JPH1030162A - 潤滑性、接着性および化成処理性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法 - Google Patents
潤滑性、接着性および化成処理性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法Info
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Abstract
すると共に、接着性や化成処理性にも優れた亜鉛系めっ
き鋼板を製造する為の有用な方法を提供する。 【解決手段】 水中のSiO2 含有率が0.1g/リッ
トル以上で、且つ(Na 2 O+Li2 O+K2 O)/S
iO2 の重量比が3%以下(0%を含む)である液を、
亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布した後乾燥し、前記亜鉛
系めっき鋼板の表面にケイ酸またはケイ酸塩含有皮膜を
形成する。
Description
の表面に、所定の要件を満足するケイ酸またはケイ酸塩
含有皮膜を形成し、潤滑性、接着性および化成処理性に
優れた効果を発揮する亜鉛系めっき鋼板を製造する方法
に関するものである。
各種の表面処理鋼板の使用が増大している。こうした表
面処理鋼板のうちでも特に亜鉛系めっき鋼板は、溶接
性、塗装性、塗装後の耐食性等に優れていることから、
自動車用表面処理鋼板としてその需要が急速に伸びてき
ている。この亜鉛系めっき鋼板は、プレス成形、組立て
および塗装等の工程を経て製品とされるが、プレス成形
の際に、プレス成形の激しい部分でめっきとダイスのか
じりが発生してプレス時の潤滑性が低下するという問題
が生じており、自動車メーカー側からその改善が求めら
れているのが実情である。
ス成形性を改善する技術が、これまで様々提案されてい
る。例えば特公平7−13306号には、B,P,Si
等の半金属の酸化物の無水アルカリ金属塩皮膜を、亜鉛
系めっきの表面に形成することによって潤滑性を向上し
た亜鉛系めっき鋼板が提案されている。また特公平7−
13308号には、Zn酸化物およびMn酸化物と、P
酸化物,Mo酸化物,W酸化物,V酸化物等の1種また
は2種以上の酸化物を、亜鉛系めっき鋼板の表面に被覆
した表面処理鋼板が提案されている。これらの技術は、
プレス成形に際して潤滑性を向上させるためには、めっ
き表面に硬質の皮膜を形成することが有効であるとの着
想に基づくものである。一方、特開平7−136952
号には、Fe濃度を特定しためっき層の表面に潤滑剤を
塗布することによって、めっき表面とダイスとの摩擦抵
抗を軽減する方法が開示されている。
めっき鋼板の表面に酸化物皮膜や潤滑剤を付与すれば、
潤滑性を向上できることは知られている。しかしなが
ら、これまで提案された技術においては、下記の様な問
題が生じている。
ット溶接だけでなくプレス成形の後に接着剤による部品
の接合工程があるが、上記の様な酸化物皮膜や潤滑剤を
亜鉛めっき鋼板の表面に形成すると、接着剤と鋼板の密
着性が著しく劣化することが分かった。具体的には、ド
ア,フード,ラゲージ等のヘム部においては、潤滑剤等
を付着したままの状態で接着剤による部品の接着が行わ
れる。このとき接着剤としては、塩化ビニル系やエポキ
シ樹脂系のものが使用され、接着剤を塗布した後焼き付
けて鋼板同士を接合しているが、鋼板表面に潤滑剤が存
在すると、接着剤と鋼板との密着性が悪くなり、接着剤
と鋼板の界面において剥離が生じて接合部の強度が著し
く低下する。
接合工程後の塗装前処理として、りん酸塩処理等の化成
処理が施されるが、めっき表面に形成された酸化物皮膜
や潤滑剤は、化成処理の前工程における脱脂工程におい
てはほとんど除去されず、亜鉛系めっき鋼板表面に残留
している。従って、化成処理時に正常なりん酸塩結晶の
生成を阻害して、化成処理が十分に行なわれないという
問題が生じる。その結果、塗膜の密着性が低下すること
になって、塗装後の耐食性を劣化させる要因ともなる。
あって、その目的は、潤滑性を向上して良好なプレス成
形性を確保すると共に、接着性や化成処理性にも優れた
亜鉛系めっき鋼板を製造する為の有用な方法を提供する
ことにある。
ができた本発明の亜鉛系めっき鋼板の製造方法とは、水
中のSiO2 含有率が0.1g/リットル以上で、且つ
(Na2 O+Li2 O+K2 O)/SiO2 の重量比が
3%以下(0%を含む)である液を、亜鉛系めっき鋼板
