JPH10302336A - 光磁気記録媒体 - Google Patents

光磁気記録媒体

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Publication number
JPH10302336A
JPH10302336A JP10985897A JP10985897A JPH10302336A JP H10302336 A JPH10302336 A JP H10302336A JP 10985897 A JP10985897 A JP 10985897A JP 10985897 A JP10985897 A JP 10985897A JP H10302336 A JPH10302336 A JP H10302336A
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reproducing
magneto
magnetization
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JP10985897A
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Inventor
Koji Matsumoto
幸治 松本
Toshio Sugimoto
利夫 杉本
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Fujitsu Ltd
Original Assignee
Fujitsu Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 記録磁界感度を低下させることなく、また転
写性能を悪化させることなく、再生磁界を低減する。 【解決手段】 光磁気ディスク10は、基板11上にS
iNからなる保護層12,GdFeCoからなる再生層
13,GdFeからなる中間層14,TbFeCoから
なる本発明の特徴となる記録補助層15,TbFeCo
からなる記録層16及びSiNからなる保護層17をこ
の順に積層して構成されている。記録補助層15は25
0℃のキュリー温度を有するTMリッチの垂直磁化膜、
記録層16は300℃のキュリー温度を有するREリッ
チの垂直磁化膜である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光磁気ディスク,
光磁気テープ,光磁気カード等の光磁気記録媒体及びそ
の再生方法に関し、特に磁気超解像(Magnetically Ind
uced Super Resolution )再生が可能な光磁気記録媒体
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年コンピュータの外部記録装置とし
て、光磁気ディスクが脚光を浴びている。光磁気ディス
クは、外部磁界の印加とレーザ光の照射とを用いて媒体
上にサブミクロン単位の記録マークを形成することによ
り、フレキシブルディスク,ハードディスクのような外
部記録媒体と比較して記録容量を大幅に増大させること
が可能である。現在、実用化されている3.5インチの
光磁気ディスクは片面で230メガバイトの記録容量を
有し、これは3.5インチのフレキシブルディスクの略
200枚分の記録容量である。
【0003】このように光磁気ディスクは、これからの
マルチメディア時代に備えて膨大なデータを格納するメ
モリの中心的存在として位置付けられ、記録容量のさら
なる増大化が要望されている。光磁気ディスクの記録密
度を増大させるためには、媒体上にさらに多くの記録マ
ークを形成すること、即ち記録マーク長をレーザ光のス
ポット径よりも短くすると共に記録マーク間隔を詰める
必要がある。このような微細な記録マークを形成するの
は比較的簡単であるが、微細な記録マークを再生する際
には照射するレーザ光の波長λと対物レンズの開口数N
Aとの制約により、再生可能な記録マークの長さに限界
があった。
【0004】そこで、レーザ光径よりも小さい記録マー
クを再生できる磁気超解像(MSR)再生方法が、種々
