JPH10298689A - 高靱性アルミニウム合金ダイカスト - Google Patents

高靱性アルミニウム合金ダイカスト

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JPH10298689A
JPH10298689A JP10595097A JP10595097A JPH10298689A JP H10298689 A JPH10298689 A JP H10298689A JP 10595097 A JP10595097 A JP 10595097A JP 10595097 A JP10595097 A JP 10595097A JP H10298689 A JPH10298689 A JP H10298689A
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aluminum alloy
eutectic
elongation
strength
die casting
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Shigetaka Morita
茂隆 森田
Toshifumi Kikuchi
俊史 菊地
Atsuhito Seki
篤人 関
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルミニウム合金ダイカストを、自動車用部
品の強度部材に適用して生産性を良くして軽量化を図
る。 【解決手段】 気孔率1%以下、共晶Siの円相当径が
2μm以下、または更に共晶Siの円形度が70%以
上、Si以外の晶出物の面積率が0.5%以下として、
好ましくは引張強さ(N/mm2)の3倍の数値と伸び
(%)の40倍の数値との無次元合計値で表わされる強
度指数を1,100以上とし、高温短時間保持後急冷の
溶体化処理、または更に人工時効処理を行う熱処理を施
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高靱性アルミニウ
ム合金ダイカストに関し、詳しくは自動車用部品の懸架
装置部品のナックルステアリング、操舵部品のステアリ
ングホイール用芯金や、車体を構成するクロスメンバ
ー、スペースフレームの継手、シートフレームなど、強
い引張強さと大きな伸びが要求される強度部材をダイカ
スト鋳造後に熱処理を施して得ることができる高靱性ア
ルミニウム合金ダイカストに関する。
【0002】
【従来の技術】ダイカスト法は金型に溶湯を高速で鋳込
む鋳造法であり、薄肉で寸法精度と鋳肌の優れた鋳物を
短時間で大量に生産することができる。そのため、この
ダイカスト法によるアルミダイカストは強度をさほど必
要としない工業部品に広く使用されている。
【0003】ところで、アルミニウム合金鋳物は、溶体
化処理や人工時効処理などの熱処理を施して、引張強
さ、0.2%耐力、伸びなどの機械的性質を向上させる
ことが行われている。たとえば金型内に酸素を吹き込ん
で射出を行うダイカスト法や、真空ダイカスト法で鋳造
した後熱処理を施して強度部材を実用化とすることがは
じめられている。
【0004】そして、特公平4−71983号公報に
は、低圧鋳造法や溶湯鍛造法などで加圧鋳造の後、熱処
理を施すことによって、高靱性の加圧鋳造用高力アルミ
ニウム合金を得る開示がある。この特公平4−7198
3号公報に開示された加圧鋳造用高力アルミニウム合金
について詳述すれば、Al−Si−Cu−Mgからなる
合金系、即ち重量%で、Si:5〜13%、Cu:1〜
5%、Mg:0.1〜0.5%を含むアルミニウム合金
に、Sr:0.005〜0.3%と少量添加し、加圧鋳
造後の合金材にT6処理(溶体化処理に続いて人工時効
処理を行う熱処理)を施して、高い引張強さと伸び率を
与えようとするものである。
【0005】また、特公平4−71983号公報には、
Si:5〜13%、Cu:1〜5%、Mg:0.1〜
0.5%を含むアルミニウム合金に、Sr:0.005
〜0.3%とTi:0.05〜0.5%を共存添加、ま
たはSr:0.005〜0.3%、Ti:0.05〜
0.5%、B:0.05〜0.3%の3種類の元素を共
存添加し、加圧鋳造後の合金材にT6処理を施して、高
靱性アルミニウム合金鋳物とする開示がある。そしてこ
の特公平4−71983号公報によれば、引張強さ約4
00N/mm2、伸び約11%が得られるとしている。
【0006】上記特公平4−71983号公報の第2頁
第4欄第9〜23行には、熱処理について「熱処理に際
しての加熱温度はこの種の合金で通常適用される温度範
囲、すなわち溶体化処理においては、500〜520
℃、人工時効処理においては140〜180℃が採用さ
れるが、この発明における溶体化時間は従来最高の引張
強さ、伸びを得るために必要とされる時間である4〜1
0時間を大幅に下まわる0.5〜2時間程度で十分満足
できる。なお、人工時効処理における加熱時間は、従来
この種の合金に適用される一般的な時間範囲4〜10時
間が採用されるが、この際、この合金系の人工時効にあ
たって、しばしば採用される人工時効処理の室温時効処
理あるいは前段処理として施される60〜120℃の温
度で数時間の2段時効処理を施してもよい。」との記載
があることから、溶体化の温度は「500〜520
℃」、「極く短時間における熱処理」における溶体化時
間は「0.5〜2時間程度」と解される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、前述の酸素
を吹き込んで射出を行うダイカスト法は、酸素吹き込み
