JPH09173819A - 段塔型反応装置およびこれを用いた反応方法 - Google Patents

段塔型反応装置およびこれを用いた反応方法

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JPH09173819A
JPH09173819A JP34122195A JP34122195A JPH09173819A JP H09173819 A JPH09173819 A JP H09173819A JP 34122195 A JP34122195 A JP 34122195A JP 34122195 A JP34122195 A JP 34122195A JP H09173819 A JPH09173819 A JP H09173819A
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reaction
gas
liquid
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JP34122195A
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English (en)
Inventor
Yoshiaki Urano
好明 浦野
Hironori Wakayama
裕紀 若山
Hideaki Tsuneki
英昭 常木
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 滞留時間を長くして反応時間を充分に確保す
ることができ、かつ、気液接触による圧力損失を抑制す
ることができる段塔型反応装置、および、該段塔型反応
装置を用いて、例えばジアリールカーボネートを従来よ
りも安価に得ることができる反応方法を提供する。 【解決手段】 反応蒸留塔10は、反応液と反応ガスと
を気液接触させる充填物層1と、気液接触させることな
く反応ガスを上昇させる上昇部2と、気液接触させるこ
となく原料を触媒の存在下で反応させる反応部3とを備
えている。上昇部2は、塔水平断面における周縁部に配
設されている。反応部3は、該断面における中央部に配
設されている。反応蒸留塔10は、反応部3および上昇
部2を備えているので、滞留時間を長くして反応時間を
充分に確保することができると共に、該反応部3が配設
されている部位では、気液接触による圧力損失は生じな
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原料が連続的に供
給される供給部、反応生成物が連続的に反応系外に取り
出される取出部、および、装置内を下降する反応液と装
置内を上昇する反応ガスとを気液接触させる接触部を備
えた段塔型反応装置、およびこれを用いた反応方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、原料を触媒の存在下で反応さ
せながら気液接触させる反応方法、いわゆる反応蒸留が
知られている。上記の反応蒸留は、エステル交換反応等
の平衡反応において、平衡を生成系側に有利にして反応
効率(平衡転化率)を高めることができる。従って、反
応蒸留は、平衡反応を進行させるのに有効な反応方法で
ある。
【0003】一方、ジアリールカーボネートは、工業的
に有用な化合物であり、例えば、芳香族ジヒドロキシ化
合物とエステル交換反応させて、ポリカーボネートを製
造する際の原料として用いられる。ジアリールカーボネ
ートの製造方法として、例えば、米国特許第 4,533,504
号には、炭酸ジメチルと酢酸フェニルとをエステル交換
反応させて炭酸ジフェニル(ジアリールカーボネート)
を製造する方法が開示されている。ところが、この方法
は、炭酸ジメチルの転化率が70モル%以上と高いが、バ
ッチ式であるので、生産性が悪い。
【0004】そこで、連続多段蒸留塔(反応装置)を用
いて、例えば、特開平4-9358号公報に開示されているよ
うに、ジアリールカーボネートの製造方法に反応蒸留を
採用することが試みられている。ところが、一般に、連
続多段蒸留塔では、滞留時間、即ち、反応時間を充分に
採ることができない。このため、反応速度が比較的遅い
反応の場合には、該反応を充分に進行させることができ
ないという問題点を有している。
【0005】連続多段蒸留塔において滞留時間を長く
し、反応時間を充分に確保するには、空塔容積に対する
ホールドアップ量を多くすればよいが、該ホールドアッ
プ量を多くするとフラッディングが起こり易くなる。従
って、或る程度以上には、滞留時間を長くすることがで
きない。また、該ホールドアップ量を多くすると、気液
接触による圧力損失が大きくなる(通常、数十mmHg程
度)。
【0006】反応時間を充分に確保する方法として、特
公平 7-68179号公報には、連続多段蒸留塔の中段部に別
の反応器を複数設けてなる反応装置を用い、蒸留塔内の
反応液を蒸留塔外の反応器に一旦取り出し、この反応器
内で反応を進行させた後、該反応液を蒸留塔内に戻す方
法が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の構成、つまり、特公平 7-68179号公報に開示された
反応装置では、反応時間を充分に確保することができる
ものの、反応を制御する計装機器類等の制御装置を含め
た該反応装置の構成が極めて複雑になってしまう。この
ため、反応装置を製造する際の設備費や、用役費、固定
費等が非常に嵩むので、ジアリールカーボネート等の反
応生成物を安価に製造することができないという問題点
を有している。
【0008】連続多段蒸留塔においては、塔底の温度
は、塔の制御圧力である塔頂の圧力ではなく、該圧力に
圧力損失分が加わった塔底の圧力に左右される。従っ
て、圧力損失が大きくなると、塔底の圧力は比較的高く
なってしまう。ところが、副反応を抑制するために塔底
の温度を比較的低くした条件で反応蒸留を実施しなけれ
ばならない場合には、圧力損失が或る程度以上大きくな
ると、塔底の圧力を低くすることができないので、該反
応蒸留の実施が不可能となってしまう。一方、圧力損失
が大きくなると、塔頂の圧力が比較的低くなるので、塔
頂における軽沸点成分、即ち、反応ガスの露点が著しく
低下する。従って、反応ガスを凝縮させる際に、安価で
かつ簡便な冷却水が使用できず、ブライン等を冷媒とし
て使用しなければならない事態も生じる。この場合に
は、反応ガスの凝縮に冷凍機が必要となる等、費用が掛
かり過ぎるので、工業的に実施するには非常に不利とな
る。
【0009】特に、例えばジアリールカーボネートを製
造する場合等、連続多段蒸留塔の操作圧を比較的低くし
た条件での反応蒸留を所望する場合には、反応蒸留の操
作条件に与える上記圧力損失の影響が相対的に大きくな
る。
【0010】そこで、圧力損失を抑制することによって
塔底の圧力および温度をより低くすることができ、か
つ、塔頂の圧力をより高くすることができる反応装置、
および反応方法が切望されている。
【0011】本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされ
たものであり、その目的は、滞留時間を長くして反応時
間を充分に確保することができ、かつ、気液接触による
圧力損失を抑制することができる段塔型反応装置、およ
び、該段塔型反応装置を用いて、例えばジアリールカー
ボネート等の反応生成物を従来よりも安価に得ることが
できる反応方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本願発明者等は、反応時
間を充分に確保することができ、かつ、圧力損失を抑制
することができる段塔型反応装置、および、反応生成物
を従来よりも安価に得ることができる反応方法を提供す
べく鋭意検討した。その結果、装置内を下降する反応液
と装置内を上昇する反応ガスとを気液接触させる接触部