提案されている(特開平1−143041号公報,特開平3−
93056 号公報,特開平3−93058 号公報,特開平4−27
1039号公報,特開平5−12731 号公報)。これらの従来
法は何れも、記録層と再生層とを含む複数の磁性層を積
層した光磁気ディスクを回転せしめ、再生レーザ光を照
射することにより光磁気ディスクの周方向に温度分布を
生ぜしめ、この温度分布を利用してスポット径よりも小
さな記録マークを読出すようにしている。即ち、再生レ
ーザ光のスポット内の或る温度領域では再生層が記録マ
ークをマスクするような磁化方向を有し、他の領域では
記録層の磁化方向が再生層に転写されて読出される。
【0005】これらの従来法により、再生レーザ光のス
ポット径よりも小さな領域から記録マークを読出すこと
ができ、実質的に再生レーザ光のスポット径よりも小さ
な光スポットにて再生した場合と同等の分解能が得られ
る。しかしながら、これらの従来法では以下に示すいく
つかの問題点があった。まず、スポット内の低温領域か
ら記録マークを読出す方式では周方向の分解能には優れ
ているが、近接トラックが影響するクロストークが大き
いこと、また、スポット内の高温領域から記録マークを
読出す方式ではクロストークは低減されるが、再生層を
初期化するために大型の初期化磁石を用いる必要があ
り、装置が小型化されないこと、さらに、再生層の磁化
方向が温度分布により面内方向から垂直方向に変化した
領域から記録マークを読出す方式では、大型の初期化磁
石を用いずに再生できるが、スポット内の転写される領
域が広く、高い再生出力が得られないこと、などが挙げ
られる。
【0006】そこで本願出願人は、これらの問題点を解
決できるMSR再生方法を提案している(特開平7−24
4877号公報)。図7は、本願出願人が提案した従来のM
SR再生可能な光磁気ディスクの膜構成及び再生時の磁
化方向を示す図である。図7に示すように、光磁気ディ
スク30はポリカーボネート樹脂製の基板(図示せず)
上にSiNからなる下地層(図示せず)と、希土類−遷
移金属非晶質合金からなる再生層31,中間層32,及
び記録層33と、SiNからなる保護層(図示せず)と
をこの順に積層して構成されている。
【0007】再生層31は遷移金属磁化優勢(以下、T
Mリッチという)であり、垂直方向即ち積層方向に磁化
容易軸を有している。中間層32は希土類磁化優勢(以
下、REリッチという)であり、室温(10℃〜35
℃)では面内方向に磁化容易軸を有しており、室温より
高い所定温度以上になると磁化容易軸が面内方向から垂
直方向に変化する。記録層33はTMリッチであり、垂
直方向に磁化容易軸を有している。また、再生層31,
中間層32及び記録層33のキュリー温度を夫々Tc
1,Tc2及びTc3とした場合に、Tc2<Tc1,
Tc2<Tc3の関係を満たしている。また、再生層3
1及び記録層33の室温における保磁力を夫々Hc1及
びHc3とした場合に、Hc3>Hc1の関係を満たし
ている。
【0008】このような膜構成の光磁気ディスク30に
記録マークが形成され、この記録マークを再生する際の
磁化状態を説明する。光磁気ディスク30に再生用レー
ザ光が照射され、照射領域に下向きの再生磁界が印加さ
れる。レーザ光に対して前方側となる低温領域(略100
℃よりも低い領域)では中間層32と記録層33との交
換結合力は弱く、中間層32の磁化が再生磁界の方向即
ち下方向に揃う。そして、中間層32と再生層31との
交換結合力により再生層31の磁化方向は上向きに揃っ
て記録層33の磁化方向をマスクするはたらきをする
(フロントマスク)。また、高温領域(略180 ℃より高
い領域)は中間層32のキュリー温度を越えた領域であ
り、中間層32と再生層31との交換結合力が切れてい
る。これにより、再生層31の磁化方向は再生磁界の方
向に揃い、記録層33の磁化方向をマスクするはたらき
をする(リアマスク)。低温領域と高温領域との間の中
間温度領域(略100 ℃〜略180 ℃の領域)では、中間層
32を介して記録層33と再生層31との交換結合力に
