JPH10310321A - シート分配装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 多数段の分配ビンに集積されたシート束を後
処理装置側に順次押し出して移動させるのに掛かる時間
を短縮すること。 【解決手段】 画像形成装置から排出されたシート２が
分配収納される複数の分配ビン４と、各分配ビンに収納
されたシートを綴じるステープラと、複数の分配ビンに
沿って昇降駆動可能に設けられ、且つ各分配ビンに沿っ
て進退駆動可能とされて各分配ビンに収納されたシート
をステープラ側に押し出すシート押出部材５０とを備
え、前記各分配ビンにはシート押出部材を各分配ビンに
沿って進退駆動可能とするガイド孔２８が形成される一
方、シート押出部材は前記ガイド孔に当接する係合部材
５３ａ，５３ｂを有してなるシート分配装置において、
前記シート押出部材５０の係合部材５３ａ，５３ｂが、
前記分配ビン４のガイド孔２８との係合を解除する方向
に移動可能であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、画像形成装置から
排出されたシートを分配収納して所定の後処理を施すシ
ート分配装置の改良に関する。

【０００２】

【従来の技術】一般に「ソータ」と呼ばれるシート分配
装置として、例えば特開平４−４３０８９号に開示され
ているように、印刷機、複写機等の画像形成装置から排
出された画像記録済みシート（以下単に記録済みシート
と呼ぶ）を「インデクサ」と呼ばれるシート分配手段を
用いて複数段の分配ビン（ソートトレー）上に順次分配
集積させ、記録済みシートの集積枚数が所定枚数に達し
た各分配ビン上のシート束に対して、複数段の分配ビン
のシート受容端に沿って上下方向および水平方向（シー
トの幅方向）に移動可能なステープラを用いて、各シー
ト束毎に綴じ合わせるステープル打ちを行うように構成
されたものが知られている。

【０００３】上記ステープラを用いたステープル打ちに
際しては、複数段に設けられた分配ビンのうち、１つの
分配ビン上のシート束を選択的にステープラに向かって
押し出す必要があり、そのため従来では各分配ビンをそ
れぞれステープラに向かって移動可能に構成して、ステ
ープル打ちを施すべきシート束を集積した分配ビンをシ
ート束と共にステープラに向かって押し出すようにした
り、あるいは各分配ビン毎にそれぞれシート束の押出部
材を設けたりしていた。

【０００４】しかしながら、分配ビンをそれぞれステー
プラに向かって移動可能にした構成では、分配ビンとス
テープラとの干渉を避ける配慮をしなければならず、ま
たこのような構成も、各分配ビン毎にそれぞれシート束
の押出部材を設けることも、いずれもシート分配装置の
構造及びその駆動系が複雑になるという問題があった。

【０００５】そこで、本件出願人は、特願平８−１１７
５１４において、複数段の分配ビンを上下方向に貫通し
て延びる案内レール上に、該複数段の分配ビンのうちで
所定の分配ビン上のシート束を選択的に後処理装置に向
かって押し出すためのシート束押出部材が、前記案内レ
ールに沿って上下方向に移動可能に設けられるシート束
押出装置を提案した。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記提案の
シート束押出装置にあっては、分配ビンに形成された開
口部の中に案内レールが設けられており、案内レールは
立設状態を保ったまま開口部内を水平移動が可能であ
る。また、シート束押出部材は、案内レールに沿って上
下方向に移動制御されると共に、案内レール自体がシー
ト束押出部材と共に水平方向に移動制御され、これによ
って一つの分配ビン上のシート束が選択的に後処理装置
に向かって押し出される。

