JPH1030862A - 空調装置用膨張弁 - Google Patents

空調装置用膨張弁

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JPH1030862A
JPH1030862A JP8187290A JP18729096A JPH1030862A JP H1030862 A JPH1030862 A JP H1030862A JP 8187290 A JP8187290 A JP 8187290A JP 18729096 A JP18729096 A JP 18729096A JP H1030862 A JPH1030862 A JP H1030862A
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pressure side
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Jiyunya Washitari
純哉 鷲足
Mutsuo Sugizaki
六雄 杉崎
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    • F25REFRIGERATION OR COOLING; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS; MANUFACTURE OR STORAGE OF ICE; LIQUEFACTION SOLIDIFICATION OF GASES
    • F25BREFRIGERATION MACHINES, PLANTS OR SYSTEMS; COMBINED HEATING AND REFRIGERATION SYSTEMS; HEAT PUMP SYSTEMS
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    • F25B2500/01Geometry problems, e.g. for reducing size

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Abstract

(57)【要約】 【課題】一端を該高圧側通路に同軸に連通させたオリフ
ィスの他端を連通させた低圧側通路が、該オリフィスの
軸線と直交する方向に延設され、オリフィスの一端の開
口面積を調整可能として高圧側通路に収納される弁体
に、オリフィスを同軸に貫通する作動棒が連接される空
調装置用膨張弁において、設計自由度を増大するととも
に加工上有利とした構成で、騒音の発生を抑制する。 【解決手段】オリフィス15が、その直径dを軸方向に
沿うほぼ全長にわたって同一とした単純な円形孔に形成
され、オリフィス15の直径d、オリフィス15の長さ
L、ならびに高圧側通路12の直径Dが、0.3≦d/
D≦0.5、0.15≦L/d≦0.35の関係を満足
するように設定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両用空調装置等
の冷凍サイクルで用いられる空調装置用膨張弁に関し、
特に、高圧側通路と、一端を該高圧側通路に同軸に連通
させたオリフィスと、該オリフィスの他端を連通させて
オリフィスの軸線と直交する方向に延びる低圧側通路と
が弁本体に設けられ、前記オリフィスの一端の開口面積
を調整可能として高圧側通路に収納される弁体に、軸方
向の往復動を可能としてオリフィスを同軸に貫通する作
動棒が連接される空調装置用膨張弁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、かかる空調装置用膨張弁は、たと
えば特開平1−291076号公報等により知られてい
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
膨張弁では、次の〜を原因とした騒音発生の可能性
がある。 冷媒がオリフィスを通過するときの気泡発生、消滅に
伴なうパルス発生音 冷媒がオリフィスを通過した後の気泡衝突、攪乱に伴
なう流動音およびキャビテーション音 冷媒のオリフィス通過時、通過後の弁体および作動棒
の振動音 上記〜に起因した弁本体の振動、共鳴音 そこで、上記公報で開示された先行技術では、そのよう
な騒音の発生を防止するために、オリフィスが、高圧側
通路に連なる円形の弁口と、該弁口から低圧側通路に向