より、記録層33の磁化方向が再生層31に転写され
る。
【0009】従って、磁気光学的出力を検出した場合
に、レーザスポットS内において温度が低い領域と高い
領域とではマスクが形成されているので光磁気信号を読
出すことはなく、中間の温度領域だけの光磁気信号を読
出すことができる。
【0010】以上の如く本願出願人により提案した光磁
気ディスクでは、大型の初期化磁石を設けることなくM
SR再生が可能であり、高温領域の一部領域(中間温度
領域)を開口部とするので高い再生出力が得られ、さら
に近隣トラックは中間温度領域よりも低い温度領域とな
るので近隣トラックからは信号が読み出されず、クロス
トークが低い。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このような光磁気ディ
スクの再生時には、再生層の磁化を所定の方向に揃える
ために再生磁界を印加する。例えば磁界変調方式での記
録再生時には比較的大きな再生磁界が必要となり、用い
られる電磁石が大型になる。これにより、光磁気駆動装
置の小型化,消費電力の節減が困難になる。
【0012】再生磁界を低減するためには以下の対策が
考えられる。まず、中間層の膜厚を厚くするか、中間層
の希土類磁化をより優勢にするなどして中間層と記録層
との交換結合力を弱める。これにより、低温領域での中
間層の磁化は小さな再生磁界で揃えることができるが、
反面、中間温度領域で記録層から再生層への転写性が悪
化してC/Nが低下し、記録パワー感度及び再生パワー
感度も低下する。また中間層の室温における磁化を大き
くした場合には、低温領域での中間層の磁化が揃い易く
なって再生磁界は低減できるが、中間温度領域での転写
性が悪化する。また記録層の希土類金属量の含有量を少
なくした場合は、低温領域での中間層の磁化が揃い易く
なって再生磁界は低減できるが、記録層の垂直磁気異方
性が高温で弱くなり、C/Nが低下する。
【0013】さらに、記録層に例えばTbFeCoを用
いたとき、記録層がTMリッチである場合は再生磁化が
小さくなる傾向にあるが、反面、記録磁界感度が低く、
記録時に消去方向の記録磁界を印加しても逆方向である
記録方向の記録マークが形成されるという問題がある。
また、記録層がREリッチである場合は記録磁界感度は
良好であるが、大きな再生磁界が必要になるという問題
があった。
【0014】本発明は、かかる事情に鑑みてなされたも
のであり、希土類磁化優勢の記録層と中間層との間の交
換結合力を制御するための遷移金属磁化優勢の記録補助
層を設けることにより、記録磁界感度を低下させること
なく再生磁界を低減できる光磁気記録媒体を提供するこ
とを目的とする。
【0015】また本発明は、記録層と中間層との間の交
換結合力を制御するための記録補助層を、記録層よりも
遷移磁化がより優勢な磁気特性を有する磁性膜で形成す
ることにより、転写性を悪化させることなく再生磁界を
低減できる光磁気記録媒体を提供することを目的とす
る。
【0016】
【課題を解決するための手段】第1発明に係る光磁気記
録媒体は、基板上に少なくとも再生層、中間層及び記録
層をこの順に積層しており、前記再生層及び記録層は積
層方向の磁化容易特性を有する希土類−遷移金属合金膜
であり、前記中間層は室温で面内方向の磁化容易特性を
有する希土類−遷移金属合金膜である光磁気記録媒体に
おいて、希土類−遷移金属合金からなり、室温で遷移金
属磁化優勢の磁気特性を有する記録補助層を前記記録層
と前記中間層との間に備え、前記記録層は希土類磁化優
勢の磁気特性を有することを特徴とする。
【0017】図8は、図7で説明した光磁気ディスクの
中間層の磁化反転を説明する図である。図では、低温領
域での中間層及び記録層のみの磁化状態を示しており、
遷移金属磁化のスピン方向を矢符で、総計の磁化方向
(以下、NET磁化という)を白抜き矢符で示してい
る。図8(a)は記録層33がTMリッチ、中間層32
がREリッチの場合であり、中間層32のNET磁化と
逆方向の再生磁界Hrを印加した場合に、中間層32の
磁化方向は反転する。このとき、中間層32のNET磁