の表面に塗布した後乾燥し、前記亜鉛系めっき鋼板表面
にケイ酸またはケイ酸塩含有皮膜を形成する点に要旨を
有するものである。
る水分を十分に除去して良好な潤滑性を確保するという
観点からして、乾燥時の加熱温度は80℃以上であるこ
とが好ましい。また本発明方法で用いる溶液中のSiO
2 は、(a)粒径が20〜300nmの球状粒子のもの
や、(b)太さ(D):1〜50nm,長さ(T):2
0〜300nmで、且つ(D<T)である棒状粒子のも
の等が好ましいが、後者の棒状粒子を用いることがより
好ましい。
の接着性と化成処理性を劣化させることなく潤滑性を向
上させるという観点から、その具体的手段について様々
な角度から検討した。その結果、上記構成を採用して、
ケイ酸またはケイ酸塩を含有する皮膜を、亜鉛系めっき
鋼板表面にポーラス且つ不均一に形成すれば、上記目的
が見事に達成されることを見出し、本発明を完成した。
ケイ酸またはケイ酸塩含有皮膜(以下、「ケイ酸含有皮
膜」で代表することがある)について説明する。このケ
イ酸含有皮膜は、微細なシリカ粒子を含む強固な硬質皮
膜であり、この様な皮膜を亜鉛系めっき鋼板の表面に形
成することによって、プレス成型の際にめっき表層部に
加えられる摺動変形抵抗を小さくできるのである。しか
も上記皮膜の主成分となるケイ酸(またはケイ酸塩)は
比較的安価であり、製造コストが安価になると言う利点
もある。しかしながら、ケイ酸含有皮膜を亜鉛系めっき
鋼板表面に単に形成するだけでは従来の皮膜とそれほど
差があるとは言えず、接着性や化成処理性の点で依然と
して問題が生じる。そこで本発明者らは、ケイ酸含有皮
膜の亜鉛系めっき鋼板表面での分布状況と上記特性との
関係について綿密な調査を行なった。その結果、ケイ酸
含有皮膜を亜鉛系めっき鋼板表面にポーラス且つ不均一
に形成すれば良いとの着想が得られ、その具体的手段と
して上記の構成を採用するに至った。
由については、その全てを解明し得た訳ではないが、お
そらく次の様に考えることができた。ケイ酸含有皮膜を
形成した亜鉛系めっき鋼板における接着性と化成処理性
は、ケイ酸含有皮膜の被覆状況に依存しており、ケイ酸
含有皮膜を均一且つ強固に形成すれば、めっき層と接着
剤や化成処理液との接触が不十分となり、接着性と化成
処理性が悪くなる。これに対し、ケイ酸含有皮膜をポー
ラス且つ不均一に付着させた状態では、めっき層と接着
剤や化成処理液との接触が良好に達成され、接着性と化
成処理性を飛躍的に改善することができるものと考えら
れる。
皮膜)を形成するときに用いるSiO2 含有液として
は、コロイダルシリカが代表的なものとして挙げられる
が、このコロイダルシリカにはコロイド液製造上の理由
から、Na2 O,K2 O,Li 2 O等のアルカリ成分を
含有しているのが一般的である。またケイ酸塩は、Si
O2 と金属酸化物からなる塩であり、一般式xM2 O・
ySiO(M:上記アルカリ金属元素)で表され、通常
Na2 O・nSiO2 で表されるケイ酸ナトリウム、K
2 O・nSiO2 で表されるケイ酸カリウム、Li2 O
・nSiO2 で表されるケイ酸リチウムである。そし
て、ケイ酸含有皮膜のポーラス性や不均一性は、SiO
2 を含有する溶液中のアルカリ成分濃度や前記SiO2
粒子の粒径等に影響されることが判明した。
酸(塩)含有液を塗布した場合におけるアルカリ成分濃
度(SiO2 に対するアルカリ成分の重量比)が潤滑性
や接着性に与える影響について示したグラフである。こ
のとき用いた合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびSiO2
の性状は、下記の通りである。
い、以下に示す平面摺動試験により引抜き荷重を測定
し、面圧と引抜き荷重から摩擦係数を測定した。 [サンプルサイズ]:40×300mm [工具]:平面工具(18×20mm) [加圧力]:5kg/mm2 [摺動速度]:300mm/min [摺動長さ]:150mm [塗油]:ノックスラスト550(パーカー興産製),
2g/m2
した2枚の鋼板のT型引張り剥離強度を測定して評価し
た。 [サンプルサイズ]:20×200mm [塗油]:ノックスラスト550(パーカー興産製),
2g/m2 [接着剤]:塩化ビニル系PV5306(ヘンケル白水
製) [接着方法]:2枚の鋼板間に接着剤を挿入し、スペー
サーとして0.15mm径のSUS製針金を30mmピ
