JPH10301A - 反応蒸留装置および反応蒸留方法 - Google Patents

反応蒸留装置および反応蒸留方法

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JPH10301A
JPH10301A JP8154539A JP15453996A JPH10301A JP H10301 A JPH10301 A JP H10301A JP 8154539 A JP8154539 A JP 8154539A JP 15453996 A JP15453996 A JP 15453996A JP H10301 A JPH10301 A JP H10301A
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stage
solvent
reactive distillation
reaction
carbonate
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Application number
JP8154539A
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English (en)
Inventor
Yutaka Yoshida
吉田  裕
Hideaki Tsuneki
英昭 常木
Atsushi Moriya
篤 守屋
Hironori Wakayama
裕紀 若山
Kenichi Watanabe
憲一 渡辺
Yoshiyuki Onda
義幸 恩田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH10301A publication Critical patent/JPH10301A/ja
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/10Process efficiency

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  • Vaporization, Distillation, Condensation, Sublimation, And Cold Traps (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塔底の温度を維持したまま、塔内温度を高く
することにより、つまり、塔底と塔頂との温度差を小さ
くすることによって平衡反応の反応効率を向上させるこ
とができる反応蒸留装置、および、反応蒸留方法を提供
する。 【解決手段】 反応蒸留装置は、(i) 原料を連続的に供
給する原料供給管5を反応蒸留塔1の第一の段に備え、
(ii)該第一の段よりも下側の第二の段に、該第二の段に
存在する反応液の沸点よりも沸点が低く、かつ該反応液
に溶解する溶剤を連続的に供給する溶剤供給管6を備
え、(iii) 上記溶剤が供給されない状態での第二の段の
操作温度をt0 (℃)、溶剤が供給された状態での第二
の段の操作温度をt1 (℃)とするとき、 |t1 −t0 |≦20(℃) の関係を満足するように操作圧を調節する圧力調整弁1
1等からなる調節手段を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、芳香族カ
ルボン酸エステルと、脂肪族炭酸エステルおよび/また
は芳香族・脂肪族炭酸エステルとのエステル交換反応等
の種々の平衡反応に適用することができる反応蒸留装
置、および、反応蒸留方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、平衡反応の平衡が生成系側に
不利である場合には、いわゆる反応蒸留を行うことによ
り、上記平衡を生成系側に有利にして反応効率(平衡転
化率)を高めることが行われている。例えば、「化学工
学」第57巻第1号77頁〜79頁(1993年)に
は、具体例で、上記の反応蒸留についての説明が記載さ
れている。
【0003】上記の反応蒸留は、一般に、連続式多段蒸
留塔(反応蒸留装置)等を用いて実施されている。該蒸
留塔内で反応蒸留を行うと、反応が進行するに伴って、
反応液中のより高沸点の成分が蒸留塔の下段側に多く分
布し、より低沸点の成分が蒸留塔の上段側に多く分布す
る。それゆえ、該蒸留塔においては、塔底から塔頂に向
かうに従い、塔内温度は低くなる。
【0004】ところで、平衡反応の反応速度は、温度が
低くなるに従い、遅くなる。このため、蒸留塔内で反応
蒸留を行うと、塔底から塔頂に向かうに従い、反応速度
が遅くなる。つまり、該蒸留塔においては、塔底から塔
頂に向かうに従い、平衡反応の反応効率が低下する。
【0005】そこで、反応効率を向上させるためには、
即ち、反応速度を速くするためには、塔底に加える熱量
を増加させることによって塔内温度を全体的により一層
高くすることが考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
方法によって反応速度を速くすると、塔底付近に存在す
る反応液が必要以上に加熱されることになる。平衡反応
の反応速度は、温度が高くなるに従い速くなる(例え
ば、温度が10℃高くなると、反応速度は凡そ2倍にな
る)が、反面、副反応も進行し易くなる。つまり、副反
応が進行して副生成物が生成し易くなるので、塔底の温
度は、或る温度以上にすることが難しい。それゆえ、塔
底に加える熱量を増加させることによって塔内温度を全
体的により一層高くする上記の反応蒸留方法では、塔底
付近において副生成物が生成し易くなるので、平衡反応
の反応効率を向上させることが困難であるという問題点
を有している。また、目的生成物に副生成物が混入する
おそれも招来する。
【0007】従って、塔底に加える熱量を増加させるこ
となく塔内温度、特に塔頂付近の温度を高くすることが
できる方法が切望されている。即ち、本発明は、上記従
来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、塔
底の温度を維持したまま、塔内温度を高くすることによ
り、つまり、塔底と塔頂との温度差を小さくすることに
よって平衡反応の反応効率を向上させることができる反
応蒸留装置、および、反応蒸留方法を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、上記従
来の問題点を解決すべく、反応蒸留装置および反応蒸留
方法について鋭意検討した結果、原料を連続的に供給す
る原料供給部を該装置の第一の段に備えると共に、該第
一の段よりも下側の第二の段に、所定の物性を有する溶
剤を連続的に供給する溶剤供給部を備え、上記溶剤が供
給されない状態での第二の段の操作温度と、溶剤が供給
された状態での第二の段の操作温度とが、或る一定の関
係を満足するように反応圧力を調節する調節手段を備え
ている反応蒸留装置が、塔底の温度を維持したまま、塔
内温度を高くすることができること、つまり、塔底と塔
頂との温度差を小さくすることができることを見い出す
と共に、該反応蒸留装置を用いて反応蒸留を行うことに
より、平衡反応の反応効率を向上させることができるこ
とを見い出して、本発明を完成させるに至った。
【0009】即ち、請求項1記載の発明の反応蒸留装置
は、上記の課題を解決するために、多段式の反応蒸留装
