JP2871558B2 - 油面接着性及び化成処理性に優れた潤滑鋼板 - Google Patents

油面接着性及び化成処理性に優れた潤滑鋼板

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JP2871558B2 JP29455595A JP29455595A JP2871558B2 JP 2871558 B2 JP2871558 B2 JP 2871558B2 JP 29455595 A JP29455595 A JP 29455595A JP 29455595 A JP29455595 A JP 29455595A JP 2871558 B2 JP2871558 B2 JP 2871558B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油面接着性及び化
成処理性に優れた潤滑鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、鋼板の表面にめっき処理を施した
表面処理鋼板の使用が増大しており、中でもZn系めっ
き鋼板は耐食性が優れているという理由により、例えば
自動車用表面処理鋼板等として汎用されている。但し、
プレス成形時の加工の厳しい部位では、めっきとダイス
のかじりが発生するという問題が生じていた。かじりの
原因の一つとしては、プレス加工によりめっき表層部に
加わる摺動変形抵抗が大きいことが挙げられる。
【0003】そこで、めっき表層部における摺動変形抵
抗を小さくして、摺動性を高めることを目的として、め
っき鋼板表面に硬質の酸化物皮膜を形成し、プレス成形
時における潤滑性の向上が図られためっき鋼板が開発さ
れている。例えば特公平7−13306号公報には、Z
n系めっきの上にB,P,Si等の半金属の酸化物の無
水アルカリ金属塩を施すことによって潤滑性を向上させ
る技術が開示され、また特開平6−116746号公報
には、Zn系めっきの上に金属酸化物を島状やモザイク
状に形成してプレス性を改善する技術が示されている。
さらに特公平7−13308号には、Zn系めっき鋼板
表面にZn酸化物と,Mn酸化物と、P,Mo,W,V
の1種以上の酸化物を有する皮膜を形成した鋼板が示さ
れている。
【0004】また自動車のプレス後の接合工程は主とし
てスポット溶接により行われることから、特開昭55−
110783号や特開昭60−63394号には、めっ
き鋼板のスポット溶接性を向上させることを目的とし
て、Zn系めっき層の上にSiO2 を付着させためっき
鋼板が開示されている。
【0005】しかしながら、自動車の製造工程には、ス
ポット溶接工程だけではなく、プレス成形の後、接着剤
による部品の接合工程があるが、上記のような酸化物皮
膜をめっき鋼板表面に施すと接着剤との密着性が著しく
劣化するということが判明した。
【0006】具体的には、例えばドア,フード,ラゲー
ジ等のヘム部において、油が付着したままの状態で接着
剤による接合が行われている。接着剤としては塩化ビニ
ル系やエポキシ系のものが使用され、接着剤を塗布した
後、焼き付けて鋼板と鋼板を接合している。従って接着
剤と鋼板の密着性が悪いと、接着剤と鋼板の界面剥離が
生じ接合部の強度が著しく低下するという問題が生じ
る。
【0007】また接合工程の後、塗装前処理としてりん
酸塩処理等の化成処理が施されるが、めっき鋼板上に形
成された酸化物皮膜は、化成処理の前工程における脱脂
処理では溶解除去されず、Zn系めっき鋼板上に残って
いるので、化成処理時に正常なりん酸塩結晶の生成を阻
害することが指摘されている。即ち、化成処理性に乏し
いという問題を有していた。その結果、塗膜の密着性が
低下し、塗装後の耐食性を劣化させる要因ともなってい
た。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記事情に着
目してなされたものであって、油面接着性を向上させる
