JP3518207B2 - シュウ酸アリールエステルの連続製造方法 - Google Patents

シュウ酸アリールエステルの連続製造方法

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JP3518207B2
JP3518207B2 JP31921496A JP31921496A JP3518207B2 JP 3518207 B2 JP3518207 B2 JP 3518207B2 JP 31921496 A JP31921496 A JP 31921496A JP 31921496 A JP31921496 A JP 31921496A JP 3518207 B2 JP3518207 B2 JP 3518207B2
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貞夫 新居田
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宏文 井伊
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シュウ酸ジアルキルと
芳香族ヒドロキシ化合物とを出発物質として、シュウ酸
ジアリール、シュウ酸アルキルアリール等のシュウ酸ア
リールエステルを連続的に製造する方法に関する。シュ
ウ酸ジアリール、シュウ酸アルキルアリール等のシュウ
酸アリールエステルは化学薬品などの製造において極め
て有用な化合物である。
【0002】
【従来の技術】シュウ酸ジアリール、シュウ酸アルキル
アリール等のシュウ酸アリールエステルを製造する方法
としては、(1)シュウ酸と芳香族ヒドロキシ化合物を
エステル化反応させる方法(特公昭52−43826号
公報)、(2)シュウ酸ジアルキルと炭酸ジアリールを
エステル交換反応させる方法(特公昭56−8019号
公報)、(3)シュウ酸ジアルキルと低級脂肪族カルボ
ン酸アリールエステルをエステル交換反応させる方法
(特公昭56−2451号公報、特公昭57−4765
8号公報)などが知られていた。
【0003】しかし、第1の方法は、反応速度が極めて
遅いため、反応に長時間を要するという問題があり工業
的に満足できる方法ではなかった。また、第2の方法及
び第3の方法は、原料である炭酸ジアリールや低級脂肪
族カルボン酸アリールエステルの製造が容易ではないた
めに原料を入手すること自体が困難であると共に、目的
のシュウ酸ジアリール以外に種々の副生物が生成するこ
とから、シュウ酸ジアリールを単離するために極めて煩
雑又は複雑な精製工程が必要であるという問題を有して
おり、必ずしも工業的に満足できる方法ではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、公知の方法
が有している問題(生産性がよくないこと、種々の副生
物が生成することなど)を実質的に有していない、工業
的に好適なシュウ酸アリールエステル(シュウ酸ジアリ
ール、シュウ酸アルキルアリール等)の連続製造方法を
提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は、シュウ
酸ジアルキルを触媒存在下で芳香族ヒドロキシ化合物と
エステル交換反応させてシュウ酸アルキルアリールを製
造する方法において、液相部が複数の反応区域を有する
反応器の第1反応区域に、シュウ酸ジアルキル、芳香族
ヒドロキシ化合物及び触媒を液相状態で連続的に供給
し、その第1反応区域の反応液を連続する反応区域に順
次導いて、最終の反応区域からシュウ酸アルキルアリー
ルを含む反応液を連続的に抜き出しつつ、副生する脂肪
族アルコールを含む蒸発分を反応器の上部から気相状態
で連続的に抜き出すと共にその重質分を前記の第1反応
区域に供給しながら、エステル交換反応を行うことを特
徴とするシュウ酸アリールエステルの連続製造方法(第
1の発明)、
【0006】シュウ酸ジアルキルを触媒存在下で芳香族
ヒドロキシ化合物とエステル交換反応させてシュウ酸ア
ルキルアリールを生成させ、次いでそのシュウ酸アルキ
ルアリールを触媒存在下で不均化反応させてシュウ酸ジ
アリールを製造する方法において、液相部が複数の反応
区域を有する反応器の第1反応区域に、シュウ酸ジアル
キル、芳香族ヒドロキシ化合物及び触媒を液相状態で連
続的に供給し、その第1反応区域の反応液を連続する反
応区域に順次導いて、最終の反応区域からシュウ酸ジア
リールを含む反応液を連続的に抜き出しつつ、副生する
脂肪族アルコール及び/又はシュウ酸ジアルキルを含む
蒸発分を反応器の上部から気相状態で連続的に抜き出す
と共にその重質分を前記の第1反応区域に供給しなが
ら、反応を行うことを特徴とするシュウ酸アリールエス
テルの連続製造方法(第2の発明)
【0007】シュウ酸ジアルキルを触媒存在下で芳香族
ヒドロキシ化合物とエステル交換反応させてシュウ酸ア
ルキルアリールを生成させ、次いでそのシュウ酸アルキ
ルアリールを触媒存在下で不均化反応させてシュウ酸ジ
アリールを製造する方法において、(1)液相部が複数
の反応区域を有する第1反応器の第1反応区域に、シュ
ウ酸ジアルキル、芳香族ヒドロキシ化合物及び触媒を液
相状態で連続的に供給し、その第1反応区域の反応液を
連続する反応区域に順次導いて、最終反応区域からシュ
ウ酸アルキルアリールを含む反応液を連続的に抜き出し
つつ、副生する脂肪族アルコールを含む蒸発分を反応器
の上部から気相状態で連続的に抜き出すと共にその重質
分を前記の第1反応区域に供給しながら、該エステル交
換反応を行って、(2)液相部が複数の反応区域を有す
る第2反応器の第1反応区域に、前記のシュウ酸アルキ
ルアリールを含む反応液を液相状態で連続的に供給し、