かうにつれて大径となるテーパ部とで形成され、オリフ
ィスの全長をL、弁口の直径をdとしたときに、L/d
が0.25以下となるように設定されている。かかる構
成によれば、テーパ部により、オリフィスから低圧側通
路への冷媒流通に伴なう気泡の衝突、攪乱が抑制され、
0.25以下にL/dが設定されることにより、オリフ
ィス内での冷媒流通に伴なう気泡の発生・消滅が抑制さ
れ、気泡の衝突、攪乱抑制ならびに気泡の発生・消滅抑
制によって弁体および作動棒の振動が抑制され、結果と
して騒音の発生が防止される。
【0004】ところが、上述のようにL/dが0.25
以下の比較的小さい値に設定されるので設計自由度が狭
くなり、また高圧側通路が深穴でしかも通路径が小さい
場合には、テーパ部の加工が面倒であり、加工精度も劣
ったものとなる。さらにオリフィスの直径dを従来通り
の値(1.8〜2.8mm)とした場合には、オリフィ
スの長さLが極端に小さく(L≦0.45〜0.7m
m)なり、弁本体にオリフィスを形成することが難し
く、特にテーパ部を有したオリフィスの形成が困難とな
るだけでなく、オリフィスを形成した部分での弁本体の
剛性が不足し、却って振動騒音発生の要因となる。
【0005】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであり、上記設計自由度および加工上の問題を解決し
た上で、騒音の発生を抑制し得るようにした空調装置用
膨張弁を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、オリフィスが、その直径dを軸方向に
沿うほぼ全長にわたって同一とした単純な円形孔に形成
され、前記オリフィスの直径d、該オリフィスの長さ
L、ならびに高圧側通路の直径Dが、 0.3≦d/D≦0.5 0.15≦L/d≦0.35 の関係を満足するように設定される。
【0007】かかる構成によれば、オリフィスが単純な
円形孔であることにより、高圧側通路が深穴でしかも通
路径が小さい場合でも、オリフィスの穿孔加工が容易で
ある。また0.3≦d/Dと設定されることにより、オ
リフィスの直径を比較的大きくして、高圧側通路からオ
リフィスを経て低圧側通路に冷媒が流通するときの流速
変化すなわち圧力変化を抑え、気泡の衝突、攪乱を抑制
することができ、d/D≦0.5と設定されることによ
り、オリフィスによる絞り効果の低下を回避して冷凍装
置で必要とされる冷凍能力を保持することができる。し
かも0.15≦L/d≦0.35と設定されることによ
り、オリフィス内での冷媒流通に伴なう気泡の発生・消
滅を抑制しつつ設計自由度を従来よりも大きくすること
が可能となり、0.3≦d/D≦0.5の設定と相まっ
て、オリフィスLの長さを比較的大きくすることを可能
とし、オリフィスの加工を比較的容易とすることができ
るとともに、オリフィスの部分での弁本体の剛性向上を
図ることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、添
付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0009】図1ないし図6は本発明の第1実施例を示
すものであり、図1は本発明を適用した車両用空調装置
の構成を示す系統図、図2は膨張弁の縦断面図、図3は
図2の要部拡大図、図4はd/DおよびL/dによる音
圧レベルの変化を示す図、図5はd/Dによる冷凍性能
変化を示す図、図6は冷媒流量に応じた音圧レベルを示
す図である。
【0010】先ず図1において、この車両用空調装置
は、エバポレータ5と、圧縮機6と、コンデンサ7と、
レシーバタンク8と、膨張弁9とが、この順に閉回路を
なすように接続されて成るものであり、この空調装置に
おいて、圧縮機6から吐出される高圧の冷媒ガスは、コ
ンデンサ7を通過する間に凝縮して液状となり、レシー
バタンク8内に導入される。このレシーバタンク8から
は冷房負荷に応じた量の液状冷媒が膨張弁9に送られ、
この膨張弁9で急激に膨張させられることにより低温、
低圧の湿りガスとなった冷媒は、エバポレータ5におい
て放冷することにより蒸発し、低圧の乾きガスすなわち
過熱ガスとなった冷媒が圧縮機6に戻ることになる。
【0011】図2を併せて参照して、膨張弁9の弁本体
10には、レシーバタンク8の出口に接続された管路1
1に通じる高圧側通路12と、エバポレータ5の入口に