と共に、化成処理性にも優れた潤滑鋼板の提供を目的と
するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を解決すること
ができた本発明とは、表面に微細な凹凸が存在する鋼板
またはめっき鋼板にケイ酸またはケイ酸塩を含有する皮
膜が形成されてなる潤滑鋼板であって、該皮膜中のSi
2 が1〜200mg/m2 であると共に、潤滑鋼板表
面の凸部におけるSiO2 付着量をAとし、凹部におけ
るSiO2 付着量をBとしたとき、B/Aの値が1.2
以上であることを要旨とするものである。尚、前記皮膜
中に含有されるNa2 O,K2 O,Li2 Oの合計は、
上記皮膜中のSiO2 に対して3重量%以下であること
が望ましい。
【0010】また前記皮膜には、Zn,Ni,Co,F
e,P,B,Ca,Mo,W,Vよりなる群から選択さ
れる1種以上の元素の酸化物を、各元素の合計重量で1
〜100mg/m2 含有させるか、或いは40℃におけ
る粘度が5〜50mm2 /sである油を塗付することに
より、潤滑性の向上を図ることができる。
【0011】前記めっき鋼板としては、Zn系めっき鋼
板が好ましく、Fe含有率が7〜15%の合金化溶融Z
nめっきであることが推奨される。更に、めっき鋼板表
面の中心線平均粗さRaが0.5〜1.5μmあると共
に、PPIが75〜300であれば、より良好な潤滑性
が得られる。尚、本発明のおいてPPIとは、1インチ
当たりに含まれる1.27μm以上の大きさのピークの
数である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明者らは、鋼板またはめっき
鋼板の油面接着性及び化成処理性を劣化させることなく
潤滑性を向上させる方法について、鋭意研究を重ねた。
その結果、鋼板またはめっき鋼板の表面に、ケイ酸また
はケイ酸塩[以下、ケイ酸(塩)と表記する]を塗布す
ると共に、表面の凹部にSiO2 を優先的に付着させれ
ば、目的を達成できることを見出し、本発明に想到し
た。
【0013】まず、鋼板またはめっき鋼板の表面に被覆
されるケイ酸(塩)皮膜について説明する。該ケイ酸
(塩)皮膜は、微細なシリカ粒子からなる強固な硬質皮
膜であり、この様な皮膜を形成することによって、プレ
ス加工の際にめっき表層部に加えられる摺動変形抵抗を
小さくすることができる。しかも、ケイ酸(塩)は比較
的低価格であり、製造コストが安価になるといった利点
も有する。しかしながら、鋼板またはめっき鋼板の表面
にケイ酸(塩)皮膜を単に被覆しただけでは、従来技術
と同様であり、油面接着性及び化成処理性が劣化する。
【0014】そこで本発明者らが、ケイ酸(塩)皮膜の
鋼板またはめっき鋼板表面での分布状況を種々に変化さ
せて調査した結果、鋼板またはめっき鋼板表面の凹部に
ケイ酸(塩)を優先的に付着させれば、油面接着性及び
化成処理性を劣化させることなく、潤滑性を改善できる
ことを突き止めた。その理由としては、以下の様に推察
できる。即ちケイ酸(塩)を被覆した鋼板またはめっき
鋼板の油面接着性及び化成処理性は、ケイ酸(塩)の被
覆率に依存しており、ケイ酸(塩)を均一且つ強固に被
覆すれば、鋼板またはめっき層と接着剤や化成処理液と
の接触が不十分となり、油面接着性及び化成処理性が悪
くなる。これに対して、鋼板またはめっき層の凹部にケ
イ酸(塩)を優先的に付着させて、凸部での付着量を少
なめに制御することにより、凸部において鋼板またはめ
っき層と接着剤や化成処理液が接触し易いようになり、
油面接着剤及び化成処理性を飛躍的に改善できたものと
考えられる。尚、潤滑性については、凹部にケイ酸
(塩)が一定量あれば十分良好なものとなる。
【0015】但し、ケイ酸(塩)を被覆して、油面接着
性及び化成処理性を劣化させることなく潤滑作用を有効
に発揮させるためには、上述したように、乾燥後のSi
2重量が1〜200mg/m2 となるように塗布し、
且つ鋼板またはめっき鋼板の凸部におけるSiO2 付着