化の方向は記録層33と同方向である。一方、図8
(b)は記録層33及び中間層32が共にREリッチの
場合であり、中間層32のNET磁化と逆方向の再生磁
界Hrを印加した場合に中間層32の磁化方向は反転
し、中間層32のNET磁化の方向が記録層33と逆方
向になる。このとき、記録層33及び中間層32が共に
REリッチの場合は中間層32と記録層33との間に磁
極が生じ、中間層32の磁化を反転させるために大きな
再生磁界Hrが必要となる。このように、記録層33が
TMリッチの場合にはREリッチの場合よりも小さい再
生磁界Hrの印加で磁化方向が揃う、即ちフロントマス
クが形成できると言える。
【0018】また、記録層33に記録マークを形成する
際には、記録層33の磁化を消去方向に揃えた後、レー
ザ光の照射により記録層33を昇温せしめて所定の領域
に記録マークを形成する。記録層33がTMリッチであ
る場合には、温度が降下した際に、記録層33の前後領
域の磁化方向の影響を受け、記録マークが形成されてい
ない領域に記録方向の磁化が生じ易くなる。即ち、記録
層33がTMリッチの場合は記録磁界感度が悪いと言え
る。
【0019】以上のことから、記録層を記録磁界感度が
良好なREリッチとし、小さな再生磁界Hrで中間層の
磁化方向を再生磁界に揃えることができるTMリッチの
記録補助層を記録層と中間層との間に介在させることに
より、記録磁界感度を悪化させることなく小さな再生磁
界でフロントマスクが形成される。
【0020】第2発明に係る光磁気記録媒体は、第1発
明において、前記記録補助層は積層方向の磁化容易特性
を有し、前記記録層よりも低いキュリー温度を有するこ
とを特徴とする。
【0021】第2発明にあっては、記録補助層のキュリ
ー温度は記録層よりも低いので、中温度領域でも記録補
助層の磁化方向が面内方向になり難く、記録層の磁化方
向の転写性は損なわれない。
【0022】第3発明に係る光磁気記録媒体は、第1又
は第2発明において、前記記録補助層は非磁性金属を含
有していることを特徴とする。
【0023】第3発明にあっては、非磁性金属が含有さ
れているので、記録補助層と中間層との交換結合力が弱
まり、さらに小さな再生磁界で中間層の磁化方向を再生
磁界に揃えることができる。
【0024】第4発明に係る光磁気記録媒体は、基板上
に少なくとも再生層、中間層及び記録層をこの順に積層
しており、前記再生層及び記録層は積層方向の磁化容易
特性を有する希土類−遷移金属合金膜であり、前記中間
層は室温で面内方向の磁化容易特性を有する希土類−遷
移金属合金膜である光磁気記録媒体において、希土類−
遷移金属合金からなり、少なくとも室温にて遷移金属磁
化が前記記録層よりも優勢な磁気特性を有し、前記記録
層よりも低いキュリー温度を有する記録補助層を、前記
記録層と前記中間層との間に備えることを特徴とする。
【0025】また、第5発明に係る光磁気記録媒体は、
基板上に少なくとも再生層、中間層及び記録層をこの順
に積層しており、前記再生層及び記録層は積層方向の磁
化容易特性を有する磁性膜であり、前記中間層は室温で
面内方向の磁化容易特性を有する磁性膜である光磁気記
録媒体において、少なくとも室温にて前記記録層よりも
大きい飽和磁化を有し、前記記録層よりも低いキュリー
温度を有する記録補助層を、前記記録層と前記中間層と
の間に備えることを特徴とする。
【0026】第4発明にあっては、記録補助層の遷移金
属磁化が記録層よりも優勢であるので、第5発明と同
様、記録補助層の飽和磁化が記録層よりも大きい。記録
補助層と中間層とを複合中間層と見た場合に、記録補助
層の飽和磁化が記録層よりも大きいために、光磁気記録
媒体の再生時には、複合中間層と記録層との間の交換結
合力は記録補助層を備えない従来の光磁気記録媒体と比
較して弱くなる。これにより、小さな再生磁界を印加し
た場合でも、低温領域では中間層の磁化を再生磁界に揃
えることができる。そして、記録補助層のキュリー温度
が記録層よりも低いので、記録磁界感度,記録パワー感
度を悪化させることはない。また中間温度領域では、複
合中間層と記録層との間の交換結合力が弱くなっても、
