JPH10305553A - 孔版原紙の製版方法及び装置 - Google Patents

孔版原紙の製版方法及び装置

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JPH10305553A
JPH10305553A JP11370597A JP11370597A JPH10305553A JP H10305553 A JPH10305553 A JP H10305553A JP 11370597 A JP11370597 A JP 11370597A JP 11370597 A JP11370597 A JP 11370597A JP H10305553 A JPH10305553 A JP H10305553A
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pressure
fine
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fine particles
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耕一 内山
Mariko Goto
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 手軽で安価で、且つ書き手の意思に沿って手
書きの文字と同様に力加減によって濃淡が表現できるこ
と。 【解決手段】 製版装置7には、基体8上に微細凹凸面
10が形成されている。この微細凹凸面10上には硬質
の微細粒子が密に配されている。この微細粒子は粒径が
異なる複数のものがランダムに配されている。この製版
装置7の微細凹凸面10上には、孔版印刷用原紙3が重
ねられ、上部から鉛筆芯等で手書きされると、孔版印刷
用原紙はこの圧力が加わった部分の樹脂フィルムに微細
な切れ目が開く。小さな力では大きな粒径の微細粒子に
接する箇所が開孔され、大きな力では全ての微細粒子に
接する箇所が開孔される。中間の力では大きな粒径から
中間の粒径までの微細粒子に接する箇所が開孔される。
このように力加減によって樹脂フィルムに開く孔の数が
変化し濃度の差を表現できるようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、孔版原紙を手書き
等で加圧して製版する製版方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の鉄筆による孔版の製版方法は、高
品位の製版画像が得られるが、熟練を必要とすることか
ら、主流が熟練のいらないボールペン原紙に移行し、ボ
ールペン原紙もコピー機の出現などから、減少の一途を
辿り、特殊分野以外では今日見かけることもなくなって
来ている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、手書き
による製版は、このワープロ、パソコンの時代にあっ
て、逆に個性を発揮できることから見直されつつあり、
手軽な手書き製版手段が求められている。さらに、従来
の手書き製版は、階調を持たせるなどの技巧を行うには
高度な熟練を要するといった手軽さに欠ける問題点があ
った。
【0004】本発明は、手軽で安価で、且つ書き手の意
思に沿って手書きの文字と同様に力加減によって濃淡が
表現できる孔版原紙の製版方法及び装置を提供すること
を目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明の孔版原紙の製版装置は、請求項1記載のよ
うに、微細凹凸が形成されたシートと、薄状フィルムを
重ね合わせ、この薄状フィルムと前記シート間に圧力を
加えることにより上記薄状フィルムにその圧力に対応し
た形状で微細な切れ目が形成される孔版原紙の製版装置
であって、前記シートには少なくとも円の一部もしくは
円錐状の一部の形状の微細凹凸が形成されていることを
特徴としている。また、請求項2記載のように、前記微