時にアルミ溶湯と発熱反応が起こり金型寿命が短いこと
などから広く実用化されるまでには到っていない。
【0008】アルミニウム合金鋳物に靱性と強度を付与
するためには、前述のとおり鋳造後の鋳物に溶体化処
理、または更に人工時効処理を施すことが必要となる。
ダイカスト品は、肉厚が通常1.0〜1.5mmで、最大
肉厚でも5〜7mm程度のため、鋳造後の冷却速度が比
較的大きく、DAS2(Dendrite Arm S
pacing:デンドライト2次枝間隔)は20μm以
下と、低圧鋳造などのDAS2の概略30〜60μmに
比べミクロ組織が微細となる。この微細なミクロ組織を
粗大化させない適切な熱処理を施すことができれば、強
度部材を効率よく生産できるように思われる。
【0009】ところが、アルミダイカストは、脱ガスな
どの処理を施したとしても、高速鋳込みのために低圧鋳
造法や溶湯鍛造法による鋳造品などと比べて空気の巻き
込みによるガス含有量が多くなり、場合によっては10
0g当たり10cc以上のガスを含有している。そし
て、ガスを含有したアルミダイカストを熱処理すると、
図9に示すようにガスが膨張してフクレが発生し易くな
る。このようなアルミダイカストは、熱処理を施しても
機械的性質のばらつきが大きく、引張強さ250N/m
2以上、伸び8〜10%以上の引張特性が要求される
強度部材、例えば、自動車用部品の懸架装置部品のナッ
クルステアリング、操舵部品のステアリングホイール用
芯金、車体を構成するクロスメンバー、スペースフレー
ムの継手、シートフレームなどに適用して軽量化を図る
ことは難かしい。
【0010】前記特公平4−71983号公報には、こ
のような従来からの課題であるガスを含有するダイカス
ト品を熱処理する際に発生し易いフクレに対し、これ防
止することについては何等記載または示唆がされていな
い。
【0011】本発明の課題は、アルミニウムダイカスト
の鋳造後に熱処理を施して、自動車用部品の懸架装置部
品のナックルステアリング、操舵部品のステアリングホ
イール用芯金や、車体を構成するクロスメンバー、スペ
ースフレームの継手、シートフレームなど、軽量化と同
時に引張強さと伸びが要求される強度部材を、効率的に
生産できる高靱性アルミダイカストを得ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、Al−S
i−Mg系(AC4A系)のアルミニウム合金をダイカ
スト法で鋳造し、更に熱処理を施したダイカスト品につ
いて、気孔率、共晶部のSi(以下、「共晶部のSi」
を「共晶Si」と略す。)の形態が、引張強さや伸びな
ど靱性に与える影響を調査した。即ち、Feを0.19
〜0.3重量%と通常のダイカストに比べ低くして靱性
の低下を抑え、 Mnを0.00〜0.49重量%添加
して金型への焼付き防止と針状のAl−Si−Fe化合
物を塊状化し、更にMgを0.00〜0.60重量%と
した組成の溶湯を数種類溶製した。そして、強度部材の
ひとつである床板をダイカスト法で鋳造し、更に熱処理
を施して、熱処理後の気孔率と共晶Siの形態更に晶出
物が靱性に与える影響を鋭意研究した。その結果、熱処
理後のアルミダイカストの気孔率を1%以下、かつ共晶
Siの円相当径を2μm以下、または更に共晶Siの円
形度が70%以上とすることにより、引張強さおよび伸
びを総合して高靱性になるとの知見を得、これを自動車
用部品の懸架装置部品のナックルステアリング、操舵部
品のステアリングホイール用芯金や、車体を構成するク
ロスメンバー、スペースフレームの継手、シートフレー
ムなどに適用して軽量化できることを見出し本発明に想
到した。
【0013】即ち、本発明の高靱性アルミニウム合金ダ
イカストは、重量比で、Si:4〜13%、Mg:0.
7%以下、Cu:5%以下、Fe:0.3%以下を含
み、残部Alおよび不可避的不純物からなり熱処理を施
された高靱性アルミニウム合金ダイカストであって、気
孔率1%以下、共晶Siの円相当径が2μm以下である
ことを特徴とする。
【0014】または更に、前記共晶Siの円形度が70
%以上であり、前記Si以外の晶出物の面積率が0.5
%以下であることを特徴とする。
【0015】前記高靱性アルミニウム合金ダイカスト
は、鋳造後520〜560℃に加熱して1秒〜2時間保
持後急冷する溶体化処理、好ましくは540〜560℃
に加熱して1分〜1時間保持後急冷する溶体化処理を行
うことを特徴とする。または更に、溶体化処理に続いて
人工時効処理を行う熱処理を施すことを特徴とする。
【0016】そして、上記高靱性アルミニウム合金ダイ
カストは、引張強さ(N/mm2)の3倍の数値と伸び
(%)の40倍の数値との合計値を無次元で表わされる
強度指数が1,100以上であることを特徴とする。
【0017】本発明の高靱性アルミニウム合金ダイカス
ト(以下「アルミニウム合金ダイカスト」という。)の
化学組成(重量%)および熱処理条件の限定理由は以下
のとおりである。
【0018】(1)Si:4〜13% Siは、湯流れ性などの鋳造性や、靱性に影響を及ぼ
す。Siが4%未満では湯流れ性が悪くなる。一方Si
が13%をこえると靱性を低下させる。従ってSi:4
〜13%とする。好ましくはSi:7〜10%である。
【0019】(2)Mg:0.7%以下 Mgは、溶体化処理および時効処理の熱処理を施すこと
によってMg2Siを析出させて強度を向上させる。し
かし、Mg含有量が0.7%を超えると、引張強さと
0.2%耐力は高くなるが、伸びが低下する。従って、
Mg:0.7%以下とする。なお本発明では、Mg0.