【０００７】また、上記のようなシート束押出装置で
は、シート束押出部材の移動軌跡を鉛直上方から見たと
き、シート束押出部材が後処理装置から最も離間した位
置（上下方向に昇降駆動される位置）においては、シー
ト束押出部材と分配ビンの開口部の端縁は重なる部分は
ないが、シート束押出部材がシート束を押し出す位置
（範囲）においては、シート束押出部材と分配ビンの開
口部の一方の端縁とが重なるようになっている。これ
は、シート束押出部材で分配ビン上のシート束を押し出
す際に、分配ビンが撓んでいたり、分配ビン上の用紙が
変形していても、分配ビンの端縁とシート束押出部材と
の係合部（互いに摺り合わせる部分）において分配ビン
上の全ての用紙に接触することにより、全ての用紙を確
実に後処置装置側に押し出すためである。分配ビンの端
縁とシート束押出部材とが係合する部分は、少なくとも
シート束押出部材の下面（下部）と、分配ビンの端縁の
上面（上部）となるが、シート押出部材の上面（上部）
がシートを押し出す分配ビンの一つ上の分配ビンの下面
（下部）に接触するようになっていてもよい。

【０００８】上記のようなシート束押出装置では、シー
ト束押出部材を一つの分配ビンから次の分配ビンに移動
させる場合には、シート束押出部材を分配ビンの端縁と
接触しない位置まで水平方向に後退させた後、案内レー
ルに沿って上下動させ、この位置からまた水平移動して
次の分配ビン上のシート束を押し出すことになる。従っ
て、シート束押出部材の水平移動距離が大きく、多数段
の分配ビンに集積されたシート束を後処理装置に順次押
し出すための時間が全体として長くなるため、これを短
縮することが要望されていた。

【０００９】本発明は、上記の事情に鑑みてなされたも
のであり、シート束の押し出しに要する時間を短縮する
ことのできるシート分配装置を提供することを目的とす
る。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明の請求項１に係る
シート分配装置は、画像形成装置から排出されたシート
が分配収納される複数の分配ビンと、前記各分配ビンに
収納されたシートに後処理を施す後処理手段と、前記複
数の分配ビンに沿って昇降駆動可能に設けられ、且つ前
記各分配ビンに沿って進退駆動可能とされて前記各分配
ビンに収納されたシートを前記後処理手段側に押し出す
シート押出部材とを備え、前記各分配ビンには前記シー
ト押出部材を前記各分配ビンに沿って進退駆動可能とす
るガイド部が形成される一方、前記シート押出部材は前
記分配ビンの前記ガイド部に当接する係合部を有してな
るシート分配装置において、前記シート押出部材の係合
部が、前記分配ビンの前記ガイド部との係合を解除する
方向に移動可能であることを特徴とする。

【００１１】また、本発明の請求項２に係るシート分配
装置は、前記シート押出部材の係合部がシートの押し出
し方向と平行な軸線周りに回動可能に設けられ、且つ前
記分配ビンのガイド部の上部に当接する向きに付勢され
た部材からなることを特徴とする。

【００１２】また、本発明の請求項３に係るシート移動
機構は、前記分配ビンのガイド部が前記分配ビンの中央
部に帯状に形成される一方、前記シート押出部材の係合
部が前記ガイド部の両側の縁部にそれぞれ対向して一つ
ずつ設けられていることを特徴とする。

【００１３】また、本発明の請求項４に係るシート分配
装置は、前記後処理手段がステープラ又はパンチング装
置であることを特徴とする。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、添付図面に基づき本発明に
係るシート分配装置についての実施の形態を説明する。
図１及び図２はシート分配装置の全体構成を示し、図１
はシート分配装置を画像形成装置に接続した場合の構成
を示した概略側面図、図２は図１のシート分配装置の内
部構造を透視的に示す概略側面図である。

【００１５】シート分配装置Ｓは、印刷機等の画像形成
装置１から排出された画像記録済みシート２（図３）を
順次受容して所定枚数ずつ集積すべく、フレーム３内の
固定位置に上下方向に所定の間隔を保って配置された複
数段（例えば５０段）のトレイ状の分配ビン４と、画像
形成装置１から排出された記録済みシート２を分配ビン
４側に搬送する搬送手段５と、複数段の分配ビン４のシ
ート受容端に沿って上下方向に移動可能に設けられ、搬
送手段５により搬送されたシート２を湾曲した上面案内
部によって向きを変えて各分配ビン４に送給分配するイ
ンデクサ６と、前記分配ビン４のシート受容端に沿って
上下方向に及び水平方向に移動可能でシート束をステー
プルによって束ねるステープラ７とを備えている。

