JPH10301313A - 電子写真用感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真用感光体の製造方法

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JPH10301313A
JPH10301313A JP11082397A JP11082397A JPH10301313A JP H10301313 A JPH10301313 A JP H10301313A JP 11082397 A JP11082397 A JP 11082397A JP 11082397 A JP11082397 A JP 11082397A JP H10301313 A JPH10301313 A JP H10301313A
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Yasushi Kakihana
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 陽極酸化皮膜を有するアルミニウムまたはア
ルミニウム合金支持体上に、電荷発生層と電荷輸送層が
順次積層された積層型電子写真感光体であって、支持体
と電荷発生層との密着性を良好とし、低温低湿環境から
高温高湿環境まで画像欠陥の少ない感光体を製造する方
法を提供する。 【解決手段】 アルミニウムまたはアルミニウム合金支
持体の陽極酸化処理後、あるいは陽極酸化処理後に封孔
処理を施す場合は封孔処理後に、支持体に対して、水酸
化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液のアル
カリ溶液で処理する工程と硝酸水溶液または硫酸水溶液
の酸性溶液で処理する工程を組み合わせ処理を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機,プリンタ
ーあるいはファクシミリ等、電子写真プロセスにより画
像形成を行う際に用いられる電子写真用感光体の製造方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の電子写真用感光体は、導
電性支持体上に光導電層を設けた構造になっているが、
光導電層の導電性支持体への密着性の向上、あるいは帯
電性向上を目的として、光導電層と導電性支持体の間に
中間層を形成している。この中間層の材質としては、ポ
リビニルアルコール、カゼイン、ポリビニルピロリド
ン、セルロース類、ゼラチン、デンプン、ポリウレタ
ン、ポリイミド、ポリアミド等の樹脂層や、アルミニウ
ムまたはアルミニウム合金の陽極酸化皮膜が使用されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
中間層に樹脂層を使用した場合、その電気抵抗が外部の
環境の変化、特に湿度の変化により影響を受け、帯電位
の低下を発生させる。これを防ぐために樹脂層の膜厚を
上げると、残留電位が増加するという問題がある。
【0004】また、中間層にアルミニウムまたはアルミ
ニウム合金の陽極酸化皮膜を使用した場合でも、陽極酸
化処理またはその後行う封孔処理において、その溶液中
に様々なイオン種や金属粉が存在し、導電性支持体への
付着を免れない。これらの異物が付着した状態で光導電
層を形成した場合、異物付着部分の帯電性低下や光導電
層との密着性不良および感光性のはじきが生じ、その結
果画像欠陥を生じる。
【0005】これらの対策として、陽極酸化処理後に純
水による超音波洗浄を行う他、水酸化ナトリウム水溶液
単独による処理(特開平1−131571号公報参照)
や、硝酸水溶液単独による処理(特開平1−13157
2号公報参照)が提案されているが、すべての異物を除
去するには至っていない。更に、接触こすり洗浄も提案
されているが、接触材による導電性支持体の表面が傷つ
くことがある。
【0006】本発明の目的は、電荷発生層との密着性を
良好としつつ、低温低湿環境から高温高湿環境まで画像
欠陥の少ない積層型電子写真感光体を製造する方法を提
供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、陽極酸化皮膜
を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金導電性支
持体上に、電荷発生層と電荷輸送層が順次積層された積
層型電子写真感光体において、アルミニウムまたはアル
ミニウム合金導電性支持体の陽極酸化処理後に、あるい
は陽極酸化処理後に封孔処理を施す場合は封孔処理後