接続された管路13に通じる低圧側通路14と、高圧側
通路12および低圧側通路14間を結ぶオリフィス15
とが設けられる。高圧側通路12は、外端を管路11に
接続させる深穴状に形成されており、外端を管路13に
接続させる低圧側通路14は、高圧側通路12の軸線延
長線に直交する軸線を有するとともに内端を閉じるよう
にして形成される。オリフィス15は、そのほぼ全長に
わたって同径である単純な円形孔に形成されるものであ
り、一端を高圧側通路12の内端に同軸に連通させると
ともに他端を低圧側通路14の内端部に直角に連通させ
るようにして弁本体10に穿設される。
【0012】高圧側通路12には、オリフィス15の一
端の開口面積を調整する球状の弁体16が収納されてお
り、該弁体16が固着されたリテーナ171 と、高圧側
通路12の中間部に進退自在に螺合されたリング状の調
節部材18との間に、コイルばね191 が設けられ、該
コイルばね191 のばね力により弁体16はオリフィス
15の一端側開口面積を絞る方向にばね付勢され、コイ
ルばね191 のばね力は調節部材18の進退位置を調整
することにより調節可能である。
【0013】コイルばね191 は、その最大外径が球状
の弁体16の直径よりも大となる線形のものである。ま
たリテーナ171 は、その最大外径がコイルばね191
の最大外径よりも大きくなるように形成されるものであ
り、該リテーナ171 の外周と高圧側通路14の内面と
の間に、環状の流路201 が形成される。
【0014】而してレシーバタンク8から管路11を介
して高圧側通路12に送られた液状の冷媒は、流路20
1 、弁体16およびオリフィス15の一端間に形成され
る環状の間隙21、ならびにオリフィス15を経て低圧
側通路14に流通することにより急激に膨張せしめら
れ、それにより低温、低圧の湿りガスとなった冷媒が低
圧側通路14から管路13を経てエバポレータ5に送ら
れる。
【0015】弁体16には、軸方向の往復動を可能とし
てオリフィス15を同軸に貫通する作動棒22の一端が
連接されており、該作動棒22の他端は、弁駆動機構2
3に連結される。
【0016】弁駆動機構23は、第1および第2ケース
半体24,25が相互に結合されて成るケース26を備
え、該ケース26の第2ケース半体25が弁本体10に
結合される。第1および第2ケース半体24,25の結
合面間にはダイヤフラム27の周縁部が挟持されてお
り、該ダイヤフラム27によってケース26内は、第1
ケース半体24側の第1圧力室28と、第2ケース半体
25および弁本体10側の第2圧力室29とに区画され
る。
【0017】第1ケース半体24には、第1圧力室28
に通じるキャピラリーチューブ31の一端が接続されて
おり、該キャピラリーチューブ31の他端には、エバポ
レータ5および圧縮機6間を結ぶ管路33の温度すなわ
ちエバポレータ5の出口における冷媒温度を感知するた
めの感熱筒32が接続され、第1圧力室28、キャピラ
リーチューブ31および感熱筒32には前記冷媒と同じ
ガスが封入される。したがって、第1圧力室28の圧力
は、エバポレータ5の出口における冷媒温度に応じて前
記ガスが膨張・収縮することにより変化する。
【0018】一方、弁本体10には第2圧力室29に通
じる通路34が設けられており、この通路34に一端が
接続された均圧管35の他端が、前記管路33の中間部
に接続される。したがって第2圧力室29には、エバポ
レータ5の出口における冷媒圧力が均圧管35および通
路34を介して作用することになる。
【0019】弁本体10において、低圧側通路14と、
弁駆動機構23における第2圧力室29との間には、低
圧側通路14側から順に、一端を低圧側通路14に開口
させる小径孔36と、小径孔36の他端に連なる中径孔
37と、中径孔37の他端に連なる大径孔38とが、オ
リフィス15と同軸にして設けられており、大径孔38
にはガイド部材39が圧入される。
【0020】一端を弁体16に連接させる作動棒22
は、小径孔36および中径孔37を軸方向移動自在に貫
通してガイド部材39に摺動自在に嵌合され、第2圧力
室29内でダイヤフラム27の中央部に固定された作動
板30に、作動棒22の他端が接続される。
【0021】中径孔37内には、該中径孔37および小
径孔36間の段部で受けられるようにして環状のシール
部材40が収納されており、該シール部材40に接触す
るリング状のワッシャ41とガイド部材39との間にば