細凹凸は、200メッシュパスから2000メッシュパ
スの粒径を有する微細粒子で構成することができる。ま
た、請求項3記載のように、前記微細凹凸は、500メ
ッシュパスから1000メッシュパスの粒径の微細粒子
が略均等に分散されたものとしてもよい。また、請求項
4記載のように、前記シートには、前記大きさの微細粒
子がランダムに配置されている構成としてもよい。
【0006】また、他の発明の製版装置は、請求項5記
載のように、微細凹凸が形成されたシートと、薄状フィ
ルムを重ね合わせ、この薄状フィルムと前記シート間に
圧力を加えることにより上記薄状フィルムにその圧力に
対応した形状で微細な孔が形成される孔版原紙の製版装
置であって、前記シートには少なくとも2種以上の異な
る高さを有する微細凹凸が形成されていることを特徴と
している。また、請求項6記載のように、前記微細凹凸
はエッチングにより形成してもよい。
【0007】また、請求項7記載のように、前記薄状フ
ィルムと前記シートを重合した状態で前記薄状フィルム
上から圧力を加える筆記機構を備えた構成とすることも
できる。
【0008】本発明の孔版原紙の製版方法は、請求項8
記載のように、少なくとも2種以上の粒径の微細凹凸を
有しているシートの該微細凹凸の形成面に、薄状フィル
ムを重ね合わせ、薄状フィルムと前記シート間に圧力を
加えることにより上記薄状フィルムにその圧力に対応し
た形状で微細な孔を形成させることを特徴としている。
また、他の方法は、請求項9記載のように、少なくとも
2種以上の高さの微細凹凸を有しているシートの該微細
凹凸の形成面に、薄状フィルムを重ね合わせ、薄状フィ
ルムと前記シート間に圧力を加えることにより上記薄状
フィルムにその圧力に対応した形状で微細な孔を形成さ
せることを特徴としている。
【0009】上記構成によれば、微細凹凸面には異なる
粒径の微細粒子が設けられており、この微細凹凸面と樹
脂フィルムとを重ねた状態で樹脂フィルムに対し所定の
圧力を加えると、この圧力に対応して樹脂フィルムに開
く切れ目の数が変化し濃度の差を表現することができる
ようになる。圧力が小さいと樹脂フィルムには大きな粒
径の微細粒子に接した箇所が切れ目状態で開孔する。ま
た、大きな圧力をかけると樹脂フィルムには全ての微細
粒子に接した箇所が開孔する。中間の圧力であれば、大
きな粒径及びこの圧力に対応した径の微細粒子によって
樹脂フィルムが開孔される。また、切れ目の大きさも変
化する。このように筆記圧力を変えることで、切れ目の
大きさと開く切れ目の数を変えることができ、これが濃
度の差となって表現できる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の製版装置の第1の実施の
形態を図1を用いて説明する。図1に示すように、孔版
印刷用原紙の組み立て体1は、所定の厚さと剛性を有す
る略矩形の枠体2を基体としている。枠体2の一方の面
には、孔版印刷用原紙3が貼り付けられている。孔版印
刷用原紙3は、インク通過性支持体4と、感熱性の樹脂
フィルム5を貼り合わせたものである。孔版印刷用原紙
3は、樹脂フィルム5の側を外側とし、インク通過性支
持体4を枠体2に貼り合わせてある。
【0011】インク通過性支持体4としては、多孔質の
合成繊維や天然繊維、又はこれら繊維の混紡の抄造紙、
各種織布、不織布等が用いられるが、これらのうちでは
和紙等の薄葉紙が好ましい。薄葉紙は、あまり密度が大
きいか、又は坪量が大きくなると、印刷時にインクの通
過が悪く、鮮明な印刷が不可能となる。逆に密度が小さ
いか、又は坪量が小さくなると、印刷時の耐刷性が小さ
くなる。このため、坪量としては5g/m2 〜25g/
2 が望ましい。
【0012】樹脂フィルム5としては、PET(ポリエ
チレンテレフタレート)が好ましい。その厚さは1.5
μm〜7μmの範囲が好ましく、更に好ましくは2μm
〜3μmの範囲で、本例では最適値の2μmである。上
記支持体4もしくは樹脂フィルム5には、必要に応じて