その第1反応区域の反応液を連続する反応区域に順次導
いて、最終反応区域からシュウ酸ジアリールを含む反応
液を連続的に抜き出しつつ、副生するシュウ酸ジアルキ
ルを含む蒸発分を反応器の上部から気相状態で連続的に
抜き出すと共にその重質分を前記第1反応器の第1反応
区域に供給しながら、不均化反応を行うことを特徴とす
るシュウ酸アリールエステルの連続製造方法(第3の発
明)、
【0008】及び、シュウ酸アルキルアリールを触媒存
在下で不均化反応させてシュウ酸ジアリールを製造する
方法において、液相部が複数の反応区域を有する反応器
の第1反応区域に、シュウ酸アルキルアリール及び触媒
を液相状態で連続的に供給し、その第1反応区域の反応
液を連続する反応区域に順次導いて、最終の反応区域か
らシュウ酸ジアリールを含む反応液を連続的に抜き出す
と共に、副生するシュウ酸ジアルキルを含む蒸発分を反
応器の上部から気相状態で連続的に抜き出しながら、不
均化反応を行うことを特徴とするシュウ酸アリールエス
テルの連続製造方法(第4の発明)、によって達成され
る。
【0009】
【発明の実施の形態】シュウ酸アルキルアリール
(c)、シュウ酸ジアリール(e)等のシュウ酸アリー
ルエステルは次式で示されるエステル交換反応及び/又
は不均化反応によって製造される。
【0010】
【化1】 (式中、Rは炭素数1〜10のアルキル基、Arは炭素
数1〜6の置換基を有していてもよい炭素数6〜12の
アリール基を表す。)
【0011】本発明(第1の発明、第2の発明及び第3
の発明)で使用されるシュウ酸ジアルキル(a)として
は、Rで表されるアルキル基が、メチル基、エチル基、
n−(又はi−)プロピル基、n−(又はi−)ブチル
基、n−(又はi−)ペンチル基、n−(又はi−)ヘ
キシル基、n−(又はi−)ヘプチル基、n−(又はi
−)オクチル基等の炭素数1〜10のアルキル基である
化合物が挙げられる。シュウ酸ジアルキルとして、具体
的には、シュウ酸ジメチル、シュウ酸ジエチル、シュウ
酸ジn−(又はi−)プロピル、シュウ酸ジn−(又は
i−)ブチル、シュウ酸ジn−(又はi−)ペンチル、
シュウ酸ジn−(又はi−)ヘキシル、シュウ酸ジn−
(又はi−)オクチル等が挙げられる。シュウ酸ジアル
キルの中では、炭素数1〜6のアルキル基を有するシュ
ウ酸ジアルキルが好ましいが、副生するアルコールを反
応器の上部から容易に抜き出すことができることから、
炭素数1〜4のアルキル基を有する前記のシュウ酸ジア
ルキルが更に好ましく、中でもシュウ酸ジメチルが特に
好ましい。
【0012】本発明(第1の発明、第2の発明及び第3
の発明)で使用される芳香族ヒドロキシ化合物(b)と
しては、Arで表されるアリール基が、フェニル基や、
炭素数1〜6のアルキル基(メチル基、エチル基等)、
炭素数1〜6のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基
等)、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)又はニ
トロ基等の置換基を有する置換フェニル基や、ナフチル
基などである化合物が挙げられる。なお、前記の置換フ
ェニル基はo−、m−、p−の各種異性体を含む。芳香
族ヒドロキシ化合物として、具体的には、フェノール、
クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、プロピ
ルフェノール、ブチルフェノール等のアルキルフェノー
ル類や、ヒドロキシアニソール、エトキシフェノール等
のアルコキシフェノール類や、クロロフェノール、ブロ
モフェノール等のハロフェノール類や、ニトロフェノー
ル等のニトロフェノール類などが挙げられる。なお、こ
れらの芳香族ヒドロキシ化合物はo−、m−、p−の各
種異性体を含む。芳香族ヒドロキシ化合物の中ではフェ
ノールが特に好ましい。
【0013】また、本発明(第4の発明)で使用される
シュウ酸アルキルアリール(c)としては、Rが前記の
シュウ酸ジアルキルにおけると同様のアルキル基であっ
て、Arが前記の芳香族ヒドロキシ化合物におけると同
様のアリール基である化合物が挙げられる。シュウ酸ア
ルキルアリールとして、具体的には、シュウ酸メチルフ
ェニル、シュウ酸エチルフェニル)、シュウ酸n−(又
はi−)プロピルフェニル、シュウ酸n−(又はi−)
ブチルフェニル等が挙げられる。また、第1の発明で生
成するシュウ酸アルキルアリールを含む反応液も、本発
明(第4の発明)で使用されるシュウ酸アルキルアリー
ル(c)として好適に挙げられる。
【0014】本発明では、前記の反応式に従って、シュ
ウ酸アルキルアリールやシュウ酸ジアリールが生成する
と共に、対応する脂肪族アルコールやシュウ酸ジアルキ
ルが副生物として生成する。即ち、本発明では、反応式
(1)に示されるように、シュウ酸ジアルキル(a)と
芳香族ヒドロキシ化合物(b)とのエステル交換反応に
よって、シュウ酸アルキルアリール(c)と脂肪族アル
コール(d)が生成する。そして、主として、反応式
(3)に示されるシュウ酸アルキルアリール(c)の不
均化反応によって、シュウ酸ジアリール(e)とシュウ
酸ジアルキル(a)が生成する。また、反応式(2)に
示されるように、シュウ酸アルキルアリール(c)と芳
香族ヒドロキシ化合物(b)とのエステル交換反応によ
っても、シュウ酸ジアリール(e)と脂肪族アルコール
(d)が生成する。
【0015】生成するシュウ酸アルキルアリールとして
は、シュウ酸メチルフェニル、シュウ酸エチルフェニ
ル、シュウ酸n−(又はi−)プロピルフェニル、シュ
ウ酸n−(又はi−)ブチルフェニル等が挙げられ、生
成するシュウ酸ジアリールとしては、シュウ酸ジフェニ
