JPH10287807A - ポリエステルアミド樹脂組成物 - Google Patents

ポリエステルアミド樹脂組成物

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JPH10287807A
JPH10287807A JP10913497A JP10913497A JPH10287807A JP H10287807 A JPH10287807 A JP H10287807A JP 10913497 A JP10913497 A JP 10913497A JP 10913497 A JP10913497 A JP 10913497A JP H10287807 A JPH10287807 A JP H10287807A
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JP
Japan
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weight
resin composition
parts
polyesteramide
composition according
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Application number
JP10913497A
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English (en)
Inventor
Koji Yamauchi
幸二 山内
Akinori Shikamata
昭紀 鹿又
Shunei Inoue
俊英 井上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】熱安定性、耐熱性、機械特性に優れ、エンジニ
アリングプラスチックとして使用することができ、コネ
クター、リレー、スイッチ、ケース部材、トランス部
材、コイルボビン等の電気・電子機器部品、自動車部
品、機械部品、建材に好適な樹脂組成物として使用する
ことができるポリエステルアミド樹脂組成物を提供す
る。 【解決手段】(A)一般式(1)で表される繰り返し単
位からなるポリエステルアミド樹脂100重量部および
(B)充填材1〜200重量部を含有せしめてなるポリ
エステルアミド樹脂組成物。 【化1】 (R1、R2、R3は、二価の置換または非置換の脂肪族
基、脂環族基、芳香族基を表す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エステル単位とア
ミド単位からなる構造を有するポリエステルアミド樹脂
および充填材を含有せしめてなるポリエステルアミド樹
脂組成物であり、熱安定性、耐熱性、機械特性に優れ、
エンジニアリングプラスチックとして有用なポリエステ
ルアミド樹脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル樹脂とポリアミド樹脂の両
者の優れた特性を生かすため、エステル単位とアミド単
位を共重合する方法が提案されている。
【0003】例えば、1,4−ブタンジオール、1,4
−ブタンジアミンとテレフタル酸単位からなるポリエス
テルアミド樹脂を合成する方法が欧州特許公開第445
548号明細書に開示されている。また脂肪族ジアミ
ン、脂肪族ジオールとテレフタル酸からなるポリエステ
ルアミド樹脂を合成する方法が、J.Polym.Sci.,61,353
(1962) に報告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら前記、欧
州特許公開第445548号明細書やJ.Polym.Sci.,61,
353(1962) に記載されている方法により得られるポリエ
ステルアミドは、耐熱性、熱安定性および機械特性に極
めて劣るといった問題点を有していた。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、以
上の状況を鑑み、鋭意検討を重ねた結果、特定の構造の
ポリエステルアミド樹脂および充填材を含有せしめるこ
