JPH1029308A - インクジェット記録ヘッドのノズル用撥インク処理剤及び親インク処理剤、インクジェット記録ヘッドの製造方法及びインクジェット記録ヘッド - Google Patents

インクジェット記録ヘッドのノズル用撥インク処理剤及び親インク処理剤、インクジェット記録ヘッドの製造方法及びインクジェット記録ヘッド

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JPH1029308A
JPH1029308A JP20534496A JP20534496A JPH1029308A JP H1029308 A JPH1029308 A JP H1029308A JP 20534496 A JP20534496 A JP 20534496A JP 20534496 A JP20534496 A JP 20534496A JP H1029308 A JPH1029308 A JP H1029308A
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ink jet
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JP20534496A
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Miki Kawahara
幹 河原
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Toyo Riken Corp
Original Assignee
Toyo Riken Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インクジェット記録ヘッドのノズル先端にイ
ンクが付着すると、インクジェット記録装置による品質
が低下するため、ノズル外部表面を撥インク処理してい
る。従来、ノズルの撥インク処理法としては、シリコン
等を塗布被膜を形成する方法が知られているが、被膜の
機械的強度が劣るため耐久性に乏しい欠点がある。また
弗素系化合物のプラズマ重合膜や蒸着重合による被膜を
形成する方法は作業が煩雑であったり特殊な設備を要す
るという問題があった。 【解決手段】 本発明の撥インク処理剤は、フルオロア
ルキルシラン、酸、水を含有することを特徴とするもの
で、撥インク処理剤中のフルオロアルキルシラン含有量
が0.05〜20重量%、水の含有量が0.01〜30
重量%であり、酸の含有量が5〜90ミリモル/kgで
あることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインクジェット記録
ヘッドのノズル用撥インク処理剤及び親インク処理剤、
インクジェット記録ヘッドの製造方法及びインクジェッ
ト記録ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】インク
ジェット記録装置は、インクジェット記録ヘッドのノズ
ルから微細なインク滴を吐出して記録を行うものである
が、高品質の記録を行うためにはノズルから吐出された
インク滴の噴射方向や速度が一定でなくてはならない。
しかしながら、ノズル先端にインク滴が付着残存する
と、次第にインク滴の噴射方向が曲げられ、高品質の記
録が行えなくなる虞れがある。
【0003】そこで、ノズル先端にインク滴が付着し難
くなるようにするため、ノズル外部表面に撥インク処理
を施す方法が採用されている。ノズル外部表面に撥イン
ク処理を施す方法としては、シリコン等を塗布して撥イ
ンク被膜を形成させる等の方法が知られている。しかし
ながらシリコン等の塗布によって形成した撥インク被膜
は機械的強度が充分とはいえず、経時的に被膜の剥離が
生じて撥インク性が低下してくるという問題があった。
【0004】このような問題を解決し、耐久性の高い撥
インク被膜を形成し得るものとして、ノズル開口部周囲
に弗素化合物のプラズマ重合膜を形成する方法(特開昭
59−176059号)、更にこのプラズマ重合膜の上
に弗素系グリースを塗布する方法(特開昭59−871
63号)、プラズマ化学気相成長法によってノズル表面
に硬質カーボン膜を形成し、次に酸素ガス雰囲気中でプ
ラズマ処理し硬質カーボン膜の上に水酸基やカルボニル
基を導入し、更に含弗素アルキルシラン化合物の蒸気を
含む雰囲気と接触させてパーフルオロアルキル基の単分
子層を形成する方法(特開平4−336258号)、ノ
ズル表面に撥インク膜を蒸着重合法で形成する方法(特
開平7−25015号)等が提案されている。しかしな
がら、これらの方法は耐久性に優れた撥インク被膜を形
成できる反面、作業が煩雑であったり特殊な設備を必要
とする等の問題があった。
【0005】またノズル内面は親インク性を有すること
が好ましく、親水性化合物によってノズル内面を処理す
れば、ノズル内面に親インク性を付与することができ
る。しかしながら、従来から知られている親水性化合物
によって親インク性処理を施した場合、親インク性被膜
の耐久性は充分とは言い難かった。
【0006】本発明は上記課題を解決するためになされ
たもので、インクジェット記録ヘッドのノズル外部表面
に、耐久性に優れた撥インク被膜を容易に形成し得る撥
インク処理剤と、ノズル外部表面に耐久性に優れた親イ
ンク被膜を容易に形成し得る親インク処理剤を提供する
ことを目的とする。また本発明はこれらの処理剤によっ
て処理したノズルを有するインクジェット記録ヘッド及
びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】即ち本発明のインクジェ
ット記録ヘッドのノズル用撥インク処理剤は、フルオロ
アルキルシラン、酸、水を含有することを特徴とするも
ので、撥インク処理剤中において、フルオロアルキルシ
ラン含有量が0.05〜20重量%、水の含有量が0.