00%、即ちMgを含有しない場合に、溶体化540℃
×1時間、時効処理140℃×3時間で、引張強さ約1
80N/mm2 、伸び20%、強度指数(=3×引張強
さ+40×伸び)1340を得ることができる。従っ
て、Mg:0.7%以下とはMg:0.00%を含むも
のである。
【0020】(3)Cu:5%以下 Cuは時効処理を施すことによって合金強度を向上させ
るが、Cu:5%を超えると、引張強さと0.2%耐力
は高くなるが、伸びが低下する。従って、Cu:5%以
下とする。ここで、Cu:5%以下とは、Cu:0%を
含むものとする。
【0021】(4)Fe:0.3%以下 Feが多量に存在すると、図10に示すような針状晶の
Fe化合物を形成し靱性の低下を招く。従ってFe:
0.3%以下を限度とする。
【0022】(5)気孔率:1%以下 気孔率は、用いたアルミニウム合金の真比重と熱処理後
のみかけ比重から算出する。アルミニウム合金ダイカス
トに発生する気孔そのものの形状は、できる限り円形
で、かつ微細であって、気孔が繋がっていない状態が好
ましく、気孔率:1%以下でこの条件を満足する。
【0023】(6)共晶Siの円相当径:2μm以下 共晶Siとは、共晶部に存在するSiをいう。また、共
晶Siの円相当径とは、共晶Siが粒状に出てくる形態
を円形度で定義し、1000倍で観察した共晶Si粒子
と同じ面積を持つ円の直径に換算して求めた。アルミニ
ウム合金ダイカストを、520〜560℃×1秒〜2時
間保持、好ましくは540〜560℃×1分〜1時間保
持した後急冷する溶体化処理により、0.2%耐力、引
張強さがより高いレべルとなる。これは共晶Siの円相
当径が1.5〜2.0μmと微細のままになっているた
めであり、また、アルミニウム合金ダイカスト中に含ま
れるガスが熱処理により膨張して発生するブリスターが
20μm程度と粗大化していないためである。このこと
から、共晶Siの円相当径:2μm以下とする。
【0024】(7)共晶Siの円形度:70%以上 共晶Siの円形度は下記の式で定義する。この定義によ
る共晶Siの円形度は、真円では100(%)であり、
共晶Siの円形への程度を表示する。従って、円形度
(%)の値が大きいほど共晶Siの形状が真円に近く、
丸くなっていることを示す。 共晶Siの円形度(%)= [(粒子面積(S)/計測した粒子と同じ周囲長(L)を持つ円の面積) ×100(%)] =[(4πS/L2 )×100(%)] ただし、S:粒子面積(μm2)、L:粒子の周囲長
(μm) アルミニウム合金ダイカストを、540〜560℃×1
分〜1時間で溶体化後急冷の溶体化処理を施すことよ
り、0.2%耐力、引張強さがより高いレべルとなり、
このときの共晶Siの円形度は70%以上と大きくな
る。
【0025】(8)Si以外の晶出物の面積率:0.5
%以下 Si以外の晶出物としては、Al−Si−Mg系アルミ
ニウム合金ではアルミとマグネシウムの化合物、 Al
−Si−Cu−Mg系アルミニウム合金ではアルミと銅
の化合物などがあり、アルミニウム合金ダイカストを5
20℃以下の温度で溶体化したのでは、Mg2SiやA
2Cuなどの晶出物が残る。520℃を超える温度で
溶体化を行うことにより、Si以外の晶出物をゼロに近
く、0.5%以下にすることができる。なお、このSi
以外の晶出物の面積率の測定は画像処理によって行う。
本発明のアルミニウム合金ダイカストでは、Si以外の
晶出物の面積率をMg2SiとAl2Cu化合物の面積率
(%)で評価した。
【0026】(9)溶体化処理:520〜560℃×1
秒〜2時間保持、好ましくは540〜560℃×1分〜
1時間保持後急冷 520〜560℃×1秒〜2時間保持、好ましくは54
0〜560℃×1分〜1時間保持後急冷する溶体化処
理、即ち、高温短時間保持後急冷の溶体化処理により、
凝固過程で生じた偏析の多くが固溶されて解消される。
【0027】(10)時効処理:高温短時間保持後急冷
する溶体化処理後、更に人工時効処理高温短時間保持後
急冷する溶体化処理の後、更に人工時効処理を施すこと
で時効析出させて、0.2%耐力、引張強さ、および伸
びを向上させる。好ましくは、時効処理は、140℃の
温度で3時間施す。
【0028】(11)無次元合計値で表わされる強度指
数[3×引張強さ(N/mm2)+40×伸び
(%)]:1,100以上 引張強さ(N/mm2)の3倍の数値と、伸び(%)の
40倍の数値とを合計した無次元合計値を強度を示す指
数とする。本発明のアルミニウム合金ダイカストは、例
えば、引張強さが250N/mm2 で伸びが12%であ
れば、強度指数が3×250+40×12=1,230