【００１６】前記画像形成装置１が印刷機、特に孔版印
刷機の場合は、多数枚のシートを短時間に印刷でき、イ
ンクの乾いていないシート２が高速で排出されるから、
画像形成装置１から排出されたシート２をインデクサ６
に搬送する前記搬送手段５では、シート２の裏面を吸引
保持してシート表面とは非接触状態で搬送するように構
成されている。

【００１７】上記搬送手段５は、図２に示したように、
画像形成装置１の排紙部から排出されたシート２を斜め
上方の本体上部に搬送する第１搬送部５Ａと、上部から
下方にインデクサ６に対してシート２を搬送する第２搬
送部５Ｂと、第２搬送部５Ｂの上端部において第１搬送
部５Ａからのシート２を受けると共に、その搬送方向を
鋭角に屈曲させる屈曲部５Ｃとからなっている。

【００１８】第１搬送部５Ａは、上流側搬送部と下流側
搬送部とに分かれ、上流側搬送部では両端のベルトプー
リ２０ａ，２０ｂに掛け渡された穴あき搬送ベルト９
と、その内部に設置された吸引ブロア８とによって、シ
ート２の裏面を吸引保持しつつ搬送している。一方、下
流側搬送部では、ベルトプーリ１６から直接に第２搬送
部５Ｂのベルトプーリ１７に一本の穴あき搬送ベルト１
０が掛け渡されており、第１搬送部５Ａから第２搬送部
５Ｂへのシート２の受け渡しをスムーズに行えるように
している。第１搬送部５Ａの下流側搬送部および第２搬
送部５Ｂの内部にも上記と同様の吸引ブロア８が設置さ
れている。また、下流側搬送部の上端基部の裏面側に
は、第２搬送部５Ｂから第１搬送部５Ａに穴あき搬送ベ
ルト１０を戻すためのＵターンローラ１４が設置されて
いる。前記屈曲部５Ｃには、湾曲した搬送面に向けてシ
ート２を押圧する気流を吹き付ける送風ブロア１１が設
置されている。特に屈曲部５Ｃの近傍構造は、図３及び
図４に示したように、第１搬送部５Ａの上端基部付近で
は、上記穴あき搬送ベルト１０の裏面側に箱状のダクト
１８が設けられる。そして、その内部は吸引ブロア８に
よって減圧され、搬送ベルトに対応する部分には開口２
１が設けられてシート２を吸引保持する。前記ダクト１
８は、吸引ブロア８の配設位置から離れるにつれて次第
に底が浅く形成され断面形状が小さくなっている。ま
た、前記開口２１の形状も吸引ブロア８に近い位置では
小さく、遠く離れるにつれて次第に大きく形成されてい
るため、吸引ブロア８による吸引保持力の均一化が図ら
れると共にシート保持力も制御されることになる。

【００１９】また、第２搬送部５Ｂの上端部の屈曲部５
Ｃは、３つの大径ベルトプーリ１７が配置され、これに
第１搬送部５から続く穴あき搬送ベルト１０が掛けられ
て走行駆動される。そして、前記屈曲部５Ｃの搬送面に
向けて気流を吹き付ける３つの送風ブロア１１ａ，１１
ｂ，１１ｃが配設され、その風圧によってシート２を搬
送面の屈曲形状に沿って曲げるように変形させ、搬送ベ
ルト１０の走行によって屈曲部５Ｃを経て第２搬送部５
Ｂによってシート２を下方のインデクサ６に搬送する。
更に、この実施例では屈曲部５Ｃの前後の送風ブロア１
１ａ，１１ｃの近傍にノコギリ歯が周面に形成された小
形の押し当てローラ２２ａ，２２ｂが幅方向に複数個配
設されている。この押し当てローラ２２ａ，２２ｂは、
シート２の搬送方向を鋭角に屈曲させる屈曲部５Ｃにお
いてシート２の先端部を押さえ込んでハネ上がりを防止
するもので、特に厚紙を搬送する際に有効に作用する。
なお、押し当てローラ２２ａ，２２ｂは、搬送するシー
トの種類によって選択的に作用させることができる。