ル等が挙げられる。副生する脂肪族アルコールとして
は、メタノール、エタノール、n−(又はi−)プロパ
ノール、n−(又はi−)ブタノール等が挙げられ、シ
ュウ酸ジアルキルとしては、シュウ酸ジメチル、シュウ
酸ジエチル、シュウ酸ジn−(又はi−)プロピル、シ
ュウ酸ジn−(又はi−)ブチル等が挙げられる。
【0016】本発明で使用される触媒としては、前記の
反応式(1)又は(2)に従って、シュウ酸ジアルキル
と芳香族ヒドロキシ化合物からシュウ酸アルキルアリー
ル又はシュウ酸ジアリールを生成させることができる触
媒(エステル交換触媒)であれば、いかなるエステル交
換触媒でも使用することができる。そして、このような
エステル交換触媒であれば、前記の反応式(3)に従っ
て、シュウ酸アルキルアリールからシュウ酸ジアリール
を生成させる不均化反応の触媒としても好適に使用する
ことができる。前記の触媒としては、公知のカルボン酸
アルキルエステルと芳香族ヒドロキシ化合物とのエステ
ル交換反応に使用される触媒(エステル交換触媒)であ
って、本発明の原料であるシュウ酸ジアルキル、シュウ
酸アルキルアリール、芳香族ヒドロキシ化合物の溶液
や、これら原料及び/又は生成物を含む液に可溶性であ
る触媒が好ましい。
【0017】触媒の具体例としては、アルカリ金属化合
物、ジルコニウム化合物、銅族金属化合物、鉛化合物、
鉄化合物、亜鉛化合物、有機スズ化合物、アルミニウム
のルイス酸化合物、チタンのルイス酸化合物、バナジウ
ムのルイス酸化合物などが挙げられ、これらの少なくと
も一種を使用することが好ましい。触媒の中では、アル
カリ金属化合物、ジルコニウム化合物、有機スズ化合
物、チタンのルイス酸化合物が好ましく、中でも有機ス
ズ化合物、チタンのルイス酸化合物が特に好ましい。
【0018】前記のアルカリ金属化合物としては、炭酸
リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酸化リチウ
ムなどが挙げられる。前記のジルコニウム化合物として
は、酸化ジルコニウム、ジルコニウムアセチルアセトナ
ートなどが挙げられる。また、前記の銅族金属化合物と
しては、銅の有機酸塩(酢酸銅、オレイン酸銅、銅アセ
チルアセトナート等)、ハロゲン化銅(塩化銅、臭化
銅、ヨウ化銅等)、アルキル銅化合物(ブチル銅等)、
アルコキシ銅化合物(ジメトキシ銅等)や、銀の有機酸
塩(ピクリン酸銀等)、銀の無機酸塩(硝酸銀等)、ハ
ロゲン化銀(臭化銀等)などが挙げられる。
【0019】前記の鉛化合物としては、硫化鉛、水酸化
鉛、酸化鉛、鉛の炭酸塩(炭酸鉛、塩基性炭酸鉛等)、
鉛の有機酸塩(酢酸鉛等)、鉛酸塩(鉛酸カルシウム
等)、アルキル鉛化合物(テトラブチル鉛、テトラフェ
ニル鉛、トリブチル鉛クロル、トリブチル鉛ブロム、ト
リフェニル鉛等)、アルコキシ鉛化合物(ジメトキシ
鉛、メトキシフェノキシ鉛、ジフェノキシ鉛等)などが
挙げられる。前記の鉄化合物としては、水酸化鉄、鉄の
炭酸塩(炭酸鉄等)、鉄の有機酸塩(酢酸鉄等)、アル
コキシ鉄化合物(トリメトキシ鉄、トリフェノキシ鉄
等)などが挙げられる。また、前記の亜鉛化合物として
は、亜鉛の有機酸塩(酢酸亜鉛、亜鉛アセチルアセトナ
ート等)、アルコキシ亜鉛化合物(ジメトキシ亜鉛、ジ
エトキシ亜鉛、ジフェノキシ亜鉛等)などが挙げられ
る。
【0020】前記の有機スズ化合物としては、Ph4
n、(MeO)4 Sn、(EtO) 4 Sn、(PhO)
4 Sn、(AcO)4 Sn、Ph3 Sn(OMe)、P
3Sn(OAc)、Ph3 SnOH、Bu3 Sn(O
Ac)、Et3 Sn(OPh)、Et3 Sn(OA
c)、Et3 SnOH、Me3 Sn(OAc)、Me3
Sn(OCOPh)、Ph2 Sn(OMe)2 、Bu2
Sn(OMe)2 、Bu2Sn(OEt)2 、Bu2
n(OPh)2 、Bu2 Sn(OAc)2 、Bu2Sn
Cl2 、Bu2 SnO、Bu2 SnO(OH)などが挙
げられる(但し、Acはアセチル基、Meはメチル基、
Etはエチル基、Buはブチル基、Phはフェニル基を
表す)。
【0021】前記のアルミニウムのルイス酸化合物とし
ては、AlX3 、Al(OAc)3、Al(OM
e)3 、Al(OEt)3 、Al(OBu)3 、Al
(OPh)3などが挙げられ、前記のチタンのルイス酸
化合物としては、TiX3 、Ti(OAc)3 、Ti
(OMe)3 、Ti(OEt)3 、Ti(OBu)3
Ti(OPh)3 、TiX4 、Ti(OAc)4 、Ti
(OMe)4 、Ti(OEt)4、Ti(OPh)4
どが挙げられ、前記のバナジウムのルイス酸化合物とし
ては、VOX3 、VO(OAc)3 、VO(OM
e)3 、VO(OEt)3 、VO(OPh)3 、VOX
5 などが挙げられる(但し、Xはハロゲン原子を表
す)。
【0022】本発明では、前記のシュウ酸アリールエス
テルを製造するための反応器として、液相部が複数の反
応区域を有する反応器が使用される。このような反応器
としては、例えば、図1、2、3に示されるような、原
料供給ライン1、反応区域2(2−1、2−2、2−
3、2−4など)、反応区域仕切り板3、連通孔5、反
応液抜き出しライン6、蒸発分抜き出しライン7、蒸留
塔8、重質分供給ライン9、軽質分抜き出しライン10
などを備えた反応器が挙げられる。更に、図4に示され
るような、液相部が複数の反応区域を有する反応器を連
結したものも好適に挙げることができる。また、図5に
示されるような、原料供給ライン1、反応区域2(2−
1、2−2、2−3、2−4など)、反応液送入ライン
4、反応液抜き出しライン6、蒸発分抜き出しライン
7、蒸留塔8、重質分供給ライン9、軽質分抜き出しラ