となる。強度指数が1,100以上であれば、引張強さ
と伸びのバランスがとれたアルミニウム合金ダイカスト
となり、強度部材として適用できる。一方、従来のアル
ミダイカストは、引張強さが230N/mm2 程度、伸
びが3%程度であるので、強度指数は、3×230+4
0×3=810程度である。
【0029】なお、高温短時間保持後急冷の溶体化処理
後、更に人工時効処理を施したアルミニウム合金ダイカ
ストは、デンドライトアームスペーシング(DAS2)
が約8μmと低圧鋳造法や溶湯鍛造法などによるものと
比べて小さく、微細な結晶組織となる。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を詳細
に説明する。 [実施の形態1] (1)アルミニウム合金ダイカストの組成 強度部材へ適用するため表1に示すA1−8%Si−M
g系(AC4A)組成のアルミニウム合金を溶製した。
【0031】
【表1】
【0032】通常のダイカスト法では金型との焼付きを
防止するためFe:1%程度含有するアルミニウム合金
を使用するが、靱性低下の原因になるので、表1に示す
ように、Fe:0.20%と低くしている。Feを少な
くすると、塊状の析出物は少なくなり靱性を維持するこ
とはできるが、一方、金型と焼付きやすくなる。この焼
付きを防止するため、Mn:0.39%含有させて焼付
き防止を図っている。また溶湯処理は、酸化膜除去と水
素除去を目的としてガスバブリングによる脱ガス処理を
行った。
【0033】(2)ダイカスト条件 型締め力350t、鋳造圧力14N/mm2 、プランジ
ャチップが直径90mmで3連のリングチップ付き、図
8に示す300角の床板のキャビティを形成した金型に
粉体離型剤を塗布し、減圧バルブ付きのダイカストマシ
ンを使用した。アルミニウム合金溶湯は、金型を型締め
後、温度700℃でスリーブ内に充填率34%で給湯口
より注入し、低速射出時のプランジャチップ平均速度を
0.54m/s、高速射出時のプランジャ平均速度を
1.8m/sとして、キャビティ内に充填した。途中、
プランジャチップが給湯口を塞いだ時点から減圧バルブ
を作動させて減圧を開始し、キャビティ内圧力が絶対圧
8kPa(大気圧基準で−0.92kg/cm2 )とし
て溶湯や離型剤ほかから発生するガス量を減少させ、高
速射出直前に減圧バルブを閉じた。
【0034】(3)熱処理条件 鋳造して得られた図8の床板に対し表2に示す各種条件
での熱処理を施した。表2で、「F」は鋳造のままで熱
処理を施さないもの、「T5」は人工時効処理のみを施
したもの、「T6」は溶体化処理後人工時効処理を施し
たものを示す。なお、この熱処理での温度は材料の温度
を示す。溶体化処理は、温度を480〜560℃、時間
を1分〜4時間の範囲で変えて行った。また、溶体化処
理の昇温速度は15〜18℃/minとした。
【0035】
【表2】
【0036】(4)アルミダイカストの組織調査 組織調査の結果を表2に、熱処理条件と並べて示す。
【0037】(5)機械的性質 機械的性質は図8の床板の肉厚2mmの天井部から、肉
厚1.5mmの平板状試験片を採取し、0.2%耐力、
引張強さ、伸びを試験した。そして、3×引張強さ(N
/mm2 )+40×伸び(%)を計算して無次元指数と
した。
【0038】
【表3】
【0039】表2および表3から次のことがわかる。 (No.1のF材)ダイカスト鋳造のままで熱処理をし
ないNo.1のF材は、気孔率が0.01%と少なく、
かつ共晶Si円相当径も1.12μmと小さいが、共晶
Siの円形度が24%しかなく、Mg2Siの面積率が
1.0%と多い。このためNo.1のF材は、0.2%
耐力が135.2N/mm2、引張強さ239.7N/
mm2 あるが、伸びが4.3%程度と小さく、引張強さ
と伸びを総合した強度指数[=3×引張強さ(N/mm
2 )+40×伸び(%)]が891であり、強度部材と
して適用するにはまだまだ靱性が足りない。
【0040】(No.2のT5材)ダイカスト鋳造後、
140℃で3時間の人工時効処理を施したNo.2のT
5材は、気孔率が0.01%と少なく、かつ共晶Si円
相当径も1.16μmと小さいが、共晶Siの円形度が
26%しかなく、Mg2Siの面積率が1.0%と多
い。このため、0.2%耐力が158.6N/mm2
引張強さ253.0N/mm2 であるが、伸びが3.1
%程度と小さく、強度指数は883であり、強度部材と
して適用するにはまだまだ靱性が足りない。
【0041】(No.3〜6のT6材)ダイカスト鋳造
後、480℃で0.02時間(1分間)〜4時間保持後
急冷の溶体化処理に続き、140℃で3時間保持の人工