記録層及び記録補助層がいずれも遷移金属磁化優勢の磁
化状態を示すので(100 ℃〜180 ℃)、開口部の転写性
は良好である。さらに高温領域では、記録層の遷移金属
磁化優勢の程度が従来と同様であるのでC/Nは低下し
ない。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明をその実施の形態を
示す図面に基づき具体的に説明する。 第1の実施の形態 図1は第1の実施の形態の光磁気ディスクの膜構成を示
す図である。図に示すように、光磁気ディスク10は、
案内溝が形成されたポリカーボネート製の基板11上に
SiNからなる厚さ80nmの保護層12,Gd25Fe
50Co25からなる厚さ50nmの再生層13,Gd34
66からなる厚さ45nmの中間層14,Tb22Fe68
Co10からなる厚さ5nmの本発明の特徴となる記録補
助層15,Tb26Fe50Co24からなる厚さ35nmの
記録層16,及びSiNからなる厚さ80nmの保護層
17をこの順に積層して構成されている。ここで、記録
補助層15に用いられるTb22Fe68Co10膜は、25
0℃のキュリー温度を有するTMリッチの垂直磁化膜で
ある。従って、記録時に記録補助層15の磁化は消滅し
ている。なお、記録層16に用いられるTb26Fe50
24膜は300℃のキュリー温度を有するREリッチの
垂直磁化膜であり、記録補助層15のキュリー温度は記
録層16よりも低い。
【0028】以上の構成の光磁気ディスク10は、DC
マグネトロンスパッタ装置を用いて成膜される。各層の
成膜条件は、保護層11,17の成膜時には、N2
(Ar+N2 )=30%のスパッタガス,0.5 Paのガ
ス圧,及び1kWのスパッタ電力であり、再生層13及
び中間層14の成膜時には、0.5 PaのスパッタArガ
ス圧及び1kWのスパッタ電力であり、記録補助層15
及び記録層16の成膜時には、0.3 PaのスパッタAr
ガス圧及び1kWのスパッタ電力である。
【0029】以上の如き光磁気ディスク10に、波長68
0 nmの光源を用い、記録パワー10mWでマーク長0.4
μmの記録マークを繰り返しパターンで記録し、再生パ
ワーが3mW,線速度7m/sの再生条件で、記録方向
の再生磁界Hrを印加して再生した。図2は光磁気ディ
スクの再生時の磁化状態を示す図である。遷移金属磁化
のスピン方向を矢符で、NET磁化を白抜き矢符で示し
ている。図2に示すように、低温領域では中間層が再生
磁界Hrの磁化方向に揃ってフロントマスクを形成して
おり、高温領域では再生層が再生磁界Hrの磁化方向に
揃ってリアマスクを形成している。なお、図中に示すA
−B間の領域では記録層16及び再生層13はTMリッ
チの磁気特性を示し、その他の領域ではREリッチの磁
気特性を有している。220 Oeの小さな再生磁界Hrを
光磁気ディスク10に印加することにより、記録マーク
を再生することができた。
【0030】図3は、上述した光磁気ディスク10の記
録感度を示すグラフであり、縦軸は再生信号レベルを示
し、横軸は記録磁界を示している。図3に示すように、
光磁気ディスク10に−150 Oe以下の記録磁界を印加
した場合は記録マークが形成できず、+150 Oeの記録
磁界で十分に記録マークを形成できた。これにより本実
施の形態の光磁気ディスク10は、良好な記録磁界感度
を有していることが判る。
【0031】同様に、従来の光磁気ディスクについて、
上述したように記録再生特性を求めた。各光磁気ディス
クの膜構成及び成膜条件を表1に示す。なお、従来例1
の記録層はREリッチであり、補償温度は略+130 ℃で
ある。また、従来例2の記録層はTMリッチで補償温度
は略−10℃である。
【0032】
【表1】
【0033】従来例では、−150 Oe以下の磁界の印加
では記録マークが形成できず、+150 Oeの磁界で十分
に記録マークが形成できた。再生時には+500 Oeの再
生磁界を必要とした。また比較例では、−350 Oe以下
の磁界の印加では記録マークが形成できず、+250 Oe
の磁界で十分に記録マークが形成できた。再生時には+