感圧発色剤が塗布されている。
【0013】枠体2の他方の面には、インク不通過性の
バックシート6が固定されている。バックシート6の外
形は枠体2と略同一である。バックシート6は、その一
短縁辺が、対応する枠体2の一短縁辺に一体とされてい
る。製版後、印刷のためにバックシート6を開いて枠体
2内部にインクを入れる。バックシート6を閉じればイ
ンクが外に漏れることはない。
【0014】図1に示すように、本例の製版装置7は、
矩形の基体8を有している。基体8の上面の外縁部に
は、保持枠9が設けられている。保持枠9の厚さ、即ち
基体8の上面から保持枠9の上面までの高さは、前記組
み立て体1の枠体2の厚さに略相当する。保持枠9の一
短辺の略中央には切り欠き9aが設けられている。保持
枠9の他短辺の上面には、前記組み立て体1のバックシ
ート6を一時的に保持する粘着保持部9bが設けられて
いる。又、基体8の上面には前記組み立て体1を保持す
る粘着部を設けてもよい。
【0015】図1に示すように、製版装置7において、
前記保持枠9の内部の前記基体8の上面には、微細凹凸
面10が形成されている。微細凹凸面10は、この実施
の形態では硬質の微細粒子が矩形の領域の内部の全面に
密に配された部分である。微細凹凸面10の形状及び寸
法は、前記組み立て体1における枠体2の内部の孔版印
刷用原紙3の形状及び寸法に略相当する。
【0016】図2は微細凹凸面10を示す拡大側断面図
である。基体10a上には糊、ホットメルト樹脂、溶剤
系の接着剤等の粘着性物質からなる粘着層10bがスク
リーン印刷法等によって塗布され、この上に複数の異な
る粒径の微細粒子10c〜10fを振りかけ、微細粒子
10c〜10fを粘着層10bの粘着性で基体10a上
に保持させる。各微細粒子10c〜10fはメッシュパ
スが#200〜#2000の範囲の粒径のものが好まし
い。本例では、最適値としてメッシュパスが#500〜
#1000の範囲の各異なる粒径のものを微細凹凸面1
0上に略均等に分散させてなる。
【0017】本例では、それぞれの粒径が4段階で異な
る微細粒子が用いられる。もっとも小さな微細粒子10
cは粒径が20〜25μm(メッシュパスでは#65
0)、その上の大きさの微細粒子10dは粒径が30〜
35μm(メッシュパスでは#450)、その上の大き
さの微細粒子10eは粒径が40〜45μm(メッシュ
パスでは#350)、最も大きい微細粒子10fは粒径
が50〜55μm(メッシュパスでは#280)のもの
が用いられる。微細粒子としては、ケイ素、酸化アルミ
ニウム、シリコンカーバイド、ダイヤモンド等を利用で
きる。これら微細粒子10c〜10f順次段階的に小さ
なメッシュのふるいにかけることにより、4段階の粒径
の微細粒子10c〜10fを得ることができる。
【0018】基体10aは、硬質の微細粒子10c〜1
0fを支えるため、ある程度の硬さがあり、後述する加
圧によっても容易には変形しないものが好ましく、ここ
では厚さ2mmの硬質ボール紙が用いられている。ま
た、上記微細凹凸面10は、上述したような微細粒子を
硬質の紙上に接着した構成以外のものでもよい。
【0019】製版においては、図3に示すように、前記
微細凹凸面10に、組み立て体1の孔版印刷用原紙3の
樹脂フィルム5の側を重ねる。そして図4に示すよう
に、前記保持枠9と前記微細凹凸面10の間に組み立て
体1の枠体2を固定保持させ、バックシート6を開いて
その上面の一縁辺側を粘着保持部9bに保持させる。
【0020】次に、図5に示すように、セラミックボー
ルチップを有するボールペン11等の圧力負荷手段によ
り、製版装置7の微細粒子面10上に重ねた孔版印刷用
原紙3のインク通過性支持体4の上に、製版しようとす
る所望の文字・画像等を描く。製版しようとしている文
字・画像はインク通過性支持体4の上に描かれるので、
直接視認することができる。孔版印刷用原紙3の樹脂フ
ィルム5は、インク通過性支持体4の上に描かれたパタ
ーンに対応したパターンで微細凹凸面10に向けた圧力