とにより、熱安定性、耐熱性、機械特性に極めて優れた
樹脂組成物が得られることを見出し本発明を完成するに
至った。
【0006】すなわち本発明は、 1.一般式(1)で表される繰り返し単位からなるポリ
エステルアミド樹脂100重量部および(B)充填材1
〜200重量部を含有せしめてなるポリエステルアミド
樹脂組成物、
【化4】 (R1、R2、R3は、二価の置換または非置換の脂肪族
基、脂環族基、芳香族基を表す。) 2.一般式(1)中、R1、R2、R3が下記一般式
(2)から選ばれる一種または二種以上の基であること
を特徴とする上記1または2記載のポリエステルアミド
樹脂、
【化5】 (ただし式中lは2以上の整数を表し、Rは水素、ハロ
ゲンあるいは1価の有機残基を表す。またQは直接結
合、O、S、SO2、C(CH32、CH2、CHPhを
表し、Phはフェニル基を表す。) 3.一般式(1)で表されるポリエステルアミド樹脂
が、一般式(3)で表されることを特徴とする上記1記
載のポリエステルアミド樹脂組成物、
【化6】 (上記式中m、nは2以上の整数を表す。) 4.エステルアミド樹脂のゲルパーミエーションクロマ
トグラフィーにより測定し、ポリメタクリル酸メチルよ
り換算した数平均分子量が1万以上であることを特徴と
する上記1〜3のいずれかに記載のポリエステルアミド
樹脂組成物、 5.エステルアミド樹脂の5重量%減量温度が370℃
以上であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記
載のポリエステルアミド樹脂組成物、 6.一般式(3)中、mが4または6であることを特徴
とする上記3〜5記載のポリエステルアミド樹脂組成
物、 7.一般式(3)中、nが2、4、6のいずれかである
ことを特徴とする上記3〜5記載のポリエステルアミド
樹脂組成物、 8.一般式(3)中、m=6、n=2であることを特徴
とする上記3〜5記載のポリエステルアミド樹脂組成
物、 9.一般式(3)中、m=6、n=4であることを特徴
とする上記3〜5記載のポリエステルアミド樹脂組成
物、 10.一般式(3)中、m=6、n=2であることを特
徴とする上記3〜5記載のポリエステルアミド樹脂組成
物、素数1〜5のアルキル基を表す。) 11.ポリエステルアミド樹脂100重量部に対して、
ガラス転移温度が20℃以下のエラストマーをさらに配
合してなる上記1〜10のいずれかに記載のポリエステ
ルアミド樹脂組成物、 12.ガラス転移温度が20℃以下のエラストマーがオ
レフィン系エラストマーである上記11記載のポリエス
テルアミド樹脂組成物、 13.ポリエステルアミド樹脂マトリックス相中に、ガ
ラス転移温度20℃以下のエラストマーからなる分散相
が存在し、かかる分散相の平均粒径が20ミクロン以下
である上記11または12記載のポリエステルアミド樹
脂組成物、 14.ポリエステルアミド樹脂100重量部に対して、
結晶核剤0.01〜20重量部をさらに含有せしめてな
る上記1〜13のいずれか記載のポリエステルアミド樹
脂組成物、 15.結晶核剤がタルク、マイカ、カオリン、シリカ、
クレー、無機カルボン酸塩、無機スルホン酸塩、金属酸
化物、炭酸塩、有機カルボン酸塩、有機スルホン酸塩か
ら選ばれる一種または2種以上の混合物である上記14
記載のポリエステルアミド樹脂組成物、 16.ポリエステルアミド樹脂100重量部に対し、耐
熱安定剤0.01〜30重量部をさらに含有せしめてな
る上記1〜15のいずれか記載のポリエステルアミド樹
脂組成物、 17.ポリエステルアミド樹脂100重量部に対し、耐
候性安定剤0.01〜30重量部をさらに含有せしめて
なる上記1〜16のいずれか記載のポリエステルアミド
樹脂組成物、 18.ポリエステルアミド樹脂100重量部に対し、離
型剤0.01〜30重量部をさらに含有せしめてなる上
記1〜17のいずれか記載のポリエステルアミド樹脂組
成物、 19.ポリエステルアミド樹脂100重量部に対し、滑
剤0.01〜30重量部をさらに含有せしめてなる上記
1〜18のいずれか記載のポリエステルアミド樹脂組成
物、 20.ポリエステルアミド樹脂100重量部に対し、エ
ポキシ化合物0.01〜30重量部をさらに含有せしめ
