JPH10299567A - 内燃機関のタイボルト構造 - Google Patents

内燃機関のタイボルト構造

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JPH10299567A
JPH10299567A JP12318897A JP12318897A JPH10299567A JP H10299567 A JPH10299567 A JP H10299567A JP 12318897 A JP12318897 A JP 12318897A JP 12318897 A JP12318897 A JP 12318897A JP H10299567 A JPH10299567 A JP H10299567A
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tie bolt
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Shuichi Yoshikawa
秀一 吉川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 潤滑油のような低粘度の粘性流体としても、
タイボルトの振動が充分に減衰されて、共振によるタイ
ボルトの破損の発生を防止し得る内燃機関のタイボルト
構造を提供する。 【解決手段】 ジャケット、架構及び台板を長尺のタイ
ボルトで一体に締め付けてなる内燃機関において、前記
タイボルト又はタイボルト孔の何れか一方又は双方に、
前記タイボルトの外周とタイボルト孔の内周との隙間が
該タイボルトの中心線方向において他の部位よりも局部
的に小さくなるような拡径部あるいは縮径部を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は大型ディ−ゼル機関
等、ジャケット、架構及び台板を長尺のタイボルトで一
体に締め付けてなる内燃機関におけるタイボルト構造に
関する。
【0002】
【従来の技術】クロスヘッド式大型ディ−ゼル機関にお
いては、機関の全高がきわめて大きいことから、ジャケ
ット、架構及び台板を共通に貫通されるタイボルトにて
締め付けて一体化して所要剛性を維持している。図10
はかかるタイボルトを備えたクロスヘッド式大型ディ−
ゼル機関の1例を示す。図10において、2はピスト
ン、3はクロスヘッド、5はクランク軸、22は燃焼室
で、該燃焼室22内の爆発力Pはピストン2、ピストン
棒1クロスヘッド3及び連接棒4を介してクランク軸5
へ伝達され、該クランク軸5の軸端より機関出力として
取り出される。
【0003】6はジャケット、8は架構、7は台板であ
り、該ジャケット6、架構8及び台板7は、これらに穿
設されたタイボルト孔24に挿通されるタイボルト9の
ナット23及び26を締め付けることにより一体化され
剛性が向上せしめている。このタイボルト9は図10に
示されるように、シリンダの両側に各1本、軸方向には
シリンダの間毎及び第1列シリンダと最終列シリンダの
両側に設けられている。
【0004】図11は前記クロスヘッド式大型ディ−ゼ
ル機関におけるタイボルト構造の従来の一例を示す。図
11において11はタイボルト室で、前記タイボルト9
の外周9cと、ジャケット6、架構8及び台板7に同心
にかつ同一径にて穿設されたタイボルト孔24の内周と
の間に形成され、その内部には粘性流体12としての機
関の潤滑油が供給されている。23、26は前記タイボ
ルト9の両端を締め付けるためのナットである。また1
0はオイルパンである。
【0005】かかるタイボルト構造を有する大型ディ−
ゼル機関の運転時において、図10に示すように、燃焼
室22内の爆発力Pの反力P1 は、シリンダジャケット
6に作用し、該ジャケット6、架構8及び台板7を互い
に引き離そうとする力として上向きに作用し、このP1
をタイボルト9が受け持つことになる。従ってタイボル
ト9には前記P1 に相当する引張応力が静的応力として
作用している。
【0006】一方、かかる大型ディ−ゼル機関において
は、機関の高さが大なるため水平方向の機関振動が大き
く、このためかかる水平方向振動が前記タイボルト9に
作用して、該タイボルト9は水平方向に共振し易くな