01〜30重量%であり、酸の含有量が5〜90ミリモ
ル/kgであることが好ましい。また本発明のインクジ
ェット記録ヘッドのノズル用親インク処理剤は、インク
ジェット記録ヘッドのノズルを構成する素材と化学結合
可能な置換基を有する親水性化合物と酸及び水を含有す
ることを特徴とするもので、親インク処理剤中における
親水性化合物の含有量が0.05〜20重量%、水の含
有量が0.01〜35重量%、酸の含有量が5〜90ミ
リモル/kgであることが好ましい。
【0008】本発明は、上記撥インク処理剤で外部表面
を処理したノズルを有するインクジェット記録ヘッド及
び、上記親インク処理剤で内部表面を処理したノズルを
有するインクジェット記録ヘッドを包含する。また本発
明はインクジェット記録ヘッドのノズルを上記親インク
処理剤で処理してノズル表面を親インク性とした後、ノ
ズル外部表面の親インク処理剤を除去し、しかる後、ノ
ズル外部表面を上記撥インク処理剤で処理することによ
りインクジェット記録ヘッドを製造する方法及びそれに
よって得られるインクジェット記録ヘッドを包含する。
【0009】更にまた本発明は、上記撥インク処理剤で
処理するか、これとは異なる方法によってフルオロシラ
ンカップリング剤処理をノズル外部表面に施した後、該
処理面にポリテトラフルオロエチレン、ポリペルフルオ
ロエチレングリコール、ポリペルフルオロプロピレング
リコールの1種又は2種以上を塗布することによりイン
クジェット記録ヘッドを製造する方法及びそれによって
得られるインクジェット記録ヘッドを包含する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の撥インク処理剤は、フル
オロアルキルシラン、酸、水を含有すること必須とす
る。フルオロアルキルシランとしては、下記一般式
(1)で示される化合物が好ましい。
【0011】
【化1】Rf SiXY2 ・・・・(1)
【0012】上記一般式(1)において、Rf は3原子
以上の弗素原子で置換された弗素置換アルキル基、Xは
ハロゲン、アルコキシ基、アセトキシ基、ヒドロキシ基
のいずれか、Yはハロゲン、アルコキシ基、アセトキシ
基、ヒドロキシ基、飽和・不飽和脂肪族炭化水素基、環
式脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基又は水素であ
る。式中、2つのYは同一の基であっても異なる基であ
っても良く、また、2つのYのうちの一方又は両方とX
とが同一の基であっても良い。
【0013】上記ハロゲンとしては、弗素以外の塩素、
ヨウ素、臭素等が挙げられるが、経済性および環境に与
える影響の少なさから塩素が好ましい。またアルコキシ
基としては、アルキル基の炭素数1〜5のものが好まし
い。更に上記飽和・不飽和脂肪族炭化水素基や環式脂肪
族炭化水素基としては、例えばメチル、エチル、プロピ
ル、i−プロピル、アリル、ブチル、sec-ブチル、tert
−ブチル、アミル、イソアミル、活性アミル、ヘキシ
ル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシ
ル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシ
ル、ヘキサデシル、オクタデシル、ノナデシル、シクロ
ペンチル、シクロヘキシル等の基が挙げられる。また芳
香族炭化水素基としては、フェニル基、ベンジル基等が
挙げられる。更に、上記脂肪族炭化水素基、環式脂肪族
炭化水素基、芳香族炭化水素基に、更にハロゲン、アル
コキシ基、アセトキシ基、ヒドロキシ基、チオール基、
エステル基、アミド基、ニトリル基、ケトン基、カルボ
キシル基、ホルミル基、カルボキシペルオキシ基、ニト
ロ基、アミノ基、シアノ基、イミノ基、スルホン基、ス
ルフィン基、スルホキシド基、ホスフォン基、ホスフィ
ン基、シリコン基等の置換基が導入されたものであって
も良い。
【0014】このようなフルオロアルキルシランの具体
例としては、例えば、tri-フルオロプロピル-tris-(メ
トキシ) シラン、tri-フルオロプロピル-tri- クロロシ
ラン、trideca-フルオロオクチル-tri- クロロシラン、
trideca-フルオロオクチル-tris-(メトキシ)シラン、
heptadeca-フルオロデシル-tri- クロロシラン、heptad
