A (ja) * 2000-03-22 2001-09-26 Matsushita Electric Ind Co Ltd 反射型照明装置及びその製造方法
WO2012070552A1 (ja) * 2010-11-25 2012-05-31 三菱レイヨン株式会社 防汚塗料用組成物及び防汚塗料

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001264757A (ja) * 2000-03-22 2001-09-26 Matsushita Electric Ind Co Ltd 反射型照明装置及びその製造方法
WO2012070552A1 (ja) * 2010-11-25 2012-05-31 三菱レイヨン株式会社 防汚塗料用組成物及び防汚塗料
JPWO2012070552A1 (ja) * 2010-11-25 2014-05-19 三菱レイヨン株式会社 防汚塗料用組成物及び防汚塗料
US9139741B2 (en) 2010-11-25 2015-09-22 Mitsubishi Rayon Co., Ltd. Antifouling paint composition and antifouling paint

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5266402A (en) Interpenetrating pressure-sensitive adhesive polymer networks
CA2124342C (en) Tack-free elastomeric acrylate microspheres
JP3636716B2 (ja) 親水性ポリマー又はオリゴマーのペンダント部分を有する粘着性微小球
AU724352B2 (en) Composite pressure sensitive adhesive microsphere
AU627607B2 (en) Pressure-sensitive adhesive comprising hollow tacky microspheres and macromonomer-containing binder copolymer
JP3317977B2 (ja) 中空多孔性アシッドフリーアクリレート系高分子微小球
US5719247A (en) Tack-free elastomeric acrylate microspheres
JP6478577B2 (ja) 水性エマルション、接着剤組成物、及び水性エマルションの製造方法
CA2268149A1 (en) Stabilized adhesive microspheres
JPH06345819A (ja) 高吸水性樹脂の製造法
JP3908787B2 (ja) 感圧接着性微小球を含有する感圧接着フィルム
JPS5837348B2 (ja) 水分散型感圧接着剤組成物
US20010034394A1 (en) Preparation of acrylic hot-melt pressure-sensitive adhesives from aqueous disperse systems
JPH07188350A (ja) 架橋可能な粉状結合剤
JPH10310710A (ja) 水崩壊性樹脂組成物及びその製造方法
JP2009185218A (ja) マイクロカプセルの水性分散体の製造方法及びマイクロカプセルを用いた架橋性樹脂組成物
JP2739805B2 (ja) 耐クリープ性に優れたアクリル系プラスチゾル組成物
JP2020517794A (ja) 塩化ビニル系樹脂ラテックス組成物およびその製造方法
JPH0623364B2 (ja) 水分散型感圧性接着剤組成物
CN112876702B (zh) 一种一步聚合法制备高吸水树脂及其制备方法
JPS61271367A (ja) 水分散型感圧性接着剤組成物の製造法
JP2595684B2 (ja) 接着剤組成物
JPH0572923B2 (ja)
JPH0155673B2 (ja)
JPS58127752A (ja) ポリマ−水性分散液の製造方法