を受け、硬質の微細粒子の間に押し込まれる。これによ
って、孔版印刷用原紙3の樹脂フィルム5には、セラミ
ックボールチップを有するボールペン11でインク通過
性支持体4に描いた文字・画像に対応したパターンで多
数の微細な切れ目が形成される。上記微細な切れ目は上
記微細凹凸面10の微細粒子の形状と配置に対応し、そ
れぞれ独立した切れ目形状となり、かつランダムな配置
となるため、印刷した際に、独立した切れ目により裏移
りが少なく、ランダムな配置の切れ目によりモアレの影
響の少ない画像が得られることになる。
【0021】ここで、図6に示すのは、この製版時にお
ける圧力による印刷濃度の変化状態を示す図である。図
中横軸は圧力、縦軸は印刷濃度である。尚、鉛筆硬度は
2Hのものを用いた。図示のように、一般的にボールペ
ン11等の圧力負荷手段の圧力を高めるに従い印刷濃度
が濃くなっていくことが判る。
【0022】そして、本発明では、微細凹凸面10の微
細粒子はそれぞれの粒径が4段階で異なる微細粒子10
c〜10fが用いられているため、加えられる圧力が一
定であっても、この圧力が強ければ樹脂フィルム5に
は、微細粒子10c〜10f全てに接する箇所に切れ目
が形成されることになる。また、弱い力であれば、樹脂
フィルム5には、粒径の大きな微細粒子10fに接する
箇所に切れ目が形成されることになる。また、中間の力
であれば、樹脂フィルム5には、粒径の大きな微細粒子
10fとそれより小さな微細粒子10e(さらに10d
の場合もある)に接する箇所に切れ目が形成されること
になる。このように、製版時の圧力によって、開く切れ
目の数が変化し、これが濃度の差となって表現すること
ができるようになる。
【0023】製版が終了したら、組み立て体1を製版装
置7から取り外す。組み立て体1の枠体2内に所望の色
彩のインクを所望の位置に配置し、バックシート6を閉
める。この組み立て体1の樹脂フィルム5と印刷用紙を
密着させ、インクに圧力を加える。インクはインク通過
性支持体4と樹脂フィルム5の製版部を通過して印刷用
紙に転移し、製版のパターンに対応した印刷画像が印刷
用紙に形成される。
【0024】前記印刷工程においては、エマルジョンイ
ンクを使用するのが好ましい。また、使用するエマルジ
ョンインクの硬さは、スプレッドメータの1分値で20
〜50の範囲が好ましく、本例では最適値である30の
エマルジョンインクを使用した。
【0025】次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図7に示すように、本例の製版装置12は、矩形の基体
13を有している。基体13の上面には、微細凹凸面1
4が形成されている。微細凹凸面14は、前記第1実施
形態同様にそれぞれ異なる粒径を有する複数の微細粒子
10c〜10fで構成されている。この微細粒子10c
〜10fは、印刷しようとする所望のパターンを構成す
るように密に配されている。図7に示すように、本例で
は硬質の微細粒子10〜10fが密集した微細凹凸面1
4が文字「ABC」の形状に形成されている。微細凹凸
面14を構成する微細粒子の材質及び粒径の条件は第1
の例と同一である。
【0026】所望のパターンの微細凹凸面14を形成す
る方法を説明する。スクリーン印刷法等によって板・厚
紙等の基体13上に糊等の粘着性物質で所望の画像を印
刷する。その上に硬質の微細粒子を振りかけ、微細粒子
を粘着性物質の粘着性で基体13上に保持させる。次
に、粘着性物質で印刷された画像以外の部分に載った微
細粒子を基体13上から除去する。そして、粘着性物質
を乾燥させて硬化させれば、微細粒子の画像が形成され
る。
【0027】製版においては、図8に示すように、前記
微細凹凸面14に、孔版印刷用原紙3の樹脂フィルム5
の側を重ねる。そして図9に示すように、孔版印刷用原
紙3を重ねた製版装置12を一対のローラ15,15で
挟んで搬送し、孔版印刷用原紙3を製版装置12に押し
付ける。孔版印刷用原紙3の樹脂フィルム5は、所望の