てなる上記1〜19のいずれか記載のポリエステルアミ
ド樹脂組成物、 21.ポリエステルアミド樹脂100重量部に対し、ガ
ラス転移温度が20℃以下のエラストマー以外の熱可塑
性樹脂0.1〜1000重量部をさらに含有せしめてな
る上記1〜20のいずれか記載のポリエステルアミド樹
脂組成物、 22.上記1〜21のいずれか記載のポリエステルアミ
ド樹脂組成物を成形してなる成形品である。
【0007】
【発明の実施の形態】以下本発明のポリエステルアミド
樹脂組成物について具体的に説明する。本発明のポリエ
ステルアミド樹脂は上記のごとく一般式(1)で表され
る繰り返し単位からなる。
【0008】
【化7】 (R1、R2、R3は、二価の置換または非置換の脂肪族
基、脂環族基、芳香族基を表す。) 一般式(1)の構造中、R1、R2、R3は2価の置換ま
たは非置換の脂肪族基、脂環族基、芳香族基を表し、同
一であっても、相異なっていてもよい。
【0009】また上記一般式(1)で表されるエステル
アミド共重合体の中で、R1、R2、R3が下記一般式
(2)の構造から選ばれる一種または二種以上の基を有
するものが好ましい。
【0010】
【化8】 (ただし式中lは2以上の整数を表し、Rは水素、ハロ
ゲンあるいは1価の有機残基を表す。またQは直接結
合、O、S、SO2、C(CH32、CH2、CHPhを
表し、Phはフェニル基を表す。) 一般式(2)の構造中、lは2以上の整数を表すが、な
かでも2〜6が好ましく、特に2、4、6が好ましく、
さらに好ましくは2、6である。またRは水素、ハロゲ
ンあるいは1価の有機残基を表す。
【0011】ここで一価の有機残基としては、具体的に
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル
基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチ
ル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル
基、ネオペンチル基、フェニル基、キシリル基、クメニ
ル基、ナフチル基などが挙げられるが、メチル基、エチ
ル基、フェニル基が好ましく、とりわけメチル基、フェ
ニル基が好ましい。
【0012】また一般式(2)の構造中、Qは直接結
合、O、S、SO2、C(CH32、CH2、CHPhを
表し、Phはフェニル基を表す。
【0013】また上記一般式(1)で表されるポリエス
テルアミド共重合体の中で、特に一般式(3)で表させ
るものが、機械特性、結晶性、耐熱性および成形加工性
の面から特に好ましい。
【0014】
【化9】 (ただし式中m、nは2以上の整数を表し、Rは水素ま
たは炭素数1〜5のアルキル基を表す。) 上記一般式(3)の構造中、mは2以上の整数を表す
が、なかでも2〜6が好ましく、特に2、4、6が好ま
しく、さらに好ましくは6である。またnは2以上の整
数を表すが、なかでも2〜6が好ましく、特に2、4、
6が好ましく、さらに好ましくは2である。
【0015】また本発明のポリエステルアミド樹脂のG
PC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によ
り測定し、ポリメタクリル酸メチルで換算した数平均分
子量は、得られる樹脂組成物の機械特性の面から1万以
上であることが好ましく、特に好ましくは1万5千以
上、さらに好ましくは2万以上である。
【0016】また本発明のポリエステルアミド樹脂の5
重量%減量する時の温度(5%重量減量温度)は370
℃以上であり、好ましくは380℃以上、さらに好まし
くは390℃以上である。
【0017】ここで5%重量減量温度は、サンプル量1
0mgで、TGA(熱重量分析計)を用い、窒素雰囲気
下100℃〜850℃まで20℃/分で昇温し、重量減
量が5%に到達した時の温度を表す。
【0018】この様なポリエステルアミド共重合体は以
下に示す方法により製造することができる。すなわち、
下記一般式(4)で表されるエステルアミドモノマーと
一般式(5)で表されるグリコールを、触媒存在下、1
50〜350℃の重合温度で加熱後、さらに減圧度0.