時効処理を施したNo.3〜6のT6材では、気孔率が
0.19〜0.28%と少なく、かつ共晶Si円相当径
も1.43〜1.77μmと小さく、また共晶Siの円
形度は64〜73%、Mg2 Siの面積率が0.5〜
0.8%のものは、0.2%耐力が116.2〜12
3.2N/mm2 、引張強さが206.1〜214.4
N/mm2 とF材やT5材に比較して小さい。一方、伸
びが7.1〜9.9%とF材やT5材に比較して大きい
ため、強度指数が902〜1,039となり、伸びを要
求される強度部材には適用することが可能である。
【0042】(No.7〜10のT6材)ダイカスト鋳
造後、500℃で0.02時間(1分間)〜4時間保持
後急冷の溶体化処理に続き、140℃で3時間保持の人
工時効処理を施したNo.7〜10のT6材は、気孔率
が0.19〜0.34%と少なく、かつ共晶Si円相当
径も1.46〜1.87μmと小さく、また共晶Siの
円形度が65〜74%、Mg2Siの面積率が0.1〜
0.2%であり、0.2%耐力が143.3〜164.
0N/mm2 、引張強さが237.1〜251.7N/
mm2 とF材やT5材と同等になっている。更に伸びが
6.5〜9.1%とF材やT5材に比較して大きいた
め、強度指数が971〜1090となり、0.2%耐
力、引張強さ、および伸び共に要求される強度部材とし
て適用することが可能である。
【0043】(No.11〜13のT6材)ダイカスト
鋳造後、520℃で0.02時間(1分間)〜2時間保
持後急冷の溶体化処理に続き、140℃で3時間保持の
人工時効処理を施したNo.11〜13のT6材は、気
孔率が0.26〜0.30%と少なく、かつ共晶Si円
相当径も1.49〜1.97μmと小さく、また共晶S
iの円形度が70〜76%、Mg2 Siの面積率が0.
0〜0.1%であり、0.2%耐力が148.9〜16
5.8N/mm2 、引張強さが242.2〜256.0
N/mm2 と大きくなっている。更に伸びが6.4〜
7.5%と大きいため、強度指数が1,005〜1,0
27となり、0.2%耐力、引張強さ、および伸び共に
要求される強度部材として適用することが可能である。
【0044】(No.14のT6材)ダイカスト鋳造
後、540℃で0.02時間(1分間)保持後急冷の溶
体化処理に続き、140℃で3時間保持の人工時効処理
を施したNo.14の金属顕微鏡組織写真(倍率:10
0倍)を図1に示す。気孔率が0.64%と少なく、か
つ共晶Si円相当径も1.56μmと小さく、また共晶
Siの円形度が76%、Mg2Siの面積率が0.0%
であり、0.2%耐力が160.3N/mm2 、引張強
さが261.4N/mm2 と大きくなっていた。更に伸
びが7.6%と大きいため、強度指数は1,088とな
り、0.2%耐力、引張強さ、および伸び共に要求され
る強度部材として適用することが可能である。
【0045】(No.15のT6材)ダイカスト鋳造
後、540℃で1時間保持後急冷の溶体化処理に続き、
140℃で3時間保持の人工時効処理を施したNo.1
5の金属顕微鏡組織写真(倍率:100倍)を図2に示
す。気孔率は0.79%と少なく、かつ共晶Si円相当
径も1.92と小さく、また共晶Siの円形度が75
%、Mg2Siの面積率が0.0%であり、0.2%耐
力が173.2N/mm2 、引張強さが271.2N/
mm2 と大きくなっていた。更に伸びが9.4%と大き
いため、強度指数は1,190となり、0.2%耐力、
引張強さ、および伸び共に要求される強度部材として適
用することが可能である。
【0046】(No.16、17のT6材)ダイカスト
鋳造後、550℃で0.02時間(1分間)〜0.5時
間(30分)保持後急冷の溶体化処理に続き、140℃
で3時間保持の人工時効処理を施したNo.16、17
のT6材は、気孔率が0.45〜0.94%で、共晶S
i円相当径が0.97〜1.85μm、また共晶Siの
円形度が77〜78%、Mg 2Siの面積率が0.0%
であり、0.2%耐力が153.9〜156.7N/m
2 、引張強さが238.9〜250.8N/mm2
伸びが5.6〜9.2%、強度指数は941〜1,12
0であった。 No.17は気孔率が0.94%と多い
ため強度指数が若干低下しているが、強度部材として適
用することは可能である。
【0047】(No.18のT6材)ダイカスト鋳造
後、560℃で極短時間の0.02時間(1分間)保持
後急冷の溶体化処理に続き、140℃で3時間保持の人
工時効処理を施したNo.18のT6材は、気孔率が
0.75%で、共晶Si円相当径が1.97μm、また
共晶Siの円形度が79%、Mg2Siの面積率が0.