の上段側に、気液接触させることなく反応ガスを上昇さ
せる上昇部と、気液接触させることなく原料を触媒の存
在下で反応させる反応部とが設けられ、該上昇部が装置
水平断面における周縁部に配設されると共に、該反応部
が該水平断面における中央部に配設されている段塔型反
応装置、並びに、該上昇部が装置水平断面における中央
部に配設されると共に、該反応部が該水平断面における
周縁部に配設されている段塔型反応装置が、滞留時間を
長くして反応時間を充分に確保することができ、かつ、
気液接触による圧力損失を抑制することができることを
見い出した。また、上記の段塔型反応装置を用い、該装
置内を下降する反応液を反応部に導入すると共に該反応
部にて気液接触させることなく原料を触媒の存在下で反
応させる一方、接触部にて該反応部からの溢流反応液と
反応ガスとを気液接触させることにより、反応生成物を
従来よりも安価に得ることができることを見い出して、
本発明を完成させるに至った。
【0013】即ち、請求項1記載の発明の段塔型反応装
置は、上記の課題を解決するために、原料が連続的に供
給される供給部、反応生成物が連続的に反応系外に取り
出される取出部、および、装置内を下降する反応液と装
置内を上昇する反応ガスとを気液接触させる接触部を備
えた段塔型反応装置において、上記接触部の上段側に、
気液接触させることなく反応ガスを上昇させる上昇部
と、気液接触させることなく原料を触媒の存在下で反応
させる反応部とが設けられ、該上昇部が装置水平断面に
おける周縁部に配設されると共に、該反応部が該水平断
面における中央部に配設されていることを特徴としてい
る。
【0014】また、請求項2記載の発明の段塔型反応装
置は、上記の課題を解決するために、原料が連続的に供
給される供給部、反応生成物が連続的に反応系外に取り
出される取出部、および、装置内を下降する反応液と装
置内を上昇する反応ガスとを気液接触させる接触部を備
えた段塔型反応装置において、上記接触部の上段側に、
気液接触させることなく反応ガスを上昇させる上昇部
と、気液接触させることなく原料を触媒の存在下で反応
させる反応部とが設けられ、該上昇部が装置水平断面に
おける中央部に配設されると共に、該反応部が該水平断
面における周縁部に配設されていることを特徴としてい
る。
【0015】上記の構成によれば、滞留時間を長くして
反応時間を充分に確保することができるので原料をより
効率的に反応させることができ、かつ、気液接触による
圧力損失を抑制することができる。また、構成が比較的
簡単であるので、該段塔型反応装置を製造する際の設備
費や、用役費、固定費等が従来の反応装置よりも安価と
なる。
【0016】また、請求項3記載の発明の反応方法は、
上記の課題を解決するために、請求項1ないし2の何れ
か1項に記載の段塔型反応装置を用いた反応方法であっ
て、原料を連続的に段塔型反応装置に供給し、該装置内
を下降する反応液を反応部に導入すると共に該反応部に
て気液接触させることなく原料を触媒の存在下で反応さ
せる一方、接触部にて該反応部からの溢流反応液と反応
ガスとを気液接触させ、反応生成物を連続的に反応系外
に取り出すことを特徴としている。
【0017】上記の方法によれば、反応生成物を従来よ
りも効率的かつ工業的に安価に得ることができる。
【0018】さらに、請求項4記載の発明の反応方法
は、上記の課題を解決するために、請求項3記載の発明
の反応方法において、アルキルアリールカーボネートを
含む原料を不均化反応させ、ジアリールカーボネートを
含む反応生成物を得ることを特徴としている。請求項5
記載の発明の反応方法は、上記の課題を解決するため
に、請求項3記載の発明の反応方法において、カルボン
酸アリールエステルとアルキルアリールカーボネートと
を含む原料をエステル交換反応させ、ジアリールカーボ
ネートを含む反応生成物を得ることを特徴としている。
請求項6記載の発明の反応方法は、上記の課題を解決す
るために、請求項3、4または5記載の発明の反応方法
において、段塔型反応装置の操作圧が1mmHg〜500 mmHg
の範囲内であることを特徴としている。
【0019】上記の方法によれば、ポリカーボネートを
製造する際の原料等として工業的に有用なジアリールカ
ーボネートを含む反応生成物を従来よりも効率的かつ工
業的に安価に得ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕本発明の一実施の形態について図1な
いし図3に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0021】図2に示すように、本実施の形態にかかる
段塔型反応装置(以下、反応蒸留塔と称する)10は、
原料を触媒の存在下で反応させながら気液接触させる反
応方法、いわゆる反応蒸留を実施することができる多段
式の気液接触型反応器である。反応蒸留塔10は、例え
ばステンレスやガラス等からなっており、原料を供給す
る原料供給管(供給部)11、反応生成物を取り出す抜
き出し管(取出部)12および留出管(取出部)13、
および、ヒータ等の加熱装置(図示せず)等を備えてい
る。加熱装置は、塔底部に配設されている。
【0022】原料は、原料供給管11を介して連続的に
塔内(装置内)に供給される。反応生成物は、抜き出し
管12並びに留出管13を介して連続的に反応系外、即
ち、塔外に、缶出液並びに留出液として取り出される。
留出管13を介して取り出された留出液は、所定の還流
比で、その一部が反応蒸留塔10に還流されるようにな
っている。反応蒸留塔10における原料供給管11の配
設位置は、特に限定されるものではない。また、反応蒸
留塔10における抜き出し管12の配設位置は、例えば
塔底(最下段)とすればよく、留出管13の配設位置
は、例えば塔頂(最上段)とすればよいが、特に限定さ
れるものではない。
【0023】図1に示すように、反応蒸留塔10は、内
部に、充填物層(接触部)1、上昇部2、および、反応
部3等を複数備えている。
【0024】充填物層1は、例えば、反応ガスが通過す
ることができる金網等の多孔板1aの上に、図示しない
充填物が充填されてなっている。充填物としては、具体
的には、例えば、ラシヒリング、ポールリング、インタ
ロックスサドル、ディクソンパッキング、マクマホンパ
ッキング、スルーザーパッキング等が挙げられるが、特
に限定されるものではない。また、充填物の上には、反
応ガスが通過することができる金網等の多孔板1bが載
置されている。そして、該充填物層1は、塔内を下降す
る反応液(溢流反応液)と、塔内を上昇する反応ガスと
を気液接触させるようになっている。尚、触媒が均一触
媒である場合には、充填物層1においても、平衡反応は
或る程度進行する。また、固体の不均一触媒を用いる場
合には、上記充填物の一部または全部に代えて固体の該
触媒を充填することもできるが、圧力損失が大きくなる
ような触媒粒子の大きさ、形状、充填方法等は避けなけ
ればならない。
【0025】充填物層1の下方には、漏斗状に形成され
た漏斗部5aと、管状に形成された脚部5bとからなる
コレクター5が設けられている。漏斗部5aは、反応ガ
スが通過することができ、かつ、充填物層1から下降し
てきた反応液を集めることができる構造、例えばステン
レス製の金網等からなっている。脚部5bは、反応部3
内部に挿入されており、漏斗部5aにて集めた反応液を
反応部3に導入するようになっている。
【0026】上昇部2は、充填物層1(図1において下
側の充填物層)の上段側に設けられており、塔水平断面
(装置水平断面)における周縁部に配設されている。上
昇部2は、実質的に気液接触させることなく反応ガスを
上昇させるようになっている。従って、反応蒸留塔10
における、反応部3および上昇部2が配設されている部
位では、実質的に気液接触させないので圧力損失は殆ど
生じない。
【0027】反応部3は、有底円筒状に形成されてい