量Aと凹部におけるSiO2 付着量Bによる比率B/A
が1.2以上であることが必要である。これらの数値決
定理由を図1及び図2を用いて説明する。
【0016】図1は、下記合金化溶融Znめっき鋼板に
SiO2 を塗布した場合における、SiO2 の塗布量と
潤滑性および油面接着性との関係を調べたものである。 [合金化溶融Znめっき鋼板] 付着量 :60g/m2 Fe含有率 :11% 表面粗度Ra:1.0 PPI :130
【0017】潤滑性の指標としては摩擦係数を用い、以
下に示す平面摺動試験により引き抜き荷重を測定し、面
圧と引き抜き荷重から摩擦係数を算出した。 [サンプルサイズ] 40×250mm [工具] 平面工具(18×20mm) [加圧力] 5kg/mm2 [摺動速度] 300mm/min [摺動長さ] 150mm [塗油] ノックスラスト550(パーカー
興産製),2g/m2
【0018】また油面接着性は、以下の方法で、接着剤
にて接着させた鋼板のT型引張剥離強度を測定して評価
した。 [サンプルサイズ] 20×200mm [塗油] ノックスラスト550(パーカー興産製),2g/m2 [接着剤] 塩化ビニル系PV5306(ヘンケル白水製) [接着方法] 2枚の鋼板間に接着剤を挿入、スペーサーとして0.15 mm径のSUS製針金を約30mmピッチで挿入、クリップ 等で2枚の鋼板を固定 [焼き付け] 160℃×10min [放冷] 20℃×湿度65%の雰囲気で22Hr放置 [T型剥離] 引張速度 200mm/min [工程] 塗油→接着→焼き付け→放冷→T型剥離
【0019】図2は、前記合金化溶融Znめっき鋼板に
SiO2 を塗布した場合におけるSiO2 の塗布量と化
成処理性との関係を調べたものである。尚、化成処理性
は以下のようにして評価した。 [化成処理液] SD5000(日本ペイント社製) [工程] 脱脂→水洗→表面調整→化成処理 [化成処理皮膜の判定] SEMにより皮膜を観察し、以下に示す評価基準に従って分類した。 ○:皮膜が均一に形成 △:部分的に皮膜が形成 ×:皮膜が形成されない
【0020】図1,2のグラフから明らかなように、S
iO2 が1mg/m2 以上になると摩擦係数は顕著に低
下し潤滑性が向上することが分かる。但し、SiO2
200mg/m2 を超えると、油面接着性及び化成処理
性が著しく劣化するのでその上限を200mg/m2
した。好ましい下限値は10mg/m2 であり、20m
g/m2 以上であるとより好ましい。一方好ましい上限
値は100mg/m2であり、60mg/m2 以下であ
るとより好ましい。
【0021】図3は、合金化溶融Znめっき鋼板にSi
2 を塗布した場合における凸部のSiO2 付着量Aと
凹部のSiO2 付着量Bによる比率B/Aと、潤滑性お
よび油面接着性の関係を調べたものである。実験条件
は、SiO2 の付着量を30mg/m2 に設定した以外
は、上記図1の結果を得るに当たり採用した条件と実質
的に同じであり、潤滑性及び油面接着性についても同様
に評価した。
【0022】尚、鋼板またはめっき鋼板の表面には微細
な凹凸が存在するが、凹部及び凸部を単に表面から観察
しただけでは区別できない。そこで、表面粗さのプロフ
ィールを測定し、得られた粗さ曲線の中心線より上に位
置する部分を凸部、下に位置する部分を凹部と定義す
る。例えば、図4に一例を示した粗さ曲線によれば、中
心線より上側に位置する山(a)部が凸部であり、下側
に位置する谷(b)部が凹部に相当する。
【0023】但し、合金化溶融Znめっき鋼板の場合
は、凸部がめっき後のスキンパス圧延によりつぶされ平
滑化している。そこで、スキンパス圧延により平坦部が
形成されている場合には、平坦部のSiO2 付着量を凸
部のSiO2 付着量Aとし、それ以外の谷部のSiO2
付着量を凹部のSiO2 付着量Bと定義した。上記平坦
部(凸部)と谷部(凹部)は、めっき層の表面をSEM
またはEPMAで観察すれば容易に判別できる。図5