0%であり、0.2%耐力が156.3N/mm2 、引
張強さが246.3N/mm2、伸びが6.6%、強度
指数が1,003あるので、強度部材として適用するこ
とは可能である。
【0048】以上、No.6、8〜18材は、気孔率が
1.0%以下でかつ共晶Siの円相当径が2μm以下と
し、更に共晶Siの円形度が70%以上、Si以外の晶
出物の面積率が0.5%以下であるので、引張強さおよ
び伸びを総合したアルミニウム合金ダイカストとなって
いる。
【0049】そして、共晶Siの円相当径と円形度は共
に、溶体化温度が高く、時間が長いほど大きくなる傾向
にある。これは共晶Siが溶体化によりSiの拡散が進
み大きく丸くなるものと考えられる。
【0050】また、共晶Siの円形度は、溶体化温度が
高くなると到達するレベルが上がり、到達時間も短くな
る。540℃で1分保持の溶体化では円形度は76%と
十分に丸くなっており、機械的性質も満足できる値とな
っている。更に、Mg2 Siの面積率は溶体化温度が高
く、時間が長いほど減少するが、特に温度の影響が大き
い。溶体化温度が480℃では固溶が進まず多くの、M
2Siが残留しているのに対し、500℃以上でかな
り減少している。特に540℃で1分間保持し溶体化し
た場合には、、Mg2Siが観察されておらず、Mg2
iを固溶させるためには、なるべく高温で溶体化するの
が好ましい。
【0051】(比較例のNo.21〜25のT6材)ダ
イカスト鋳造後、520〜560℃で0.5時間(30
分間)〜4時間保持後急冷の溶体化処理に続き、140
℃で3時間保持の人工時効処理を施したものでも、比較
例のNo.21は気孔率が0.32%であるが共晶Si
円相当径が2.10μmと大きく、No.22〜25
は、共晶Siの円形度が76〜79%、Mg2 Siの面
積率が0.0%の範囲であっても、気孔率が1.21〜
2.87%と多く、共晶Siの円相当径が2.27〜
2.61μmと大きいものは、0.2%耐力が132.
6〜157.7N/mm2 、引張強さが142.0〜2
25.0N/mm2 、伸びが1.6〜5.5%である。
引張強さと伸びを総合した強度指数は490〜873と
なっており、気孔率が1.0%以下でかつ共晶Siの円
相当径が2μm以下でないと、引張強さまたは伸びの何
れか一方または双方が不足して強度指数が低下するもの
と思われる。図3は、540℃で2時間保持後急冷の溶
体化処理に続いて140℃で3時間保持の人工時効処理
を施した比較例No.22の金属顕微鏡組織写真(倍
率:100倍)を示す図である。No.22は、気孔率
が1.39%、共晶Siの円相当径が2.27μm、共
晶Siの円形度が76%、Si以外の晶出物面積率が
0.0%であり、強度指数は490であった。
【0052】[実施の形態2]次に、Mg:0.0%、
0.2%、0.3%、0.4%、0.6%とした表4の
組成で、実施の形態1と同じ鋳造条件でダイカストし、
その後の熱処理の有無、540℃で1.0時間保持後急
冷の溶体化処理に続いての時効処理の有無、および時効
処理条件を変えて得たアルミニウム合金ダイカストから
試験片を切り出し、0.2%耐力、引張強さ、伸び、お
よび強度指数を調査した。その結果を表5に示す。
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】表5から次のことがわかる。 (No.1、5、9、13、17のF材)ダイカスト鋳
造後、熱処理を施さない、No.1のMg:0.0%、
No.5のMg:0.2%、No.9のMg:0.3
%、No.13のMg:0.4%、No.17のMg:
0.6%を含有するF材は、0.2%耐力が104.2
〜145.1N/mm2 、引張強さが218.3〜23
1.5N/mm2 、伸びが2.8〜6.7%であり、強
度指数は807〜923の範囲にあるが比較的小さく、
強度部材として適用することは難しい。
【0056】(No.2、6、10、14、18のT4
材)ダイカスト鋳造後、540℃で1時間保持後急冷す
る溶体化処理後、自然時効処理を行ったNo.2のM
g:0.0%、No.6のMg:0.2%、No.10
のMg:0.3%、No.14のMg:0.4%、N
o.18のMg:0.6%を含有するT4材は、0.2
%耐力が82.7〜168.2N/mm2、引張強さが
179.4〜259.3N/mm2 とMg含有量が多く
なるに従い増加している。一方、伸びは5.0〜19.