形状に形成された微細凹凸面14の微細粒子の間に押し
込まれる。これによって、孔版印刷用原紙3の樹脂フィ
ルム5には、製版装置12に微細粒子で形成された文字
・画像に対応したパターンで多数の微細な孔が形成され
る。このとき原紙3に感圧発色剤が塗布されていると孔
の形成部分が圧力で発色し孔に対応した画像を視認する
ことができる。
【0028】製版が終了したら、孔版印刷用原紙3を製
版装置12から取り外し、製版済みの孔版印刷用原紙3
とエマルジョンインクを用いて孔版印刷を行う。印刷の
手順、エマルジョンインクの条件等は第1の例と同一で
ある。
【0029】本実施の形態においては、孔版印刷用原紙
3を製版装置12に押し付けて製版するために、一対の
ローラ15,15を用いた。この他、孔版印刷用原紙3
を製版装置12に押し付けるために、製版装置12に重
ねた孔版印刷用原紙3をバレンや一本のローラで擦って
もよい。また、第1の例のように、孔版印刷用原紙3の
微細凹凸面14に対応する部分乃至その近傍のみをボー
ルペン等で擦ってもよい。以上説明した各例において
は、インク通過性支持体4と樹脂フィルム5を貼り合わ
せた孔版印刷用原紙3を用いたが、樹脂フィルム5のみ
を用いてもよい。
【0030】次に、本発明の第3の実施の形態を図10
及び図11を参照して説明する。図10及び図11に示
す孔版印刷用原紙の組み立て体1は、第1の例で説明し
たものと同一であり、第1の例と同一の符号を付してそ
の説明を省略する。
【0031】この製版印刷装置60は、印刷装置として
も機能する。第1の例と機能上共通の部分には第1の例
と同一の符号を付す。矩形の押圧板40は、第1の例に
おける基体8と共通の構成を有している。本例の押圧板
40の中央には、前述した微細凹凸面を構成するヤスリ
シート41が、ヤスリ保持用粘着シート42によって着
脱可能に取り付けてある。本例の押圧板40の下面中央
には、印刷時に版を取り付ける押圧用弾性体として、矩
形のスポンジ(原紙スポンジ43と呼ぶ)が設けられて
いる。原紙スポンジ43の下面には、製版された孔版印
刷用原紙の組み立て体1を保持する保持手段として原紙
保持用粘着シート44が取り付けられている。
【0032】作業台上等に設置される基板50に対して
押圧板40は開閉可能に取り付けられている。まず、押
圧板40の下面には、その一長辺に沿って角棒状のスペ
ーサ部材45が取り付けられている。そして押圧板40
のスペーサ部材45は、押圧板40と同形である基板5
0の一長辺に、ヒンジ51を介して揺動可能に取り付け
られている。基板50の上面中央には、印刷時に印刷用
紙を保持する保持手段として、前記原紙スポンジ43と
同形の他のスポンジ(用紙スポンジ52と呼ぶ)が設け
られている。用紙スポンジ52の上面には、印刷用紙を
保持する保持手段として用紙保持用粘着シート53が取
り付けられている。
【0033】この製版印刷装置60の使用方法を説明す
る。作業台上等に、基板50を下にして本装置を設置す
る。孔版印刷用原紙の組み立て体1を押圧板40の保持
枠9内に取り付ける。その際、第1の例の場合と同様
に、組み立て体1の孔版印刷用原紙3の樹脂フィルム5
の側をヤスリシート41に重ねる。第1の例と同様に、
バックシート6を開いてその上面の一縁辺側を粘着保持
部9bに保持させる。
【0034】第1の例の場合と同様に、セラミックボー
ルペン11等の圧力負荷手段により、ヤスリシート42
上に重ねた孔版印刷用原紙3のインク通過性支持体4の
上に、製版しようとする所望の文字・画像等を描く。孔
版印刷用原紙3の樹脂フィルム5には、セラミックボー
ルペン11でインク通過性支持体4に描いた文字・画像
に対応したパターンで多数の微細な孔が形成される。
【0035】製版が終了したら、組み立て体1を製版印
刷装置60から取り外す。組み立て体1の枠体2内に所
望の色彩のインクを所望の位置に配置し、バックシート
6を閉める。組み立て体1のバックシート6側を、押圧
板40の原紙保持用粘着シート44に保持させる。用紙