eca-フルオロデシル-tris-(メトキシ)シラン、heptad
eca-フルオロデシルメチル-di-クロロシラン、heptadec
a-フルオロデシルメチル-bis-(メトキシ)シラン、hene
icosa-フルオロドデシル-tris-(メトキシ)シラン、he
ptadeca-フルオロデシル-tris-(エトキシ)シラン、he
neicosa-フルオロドデシル-tris-(エトキシ)シラン、
4,4-(ジトリフルオロメチル)-1,1,1,2,2,3,3-ヘプタフ
ルオロヘキシル-tris-メトキシシラン、4,4-(ジトリフ
ルオロメチル)-1,1,1,2,2,3,3-ヘプタフルオロヘキシル
-tris-エトキシシラン等が挙げられる。
【0015】上記一般式(1)で示されるフルオロアル
キルシランは、3原子以上が弗素原子で置換された弗素
置換アルキル基を有することを必須とするが、中でも9
原子以上が弗素原子で置換した弗素置換アルキル基を有
するフルオロアルキルシランが好ましく、特に13原子
以上が弗素原子で置換した弗素置換アルキル基を有する
フルオロアルキルシランが高い撥インク性が得られるた
めに好ましい。本発明において特に好ましいフルオロア
ルキルシランは、充分大きな過フルオロアルキル基を持
ち、なおかつ3つの脱離基(硅素原子から脱離してガラ
ス表面のシラノールと縮合反応を起こし得るハロゲン、
アルコキシ等)を持つ、heptadeca-フルオロデシル-tri
s-(メトキシ)シラン、heptadeca-フルオロデシル-tri
s-(エトキシ)シラン、heneicosa-フルオロドデシル-t
ris-(メトキシ)シラン、heneicosa-フルオロドデシル
-tris-(エトキシ)シラン等である。上記一般式(1)
で示されるフルオロアルキルシランは、1種又は2種以
上を混合して用いることができる。
【0016】本発明において酸としては、塩酸、硝酸、
硫酸、リン酸等の鉱酸類;メチル硫酸、エチル硫酸、イ
ソプロピル硫酸、トリフルオロメチル硫酸、ペンタフル
オロエチル硫酸、ヘキサフルオロイソプロピル硫酸、ビ
ス(トリフルオロメチル)リン酸、ビス(ペンタフルオ
ロエチル)リン酸、ビス(ヘキサフルオロイソプロピ
ル)リン酸等の硫酸やリン酸の部分エステル;蟻酸、酢
酸、シュウ酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸類を用いる
ことができる。これらの酸のうちでも特に揮発性の強酸
で、処理後にノズル表面に残留しにくい塩酸、硝酸、メ
チル硫酸、エチル硫酸、イソプロピル硫酸、トリフルオ
ロメチル硫酸、ペンタフルオロエチル硫酸、ヘキサフル
オロイソプロピル硫酸、ビス(トリフルオロメチル)リ
ン酸、ビス(ペンタフルオロエチル)リン酸、ビス(ヘ
キサフルオロイソプロピル)リン酸が好ましい。
【0017】本発明の撥インク処理剤中において、上記
フルオロアルキルシランの含有量は0.05〜20重量
%、水の含有量は0.01〜30重量%であり、酸の含
有量は5〜90ミリモル/kgであることが好ましい。
【0018】撥インク処理剤中におけるフルオロアルキ
ルシランの含有量が0.05重量%未満であると充分な
撥インク効果が得られ難かったり、処理に時間を要する
虞れがあり、また20重量%を超えると処理後の洗浄に
多くの時間を要したり、洗浄に多量の洗浄剤を必要とす
る等の問題を生じる虞がある。フルオロアルキルシラン
の含有量は、より好ましくは0.1〜15重量%、更に
好ましくは0.2〜10重量%であり、特に好ましくは
0.5〜5重量%である。
【0019】また撥インク処理剤中における水の含有量
が0.01重量%未満であるとフルオロアルキルシラン
同士の縮合反応が生じ易く、処理液の劣化が速くなる虞
れがある。逆に水の含有量が30重量%を超えると、フ
ルオロアルキルシランと水とが均一に混じり難くなる。
撥インク処理剤中における水の含有量は、より好ましく
は0.05〜20重量%、更に好ましくは0.1〜10
重量%であり、特に0.2〜7重量%が好ましい。
【0020】更に本発明撥インク処理剤中における酸の
含有量が、5ミリモル/kg未満であると、例えフルオ
ロアルキルシランの含有量が上記範囲内であったとして
も、撥インク効果が不充分となったり、処理に多くの時