4%とMg含有量が多くなるに従い減少している。引張
強さと伸びを総合した強度指数は978〜1,314あ
り、引張強さまたは伸びの何れを重視するかで、適当な
Mg含有量のT4材として強度部材に適用することが可
能である。
【0057】(No.3、7、11、15、19のT6
材)ダイカスト鋳造後、540℃で1時間保持後急冷す
る溶体化処理した後、140℃で3時間保持の人工時効
処理を施した、No.3のMg:0.0%、No.7の
Mg:0.2%、No.11のMg:0.3%、No.
15のMg:0.4%、No.19のMg:0.6%を
含有するT6材は、0.2%耐力が80.8〜238.
0N/mm2 、引張強さが181.0〜313.2N/
mm2とMg含有量が多くなるに従い増加している。一
方、伸びは22.9〜5.4%とMg含有量が多くなる
に従い減少している。引張強さと伸びを総合した強度指
数は1,113〜1,459あり、引張強さまたは伸び
の何れを重視するかで、適当なMg含有量のT6材とし
て強度部材に適用することが可能である。
【0058】(No.4、8、12、16、20のT6
材)ダイカスト鋳造後、540℃で1時間保持後急冷す
る溶体化処理した後、180℃で3時間保持の人工時効
処理を施した、No.4のMg:0.0%、No.8の
Mg:0.2%、No.12のMg:0.3%、No.
16のMg:0.4%、No.20のMg:0.6%を
含有するT6材は、0.2%耐力が79.3〜327.
9N/mm2 、引張強さが176.5〜359.1N/
mm2とMg含有量が多くなるに従い増加している。一
方、伸びは17.6〜2.8%とMg含有量が多くなる
に従い減少している。引張強さと伸びを総合した強度指
数は1,108〜1,234あり、引張強さまたは伸び
の何れを重視するかで、適当なMg含有量のT6材とし
て強度部材に適用することが可能である。
【0059】以上、Mg:0.0〜0.6%の範囲のT
4またはT6材は、0.2%耐力または引張強さを重視
する強度部材はMg含有量を多くし、伸びを重視する強
度部材の場合はMg含有量を少なく、また引張強さと伸
びとも必要な強度部材では、Mg:0.2〜0.4%で
適宜選定すればよい。また、0.2%耐力および引張強
さ、または強度指数においては、T4材に比較してT6
材のほうが優れている。人工時効温度は、0.2%耐力
および引張強さを必要とする強度部材では180℃が好
ましく、伸びを必要とする強度部材では140℃が好ま
しい。
【0060】[実施の形態3]図4はアルミニウム合金
ダイカストからなる車体、図5は車体を構成するスペー
スフレームである。図5のスペースフレームは、Si:
8%、Mg:0.3%、Cu:0.2%、Fe:0.1
%を含むアルミニウム合金を溶製した。そして、型締め
力800t、鋳造圧力14N/mm2 、プランジャチッ
プが直径90mmでリングチップ付加、減圧バルブ付き
のダイカストマシンにより、粉体離型剤を塗布して、金
型を型締め後、溶湯温度700℃でスリーブ内に注入
し、低速時のプランジャチップの平均速度を0.54m
/s、高速時のプランジャの平均速度を1.8m/sと
して、溶湯をスペースフレームを形成したキャビティ内
に充填した。減圧バルブを作動させ、キャビティ内圧力
が絶対圧8kPa(大気圧基準で−0.92kg/cm
2 )として溶湯や離型剤ほかから発生のガス量を減少さ
せた。次に、鋳造で得られたスペースフレーム素材を、
540℃で1時間保持後急冷する溶体化処理のあと14
0℃で3時間保持する人工時効処理を行う熱処理を施し
た。このスペースフレームから試験片を切り出し、組織
観察および機械的性質を調べた。その結果、気孔率が
0.68%、共晶Siの円相当径が1.76μm、共晶
Siの円形度が75%、Mg2Si面積率0.0%であ
り、0.2%耐力が172N/mm2 、引張強さが26
5N/mm2 、伸びが9%あり、強度指数は1,155
となって、高靱性のスペースフレームとなり軽量化する
ことができた。また、アルミ車体との溶接においても問
題なく行うことができた。
【0061】[実施の形態4]図6はアルミニウム合金
ダイカストからなるステアリングホイール用芯金であ
る。図6のステアリングホイール用芯金は、実施例3と
同様の条件でダイカスト鋳造し、熱処理を施した。そし
てこのステアリングホイール用芯金から試験片を切り出
し、組織観察および機械的性質を調べた。その結果、気
孔率が0.72%、共晶Siの円相当径が1.83μ
m、共晶Siの円形度が76%、Mg2Si面積率が
0.0%であり、0.2%耐力が175N/mm2、引
張強さが270N/mm2、伸びが9.5%となり、強
度指数は1,190となって、高靱性のステアリングホ
イール用芯金となり軽量化することができた。
【0062】[実施の形態5]図7はアルミニウム合金
ダイカストからなるシートフレームである。図7のシー
トフレームはサイアロン製プランジャスリーブで、3連
のリングチップ付きのプランジャチップを有するダイカ
ストマシンにより、減圧を付加してダイカスト鋳造し