ッチで挿入し、クリップ等で2枚の鋼板を固定 [焼き付け]:160℃×10分 [放冷]:20℃×湿度65%の雰囲気で22時間放置 [T型剥離]:引張り速度200mm/分 [工程]:塗油→接着→焼き付け→放冷→T型剥離
酸含有液を塗布した場合におけるアルカリ成分濃度(S
iO2 に対するアルカリ成分の重量比)が化成処理性に
与える影響について示したグラフである。このとき用い
た合金化溶融亜鉛めっき鋼板およびSiO2 の性状は上
記と同じであり、化成処理性の評価は下記の通りに行な
った。 [リン酸塩処理液]:SD5000(日本ペイント社
製) [工程]:脱脂→水洗→表面調整→リン酸塩処理 [リン酸塩皮膜の判定]:走査型電子顕微鏡(SEM)
により皮膜を観察し、以下に示す評価基準に従って分類
した。 ○:皮膜が均一に形成 △:部分的に皮膜が形成 ×:皮膜が形成されない
アルカリ成分濃度が3重量%を超えると、接着性や化成
処理性が劣化していることが分かる。また潤滑性は、ア
ルカリ成分濃度の多少に拘らずほぼ一定である。従っ
て、潤滑性を低下させることなく、接着性や化成処理性
を良好にする為には、ケイ酸溶液中のアルカリ成分濃度
を3重量%以下にすれば良いことがわかる。尚アルカリ
成分濃度の好ましい範囲は、2重量%以下であり、更に
好ましくは0.3重量%以下とするのが良い。
酸含有液を塗布した場合における液中のSiO2 粒子
(球状粒子)の粒径が潤滑性や接着性に与える影響につ
いて示したグラフであり、図4は、同じくSiO2 粒子
の粒径が化成処理性に与える影響について示したグラフ
である。
2 粒子の粒径が300nmを超えると、皮膜はポーラス
且つ不均一となり過ぎるので、潤滑性が低下し、逆に粒
径が20nmよりも小さくなると、均一且つ強固な皮膜
となるので、接着性と化成処理性が悪くなる。これらの
結果から、本発明の効果を発揮させる上で、SiO2粒
子の粒径を20〜300nmの範囲とすることが好まし
いことが分かる。尚SiO2 粒子の粒径の好ましい範囲
は、20〜100nmであり、更に好ましくは30〜5
0nmとするのが良い。
中で球状のものについて示したが、本発明で用いるSi
O2 粒子の形状については球状に限らず、棒状のものも
用いることができる。亜鉛系めっき鋼板の潤滑性、接着
性および化成処理性等を考慮すれば、用いるSiO2 粒
子はむしろ棒状であることが好ましい。即ち、球状のも
のよりも棒状のSiO2 粒子を用いたときの方が、潤滑
性、接着性および化成処理性が安定して良好となる。
上記した効果が得られる原因については明らかでない
が、おそらく亜鉛系めっき鋼板表面上のケイ酸皮膜のポ
ーラスさや不均一さが適度になるからと考えられる。但
し、棒状のSiO2 粒子を用いる場合には、その形状は
太さ(D):1〜50nm,長さ(T):20〜300
nmで、且つ(D<T)であることが好ましい。前記太
さ(D)が1nm未満であると、皮膜が緻密になり過ぎ
て接着性や化成処理性が劣化し、50nmを超えると、
皮膜がポーラスになり過ぎて潤滑性が悪くなる。同様
に、前記長さ(T)が20nm未満であると、皮膜が緻
密になり過ぎて接着性や化成処理性が劣化し、300n
mを超えると、皮膜がポーラスになり過ぎて潤滑性が悪
くなる。これらの好ましい上限値は、太さ(D):30
nm,長さ(T):200nmである。一方、これらの
好ましい下限値は、太さ:5nm,長さ:50nmであ
り、より好ましくは太さ:10nm,長さ:100nm
である。
酸含有皮膜を形成するものであるが、具体的には、該鋼
板の表面にケイ酸コロイド液(またはケイ酸塩含有液)
を塗布して乾燥することによって形成することができ
る。このとき用いるケイ酸コロイド液としては、水を分
散媒として無水ケイ酸微粒子を水中に分散させたもので
ある。このコロイド液としては、コロイダルシリカまた
はコロイドゾルの市販品(例えば、日産化学製の「スノ
ーテックス」シリーズ)等を用いれば良い。またケイ酸
塩含有液としては、上記したケイ酸ナトリルム,ケイ酸
カリウム,ケイ酸塩リチウム等のケイ酸塩を分散させた
液が挙げられる。
を亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布する方法については、
特に限定されるものではなく、例えば上記水溶液中に亜
鉛系めっき鋼板を浸漬させる方法、ロールコータで塗布
する方法、スプレーで塗布する方法の他、通常知られて
いる一般的な様々な方法を適宜選択することができる。
但し、液中のSiO2 含有率は、0.1g/リットル以
上とする必要がある。即ち、上記SiO2 含有率が0.