200 Oeの再生磁界を必要とした。これらの結果によ
り、実施の形態の光磁気ディスク10と比較して、従来
例では記録磁界感度は良好であるが大きな再生磁界が必
要であること、比較例では小さな再生磁界で再生できる
が記録磁界感度が悪いことが判る。
【0034】なお、実施の形態の光磁気ディスク10は
磁性層全体の膜厚が従来例と同じであるので、記録補助
層15を設けてあっても、記録パワー感度,再生パワー
感度は従来例と比較して同程度である。
【0035】次に、記録補助層15のTb量を変化させ
た場合の光磁気ディスクの再生磁界の大きさを調べた。
記録補助層15以外の膜構成は上述した光磁気ディスク
10と同様であり、その説明を省略する。図4は、この
光磁気ディスクの記録補助層のTb量と再生磁界との関
係を表すグラフであり、縦軸は再生磁界を示し、横軸は
Tb量を示している。グラフから、Tb量が多いほど再
生磁界が大きくなることが明らかである。これにより、
記録補助層15の遷移金属磁化が優勢なほど、小さな再
生磁界の印加で再生が可能であることが判る。
【0036】以上の如く、記録補助層15としてTMリ
ッチのTbFeCoを用いることにより、光磁気ディス
クは良好な記録磁界感度を有し、且つ、小さな再生磁界
の印加でMSR再生が可能である。
【0037】第2の実施の形態 記録補助層に非磁性元素又はシリコンを添加したTb22
Fe68Co10膜を用いた光磁気ディスクを作成し、再生
磁界の大きさを調べた。記録補助層以外の膜構成は上述
した光磁気ディスク10と同様であり、その説明を省略
する。記録補助層の成膜時に、アルミニウム,タングス
テン,シリコンのチップをGdFeCoターゲット上に
載置し、夫々、DCマグネトロンスパッタを行なった。
1%以上のアルミニウム,タングステン又はシリコンを
夫々記録補助層に添加した場合に、190 Oeの再生磁界
の印加でMSR再生が可能であった。
【0038】さらに、非磁性元素又はシリコンを含有す
る記録補助層の成膜時に、N2 ガス及び/又はO2 ガス
をArスパッタガスに混入した。作成された光磁気ディ
スクは、180 Oeの磁界印加でMSR再生が可能であっ
た。
【0039】以上の結果から、記録補助層に非磁性元素
又はシリコンを添加することにより再生磁界を低減する
ことができ、また、この記録補助層に酸化,窒化処理を
施すことによりさらに再生磁界を低減できることが判
る。
【0040】また、中間層にGdFeSi膜を用いた光
磁気ディスクを作成し、再生磁界及び再生開始パワーを
調べた。中間層は、0.5 PaのスパッタArガス圧及び
1kWのスパッタ電力で、(Gd34Fe66100-x Si
x 膜を45nmの膜厚で形成した。また、シリコンの添加
量xを0から15まで異ならせ、夫々の光磁気ディスクを
作成した。なお、中間層以外の膜構成は、第1の実施の
形態の光磁気ディスク10と同様であり、その説明は省
略する。
【0041】中間層のキュリー温度はシリコンの添加量
xに応じて異なり、xが0〜15に対して220 ℃〜140 ℃
であった。いずれの光磁気ディスクについても220 Oe
という小さな再生磁界でMSR再生が可能であった。ま
た、シリコン添加量x=0の第1の実施の形態の光磁気
ディスク10は再生開始パワーが2.8 mWであったが、
シリコン添加量x=10の本実施の形態の光磁気ディスク
は再生開始パワーが2.2 mWであった。これらの結果に
より、中間層にシリコンを含有せしめることにより、再
生磁界及び再生開始パワーを低減できることが判る。な
お、本実施の形態では中間層にシリコンを添加した場合
について説明しているが、これに限るものではなく、ア
ルミニウム又はタングステン等の非磁性元素を中間層に
添加した場合であっても同様の効果を得ることができ
る。
【0042】第3の実施の形態 図5は、本実施の形態の光磁気ディスクの膜構成を示す
図である。図に示すように、光磁気ディスク20は、案
内溝が形成されたポリカーボネート製の基板21上にS
iNからなる厚さ70nmの保護層22,Gd26Fe61
Co13からなる厚さ40nmの再生層23(補償温度:
60℃,ドミナント:REリッチ),Gd32Fe68から
なる厚さ40nmの中間層24(キュリー温度:220
℃,補償温度:−,ドミナント:REリッチ),TbF
eCoからなる厚さ10nmの本発明の特徴となる記録
補助層25,Tb25Fe50Co25からなる厚さ40nm
の記録層26(キュリー温度:300℃以上,ドミナン
ト:補償組成),及びSiNからなる厚さ60nmの保
護層27をこの順に積層して構成されている。
【0043】記録補助層25に異なる組成のTbFeC
o膜を用い、夫々の光磁気ディスク20について記録再
生特性を調べた。夫々の記録補助層25の組成及び必要
な再生磁界,C/Nの測定結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】また、図6は夫々の記録補助層25の飽和
磁化の温度依存性を示すグラフであり、縦軸は飽和磁化
を示し、横軸は温度を示している。グラフ中‘○−○’
は記録層26の特性を示し、‘△−△’及び‘□−□’
は本実施の形態の記録補助層25、‘×−×’及び‘●
−●’ は比較例の記録補助層の特性を示している。な
お、300 ℃以上の高温での磁化測定が困難なために、各
記録補助層25のキュリー温度の大小関係はCo量を目
安にしている。グラフから、‘△−△’で示す本実施の
形態の記録補助層25は、室温,低温領域,中間温度領
域及び高温領域において記録層26よりも飽和磁化が大
きく、‘□−□’示す本実施の形態の記録補助層25
は、室温及び低温領域において記録層26よりも飽和磁
化が大きい。
【0046】記録再生特性の測定は、波長680nmの
レーザ光を用いる。先ず、消去パワー8mWでレーザ光
を照射し、上向きの消去磁界を500Oeで印加して光
磁気ディスク20の全面を消去する。そして光磁気ディ
スク20を線速6m/sで回転させて記録パワー7Mw
のレーザ光を照射し、下向きの記録磁界を400Oeで
印加して周波数7.5MHz,duty50%の記録を
行なう。記録マークの周方向の長さは0.4 μmである。
【0047】比較例として、補助記録層を形成せずに、
Tb濃度を異ならせた記録層を夫々成膜した光磁気ディ
スクを形成し、同様に再生磁界,C/Nを調べた。記録
層の組成及び測定結果を表3に示す。
【0048】
【表3】
【0049】表2から、記録補助層25にTb18Fe64
Co18を用いた場合は、300Oeという小さな再生磁
界でMSR再生が可能であり、49dBの十分なC/N
が得られることが判る。また、記録補助層25にTb21
Fe59Co20を用いた場合も、250Oeという小さな
再生磁界でMSR再生が可能であり、49dBの十分な
C/Nを得ている。一方、記録補助層25にTb22Fe
50Co28を用いた比較例では再生磁界が小さく、十分な
C/Nが得られているが、記録層のキュリー温度が従来
よりも高温であるために、従来よりも大きな消去パワー
及び記録パワー,消去磁界及び記録磁界等が必要とな
り、記録再生装置の小型化,省電力化を図れない。ま
た、記録補助層25にTb27Fe48Co25を用いた比較
例では、49dBの十分なC/Nが得られるが、500
Oe以上の再生磁界が必要であった。
【0050】また、表3から判るように、比較例として
記録層26にTb23Fe52Co25を用いた場合は再生磁
界は若干低減されるが、C/Nが十分ではない。Tb21
Fe 54Co25を用いた場合は、再生磁界は低減されるが
C/Nが不十分であり、Tb 27Fe48Co25を用いた場
合は、大きな再生磁界が必要であり、C/Nも十分では
ない。
【0051】以上の如く、第3の実施の形態では、少な
くとも室温で記録層26よりも遷移金属磁化が優勢であ
り、即ち記録層26よりも飽和磁化が大きく、且つ記録
層26よりもキュリー温度が低い記録補助層25を備え
ることにより、従来よりも150Oe以上も再生磁界を
低減することができた。また、C/Nは従来と同程度の
49dBであり、転写性の悪化は見られない。
【0052】
【発明の効果】以上のように、本発明においては、記録