【００２０】なお、前記シート分配装置Ｓは、図１に示
したように、その本体と同一構成を有する複数台のスレ
ーブ機Ｓ１を画像形成装置１とは反対側に従属接続して
分配ビン４の段数を増大させることが可能に構成されて
おり、スレーブ機Ｓ１が接続されたとき、シート２をこ
のスレーブ機Ｓ１に搬送する第３搬送部５Ｄ（中継搬送
部）が上部に着脱可能に取り付けられる。この実施例で
は図１に示したようにシート分配装置Ｓの上部に第３搬
送部５Ｄを収納する空間部１９が水平方向に形成されて
おり、この空間部１９内にスレーブ機Ｓ１の第１搬送部
５Ａを差し込むことで複数のシート分配装置Ｓが接続さ
れている。

【００２１】また、前記画像形成装置１は、排出したシ
ート２をソーティングしない場合に集積する排紙台１３
を備えており、またシート分配装置Ｓ１の外壁面には、
外付け電動ステープラ１５が設けられている。

【００２２】シート分配装置Ｓ内では、図２に示したよ
うに、最上段の分配ビン４の受容端近傍と最下段の分配
ビン４の受容端近傍に、発光センサ２３ａと受光センサ
２３ｂが設けてあり、インデクサ６から各分配ビン４に
送り込まれるシート２の収納検出と、ステープル可能位
置にシート束が押し出されたことの検出を行っている。

【００２３】上記分配ビン４は、図５に示したように矩
形状の平板をなし、その一側部にはシート２の取り出し
を容易にするための大きな切欠部２４が形成されてい
る。また、分配ビン４の上面には前記切欠部２４の中央
部分に張り出す略く字状のシート支承板２５が配置さ
れ、切欠部２４でのシート２の垂れ下がりを防止してい
る。分配ビン４には上記切欠部２４とは反対側に２つの
大きな開孔２６，２７が形成され、更に中央部には前後
方向に長いガイド孔２８がそれぞれ形成されている。そ
して、これら切欠部２４、開孔２６，２７及びガイド孔
２８にはシート２を二つの基準位置Ｌ１，Ｌ２に整合さ
せるための整合部材がそれぞれ配設されている。切欠部
２４内に配設される第１整合部材２９は、軸３０を中心
に開閉可能なシート取出ドア３１の内側に収納されてお
り、反対側の開孔２６，２７内に配設された一対の第２
整合部材３２，３３と共に、シート２の両側端縁を押し
て幅方向に移動させ中央の基準位置Ｌ１に整合させる。

【００２４】特に、シート取出ドア３１内に収納された
第１整合部材２９はリンク機構３４によって駆動され、
非動作時及びシート取出ドア３１の開閉時にはリンク機
構３４が縮んでドア内に収納される一方、整合時にはリ
ンク機構３４が伸びてその先端に設けられた上下方向に
長い一対の整合板３５ａ，３５ｂによってシート２の一
側縁を押し出す構成となっている。第１整合部材２９
は、図示外のモータによって回転するスクリュシャフト
３６と、このシャフト３６上をスライドするナット３７
によって駆動される。駆動部はシート取出ドア３１の下
部に設けられる。

【００２５】一方、中央部のガイド孔２８に配設される
第３整合部材４０は、シート２を排出側先端側から押し
て分配ビン４のシート受容端に立設した縦壁４ａに沿っ
て設けた基準位置Ｌ２に整合させるためのものである。
この第３整合部材４０は、図５及び図６に示したよう
に、分配ビン４を上下方向に貫通して延設される断面コ
字状の案内レール４１を有している。この案内レール４
１は、整合すべき記録済みシート２に対する当接面とし
て、分配ビンのシート受容端に向かって正対する平坦な
垂直面４２ａ，４２ｂをその開口縁に備えており、その
垂直面４２ａ，４２ｂにはスポンジなどの弾性部材４３
ａ，４３ｂが上下方向に長く貼着されている。