イン10などを備えた、複数の反応区域が独立した構造
を有する多槽式の反応器も挙げることができる。但し、
図1〜4でポンプ等は特に示していない。
【0023】本発明では、このように、反応器の内部が
反応区域仕切り板で複数の反応区域(液相部)に区切ら
れていて各反応区域の気相部が連通している構造をもつ
反応器か、あるいは複数の反応区域が独立した構造をも
つ反応器を使用して反応が行われる。これらの反応器に
おいて、反応区域の数は特に制限されるものではない
が、2〜30、特に3〜10であることが好ましい。
【0024】第1の発明では、反応器の第1反応区域に
シュウ酸ジアルキル(a)、芳香族ヒドロキシ化合物
(b)及び触媒が液相状態で連続的に供給されて、該反
応区域の反応液が連続する反応区域に順次導かれる。そ
して、副生する脂肪族アルコール(d)を含む蒸発分が
反応器の上部から連続的に抜き出されながら、反応式
(1)に示されるエステル交換反応によってシュウ酸ア
ルキルアリール(c)が生成して、最終反応区域からシ
ュウ酸アルキルアリール(c)を含む反応液が連続的に
抜き出される。なお、反応器としては、例えば、図1、
2、3、5に示されるようなものが使用される。
【0025】第2の発明では、反応器の第1反応区域に
シュウ酸ジアルキル(a)、芳香族ヒドロキシ化合物
(b)及び触媒が液相状態で連続的に供給されて、該反
応区域の反応液が連続する反応区域に順次導かれる。そ
して、副生する脂肪族アルコール(d)及び/又はシュ
ウ酸ジアルキル(a)を含む蒸発分が反応器の上部から
連続的に抜き出されながら、反応式(1)示されるエス
テル交換反応及び反応式(3)に示される不均化反応に
よって、シュウ酸アルキルアリール及びシュウ酸ジアリ
ールが生成して、最終の反応区域からシュウ酸ジアリー
ルを含む反応液が連続的に抜き出される。このとき、反
応式(2)に示されるエステル交換反応によってもシュ
ウ酸ジアリールが一部生成して、その副生する脂肪族ア
ルコールも前記の蒸発分と共に抜き出される。なお、反
応器としては、例えば、図1、2、3、5に示されるよ
うなものが使用され、単独の反応器で反応を行っても、
複数の反応器を連結して反応を行っても差し支えない。
【0026】第3の発明では、第1反応器の第1反応区
域にシュウ酸ジアルキル(a)、芳香族ヒドロキシ化合
物(b)及び触媒が液相状態で連続的に供給されて、該
反応区域の反応液が連続する反応区域に順次導かれる。
そして、副生する脂肪族アルコール(d)を含む蒸発分
が反応器の上部から連続的に抜き出されながら、反応式
(1)に示されるエステル交換反応によってシュウ酸ア
ルキルアリールが生成して、最終反応区域からシュウ酸
アルキルアリール(c)を含む反応液が連続的に抜き出
される。次いで、このシュウ酸アルキルアリール(c)
を含む反応液が第2反応器の第1反応区域に液相状態で
連続的に供給されて、該反応区域の反応液が連続する反
応区域に順次導かれる。そして、副生するシュウ酸ジア
ルキル(a)を含む蒸発分が反応器の上部から連続的に
抜き出されながら、反応式(3)に示される不均化反応
によってシュウ酸ジアリールが生成して、最終反応区域
からシュウ酸ジアリール(e)を含む反応液が連続的に
抜き出される。このとき、反応式(2)に示されるエス
テル交換反応によってもシュウ酸ジアリールが一部生成
して、その副生する脂肪族アルコールも前記の蒸発分と
共に抜き出される。なお、反応器としては、例えば、図
4に示されるようなものが使用される。
【0027】第4の発明では、反応器の第1反応区域に
シュウ酸アルキルアリール(c)及び触媒が液相状態で
連続的に供給されて、該反応区域の反応液が連続する反
応区域に順次導かれる。そして、副生するシュウ酸ジア
ルキル(a)を含む蒸発分が反応器の上部から連続的に
抜き出されながら、反応式(3)に示される不均化反応
によってシュウ酸ジアリールが生成して、最終の反応区
域からシュウ酸ジアリール(e)を含む反応液が連続的
に抜き出される。このとき、反応式(2)に示されるエ
ステル交換反応によってもシュウ酸ジアリールが一部生
成して、その副生する脂肪族アルコールも前記の蒸発分
と共に抜き出される。
【0028】また、本発明では、前記の反応において、
反応器の上部から連続的に抜き出された脂肪族アルコー
ル及び/又はシュウ酸ジアルキルなどを含む蒸発分が蒸
留塔で蒸留されて、その重質分が第1反応区域(複数の
反応器を使用する場合は最初の反応器の第1反応区域)
に供給されることが好ましい。即ち、第1の発明では、
その蒸発分に脂肪族アルコール以外にシュウ酸ジアルキ
ルや芳香族ヒドロキシ化合物なども含まれるため、その
重質分(シュウ酸ジアルキル、芳香族ヒドロキシ化合物
など)が蒸留により分離されて第1反応区域に供給され
ることが好ましい。
【0029】第2の発明では、反応式(1)に従ってシ
ュウ酸アルキルアリールが生成する際は、その蒸発分に
脂肪族アルコール以外にシュウ酸ジアルキルや芳香族ヒ
ドロキシ化合物なども含まれる。そして、反応式(3)
に従ってシュウ酸ジアリールが生成する際は、その蒸発
分にシュウ酸ジアルキル以外に脂肪族アルコールや芳香
族ヒドロキシ化合物なども含まれる。なお、脂肪族アル
コールは反応式(2)に従ってシュウ酸ジアリールが一
部生成する際にも副生して蒸発分に含まれる。このた
め、これら蒸発分の重質分(シュウ酸ジアルキル、芳香
族ヒドロキシ化合物など)が蒸留により分離されて第1
反応区域に供給されることが好ましい。なお、複数の反
応器を用いて反応を行う場合は、上記の重質分はいずれ
も最初の反応器に供給される。
【0030】第3の発明では、第1反応器で反応式
(1)に従ってシュウ酸アルキルアリールが生成する際
は、第1の発明と同様に、その蒸発分に脂肪族アルコー