01〜100mmHg、150℃〜350℃の重合温度
で加熱することにより製造することができる。
【0019】
【化10】 (R4、R5、R7は、二価の置換または非置換の脂肪族
基、脂環族基、芳香族基を表し、R6は水素または炭素
数1〜5のアルキル基を表す。) 本発明で使用されるエステルアミドモノマーおよびグリ
コールは前記一般式(4)および一般式(5)で表され
るものである。
【0020】前記一般式(4)および(5)の構造中、
4、R5、R7は2価の置換または非置換の脂肪族基、
脂環族基、芳香族基を表し、同一であっても、相異なっ
ていてもよい。またR6は水素または炭素数1〜5のア
ルキル基を表す。
【0021】ここで炭素数1〜5のアルキル基として
は、具体的にメチル基、エチル基、n−プロピル基、イ
ソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、te
rt−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3
−ペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられるが、メ
チル基、エチル基が好ましく、とりわけメチル基が好ま
しい。
【0022】また上記一般式(4)で表されるエステル
アミドモノマーおよび前記一般式(5)で表されるグリ
コールの中で、R4、R5、R7が下記一般式(2)の構
造から選ばれる一種または二種以上の基を有するものが
好ましく使用することができる。
【0023】
【化11】 (ただし式中lは2以上の整数を表し、Rは水素、ハロ
ゲンあるいは1価の有機残基を表す。またQは直接結
合、O、S、SO2、C(CH32、CH2、CHPhを
表し、Phはフェニル基を表す。) 上記一般式(2)の構造中、lは2以上の整数を表す
が、なかでも2〜6が好ましく、特に2、4、6が好ま
しく、さらに好ましくは2、6である。またRは水素、
ハロゲンあるいは1価の有機残基を表す。
【0024】ここで一価の有機残基としては、具体的に
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル
基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチ
ル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル
基、ネオペンチル基、フェニル基、キシリル基、クメニ
ル基、ナフチル基などが挙げられるが、メチル基、エチ
ル基、フェニル基が好ましく、とりわけメチル基、フェ
ニル基が好ましい。
【0025】また一般式(2)中、Qは直接結合、O、
S、SO2、C(CH32、CH2、CHPhを表し、P
hはフェニル基を表す。
【0026】また前記一般式(4)で表されるエステル
アミドモノマーの中で、特に一般式(6)で表させるも
のが、得られるポリエステルアミド共重合体の機械特
性、結晶性、耐熱性および成形加工性の面から好まし
い。
【0027】
【化12】 (mは2以上の整数を表し、R6は水素または炭素数1
〜5のアルキル基を表す。) 一般式(6)の構造中、mは2以上の整数を表すが、な
かでも2〜6であることが好ましく、特に4または6が
好ましく、さらに好ましくは6である。またR6は水素
または炭素数1〜5のアルキル基を表す。ここで炭素数
1〜5のアルキル基の具体例としてはメチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、
sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル
基、2−ペンチル基、3−ペンチル基、ネオペンチル基
などが挙げられるが、水素、メチル基、エチル基が好ま
しく、とりわけメチル、水素が好ましい。
【0028】また前記一般式(5)で表されるグリコー
ルの中で、特に一般式(7)で表されるものが、得られ
るエステルアミド共重合体の機械特性、結晶性、耐熱
性、成形加工性の面から好ましい。
【0029】
【化13】 前記一般式(7)の構造中、nは2以上の整数を表す
が、なかでも2〜6が好ましく、特に2、4、6が好ま
しく、さらに好ましくは2である。
【0030】また本発明において、エステルアミドモノ
マーに対するグリコールのモル比は、得られるポリマー
の分子量、ポリマーの熱安定性および結晶性の面から通
常、1倍モル以上20倍モル以下、好ましくは1倍モル
以上15倍モル以下、さらに好ましくは1倍モル以上1
0倍モル以下、特に好ましくは2倍モル以上5倍モル以
下である。
【0031】本発明においてポリエステルアミド共重合
体を重合する際には、まず前記一般式(4)で表される
エステルアミドモノマーと前記一般式(5)で表される
グリコールを、触媒存在下、150℃〜350℃の重合