り、この共振が発生すると、共振による繰返し曲げ応力
が前記静的な引張応力(平均応力)に重畳される。従っ
てかかる大型ディ−ゼル機関においては、このような水
平方向振動による共振の発生を防止するため、前記のよ
うにタイボルト室11内に粘性流体12を供給して、こ
れの粘性摩擦抵抗により振動を減衰せしめている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】タイボルト9は、機関
の組立後、納入先への発送時に一旦分解したり、機関の
使用中においても定期的なメンテナンス工事等のためこ
れを取り外すことがある。従って、その際における粘性
流体12の排出や再注入のため、かかる大型ディ−ゼル
機関においては、ある程度粘度の低い、即ち振動減衰効
果の低い粘性流体12を使用せざるを得ないのが現状で
ある。また、前記粘性流体12は、洩出や蒸発等により
その量が自然に減少しない様に、配慮することが必要で
あり、また一方で、粘性流体が機関内部に洩出しても、
これが機関の運転に悪影響を与えないものであることを
要する。
【0008】然して、図11に示す従来技術に係るタイ
ボルト構造を備えた大型ディ−ゼル機関においては、前
述の様な事情に鑑み、粘性流体12として機関の潤滑油
がタイボルト室11内に供給されているが、かかる潤滑
油は粘度が低いため、次に示すように、十分な振動減衰
作用をなすことができない。即ち、図12にはタイボル
ト9が共振している状態を示す。図12(A)に示すよ
うに、タイボルト9が機関の水平方向振動fを受けて、
図12の(B)におけるWに示すように共振しようとし
た場合、図12(A)のX−X矢視図である(C)に示
すように、タイボルト9はタイボルト室11の壁に接近
する方向に動く。このため、両者の間に挟まれた粘度の
低い潤滑油12aは大きなすきまA1を通って容易に反
対側へ流出してしまい、タイボルト9を反対側へ押し返
す面圧F1 は小さい。従って、かかる大型ディ−ゼル機
関においては、前記すきまA1 からの粘性流体(潤滑
油)12aの流出のため、タイボルト9の水平方向振動
を十分に減衰させることが困難となり、このため切損が
発生することが多々ある。
【0009】本発明はかかる従来技術の課題に鑑み、潤
滑油のような低粘度の粘性流体としても、タイボルトの
振動が充分に減衰されて、共振によるタイボルトの破損
の発生を防止し得る内燃機関のタイボルト構造を提供す
ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明はかかる課題を解
決するため、ジャケット、架構及び台板に連通して穿設
されたタイボルト孔内にタイボルトを挿通しナットで締
め付けて、前記ジャケット、架構及び台板を一体に固定
するとともに、前記タイボルトの外周とタイボルト孔の
内周との間に形成されるタイボルト室内に粘性流体を封
入してなる内燃機関において、前記タイボルト又はタイ
ボルト孔の何れか一方又は双方を局部的に径変化(縮径
若しくは拡径)させ、前記タイボルトの外周とタイボル
ト孔の内周との隙間が他の部位よりも局部的に小さくな
るように小隙間部を形成したことを特徴とする内燃機関
のタイボルト構造を提案する。
【0011】かかる発明によれば、タイボルトが水平方
向振動による共振を生起すると、タイボルトの外周とタ
イボルト孔の内周との隙間が局部的に狭くなっているタ
イボルトの拡径部あるいはタイボルト孔の縮径部では、
タイボルトが前記共振により水平方向に変位するとき、
粘性流体がこの狭い隙間部を通過する際に大きな抵抗力
を受ける。かかる抵抗力によって前記隙間部に高い面圧
が発生し、この面圧は該隙間を縮小せしめようとする。
上記変位を止める方向に作用し、前記共振による過大振
幅が減少せしめられる。従ってかかる発明によれば、粘
性流体に低粘度の機関用潤滑油を使用しても高粘性流体
と同等に大きな振動減衰効果が得られる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好
適な実施形態を例示的に詳しく説明する。但しこの実施
形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、そ