間を要する等の虞れがある。また酸の含有量が90ミリ
モル/kgを超えると処理後の洗浄に多くの時間を要し
たり、洗浄剤の使用量が多くなる等の問題を生じる虞が
ある。酸の含有量は、より好ましくは10〜80ミリモ
ル/kg、更に好ましくは30〜70ミリモル/kgで
あり、特に好ましくは40〜60ミリモル/kgであ
る。
【0021】本発明の撥インク処理剤は、通常、上記フ
ルオロアルキルシラン、酸、水を均一に溶解させるため
に、極性有機溶媒を溶媒とした溶液とすることが好まし
い。極性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、
プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、sec-ブ
タノール、tert−ブタノール、アミルアルコール、イソ
アミルアルコール、活性アミルアルコール、ベンジルア
ルコール等のアルコール類、エチレングリコール、プロ
ピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等
の多価アルコール類、ジイソプロピルエーテル、ジエチ
レングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエー
テル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコー
ルモノフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、
メチルイソプロピルケトン、ジイソプロピルケトン等の
ケトン類等が用いられる。
【0022】一方、本発明の親インク処理剤は、インク
ジェット記録ヘッドのノズルを構成する素材と化学結合
可能な置換基を有する親水性化合物を含有する。インク
ジェット記録ヘッドのノズルを構成する素材と化学結合
可能な置換基としては、ノズルを構成するガラス、シリ
カ、金属等と化学結合を生じることができる置換基であ
り、例えば珪素原子、チタン原子、錫原子等に、少なく
とも一つのハロゲン、アルコキシ基、アセトキシ基、ヒ
ドロキシ基等が結合した基が挙げられる。またこの親水
性化合物における親水基としては、オキシエチレン、オ
キシプロピレン、ビニルアルール等の単位を一単位ない
し二単位以上含むものが挙げられる。このような化合物
の具体例としては、例えば以下の化学構造式(2)、
(3)で示される化合物が挙げられるが、上記したよう
なノズルを構成する素材と化学結合可能な置換基を有す
る親水性化合物であれば良く、以下の化学構造式
(2)、(3)で示す化合物に限定されるものではな
い。
【0023】
【化2】 (RO)x Si(CH2 y (OCH2 CH2 z OH ・・・(2)
【0024】
【化3】
【0025】但し、上記(2)式、(3)式において、
Rはアルキル基、x=1〜3、y=1〜4、z>1であ
る。
【0026】本発明の親インク処理剤において用いるこ
とができる酸としては、前記撥インク処理剤に用いるこ
とができる酸として例示したものと同様のものが挙げら
れる。
【0027】本発明の親インク処理剤において、前記親
水性化合物の含有量は、0.05〜20重量%であるこ
とが好ましい。親水性化合物の含有量が0.05重量%
未満であると、ノズルの内部表面に親インク性を付与す
る効果が充分とは言い難く、また20重量%を超えると
親インク処理剤による処理後の洗浄に時間を要したり、
洗浄剤を多量に必要とする等の問題を生じる虞れがあ
る。親インク処理剤中における親水性化合物の含有量
は、より好ましくは0.1〜15重量%、更に好ましく
は0.2〜10重量%であり、特に好ましくは0.5〜
5重量%である。
【0028】一方、本発明の親インク処理剤において、
酸の含有量は5〜90ミリモル/kgが好ましく、より
好ましくは10〜80ミリモル/kg、更に好ましくは
30〜70ミリモル/kg、特に好ましくは40〜60
ミリモル/kgである。酸の含有量が5ミリモル/kg
未満であると撥インク処理が充分に行い難くなり、90
ミリモル/kgを超えると、処理後の洗浄に多大な時間
を要したり、多量の洗浄剤を必要とする等の問題を生じ
る虞れがある。
【0029】更に本発明の親インク処理剤における水の
含有量は、0.01〜35重量%が好ましく、より好ま