る。該反応部3は、充填物層1(同図において下側の充
填物層)の上段側に設けられており、該水平断面におけ
る中央部に配設されている。反応部3は、その上段側に
設けられた充填物層1(同図において上側の充填物層)
からコレクター5を介して下降してきた反応液を溜める
ことができるようになっている。そして、反応部3は、
実質的に気液接触させることなく、該反応液中の原料を
触媒の存在下で反応させるようになっている。反応部3
の上部は、軽沸点成分が蒸発することができるように、
開放されていることが好ましいが、必要に応じて、その
一部が覆われていてもよい。
【0028】尚、反応部3に溜められた反応液の液面に
おいても、該反応液と反応ガスとは或る程度気液接触し
ているが、該気液接触による圧力損失は殆ど生じない。
また、触媒として均一触媒を用いる場合には、反応液に
該触媒が含まれており、一方、固体の不均一触媒を用い
る場合には、反応部3に該触媒が充填される。触媒が均
一触媒である場合には、該触媒は、例えば原料と共に塔
内に連続的に供給される。
【0029】反応部3に溜められた反応液は、所定量以
上になると該反応部3から溢れ、オーバーフローした反
応液、つまり、溢流反応液は、反応部3の外側壁を伝い
ながら塔内を下降し、下段側に設けられた充填物層1に
供給される。
【0030】上記の反応蒸留塔10としては、充填物層
1、反応部3および上昇部2からなるユニットの段数、
つまり、塔頂および塔底を除いた段数が2段以上の蒸留
塔が好ましく、5段以上の蒸留塔がより好ましい。さら
に、ユニットの段数は、反応効率および気液分離の効率
を向上させるために、多い方が好ましいが、反応蒸留塔
10を製造する際の費用や高さ制限、用役費、固定費等
を考慮に入れて、理論段数が2段〜 100段程度となるよ
うな段数が好ましい。
【0031】本実施の形態にかかる反応蒸留塔10は、
以上のように、塔内を下降する反応液と塔内を上昇する
反応ガスとを気液接触させる充填物層1の上段側に、気
液接触させることなく反応ガスを上昇させる上昇部2
と、気液接触させることなく原料を触媒の存在下で反応
させる反応部3とが設けられ、該上昇部2が塔水平断面
における周縁部に配設されると共に、該反応部3が該水
平断面における中央部に配設されている構成である。
【0032】上記の構成によれば、反応部3を備えてい
るので、滞留時間を長くして反応時間を充分に確保する
ことができる。また、上昇部2を備えているので、反応
部3が配設されている部位では、気液接触による圧力損
失は生じない。従って、原料をより効率的に反応させる
ことができ、かつ、気液接触による圧力損失を抑制する
ことができる。上記の滞留時間は、例えば、反応部3に
溜められる反応液の量を調節したり、或いは、反応部3
の個数を増減させることにより、任意に設定することが
できる。そして、反応蒸留塔10は、構成が比較的簡単
であるので、該反蒸留塔を製造する際の設備費や、用役
費、固定費等が従来の反応装置よりも安価となる。
【0033】次に、上記構成の反応蒸留塔10を用いた
反応方法について説明する。該反応方法は、平衡反応に
対して有効であり、反応蒸留の実施が所望される種々の
平衡反応に好適に採用することができるが、特に、アル
キルアリールカーボネートを含む原料を不均化反応させ
てジアリールカーボネートを含む反応生成物を得る場
合、並びに、カルボン酸アリールエステルとアルキルア
リールカーボネートとを含む原料をエステル交換反応さ
せてジアリールカーボネートを含む反応生成物を得る場
合に最適である。
【0034】上記のアルキルアリールカーボネートは、
特に限定されるものではないが、例えば、一般式(1) R1 O−COOR2 ……(1) (式中、R1 は置換基を有していてもよい芳香族基を表
し、R2 はアルキル基、脂環式炭化水素基またはアリー
ルアルキル基を表す)で表される化合物が好適である。
置換基R2 は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜
10の脂環式炭化水素基、または、炭素数7〜10のアリー
ルアルキル基がより好ましい。
【0035】アルキルアリールカーボネートとしては、
具体的には、例えば、メチルフェニルカーボネート、エ
チルフェニルカーボネート、プロピルフェニルカーボネ
ート、ブチルフェニルカーボネート、メチルクロロフェ
ニルカーボネートの各異性体、エチルメチルフェニルカ
ーボネートの各異性体等が挙げられるが、特に限定され
るものではない。
【0036】上記のアルキルアリールカーボネートを不
均化反応させることにより、相当する反応生成物、即
ち、一般式(2) R1 O−COOR1 ……(2) (式中、R1 は置換基を有していてもよい芳香族基を表
す)で表されるジアリールカーボネートが目的物として
得られる。また、一般式(3) R2 O−COOR2 ……(3) (式中、R2 はアルキル基、脂環式炭化水素基またはア
リールアルキル基を表す)で表されるジアルキルカーボ
ネートが副生成物として得られる。ジアルキルカーボネ
ートとしては、具体的には、例えば、ジメチルカーボネ
ート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネー
ト、ジブチルカーボネート、エチルメチルカーボネート
等が挙げられる。
【0037】上記のカルボン酸アリールエステルは、特
に限定されるものではないが、例えば、一般式(4) R3 COOR1 ……(4) (式中、R1 は置換基を有していてもよい芳香族基を表
し、R3 はアルキル基、脂環式炭化水素基またはアリー
ルアルキル基を表す)で表される化合物が好適である。
置換基R3 は、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数3〜
10の脂環式炭化水素基、または、炭素数7〜10のアリー
ルアルキル基がより好ましい。
【0038】カルボン酸アリールエステルとしては、具
体的には、例えば、酢酸フェニル、酢酸メチルフェニル
の各異性体、酢酸エチルフェニルの各異性体、酢酸クロ
ロフェニルの各異性体、酢酸イソプロピルフェニルの各
異性体、酢酸メトキシフェニルの各異性体、酢酸ジメチ
ルフェニルの各異性体、酢酸ナフチルの各異性体、プロ
ピオン酸フェニル、プロピオン酸メチルフェニルの各異
性体、酪酸フェニル、イソ酪酸フェニル、吉草酸フェニ
ル、吉草酸メチルフェニルの各異性体、イソ吉草酸フェ
ニル、ヘキサン酸フェニル、ヘプタン酸フェニル等が挙
げられるが、特に限定されるものではない。
【0039】上記のカルボン酸アリールエステルと、前
記のアルキルアリールカーボネートとをエステル交換反
応させることにより、相当する反応生成物、即ち、前記
一般式(2)で表されるジアリールカーボネートが目的
物として得られる。また、一般式(5) R3 COOR2 ……(5) (式中、R2 、R3 は、それぞれ独立してアルキル基、
脂環式炭化水素基またはアリールアルキル基を表す)で
表されるカルボン酸アルキルエステルが副生成物として
得られる。
【0040】カルボン酸アリールエステルとアルキルア
リールカーボネートとのモル比は、使用する触媒の種類
や量、或いは反応条件等にもよるが、1:100 〜 100:
1の範囲内が好ましく、1:20〜20:1の範囲内がより
好ましく、1:5〜5:1の範囲内が最も好ましい。上
記エステル交換反応は、原系側に偏った平衡反応であ
る。従って、カルボン酸アリールエステルおよびアルキ
ルアリールカーボネートの何れか一方を大過剰に用いる
ことにより、他方の反応効率(平衡転化率)を高めるこ
とができる。しかしながら、両者のモル比が上記の範囲
外である場合には、大過剰に用いたカルボン酸アリール
エステル若しくはアルキルアリールカーボネートを回収
し、リサイクルしなければならない。このため、工業的
に不利となり、好ましくない。
【0041】また、上記エステル交換反応においては、