ル以外にシュウ酸ジアルキルや芳香族ヒドロキシ化合物
なども含まれるため、その重質分(シュウ酸ジアルキ
ル、芳香族ヒドロキシ化合物など)が蒸留により分離さ
れて第1反応器の第1反応区域に供給されることが好ま
しい。次いで、第2反応器で反応式(3)に従ってシュ
ウ酸ジアリールが生成する際は、その蒸発分にシュウ酸
ジアルキル以外に脂肪族アルコールや芳香族ヒドロキシ
化合物なども含まれるため、その重質分(シュウ酸ジア
ルキル、芳香族ヒドロキシ化合物など)が蒸留により分
離されて第1反応器の第1反応区域に供給されることが
好ましい。なお、脂肪族アルコールは反応式(2)に従
ってシュウ酸ジアリールが一部生成する際にも副生して
蒸発分に含まれる。
【0031】第4の発明では、シュウ酸ジアルキルを含
む蒸発分にシュウ酸ジアルキル以外に脂肪族アルコール
や芳香族ヒドロキシ化合物なども含まれるため、その重
質分(シュウ酸ジアルキル、芳香族ヒドロキシ化合物な
ど)を蒸留分離し、芳香族ヒドロキシ化合物を必要量添
加してシュウ酸アルキルアリールの製造に再使用するこ
とが好ましい。
【0032】従って、反応器には、前記の蒸発分の重質
分が反応器の第1反応区域に供給されるように更に蒸留
塔が設置されていることが好ましい。蒸留塔は、例え
ば、重質分が第1反応区域に直接供給されるように第1
反応区域の上部に設置されるか(図1、3、4、5参
照)、重質分が重質分供給ライン9及び原料供給ライン
1を通して第1反応区域に供給されるように蒸発分抜き
出しライン7に続いて設置されることが好ましい(図2
参照)。なお、前記の蒸発分は、図1、2、3に示され
るように第1反応区域の上部から抜き出されることが好
ましいが、蒸発分が蒸発分抜き出しライン中で凝縮され
て反応区域に還流されなければ、第2〜第4の反応区域
の上部から抜き出されても差し支えない。
【0033】前記の蒸留塔としては、理論段数が少なく
も2段以上、特に3〜50段、更には3〜20段である
多段蒸留塔が好ましい。多段蒸留塔としては、泡鐘トレ
イ、多孔板トレイ、バブルトレイなどを用いた棚段式蒸
留塔のもの、あるいはラシヒリング、レッシングリン
グ、ポールリング、スルーザーパッキングなどの各種充
填物を充填した充填式蒸留塔のものを使用することがで
き、更に棚段式及び充填式を併せもつ蒸留塔であっても
使用することができる。
【0034】図1、2、3、4に示される反応器では、
反応区域仕切り板は、図1、2、4のように高さが順次
低くなっていてもよく、図3のように高さが同一であっ
てもよい。仕切り板は任意の位置に1個以上の連通孔を
それぞれ有しているが、前者のような反応器では仕切り
板は連通孔を有していなくてよい。その他、反応区域を
複数に区切る方法としては、多孔板を挿入する方法など
が挙げられる。
【0035】前記の反応器において、反応液は、各反応
区域を順次オーバーフローさせるか又は連通孔を通して
連続する反応区域に順次導くことによって、最終反応区
域から抜き出される。各反応区域で、反応液は、攪拌
機、ポンプ循環、ガス吹き込みなどによって強制的に攪
拌・混合されてもよく、あるいは反応液の流れや対流な
どによって攪拌・混合される程度でもよい。反応器は、
例えば、外部ジャケット等に熱媒を通じることによって
加熱される。なお、反応器の材質は特に制限されるもの
ではなく、例えば、ガラス製又はステンレス鋼(SU
S)製の反応器を使用することができる。仕切り板の材
質も反応に不活性なものであれば特に制限されない。
【0036】本発明では、前記のような反応器を使用す
ることによって、原料供給ライン1から第1反応区域に
原料(シュウ酸ジアルキルと芳香族ヒドロキシ化合物と
触媒、又はシュウ酸アルキルアリールと触媒を含む)が
供給されて、その反応液が連続する反応区域に順次導か
れ、高い反応速度で反応が行われる。そして、最終反応
区域から反応液抜き出しライン6を通してシュウ酸ジア
リール及び/又はシュウ酸アルキルアリールを含む反応
液が連続的に得られる。なお、原料供給ライン1は蒸留
塔8の中段(蒸発分抜き出しライン7よりも下部)に接
続されて、蒸留塔8が反応蒸留塔として使用されても差
し支えない。
【0037】副生する脂肪族アルコール及び/又はシュ
ウ酸ジアルキルなどを含む蒸発分は、反応器の上部(気
相部)から蒸発分抜き出しライン7を通して連続的に抜
き出される。そして、この蒸発分は、蒸留塔8、特にそ
の中段から上段に導かれて蒸留され、シュウ酸ジアルキ
ルや芳香族ヒドロキシ化合物を含む重質分が重質分供給
ライン9を通して第1反応区域(複数の反応器を用いる
場合は最初の反応器の第1反応区域)に供給される。脂
肪族アルコールを主として含む軽質分は蒸留塔の頂部か
ら軽質分抜き出しライン10を通して系外に抜き出され
る。
【0038】反応後、最終反応区域から抜き出されたシ
ュウ酸ジアリール及び/又はシュウ酸アルキルアリール
を含む反応液から、蒸留などによりシュウ酸ジアリール
及び/又はシュウ酸アルキルアリールが分離精製され
る。触媒を含む蒸留残渣(シュウ酸ジアリール及び/又
はシュウ酸アルキルアリールなどを少量含む)は、例え
ば、必要量のシュウ酸ジアルキル及び芳香族ヒドロキシ
化合物、又はシュウ酸アルキルアリールが添加された
後、原料供給ライン1を通して第1反応区域に循環供給
される。
【0039】前記の反応式(1)、(2)、(3)で示
されるエステル交換反応又は不均化反応の反応条件は特
に限定されるものではないが、反応温度が50〜350
℃、特に100〜300℃、更には120〜280℃程
度であって、反応圧力が0.001mmHg〜200k
g/cm2 、特に0.1mmHg〜50kg/cm2
度であって、反応時間が0.01〜50時間、特に0.