しくは0.05〜20重量%、更に好ましくは0.1〜
10重量%、特に好ましくは0.2〜7重量%である。
水の含有量が0.01重量%未満であると、親水性化合
物同士の縮合反応が起こり易く、処理剤が劣化し易くな
る。また35重量%を超えると、ノズルを構成する素材
との化学結合が生じ難くなる。
【0030】本発明の親インク処理剤は、前記撥インク
処理剤と同様に、親水性化合物、酸、水を極性有機溶媒
に溶解した溶液として用いられる。極性有機溶媒として
は、上記と同様のアルコール類、多価アルコール類、エ
ーテル類、ケトン類等を用いることができる。
【0031】本発明のインクジェット記録ヘッドは、上
記撥インク処理剤で外部表面を処理するか、親インク処
理剤で内部表面を処理したノズルを有するものである
か、或いは撥インク処理剤で外部表面を処理するととも
に、親インク処理剤で内部表面を処理したノズルを有す
るものである。これら各処理剤によるノズルの処理は、
ノズルに処理剤を塗布して処理剤とノズルを構成する素
材との間に化学結合を生じさせる方法を採用することが
できる。処理後、過剰の処理剤はアルコール等の極性溶
媒で洗浄して除去する。尚、撥インク処理剤で処理する
ノズルの外部表面とは、少なくともノズルの開口端縁を
含む部分を言う。
【0032】ノズルを撥インク処理剤と親インク処理剤
の両方で処理する場合、まず親インク処理剤でノズルを
処理した後、ノズル外部表面の親インク処理剤を除去
し、次いでノズル外部表面を撥インク処理剤で処理する
方法を採用することが好ましい。親インク処理剤でノズ
ルを処理した後、ノズル外部表面の親インク処理剤を除
去する方法としては、当該部分を研磨する等の方法が採
用される。
【0033】本発明のインクジェット記録ヘッドは、上
記撥インク処理剤で処理した面に、更にポリテトラフル
オロエチレン、ポリペルフルオロエチレングリコール、
ポリペルフルオロプロピレングリコールの1種又は2種
以上を塗布したものであっても良い。撥インク処理剤で
処理した面を、更にポリテトラフルオロエチレン、ポリ
ペルフルオロエチレングリコール、ポリペルフルオロプ
ロピレングリコール等で処理すると、撥インク性が更に
向上するとともに、その耐久性も向上する効果がある。
また本発明の撥インク処理剤による撥インク処理面に限
らず、シランカップリンッグ剤を用いた他の方法で処理
した撥インク処理面に、上記ポリテトラフルオロエチレ
ン、ポリペルフルオロエチレングリコール、ポリペルフ
ルオロプロピレングリコール1種又は2種以上を塗布し
ても良い。
【0034】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明する。尚、以下の実施例、比較例では、インクジェッ
ト記録装置において用いられる水性インクの代わりに蒸
留水を用い、模擬ノズルを用いてノズル先端からの蒸留
水を滴下させ、液滴の重量から処理剤による効果を確認
した。液滴の重量が少ないほど、ノズルの開口部付近へ
の液の付着が少なく、撥インク効果に優れていると言え
る。
【0035】実施例1 肉厚ガラス管(パイレックス)の中央を加熱して軟化さ
せ、これを引き延ばして毛細管を作成し、先端部の内径
が0.2mmとなるように毛細管を切断し、これを模擬
ノズルとして用いた。上記のような模擬ノズルを5本作
成し、各模擬ノズルの上端(引き延ばしていない側の開
口端)から蒸留水をゆっくりと注ぎ、模擬ノズル先端か
ら落下する液滴50滴分を受け皿に受け、その重量から
液滴1滴の重量を算出した(参考例)。次に上記の参考
例で使用した模擬ノズルを乾燥させた後、それぞれを下
記組成の親インク処理剤により処理した。
【0036】 親インク処理剤組成 親水性化合物(Y−9338:日本ユニカー社製) 4.0重量% 水 1.5重量% 濃硝酸(60重量%) 1.5重量% エタノール 93.0重量% 尚、上記親インク処理剤における親水性化合物(Y−9
338)は、3つのアルコキシ基が結合した珪素原子
と、ポリオキシエチレン基を有する化合物である。
【0037】上記親インク処理剤による処理は、まず模
擬ノズル内に親インク処理剤を満たした後、内部の処理
剤を抜き去り、次いで50℃の恒温槽内に12時間放置
して親インク処理剤と模擬ノズル内面側のガラス素材と
を反応させた。次いで上記親インク処理を施した模擬ノ