保持用粘着シート53には印刷用紙を保持させる。押圧
板40を基板50の方向に揺動させ、組み立て体1の孔
版印刷用原紙3を印刷用紙に押圧する。組み立て体1内
のインクが印刷用紙に転移し、印刷用紙に孔版印刷が施
される。押圧板40を基板50から離れる方向に回動さ
せ、組み立て体1を印刷用紙から引き剥がす。印刷用紙
は、用紙保持用粘着シート53に保持され、組み立て体
1は原紙保持用粘着シート44に保持されているので、
両者は容易に剥がれる。枠体2に張られた孔版印刷用原
紙3とバックシート6は、インクの粘性によって保持さ
れているので、押圧板40の開放時にこの両者が開いて
しまうことはない。製版のパターンに対応した印刷画像
が印刷された印刷用紙が、用紙保持用粘着シート53上
に残される。
【0036】使用する印刷用紙として、保持枠9の内形
に合致した形状のカードを使用する。押圧板40のヤス
リシート保持用粘着シート42からヤスリシート41を
取り外し、印刷したカード等を保持枠9の内部に取り付
ければ、本装置を額のように使用することができる。押
圧板40と基板50の角度を適当に調整すれば、カード
を保持させた本装置を机上等に飾ることができる。
【0037】以上説明した各例においては、樹脂フィル
ム5の厚さ、微細凹凸面10,14を構成する微細粒子
の粒径、インクの硬さの各条件について、それぞれ適用
できる範囲と、その中の最適値を記載した。本発明者等
の実験によれば、各条件をこのような数値範囲に設定し
て各例のように本発明を実施すれば、鮮明で高品質の孔
版印刷画像が得られる。
【0038】一般的には樹脂フィルムが厚い場合には微
細粒子の粒径を大きくする必要がある。その場合には樹
脂フィルムの製版領域を構成する孔は比較的大きいの
で、硬めのインクを使用して印刷するとよい。また、樹
脂フィルムが薄い場合には微細粒子の粒径を小さくする
必要がある。その場合には樹脂フィルムの製版領域を構
成する孔は比較的小さいので、柔らかめのインクを使用
して印刷するとよい。また、樹脂フィルムの製版領域を
構成する孔が比較的小さい場合には、製版領域の孔から
印刷用紙に転移するインクの量が少ないので、印刷直後
に印刷用紙を重ねても裏移りしにくい。
【0039】次に、本発明の第4の実施形態を説明す
る。上記各実施の形態では、微細凹凸面はそれぞれ異な
る粒径の微細粒子10c〜10fを設けて構成したが、
微細粒子に限らず、例えば鉄等の金属面をエッチング加
工してなる構成、電鋳加工で作成した構成、硬質プラス
チックを型で作成した構成としてもよい。具体的には、
図12に示すように、微細凹凸面20は、基体20a上
においてそれぞれの高さが異なる複数の突起20c〜2
0fを設けた構成としてもよい。図示の例では、基体2
0a上に先端が尖った略円錐形状の一部が突出して設け
られ、突起20c〜20fは頂部の高さ位置h1〜h4
がそれぞれ異なる。このような構成であっても上記各実
施形態と同様に製版の圧力によって樹脂フィルム5に開
く孔の数が変化し、これが濃度の差となって表現するこ
とができるようになる。
【0040】次に、本発明の第5の実施形態を説明す
る。図13に示すように、この実施形態では、前述した
圧力負荷手段は、製版時に任意の一定圧力を負荷する筆
記機構30で構成されている。筆記機構30は、シリン
ダ31内に鉛筆芯32が挿通され、ピストン33に対し
外部から空気圧等で所定圧力が加えられる構成である。
この印加圧力は空気源の制御で任意の一定な圧力とする
ことができる。シリンダ31は、昇降機構35によって
昇降自在である。昇降機構35は、シリンダ31に固定
して設けられた吸引板35aと、吸引板35aに対面す
る固定の電磁ソレノイド35bで構成されている。製版
前後の時期においては、電磁ソレノイド35bを非通電
状態とすることにより、復帰バネ35cによって上昇
し、製版時には、電磁ソレノイドを通電させることによ
り、電磁ソレノイド35bに吸引板35aが吸着され、