置であって、(i) 原料を連続的に供給する原料供給部を
該装置の第一の段に備え、(ii)該第一の段よりも下側の
第二の段に、該第二の段に存在する反応液の沸点よりも
沸点が低く、かつ該反応液に溶解する溶剤を連続的に供
給する溶剤供給部を備え、(iii) 上記溶剤が供給されな
い状態での第二の段の操作温度をt0 (℃)、溶剤が供
給された状態での第二の段の操作温度をt1 (℃)とす
るとき、 |t1 −t0 |≦20(℃) の関係を満足するように反応圧力を調節する調節手段を
備えていることを特徴としている。
【0010】上記の構成によれば、溶剤供給部によって
装置内に溶剤を連続的に供給することができ、しかも、
調節手段によって反応圧力を調節することができるの
で、塔底の温度を維持したまま、塔内温度を高くするこ
とができる。つまり、溶剤が供給されない場合と比較し
て、塔底と塔頂との温度差を小さくすることができる。
これにより、平衡反応の反応効率を向上させることがで
きる反応蒸留装置を提供することができる。
【0011】請求項2記載の発明の反応蒸留装置は、上
記の課題を解決するために、請求項1記載の反応蒸留装
置において、上記溶剤供給部が塔底部に設けられている
ことを特徴としている。
【0012】これにより、平衡反応の反応効率をより一
層向上させることができる反応蒸留装置を提供すること
ができる。
【0013】また、請求項3記載の発明の反応蒸留方法
は、上記の課題を解決するために、多段式の反応蒸留装
置を用いる反応蒸留方法であって、前記装置の第一の段
に原料を連続的に供給すると共に、該第一の段よりも下
側の第二の段に、該第二の段に存在する反応液の沸点よ
りも沸点が低く、かつ該反応液に溶解する溶剤を連続的
に供給する一方、上記溶剤を供給しない状態での第二の
段の操作温度をt0 (℃)、溶剤を供給した状態での第
二の段の操作温度をt1 (℃)とするとき、 |t1 −t0 |≦20(℃) の関係を満足するように反応圧力を調節することを特徴
としている。
【0014】上記の方法によれば、溶剤を連続的に供給
する一方、反応圧力を調節するので、塔底の温度を維持
したまま、塔内温度を高くすることができる。つまり、
溶剤が供給されない場合と比較して、塔底と塔頂との温
度差を小さくすることができる。これにより、平衡反応
の反応効率が向上された反応蒸留方法を提供することが
できる。
【0015】請求項4記載の発明の反応蒸留方法は、上
記の課題を解決するために、請求項3記載の反応蒸留方
法において、塔底部に溶剤を連続的に供給することを特
徴としている。
【0016】これにより、平衡反応の反応効率がより一
層向上された反応蒸留方法を提供することができる。
【0017】請求項5記載の発明の反応蒸留方法は、上
記の課題を解決するために、請求項3または4記載の反
応蒸留方法において、上記原料が芳香族カルボン酸エス
テルと、脂肪族炭酸エステルおよび/または芳香族・脂
肪族炭酸エステルとを含み、かつ、上記溶剤が脂肪族炭
酸エステルであることを特徴としている。
【0018】上記の方法によれば、芳香族カルボン酸エ
ステルと、脂肪族炭酸エステルおよび/または芳香族・
脂肪族炭酸エステルとのエステル交換反応(平衡反応)
により、芳香族炭酸エステルを効率的に製造することが
できる。尚、芳香族炭酸エステルは、工業的に有用な化
合物である。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の一実施の形態について図
1に基づいて説明すれば、以下の通りである。尚、本発
明において、「反応液の沸点」とは、該反応液を構成す
る、複数の成分からなる混合液の沸点を示す。また、本
発明において、「溶剤が供給されない状態での第二の段
の操作温度」とは、溶剤を供給することなしに反応蒸留
を実施した場合、つまり、公知の反応蒸留を実施した場
合における第二の段の操作温度を示す。さらに、本発明
において、「塔底部」とは、反応蒸留装置の塔底、およ
び、反応蒸留装置の全段数をn段としたとき、下から凡
そ「(1/5)n」段目までを示す。
【0020】本発明にかかる反応蒸留装置および反応蒸
留方法は、種々の平衡反応に適用することができるが、
以下の説明においては、説明の便宜上、二種類の原料か
ら二種類の生成物が得られる平衡反応を例に挙げること
とする。つまり、原料(A)および原料(B)を用い
て、次式、 原料(A)+原料(B)⇔ 生成物(C)+生成物
(D) に示す平衡反応を行うことにより、目的物である生成物
(C)を得る場合を例に挙げて説明することとする。但
し、生成物(C)および副生成物である生成物(D)の
沸点の順序は、生成物(C)>生成物(D)であるとす
る。
【0021】図1に示すように、本発明にかかる反応蒸
留装置は、反応蒸留塔1、リボイラー2、凝縮器3、ポ
ンプ4、および、圧力調整弁11等を備えている。
【0022】上記の反応蒸留塔1は、該反応蒸留塔1内
に気相部が存在し、生成した低沸点成分が該気相部へ連
続的に分離・除去され得る構造、即ち、いわゆる反応蒸
留を実施することができる構造であればよい。反応蒸留
塔1としては、塔頂と塔底とを除いた段数が2段以上で
ある連続式多段蒸留塔が好適である。このような蒸留塔
としては、例えば、ラシヒリング、ポールリング、イン
タロックスサドル、ディクソンパッキング、マクマホン
パッキング、スルーザーパッキング等の充填物が充填さ
れた充填塔;泡鐘トレイ、シーブトレイ、バルブトレイ
等のトレイ(棚段)を使用した棚段塔;等、一般に用い
られている蒸留塔を採用することができる。また、棚段
と充填物層とを併せ持つ複合式の蒸留塔も採用すること
ができる。上記の段数とは、棚段塔においては棚段の数
を示し、充填塔においては理論段数を示す。
【0023】反応蒸留塔1は、気液接触型反応器であ
り、原料(A)と原料(B)とを気液接触させる。反応
蒸留塔1には、原料供給管5および溶剤供給管6が接続
されている。また、反応蒸留塔1の塔底は、抜き出し管
8および導管14を介してリボイラー2と接続されてい
る。さらに、反応蒸留塔1の塔頂は、導管12を介して
凝縮器3と接続されている。上記の原料供給管5および
溶剤供給管6は、反応蒸留塔1における異なる段に設け
られている。つまり、反応蒸留塔1において、原料供給
管5は、最下段ではない第一の段に接続されており、溶
剤供給管6は、第一の段よりも下側に位置する第二の段
に接続されている。溶剤供給管6は、塔底部に接続され
ていることがより好ましく、塔底に接続されていること
がさらに好ましい。尚、原料供給管5が接続される第一
の段は、反応蒸留塔1の中段付近が好適であるが、特に
限定されるものではない。
【0024】原料供給部としての原料供給管5は、原料
(A)および原料(B)を含む混合物(以下、単に原料
と称する)を反応蒸留塔1に連続的に供給する。溶剤供
給部としての溶剤供給管6は、溶剤(後述する)を反応
蒸留塔1に連続的に供給する。
【0025】溶剤供給管6を介して反応蒸留塔1に供給
される溶剤は、上記第二の段に存在する反応液の沸点よ
りも沸点が低く、かつ、該反応液に溶解する化合物であ
ればよく、特に限定されるものではないが、平衡反応に
対して不活性な化合物、或いは、原料に含まれる成分若
しくは平衡反応によって生成する成分、つまり、反応基
質が好ましい。上記の不活性な化合物としては、例え
ば、エーテル類、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハ
ロゲン化炭化水素等が好適である。また、上記の反応基
質としては、具体的には、例えば、芳香族カルボン酸エ
ステルと、脂肪族炭酸エステルおよび/または芳香族・
脂肪族炭酸エステルとをエステル交換反応させる場合に
は、脂肪族炭酸エステルや生成する脂肪族カルボン酸エ
ステルを用いることができる。反応基質を溶剤として用
いると、溶剤を回収する工程等を必要に応じて省略する
ことができるので、工業的に有利である。
【0026】また、反応蒸留塔1の操作圧下における溶
剤の沸点は、該反応液の沸点よりも50℃以上低いこと
がより好ましい。つまり、溶剤と反応液との沸点差は、
大きい方が好ましく、50℃以上であることがより好ま
しく、100℃以上であることがさらに好ましい。
【0027】原料の供給量に対する溶剤の供給量の割合
は、0.001重量倍〜5重量倍の範囲内が好ましく、
0.01重量倍〜1重量倍の範囲内がより好ましい。溶
剤の供給量が原料の供給量の0.001重量倍未満の場
合には、溶剤を供給することにより生じる効果が乏しく
なるので好ましくない。また、溶剤の供給量が原料の供
給量の5重量倍を越える場合には、溶剤の供給量が多く
なり過ぎ、生産性が低下すると共に、溶剤を回収するた
めの用役費が増加するので好ましくない。
【0028】リボイラー2は、抜き出し管8および導管
14を介して反応蒸留塔1の塔底と接続されている。リ
ボイラー2は、抜き出し管8を通じて抜き出した塔底液
を加熱し、導管14を通じて塔底に戻す。つまり、リボ
イラー2は、塔底液を加熱して循環させる。そして、抜
き出し管8は分枝しており、塔底液の一部を缶出液とし
て連続的に反応系外に抜き出すことができるようになっ
ている。
【0029】凝縮器3は、反応蒸留塔1の留出液を凝縮
して液化する。凝縮器3は、導管12を介して反応蒸留
塔1の塔頂と接続されており、抜き出し管9を介してポ
ンプ4と接続されている。また、凝縮器3には、圧力調
整弁11を備えた調整管10が取り付けられている。そ
して、抜き出し管9は分枝しており、留出液の一部を連
続的に反応系外に抜き出すことができるようになってい
る。
【0030】ポンプ4は、所定の還流比で留出液を反応
蒸留塔1に還流させるようになっている。ポンプ4は、
抜き出し管9を介して凝縮器3と接続されており、導管
13を介して反応蒸留塔1の塔頂と接続されている。
【0031】圧力調整弁11は、反応蒸留塔1の操作圧
(反応圧力)を、後述する圧力に調節するようになって
いる。調整管10は、真空ポンプ等の減圧装置や加圧装
置等の圧力調節装置(図示せず)に接続されている。そ
して、圧力調整弁11、調整管10、および圧力調節装
置等によって調節手段が構成されている。
【0032】調節手段、即ち、圧力調整弁11は、反応
蒸留塔1の操作圧を、上記溶剤が供給されない状態での
第二の段の操作温度をt0 (℃)、溶剤が供給された状
態での第二の段の操作温度をt1 (℃)とするとき、 |t1 −t0 |≦20(℃) の関係を満足するように、より好ましくは、 |t1 −t0 |≦10(℃) の関係を満足するように、さらに好ましくは、 |t1 −t0 |≦5(℃) の関係を満足するように、特に好ましくは、 |t1 −t0 |=0(℃) の関係を満足するように調節する。つまり、圧力調整弁
11は、上記操作温度t0 ・t1 の温度差が20℃以
内、より好ましくは10℃以内、さらに好ましくは5℃
以内、特に好ましくは0℃になるように、反応蒸留塔1
の操作圧を調節する。これにより、溶剤が供給された状
態での塔底の温度を、溶剤が供給されない状態での塔底
の温度に維持することができる。
【0033】尚、溶剤が供給されると第二の段の操作温
度は低下し、t1 <t0 となるので、圧力調整弁11
は、通常、反応蒸留塔1内を加圧し、操作圧が高くなる
ように調節する。
【0034】次に、上記構成の反応蒸留装置を用いた生
成物(C)の製造方法の一例について説明する。先ず、
原料供給管5を介して原料を、溶剤供給管6を介して溶
剤を反応蒸留塔1にそれぞれ連続的に供給する。これら
原料および溶剤は、液状で供給してもよく、ガス状で供
給してもよく、或いは、気液混合状態で供給してもよ
い。また、圧力調整弁11により、反応蒸留塔1の操作
圧を調節する。これにより、塔底の温度を維持したま
ま、塔内温度を高くすることができる。つまり、溶剤が
供給されない場合と比較して、塔底と塔頂との温度差を
小さくすることができる。
【0035】反応蒸留塔1に供給された原料を気液接触
させることにより、反応蒸留が行われる。これにより、
平衡反応が進行し、生成物(C)および生成物(D)が
生成すると共に、両者が分離される。目的物である生成
物(C)は、反応蒸留塔1内を流下し、缶出液(塔底
液)として連続的に抜き出される。即ち、生成物(C)
は、缶出液として連続的に反応系外に取り出される。ま
た、副生成物である生成物(D)は、留出液として連続
的に抜き出される。以上の反応操作を行うことにより、
連続的かつ効率的に生成物(C)を製造することができ
る。
【0036】上記の平衡反応に例えば均一触媒を用いる
場合には、該触媒は、原料と共に反応蒸留塔1に連続的
に供給するか、または、原料とは別個に反応蒸留塔1に
連続的に供給する。触媒と原料とは、反応蒸留塔1にお
ける互いに同じ段に供給してもよく、また、互いに異な
る段に供給してもよい。但し、反応蒸留塔1において
は、触媒の存在する領域(段)が多い程、反応液と触媒
との接触頻度が増し、反応効率が良好となる。このた
め、触媒は、反応蒸留塔1のできるだけ上側の段に供給
することが好ましい。該触媒は、蒸留等の公知の方法を
用いることにより、缶出液から分離・回収すればよい。
尚、触媒は、適当な溶媒に溶解させた状態で反応蒸留塔
1に供給してもよい。
【0037】また、平衡反応に例えば固体の不均一触媒
を用いる場合には、該触媒は、反応蒸留塔1内部に保持
する。そして、反応蒸留塔1として充填塔(後述する)
を用いる場合には、反応蒸留塔1内に充填する充填物の
一部または全部に代えて不均一触媒を充填することもで
きる。反応蒸留塔1として棚段塔(後述する)を用いる
場合には、不均一触媒を棚段やダウンカマー内に保持す
ればよい。
【0038】上記の反応蒸留塔1を操作する際に、その
操作条件を決める因子としては、例えば、段数、操作温
度(反応温度)、操作圧、液の滞留時間、還流比、およ
び液のホールドアップ量等が挙げられる。
【0039】操作温度は、原料および溶剤の種類や組み
合わせ、触媒の種類や量、他の条件(因子)等にもよる
が、50℃〜350℃の範囲内が好ましく、100℃〜
300℃の範囲内がより好ましい。操作温度が50℃よ
りも低い場合には、触媒活性が低くなるので反応時間が
長くなり、生産性が低下するため好ましくない。また、
操作温度が350℃よりも高い場合には、副反応が進行
し易くなるため好ましくない。さらに、反応蒸留塔1内
部の圧力が上昇しすぎるため好ましくない。
【0040】操作圧は、減圧、常圧、加圧の何れであっ
てもよく、また、原料および溶剤の種類や組み合わせ、
触媒の種類や量、他の条件(因子)等にもよるが、1m
mHg〜100kg/cm2 の範囲内が好ましく、5m
mHg〜50kg/cm2 の範囲内がより好ましい。
【0041】ホールドアップ量や段数は、反応時間、即
ち、滞留時間と密接に関係している。つまり、平衡転化
率を高めるには、滞留時間を或る程度長くする必要があ