は、合金化溶融Znめっき層の表面を撮影したEPMA
写真であり、aが凸部であり、bが凹部に相当する。上
記凸部及び凹部におけるSiO2 付着量の比率B/A
は、例えば、エネルギー分散方式(EDS;加速電圧
は、例えば20KV)により凸部と凹部の夫々のSiピ
ーク強度を測定して求めれば良い。 B/A=(凹部のSi強度)/(凸部のSi強度)
【0024】図3の結果から明らかな様に、合金化溶融
Znめっき鋼板の潤滑性は、比率B/Aに係わらず良好
である。ところが、油面接着性は、比率B/Aが1.2
未満になると著しく劣化するので、比率B/Aは1.2
以上とすることが必要である。好ましい下限値は1.5
であり、2.0以上であるとより好ましい。
【0025】尚、前述の通り、特開昭55−11078
3号公報や特開昭60−63394号公報には、スポッ
ト溶接性の向上を目的として、Zn系めっき層の上にS
iO 2 を付着させためっき鋼板が開示されているが、こ
れらはスポット溶接性を改善するため、めっき層表面に
SiO2 層を形成しただけであり、本発明とは目的が異
なるだけではなく、微視的な構造を見れば、SiO2
膜の形成状況が全く異なるものである。即ち、従来のめ
っき鋼板のSiO2 皮膜は、凹部や凸部に関係なく、同
程度の厚さで形成されているが、本願発明の潤滑鋼板で
は、凹部に厚く、凸部に薄く形成されているのである。
【0026】本発明において、ケイ酸はコロイダルシリ
カを用いればよいが、コロイド溶液の製造上の理由か
ら、Na2 O,K2 O,Li2 O等のアルカリ成分を含
有することが一般的である。また、ケイ酸塩は、SiO
2 と金属酸化物からなる塩であり、一般式xM2 O・y
SiO2 で表され、通常、Na2 O・nSiO2 で表さ
れるケイ酸ナトリウム,K2 O・nSiO2 で表される
ケイ酸カリウム,Li2O・nSiO2 で表されるケイ
酸リチウムである。従って、ケイ酸またはケイ酸塩のい
ずれを塗布しても、皮膜中にNa2 O,K2 O,Li2
O等のアルカリ成分を含有することになる。
【0027】鋼板またはめっき鋼板表面の凹部にケイ酸
(塩)を優先的に付着させる方法としては、ケイ酸
(塩)皮膜中のNa2 O,K2 O,Li2 O等のアルカ
リ成分濃度をある一定値以下にすることが推奨される。
ケイ酸(塩)の均一さや強固さは、皮膜中のNa2 O,
2 O,Li2 O等のアルカリ成分濃度に大きく依存し
ており、これらのアルカリ成分濃度が高くなるほど、ケ
イ酸(塩)は均一且つ強固に被覆するようになる。従っ
て、上記アルカリ成分濃度を下げれば、ケイ酸(塩)皮
膜の均一さや強固さが低下し、鋼板またはめっき層と接
着剤や化成処理液が接触し易いようになり、油面接着性
及び化成処理性が改善される。
【0028】このようなケイ酸(塩)を被覆して、油面
接着性を劣化させることなく潤滑作用を有効に発揮させ
るには、上述したように、乾燥後のSiO2 重量が1〜
200mg/m2 となるように塗布すると共に、ケイ酸
(塩)皮膜中の(Na2 O+K2 O+Li2 O)/Si
2 重量比を3%以下にすることが推奨される。その理
由は図6,7を用いて説明する。
【0029】図6は、合金化溶融Znめっき鋼板にSi
2 を、30mg/m2 塗布した場合におけるSiO2
皮膜中の(Na2 O+K2 O+Li2 O)/SiO2
量%と、潤滑性および油面接着性の関係を調べたグラフ
である。また図7は、合金化溶融亜鉛めっき鋼板にSi
2 を塗布した場合におけるSiO2 皮膜中の(Na 2
O+K2 O+Li2 O)/SiO2 重量%と化成処理性
の関係を調べたグラフである。実験条件は、前記図1の
結果を得るにあたり行った条件と実質的に同じであり、
潤滑性,油面接着性及び化成処理性についても同様に評
価した。尚、皮膜中のNa2 O,K2 O,Li2 O,S
iO2 付着量は、Na,Li,K,Si濃度を、蛍光X
線,ICP,又は原子吸光分析法等により測定して算出
した。