の相対的配置等は特に特定的な記載がないかぎりは、こ
の発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説
明例にすぎない。
【0013】図1乃至図3は本発明の第1実施形態を示
し、図1はタイボルト取付部の縦断面図、図2は図1の
Z部拡大図、図3は作用説明図である。また図10は本
発明が適用される大型ディ−ゼル機関のタイボルト装着
部近傍の構成図である。図10において、2はピスト
ン、3はクロスヘッド、5はクランク軸、22は燃焼室
であり、該燃焼室22内の爆発力Pは、ピストン2、ピ
ストン棒1クロスヘッド3及び連接棒4を介してクラン
ク軸5へ伝達され、該クランク軸5の軸端より機関出力
として取り出される。
【0014】6はジャケット、8は架構、7は台板であ
り、該ジャケット6、架構8及び台板7は、これらに穿
設されたタイボルト孔24に挿通されるタイボルト9の
ナット23及び26を締め付けることにより一体化され
剛性が向上せしめられている。このタイボルト9は図1
0に示されるように、シリンダの両側に各1本、軸方向
にはシリンダの間毎及び第1列シリンダと最終列シリン
ダの両側に設けられている。以上の基本構成は従来技術
と同様である。
【0015】本発明の第1実施形態を示す図1及び図2
において、11はタイボルト室で、前記タイボルト9の
外周9cと、ジャケット6、架構8及び台板7に同心に
かつ同一径にて穿設されたタイボルト孔24の内周との
間に形成され、その内部には粘性流体12としての機関
の潤滑油が供給されている。23、26は前記タイボル
ト9の両端を締め付けるためのナットである。また10
はオイルパンである。
【0016】前記タイボルト9は、Zの中間部、好まし
くはこれの共振による振幅が最大となる部位の近傍に、
一定長さの範囲において他の部位よりも外径を大きく形
成した拡径部9aを備えている。図2に示すように、こ
の拡径部9aの外周9bとタイボルト孔24の内周との
隙間Aは、他の部位よりも局部的に充分に小さく形成さ
れる。
【0017】かかる構造を有するタイボルト9を備えた
大型ディ−ゼル機関の動作について、図3を参照して説
明する。タイボルト9が水平方向の機関振動fを受けて
図3(B)に示すW1 のようなモ−ドで共振しようとし
た際において、タイボルト9は図3(A)のX−X矢視
図である(C)に示すようにタイボルト室11の内面つ
まりタイボルト孔24の内周面に接近する方向に変位
し、該タイボルト9とタイボルト孔24とが接近する。
【0018】本発明の実施形態においてはタイボルト9
に拡径部9aが形成されているので、図3(C)に示す
ように、上記水平方向変位によって前記タイボルト室1
1内の粘性流体12が該拡径部9aの外周9bとタイボ
ルト孔24の内周との隙間Aを通って流出しようとす
る。この際において、前記微小隙間Aを粘性流体12が
流出するときの抵抗により面圧Fが発生する。この面圧
Fがタイボルト9を振動する方向と反対方向に押し返す
力となり、これによってタイボルト9の振動が抑制され
る。これにより、機関用潤滑油のような粘度の低い粘性
流体であっても、上記隙間Aの量を調整することによ
り、充分に大きな振動減衰効果が得られる。
【0019】図4及び図5は本発明の第2実施形態を示
す。この実施形態においては、タイボルト9は等径とし
て、該タイボルト9の前記第1実施形態(図1及び図
2)における拡径部9aと同一部位の外周に環状のブッ
シュ14を圧入している。このブッシュ14は銅合金、
アルミニウム合金等の比較的軟質の金属、あるいは樹脂
材によって構成される。この場合、ブッシュ14の外周
14aとタイボルト孔24の内周との間に形成される微
小隙間Aの量は前記第1実施形態と同程度とする。
【0020】かかる第2実施形態においては、前記第1
実施形態のようにタイボルト9の素材径を大きくするこ
となく、簡単な形状のブッシュ14を別途製作して圧入
するのみで拡径部を構成することができるので、低コス
トとなる。また、タイボルト9に過大な水平方向振幅が
発生した際においては、軟質材料から成るブッシュ14
がタイボルト孔24に接触しこれが保護部材の役目を果
たすので、タイボルト9の表面が損傷することは無い。
【0021】図6及び図7は本発明の第3実施形態を示