ね42が設けられる。該ばね42のばね力により、シー
ル部材40が作動棒22の外面に密接するように圧縮さ
れ、これにより低圧側通路14および第2圧力室29間
のシールが果たされる。
【0022】このような弁駆動機構23によれば、エバ
ポレータ5の出口での冷媒の温度に応じて変化する第1
圧力室28の圧力によって第1圧力室28の容積を増大
する側にダイヤフラム27を付勢する力と、エバポレー
タ5の出口での冷媒圧力が作用する第2圧力室29の圧
力ならびにコイルばね191 のばね力によって第2圧力
室29の容積を増大する側にダイヤフラム27を付勢す
る力との差に応じて、ダイヤフラム27が変位し、その
ダイヤフラム27の変位に応じて作動棒22が弁体16
を開閉作動せしめることになる。
【0023】かかる膨張弁9において、騒音発生を抑制
するために、図3で示すように、オリフィス15の直径
をd、オリフィス15の長さをL、高圧側通路12の直
径をDとしたときに、 0.3≦d/D≦0.5 0.15≦L/d≦0.35 の関係が成立するように、前記直径d,Dおよび長さL
が設定される。
【0024】このような直径d,Dおよび長さLの関係
は、本発明者の実験により定められたものであり、d/
DおよびL/dを変化させたときに膨張弁9を音源とす
る押圧レベルの変化が図4で示される。この図4によれ
ば、d/Dが大きくなる程音圧レベルが小さくなるが、
d/D=0.3付近までは音圧レベルの変化が急激であ
って、0.3≦d/Dで音圧レベルが安定化することで
あり、これによりd/Dの下限値が0.3に定められ
る。
【0025】またd/Dが大きくなる程、L/dの変化
に伴なう音圧レベルの変化が大きくなり、d/Dおよび
L/dの相乗効果が大きいことが図4で明らかである。
さらにL/dが小さくなる程、音圧レベルが小さくなる
ものであり、0.35≦L/dでは目標音圧レベル55
dBを超える音圧レベルとなり、しかもd/Dとの相乗
効果が比較的小さくなる。したがって目標音圧レベル5
5dB以下の音圧レベルとなり、しかも0.3≦d/D
の領域で大きな相乗効果が得られるように、L/dの上
限値が0.35に定められる。
【0026】ところで、音圧レベルを低下せしめるには
d/Dを大きく設定すればよいのであるが、d/Dが大
き過ぎると、オリフィス15の絞り効果が低減し、エパ
ポレータ5での蒸発量、ひいては冷凍能力が低下するも
のであり、本発明者の実験によると、図5で示すよう
に、d/Dが0.5以上になると冷凍能力が急激に低下
するものであり、d/Dの上限値が0.5に設定され
る。
【0027】さらにL/dの下限値は、製造上および強
度・剛性上の観点から定められる。すなわち、オリフィ
ス15の長さLの製造限界は、0.5〜0.7mm程度
であり、長さLが0.5〜0.7mm以下になると、オ
リフィス15の部分で弁本体10の強度・剛性が低下
し、却って振動騒音の要因となるものである。そこで、
実際に用いられるオリフィス15の直径dを基準として
L/dの下限値が定められることになるが、この直径d
は次のようなことを考慮して定められる。
【0028】すなわち、オリフィス15の長さLが充分
に短く、かつ直径dも比較的大きいものの絞り効果を得
るには充分小さい値である場合には、膨張弁9での絞り
量が、オリフィス15の直径dよりも、弁体16および
オリフィス15の一端間に形成される環状の間隙21の
面積、したがって球状である弁体16の直径とオリフィ
ス15の直径dとの兼ね合いによって定まるものであ
る。一方、オリフィス15の直径dは、高圧側通路12
→オリフィス15→低圧側通路14での冷媒の流速変化
を小さくするためには比較的大きくてよいが、大きくし
過ぎると弁体16の直径が大きくなり、高圧側通路12
の直径Dを大きくせざるを得ず、弁本体10の大型化に
つながることになる。そこで、空調装置用の膨張弁9と
して、オリフィス15の直径dが最大で3.2mm程度
に設定される。
【0029】このように実際に用いられるオリフィス1
5の直径dの最大値が3.2mm程度であり、オリフィ
ス15の長さLの下限値0.5〜0.7mm程度である
ことに基づくと、L/dの下限値は、0.5/3.2=
0.156となるものであり、多少の余裕をみてL/d
の下限値が0.15に設定される。
【0030】ところで、低圧側通路14の直径D′は、
膨張弁9での絞り効果および流動抵抗減少の観点から
は、大きい方が望ましく、D′/D≧1であるものも従