反応系に、カルボン酸アリールエステルを合成する際に
用いる芳香族ヒドロキシ化合物や脂肪族カルボン酸エス
テルの未反応物が含まれていてもよい。尚、ジアリール
カーボネートを効率的に製造するために、カルボン酸ア
リールエステル、芳香族ヒドロキシ化合物、および脂肪
族カルボン酸エステルの合計量における該カルボン酸ア
リールエステルの含量は、10モル%以上が好ましく、20
モル%以上がより好ましく、30モル%以上がさらに好ま
しい。
【0042】また、反応蒸留塔10に原料を供給する際
には、該反応蒸留塔10に、アルキルアリールカーボネ
ートを含む原料、或いは、カルボン酸アリールエステル
とアルキルアリールカーボネートとを含む原料を連続的
に供給し、ジアリールカーボネートを含む反応生成物、
つまり、高沸点成分を反応蒸留塔10の下部から液状で
連続的に抜き出すと共に、副生成物(反応生成物)であ
るジアルキルカーボネートまたはカルボン酸アルキルエ
ステルを含む低沸点成分を反応蒸留塔10の上部からガ
ス状で連続的に抜き出す方法が効率的であり、好まし
い。
【0043】反応蒸留塔10への原料の供給方法は、特
に限定されるものではなく、例えば、エステル交換反応
においては、カルボン酸アリールエステルおよびアルキ
ルアリールカーボネートを含む原料(つまり、混合物)
を供給してもよく、また、カルボン酸アリールエステル
を含む原料と、アルキルアリールカーボネートを含む原
料とをそれぞれ別個に供給してもよい。そして、これら
カルボン酸アリールエステルおよび/またはアルキルア
リールカーボネートを含む原料は、液状で供給してもよ
く、ガス状で供給してもよく、或いは、気液混合状態で
供給してもよい。但し、反応蒸留塔10内でこれら化合
物同士の接触が円滑に行われるように、より高沸点の原
料を供給する段を、より低沸点の原料を供給する段より
も上段とすることが好ましい。尚、上記高沸点の原料に
は、低沸点の原料の一部が含まれていてもよく、また、
上記低沸点の原料には、高沸点の原料の一部が含まれて
いてもよい。
【0044】さらに、前記一般式(1)で表されるアル
キルアリールカーボネートは、前記一般式(3)で表さ
れるジアルキルカーボネートと、前記一般式(4)で表
されるカルボン酸アリールエステルとをエステル交換反
応させることにより、合成することができる。従って、
反応蒸留塔10内でジアルキルカーボネートとカルボン
酸アリールエステルとを反応させてアルキルアリールカ
ーボネートを合成し、該アルキルアリールカーボネート
をカルボン酸アリールエステルとエステル交換反応させ
ることもできる。
【0045】また、図3に示すように、反応蒸留塔10
とは別個に反応器14を設け、該反応器14を用いてジ
アルキルカーボネートとカルボン酸アリールエステルと
を反応させてアルキルアリールカーボネートを合成した
後、該アルキルアリールカーボネートを含む原料を反応
蒸留塔10に供給して、カルボン酸アリールエステルと
エステル交換反応させることもできる。尚、上記の反応
器14には、ジアルキルカーボネートとカルボン酸アリ
ールエステルとが供給される原料供給管11a、およ
び、アルキルアリールカーボネートを含む原料を反応蒸
留塔10に供給する原料供給管11bを接続すればよ
い。
【0046】触媒は、均一触媒であってもよく、不均一
触媒であってもよい。触媒としては、具体的には、例え
ば、硫酸等の鉱酸;パラトルエンスルホン酸等のスルホ
ン酸類;イオン交換樹脂、ゼオライト等の固体酸;水酸
化ナトリウム等の塩基;チタンテトライソプロポキシ
ド、ジルコニウム(IV)イソプロポキシド等の金属アルコ
キシド;塩化アルミニウム、四塩化チタン等のルイス酸
や、ルイス酸を発生する化合物;フェノキシ鉛、フェノ
キシチタン等の金属フェノキサイド類;酸化鉛類;炭酸
鉛等の鉛塩類;ジルコニウム(IV)アセチルアセトネー
ト、ビス(アセチルアセトナト)銅(II)、亜鉛(II)アセ
チルアセトネート、リチウムアセチルアセトネート等の
金属アセチルアセトネート錯体;ジブチル錫オキシド等
の有機錫化合物;チタノシリケート;金属置換リン酸ア
ルミニウム等が挙げられる。また、通常のプロトン酸、
プロトン塩基、固体酸、固体塩基も触媒として用いるこ
とができる。上記例示の触媒のうち、均一触媒がより好
ましく、弱酸および弱塩基が、ジアリールカーボネート
の選択率が向上するのでさらに好ましい。
【0047】均一触媒を用いる場合における触媒濃度
は、アルキルアリールカーボネートを含む原料、或い
は、カルボン酸アリールエステルとアルキルアリールカ
ーボネートとを含む原料に対して、下限値は 0.1 ppm、
好ましくは1 ppm、さらに好ましくは10 ppmである。ま
た、上限値は、反応液に飽和状態で溶解する量であり、
凡そ10重量%、好ましくは5重量%、さらに好ましくは
3重量%である。不均一触媒を用いる場合における触媒
の量は、特に限定されるものではない。
【0048】また、均一触媒を用いる場合には、該触媒
を混合した溶液(原料)を反応蒸留塔10に供給する。
例えば、上記エステル交換反応を行う場合には、カルボ
ン酸アリールエステルおよびアルキルアリールカーボネ
ートの少なくとも一方を含む原料に混合して供給するこ
とができる。或いは、触媒を混合した溶液を、反応蒸留
塔10におけるカルボン酸アリールエステルを含む原料
の供給段、若しくは、アルキルアリールカーボネートを
含む原料の供給段に供給してもよく、または、供給段と
異なる段に供給してもよい。
【0049】上記の反応蒸留塔10を操作する際に、そ
の操作条件を決める因子としては、例えば、操作温度
(反応温度)、操作圧、液の滞留時間、ユニットの段
数、還流比、および液のホールドアップ量等が挙げられ
る。
【0050】操作温度は、原料の種類、触媒の種類や
量、他の条件(因子)等にもよるが、50℃〜 350℃の範
囲内が好ましく、 100℃〜 280℃の範囲内がより好まし
い。操作温度が50℃よりも低い場合には、触媒活性が低
くなるので反応時間が長くなり、生産性が低下するため
好ましくない。また、操作温度が 350℃よりも高い場合
には、副反応が起こり易くなると共に、反応蒸留塔10
内部の圧力が上昇しすぎるため好ましくない。
【0051】操作圧は、減圧、常圧、加圧の何れであっ
てもよく、また、原料の種類、触媒の種類や量、他の条
件(因子)等にもよるが、1mmHg〜10kg/cm2の範囲内が
好ましく、1mmHg〜5kg/cm2の範囲内がより好ましく、
さらに、操作条件に対する圧力損失の影響が相対的に大
きくなる1mmHg〜500 mmHgの範囲内が特に好ましく、1
mmHg〜200 mmHgの範囲内が最も好ましい。
【0052】還流比は、原料や反応生成物、副生成物等
の相互の沸点差にもよるが、0〜100 の範囲内が好まし
く、0〜50の範囲内がより好ましく、 0.1〜25の範囲内
が最も好ましい。
【0053】本実施の形態にかかる反応方法において
は、必要に応じて、反応系、つまり反応液に、溶媒を添
加してもよい。反応操作を容易にするために添加する溶
媒としては、上記反応系に対して不活性な化合物、例え
ば、エーテル類、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハ
ロゲン化炭化水素等が挙げられるが、特に限定されるも
のではない。また、反応蒸留塔10の下部から反応系に
対して不活性な気体(窒素ガス等)を導入することもで
きる。
【0054】上記構成の反応蒸留塔10を用いた反応方
法の一例について説明する。先ず、原料供給管11を介
して、原料、均一触媒、および必要により溶媒等からな
る混合物を反応蒸留塔10に連続的に供給する。反応蒸
留塔10に供給された原料は、該供給段よりも下段側に
設けられた反応部3に溜められ、該反応部3にて、気液
接触することなく触媒の存在下で反応される。そして、
反応部3から溢れ、オーバーフローした反応液、つま
