JPH10300359A - 回転式連続炉 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 広い設置面積を必要とせず、台板の返送設備
が不要であり、雰囲気の酸素濃度を低いレベルで安定さ
せることができ、不活性ガスの打ち込み量が僅かで済む
連続炉を提供する。 【解決手段】 炉体１を環状とし、その同一位置に台板
の搬入口９と取出し口10とを設ける。被焼成物を載せた
台板８を搬入口９から炉内に入れ、回転体４により環状
の炉内を１周させる間に焼成を行う。なお台板８に箱状
マッフル11を被せ、回転体４に設けた雰囲気ガス供給手
段12により箱状マッフル11内に雰囲気ガスを供給しなが
ら焼成することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術手段】本発明は回転式連続炉に関す
るものであり、特にフェライトのような雰囲気焼成を必
要とする製品の焼成に適した回転式連続炉に関するもの
である。

【０００２】

【従来の技術】ノイズフィルター等に使用するフェライ
トは、焼成工程の全域または一部を不活性雰囲気とする
必要がある。このようなフェライト焼成のための従来の
連続炉としては、ローラーハースやプッシャー炉にN₂ガ
ス等の不活性ガス打ち込み設備を設けた連続炉が知られ
ている。

【０００３】しかしこのような従来の連続炉には、次の
様な欠点があった。 炉体が長いために広い設置面積を必要とする。 被焼成物を載せる台板を炉体の出口から入口まで返
送するための設備を必要とする。 炉体のシール性を確保することがむずかしいため、
炉内雰囲気の酸素濃度を200 ppm 程度までしか低減でき
ず、μ値の高い高品質のフェライトの焼成に要求される
100ppm以下とすることができない。 炉体のシール性を確保することがむずかしいため、
炉内雰囲気の酸素濃度を低いレベルに保つために多量の
不活性ガスを打ち込む必要がある。その量は、例えば製
品1kg 当たり0.31m³程度である。 連続炉であるために、炉内の長手方向の流れによる
雰囲気の変動が抑え切れず、炉内雰囲気の酸素濃度が20
0 ±10ppm 程度変動する。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】本発明はこのような従
来の連続炉の問題点を解決し、広い設置面積を必要とせ
ず、台板を炉体の入口まで返送するための設備が不要で
ある連続炉を提供することを第１の目的とするものであ
る。また、本発明の第２の目的は、上記の第１の目的を
達成したうえ、更に雰囲気の酸素濃度を低いレベルで安
定させることができ、不活性ガスの打ち込み量が僅かで
済む連続炉を提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記の第１の目的を達成
するためになされた請求項１の発明は、炉体を環状と
し、被焼成物を載せた台板が回転体により環状の炉内を
１周する間に焼成を行うことを特徴とするものである。
また上記の第２の目的を達成するためになされた請求項
２の発明は、請求項１の発明にさらに、台板が箱状マッ
フルを備え、台板の回転体がこの箱状マッフル内への雰
囲気ガス供給手段を備えたとの要件を付加したものであ
る。

【０００６】請求項１の発明の回転式連続炉は、被焼成
物を載せた台板が回転体により環状の炉内を１周する間
に焼成を行うようにしたので、従来の直線型の連続炉に
比較して設置面積が少なくて済み、また台板を炉体の入
口まで返送するための設備が不要である。

【０００７】また請求項２の発明の回転式連続炉は、箱
状マッフルを台板に載せその内部に被焼成物を収納する
とともに雰囲気ガスを供給しながら焼成を行うので、箱
状マッフルの内部のみを雰囲気調整すればよく、少量の
不活性ガスで安定した酸素濃度を維持することができる
うえ、雰囲気の切替えや冷却を迅速に行える利点があ
る。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下に本発明の好ましい実施の形
態を示す。図１及び図２において、１は環状の炉体であ
る。この炉体１の底部には円形の開口部２が形成され
て、環状の炉室３と連通している。４は炉体１の下方に
設けられた回転体であり、その上面は開口部２から上方
に延びて炉室３の内部に達している。なお、回転体４は
車輪５を備え、円形のレール６上をローラ等の適宜の駆
動手段７により間欠的に走行できるようになっている。