ズルの先端を切り取ることにより、模擬ノズル先端(開
口端縁)の親インク処理面を除去した。この模擬ノズル
先端を下記組成の撥インク処理剤に浸漬して乾燥し、3
0分間放置した後、内部をエタノールで洗浄して模擬ノ
ズル内に侵入した撥インク処理剤を洗浄除去した。この
ようにして処理した模擬ノズルを用い、上記未処理の模
擬ノズルの場合と同様にして蒸留水を落下させて液滴の
重量の測定を行った。結果を表1に示す。
【0038】 撥インク処理剤組成 CF3(CF2)7(CH2)2 Si(OCH3)3 1.5重量% 水 1.0重量% 濃硝酸 1.5重量% エタノール 96.0重量%
【0039】
【表1】
【0040】実施例2 次に上記実施例1で用いた模擬ノズルを乾燥した後、撥
インク処理剤で処理した部分(ノズルの開口端縁)に更
にペルフルオロエーテルを塗布した。模擬ノズルのペル
フルオロエーテルによる処理は、模擬ノズルの上端から
窒素ガスを模擬ノズル内に吹き込みながら、0℃に保持
したペルフルオロエーテル(FOMBLIN)の0.5
重量%フロン113溶液に、模擬ノズル先端を30秒浸
漬した後、乾燥させることにより行った。このノズルを
用い、前記実施例1と同様にして蒸留水を落下させて液
滴の重量を測定した。結果を表1にあわせて示す。
【0041】上記実施例1、2の結果から、本発明の撥
インク処理剤で処理すると、未処理のものに比べて液滴
が小さくなり、優れた撥インク効果が発現されることが
認められた。また更にポリフルオロエーテルを塗布する
と、撥インク効果が更に向上することが認められた。
【0042】実施例3 20cm×25cmの板ガラス(ソーダガラス)表面
を、ガラス用被膜除去剤(TAKEHARA製:キイロ
ビン120)により、ガラス面全体が均一に水で濡れる
ようになるまで研磨した後、水洗した。この板ガラス表
面に実施例1と同様の撥インク処理剤を塗布し、5分後
にエタノールで塗布面を拭った。2枚重ねにした実験用
ワイパー(キムワイプワイパー S−200:十絛キン
バリー株式会社製)を二つ折りにして厚さ...mmの
スポンジと重ねて耐久性試験用パッドを作成した。この
パッドのワイパー面にガラス用被膜除去剤(TAKEH
ARA製:キイロビン120)5gをつけて、被膜除去
剤塗布面が前記撥インク処理したガラス面と接するよう
に重ね合わせ、更にパッド上(スポンジ側)に分銅(1
kg、底面5cm×8cm)を載せて撥インク処理面上
をパッドを往復さて処理面を擦る方法により処理面の耐
久性を試験した。撥インク処理面の接触角が、撥インク
処理剤で処理後の接触角より30%低下するまでのパッ
ドの往復回数を、耐久性の評価基準とした。同様の試験
を5枚の板ガラスについて行った。結果を表2に示す。
【0043】
【表2】
【0044】実施例4 実施例3と同様の板ガラスをガラス用被膜除去剤(TA
KEHARA製:キイロビン120)で研磨した後、実
施例1と同様の撥インク処理剤で同様にして処理し、更
にこの処理面に、ペルフルオロエーテル(FOMBLI
N)の0.5重量%フロン113溶液を塗布、乾燥し
た。この表面を乾燥したネル布で拭いた後、処理表面の
耐久性を実施例3と同様にして試験した。撥インク処理
剤で処理した面の接触角が30%低下するまでに要した
パッドの往復回数を表2にあわせて示す。
【0045】比較例1 実施例3と同様の板ガラスガラス用被膜除去剤(TAK
EHARA製:キイロビン120)で研磨した後、研磨
面に下記組成の撥インク処理剤を塗布し、10分後に乾
燥したネル布で表面を拭き、この撥インク処理剤で処理
した面の耐久性を実施例3と同様にして試験した。撥イ
ンク処理剤で処理した面の接触角が30%低下するまで
に要したパッドの往復回数を表2にあわせて示す。
【0046】撥インク処理剤組成 ポリジメチルシリコーン 15.0重量% 硫酸 1.5重量% イソプロピルアルコール 83.5重量%
【0047】
【発明の効果】以上説明したように本発明の撥インク処
理剤、親インク処理剤によれば、ノズル先端へのインク
の付着を防止した高品質のインクジェット記録ヘッドを
提供できる。また本発明の処理剤によれば、簡単な処理
操作によって耐久性に優れた撥インク被膜、親インク被
膜を形成でき、特に本発明の撥インク処理剤で処理した
後、この処理面にポリテトラフルオロエチレン、ポリペ