り、溢流反応液は、反応部3の外側壁を伝いながら塔内
を下降し、下段側に設けられた充填物層1に連続的に供
給される。
【0055】充填物層1に供給された反応液は、該充填
物層1にて、塔内を下降しながら、塔内を上昇する反応
ガスと気液接触する。これにより、反応によって生成し
た軽沸点成分、つまり、副生成物が反応液から分離除去
され、平衡が生成系側に移動する。そして、充填物層1
を下降した反応液は、コレクター5によって集められ、
下段側に設けられた反応部3、つまり、より下段側のユ
ニットの反応部3に導入される。また、充填物層1を上
昇した反応ガスは、気液接触することなく上昇部2を上
昇し、上段側に設けられた充填物層1に導入される。
【0056】そして、上記の反応および気液接触がユニ
ットの個数だけ、つまり、段数だけ繰り返された後、反
応生成物を含む反応液は、缶出液として抜き出し管12
を介して連続的に反応系外、即ち、塔外に取り出され
る。一方、副生成物を含む反応ガスは、例えば冷却水に
よって冷却され、凝縮した後、留出液として留出管13
を介して連続的に塔外に取り出される。
【0057】以上の反応方法により、反応生成物を効率
的に製造することができる。均一触媒は、反応終了後、
蒸留等の公知の方法を用いることにより、缶出液から容
易に分離・回収することができる。次いで、蒸留、抽
出、再結晶等の公知の方法を用いることにより、缶出液
から目的物である反応生成物を容易に単離することがで
きる。また、必要に応じて、蒸留、抽出、再結晶等の公
知の方法を用いることにより、留出液から副生成物を容
易に分離・回収することができる。
【0058】本実施の形態にかかる反応方法は、以上の
ように、原料を連続的に反応蒸留塔10に供給し、該塔
内を下降する反応液を反応部3に導入すると共に該反応
部3にて気液接触させることなく原料を触媒の存在下で
反応させる一方、充填物層1にて該反応部3からの溢流
反応液と反応ガスとを気液接触させ、反応生成物を連続
的に反応系外に取り出す方法である。上記の方法によれ
ば、反応生成物を従来よりも効率的かつ工業的に安価に
得ることができる。
【0059】また、本実施の形態にかかる反応方法は、
以上のように、アルキルアリールカーボネートを含む原
料を不均化反応させ、ジアリールカーボネートを含む反
応生成物を得る方法である。さらに、本実施の形態にか
かる反応方法は、以上のように、カルボン酸アリールエ
ステルとアルキルアリールカーボネートとを含む原料を
エステル交換反応させ、ジアリールカーボネートを含む
反応生成物を得る方法である。
【0060】上記の方法によれば、ジアリールカーボネ
ートを含む反応生成物を従来よりも効率的かつ工業的に
安価に得ることができる。ジアリールカーボネートは、
芳香族ジヒドロキシ化合物とエステル交換させて、ポリ
カーボネートを製造する原料となる工業的に有用な化合
物である。
【0061】〔実施の形態2〕本発明の他の実施の形態
について図4に基づいて説明すれば、以下の通りであ
る。尚、説明の便宜上、前記反応蒸留塔10(図2)が
備える構成と同一の機能を有する構成には、同一の符号
を付記し、その説明を省略する。
【0062】図4に示すように、本実施の形態にかかる
段塔型反応装置(以下、反応蒸留塔と称する)20は、
反応蒸留を実施することができる多段式の気液接触型反
応器、いわゆる棚段塔である。反応蒸留塔20は、例え
ばステンレスやガラス等からなっており、内部に、棚段
であるトレイ(接触部)21、上昇部22、および、反
応部23等を備えている。また、同図には示さないが、
反応蒸留塔20は、原料供給管11、抜き出し管12、
留出管13および加熱装置等を備えている。
【0063】トレイ21は、例えば、泡鐘トレイ、シー
ブトレイ、バルブトレイ等からなっており、塔内を下降
する反応液と、塔内を上昇する反応ガスとを気液接触さ
せるようになっている。該トレイ21は、シーブトレイ
がより好ましい。トレイ21は、その縁部に堰を有して
いないので、該トレイ21上における反応液の液深は、
数mmと浅い。このため、気液接触による圧力損失を極力
抑制することができる。尚、本実施の形態にかかる反応
蒸留塔20においては、上段側の反応部23と下段側の
反応部23との間に、2枚のトレイ21・21が配設さ
れている場合を例に挙げたが、トレイ21は、充分に気
液接触させることができる構成となっていればよく、そ
の構造や配設位置、枚数等は、特に限定されるものでは
ない。
【0064】反応部23は、トレイ21(図4において
中央のトレイ)の上段側に設けられており、塔水平断面
(装置水平断面)における周縁部に配設されている。反
応部23は、塔垂直断面が略「U」字状となるように形
成されており、その上段側に設けられたトレイ21(同
図において上側のトレイ)から下降してきた反応液を溜
めることができるようになっている。そして、反応部2
3は、実質的に気液接触させることなく、該反応液中の
原料を触媒の存在下で反応させるようになっている。
【0065】尚、反応部23に溜められた反応液の液面
においても、該反応液と反応ガスとは或る程度気液接触
しているが、該気液接触による圧力損失は殆ど生じな
い。また、触媒として均一触媒を用いる場合には、反応
液に該触媒が含まれており、一方、固体の不均一触媒を
用いる場合には、反応部23に該触媒が充填される。触
媒が均一触媒である場合には、該触媒は、例えば原料と
共に塔内に連続的に供給される。
【0066】また、反応部23は、その下部に開口部2
3aを備えている。そして、反応部23に溜められた反
応液は、開口部23aから連続的に流出し、該流出液
(溢流反応液)は、下段側に設けられたトレイ21に供
給される。尚、開口部23aの配設位置や個数は、特に
限定されるものではない。
【0067】上昇部22は、トレイ21(同図において
中央のトレイ)の上段側に設けられており、該水平断面
における中央部に配設されている。上昇部22は、実質
的に気液接触させることなく反応ガスを上昇させるよう
になっている。従って、反応蒸留塔20における、反応
部23および上昇部22が配設されている部位では、実
質的に気液接触させないので圧力損失は殆ど生じない。
【0068】上記の反応蒸留塔20としては、トレイ2
1、反応部23および上昇部22からなるユニットの段
数、つまり、塔頂および塔底を除いた段数が2段以上の
棚段塔が好ましく、5段以上の棚段塔がより好ましい。
さらに、ユニットの段数は、反応効率および気液分離の
効率を向上させるために、多い方が好ましいが、反応蒸
留塔20を製造する際の費用や高さ制限、用役費、固定
費等を考慮に入れて、2段〜 100段程度が好ましい。
【0069】本実施の形態にかかる反応蒸留塔20は、
以上のように、塔内を下降する反応液と塔内を上昇する
反応ガスとを気液接触させるトレイ21の上段側に、気
液接触させることなく反応ガスを上昇させる上昇部22
と、気液接触させることなく原料を触媒の存在下で反応
させる反応部23とが設けられ、該上昇部22が塔水平
断面における中央部に配設されると共に、該反応部23
が該水平断面における周縁部に配設されている構成であ
る。
【0070】上記の構成によれば、反応部23を備えて
いるので、滞留時間を長くして反応時間を充分に確保す
ることができる。また、上昇部22を備えているので、
反応部23が配設されている部位では、気液接触による
圧力損失は生じない。従って、原料をより効率的に反応
させることができ、かつ、気液接触による圧力損失を抑
制することができる。上記の滞留時間は、例えば、反応
部23に設けられている開口部23aの大きさや個数を
調節したり、或いは、反応部23の個数を増減させるこ
とにより、任意に設定することができる。そして、反応
蒸留塔20は、構成が比較的簡単であるので、該反蒸留
塔を製造する際の設備費や、用役費、固定費等が従来の
反応装置よりも安価となる。
【0071】次に、上記構成の反応蒸留塔20を用いた