02〜10時間、更には0.05〜5時間程度であるこ
とが好ましい。
【0040】シュウ酸アルキルアリールから不均化反応
によってシュウ酸ジアリールを製造する場合、その反応
区域では、反応温度、反応圧力等の反応条件は、不均化
反応で生成するシュウ酸ジアルキルが除去されやすいよ
うに設定することが好ましい。即ち、シュウ酸ジアルキ
ルからエステル交換反応によってシュウ酸アルキルアリ
ールを製造する場合よりも、反応温度を高く設定するか
又は反応圧力を低く設定することが好ましい。また、シ
ュウ酸アルキルアリールからエステル交換反応及び/又
は不均化反応によってシュウ酸ジアリールを製造する場
合も、エステル交換反応と不均化反応が同時に起こるた
め、同様に、不均化反応で生成するシュウ酸ジアルキル
が除去されやすいように反応条件を設定することが好ま
しい。
【0041】エステル交換反応又は不均化反応における
触媒の使用量は、触媒の種類、反応器の形式及びサイ
ズ、原料の種類及び組成、更に反応条件などによって異
なるが、原料の量(シュウ酸ジアルキルと芳香族ヒドロ
キシ化合物の合計量、又はシュウ酸アルキルアリールの
量)に対して、0.0001〜50重量%、特に0.0
01〜30重量%、更には0.005〜10重量%程度
であることが好ましい。なお、触媒は単独で使用しても
複数で使用しても差し支えない。シュウ酸ジアルキルに
対する芳香族ヒドロキシ化合物の使用割合は触媒の種類
及び反応条件によって異なるが、シュウ酸ジアルキルに
対して、芳香族ヒドロキシ化合物は、0.01〜100
0倍モル、特に0.1〜100倍モル、更には0.1〜
20倍モル使用されることが好ましい。
【0042】
【実施例】次に、実施例及び比較例を挙げて本発明を具
体的に説明する。なお、シュウ酸ジアルキルの転化率
(供給されたシュウ酸ジアルキルに対する消費されたシ
ュウ酸ジアルキルの割合)、シュウ酸ジアリール又はシ
ュウ酸アルキルアリールの生成速度は反応区域に存在す
る反応液の容積1L当たり1時間に生成したシュウ酸ジ
アリール又はシュウ酸アルキルアリールのg数で表し
た。
【0043】実施例1 図1に示されるような、連通孔のない仕切り板によって
ほぼ等容積の3つの反応区域に区切られていて、第1反
応区域の上部に、SUS製のヘリパックを充填した蒸留
塔(内径12mm、高さ28mm)を備えた内容積20
0mLの反応器(ガラス製)を使用して、以下のように
常圧下で反応を行った(液相の全容積:63mL)。シ
ュウ酸ジメチル1モルに対して、フェノールを2.93
モル、テトラフェノキシチタンを0.0019モル含有
する原料液をフラスコ中で70℃で溶解して、225℃
のオイルバスに入れた反応器の第1反応区域に51.9
g/hrで連続的に供給した。そして、第1反応区域の
反応液を仕切り板からオーバーフローさせて、順次、第
2反応区域、第3反応区域に導いて、第3反応区域から
反応液を連続的に抜き出した。そして、反応の進行に伴
って発生するメタノールを含む蒸発分を反応器の上部か
ら連続的に抜き出すと共に、その軽質分を蒸留塔の頂部
から抜き出しながら、その重質分を第1反応区域に還流
させた。なお、反応中、原料供給ラインは60℃に、反
応液抜き出しライン及びポンプ(図示せず)は130℃
にそれぞれ保温し、各反応区域で反応液は攪拌を行っ
た。
【0044】反応が定常に達した時点で、第3反応区域
から抜き出された反応液をガスクロマトグラフィーによ
り分析したところ、その組成はシュウ酸ジメチル12.
7重量%、フェノール54.1重量%、シュウ酸ジフェ
ニル10.4重量%、シュウ酸メチルフェニル24.6
重量%であり、シュウ酸ジメチルの転化率は62.4
%、シュウ酸ジフェニル生成速度(STY)は78g/
L・hr、シュウ酸メチルフェニル生成速度(STY)
は189g/L・hrであった。なお、反応温度は第1
反応区域から第3反応区域において182〜187℃
で、蒸留塔の塔頂温度は64〜65℃であった。
【0045】比較例1 実施例1と同様の反応器であって仕切り板のないものを
使用し、シュウ酸ジメチルに対して、フェノールを2.
02倍モル、テトラフェノキシチタンを0.0016倍
モル含有する原料液を第1反応区域に33.5g/hr
で連続的に供給したほかは、実施例1と同様に反応を行
った(液相の全容積:99mL)。その結果、反応が定
常に達した時点で反応器から抜き出された反応液の組成
は、シュウ酸ジメチル24.1重量%、フェノール5
0.4重量%、シュウ酸メチルフェニル20.1重量
%、シュウ酸ジフェニル3.8重量%であり、シュウ酸
ジメチルの転化率は38.4%、シュウ酸メチルフェニ
ルの空時収量(STY)は65g/L・hr、シュウ酸
ジフェニルの空時収量(STY)は12g/L・hrで
あった。なお、反応温度は186〜188℃で、蒸留塔
の塔頂温度は65〜68℃であった。
【0046】実施例2 実施例1と同様の反応器であって、連通孔のない仕切り
板によってほぼ等容積の4つの反応区域に区切られたも
のを使用し、シュウ酸ジメチルに対して、フェノールを
2.92倍モル、テトラフェノキシチタンを0.002
0倍モル含有する原料液を第1反応区域に54.0g/
hrで連続的に供給したほかは、実施例1と同様に反応
を行った(液相の全容積:77mL)。その結果、反応
が定常に達した時点で反応器から抜き出された反応液の
組成は、シュウ酸ジメチル12.4重量%、フェノール
55.5重量%、シュウ酸メチルフェニル24.2重量
%、シュウ酸ジフェニル9.9重量%であり、シュウ酸
ジメチルの転化率は62.5%、シュウ酸メチルフェニ
ルの空時収量(STY)は158g/L・hr、シュウ
酸ジフェニルの空時収量(STY)は65g/L・hr
であった。なお、反応温度は182〜187℃で、蒸留
塔の塔頂温度は64〜65℃であった。
【0047】比較例2 実施例2と同様の反応器であって、第1反応区域と第2
反応区域の境界に蒸留塔を備えたものを使用し、シュウ
酸ジメチルに対して、フェノールを2.02倍モル、テ
トラフェノキシチタンを0.0016倍モル含有する原