り、また、滞留時間を長くするには、ホールドアップ量
を大きくするか、または、段数を多くする必要がある。
このうち、ホールドアップ量を大きくする方が好ましい
が、或る程度以上大きくすると、フラッディングが起こ
る。このため、反応蒸留塔1の空塔容積(体積)に対す
るホールドアップ量は、体積比で0.005〜0.75
の範囲内が好ましく、0.01〜0.5の範囲内がより
好ましい。また、段数を多くする場合には、反応蒸留塔
1を製造する際の費用や高さ制限、用役費、固定費等を
考慮に入れて、2段〜100段程度が好ましい。尚、段
数を多くすると、気液分離の効率が向上する。
【0042】還流比は、0〜100の範囲内が好まし
く、0〜50の範囲内がより好ましく、0〜25の範囲
内がさらに好ましい。尚、原料(A)または原料(B)
と、生成物(D)とが共沸組成物を形成する場合には、
還流比は、0或いは比較的小さな値にすることが好まし
い。また、原料(A)または原料(B)と、生成物
(D)との沸点差が比較的小さい場合には、還流比は、
用役費や固定費等を考慮に入れて、比較的大きな値にす
ることが好ましい。
【0043】不均一触媒を用いる場合には、反応蒸留塔
1内に触媒を保持すれば触媒の分離の必要はなく、スラ
リー状で用いる場合でも反応終了後、遠心分離や濾過等
の公知の方法を用いることにより、缶出液から不均一触
媒を容易に除去・回収することができる。また、均一触
媒を用いる場合には、反応終了後、蒸留等の公知の方法
を用いることにより、缶出液から均一触媒を容易に分離
・回収することができる。そして、反応終了後、上記の
方法を用いて触媒を分離し、次いで、蒸留、抽出、再結
晶等の公知の方法を用いることにより、目的物である生
成物(C)を容易に単離することができる。また、必要
に応じて、副生成物である生成物(D)や、未反応物で
ある原料(A)、原料(B)等を容易に分離・回収する
ことができる。
【0044】尚、反応蒸留装置は、図1に示す構成にの
み限定されるものではない。例えば、原料供給管は、原
料(A)と原料(B)とをそれぞれ別々に反応蒸留塔に
供給することができるように、2本設けられていてもよ
い。つまり、2本の原料供給管をそれぞれ別々の段に接
続することにより、原料(A)と原料(B)とをそれぞ
れ別々の段に供給してもよい。この場合、原料(A)に
は、原料(B)の一部が含まれていてもよく、また、原
料(B)には、原料(A)の一部が含まれていてもよ
い。但し、反応蒸留塔内で両者の接触が円滑に行われる
ように、より高沸点の原料を供給する段を、より低沸点
の原料を供給する段よりも上段とすることが好ましい。
さらに、上記の説明においては、二種類の原料を用いる
平衡反応を例に挙げて説明したが、本発明にかかる反応
蒸留装置は、三種類以上の原料を用いる複雑な平衡反応
にも供することができる。この場合には、例えば、反応
蒸留塔に、原料の種類と同数の原料供給管を設ければよ
い。
【0045】次に、本発明にかかる反応蒸留装置および
反応蒸留方法について、具体的な例を挙げて、以下によ
り詳しく説明する。以下の説明においては、上記の原料
が芳香族カルボン酸エステルと、脂肪族炭酸エステルお
よび/または芳香族・脂肪族炭酸エステルとを含み、か
つ、上記の溶剤が脂肪族炭酸エステルである場合、つま
り、脂肪族炭酸エステルを溶剤として用いて、芳香族カ
ルボン酸エステルと、脂肪族炭酸エステルおよび/また
は芳香族・脂肪族炭酸エステルとをエステル交換反応さ
せることにより、目的物である芳香族炭酸エステルを得
る場合を例に挙げることとする。尚、本発明において、
脂肪族炭酸エステルとは、置換基として脂肪族基を2つ
有する炭酸エステルを示し、芳香族・脂肪族炭酸エステ
ルとは、置換基として脂肪族基と芳香族基とを有する炭
酸エステルを示し、芳香族炭酸エステルとは、置換基と
して芳香族基を2つ有する炭酸エステルを示す。また、
説明の便宜上、原料に含まれる脂肪族炭酸エステルと、
溶剤として用いる脂肪族炭酸エステルとを区別する必要
がある場合には、溶剤として用いる脂肪族炭酸エステル
を脂肪族炭酸エステル(a)と称することとする。
【0046】従って、芳香族カルボン酸エステル、並び
に、脂肪族炭酸エステルおよび/または芳香族・脂肪族
炭酸エステルのうち、何れか一方が原料(A)に相当
し、他方が原料(B)に相当する。また、芳香族炭酸エ
ステルが生成物(C)に相当し、副生成物である脂肪族
カルボン酸エステルが生成物(D)に相当する。
【0047】尚、上記のエステル交換反応は、脂肪族炭
酸エステルを用いた場合には、芳香族・脂肪族炭酸エス
テルが生成する反応と、芳香族炭酸エステルが生成する
反応との2段階で進行する。
【0048】上記の芳香族カルボン酸エステルとして
は、具体的には、例えば、酢酸フェニル、酢酸メチルフ
ェニルの各異性体、酢酸エチルフェニルの各異性体、酢
酸クロロフェニルの各異性体、酢酸イソプロピルフェニ
ルの各異性体、酢酸メトキシフェニルの各異性体、酢酸
ジメチルフェニルの各異性体、酢酸ナフチルの各異性
体、プロピオン酸フェニル、プロピオン酸メチルフェニ
ルの各異性体、酪酸フェニル、イソ酪酸フェニル、吉草
酸フェニル、吉草酸メチルフェニルの各異性体、イソ吉
草酸フェニル、ヘキサン酸フェニル、ヘプタン酸フェニ
ル等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0049】上記のエステル交換反応においては、該エ
ステル交換反応の平衡を生成系側に有利にして反応効率
(平衡転化率)を高めるために、副生する脂肪族カルボ
ン酸エステルを連続的に反応系外に抜き出す。このた
め、上記例示の化合物のうち、脂肪族カルボン酸エステ
ルの沸点よりも沸点が高い芳香族カルボン酸エステルが
より好ましい。
【0050】上記の脂肪族炭酸エステルとしては、具体
的には、例えば、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジ
−n−プロピル、炭酸ジイソプロピル、炭酸ジブチルの
各異性体、炭酸ジペンチルの各異性体、炭酸ジヘキシル
の各異性体、炭酸ジヘプチルの各異性体、炭酸ジオクチ
ルの各異性体、炭酸ジノニルの各異性体、炭酸ジデシル
の各異性体、炭酸ジシクロヘキシル、炭酸ジベンジル、
炭酸ジフェネチルの各異性体、炭酸ジ(メチルベンジ
ル)の各異性体等が挙げられるが、特に限定されるもの
ではない。これら脂肪族炭酸エステルは、適宜混合して
用いてもよい。上記例示の化合物のうち、工業的な面か
ら炭酸ジメチルが好適である。
【0051】また、上記の溶剤としては、具体的には、
例えば、上記例示の脂肪族炭酸エステルが挙げられる。
上記例示の化合物のうち、工業的な面から炭酸ジメチル
が好適である。
【0052】上記の芳香族・脂肪族炭酸エステルとして
は、例えば、上記例示の脂肪族炭酸エステルが有する2
つの脂肪族基のうち、1つが芳香族基に置換された炭酸
エステルが挙げられるが、特に限定されるものではな
い。該芳香族基としては、具体的には、例えば、前記例
示の芳香族カルボン酸エステルが有する芳香族基が挙げ
られる。これら芳香族・脂肪族炭酸エステルは、適宜混
合して用いてもよい。また、脂肪族炭酸エステルと芳香
族・脂肪族炭酸エステルとを併用する場合において、両
者の割合は、特に限定されるものではない。
【0053】そして、脂肪族カルボン酸エステルを連続
的に反応系外に抜き出すためには、脂肪族カルボン酸エ