【００２６】また、この実施例では第３整合部材４０の
前方に上下方向に延びた紐状のストッパ部材４５が配設
されている。このストッパ部材４５は、分配ビン４に対
してインデクサ６から勢いよく放出される記録済みシー
ト２の排出側先端部を弾性的に突き当ててシート２を緩
やかに停止させるためのもので、スポンジよりダンパ効
果の大きい２本のゴムバンド４６ａ，４６ｂが用いられ
る。ゴムバンド４６ａ，４６ｂは、図６に示したよう
に、その上端部がレバー４７ａ，４７ｂの先端部に揺動
可能に取り付けられ、シート２の排出側先端部が勢いよ
く突き当たると、大きく撓むことができる。上記レバー
４７ａ，４７ｂの後端部は、案内レール４１の上端部に
掛け渡されたシャッフト４８に支持されており、このシ
ャフト４８を図示外の駆動手段で回転させることでレバ
ー４７ａ，４７ｂが前後方向に回動し、図６に示したよ
うにゴムバンド４６ａ，４６ｂを弾性部材４３ａ，４３
ｂより前方に位置させることも、ゴムバンド４６ａ，４
６ｂを弾性部材４３ａ，４３ｂより後退させることもで
きる。なお、図示しないが、ゴムバンド４６ａ，４６ｂ
の下端部も、上記と同様の構成からなるレバーに揺動可
能に取り付けられている。

【００２７】この実施例では、上記案内レール４１の前
方にシート束押出部材５０が配設される。このシート束
押出部材５０は、インデクサ６による全てのシート２の
搬入分配が完了したのち、後処理行程としてステープル
を打つために、各分配ビン４上に集積されたシート束を
インデクサ６の昇降通路に押し出すためのものであり、
案内レール４１に沿って上下に移動する。なお、後処理
工程として、上記ステープルの他にシート２にパンチ穴
をあける場合があり（図示略）、このときにも上記と同
様のシート移動部材を用いてシート２の所定方向への移
動が行われる。

【００２８】また、上記シート束押出部材５０の構成
は、図６及び図７に示したように、案内レール４１内に
配設される基部５８と、この基部５８の前側に位置し垂
直の押出面５１が形成された略直方体形状の本体５２
と、押出面５１の左右両側に設けられる略扇形の係合部
材５３ａ，５３ｂとからなる。基部５８の後端は、案内
レール４１内に配設されたベルト５４に固定されてい
る。ベルト５４は、最上段及び最下段の各分配ビン４の
近傍に配設されたプーリ５６に掛け渡され、モータ５５
の駆動によってベルト５４が回転することでシート束押
出部材５０が各分配ビン４毎にガイド孔２８内で降動す
る。また、基部５８には上下方向に延びる長いガイド棒
５７が嵌まる矩形状の中空部５９が形成されている。

【００２９】本体５２の上面には、前側下方に向かう傾
斜面６０が中央部に形成されている他、係合部材５３
ａ，５３ｂの上方には内側に向かって傾斜する庇部６１
ａ，６１ｂが形成されている。一方、係合部材５３ａ，
５３ｂにはガイド孔２８の両側縁部２８ａ，２８ｂに係
合する凹溝６２ａ，６２ｂが形成されており、この凹溝
６２ａ，６２ｂがガイド孔２８の両側縁部２８ａ，２８
ｂに規制されながらスライドすることで、シート束押出
部材５０をガイド孔２８に沿って進退動させることがで
きる。なお、図６及び図７に示したように、上記ガイド
孔２８の両側縁部２８ａ，２８ｂは、集積されたシート
２がガイド孔２８内に垂れ下がるのを抑えるために周縁
に沿って斜めに立ち上がり、分配ビン４の平面より高い
面を形成している。このように、側縁部２８ａ，２８ｂ
を高くし、シート２を強制的に持ち上げることでシート
２に腰が付き、垂れ下がりが抑えられて下方の分配ビン
４に悪影響を与えない他、シート束の押し出し時にも垂
れ下がりシートによるトラブルの発生を未然に防ぐこと
ができる。また、多少の垂れ下がりに対してはシート束
押出部材５０の本体５２の下面５２ａをガイド孔２８の
側縁部２８ａ，２８ｂより低い位置、望ましくは分配ビ
ン４の平面と同じ位置に設定することで、垂れ下がりシ
ートに対する押し出しが確実になる。更に、この実施例
では、前記本体５２の上面５２ｂを上方の分配ビン４の
下面とほぼ同一高さに設定してある。こうすることで、
シート束押出部材５０の移動時に本体５２の上面５２ｂ
と上方の分配ビン４の下面との間に隙間が無くなり、押
し残しのシート２を生じさせることがない。