温度で加熱することが好ましい。
【0032】この段階における重合時間は0時間以上1
0時間以下であり、好ましくは0.5時間以上から5時
間以下、さらに好ましくは1時間以上4時間以下であ
る。
【0033】さらに本発明では、150℃〜350℃の
重合温度で加熱後、さらに減圧度0.01〜100mm
Hg、150℃〜350℃の重合温度で加熱することが
好ましい。
【0034】この時の減圧度は得られるポリマーの分子
量の点から通常0.01mmHg以上100mmHg以
下であり、好ましくは0.1mmHg以上50mmHg
以下、さらに好ましくは0.1mmHg以上10mmH
g以下である。
【0035】この段階における重合温度は150℃以上
350℃以下が好ましく、さらに好ましくは200℃以
上300℃以下である。
【0036】また本発明のポリエステルアミド共重合体
の製造において使用される重合触媒としては、通常ポリ
エステルの重合触媒として公知のものを使用することが
できるが、例えばモノブチルヒドロキシチンオキシド、
チタンテトラブトキシド、フッ化セシウム、フッ化アン
チモン、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸マ
ンガン、酢酸コバルト、酢酸カリウム、酢酸リチウムか
ら選ばれる1種または2種以上の混合物などを使用する
ことができるが、好ましくはモノブチルヒドロキシチン
オキシド、チタンテトラブトキシド、三酸化アンチモ
ン、五酸化アンチモン、酢酸マンガンから選ばれる1種
または2種以上の混合物、さらに好ましくはチタンテト
ラブトキシド、三酸化アンチモン、酢酸マンガンから選
ばれる1種または2種以上の混合物である。
【0037】重合触媒の使用量は特に制限はないが、通
常エステルアミドモノマーとグリコールの総重量に対す
る重合触媒の重量%は0.001〜1.0重量%が好ま
しく、さらに好ましくは0.01〜0.5重量%であ
る。
【0038】本発明で使用される重合触媒は、そのまま
使用してもよいし、あるいは重合において使用するグリ
コールで希釈した形で使用してもよい。
【0039】また重合時間は触媒量、反応温度および減
圧度などにより著しく異なる。通常は0.1〜20時
間、好ましくは0.2〜10時間、さらに好ましくは
0.5〜8時間である。
【0040】このようにして得られたポリエステルアミ
ド共重合体は、このまま重合装置から吐出してそのまま
使用してもよいし、吐出後、溶媒で洗浄あるいは再沈殿
精製してから使用してもよい。あるいは重合により得ら
れたポリエステルアミド共重合体を減圧下、ポリエステ
ルアミド共重合体のガラス転移温度以上、融点以下の温
度で固相重合することもできる。
【0041】続いて本発明の前記一般式(4)で表され
るエステルアミドモノマーの製造方法について説明す
る。
【0042】前記一般式(4)で表されるエステルアミ
ドモノマーは一般式(8)で表されるジエステル化合物
および一般式(9)で表されるジアミン化合物より製造
することができる。
【0043】
【化14】 (R4、R5は、二価の置換または非置換の脂肪族基、脂
環族基、芳香族基を表し、R6は水素または炭素数1〜
5のアルキル基を表す。) すなわち本発明において、前記一般式(4)で表される
エステルアミドモノマーは前記式(8)で表されるジエ
ステル化合物と前記一般式(9)で表されるジアミン化
合物を有機溶媒中、あるいは有機溶媒を用いずに加熱す
ることによりエステルアミドモノマーを合成することが
できる。
【0044】前記一般式(8)で表されるジエステル化
合物および(9)で表されるジアミン化合物の構造式
中、R4、R5は2価の置換または非置換の脂肪族基、脂
環族基、芳香族基を表し、同一であっても、相異なって
いてもよい。
【0045】またR6は水素または炭素数1〜5のアル
キル基を表す。
【0046】ここで炭素数1〜5のアルキル基として
は、具体的にメチル基、エチル基、n−プロピル基、イ
ソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、te
rt−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3
−ペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられるが、メ
チル基、エチル基が好ましく、とりわけメチル基が好ま
しい。
【0047】また前記一般式(8)で表されるジエステ
ル化合物および一般式(9)で表されるジアミン化合物
の構造中、R4、R5が下記一般式(2)から選ばれる一
種または二種以上の基を有するものが好ましく使用する
ことができる。
【0048】
【化15】 (ただし式中lは2以上の整数を表し、Rは水素、ハロ
ゲンあるいは1価の有機残基を表す。またQは直接結
合、O、S、SO2、C(CH32、CH2、CHPhを