ルフルオロエチレングリコール、ポリペルフルオロプロ
ピレングリコール等を塗布すると、更に撥インク性が向
上するとともに耐久性も向上できる等の効果を有する。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フルオロアルキルシラン、酸、水を含有
    することを特徴とするインクジェット記録ヘッドのノズ
    ル用撥インク処理剤。
  2. 【請求項2】 撥インク処理剤中のフルオロアルキルシ
    ラン含有量が0.05〜20重量%、水の含有量が0.
    01〜30重量%であり、酸の含有量が5〜90ミリモ
    ル/kgであることを特徴とする請求項1記載の撥イン
    ク処理剤。
  3. 【請求項3】 インクジェット記録ヘッドのノズルを構
    成する素材と化学結合可能な置換基を有する親水性化合
    物と酸と水とを含有することを特徴とするインクジェッ
    ト記録ヘッドのノズル用親インク処理剤。
  4. 【請求項4】 親インク処理剤中の親水性化合物の含有
    量が0.05〜20重量%、水の含有量が0.01〜3
    5重量%、酸の含有量が5〜90ミリモル/kgである
    ことを特徴とする請求項3記載の親インク処理剤。
  5. 【請求項5】 請求項1又は2記載の撥インク処理剤で
    外部表面を処理したノズルを有することを特徴とするイ
    ンクジェット記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 請求項1又は2記載の撥インク処理剤で
    外部表面を処理した後、該処理面にポリテトラフルオロ
    エチレン、ポリペルフルオロエチレングリコール、ポリ
    ペルフルオロプロピレングリコールの1種又は2種以上
    を塗布したノズルを有することを特徴とするインクジェ
    ット記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 請求項3又は4記載の親インク処理剤で
    内部表面を処理したノズルを有することを特徴とするイ
    ンクジェット記録ヘッド。
  8. 【請求項8】 インクジェット記録ヘッドのノズルを請
    求項3又は4記載の親インク処理剤で処理してノズル表
    面を親インク性とした後、ノズル外部表面の親インク処
    理剤を除去し、しかる後、ノズル外部表面を請求項1又
    は2記載の撥インク処理剤で処理することを特徴とする
    インクジェット記録ヘッドの製造方法。
  9. 【請求項9】 インクジェット記録ヘッドのノズルを請
    求項3又は4記載の親インク処理剤で処理してノズル表
    面を親インク性とした後、ノズル外部表面の親インク処
    理剤を除去し、しかる後、ノズル外部表面を請求項1又
    は2記載の撥インク処理剤で処理し、次いで該処理面に
    更にポリテトラフルオロエチレン、ポリペルフルオロエ
    チレングリコール、ポリペルフルオロプロピレングリコ
    ールの1種又は2種以上を塗布することを特徴とするイ
    ンクジェット記録ヘッドの製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項8又は9記載の方法で製造され
    たインクジェット記録ヘッド。
  11. 【請求項11】 フルオロシランカップリング剤によっ
    てノズル外部表面の撥インク処理を行った後、該処理面
    にポリテトラフルオロエチレン、ポリペルフルオロエチ
    レングリコール、ポリペルフルオロプロピレングリコー
    ルの1種又は2種以上を塗布することを特徴とするイン
    クジェット記録ヘッドの製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項11記載の方法で製造されたイ
    ンクジェット記録ヘッド。
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EP1273448A1 (en) * 2001-07-06 2003-01-08 Hitachi, Ltd. Ink jet head
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