【００３０】図６及び図８に示したように、上記係合部
材５３ａ，５３ｂの押出面は、本体５２の押出面５１と
同一平面上に配置されており、押出面５１と一緒にシー
ト束を押す。係合部材５３ａ，５３ｂの後面には本体５
２の支持脚６３ａ，６３ｂに前後端が回転可能に支持さ
れた軸ピン６４が突設される。この軸ピン６４には本体
５２の２つの係止壁６５ａ，６５ｂに両端が係止された
コイルばね６６が巻かれている。コイルばね６６は係合
部材５３ａ，５３ｂを常時外向きの回転方向に付勢して
いる。また、軸ピン６４にはストッパ片６７が突設され
ており、前記一方の係止壁６５ａに当てることで外向き
の回転を規制し、所定の姿勢を確保している。なお、図
１０に示したように、本体５２の横幅Ｗ１はガイド孔２
８の左右方向の開口幅Ｗ２よりも狭くなっている。前記
案内レール４１は、図示しない駆動機構により鉛直方向
に立った状態を維持したままガイド孔２８に沿って水平
方向に進退駆動されるようになっている。シート束押出
部材５０は、案内レール４１の水平移動に伴って水平移
動を行ない、これによりシート束の押し出し動作が行な
われる。

【００３１】次に、上記構成からなるシート束押出部材
５０の作用を図６、図９及び図１０に基づいて説明す
る。シート束押出部材５０は、上記案内レール４１が記
録済みシート２を整合させるための整合部材として機能
する時には、ガイド孔２８を外れた位置で整合作用を妨
げない位置まで案内レール４１に沿って下降または上昇
している。そして、図９（イ）に示したように、案内レ
ール４１でシート２の排出側先端部２ａを押し、シート
２の受容側端部２ｂを分配ビンの縦壁４ａに押し当てて
整合したのち、シート束押出部材５０が案内レール４１
に沿って所定の高さ位置まで移動する。また、これと同
時にステープルユニット７０がシート束押出部材５０と
同じ高さ位置まで移動する。そして、ステープルユニッ
ト７０の一側端に配置されている縦壁開閉手段７１のレ
バー７２が延びて縦壁４ａに設けられた把手７３に引っ
掛け、その状態でステープルユニット７０を僅かに下げ
て縦壁４ａを昇降通路側に倒す。

【００３２】このような状態において、案内レール４１
が図６に示した位置からガイド孔２８に沿って受容端側
に向かって移動を開始すると、シート束押出部材５０
は、係合部材５３ａ，５３ｂの凹溝６２ａ，６２ｂがガ
イド孔２８の両側縁部２８ａ，２８ｂに係合（接触）し
た状態で案内レール４１と一体となってスライドする。
そして、図９（ロ）に示したように、シート束押出部材
５０の押出面５１でシート束の排出側先端部２ａを押し
出し、そのままシート束をステープラ７に向かって昇降
通路側に押し出して、シートの受容側端部２ｂをステー
プラ７に挿入して束ねる。