反応方法の一例について簡単に説明する。尚、本実施の
形態にかかる反応方法は、前記実施の形態1に示した反
応方法と略同一である。従って、上記の反応蒸留塔20
を操作する際の操作条件は、前記実施の形態1に示した
反応蒸留塔10の操作条件と略同一であり、説明を省略
する。また、触媒の添加量やモル比等の反応条件は、前
記実施の形態1に示した反応条件と略同一であり、説明
を省略する。
【0072】先ず、原料供給管11を介して、原料、触
媒、および必要により溶媒等からなる混合物を反応蒸留
塔20に連続的に供給する。反応蒸留塔20に供給され
た原料は、該供給段よりも下段側に設けられた反応部2
3に溜められ、該反応部23にて、気液接触することな
く触媒の存在下で反応される。そして、反応部23の開
口部23aから流出した反応液は、下段側に設けられた
トレイ21・21に連続的に供給される。
【0073】トレイ21・21に供給された反応液は、
該トレイ21上にて、塔内を上昇する反応ガスと気液接
触する。これにより、反応によって生成した軽沸点成
分、つまり、副生成物が反応液から分離除去され、平衡
が生成系側に移動する。そして、トレイ21上の反応液
は、下段側に設けられた反応部23、つまり、より下段
側のユニットの反応部23に導入される。また、トレイ
21・21を通過した反応ガスは、気液接触することな
く上昇部22を上昇し、上段側に設けられたトレイ21
に導入される。
【0074】そして、上記の反応および気液接触が段数
だけ繰り返された後、反応生成物を含む反応液は、缶出
液として抜き出し管12を介して連続的に塔外に取り出
される。一方、副生成物を含む反応ガスは、例えば冷却
水によって冷却され、凝縮した後、留出液として留出管
13を介して連続的に塔外に取り出される。
【0075】以上の反応方法により、反応生成物を効率
的に製造することができる。均一触媒は、反応終了後、
前記方法を用いて缶出液から容易に分離・回収すること
ができる。また、缶出液から目的物である反応生成物を
前記方法を用いて容易に単離することができる。また、
必要に応じて、留出液から副生成物を前記方法を用いて
容易に分離・回収することができる。
【0076】本実施の形態にかかる反応方法は、以上の
ように、原料を連続的に反応蒸留塔20に供給し、該塔
内を下降する反応液を反応部23に導入すると共に該反
応部23にて気液接触させることなく原料を触媒の存在
下で反応させる一方、トレイ21にて該反応部23から
流出した反応液と反応ガスとを気液接触させ、反応生成
物を連続的に反応系外に取り出す方法である。上記の方
法によれば、反応生成物を従来よりも効率的かつ工業的
に安価に得ることができる。
【0077】〔実施の形態3〕本発明のさらに他の実施
の形態について図5に基づいて説明すれば、以下の通り
である。尚、説明の便宜上、前記反応蒸留塔10(図
2)が備える構成と同一の機能を有する構成には、同一
の符号を付記し、その説明を省略する。
【0078】図5に示すように、本実施の形態にかかる
段塔型反応装置(以下、反応蒸留塔と称する)30は、
いわゆる反応蒸留を実施することができる多段式の気液
接触型反応器である。反応蒸留塔30の上昇部2は、塔
水平断面における中央部に配設されている一方、反応蒸
留塔30の反応部3は、該水平断面における周縁部に配
設されている。また、漏斗部5aは、反応ガスが通過す
ることができ、かつ、反応部3の外側壁を伝いながら塔
内を下降する溢流反応液を集めて充填物層1に導入する
ようになっている。その他の構成は、前記反応蒸留塔1
0の構成とほぼ同一である。つまり、反応蒸留塔30の
構成と、前記反応蒸留塔10の構成とは、上昇部2およ
び反応部3の配設位置、並びに、漏斗部5aの機能が異
なっている。
【0079】上記構成の反応蒸留塔30においても、前
記反応蒸留塔10と同様の効果を奏することができる。
即ち、滞留時間を長くして反応時間を充分に確保するこ
とができる。また、原料をより効率的に反応させること
ができ、かつ、気液接触による圧力損失を抑制すること
ができる。反応蒸留塔30は、構成が比較的簡単である
ので、該反蒸留塔を製造する際の設備費や、用役費、固
定費等が従来の反応装置よりも安価となる。
【0080】尚、本発明にかかる段塔型反応装置におい
ては、上記実施の形態1にて説明した充填物層および反
応部と、実施の形態2にて説明した棚段および反応部
と、実施の形態3にて説明した充填物層および反応部と
を適宜組み合わせることもできる。つまり、本発明にか
かる段塔型反応装置として、例えば、充填物層と棚段と
を併せ持つ複合式の反応蒸留塔、並びに、前記二種類若
しくは三種類の反応部を併せ持つ複合式の反応蒸留塔も
用いることができる。さらに、複数の多段蒸留塔を組み
合わせて用いてもよい。
【0081】
【実施例】以下、実施例および比較例により、本発明を
さらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら
限定されるものではない。
【0082】〔実施例1〕図1および図2に示す反応蒸
留塔10を用い、不均化反応によってジアリールカーボ
ネートを製造した。反応蒸留塔10として、減圧装置を
備えた高さ 4.0m、内径40mmのステンレス製蒸留塔を用
いた。そして、塔頂から 1.5m下の位置に原料供給管1
1を接続し、塔底に抜き出し管12を接続し、塔頂に留
出管13を接続した。
【0083】原料供給管11よりも下段側に、充填物層
1、反応部3および上昇部2からなるユニットを15段設
けた。充填物層1には、5mmφのステンレス製ディクソ
ンパッキング(充填物)を80mmの高さに充填した。反応
部3は、高さ60mm、外径30mmに形成した。コレクター5
の漏斗部5aは、ステンレス製の金網で形成した。ま
た、原料供給管11よりも上段側には、5mmφのステン
レス製ディクソンパッキングを充填した。また、反応蒸
留塔10の塔底部をヒータで加熱することにより、反応
蒸留に必要な熱を供給した。
【0084】そして、反応蒸留塔10に原料供給管11
を介して、アルキルアリールカーボネート(原料)とし
てのメチルフェニルカーボネートと、触媒としてのチタ
ンテトラフェノキシド「Ti(OPh)4」とからなる供給液を
連続的に供給した。供給液の単位時間当たりの流量は、
480g/hrとした。上記のチタンテトラフェノキシドは、
原料に対するチタンの添加量が 500 ppmとなるように添
加した。また、反応蒸留塔10の操作条件は、塔底圧力
を 160mmHg、塔底温度を 240℃、還流比を2とした。
【0085】上記の反応蒸留塔10にてメチルフェニル
カーボネートを不均化反応させると共に気液接触させ
た。そして、ジアリールカーボネート(反応生成物)と
してのジフェニルカーボネートを含む缶出液を、抜き出
し管12を介して連続的に反応系外に取り出した。ま
た、副生したジメチルカーボネートを含む留出液を、留
出管13を介して連続的に反応系外に取り出した。缶出
液の単位時間当たりの流量は、 339.5g/hrであり、ま
た、留出液の単位時間当たりの流量は、 140.5g/hrであ
った。また、塔頂圧力は 150mmHgであり、塔頂温度は52
℃であった。
【0086】上記缶出液の組成を分析した。その結果、
該缶出液には、ジフェニルカーボネートが98.4重量%、
メチルフェニルカーボネートが 1.6重量%含まれてい
た。また、実質的に消費されたメチルフェニルカーボネ
ートを基準としたジフェニルカーボネートの収率は、9
8.9モル%であった。上記の操作条件、並びに、反応結
果を、表1にまとめて示す。
【0087】〔比較例1〕実施例1において用いた反応
蒸留塔10の代わりに、減圧装置を備えた高さ 4.0m、
内径40mmのステンレス製充填塔を用いた。原料供給管、
抜き出し管および留出管の接続位置は、反応蒸留塔10
におけるこれら各管11・12・13の接続位置に合わ