来から存在する。しかるに、高圧側通路12→オリフィ
ス15→低圧側通路14と流通する冷媒のオリフィス1
5前後での流速変化(圧力変化)を緩やかにするために
は、低圧側通路14での流動抵抗が増大しない程度に
D′を小さくすることが望ましく、d/D′≧0.5と
設定することにより、流動抵抗の増大を抑えつつ圧力変
化を緩やかにすることが可能となる。
【0031】次にこの第1実施例の作用について説明す
ると、オリフィス15が、その直径dをほぼ全長にわた
って均等とした単純な円形孔に形成されることにより、
高圧側通路12が深穴でしかもその直径Dが比較的小さ
い場合でも、テーパ部を有した先行技術(特開平1−1
−291076号公報)のオリフィス形状に比べて、オ
リフィス15の穿孔加工が容易である。
【0032】また0.3≦d/Dと設定されることによ
り、オリフィス15の直径dを比較的大きくして、高圧
側通路12からオリフィス15を経て低圧側通路14に
冷媒が流通するときの流速変化すなわち圧力変化を抑
え、気泡の衝突、攪乱を抑制することができる。これに
加えて、d/D′≧0.5と設定することにより、低圧
側通路14での流動抵抗の増大を抑えつつ圧力変化をよ
り一層緩やかにし、気泡の衝突、攪乱抑制効果をより一
層向上することができる。
【0033】またd/D≦0.5と設定されることによ
り、オリフィス15による絞り効果の低下を回避して空
調装置で必要とされる冷凍能力を保持することができ
る。
【0034】しかも0.15≦L/d≦0.35と設定
されることにより、オリフィス内での冷媒流通に伴なう
気泡の発生・消滅を抑制しつつ、先行技術(特開平1−
1−291076号公報)の膨張弁でL/d≦0.25
と設定されていたのに比べて、設計自由度を大きくする
ことが可能となり、0.3≦d/D≦0.5の設定と相
まって、オリフィスLの長さを比較的大きくすることを
可能とし、オリフィス15の加工を比較的容易とするこ
とができるとともに、オリフィス15の部分での弁本体
10の剛性向上を図ることができる。
【0035】このようにして、0.3≦d/D≦0.
5、0.15≦L/d≦0.35と設定されることによ
り、L/dが0.25以下であってオリフィスにテーパ
部が設けられていた先行技術の問題点を解消した上で、
冷媒がオリフィス15を通過するときの気泡発生、消滅
に伴なうパルス発生音、ならびに冷媒がオリフィス15
を通過した後の気泡衝突、攪乱に伴なう流動音およびキ
ャビテーション音の発生を抑制して、弁体16および作
動棒22の振動音発生の要因発生を抑制することにより
弁本体10の振動、共鳴音の発生を極力防止することが
できる。
【0036】ところで、上述のように、0.3≦d/D
と設定されることにより、先行技術で必要とされていた
テーパ部を不要とすることができるのであるが、オリフ
ィス15の穿孔加工に伴なうバリの除去や、オリフィス
15の一端縁の弁体16との全周にわたる密接を可能と
するための面取り加工を排除するものではない。しかる
に、面取り部によってオリフィス15の内面の冷媒との
接触面積が増大し、実質的に長さLが増大し、またオリ
フィス15の一端縁での面取り部は、弁体16の直径増
大につながって開度調整の精密度を低下させるおそれが
あるので、面取り加工を施す場合には、その面取り部が
まるみを有するときにはR0.2mm以下、面取り部が
テーパ状であるときにはC0.2mm以下であることが
望ましい。
【0037】ここで、本発明に従って0.3≦d/D≦
0.5、0.15≦L/d≦0.35と設定したもの
と、そのような寸法設定にこだわらない従来のものとに
ついて、騒音発生の実験をした結果を示すと、表1のよ
うになる。
【0038】
【表1】
【0039】また表1でNO.1で示した本発明のもの
と、NO.6で示した従来のものとの冷媒流量に応じた
音圧レベルを示すと、図6のようになり、本発明のもの
が55dB以下の良好な音圧レベルであったのに対し、
従来のものは55dBを超える音圧レベルとなり、本発
明に従って構成された冷媒膨張弁によれば、騒音を著し
く低減し得ることが明らかである。
【0040】図7は本発明の第2実施例を示すものであ
り、上記第1実施例に対応する部分には同一の参照符号
を付す。
【0041】高圧側通路12に収納された球状の弁体1
6はリテーナ172 に固着され、高圧側通路12の中間
部に螺合された調節部材18とリテーナ172 との間
に、リテーナ172 側を小径とした非線形のコイルばね