ステルの沸点よりも沸点が高い芳香族・脂肪族炭酸エス
テルを用いることが好ましい。また、生成する芳香族炭
酸エステルを連続的に反応系外に抜き出すためには、芳
香族炭酸エステルの沸点よりも沸点が低い芳香族カルボ
ン酸エステルや脂肪族炭酸エステル、芳香族・脂肪族炭
酸エステルを用いることが好ましい。
【0054】さらに、生成する芳香族炭酸エステルと芳
香族カルボン酸エステルとの分離が容易となるように、
両者の沸点差が比較的大きいことが好ましい。尚、脂肪
族炭酸エステルや芳香族・脂肪族炭酸エステルの平衡転
化率を高めるには、芳香族カルボン酸エステルと、脂肪
族炭酸エステルや芳香族・脂肪族炭酸エステルとの沸点
差が比較的小さいことが好ましく、また、芳香族カルボ
ン酸エステルと脂肪族カルボン酸エステルとの沸点差が
比較的大きいことが好ましい。
【0055】芳香族カルボン酸エステルと、脂肪族炭酸
エステルおよび/または芳香族・脂肪族炭酸エステルと
のエステル交換反応は、触媒の存在下で行う。上記の触
媒としては、硫酸等の鉱酸;パラトルエンスルホン酸等
のスルホン酸類;イオン交換樹脂、ゼオライト等の固体
酸;水酸化ナトリウム等の塩基;チタンテトライソプロ
ポキシド、ジルコニウム(IV)イソプロポキシド等の金属
アルコキシド;塩化アルミニウム、四塩化チタン等のル
イス酸や、ルイス酸を発生する化合物;フェノキシ鉛、
フェノキシチタン等の金属フェノキサイド類;酸化鉛
類;炭酸鉛等の鉛塩類;ジルコニウム(IV)アセチルアセ
トネート、ビス(アセチルアセトナト)銅(II)、亜鉛(I
I)アセチルアセトネート、リチウムアセチルアセトネー
ト等の金属アセチルアセトネート錯体;ジブチル錫オキ
シド等の有機錫化合物;チタノシリケート;金属置換リ
ン酸アルミニウム等が挙げられるが、特に限定されるも
のではない。上記例示の触媒のうち、弱酸および弱塩基
が、芳香族炭酸エステルの選択率が向上するのでより好
ましい。
【0056】そして、固体の不均一触媒を用いる場合に
は、前記の反応蒸留塔1内部に該触媒を保持して反応液
を接触させればよい。また、反応蒸留塔1として充填塔
や複合式の蒸留塔を用いる場合には、塔内に充填する充
填物の一部または全部に代えて固体の触媒を充填するこ
ともできる。
【0057】また、均一触媒を用いる場合には、該触媒
は、芳香族カルボン酸エステル、並びに、脂肪族炭酸エ
ステルおよび/または芳香族・脂肪族炭酸エステルの何
れか一方または両方に混合して反応蒸留塔1に連続的に
供給するか、または、これら原料とは別個に反応蒸留塔
1に連続的に供給する。
【0058】均一触媒を用いる場合における触媒濃度
は、芳香族カルボン酸エステル、脂肪族炭酸エステル、
および芳香族・脂肪族炭酸エステルの合計量、つまり、
原料に対して、下限値は0.1ppm、好ましくは1p
pm、さらに好ましくはは10ppmである。また、上
限値は、反応蒸留塔1内部の反応液に飽和状態で溶解す
る量であり、凡そ10重量%、好ましくは5重量%、さ
らに好ましくは1重量%である。
【0059】反応蒸留塔1への原料の供給方法は、特に
限定されるものではなく、芳香族カルボン酸エステル、
並びに、脂肪族炭酸エステルおよび/または芳香族・脂
肪族炭酸エステルを混合してなる混合物を連続的に供給
してもよく、また、芳香族カルボン酸エステルと、脂肪
族炭酸エステルおよび/または芳香族・脂肪族炭酸エス
テルとをそれぞれ別個に、連続的に供給してもよい。そ
して、これら原料は、液状で供給してもよく、ガス状で
供給してもよく、或いは、気液混合状態で供給してもよ
い。但し、反応蒸留塔1内で両者の接触が円滑に行われ
るように、より高沸点の原料成分を供給する段を、より
低沸点の原料成分を供給する段よりも上段とすることが
好ましい。尚、上記高沸点の原料成分には、低沸点の原
料成分の一部が含まれていてもよく、また、上記低沸点
の原料成分には、高沸点の原料成分の一部が含まれてい
てもよい。
【0060】また、反応蒸留塔1への溶剤としての脂肪
族炭酸エステル(a)の供給方法は、特に限定されるも
のではなく、液状で供給してもよく、ガス状で供給して
もよく、或いは、気液混合状態で供給してもよい。
【0061】芳香族カルボン酸エステルと、脂肪族炭酸
エステルおよび/または芳香族・脂肪族炭酸エステルと
のモル比は、使用する触媒の種類や量、或いは反応条件
等にもよるが、1:100〜100:1の範囲内が好ま
しく、1:20〜20:1の範囲内がより好ましく、
1:10〜10:1の範囲内がさらに好ましい。尚、上
記モル比を算出する際の脂肪族炭酸エステルには、溶剤
として供給される脂肪族炭酸エステル(a)も含まれて
いる。また、芳香族カルボン酸エステルには、該芳香族
カルボン酸エステルを合成する際の原料、即ち、未反応
物が混入していてもよい。上記の未反応物としては、例
えば、脂肪族カルボン酸エステルや芳香族ヒドロキシ化
合物等が挙げられる。但し、芳香族カルボン酸エステル
に未反応物が混入している場合には、芳香族炭酸エステ
ルを効率的に製造するために、該混合物中の芳香族カル
ボン酸エステルの含有量は、10モル%以上が好まし
く、20モル%以上がより好ましい。
【0062】反応蒸留塔1の操作温度は、芳香族カルボ
ン酸エステル、脂肪族炭酸エステルおよび/または芳香
族・脂肪族炭酸エステル、および溶剤の種類や組み合わ
せ、触媒の種類や量、他の条件(因子)等にもよるが、
塔底の温度は、300℃以下が好ましく、280℃以下
がより好ましい。
【0063】次に、反応蒸留塔1を用いた芳香族炭酸エ
ステルの製造方法の一例について説明する。先ず、芳香
族カルボン酸エステルと、脂肪族炭酸エステルおよび/
または芳香族・脂肪族炭酸エステルとを含む原料、およ
び触媒を、原料供給管5を介して反応蒸留塔1に連続的
に供給する。溶剤としての脂肪族炭酸エステル(a)
を、溶剤供給管6を介して反応蒸留塔1に連続的に供給
する。また、圧力調整弁11により、反応蒸留塔1の操
作圧を調節する。
【0064】反応蒸留塔1に供給された原料を触媒の存
在下で気液接触させることにより、反応蒸留が行われ
る。これにより、平衡反応が進行し、芳香族炭酸エステ
ルおよび脂肪族カルボン酸エステルが生成すると共に、
両者が分離される。目的物である芳香族炭酸エステル
は、反応蒸留塔1内を流下し、缶出液として連続的に反
応系外に取り出される。また、副生成物である脂肪族カ
ルボン酸エステルは、留出液として連続的に抜き出され
る。以上の反応操作を行うことにより、連続的かつ効率
的に芳香族炭酸エステルを製造することができる。
【0065】以上のように、本発明にかかる反応蒸留装
置は、(i) 原料を連続的に供給する原料供給管5を反応
蒸留塔1の第一の段に備え、(ii)該第一の段よりも下側
の第二の段に、該第二の段に存在する反応液の沸点より
も沸点が低く、かつ該反応液に溶解する溶剤を連続的に
供給する溶剤供給管6を備え、(iii) 上記溶剤が供給さ
れない状態での第二の段の操作温度をt0 (℃)、溶剤
が供給された状態での第二の段の操作温度をt1 (℃)
とするとき、 |t1 −t0 |≦20(℃) の関係を満足するように操作圧を調節する圧力調整弁1
1等からなる調節手段を備えている構成である。
【0066】上記の構成によれば、溶剤供給管6によっ
て反応蒸留塔1内に溶剤を連続的に供給することがで
き、しかも、圧力調整弁11等によって操作圧を調節す
ることができるので、塔底の温度を維持したまま、塔内