料液を第1反応区域に35.0g/hrで連続的に供給
したほかは、実施例2と同様に反応を行った(液相の全
容積:107mL)。この場合、メタノールを含む蒸発
分の重質分は、第1反応区域と第2反応区域にほぼ等量
ずつ還流された。その結果、反応が定常に達した時点で
反応器から抜き出された反応液の組成は、シュウ酸ジメ
チル28.7重量%、フェノール56.8重量%、シュ
ウ酸メチルフェニル7.9重量%、シュウ酸ジフェニル
1.0重量%であり、シュウ酸ジメチルの転化率は4
3.4%、シュウ酸メチルフェニルの空時収量(ST
Y)は54g/L・hr、シュウ酸ジフェニルの空時収
量(STY)は14g/L・hrであった。なお、反応
温度は第1反応区域から第4反応区域において180〜
187℃で、蒸留塔の塔頂温度は64〜83℃であっ
た。
【0048】比較例3 実施例2と同様の反応器であって、第2反応区域と第3
反応区域の境界に蒸留塔を備えたものを使用し、シュウ
酸ジメチルに対して、フェノールを2.02倍モル、テ
トラフェノキシチタンを0.0016倍モル含有する原
料液を第1反応区域に35.0g/hrで連続的に供給
したほかは、実施例2と同様に反応を行った(液相の全
容積:115mL)。この場合、メタノールを含む蒸発
分の重質分は、第2反応区域と第3反応区域にほぼ等量
ずつ還流された。その結果、反応が定常に達した時点で
反応器から抜き出された反応液の組成は、シュウ酸ジメ
チル28.7重量%、フェノール56.8重量%、シュ
ウ酸メチルフェニル7.9重量%、シュウ酸ジフェニル
1.0重量%であり、シュウ酸ジメチルの転化率は1
6.6%、シュウ酸メチルフェニルの空時収量(ST
Y)は19g/L・hr、シュウ酸ジフェニルの空時収
量(STY)は2g/L・hrであった。なお、反応温
度は第1反応区域から第4反応区域において181〜1
83℃で、蒸留塔の塔頂温度は64〜84℃であった。
実施例及び比較例の結果を表1に示す。
【0049】
【表1】
【0050】実施例3 実施例1と同様の反応器であって、連通孔のない仕切り
板によってほぼ等容積の4つの反応区域に区切られたも
の(第1反応器)を使用し、シュウ酸ジメチルに対し
て、フェノールを2.19倍モル、テトラフェノキシチ
タンを0.0015倍モル含有する原料液を第1反応区
域に114.0g/hrで連続的に供給したほかは、実
施例1と同様に反応を行った(液相の全容積:116m
L)。その結果、反応が定常に達した時点で反応器から
抜き出された反応液の組成は、シュウ酸ジメチル23.
5重量%、フェノール53.3重量%、シュウ酸メチル
フェニル19.8重量%、シュウ酸ジフェニル4.1重
量%であり、シュウ酸ジメチルの転化率は38.9%、
シュウ酸メチルフェニルの空時収量(STY)は185
g/L・hr、シュウ酸ジフェニルの空時収量(ST
Y)は38g/L・hrであった。なお、反応温度は1
83〜190℃で、蒸留塔の塔頂温度は64〜65℃で
あった。
【0051】実施例1と同様の反応器であって、連通孔
のない仕切り板によってほぼ等容積の4つの反応区域に
区切られたもの(第2反応器)を使用し、前記の第1反
応器から抜き出された反応液を第1反応区域に108g
/hrで連続的に供給したほかは、実施例1と同様に反
応を行った(液相の全容積:93mL)。その結果、反
応が定常に達した時点で反応器から抜き出された反応液
の組成は、シュウ酸ジメチル4.5重量%、フェノール
26.0重量%、シュウ酸メチルフェニル29.0重量
%、シュウ酸ジフェニル40.2重量%であり、シュウ
酸ジフェニルの空時収量(STY)は180g/L・h
rであった。なお、反応温度は184〜199℃で、蒸
留塔の塔頂温度は180℃であった。
【0052】実施例4 実施例1と同様の反応器であって、連通孔のない仕切り
板によってほぼ等容積の4つの反応区域に区切られたも
のを使用し、シュウ酸ジメチルに対して、シュウ酸メチ
ルフェニルを0.55倍モル、シュウ酸ジフェニルを
0.084倍モル、フェノールを2.80倍モル、テト
ラフェノキシチタンを0.0023倍モル含有する原料
液を第1反応区域に108g/hrで連続的に供給した
ほかは、実施例1と同様に反応を行った(液相の全容
積:93mL)。その結果、反応が定常に達した時点で
反応器から抜き出された反応液の組成は、シュウ酸ジメ
チル4.5重量%、フェノール26.0重量%、シュウ
酸メチルフェニル29.0重量%、シュウ酸ジフェニル
40.2重量%であり、シュウ酸ジフェニルの空時収量
(STY)は180g/L・hrであった。なお、反応
温度は184〜199℃で、蒸留塔の塔頂温度は180
℃であった。
【0053】
【発明の効果】本発明により、公知の方法が有していた
問題(生産性がよくないこと、種々の副生物が生成する
ことなど)を解決して、シュウ酸ジアルキルと芳香族ヒ
ドロキシ化合物から、シュウ酸ジアリール、シュウ酸ア
ルキルアリール等のシュウ酸アリールエステルを高反応
速度で連続的に製造することができる。本発明は、工業
的に好適なシュウ酸アリールエステルの連続製造方法で
あり、非常に有用な方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例1で使用した反応器を概略示す図
である。
【図2】図2は本発明の一実施態様を概略示す図であ
る。
【図3】図3は本発明の一実施態様を概略示す図であ
る。
【図4】図4は本発明の一実施態様を概略示す図であ
る。
【図5】図5は本発明の一実施態様を概略示す図であ
る。
【符号の説明】
1:原料供給ライン 2(2−1、2−2、2−3、2−4など):反応区域 3:反応区域仕切り板 4:反応液送入ライン 5:連通孔 6:反応液抜き出しライン 7:蒸発分抜き出しライン 8:蒸留塔 9:重質分供給ライン 10:軽質分抜き出しライン