【0030】図6,7の結果から明らかな様に、合金化
溶融亜鉛めっき鋼板の潤滑性は、SiO2 皮膜中の(N
2 O+K2 O+Li2 O)/SiO2 重量%にかかわ
らず良好である。ところが、油面接着性及び化成処理性
は(Na2 O+K2 O+Li 2 O)/SiO2 重量%が
3%を超えると著しく劣化するので(Na2 O+K2
+Li2 O)/SiO2 重量%は3%以下とすることが
必要である。好ましい上限値は1%であり、0.3%以
下であるとより好ましい。
【0031】鋼板またはめっき鋼板表面の凹部にケイ酸
やケイ酸塩を優先的に付着させる方法としては、塗布す
るケイ酸(塩)溶液中のNa2 O,K2 O,Li2
等のアルカリ濃度を下げること以外にも、SiO2
子の粒径を大きくすること、SiO2 粒子の形状を棒
状にすること、浴のpHを下げること等によっても制
御することが可能である。
【0032】本発明では、潤滑性をより向上させるため
に、SiO2 皮膜中にZn酸化物、Ni酸化物、Co酸
化物、Fe酸化物、P酸化物、B酸化物、Ca酸化物、
Mo酸化物、W酸化物、V酸化物等の酸化物1種以上を
含有させてもよい。これらの酸化物付着量が1mg/m
2 未満では、潤滑性向上の効果がなく、100mg/m
2 を超えると、油面接着性及び化成処理性が劣化するの
で、1〜100mg/m2 (Zn,Ni,Co,Fe,
P,B,Ca,Mo,W,Vとして)とすることが望ま
しい。
【0033】また、例えば自動車のプレス成形は、塗油
した状態で行われることが一般的である。そこで鋼板ま
たはめっき鋼板の表面にケイ酸(塩)を塗布した後、4
0℃における粘度が5〜50mm2 /sである油を塗布
してもよい。油の粘度が5mm2 /s未満では、潤滑性
の向上が少なく、一方50mm2 /sを超えると、化成
処理工程で脱脂しにくくなり、化成処理性が劣化する。
【0034】本発明はめっき鋼板に形成するめっきの種
類を限定するものではない。Zn系めっき,Al系めっ
き,Pb系めっき,Sn系めっき等が例示でき、Zn系
めっきとしては、溶融Znめっき鋼板,合金化溶融Zn
めっき鋼板,電気Znめっき鋼板,電気Zn−Feめっ
き鋼板,電気Zn−Niめっき鋼板,その他のZn系合
金めっき鋼板が挙げられる。
【0035】合金化溶融Znめっき鋼板では、めっき層
中のFe含有率を7〜15%とすることが望ましい。7
%未満では、軟質のζ相が多く残るため摺動性が悪化
し、一方15%を超えるとパウダリング性が劣化する。
但し、Fe含有率が7〜9%の範囲であっても軟質のζ
相が僅かではあるが存在し、摺動性が若干低下すること
を考慮するとその範囲を9〜14%とすることが推奨さ
れる。
【0036】合金化溶融Znめっき鋼板の表面粗度は、
中心線平均粗さRa(JIS B0601規格)で0.
5〜1.5μm及びPPI(1インチ当たりに含まれる
1.27μm以上の大きさのピークの数,SAE,J9
11規格)で75〜300であることが好ましい。尚、
ここでいうPPIとは、1.27μm以上の大きさに関
して、長さ1インチ当たりの山および谷のピークの合計
数を示す。上記1.27μmをピークカウントレベルと
いい、ピークカウントレベルを小さくすれば、当然PP
I値は増大するが、本発明では測定の簡便性と再現性を
考慮して、ピークカウントレベルに通常最も多用されて
いる1.27μmを採用することとした。Raで0.5
μm未満,PPI75未満では、成形時の摺動面に型か
じりが起こり易く、潤滑性が低下するからである。ま
た、プレス時の疵も目立ち易くなる。Raで1.5μ
m,PPIで300を超えると摩擦係数が高くなり潤滑
性が低下する。また、塗装後の鮮映性が劣化する等の問
題が起こる。下限値として好ましいのはRaで0.7μ
m,PPIで120であり、Raで0.7μm以上,P
PIで150以上であるとより好ましい。一方、上限値
として好ましいのはRaで1.3μm,PPIで250
であり、Raで1.1μm以下,PPIで200以下で