温度を高くすることができる。つまり、溶剤が供給され
ない場合と比較して、塔底と塔頂との温度差を小さくす
ることができる。これにより、平衡反応の反応効率を向
上させることができる反応蒸留装置を提供することがで
きる。
【0067】また、本発明にかかる反応蒸留方法は、上
記の反応蒸留装置を用いて、反応蒸留塔1の第一の段に
原料を連続的に供給すると共に、該第一の段よりも下側
の第二の段に、上記溶剤を連続的に供給する一方、上記
の操作温度t0 ・t1 が、 |t1 −t0 |≦20(℃) の関係を満足するように操作圧を調節する方法である。
【0068】上記の方法によれば、溶剤を連続的に供給
する一方、操作圧を調節するので、塔底の温度を維持し
たまま、塔内温度を高くすることができる。つまり、溶
剤が供給されない場合と比較して、塔底と塔頂との温度
差を小さくすることができる。これにより、平衡反応の
反応効率が向上された反応蒸留方法を提供することがで
きる。
【0069】そして、上記原料が芳香族カルボン酸エス
テルと、脂肪族炭酸エステルおよび/または芳香族・脂
肪族炭酸エステルとを含み、かつ、上記溶剤が脂肪族炭
酸エステルである場合には、芳香族カルボン酸エステル
と、脂肪族炭酸エステルおよび/または芳香族・脂肪族
炭酸エステルとのエステル交換反応(平衡反応)によ
り、芳香族炭酸エステルを連続的かつ効率的に製造する
ことができる。尚、芳香族炭酸エステルは、工業的に有
用な化合物である。
【0070】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら
限定されるものではない。
【0071】〔実施例1〕図1に示す反応蒸留装置を用
いて芳香族炭酸エステルを連続的に製造した。但し、反
応蒸留塔1として、内径55mmのステンレス製の充填
塔の上に、ステンレス製の蒸留塔を接続してなる塔を用
いた。以下、本実施例に用いた反応蒸留塔1の充填塔に
ついて、簡単に説明する。
【0072】図2に示すように、上記の充填塔20は、
内部に、充填物層21、上昇部22および液溜部23等
を備えている。充填物層21は、反応ガスが通過するこ
とができる多孔板21aの上に、充填物として3mmφ
のステンレス製ディクソンパッキング(図示せず)が充
填されてなっている。また、充填物の上には、反応ガス
が通過することができる多孔板21bが載置されてい
る。そして、該充填物層21は、塔内を下降する反応液
と、塔内を上昇する反応ガスとを気液接触させるように
なっている。
【0073】充填物層21の下方には、漏斗状に形成さ
れた漏斗部25aと、管状に形成された脚部25bとか
らなるコレクター25が設けられている。漏斗部25a
は、ステンレス製の金網からなっている。脚部25b
は、液溜部23内部に挿入されており、漏斗部25aに
て集めた反応液を液溜部23に導入するようになってい
る。
【0074】上昇部22は、充填物層21(図2におい
て下側の充填物層)の上段側に設けられており、塔水平
断面における周縁部に配設されている。上昇部22は、
実質的に気液接触させることなく反応ガスを上昇させる
ようになっている。
【0075】液溜部23は、有底円筒状に形成されてお
り、容量25mlである。該液溜部23は、充填物層2
1(同図において下側の充填物層)の上段側に設けられ
ており、該水平断面における中央部に配設されている。
液溜部23は、その上段側に設けられた充填物層21
(同図において上側の充填物層)からコレクター25を
介して下降してきた反応液を溜めることができるように
なっている。そして、液溜部23は、実質的に気液接触
させることなく、該反応液中の原料を触媒の存在下で反
応させるようになっている。
【0076】液溜部23に溜められた反応液は、25m
l以上になると該液溜部23から溢れ、オーバーフロー
した反応液は、液溜部23の外側壁を伝いながら塔内を
下降し、下段側に設けられた充填物層21に供給され
る。
【0077】上記構成の充填塔20は、充填物層21、
液溜部23および上昇部22からなるユニットの段数が
5段である。そして、該充填塔20の5段目の上に原料
供給管5を接続し、1段目(最下段)の下、即ち、塔底
に溶剤供給管6を接続した。従って、充填塔20は反応
部である。
【0078】また、上記の蒸留塔は、高さ80cm、内
径20mmであり、充填物として3mmφのステンレス
製ディクソンパッキングを充填した。従って、蒸留塔は
濃縮部である。
【0079】さらに、リボイラー2等を用いて塔底液を
加熱する代わりに、充填塔20の塔底をヒータで加熱す
ることにより、蒸留に必要な熱を供給した。反応蒸留塔
1の操作条件は、塔底温度を230℃、操作圧である塔
頂圧力を440Torrとした。また、1時間当たりの
還流量を30gとすることにより、還流比を0.41に
設定した。
【0080】そして、反応蒸留塔1に原料供給管5を介
して、原料と、触媒としてのチタンテトラフェノキシド
「Ti(OPh)4 」とからなる原料液を連続的に供給
した。原料液の1時間当たりの供給量は、119.9g
とした。上記原料の組成は、吉草酸フェニル(芳香族カ
ルボン酸エステル)31.2重量%、炭酸メチルフェニ
ル(芳香族・脂肪族炭酸エステル)21.6重量%、炭
酸ジメチル(脂肪族炭酸エステル)10.9重量%、吉
草酸メチル26.6重量%、フェノール1.6重量%、
および、目的物である炭酸ジフェニル8.2重量%であ
った。また、上記のチタンテトラフェノキシドは、原料
(全成分)に対するチタンの添加量が400ppmとな
るように添加した。
【0081】また、反応蒸留塔1に溶剤供給管6を介し
て、溶剤としての炭酸ジメチル(脂肪族炭酸エステル
(a))をガス状で連続的に供給した。炭酸ジメチルの
1時間当たりの供給量は、11.5gとした。上記の反
応条件、即ち、原料液並びに溶剤の流量および組成を、
表1に示す。
【0082】上記の操作条件にて反応蒸留塔1を操作
し、吉草酸フェニルと、炭酸メチルフェニルおよび炭酸
ジメチルとを、エステル交換させながら気液接触させ
た。そして、副生した吉草酸メチルを含む留出液を、抜
き出し管9を通じて連続的に反応系外に取り出した。留
出液の1時間当たりの抜き出し量は、72.7gであっ
た。一方、生成した炭酸ジフェニルを含む缶出液を、抜
き出し管8を通じて連続的に反応系外に取り出した。缶
出液の1時間当たりの抜き出し量は、58.7gであっ
た。また、塔内温度分布は、塔頂が101℃、4段目が
196℃、3段目が200℃、2段目が208℃、1段
目が214℃、塔底が230℃であった。上記の塔内温
度分布を、塔頂圧力等と共に、表2に示す。
【0083】上記留出液の組成を分析した結果、該組成
は、吉草酸メチル68.8重量%、および、炭酸ジメチ
ル31.2重量%であった。一方、上記缶出液の組成を
分析した結果、該組成は、芳香族炭酸エステルである炭
酸ジフェニル71.9重量%、吉草酸フェニル19.3
重量%、炭酸メチルフェニル6.4重量%、吉草酸メチ
ル0.5重量%、炭酸ジメチル0.3重量%、および、
フェノール1.6重量%であった。従って、吉草酸フェ
ニルの転化率は69.7モル%であり、炭酸ジメチルの
転化率は14.9モル%であった。上記留出液並びに缶
出液の流量および組成を、反応結果と共に、表3に示
す。尚、上記炭酸ジメチルの転化率とは、炭酸ジメチル
の転化量を、溶剤として供給した炭酸ジメチルの供給量
で除し、百分率で表した値である。