表し、Phはフェニル基を表す。) 一般式(2)中lは2以上の整数を表すが、なかでも2
〜6が好ましく、特に2、4、6が好ましく、さらに好
ましくは2、6である。またRは水素、ハロゲンあるい
は1価の有機残基を表す。
【0049】ここで一価の有機残基としては、具体的に
メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル
基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチ
ル基、n−ペンチル基、2−ペンチル基、3−ペンチル
基、ネオペンチル基、フェニル基、キシリル基、クメニ
ル基、ナフチル基などが挙げられるが、メチル基、エチ
ル基、フェニル基が好ましく、とりわけメチル基、フェ
ニル基が好ましい。
【0050】また一般式(2)中、Qは直接結合、O、
S、SO2、C(CH32、CH2、CHPhを表し、P
hはフェニル基を表す。
【0051】さらに上記一般式(8)で表されるジエス
テル化合物と上記一般式(9)で表されるジアミン化合
物の中で、一般式(10)で表されるジエステル化合物
と一般式(11)で表されるジアミン化合物が特に好ま
しく使用することができる。
【0052】
【化16】 (mは2以上の整数を表し、R6は炭素数1〜5のアル
キル基を表す。) 前記一般式(10)中、R6は水素または炭素数1〜5
のアルキル基を表す。ここで炭素数1〜5のアルキル基
の具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、2−ペンチ
ル基、3−ペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ
るが、水素、メチル基、エチル基が好ましく、とりわけ
メチル、水素が好ましい。
【0053】また上記一般式(11)の構造中、mは2
以上の整数を表すが、なかでも2〜6であることが好ま
しく、特に4または6が好ましく、さらに好ましくは6
である。
【0054】また本発明のジエステル化合物に対するジ
アミン化合物のモル比は、得られるエステルアミドモノ
マーの純度の点から0.01倍モル以上0.3倍モル以
下であることが好ましく、さらに好ましくは0.05倍
モル以上0.2倍モル以下である。
【0055】また該反応は反応を促進する点から触媒を
用いることが好ましい。このような触媒としては、通常
公知のものを使用することができる。例えばモノブチル
ヒドロキシチンオキシド、チタンテトラブトキシド、フ
ッ化セシウム、フッ化アンチモン、酸化アンチモン、金
属アルコキシド、アンモニウム塩、酢酸金属塩、金属水
素化物、有機金属化合物、アルカリ無機物から選ばれる
1種または2種以上の混合物などを使用することができ
るが、好ましくはモノブチルヒドロキシチンオキシド、
チタンテトラブトキシド、酸化アンチモン、金属アルコ
キシド、酢酸金属塩、アルカリ無機物から選ばれる1種
または2種以上の混合物、さらに好ましくはチタンテト
ラブトキシド、金属アルコキシド、酢酸金属塩、アルカ
リ無機物から選ばれる1種または2種以上の混合物であ
る。
【0056】金属アルコキシドとしては具体的に、リチ
ウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメト
キシド、リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、
カリウムエトキシド、リチウムブトキシド、ナトリウム
ブトキシド、カリウムブトキシドなどが挙げられるが、
好ましくはリチウムメトキシド、ナトリウムメトキシ
ド、カリウムメトキシド、リチウムエトキシド、ナトリ
ウムエトキシド、カリウムエトキシドであり、さらに好
ましくは、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシ
ド、カリウムメトキシドである。
【0057】アンモニウム塩としては具体的に、塩化ア
ンモニウム、臭化アンモニウム、硫酸アンモニウム、燐
酸アンモニウム、硝酸アンモニウムなどが挙げられる
が、好ましくは塩化アンモニウム、臭化アンモニウム、
硫酸アンモニウム、燐酸アンモニウムであり、さらに好
ましくは塩化アンモニウム、臭化アンモニウムである。
【0058】酢酸金属塩としては具体的に、酢酸リチウ
ム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸コバルト、酢
酸マンガン、酢酸アルミニウムなどが挙げられるが、好
ましくは酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸コバル
ト、酢酸マンガンであり、さらに好ましくは酢酸リチウ
ム、酢酸マンガンである。
【0059】金属水素化物としては具体的に、水素化ナ