あるとより好ましい。上記めっき鋼板の表面粗度は、め
っき後スキンパス圧延のロール粗度,スキンパス圧延圧
下率,めっき原板粗度,浴中Al濃度等によって制御す
ることができる。
【0037】本発明の潤滑鋼板では、鋼板またはめっき
鋼板の表面にケイ酸(塩)皮膜を被覆するものである
が、具体的には、該鋼板にケイ酸コロイド溶液またはケ
イ酸塩水溶液を塗布し乾燥することによって形成すれば
よい。ケイ酸コロイド溶液としては、水を分散媒として
無水ケイ酸微粒子を水中に分散させたものである。コロ
イド溶液としては、コロイダルシリカまたはコロイドゾ
ルの市販品(例えば、日産化学製スノーテックスシリー
ズ)等を用いればよい。ケイ酸塩水溶液としては、上述
したケイ酸ナトリウム,ケイ酸カリウム,ケイ酸リチウ
ム等が挙げられる。
【0038】上記ケイ酸コロイド溶液またはケイ酸塩水
溶液を、鋼板またはめっき鋼板の表面に塗布する方法は
特に限定されず、上記水溶液中に浸漬させる方法,ロー
ルコーターで塗布する方法,スプレーで塗布する方法
等,通常の塗布方法を適宜選択することができる。
【0039】更に本発明では、鋼板またはめっき鋼板に
ケイ酸(塩)を塗布した後のr値が1.4〜2.3であ
ることが望ましい。このr値が1.4未満では、ケイ酸
(塩)を塗布してもプレス成形時に割れが発生し易く、
r値が2.3を超えるとその効果が飽和し製造コストが
高くなるからである。尚、r値とはランクフォード値で
あり、JIS13号B引張試験片を用い15%の引張歪
みを付与して測定したものである。
【0040】以下実施例に基づいて本発明を詳述する。
ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではな
く、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施するこ
とは全て本発明の技術範囲に包含される。
【0041】
【実施例】実施例1 表1〜3に示すケイ酸(SiO2 コロイド溶液)または
ケイ酸塩を所定量含有する溶液を、絞りロールを用いて
合金化溶融Znめっき鋼板に塗布した。塗布後80℃で
乾燥し、硬質のSiO2 皮膜を形成させた。塗布乾燥後
のSiO2 重量、めっき鋼板の凸部のSiO2 付着量A
と凹部のSiO2 付着量Bによる比率B/Aを表1〜3
に併記する。
【0042】この様にして得られたケイ酸(塩)を皮膜
しためっき鋼板について、潤滑性(摩擦係数)、油面接
着性(T型剥離強度)及び化成処理性を、前記図1,2
に関する実験方法と同様にして評価した。これらの結果
を表1〜3に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】No.1〜57は、本発明の実施例であ
り、潤滑性,油面接着性及び化成処理性のいずれも優れ
ている。これに対して、No.58〜62はSiO2
量が少な過ぎる場合の比較例であり、潤滑性が乏しい。
No.63〜68は、比率B/Aが小さ過ぎる場合の比
較例であり、油面接着性及び化成処理性がいずれも悪い
ことが分かる。No.69は、SiO2 重量が多過ぎる
場合の比較例であり、やはり油面接着性及び化成処理性
に劣る。
【0047】実施例2 表4,5に示す種々の鋼板またはめっき鋼板に、ケイ酸
(塩)を所定量含有する溶液を絞りロールにて塗布し
た。塗布後80℃で乾燥し、硬質のSiO2 皮膜を形成
させた。塗布乾燥後のSiO2 重量、鋼板またはめっき
鋼板の凸部のSiO2 付着量Aと凹部のSiO2 付着量
Bによる比率B/Aを表4,5に併記する。この様にし
て得られたケイ酸(塩)を被覆した鋼板またはめっき鋼
板について調べた潤滑性(摩擦係数),油面接着性(T
型剥離強度)および化成処理性の評価結果は表4,5に
示す。
【0048】
【表4】
【0049】
【表5】
【0050】No.70〜95は、本発明の実施例であ
り、潤滑性,油面接着性及び化成処理性のいずれも優れ
ている。これに対して、No.96〜100及びNo.