す。この実施形態においては、タイボルト9は等径と
し、タイボルト孔24の一部に一定の長さに亘って内径
を縮小した縮径部25を設けている。前記縮径部25の
長手方向位置は、前記第1実施形態における拡径部9a
と同一部位とする。また、該縮径部25の内周25aと
タイボルト9の外周9cとの間の微小隙間Aの量は前記
第1実施形態と同程度とする。この実施形態において
は、タイボルト9の外周に前記縮径部25に対応する位
置よりも上方に振れ止め用ブッシュ(図示省略)を嵌着
した場合には、該縮小部25がブッシュの落下防止のた
めのストッパの機能をなす。
【0022】図8及び図9は本発明の第4実施形態を示
す。この実施形態は、図4及び図5に示す第2実施形態
と、図4及び図5に示す第2実施形態と、図6及び図7
に示第3実施形態とを組合せたもので、タイボルト9の
外周にブッシュ14を圧嵌するとともに、タイボルト孔
24の内周に縮径部25を設けている。この場合は、前
記第2実施形態及び第3実施形態の効果を併せ備える。
【0023】尚、図4乃至図9に示す第2乃至第4実施
形態において、第1実施形態と同一の部材はこれと同一
の符号にて示す。
【0024】
【発明の効果】以上記載のごとく本発明によれば、タイ
ボルトの外周とタイボルト孔の内周との間の隙間をタイ
ボルトの長さ方向において局部的に小さく構成したの
で、粘度の小さい粘性流体であっても、該粘性流体がこ
の微小隙間を通過する際に、タイボルトの振動方向と逆
方向の大きな抵抗力が発生し、この抵抗力によって振動
を減衰せしめることができる。
【0025】これにより、粘性流体に低粘度の潤滑油を
使用しても高粘性流体と同等の大きな振動減衰効果を得
ることができ、共振によるタイボルトの切損の発生を防
止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る大型ディ−ゼル機関用
タイボルト構造を示す縦断面図である。
【図2】図1のZ部拡大図である。
【図3】上記第1実施形態における作用説明図である。
【図4】本発明の第2実施形態を示す図1に対応する図
である。
【図5】図4のZ部拡大図である。
【図6】本発明の第3実施形態を示す図1に対応する図
である。
【図7】図6のZ部拡大図である。
【図8】本発明の第4実施形態を示す図1に対応する図
である。
【図9】図8のZ部拡大図である。
【図10】大型ディ−ゼル機関におけるタイボルト取付
構造を示す構成図である。
【図11】従来の大型ディ−ゼル機関用タイボルト取付
構造を示す図1に対応する図である。
【図12】図11に示す従来技術における作用説明図で
ある。
【符号の説明】
6 ジャケット 7 台板 8 架構 9 タイボルト 9a 拡径部 9b 拡径部の外周 9c タイボルトの外周 11 タイボルト室 12 粘性流体 14 ブッシュ 14a ブッシュの外周 23、26 ナット 24 タイボルト孔 25 縮径部 25a 縮径部の内周

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジャケット、架構及び台板に連通して穿
    設されたタイボルト孔内にタイボルトを挿通しナットで
    締め付けて、前記ジャケット、架構及び台板を一体に固
    定するとともに、前記タイボルトの外周とタイボルト孔
    の内周との間に形成されるタイボルト室内に粘性流体を
    封入してなる内燃機関において、 前記タイボルト又はタイボルト孔の何れか一方又は双方
    を局部的に径変化させ、前記タイボルトの外周とタイボ
    ルト孔の内周との隙間が他の部位よりも局部的に小さく
    なるように小隙間部を形成したことを特徴とする内燃機
    関のタイボルト構造。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005106285A (ja) * 2003-09-27 2005-04-21 Atlas Copco Construction Tools Gmbh 打撃機構に設けられた少なくとも2つの機械部分を結合するための装置
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