【０００９】図１に示すように炉体１の一部は切欠か
れ、この同一位置に台板８の搬入口９と取出し口10とを
設けてある。被焼成物は台板８に載せられ、搬入口９か
ら炉室３内に搬入されて回転体４の上面に置かれる。ま
たこの実施形態では、台板８が箱状マッフル11を備え、
被焼成物は箱状マッフル11の内部に収納された状態で炉
室３内に搬入される。箱状マッフル11は、Al₂O₃ 、Si-S
iC、S-SiC 等の耐熱性に優れたセラミック材料により形
成されている。

【００１０】回転体４には、各箱状マッフル11内への雰
囲気ガス供給手段12が設けられている。この雰囲気ガス
供給手段12は、中央のディストリビューター13から放射
状に延びる雰囲気ガス供給配管14を備えており、その先
端が台板８の縦孔15に接して箱状マッフル11内に雰囲気
ガスを供給できるようになっている。なお、16は炉体１
に設けられたヒーターであり、炉室３の内部を所定のヒ
ートカーブとなるよう加熱している。また17は回転体４
の下面に設けられたサンドシールであり、炉体１の開口
部２から高温の炉内ガスが漏れることを防止している。

【００１１】このように構成された本発明の回転式連続
炉でフェライト等の焼成を行うには、被焼成物を台板８
に載せて箱状マッフル11を被せ、搬入口９から台板８を
炉室３内の回転体４の上面に置く。そして駆動手段７に
より回転体４を間欠的に移動させながら、雰囲気ガス供
給手段12により雰囲気ガスを箱状マッフル11内に供給
し、台板８が環状の炉内を１周する間に予熱、焼成、冷
却の各工程を経由させて取出し口10から炉外に取り出
す。雰囲気ガスは自由にコントロールでき、例えば台板
８が予熱帯と焼成帯にあるときには空気を打ち込み、冷
却帯では窒素等の不活性ガスを打ち込むことができる。

【００１２】このように、本発明の回転式連続炉は炉体
１を環状としたので、設置面積が少なくて済み、また同
一位置に台板８の搬入口９と取出し口10とを設けたので
台板８の返送設備が不要となる。しかも、シール性に優
れた箱状マッフル11の内部の狭い空間のみを雰囲気置換
すればよいため、雰囲気ガスの使用量はごく僅かで済
む。例えば、従来の連続炉では製品1kg 当たり0.31m³程
度の雰囲気ガスを用いても酸素濃度を200 ppm 以下とす
ることができなかったが、本発明の炉では製品1kg 当た
り0.10m³程度の雰囲気ガスを供給するだけで酸素濃度を
50ppmまで下げることができる。また本発明の炉では雰
囲気置換の速度も大きく、酸素濃度を21％から50ppm ま
で低下させるために10分を要するのみである。更に、従
来の連続炉では酸素濃度が200 ±10ppm 程度変動してい
たが、本発明の炉では50± 5ppm 程度とすることができ
る。

【００１３】

【発明の効果】以上に説明したように、請求項１の発明
の回転式連続炉は、炉体を環状としたので広い設置面積
を必要とせず、台板を炉体の入口まで返送するための設
備が不要である。また請求項２の発明の回転式連続炉
は、箱状マッフルの内部に雰囲気ガスを打ち込みながら
焼成を行うようにしたので、雰囲気の酸素濃度をμ値の
高い高品質のフェライトの焼成に要求される低いレベル
で安定させることができる。また不活性ガスの打ち込み
量が僅かで済むうえ、短時間で雰囲気の切替えが可能と
なり、生産性を向上させることができる等の利点があ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施形態を示す平面図である。

【図２】炉室の縦断面図である。

【符号の説明】

１ 環状の炉体、２ 開口部、３ 環状の炉室、４ 回
転体、５ 車輪、６レール、７ 駆動手段、８ 台板、
９ 搬入口、10 取出し口、11 箱状マッフル、12 雰
囲気ガス供給手段、13 ディストリビューター、14 雰
囲気ガス供給配管、15 台板の縦孔、16 ヒーター、17
サンドシール

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 炉体を環状とし、被焼成物を載せた台板
   が回転体により環状の炉内を１周する間に焼成を行うこ
   とを特徴とする回転式連続炉。
2. 【請求項２】 台板が箱状マッフルを備え、台板の回転
   体がこの箱状マッフル内への雰囲気ガス供給手段を備え
   たものである請求項１に記載の回転式連続炉。
3. 【請求項３】 炉体の同一位置に、台板の搬入口と取出
   し口とを設けた請求項１又は２に記載の回転式連続炉。