鉛筆芯32を前記樹脂フィルム5上で所定圧力を加え
る。
【0041】シリンダ31を保持する昇降機構35は、
図示しないスライド機構によって水平面内のX,Y方向
(互いに直角な二方向)にスライド自在な構成とされて
おり、このスライド機構の動作で所望する所定の製版を
行えるようになっている。そして、シリンダ31に加え
る圧力を前述したように複数段階設定しておくことによ
り、樹脂フィルム5に開く切れ目の数を変化させること
ができる。
【0042】例えば、前記第1実施形態で説明したよう
に微細凹凸面10に異なる粒径の微細粒子10c〜10
fを設けた構成においては、一番大きな微細粒子10f
で樹脂フィルム5に孔を開ける第1の圧力と、1,2番
目の大きさの微細粒子10f,10eで樹脂フィルム5
に孔を開ける第2の圧力と、1〜3番目の大きさの微細
粒子10f,10e,10dで樹脂フィルム5に孔を開
ける第3の圧力と、全ての微細粒子10c〜10fで樹
脂フィルム5に孔を開ける第4の圧力、の4段階の圧力
が設定されている。操作者は、これら微細粒子10c〜
10fの粒径に対応して予め設定された4段階の圧力を
選択することにより、この選択に対応して樹脂フィルム
5に開く切れ目の数が変化し濃度の差を表現することが
できるようになる。
【0043】また、第4の実施形態で説明したように微
細凹凸面20に異なる4つの高さの突起20c〜20f
を形成した場合においても、操作者は、これら突起20
c〜20fの高さに対応して予め設定された4段階の圧
力を選択するだけで、この選択に対応して樹脂フィルム
5に開く切れ目の数が変化し濃度の差を表現することが
できるようになる。
【0044】また、この筆記機構30を用いて、製版を
行う際に、外部から加えられる空気圧を変化させれば、
この圧力の変化に応じて樹脂フィルム5に異なる径の切
れ目状の孔を開孔させることができるようになる。例え
ば、図14に示すのは、微細凹凸面63を基体のエッチ
ングによって加工したものである。この微細凹凸面63
は、基体64の表面をエッチングして多数の半球形状の
突起65を形成したものである。また、図15に示す微
細凹凸面73は、基体74の表面をエッチングして多数
の半球形状の凹部75を形成したものである。これら突
起65や凹部75の寸法は、微細粒子10c〜10fの
粒径の範囲内に設定する。基体64,74の材質、エッ
チングに用いるエッチング液、エッチング条件等は、か
かる寸法が実現できる範囲で任意に定めてよい。
【0045】このような微細凹凸面63,73は均一な
大きさの凹凸が形成されたものであるが、筆記機構30
側の圧力を変化させることにより、樹脂フィルム5に開
く孔の径を可変することができるようになる。また、図
14(a)のように、鉛筆芯32の先端形状が図示のよ
うに丸い場合には、その先端部分に接する部分の孔5a
が同図(b)に示すように径が大きく、先端から離れた
箇所では次第に孔5aの径が小さくすることができる。
【0046】したがって、前述したような粒径の異なる
微細凹凸面10、及び高さの異なる微細凹凸面20を用
いて製版する際に、筆記機構30の圧力を変化させる構
成とすれば、樹脂フィルム5に開く孔の径をより変化さ
せることができ、印刷後の濃淡表現もより多彩にできる
ようになる。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、微細凹凸面に重ねたフ
ィルムに圧力を加えて押し付けることによりフィルムを
製版でき、特に微細凹凸面は異なる粒径の微細粒子又は
高さの異なる複数の突起で構成されており、加える圧力
を変えるだけでフィルムに開く孔の数が変化し濃度の差
を表現することができるようになる。この製版は簡単で
熟練を要せず、美しい印刷画質が得られるという効果が
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製版装置の第1の実施形態を示す斜視
図。
【図2】同第1実施形態の微細凹凸面を示す拡大断面
図。
【図3】製版時の状態を示す断面図。