フロントページの続き (72)発明者 西平 圭吾 山口県宇部市大字小串1978番地の10 宇 部興産株式会社 宇部統合事業所内 (72)発明者 田中 秀二 山口県宇部市大字小串1978番地の10 宇 部興産株式会社 宇部統合事業所内 (72)発明者 井伊 宏文 山口県宇部市大字小串1978番地の10 宇 部興産株式会社 宇部統合事業所内 (72)発明者 藤津 悟 山口県宇部市大字小串1978番地の10 宇 部興産株式会社 宇部統合事業所内 (56)参考文献 特開 平9−301920(JP,A) 特開 平9−221451(JP,A) 特開 平9−143123(JP,A) 特開 平10−152457(JP,A) 特開 昭50−82027(JP,A) 特開 昭49−42622(JP,A) 特開 昭49−42621(JP,A) 特開 昭48−96531(JP,A) 特開 平10−59905(JP,A) 特開 昭59−70641(JP,A) 特開 昭59−70640(JP,A) 特公 昭52−43826(JP,B1) 特公 昭43−2090(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 67/02 C07C 67/03 C07C 67/475 C07C 69/36

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シュウ酸ジアルキルを触媒存在下で芳香
    族ヒドロキシ化合物とエステル交換反応させてシュウ酸
    アルキルアリールを製造する方法において、液相部が複
    数の反応区域を有する反応器の第1反応区域に、シュウ
    酸ジアルキル、芳香族ヒドロキシ化合物及び触媒を液相
    状態で連続的に供給し、その第1反応区域の反応液を連
    続する反応区域に順次導いて、最終反応区域からシュウ
    酸アルキルアリールを含む反応液を連続的に抜き出しつ
    つ、副生する脂肪族アルコールを含む蒸発分を反応器の
    上部から気相状態で連続的に抜き出すと共にその重質分
    を前記の第1反応区域に供給しながら、エステル交換反
    応を行うことを特徴とするシュウ酸アリールエステルの
    連続製造方法。
  2. 【請求項2】 シュウ酸ジアルキルを触媒存在下で芳香
    族ヒドロキシ化合物とエステル交換反応させてシュウ酸
    アルキルアリールを生成させ、次いでそのシュウ酸アル
    キルアリールを触媒存在下で不均化反応させてシュウ酸
    ジアリールを製造する方法において、液相部が複数の反
    応区域を有する反応器の第1反応区域に、シュウ酸ジア
    ルキル、芳香族ヒドロキシ化合物及び触媒を液相状態で
    連続的に供給し、その第1反応区域の反応液を連続する
    反応区域に順次導いて、最終反応区域からシュウ酸ジア
    リールを含む反応液を連続的に抜き出しつつ、副生する
    脂肪族アルコール及び/又はシュウ酸ジアルキルを含む
    蒸発分を反応器の上部から気相状態で連続的に抜き出す
    と共にその重質分を前記の第1反応区域に供給しなが
    ら、反応を行うことを特徴とするシュウ酸アリールエス
    テルの連続製造方法。
  3. 【請求項3】 シュウ酸ジアルキルを触媒存在下で芳香
    族ヒドロキシ化合物とエステル交換反応させてシュウ酸
    アルキルアリールを生成させ、次いでそのシュウ酸アル
    キルアリールを触媒存在下で不均化反応させてシュウ酸
    ジアリールを製造する方法において、(1)液相部が複
    数の反応区域を有する第1反応器の第1反応区域に、シ
    ュウ酸ジアルキル、芳香族ヒドロキシ化合物及び触媒を
    液相状態で連続的に供給し、その第1反応区域の反応液
    を連続する反応区域に順次導いて、最終反応区域からシ
    ュウ酸アルキルアリールを含む反応液を連続的に抜き出
    しつつ、副生する脂肪族アルコールを含む蒸発分を反応
    器の上部から気相状態で連続的に抜き出すと共にその重
    質分を前記の第1反応区域に供給しながら、該エステル
    交換反応を行って、(2)液相部が複数の反応区域を有
    する第2反応器の第1反応区域に、前記のシュウ酸アル
    キルアリールを含む反応液を液相状態で連続的に供給
    し、その第1反応区域の反応液を連続する反応区域に順
    次導いて、最終反応区域からシュウ酸ジアリールを含む
    反応液を連続的に抜き出しつつ、副生するシュウ酸ジア
    ルキルを含む蒸発分を反応器の上部から気相状態で連続
    的に抜き出すと共にその重質分を前記第1反応器の第1
    反応区域に供給しながら、不均化反応を行うことを特徴
    とするシュウ酸アリールエステルの連続製造方法。
  4. 【請求項4】 シュウ酸アルキルアリールを触媒存在下
    で不均化反応させてシュウ酸ジアリールを製造する方法
    において、液相部が複数の反応区域を有する反応器の第
    1反応区域に、シュウ酸アルキルアリール及び触媒を液
    相状態で連続的に供給し、その第1反応区域の反応液を
    連続する反応区域に順次導いて、最終反応区域からシュ
    ウ酸ジアリールを含む反応液を連続的に抜き出すと共
    に、副生するシュウ酸ジアルキルを含む蒸発分を反応器
    の上部から気相状態で連続的に抜き出しながら、不均化
    反応を行うことを特徴とするシュウ酸アリールエステル
    の連続製造方法。
  5. 【請求項5】 液相部が複数の反応区域を有しかつ気相
    部が連通する反応器を用いることを特徴とする請求項
    1、2、3又は4記載のシュウ酸アリールエステルの連
    続製造方法。
  6. 【請求項6】 触媒が、アルカリ金属化合物、ジルコニ
    ウム化合物、銅族金属化合物、鉛化合物、鉄化合物、亜
    鉛化合物、有機スズ化合物、アルミニウムのルイス酸化
    合物、チタンのルイス酸化合物及びバナジウムのルイス
    酸化合物から選ばれる少なくとも一種の化合物であるこ
    とを特徴とする請求項1、2、3又は4記載のシュウ酸
    アリールエステルの連続製造方法。
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