に、支持体に対して、アルカリ溶液で処理する工程と、
酸性溶液で処理する工程とを組み合わせる処理を行うこ
とを特徴とする電子写真用感光体の製造方法である。
【0008】本発明に係わる電子写真用感光体は、所定
の陽極酸化皮膜を有するアルミニウム基体上に光導電層
が設けられる。基体に用いられるアルミニウムは、純A
l系の材料の他に、Al−Mg−Si系、Al−Mn系
等のアルミニウム合金も使用できる。
【0009】アルミニウム基体は、陽極酸化処理を施す
前にアルキレン等の有機溶剤や界面活性剤,乳化脱脂法
等で脱脂処理し、さらにエッチングすることが好まし
い。
【0010】陽極酸化皮膜は公知の方法、例えば硫酸、
しゅう酸、クロム酸、ホウ酸等の酸性浴中で陽極酸化処
理することによって形成することができるが、硫酸中で
の陽極酸化が好ましい。硫酸中での陽極酸化処理の場
合、硫酸濃度100〜200g/l、アルミイオン濃度
1〜10g/l、液温20℃前後、電解電圧約20Vで
行うのが望ましいが、これに限られるものではない。
【0011】形成された陽極酸化皮膜は、必要なら封孔
処理を行っても良い。
【0012】このようにして処理されたた陽極酸化皮膜
は、約5重量%、液温約40℃の水酸化ナトリウム水溶
液または水酸化カリウム水溶液のアルカリ水溶液に浸漬
させる。その後、水洗または湯洗を行い、陽極酸化皮膜
上のアルカリ水溶液を除去した後、約12重量%、液温
約20℃の硝酸水溶液または硫酸水溶液の酸性水溶液に
浸漬させる。そして、純水による洗浄等の措置をとり、
乾燥を行う。この乾燥直前に、純水によるシャワー洗浄
を行うのが好ましい。また、上記アルカリ洗浄と酸洗浄
の順番は逆でもかまわない。
【0013】次に、この陽極酸化皮膜上に電荷発生層を
設ける。その際、電荷発生層形成直前に、陽極酸化皮膜
に対して紫外線照射を施すのが好ましい。
【0014】電荷発生層は、電荷発生材料を樹脂に分散
した樹脂層、あるいは、さらにこの樹脂層に電荷移動材
料を混合したものなどで構成される。
【0015】電荷発生材料としては、各種フタロシアニ
ン顔料、アゾ顔料、ジスアゾ顔料、インジコ顔料、キナ
クリドン顔料等の公知の材料が用いられる。また、これ
らの電荷発生材料は、1種または2種以上組み合わせて
使うこともできる。電荷発生層を形成する樹脂として
は、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラー
ル、ポリスチレン、ポリカーボネート、アクリル樹脂、
フェノール樹脂等が用いられる。これらの樹脂は、単独
で、または混合して用いられる。これらの樹脂により電
荷発生層を形成する際に用いられる塗布液の溶剤として
は、トルエン、塩化メチレン、モノクロルベンゼン、メ
チルアルコール、エチルアルコール、酢酸エチル、テト
ラヒドロフラン、シクロヘキサン等がある。これらの溶
剤も、単独で、または混合して用いられる。電荷発生層
の膜厚は、電荷移動層を積層して用いる場合には0.0
5〜5μm、好ましくは0.1〜2μm程度が適当であ
る。電荷発生層単独で用いる場合には、10〜30μ
m、好ましくは15〜20μmが適当である。
【0016】電荷発生層を形成する塗布液を製造する際
に、電荷発生材料を塗布液中に分散させる方法として
は、ボールミル,サンドミル,ホモミキサー,ディスパ
ーザー,マイクロナイザー,超音波等の公知の方法が利
用できる。
【0017】電荷移動層は、電荷移動材料を樹脂に相溶
させて形成される。
【0018】電荷移動材料は、電子移動物質と正孔移動
物質がある。
【0019】電子移動物質としては、クロルアニル、ブ
ロモアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノ
ジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フロオレノ
ン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン
等の電子吸引性物質や、これらを高分子化したもの等が
ある。
【0020】正孔移動物質としては、ピレン、N−エチ
ルカルバゾール、N−イソプロピルカルバゾール、N−
メチル−N−フェニルヒドラジノ−3−メチリデン−9
−エチルカルバゾール、N,N−ジフェニルヒドラジノ
−3−メチリデン−9−エチルカルバゾール、N,N−
ジフェニルヒドラジノ−3−メチリデン−10−エチル
フェノチアジン、p−ジエチルアミノベンズアルデヒド
−N,N−ジフェニルヒドラゾン、p−ジエチルアミノ
ベンズアルデヒド−N−α−ナフチル−N−フェニルヒ
ドラゾン等のヒドラゾン類、2,5−ビス(p−ジエチ
ルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、
1−フェニル−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−
5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリン、1−
[キノリル(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリ
ル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピラゾリ
ン、1−[ピリジル(3)]−3−(p−ジエチルアミ
ノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノフェニル)ピ
ラゾリン等のピラゾリン類、トリアリールメタン化合
物、オキサジアゾール系化合物、チアゾール系化合物、
トリフェニルアミン、ポリ−N−ビニルカルバゾール等
がある。
【0021】これら公知の電荷移動材料を1種または2
種以上組み合わせて用いることができる。
【0022】電荷移動層の樹脂としては、ポリスチレ
ン、ケトン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル、ポリ
カーボネート、ポリビニルブチラール、ポリビニルホル
マール、ポリアクリルアミド、ポリアミド等が用いられ
る。これらの樹脂は、単独で、または混合して用いられ
る。また、これら樹脂に通常用いられる各種添加剤、例
えば、紫外線吸収剤や酸化防止剤等を適宜添加すること
ができる。これらの樹脂により電荷移動層を形成する際
に塗布液の溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン、シクロヘキサン、トルエン、ジクロルエタン、塩
化メチレン、モノクロルベンゼン等が使用できる。これ
らの溶剤も単独、または混合して使用できる。
【0023】電荷移動層の膜厚は5〜40μm、好まし
くは15〜25μm程度が適当である。
【0024】塗布液を用いて感光層を形成する場合の塗
布方法は、スピンコーター,アプリケーター,スプレー
コーター,バーコーター,浸漬コーター,ドクターブレ
ード等の公知の手法が用いられる。塗布された感光層
は、熱風,赤外線などにより加熱して乾燥させる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を詳細
に説明する。
【0026】実施例1 Al−Si−Mg系のアルミニウム合金からなる直径8
0mm,肉厚1.25mmの鏡面仕上げした円筒状のパ
イプを有機溶剤で脱脂洗浄し、エッチングを行った。そ
して、水洗後、電解質溶液として150g/lの硫酸を
用い、液温を20℃に維持しながら、直流電圧20Vで
15分間陽極酸化を行い、平均膜厚約7μmの陽極酸化
皮膜を形成した。その後、酢酸ニッケルによる封孔処理
を行った。
【0027】次に、上記陽極酸化皮膜を形成したアルミ
ニウムパイプを、液温40℃の水酸化ナトリウム5wt
%水溶液中に20分間浸漬し、アルカリ処理した。
【0028】その後、純水処理を行った。
【0029】そして次に、アルカリ処理したアルミニウ
ムパイプを、液温20℃の硝酸12wt%水溶液中に5
分間浸漬し、酸処理した。
【0030】その後、純水洗浄を行い乾燥を行った。
【0031】一方、チタニルフタロシアニン2部(重量
部、以下同様)、ポリビニルブチラール2部を、テトラ
ヒドロフラン100部と共にボールミルで24時間分散
した。この分散液に先の放置後の陽極酸化皮膜を設けた
アルミニウム基体を浸漬塗工した後、加熱乾燥して約
0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0032】次に、下記構造式で示される電荷移動物質
20部と、ポリカーボネート樹脂(Z−200,三菱瓦
斯化学製)20部とを塩化メチレン100部に溶解して
塗布液を電荷発生層上に浸漬塗工した後、加熱乾燥して
約20μmの電荷移動層を形成して電子写真用感光体を
作製した。
【0033】
【化1】
【0034】実施例2 硝酸水溶液の代わりに硫酸水溶液を使用した以外は、実
施例1と同様な方法で作製した。
【0035】実施例3 水酸化ナトリウム水溶液の代わりに水酸化カリウム水溶
液を使用した以外は、実施例1と同様な方法で作製し
た。
【0036】実施例4 硝酸水溶液の代わりに硫酸水溶液を、水酸化ナトリウム
水溶液の代わりに水酸化カリウム水溶液を使用した以外