【0084】〔実施例2〕実施例1の反応蒸留装置と同
一の反応蒸留装置を用いて、実施例1における原料液の
1時間当たりの供給量を119.9gから117.8g
に、溶剤の1時間当たりの供給量を11.5gから3
4.9gにそれぞれ変更すると共に、塔頂圧力を440
Torrから500Torrに、還流比を0.41から
0.31にそれぞれ変更した以外は、実施例1の反応条
件と同様の反応条件で、エステル交換反応を行った。上
記の反応条件、即ち、原料液並びに溶剤の流量および組
成を、表1に示す。
【0085】そして、副生した吉草酸メチルを含む留出
液を、連続的に反応系外に取り出した。留出液の1時間
当たりの抜き出し量は、96.6gであった。一方、生
成した炭酸ジフェニルを含む缶出液を、連続的に反応系
外に取り出した。缶出液の1時間当たりの抜き出し量
は、56.1gであった。また、塔内温度分布は、塔頂
が100℃、4段目が197℃、3段目が201℃、2
段目が210℃、1段目が221℃、塔底が231℃で
あった。上記の塔内温度分布を、塔頂圧力等と共に、表
2に示す。
【0086】上記留出液の組成を分析した結果、該組成
は、吉草酸メチル53.0重量%、および、炭酸ジメチ
ル47.0重量%であった。一方、上記缶出液の組成を
分析した結果、該組成は、炭酸ジフェニル70.0重量
%、吉草酸フェニル18.6重量%、炭酸メチルフェニ
ル8.5重量%、吉草酸メチル0.4重量%、炭酸ジメ
チル0.6重量%、および、フェノール1.8重量%で
あった。従って、吉草酸フェニルの転化率は71.6モ
ル%であり、炭酸ジメチルの転化率は5.7モル%であ
った。上記留出液並びに缶出液の流量および組成を、反
応結果と共に、表3に示す。
【0087】〔比較例1〕実施例1の反応蒸留装置と同
一の反応蒸留装置を用いて、実施例1における原料液の
1時間当たりの供給量を119.9gから120.0g
に、溶剤の1時間当たりの供給量を11.5gから0g
にそれぞれ変更すると共に、塔頂圧力を440Torr
から350Torrに、還流比を0.41から0.52
にそれぞれ変更した以外は、実施例1の反応条件と同様
の反応条件で、エステル交換反応を行った。即ち、溶剤
を用いないで、比較用のエステル交換反応を行った。上
記の反応条件、即ち、原料液並びに溶剤の流量および組
成を、表1に示す。
【0088】そして、副生した吉草酸メチルを含む留出
液を、連続的に反応系外に取り出した。留出液の1時間
当たりの抜き出し量は、57.9gであった。一方、生
成した炭酸ジフェニルを含む缶出液を、連続的に反応系
外に取り出した。缶出液の1時間当たりの抜き出し量
は、62.1gであった。また、塔内温度分布は、塔頂
が96℃、4段目が193℃、3段目が199℃、2段
目が203℃、1段目が209℃、塔底が230℃であ
った。従って、実施例1・2と比較して、塔内温度分布
が拡がっており、塔底と塔頂との温度差が大きくなって
いた。上記の塔内温度分布を、塔頂圧力等と共に、表2
に示す。
【0089】上記留出液の組成を分析した結果、該組成
は、吉草酸メチル73.1重量%、および、炭酸ジメチ
ル26.9重量%であった。一方、上記缶出液の組成を
分析した結果、該組成は、炭酸ジフェニル61.4重量
%、吉草酸フェニル31.9重量%、炭酸メチルフェニ
ル4.5重量%、吉草酸メチル0.6重量%、および、
フェノール1.6重量%であった。従って、吉草酸フェ
ニルの転化率は47.1モル%と低かった。上記留出液
並びに缶出液の流量および組成を、反応結果と共に、表
3に示す。
【0090】〔実施例3〕実施例1の反応蒸留装置と同
一の反応蒸留装置を用いて芳香族炭酸エステルを連続的
に製造した。但し、反応蒸留塔1の操作条件は、塔底温
度を230℃、塔頂圧力を450Torrとした。ま
た、還流比を0.34に設定した。
【0091】そして、反応蒸留塔1に原料供給管5を介
して、原料と、チタンテトラフェノキシドとからなる原
料液を連続的に供給した。原料液の1時間当たりの供給
量は、122.7gとした。上記原料の組成は、吉草酸
フェニル25.3重量%、炭酸メチルフェニル17.7
重量%、炭酸ジメチル5.9重量%、吉草酸メチル1
6.6重量%、フェノール25.1重量%、および、炭
酸ジフェニル9.5重量%であった。また、上記のチタ
ンテトラフェノキシドは、原料(全成分)に対するチタ
ンの添加量が458ppmとなるように添加した。
【0092】また、反応蒸留塔1に溶剤供給管6を介し
て、炭酸ジメチルをガス状で連続的に供給した。炭酸ジ
メチルの1時間当たりの供給量は、15.4gとした。
上記の反応条件、即ち、原料液並びに溶剤の流量および
組成を、表1に示す。
【0093】上記の操作条件にて反応蒸留塔1を操作
し、吉草酸フェニルと、炭酸メチルフェニルおよび炭酸
ジメチルとを、エステル交換させながら気液接触させ
た。そして、副生した吉草酸メチルを含む留出液を、連
続的に反応系外に取り出した。留出液の1時間当たりの
抜き出し量は、87.5gであった。一方、生成した炭
酸ジフェニルを含む缶出液を、連続的に反応系外に取り
出した。缶出液の1時間当たりの抜き出し量は、50.
6gであった。また、塔内温度分布は、塔頂が148
℃、4段目が191℃、3段目が195℃、2段目が2
00℃、1段目が209℃、塔底が230℃であった。
上記の塔内温度分布を、塔頂圧力等と共に、表2に示
す。
【0094】上記留出液の組成を分析した結果、該組成
は、吉草酸メチル40.5重量%、炭酸ジメチル25.
0重量%、および、フェノール34.5重量%であっ
た。一方、上記缶出液の組成を分析した結果、該組成
は、炭酸ジフェニル74.6重量%、吉草酸フェニル1
5.1重量%、炭酸メチルフェニル7.7重量%、吉草
酸メチル0.4重量%、炭酸ジメチル0.4重量%、お
よび、フェノール1.9重量%であった。従って、吉草
酸フェニルの転化率は75.4モル%であり、炭酸ジメ
チルの転化率は3.6モル%であった。上記留出液並び
に缶出液の流量および組成を、反応結果と共に、表4に
示す。
【0095】〔比較例2〕実施例1の反応蒸留装置と同
一の反応蒸留装置を用いて、実施例3における原料液の
1時間当たりの供給量を122.7gから122.8g
に、溶剤の1時間当たりの供給量を15.4gから0g
にそれぞれ変更すると共に、塔頂圧力を450Torr
から350Torrに、還流比を0.34から0.43
にそれぞれ変更した以外は、実施例3の反応条件と同様
の反応条件で、エステル交換反応を行った。即ち、溶剤
を用いないで、比較用のエステル交換反応を行った。上
記の反応条件、即ち、原料液並びに溶剤の流量および組
成を、表1に示す。
【0096】そして、副生した吉草酸メチルを含む留出
液を、連続的に反応系外に取り出した。留出液の1時間
当たりの抜き出し量は、69.6gであった。一方、生
成した炭酸ジフェニルを含む缶出液を、連続的に反応系
外に取り出した。缶出液の1時間当たりの抜き出し量
は、53.7gであった。また、塔内温度分布は、塔頂
が144℃、4段目が188℃、3段目が193℃、2
段目が195℃、1段目が205℃、塔底が231℃で
あった。従って、実施例3と比較して、塔内温度分布が
拡がっており、塔底と塔頂との温度差が大きくなってい
た。上記の塔内温度分布を、塔頂圧力等と共に、表2に
示す。
【0097】上記留出液の組成を分析した結果、該組成
は、吉草酸メチル41.9重量%、炭酸ジメチル13.