【図4】製版時の状態を示す斜視図。
【図5】製版時の状態を示す側面図。
【図6】製版時の圧力と印刷後の印刷濃度の関係を示す
図。
【図7】本発明の製版装置の第2の実施形態を示す斜視
図。
【図8】製版時の状態を示す側断面図。
【図9】製版時の状態を示す側面図。
【図10】本発明の製版装置の第3の実施形態を示す斜
視図。
【図11】印刷時の状態を示す斜視図。
【図12】本発明の第4の実施形態で用いる微細凹凸面
を示す拡大断面図。
【図13】本発明の第5の実施形態で用いる筆記機構を
示す側断面図。
【図14】微細凹凸面の他の構成例を示す拡大断面図。
(a)は筆記状態を示す拡大断面図、(b)は同筆記に
よる樹脂フィルム上の開孔状態を示す平面図。
【図15】微細凹凸面の他の構成例を示す拡大断面図。
【符号の説明】
3 孔版印刷用原紙 4 インク通過性支持体 5 樹脂フィルム 7,12,60 製版装置 10,14,20,63,73 微細凹凸面 10c〜10f 微細粒子 20c〜20f 突起 30 筆記機構

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 微細凹凸が形成されたシートと、薄状フ
    ィルムを重ね合わせ、この薄状フィルムと前記シート間
    に圧力を加えることにより上記薄状フィルムにその圧力
    に対応した形状で微細な切れ目が形成される孔版原紙の
    製版装置であって、 前記シートには少なくとも円の一部もしくは円錐状の一
    部の形状の微細凹凸が形成されていることを特徴とする
    孔版原紙の製版装置。
  2. 【請求項2】 前記微細凹凸は、200メッシュパスか
    ら2000メッシュパスの粒径を有する微細粒子で構成
    されている請求項1記載の孔版原紙の製版装置。
  3. 【請求項3】 前記微細凹凸は、500メッシュパスか
    ら1000メッシュパスの粒径の微細粒子が略均等に分
    散されてなる請求項1記載の孔版原紙の製版装置。
  4. 【請求項4】 前記シートには、前記大きさの微細粒子
    がランダムに配置されている請求項2又は3記載の孔版
    原紙の製版装置。
  5. 【請求項5】 微細凹凸が形成されたシートと、薄状フ
    ィルムを重ね合わせ、この薄状フィルムと前記シート間
    に圧力を加えることにより上記薄状フィルムにその圧力
    に対応した形状で微細な切れ目が形成される孔版原紙の
    製版装置であって、 前記シートには少なくとも2種以上の異なる高さを有す
    る微細凹凸が形成されていることを特徴とする孔版原紙
    の製版装置。
  6. 【請求項6】 前記微細凹凸はエッチングにより形成さ
    れてなる請求項5記載の孔版原紙の製版装置。
  7. 【請求項7】 前記薄状フィルムと前記シートを重合し
    た状態で前記薄状フィルム上から圧力を加える筆記機構
    を備えた請求項1又は5のいずれかに記載の孔版原紙の
    製版装置。
  8. 【請求項8】 少なくとも2種以上の粒径の微細凹凸を
    有しているシートの該微細凹凸の形成面に、薄状フィル
    ムを重ね合わせ、薄状フィルムと前記シート間に圧力を
    加えることにより上記薄状フィルムにその圧力に対応し
    た形状で微細な切れ目を形成させることを特徴とする孔
    版原紙の製版方法。
  9. 【請求項9】 少なくとも2種以上の高さの微細凹凸を
    有しているシートの該微細凹凸の形成面に、薄状フィル
    ムを重ね合わせ、薄状フィルムと前記シート間に圧力を
    加えることにより上記薄状フィルムにその圧力に対応し
    た形状で微細な切れ目を形成させることを特徴とする孔
    版原紙の製版方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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