層と中間層との間の交換結合力を制御するためのTMリ
ッチの記録補助層を、REリッチの記録層と中間層との
間に設けてあるので、REリッチの記録層の特性により
記録磁界感度を低下させることなく、TMリッチの磁性
層とREリッチの中間層との特性により再生磁界を低減
できる。
【0053】また、記録層と中間層との間に介在された
記録補助層が、少なくとも室温で記録層よりも大きな飽
和磁界を有し、キュリー温度が記録層よりも低いので、
転写性を悪化させることなく、また記録磁界感度,記録
パワー感度を悪化させることなく再生磁界を低減できる
等、本発明は優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施の形態の光磁気ディスクの膜構成図で
ある。
【図2】第1の実施の形態の光磁気ディスクの再生時の
磁化状態を示す図である。
【図3】第1の実施の形態の光磁気ディスクの記録磁界
感度を示すグラフである。
【図4】第1の実施の形態の記録補助層のTb量と再生
磁界との関係を表すグラフである。
【図5】第3の実施の形態の光磁気ディスクの膜構成図
である。
【図6】TbFeCo膜の飽和磁化の温度依存性を示す
グラフである。
【図7】従来の光磁気ディスクの膜構成と再生時の磁化
状態を示す図である。
【図8】中間層の磁化反転を説明する図である。
【符号の説明】
10,20 光磁気ディスク 13,23 再生層 14,24 中間層 15,25 記録補助層 16,26 記録層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に少なくとも再生層、中間層及び
    記録層をこの順に積層しており、前記再生層及び記録層
    は積層方向の磁化容易特性を有する希土類−遷移金属合
    金膜であり、前記中間層は室温で面内方向の磁化容易特
    性を有する希土類−遷移金属合金膜である光磁気記録媒
    体において、 希土類−遷移金属合金からなり、室温で遷移金属磁化優
    勢の磁気特性を有する記録補助層を前記記録層と前記中
    間層との間に備え、前記記録層は希土類磁化優勢の磁気
    特性を有することを特徴とする光磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 前記記録補助層は積層方向の磁化容易特
    性を有し、前記記録層よりも低いキュリー温度を有する
    請求項1記載の光磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記記録補助層は非磁性金属又はシリコ
    ンを含有している請求項1又は2記載の光磁気記録媒
    体。
  4. 【請求項4】 基板上に少なくとも再生層、中間層及び
    記録層をこの順に積層しており、前記再生層及び記録層
    は積層方向の磁化容易特性を有する希土類−遷移金属合
    金膜であり、前記中間層は室温で面内方向の磁化容易特
    性を有する希土類−遷移金属合金膜である光磁気記録媒
    体において、 希土類−遷移金属合金からなり、少なくとも室温にて遷
    移金属磁化が前記記録層よりも優勢な磁気特性を有し、
    前記記録層よりも低いキュリー温度を有する記録補助層
    を、前記記録層と前記中間層との間に備えることを特徴
    とする光磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 基板上に少なくとも再生層、中間層及び
    記録層をこの順に積層しており、前記再生層及び記録層
    は積層方向の磁化容易特性を有する磁性膜であり、前記
    中間層は室温で面内方向の磁化容易特性を有する磁性膜
    である光磁気記録媒体において、 少なくとも室温にて前記記録層よりも大きい飽和磁化を
    有し、前記記録層よりも低いキュリー温度を有する記録
    補助層を、前記記録層と前記中間層との間に備えること
    を特徴とする光磁気記録媒体。
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