1g/リットル未満になると、皮膜中のSiO 2 付着量
が少なくなり過ぎて、潤滑性が向上しなくなる。
亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布した後該塗布液を乾燥さ
せるときの温度は、80℃以上であることが好ましい。
この温度が80℃未満になると、皮膜中に含まれる水分
の除去が不十分になって良好な潤滑性が確保しにくくな
る。
にケイ酸コロイド液やケイ酸塩含有液を塗布・乾燥する
ことによって形成される皮膜は、微細なシリカ粒子から
なる強固な乾燥ゲルであり、これは硬質の皮膜であるの
で、優れた潤滑作用が発揮される。
系めっきの種類については、特に限定されものではな
く、溶融亜鉛めっき、合金化溶融亜鉛めっき、電気亜鉛
めっき、電気Zn−Feめっき、電気Zn−Niめっき
の他、各種の亜鉛系合金めっきが挙げられる。
説明するが、下記実施例は本発明を限定するものではな
く、前・後記の趣旨に徴して設計変更することはいずれ
も本発明の技術範囲に含まれるものである。
iO2 粒子の形状が球状であるケイ酸(SiO2 コロイ
ド溶液)またはケイ酸塩を所定量含有する液を、絞りロ
ールを用いて塗布した後乾燥し、ケイ酸またはケイ酸塩
を含有する硬質皮膜を形成した。
性、接着性および化成処理性を前記と同様にして評価し
た。その結果を、製造条件と共に表1および表2に併記
するが、本発明で規定する要件を全て満足する実施例の
もの(No.1〜43)は、潤滑性、接着性および化成
処理性のいずれも優れているがわかる。
溶液)を、絞りロールを用いて合金化溶融亜鉛めっき鋼
板に塗布した後乾燥し、ケイ酸またはケイ酸塩を含有す
る硬質皮膜を形成した。このとき塗布する液中のケイ酸
濃度は、SiO 2 換算で16g/リットル,溶液中のア
ルカリ成分濃度:0.15重量%,SiO2 付着量:4
0mg/m2 ,乾燥温度:100℃とした。
性、接着性および化成処理性を前記と同様にして評価し
た。その結果を、製造条件と共に下記表3に示すが、本
発明で規定する要件を全て満足する実施例のもの(N
o.50〜59)は、潤滑性、接着性および化成処理性
のいずれも優れているがわかる。
滑性を向上して良好なプレス成形性を確保すると共に、
接着性や化成処理性にも優れた亜鉛系めっき鋼を製造す
ることができた。
響について示したグラフである。
ついて示したグラフである。
与える影響について示したグラフである。
る影響について示したグラフである。
Claims (4)
- 【請求項1】 水中のSiO2 含有率が0.1g/リッ
トル以上で、且つ(Na2 O+Li2 O+K2 O)/S
iO2 の重量比が3%以下(0%を含む)である液を、
亜鉛系めっき鋼板の表面に塗布した後乾燥し、前記亜鉛
系めっき鋼板の表面にケイ酸またはケイ酸塩含有皮膜を
形成することを特徴とする潤滑性、接着性および化成処
理性に優れた亜鉛系めっき鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 乾燥温度が80℃以上である請求項1に
記載の製造方法。 - 【請求項3】 前記液中のSiO2 は、粒径が20〜3
00nmの球状粒子である請求項1または2に記載の製
造方法。 - 【請求項4】 前記液中のSiO2 は、太さ(D):1
〜50nm,長さ(T):20〜300nmで、且つ
(D<T)の棒状粒子である請求項1または2に記載の
製造方法。
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1996
- 1996-07-16 JP JP18623196A patent/JP3709018B2/ja not_active Expired - Fee Related
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