た。更に、540℃で1時間保持後急冷の溶体化処理の
あと140℃で5時間人工時効処理を行った。そしてこ
のシートフレームから試験片を切り出し、組織観察およ
び機械的性質を調べた。その結果、気孔率が0.74
%、共晶Siの円相当径が1.90μm、共晶Siの円
形度が72%、Mg2Si面積率が0.1%であり、
0.2%耐力が172N/mm2 、引張強さが267N
/mm2、伸びが8.5%となり、強度指数は1,14
1となって、高靱性のシートフレームとなり軽量化する
ことができた。
【0063】
【発明の効果】以上詳細に説明したとおり、本発明の高
靱性アルミニウム合金ダイカストは、気孔率1%以下、
共晶Siの円相当径が2μm以下、または更に共晶Si
の円形度が70%以上、Si以外の晶出物の面積率が
0.5%以下として、好ましくは引張強さ(N/m
2)の3倍の数値と伸び(%)の40倍の数値との無
次元合計値で表わされる強度指数を1,100以上とし
ているので、自動車用部品の懸架装置部品のナックルス
テアリング、操舵部品のステアリングホイール用芯金
や、車体を構成するクロスメンバー、スペースフレーム
の継手、シートフレームなどの強度部材に適用して軽量
化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施の形態としての、540℃×1分間
保持後急冷の溶体化処理、140℃×3時間の人工時効
処理を施した試料の金属顕微鏡組織写真(倍率:100
倍)を示す図である。
【図2】発明の実施の形態としての、540℃×1時間
保持後急冷の溶体化処理、140℃×3時間の人工時効
処理を施した試料の金属顕微鏡組織写真(倍率:100
倍)を示す図である。
【図3】比較例としての、540℃×2時間保持後急冷
の溶体化処理、140℃×3時間の人工時効処理を施し
た試料の金属顕微鏡組織写真(倍率:100倍)を示す
図である。
【図4】発明の実施の形態としての、アルミニウム合金
ダイカストからなる車体を示す斜視図である。
【図5】図4の車体の一部を構成するスペースフレーム
を示す斜視図である。
【図6】発明の実施の形態としての、アルミニウム合金
ダイカストからなるステアリングホイール用芯金を示す
斜視図である。
【図7】発明の実施の形態としての、アルミニウム合金
ダイカストからなるシートフレームを示す斜視図であ
る。
【図8】床板の所定部位から試験片を採取する部位等を
示す図である。
【図9】従来のダイカスト法でブリスターによりフクレ
が発生した状態の金属組織顕微鏡写真を示す図である。
【図10】針状晶のFe化合物の金属組織顕微鏡写真を
示す図である。
【符号の説明】
1 床板 2 強度評価試験片採取位置 3 気孔率の測定部位 4 鋳造時のオーバーフロー側 5 鋳造時のゲート側
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 691 C22F 1/00 691B 691C

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量比で、Si:4〜13%、Mg:
    0.7%以下、Cu:5%以下、Fe:0.3%以下を
    含み、残部Alおよび不可避的不純物からなり熱処理を
    施されたアルミニウム合金ダイカストであって、気孔率
    1%以下、共晶Siの円相当径が2μm以下であること
    を特徴とする高靱性アルミニウム合金ダイカスト。
  2. 【請求項2】 前記共晶Siの円形度が70%以上であ
    ることを特徴とする請求項1記載の高靱性アルミニウム
    合金ダイカスト。
  3. 【請求項3】 Si以外の晶出物の面積率が0.5%以
    下であることを特徴とする請求項1または請求項2記載
    の高靱性アルミニウム合金ダイカスト。
  4. 【請求項4】 前記熱処理は、鋳造後520〜560℃
    に加熱して1秒〜2時間保持後急冷する溶体化処理を施
    すことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項
    に記載の高靱性アルミニウム合金ダイカスト。
  5. 【請求項5】 前記溶体化処理後、更に人工時効処理を
    施すことを特徴とする請求項4記載の高靱性アルミニウ
    ム合金ダイカスト。
  6. 【請求項6】 前記溶体化処理は、好ましくは540〜
    560℃に加熱して1分〜1時間保持後急冷することを
    特徴とする請求項4または請求項5に記載の高靱性アル
    ミニウム合金ダイカスト。
  7. 【請求項7】 引張強さ(N/mm2)の3倍の数値と
    伸び(%)の40倍の数値との合計値を無次元で表わさ
    れる強度指数が1,100以上であることを特徴とする
    請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の高靱性アル
    ミニウム合金ダイカスト。
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