108,109は、SiO2 が塗布されていないか,S
iO2 重量が少な過ぎる場合の比較例であり、潤滑性が
乏しい。No.101〜107及びNo.110は、比
率B/Aが小さ過ぎる場合の比較例であり、油面接着性
及び化成処理性がいずれも悪いことが分かる。
【0051】実施例3 表6〜8に示す種々の鋼板またはめっき鋼板にケイ酸
(塩)を所定量含有する溶液を絞りロールにて塗布し
た。塗布後80℃で乾燥し、硬質のSiO2 皮膜を形成
させた。塗布乾燥後のSiO2 重量、SiO2 皮膜中
(Na2 O+K2 O+Li2 O)/SiO2 重量%を表
6〜8に併記する。この様にして得られたケイ酸(塩)
を被覆した鋼板またはめっき鋼板について調べた潤滑性
(摩擦係数),油面接着性(T型剥離強度)および化成
処理性の評価結果は表6〜8に示す。
【0052】
【表6】
【0053】
【表7】
【0054】
【表8】
【0055】No.111〜177は、本発明の実施例
であり、潤滑性,油面接着性及び化成処理性のいずれも
優れている。これに対して、No.178〜182は、
SiO2 が塗布されていないか,SiO2 重量が少な過
ぎる場合の比較例であり、潤滑性が乏しい。No.18
3,184は、SiO2 重量が多過ぎる場合の比較例で
あり、やはり油面接着性及び化成処理性に劣る。No.
185〜189は、アルカリ濃度比が大き過ぎる場合の
比較例であり、油面接着性及び化成処理性がいずれも悪
いことが分かる。
【0056】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されているの
で、潤滑性だけではなく、油面接着性及び化成処理性も
良好な鋼板またはめっき鋼板が提供できることとなっ
た。また、低コストのケイ酸(塩)を用いているので、
製造コストを低減し生産性を向上させることができる等
の利点も有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】SiO2 付着量と、潤滑性および油面接着性と
の関係を示すグラフである。
【図2】SiO2 付着量と化成処理性の関係を示すグラ
フである。
【図3】合金化溶融Znめっき表面の凸部のSiO2
着量Aと凹部のSiO2 付着量BにおいてB/Aと、潤
滑性および油面接着性との関係を示すグラフである。
【図4】鋼板またはめっき鋼板(合金化溶融Znめっき
を除く)の粗さ曲線にて表面の凸部(a)及び凹部
(b)を示す説明図である。
【図5】 合金化溶融Znめっき表面EPMAにより
観察した際に撮影したSEM写真であり、めっき表面の
凸部(a)と凹部(b)を示す図面代用写真である。
【図6】ケイ酸皮膜中の(Na2 O+K2 O+Li2
O)/SiO2 重量%と潤滑性および油面接着性との関
係を示すグラフである。
【図7】ケイ酸皮膜中の(Na2 O+K2 O+Li2
O)/SiO2 重量%と化成処理性との関係を示すグラ
フである。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 22/00 - 22/86 C23C 28/00 B05D 7/14 B05D 7/24 302

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に微細な凹凸が存在する鋼板または
    めっき鋼板にケイ酸またはケイ酸塩を含有する皮膜が形
    成されてなる潤滑鋼板であって、 該皮膜中のSiO2 が1〜200mg/m2 であると共
    に、 潤滑鋼板表面の凸部におけるSiO2 付着量をAとし、
    凹部におけるSiO2付着量をBとしたとき、B/Aの
    値が1.2以上であることを特徴とする油面接着性及び
    化成処理性に優れた潤滑鋼板。
  2. 【請求項2】 前記皮膜中に含有されるNa2 O,K2
    O,Li2 Oの合計が、上記皮膜中のSiO2 に対して
    3重量%以下である請求項1に記載の潤滑鋼板。
  3. 【請求項3】 前記皮膜には、 Zn,Ni,Co,Fe,P,B,Ca,Mo,W,V
    よりなる群から選択される1種以上の元素の酸化物が、
    各元素の合計重量で1〜100mg/m2 含有されてな
    る請求項2に記載の潤滑鋼板。
  4. 【請求項4】 40℃における粘度が5〜50mm2
    sである油を塗付してなる請求項1〜3のいずれかに記
    載の潤滑鋼板。
  5. 【請求項5】 めっき鋼板がZn系めっき鋼板である請
    求項1〜4のいずれかに記載の潤滑鋼板。
  6. 【請求項6】 前記Zn系めっき鋼板のめっきがFe含
    有率7〜15%の合金化溶融Znめっきである請求項5
    に記載の潤滑鋼板。
  7. 【請求項7】 前記合金化溶融Znめっきが施されため
    っき鋼板表面の中心線平均粗さRaが0.5〜1.5μ
    mあると共に、PPI(1インチ当たりに含まれる1.
    27μm以上の大きさのピークの数)が75〜300で
    ある請求項6に記載の潤滑鋼板。
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