192 が設けられる。
【0042】この第2実施例によれば、最大外径を弁体
16の直径よりも大とした線形のコイルばね191 を用
いた第1実施例に比べて、リテーナ172 の最大外径を
小さくすることができ、それに応じてリテーナ172
外周と高圧側通路14の内面との間に形成される環状の
流路202 の流通面積を大きくすることができる。した
がって、高圧側通路12の直径Dを第1実施例のものよ
りも小さくすることが可能であり、オリフィス15の直
径dを小さくしても0.3≦d/D≦0.5を満足する
ことが可能であるとともに、弁体16の直径を小さくす
ることも可能であり、設計の自由度をより大きくするこ
とが可能となるとともに、d/Dをより上限側に設定可
能となることから騒音低減効果をより高めることができ
る。
【0043】以上、本発明の実施例を詳述したが、本発
明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の
範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計
変更を行なうことが可能である。
【0044】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、オリフィ
スが、その直径dを軸方向に沿うほぼ全長にわたって同
一とした単純な円形孔に形成されることにより、高圧側
通路が深穴でしかも通路径が小さくてもオリフィスの穿
孔加工を容易とすることが可能となる。
【0045】またオリフィスの直径d、該オリフィスの
長さL、ならびに高圧側通路の直径Dが、0.3≦d/
D≦0.5、0.15≦L/d≦0.35の関係を満足
するように設定されることにより、単純な円形形状のオ
リフィスであるにもかかわらず、膨張弁での絞り効果を
充分に発揮しつつ高圧側通路からオリフィスを経て低圧
側通路に冷媒が流通するときの流速変化すなわち圧力変
化を抑えて気泡の衝突、攪乱を抑制するとともに、オリ
フィス内での冷媒流通に伴なう気泡の発生・消滅を抑制
しつつ設計自由度を従来よりも大きくすることが可能と
なり、オリフィスの加工を容易とするとともにオリフィ
スの部分での弁本体の剛性向上を図った上で、騒音の発
生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した車両用空調装置の構成を示す
系統図である。
【図2】膨張弁の縦断面図である。
【図3】図2の要部拡大図である。
【図4】d/DおよびL/dによる音圧レベルの変化を
示す図である。
【図5】d/Dによる冷凍性能変化を示す図である。
【図6】冷媒流量に応じた音圧レベルを示す図である。
【図7】第2実施例の図2に対応した膨張弁の縦断面図
である。
【符号の説明】
9・・・膨張弁 10・・・弁本体 12・・・高圧側通路 14・・・低圧側通路 15・・・オリフィス 22・・・作動棒

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高圧側通路(12)と、一端を該高圧側
    通路(12)に同軸に連通させたオリフィス(15)
    と、該オリフィス(15)の他端を連通させてオリフィ
    ス(15)の軸線と直交する方向に延びる低圧側通路
    (14)とが弁本体(10)に設けられ、前記オリフィ
    ス(15)の一端の開口面積を調整可能として高圧側通
    路(12)に収納される弁体(16)に、軸方向の往復
    動を可能としてオリフィス(15)を同軸に貫通する作
    動棒(22)が連接される空調装置用膨張弁において、
    オリフィス(15)が、その直径dを軸方向に沿うほぼ
    全長にわたって同一とした単純な円形孔に形成され、前
    記オリフィス(15)の直径d、該オリフィス(15)
    の長さL、ならびに高圧側通路(12)の直径Dが、 0.3≦d/D≦0.5 0.15≦L/d≦0.35 の関係を満足するように設定されることを特徴とする空
    調装置用膨張弁。
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JP2012189193A (ja) * 2011-03-14 2012-10-04 Tgk Co Ltd 膨張弁

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