せた。また、充填塔には、5mmφのステンレス製ディク
ソンパッキングを充填した。充填塔の塔底部をヒータで
加熱することにより、反応蒸留に必要な熱を供給した。
【0088】そして、実施例1と同様の操作条件で充填
塔を操作し、メチルフェニルカーボネートを不均化反応
させながら気液接触させた。缶出液の単位時間当たりの
流量は、 308.9g/hrであり、また、留出液の単位時間当
たりの流量は、 171.0g/hrであった。また、塔頂圧力は
150mmHgであり、塔頂温度は93℃であった。
【0089】上記缶出液の組成を分析した。その結果、
該缶出液には、ジフェニルカーボネートが98.0重量%、
メチルフェニルカーボネートが 2.0重量%含まれてい
た。しかしながら、該充填塔は空塔容積に対するホール
ドアップ量が5容量%〜10容量%と少なく、このため、
滞留時間を長くして反応時間を充分に確保することがで
ないので、ジフェニルカーボネートの収率は、89.8モル
%と低かった。上記の操作条件、並びに、反応結果を、
表1にまとめて示す。
【0090】〔比較例2〕実施例1において用いた反応
蒸留塔10の代わりに、減圧装置を備えた高さ 4.0m、
内径40mmのステンレス製棚段塔を用いた。原料供給管、
抜き出し管および留出管の接続位置は、反応蒸留塔10
におけるこれら各管11・12・13の接続位置に合わ
せた。また、原料供給管よりも下段側に、内径40mm、堰
高30mm(即ち、液深30mm)の有堰シーブトレイを20段設
けた。そして、棚段塔の塔底部をヒータで加熱すること
により、反応蒸留に必要な熱を供給した。
【0091】そして、実施例1と同様の操作条件で棚段
塔を操作し、メチルフェニルカーボネートを不均化反応
させながら気液接触させた。缶出液の単位時間当たりの
流量は、 337.7g/hrであり、また、留出液の単位時間当
たりの流量は、 142.4g/hrであった。
【0092】上記缶出液の組成を分析した。その結果、
該缶出液には、ジフェニルカーボネートが98.5重量%、
メチルフェニルカーボネートが 1.5重量%含まれてい
た。また、ジフェニルカーボネートの収率は、98.5モル
%であった。
【0093】しかしながら、該棚段塔においては、圧力
損失が大きく、塔頂圧力が90mmHgとなり、塔頂温度が37
℃となったので、反応ガスを凝縮させて留出液とする際
に冷却水が使用できず、ブライン等を冷媒として使用し
なければならなかった。上記の操作条件、並びに、反応
結果を、表1にまとめて示す。
【0094】
【表1】
【0095】〔実施例2〕図1および図3に示す反応蒸
留塔10を用いた。つまり、実施例1において用いた反
応蒸留塔10を用いると共に、原料供給管11の途中
に、長さ 500mm、内径40mmのステンレス製反応器14を
配設した。具体的には、原料供給管11aと該反応器1
4とを接続すると共に、該反応器14と反応蒸留塔10
とを原料供給管11bを介して接続した。該原料供給管
11bは、塔頂から 1.5m下の位置に接続した。そし
て、上記反応器14が配設された反応蒸留塔10を用
い、エステル交換反応によってジアリールカーボネート
を製造した。
【0096】先ず、反応器14に原料供給管11aを介
して、原料としての吉草酸フェニルおよびジメチルカー
ボネートと、チタンテトラフェノキシドとからなる供給
液を連続的に供給した。供給液の単位時間当たりの流量
は、吉草酸フェニルが 500g/hr、ジメチルカーボネート
が 379g/hrとなるように設定した。上記のチタンテトラ
フェノキシドは、原料(吉草酸フェニルおよびジメチル
カーボネートの合計量)に対するチタンの添加量が 500
ppmとなるように添加した。
【0097】上記の反応器14にて、吉草酸フェニルと
ジメチルカーボネートとを 200℃で所定時間、反応させ
た。そして、該反応の生成物であるメチルフェニルカー
ボネートを含む混合液、つまり、メチルフェニルカーボ
ネートと、未反応の吉草酸フェニル(カルボン酸アリー
ルエステル)と、チタンテトラフェノキシドとを含む混
合液を、反応蒸留塔10に連続的に供給した。反応蒸留
塔10の操作条件は、塔底圧力を 110mmHg、塔底温度を
202℃、還流比を2とした。
【0098】上記の反応蒸留塔10にてメチルフェニル
カーボネートと吉草酸フェニルとをエステル交換反応さ
せると共に気液接触させた。そして、ジフェニルカーボ
ネートを含む缶出液を、抜き出し管12を介して連続的
に反応系外に取り出した。また、副生した吉草酸メチル
を含む留出液を、留出管13を介して連続的に反応系外
に取り出した。缶出液の単位時間当たりの流量は、 30
3.2g/hrであり、また、留出液の単位時間当たりの流量
は、 575.9g/hrであった。また、塔頂圧力は 100mmHgで
あり、塔頂温度は62℃であった。
【0099】上記缶出液の組成を分析した。その結果、
該缶出液には、ジフェニルカーボネートが97.4重量%、
メチルフェニルカーボネートが 1.2重量%、吉草酸フェ
ニルが 1.4重量%含まれていた。また、実質的に消費さ
れた吉草酸フェニルを基準としたジフェニルカーボネー
トの収率は、98.3モル%であった。上記の操作条件、並
びに、反応結果を、表2にまとめて示す。
【0100】〔比較例3〕実施例2において用いた反応
蒸留塔10の代わりに、比較例1において用いた充填塔
と同様の構成を備えた充填塔を用いた。そして、実施例
2と同様の操作条件で充填塔および反応器14を操作
し、メチルフェニルカーボネートと吉草酸フェニルとを
エステル交換反応させながら気液接触させた。缶出液の
単位時間当たりの流量は、 298.0g/hrであり、また、留
出液の単位時間当たりの流量は、 586.1g/hrであった。
また、塔頂圧力は 100mmHgであり、塔頂温度は64℃であ
った。
【0101】上記缶出液の組成を分析した。その結果、
該缶出液には、メチルフェニルカーボネートが 4.1重量
%、吉草酸フェニルが23.4重量%含まれており、ジフェ
ニルカーボネートが76.2重量%しか含まれていなかっ
た。また、ジフェニルカーボネートの収率は、74.3モル
%と低かった。つまり、該充填塔は空塔容積に対するホ
ールドアップ量が5容量%〜10容量%と少なく、このた
め、滞留時間を長くして反応時間を充分に確保すること
がでないので、ジフェニルカーボネートの収率が実施例
2と比較して大幅に低下した。上記の操作条件、並び
に、反応結果を、表2にまとめて示す。
【0102】〔比較例4〕実施例2において用いた反応
蒸留塔10の代わりに、比較例2において用いた棚段塔
と同様の構成を備えた棚段塔を用いた。そして、実施例
2と同様の操作条件で棚段塔および反応器14を操作
し、メチルフェニルカーボネートと吉草酸フェニルとを
エステル交換反応させながら気液接触させた。缶出液の
単位時間当たりの流量は、 320.5g/hrであり、また、留
出液の単位時間当たりの流量は、 558.6g/hrであった。
【0103】上記缶出液の組成を分析した。その結果、
該缶出液には、メチルフェニルカーボネートが 1.3重量
%、吉草酸フェニルが14.7重量%含まれており、ジフェ
ニルカーボネートが84.0重量%しか含まれていなかっ
た。また、ジフェニルカーボネートの収率は、89.6モル
%であり、実施例2と比較して低かった。さらに、該棚
段塔においては、圧力損失が大きく、塔頂圧力が35mmHg
となり、塔頂温度が38℃となったので、反応ガスを凝縮
させて留出液とする際に冷却水が使用できず、ブライン
等を冷媒として使用しなければならなかった。上記の操
作条件、並びに、反応結果を、表2にまとめて示す。
【0104】
【表2】
【0105】実施例1と比較例1との比較、並びに、実
施例2と比較例3との比較から明らかなように、本実施
例にかかる反応蒸留塔を用いることにより、滞留時間を
長くして反応時間を充分に確保することができることが
わかる。従って、原料をより効率的に反応させることが