【００３３】押出動作が終了したのち、シート束押出装
置５０は、ガイド孔２８から完全に抜ける位置まで後退
することなく、図９（イ）に示した整合位置まで下が
り、その状態で一つ下段の分配ビン４に下降する。図１
０はシート束押出装置５０が押出動作を終了した分配ビ
ン４から一つ下の分配ビン４’上に移る様子を示したも
のである。（イ）に示した状態はシート束押出装置５０
の係合部材５３ａ，５３ｂがガイド孔２８の両側縁部２
８ａ，２８ｂに係合している状態を示す。この状態から
シート束押出装置５０が案内レール４１に沿って僅かに
下降すると係合部材５３ａ，５３ｂはコイルバネ６６の
弾性力に抗して内側に回転し、（ロ）に示したように、
凹溝６２ａ，６２ｂと両側縁部２８ａ，２８ｂとの係合
が解除される。係合が解除された係合部材５３ａ，５３
ｂはガイド孔２８内に退避し、それと一緒に本体５２も
ガイド孔２８をすり抜けてそのまま下段の分配ビン４’
上に達する。（ハ）に示したように、下段の分配ビン
４’上に達する前に、係合部材５３ａ，５３ｂはコイル
バネ６６の弾性復帰によって外側に回転し、姿勢を戻し
て再び凹溝６２ａ，６２ｂがガイド孔２８の両側縁部２
８ａ，２８ｂに係合するので、その位置からシート束の
押出動作に移ることができる。

【００３４】このように、この実施例ではシート束押出
装置５０を順次下降させて分配ビン４上で整合されたシ
ート束を押し出す場合に、シート束押出装置５０を素早
く移動させて、次の押し出し動作に移ることができる。
なお、上記の説明は後処理手段がステープラ７によるも
のであるが、後処理装置をパンチング装置とした場合に
も上記と同様の一連の動作でシートの移動およびシート
移動部材の移動を行なうことができる。また、上記実施
例では、シート束押出部材５０を案内レール４１に沿っ
て下降移動させることで、ガイド孔２８の両側縁部２８
ａ，２８ｂと係合部材５３ａ，５３ｂとの係合を解除し
ているが、シート束押出部材５０の移動時にソレノイド
等の駆動手段を用いて係合部材５３ａ，５３ｂを回転さ
せ、あるいは内側にスライドさせて強制的に係合を解除
することも可能である。更に上記実施例では、上下方向
に配列された固定の分配ビン４に対してシート束押出部
材５０が移動する場合について説明したが、逆にシート
束押出部材５０の上下方向の移動を拘束し、分配ビン４
の方を移動させても良い。また、上記実施例では分配ビ
ン４上に集積されたシート束をシート押出部材５０で押
し出す場合について説明したが、シート又はシート束を
移動させるものであれば、上記の押出機構には限定され
ない。更にまた、分配ビン４が上下方向ではなく左右方
向に配列される場合には、シート移動機構は分配ビン４
に横方向に集積されたシートの画像形成面を貫通するほ
ぼ水平方向に移動する構成となる。

【００３５】図１１及び図１２は、インデクサ６に設け
られたシート２の後端検出センサ８０ａ，８０ｂと、修
正ローラ８１を示したものである。後端検出センサ８０
ａ，８０ｂはインデクサ６の下部カバー６ａに左右方向
に一対配設されており、下部カバー６ａの斜面を滑り落
ちるシート２の左右後端をそれぞれ検出し、その時の検
出時間ずれからシート２の曲がり度を演算し、ずれ時間
が予め設定した許容時間を越えているときに、図示しな
いモータ、ソレノイド等の駆動手段によりその前方に位
置する修正ローラ８１を作用させる。一方、修正ローラ
８１は、インデクサ６の下部カバー６ａに設けられた滑
りローラ８２と、この滑りローラ８２の上方位置でイン
デクサ６の上部カバー６ｂに設けられたノコ歯状ローラ
８３とで構成される。ノコ歯状ローラ８３は、回転軸８
４を中心にして上下方向に回動可能であり、常時は滑り
ローラ８２とは離間した所に位置し、インデクサ６から
の自然落下のみでシート２を分配ビン４に放出する一
方、前記後端検出センサ８０ａ，８０ｂによって左右の
ずれ時間が許容を越えた時には、ノコ歯状ローラ８３が
下方に回動して滑りローラ８２と接し、次のシート２を
両方のローラ８２，８３間に挟み込んで強制的に分配ビ
ン４に送り込むようにし、シート２が曲がった状態で分
配ビン４上に集積されるのを極力避けて、シート整合が
スムーズに行えるようにする。なお、上記ノコ歯状ロー
ラ８３には表面に粘着性を有するクリーンローラ８５が
摺接され、ノコ歯に付いたシート２の紙粉を取り除くよ
うにしている。なお、クリーンローラ８５は支持枠８６
に着脱可能に支承されている。なお、上記の実施例にお
いては、シート２の曲がり度を検知した場合、操作パネ
ル上に案内表示して操作者が手動で修正ローラ８１を作
用させてもよい。