8重量%、および、フェノール44.3重量%であっ
た。一方、上記缶出液の組成を分析した結果、該組成
は、炭酸ジフェニル62.6重量%、吉草酸フェニル3
1.0重量%、炭酸メチルフェニル4.3重量%、およ
び、フェノール2.2重量%であった。従って、吉草酸
フェニルの転化率は46.4モル%と低かった。上記留
出液並びに缶出液の流量および組成を、反応結果と共
に、表4に示す。
【0098】
【表1】
【0099】
【表2】
【0100】
【表3】
【0101】
【表4】
【0102】上記実施例1〜3および比較例1・2の結
果から明らかなように、本実施例にかかる反応蒸留装置
および反応蒸留方法を採用することにより、塔底の温度
を維持したまま、塔内温度を高くすることができる。つ
まり、溶剤が供給されない場合と比較して、塔底と塔頂
との温度差を小さくすることができる。これにより、反
応効率(平衡転化率)を向上させることができ、従っ
て、連続的かつ効率的に、芳香族炭酸エステルである炭
酸ジフェニルを製造することができることがわかる。
【0103】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の反応蒸留装置
は、以上のように、多段式の反応蒸留装置であって、
(i) 原料を連続的に供給する原料供給部を該装置の第一
の段に備え、(ii)該第一の段よりも下側の第二の段に、
該第二の段に存在する反応液の沸点よりも沸点が低く、
かつ該反応液に溶解する溶剤を連続的に供給する溶剤供
給部を備え、(iii) 上記溶剤が供給されない状態での第
二の段の操作温度をt0 (℃)、溶剤が供給された状態
での第二の段の操作温度をt1 (℃)とするとき、 |t1 −t0 |≦20(℃) の関係を満足するように反応圧力を調節する調節手段を
備えている構成である。
【0104】上記の構成によれば、塔底の温度を維持し
たまま、塔内温度を高くすることができる。つまり、溶
剤が供給されない場合と比較して、塔底と塔頂との温度
差を小さくすることができる。これにより、平衡反応の
反応効率を向上させることができる反応蒸留装置を提供
することができるという効果を奏する。
【0105】本発明の請求項2記載の反応蒸留装置は、
以上のように、上記溶剤供給部が塔底部に設けられてい
る構成である。これにより、平衡反応の反応効率をより
一層向上させることができる反応蒸留装置を提供するこ
とができるという効果を奏する。
【0106】また、本発明の請求項3記載の反応蒸留方
法は、以上のように、多段式の反応蒸留装置を用いる反
応蒸留方法であって、前記装置の第一の段に原料を連続
的に供給すると共に、該第一の段よりも下側の第二の段
に、該第二の段に存在する反応液の沸点よりも沸点が低
く、かつ該反応液に溶解する溶剤を連続的に供給する一
方、上記溶剤を供給しない状態での第二の段の操作温度
をt0 (℃)、溶剤を供給した状態での第二の段の操作
温度をt1 (℃)とするとき、 |t1 −t0 |≦20(℃) の関係を満足するように反応圧力を調節する方法であ
る。
【0107】上記の方法によれば、塔底の温度を維持し
たまま、塔内温度を高くすることができる。つまり、溶
剤が供給されない場合と比較して、塔底と塔頂との温度
差を小さくすることができる。これにより、平衡反応の
反応効率が向上された反応蒸留方法を提供することがで
きるという効果を奏する。
【0108】本発明の請求項4記載の反応蒸留方法は、
以上のように、塔底部に溶剤を連続的に供給する方法で
ある。これにより、平衡反応の反応効率がより一層向上
された反応蒸留方法を提供することができるという効果
を奏する。
【0109】本発明の請求項5記載の反応蒸留方法は、
以上のように、上記原料が芳香族カルボン酸エステル
と、脂肪族炭酸エステルおよび/または芳香族・脂肪族
炭酸エステルとを含み、かつ、上記溶剤が脂肪族炭酸エ
ステルである方法である。
【0110】上記の方法によれば、芳香族カルボン酸エ
ステルと、脂肪族炭酸エステルおよび/または芳香族・
脂肪族炭酸エステルとのエステル交換反応(平衡反応)
により、芳香族炭酸エステルを効率的に製造することが
できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態にかかる反応蒸留装置の
概略の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施例における反応蒸留装置が有す
る充填塔の概略の構成を示す要部の断面図である。
【符号の説明】
1 反応蒸留塔 2 リボイラー 3 凝縮器 4 ポンプ 5 原料供給管(原料供給部) 6 溶剤供給管(溶剤供給部) 11 圧力調整弁(調節手段) 20 充填塔 21 充填物層 22 上昇部 23 液溜部 25 コレクター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 若山 裕紀 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 (72)発明者 渡辺 憲一 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内 (72)発明者 恩田 義幸 大阪府吹田市西御旅町5番8号 株式会社 日本触媒内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多段式の反応蒸留装置であって、 (i) 原料を連続的に供給する原料供給部を該装置の第一
    の段に備え、 (ii)該第一の段よりも下側の第二の段に、該第二の段に
    存在する反応液の沸点よりも沸点が低く、かつ該反応液
    に溶解する溶剤を連続的に供給する溶剤供給部を備え、 (iii) 上記溶剤が供給されない状態での第二の段の操作
    温度をt0 (℃)、溶剤が供給された状態での第二の段
    の操作温度をt1 (℃)とするとき、 |t1 −t0 |≦20(℃) の関係を満足するように反応圧力を調節する調節手段を
    備えていることを特徴とする反応蒸留装置。
  2. 【請求項2】上記溶剤供給部が塔底部に設けられている
    ことを特徴とする請求項1記載の反応蒸留装置。
  3. 【請求項3】多段式の反応蒸留装置を用いる反応蒸留方
    法であって、 前記装置の第一の段に原料を連続的に供給すると共に、
    該第一の段よりも下側の第二の段に、該第二の段に存在
    する反応液の沸点よりも沸点が低く、かつ該反応液に溶
    解する溶剤を連続的に供給する一方、上記溶剤を供給し
    ない状態での第二の段の操作温度をt0 (℃)、溶剤を
    供給した状態での第二の段の操作温度をt1 (℃)とす
    るとき、 |t1 −t0 |≦20(℃) の関係を満足するように反応圧力を調節することを特徴
    とする反応蒸留方法。
  4. 【請求項4】塔底部に溶剤を連続的に供給することを特
    徴とする請求項3記載の反応蒸留方法。
  5. 【請求項5】上記原料が芳香族カルボン酸エステルと、
    脂肪族炭酸エステルおよび/または芳香族・脂肪族炭酸
    エステルとを含み、かつ、上記溶剤が脂肪族炭酸エステ
    ルであることを特徴とする請求項3または4記載の反応
    蒸留方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2015038160A (ja) * 2014-11-28 2015-02-26 旭化成ケミカルズ株式会社 ジアリールカーボネートの製造方法

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