できるので、ジフェニルカーボネートを従来よりも効率
的かつ工業的に安価に得ることができることがわかる。
【0106】また、実施例1と比較例2との比較、並び
に、実施例2と比較例4との比較から明らかなように、
本実施例にかかる反応蒸留塔を用いることにより、気液
接触による圧力損失を抑制することができることがわか
る。従って、ブライン等の冷媒を使用しなくても、冷却
水を用いて反応ガスを凝縮させて留出液とすることがで
きるので、ジフェニルカーボネートを従来よりも効率的
かつ工業的に安価に得ることができることがわかる。
【0107】
【発明の効果】本発明の請求項1記載の段塔型反応装置
は、以上のように、原料が連続的に供給される供給部、
反応生成物が連続的に反応系外に取り出される取出部、
および、装置内を下降する反応液と装置内を上昇する反
応ガスとを気液接触させる接触部を備えた段塔型反応装
置において、上記接触部の上段側に、気液接触させるこ
となく反応ガスを上昇させる上昇部と、気液接触させる
ことなく原料を触媒の存在下で反応させる反応部とが設
けられ、該上昇部が装置水平断面における周縁部に配設
されると共に、該反応部が該水平断面における中央部に
配設されている構成である。
【0108】また、本発明の請求項2記載の段塔型反応
装置は、以上のように、原料が連続的に供給される供給
部、反応生成物が連続的に反応系外に取り出される取出
部、および、装置内を下降する反応液と装置内を上昇す
る反応ガスとを気液接触させる接触部を備えた段塔型反
応装置において、上記接触部の上段側に、気液接触させ
ることなく反応ガスを上昇させる上昇部と、気液接触さ
せることなく原料を触媒の存在下で反応させる反応部と
が設けられ、該上昇部が装置水平断面における中央部に
配設されると共に、該反応部が該水平断面における周縁
部に配設されている構成である。
【0109】これにより、滞留時間を長くして反応時間
を充分に確保することができるので原料をより効率的に
反応させることができ、かつ、気液接触による圧力損失
を抑制することができる。また、構成が比較的簡単であ
るので、該段塔型反応装置を製造する際の設備費や、用
役費、固定費等が従来の反応装置よりも安価となるとい
う種々の効果を奏する。
【0110】また、本発明の請求項3記載の反応方法
は、以上のように、請求項1ないし2の何れか1項に記
載の段塔型反応装置を用いた反応方法であって、原料を
連続的に段塔型反応装置に供給し、該装置内を下降する
反応液を反応部に導入すると共に該反応部にて気液接触
させることなく原料を触媒の存在下で反応させる一方、
接触部にて該反応部からの溢流反応液と反応ガスとを気
液接触させ、反応生成物を連続的に反応系外に取り出す
方法である。
【0111】これにより、反応生成物を従来よりも効率
的かつ工業的に安価に得ることができるという効果を奏
する。
【0112】さらに、本発明の請求項4記載の反応方法
は、以上のように、アルキルアリールカーボネートを含
む原料を不均化反応させ、ジアリールカーボネートを含
む反応生成物を得る方法である。本発明の請求項5記載
の反応方法は、以上のように、カルボン酸アリールエス
テルとアルキルアリールカーボネートとを含む原料をエ
ステル交換反応させ、ジアリールカーボネートを含む反
応生成物を得る方法である。本発明の請求項6記載の反
応方法は、以上のように、段塔型反応装置の操作圧が1
mmHg〜500 mmHgの範囲内である方法である。
【0113】これにより、ポリカーボネートを製造する
際の原料等として工業的に有用なジアリールカーボネー
トを含む反応生成物を従来よりも効率的かつ工業的に安
価に得ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における段塔型反応装置
としての反応蒸留塔の概略の構成を示す要部の断面図で
ある。
【図2】上記反応蒸留塔の概略の構成を示すブロック図
である。
【図3】反応蒸留塔の他の構成を概略で示すブロック図
である。
【図4】本発明の他の実施の形態における段塔型反応装
置としての反応蒸留塔の概略の構成を示す要部の断面図
である。
【図5】本発明のさらに他の実施の形態における段塔型
反応装置としての反応蒸留塔の概略の構成を示す要部の
断面図である。
【符号の説明】
1 充填物層(接触部) 2 上昇部 3 反応部 5 コレクター 10 反応蒸留塔(段塔型反応装置) 11 原料供給管(供給部) 11a 原料供給管 11b 原料供給管(供給部) 12 抜き出し管(取出部) 13 留出管(取出部) 14 反応器 20 反応蒸留塔(段塔型反応装置) 21 トレイ(接触部) 22 上昇部 23 反応部 30 反応蒸留塔(段塔型反応装置)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】原料が連続的に供給される供給部、反応生
    成物が連続的に反応系外に取り出される取出部、およ
    び、装置内を下降する反応液と装置内を上昇する反応ガ
    スとを気液接触させる接触部を備えた段塔型反応装置に
    おいて、 上記接触部の上段側に、気液接触させることなく反応ガ
    スを上昇させる上昇部と、気液接触させることなく原料
    を触媒の存在下で反応させる反応部とが設けられ、該上
    昇部が装置水平断面における周縁部に配設されると共
    に、該反応部が該水平断面における中央部に配設されて
    いることを特徴とする段塔型反応装置。
  2. 【請求項2】原料が連続的に供給される供給部、反応生
    成物が連続的に反応系外に取り出される取出部、およ
    び、装置内を下降する反応液と装置内を上昇する反応ガ
    スとを気液接触させる接触部を備えた段塔型反応装置に
    おいて、 上記接触部の上段側に、気液接触させることなく反応ガ
    スを上昇させる上昇部と、気液接触させることなく原料
    を触媒の存在下で反応させる反応部とが設けられ、該上
    昇部が装置水平断面における中央部に配設されると共
    に、該反応部が該水平断面における周縁部に配設されて
    いることを特徴とする段塔型反応装置。
  3. 【請求項3】請求項1ないし2の何れか1項に記載の段
    塔型反応装置を用いた反応方法であって、 原料を連続的に段塔型反応装置に供給し、該装置内を下
    降する反応液を反応部に導入すると共に該反応部にて気
    液接触させることなく原料を触媒の存在下で反応させる
    一方、接触部にて該反応部からの溢流反応液と反応ガス
    とを気液接触させ、反応生成物を連続的に反応系外に取
    り出すことを特徴とする反応方法。
  4. 【請求項4】アルキルアリールカーボネートを含む原料
    を不均化反応させ、ジアリールカーボネートを含む反応
    生成物を得ることを特徴とする請求項3記載の反応方
    法。
  5. 【請求項5】カルボン酸アリールエステルとアルキルア
    リールカーボネートとを含む原料をエステル交換反応さ
    せ、ジアリールカーボネートを含む反応生成物を得るこ
    とを特徴とする請求項3記載の反応方法。
  6. 【請求項6】段塔型反応装置の操作圧が1mmHg〜500 mm
    Hgの範囲内であることを特徴とする請求項3、4または
    5記載の反応方法。
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WO2006030724A1 (ja) 2004-09-17 2006-03-23 Asahi Kasei Chemicals Corporation 副生アルコール類の工業的分離方法
CN105327670A (zh) * 2015-10-29 2016-02-17 刘洋 一种具有较好密封性能的化学反应釜

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