【００３６】

【発明の効果】以上説明したように、本発明に係るシー
ト分配装置によれば、シート押出部材で一つの分配ビン
のシートを後処理装置側に押し出した後、次の分配ビン
のシートの押し出しを行なう際、シート押出部材を分配
ビンのガイド部を抜ける位置まで後退させることなく、
シート押出部材の係合部とガイド部との係合をガイド部
内で解除してシート押出部材を次の分配ビンまで昇降移
動でき、シート押出部材の水平移動距離を短縮すること
ができる。したがって、多数段の分配ビンに集積された
シートを移動させるのにかかる作業時間を大幅に短縮す
ることが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るシート分配装置の一実施形態を画
像形成装置に接続した状態の概略側面図である。

【図２】図１のシート分配装置の内部構造を透視的に示
す概略側面図である。

【図３】搬送手段の屈曲部近傍の側面図である。

【図４】搬送手段の屈曲部近傍の分解斜視図である。

【図５】上記シート分配装置における分配ビンの平面図
である。

【図６】本発明の要部を示す拡大斜視図である。

【図７】分配ビンに形成されたガイド孔の側縁部の立ち
上がりを示す拡大図である。

【図８】係合部材の取付構造を示す側面図である。

【図９】シート束押出部材の作用を示す概念図である。

【図１０】シート束押出部材が移動する際の係合部材の
動きを示す説明図である。

【図１１】インデクサに設けられたシートの傾き修正装
置の一実施例を示す斜視図である。

【図１２】上記図１１の傾き修正装置の拡大側面図であ
る。

【符号の説明】

１ 画像形成装置 ２ シート ４ 分配ビン ５ シート搬送装置 ６ インデクサ ７ ステープラ（後処理装置） ２８ ガイド孔（ガイド部） ４１ 案内レール ５０ シート束押出部材（シート押出部材） ５３ａ 係合部材（係合部） ５３ｂ 係合部材（係合部）

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 画像形成装置から排出されたシートが分
   配収納される複数の分配ビンと、前記各分配ビンに収納
   されたシートに後処理を施す後処理手段と、前記複数の
   分配ビンに沿って昇降駆動可能に設けられ、且つ前記各
   分配ビンに沿って進退駆動可能とされて前記各分配ビン
   に収納されたシートを前記後処理手段側に押し出すシー
   ト押出部材とを備え、 前記各分配ビンには前記シート押出部材を前記各分配ビ
   ンに沿って進退駆動可能とするガイド部が形成される一
   方、前記シート押出部材は前記分配ビンの前記ガイド部
   に当接する係合部を有してなるシート分配装置におい
   て、 前記シート押出部材の係合部が、前記分配ビンの前記ガ
   イド部との係合を解除する方向に移動可能であることを
   特徴とするシート分配装置。
2. 【請求項２】 前記シート押出部材の係合部は、シート
   の押し出し方向と平行な軸線周りに回動可能に設けら
   れ、且つ前記分配ビンのガイド部の上部に当接する向き
   に付勢された部材からなることを特徴とする請求項１記
   載のシート分配装置。
3. 【請求項３】 前記分配ビンのガイド部は前記分配ビン
   の中央部に帯状に形成される一方、前記シート押出部材
   の係合部は前記ガイド部の両側の縁部にそれぞれ対向し
   て一つずつ設けられていることを特徴とする請求項１又
   は２記載のシート分配装置。
4. 【請求項４】 前記後処理手段は、ステープラ又はパン
   チング装置であることを特徴とする請求項１記載のシー
   ト分配装置。