は、実施例1と同様な方法で作製した。
【0037】実施例5 水酸化ナトリウムによる処理と硝酸水溶液による処理の
順番を逆にした以外は、実施例1と同様な方法で作製し
た。
【0038】実施例6,7 実施例1および実施例4の導電性支持体の洗浄最終工程
に純水によるシャワー洗浄を行って作製したものを、そ
れぞれ実施例6,7とする。
【0039】実施例8,9 実施例1および実施例4の電荷発生層形成直前に導電性
支持体に対して紫外線を照射して作製したものを、それ
ぞれ実施例8,9とする。
【0040】比較例1 封工処理後、アルカリ処理も酸処理も行わず、純水によ
る浸漬処理のみ行った以外は、実施例1と同様な方法で
作製した。
【0041】比較例2,3 実施例1,2において水酸化ナトリウム処理を行わなか
ったものを、それぞれ比較例2,3とする。
【0042】比較例4,5 実施例1,3において硝酸処理を行わなかったものを、
それぞれ比較例4,5とする。
【0043】このようにして得られたそれぞれの電子写
真用感光体を、NEC製ページプリンタに搭載して、1
0℃,30%RH環境、25℃,50%RH環境、およ
び35℃,80%RHの環境下で画像評価、および感光
層の密着性,はじき調査を行った。その結果。35℃,
80%RH環境の画像評価以外では差は認められなかっ
た。
【0044】しかし、35℃,80%RH環境において
は、表1のような結果が得られた。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は陽極酸化
皮膜を有するアルミニウムまたはアルミニウム合金基体
上に、電荷発生層と電荷輸送層が順次積層された積層型
電子写真感光体において、アルミニウムまたはアルミニ
ウム合金支持体の陽極酸化処理後、あるいは陽極酸化処
理後に封孔処理を施す場合は封孔処理後、支持体に対し
て特定の処理を施すことを特徴としており、その結果、
電荷発生層との密着性を良好としつつ、低温低湿環境か
ら高温高湿環境まで画像欠陥の少ない電子写真感光体を
提供することが可能となる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陽極酸化皮膜を有するアルミニウムまたは
    アルミニウム合金導電性支持体上に、電荷発生層と電荷
    輸送層が順次積層された積層型電子写真感光体の製造方
    法におて、 前記アルミニウムまたはアルミニウム合金導電性支持体
    の陽極酸化処理後、あるいは陽極酸化処理後に封孔処理
    を施す場合は封孔処理後に、前記支持体に対して、アル
    カリ溶液で処理する工程と酸性溶液で処理する工程を組
    み合わせる処理を行うことを特徴とする電子写真用感光
    体の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の電子写真用感光体の製造方
    法において、前記アルカリ溶液で処理する工程の後に、
    前記酸性溶液で処理する工程を行うことを特徴とする請
    求項1記載の電子写真用感光体の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の電子写真用感光体の製造方
    法において、前記酸性溶液で処理する工程の後に、前記
    アルカリ溶液で処理する工程を行うことを特徴とする請
    求項1記載の電子写真用感光体の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真
    用感光体の製造方法において、前記アルカリ溶液は、水
    酸化ナトリウム水溶液または水酸化カリウム水溶液であ
    り、前記酸性溶液は、硝酸水溶液または硫酸水溶液であ
    ることを特徴とする電子写真用感光体の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真
    用感光体の製造方法において、導電性支持体の最終洗浄
    工程に純水によるシャワー洗浄を行うことを特徴とする
    電子写真用感光体の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真
    用感光体の製造方法において、電荷発生層を前記導電性
    支持体に形成する直前に前記導電性支持体に対して紫外
    線を照射することを特徴とする電子写真用感光体の製造
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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