トリウム、水素化カリウム、水素化リチウムなどが挙げ
られるが、好ましくは水素化ナトリウム、水素化カリウ
ムであり、さらに好ましくは水素化ナトリウムである。
【0060】有機金属化合物としては、炭素−金属から
なるイオン結合、共有結合を有する化合物であれば特に
制限はないが、具体的には、トリエチルアルミニウム、
トリメチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム
などの有機アルミニウム化合物、n−ブチルリチウム、
t−ブチルリチウムなどのアルキルリチウム、メチルマ
グネシウムクロリド、メチルマグネシウムブロミド、エ
チルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミ
ド、フェニルマグネシウムクロリド、フェニルマグネシ
ウムブロミドなどのグリニア試薬が挙げられる。
【0061】アルカリ無機物としては具体的に、水酸化
リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化
マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウムなど
が挙げられるが、好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナ
トリウム、水酸化カリウムであり、さらに好ましくは水
酸化ナトリウムである。
【0062】反応触媒の使用量は特に制限はないが、通
常ジエステル化合物とジアミン化合物の総重量に対する
触媒の重量%は0.001〜1.0重量%が好ましく、
さらに好ましくは0.01〜0.5重量%である。
【0063】該反応を溶媒中で行う場合、使用する有機
溶媒としては、得られるエステルアミドモノマーの純度
の面からジエステルとジアミン化合物を溶解させ、かつ
エステルアミドモノマーを溶解しない溶媒が好ましい。
このような有機溶媒は、使用するジエステル化合物、ジ
アミン化合物および得られるエステルアミドモノマーの
構造により異なるが、メタノール、エタノール、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、シクロヘキサン、テトラリン、デカリン、石油、灯
油、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジク
ロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、1,2,4−ト
リクロロベンゼン、エチルエーテル、テトラヒドロフラ
ン、ピリジン、ピロリジン、N−メチルピロリドン、
N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド
から選ばれる一種または2種以上の混合物などが好まし
く、さらに好ましくはメタノール、ベンゼン、トルエ
ン、キシレンから選ばれる一種または二種以上の混合物
である。
【0064】また溶媒の使用量は特に制限はないが、反
応の急激な発熱を抑制する点および得られるエステルア
ミドモノマーの純度の点から、ジエステル化合物とジア
ミン化合物の総モル数から換算した1モル当たりの溶媒
量は、通常0.1lL〜100Lであり、好ましくは
0.2L〜50L、さらに好ましくは0.3L〜30L
である。
【0065】また有機溶媒を用いる場合の加熱温度は特
に制限はないが、通常、使用する溶媒の沸点付近で行う
ことができる。
【0066】また使用する薬品の添加順序は特に制限は
ないが、薬品を一括して添加してもよいし、各薬品成分
を逐次添加してもよい。
【0067】反応時間は反応温度および使用する溶媒の
量により著しく異なるが、通常0.1〜50時間、好ま
しくは0.2〜20時間、さらに好ましくは0.5〜1
0時間である。
【0068】また該反応は有機溶媒を用いずに行うこと
ができる。この場合の加熱温度は、得られるエステルア
ミドモノマーの純度の点から、ジエステル化合物の融点
以上、エステルアミドモノマーの融点以下であることが
好ましい。
【0069】またこの場合、使用する薬品の添加順序は
特に制限はないが、薬品を一括して添加してもよいし、
各薬品成分を逐次添加してもよい。
【0070】このようにして得られたエステルアミドモ
ノマーは、反応溶液あるいは反応融液をろ過した回収物
を、溶媒で洗浄して使用することもできるし、あるいは
溶媒で洗浄した後、真空乾燥して使用してもよい。洗浄
に使用する溶媒は、得られるエステルアミドモノマーの
構造により異なるが、例えばメタノール、エタノール、
プロパノール、アセトン、クロロホルム、ベンゼン、ト
ルエン、水などを使用することができる。また反応溶液
からろ過し、溶媒で洗浄したものをさらに適当な溶媒に
より再結晶精製してから使用することができる。再結晶
溶媒としては加熱時にエステルアミドモノマーを溶解
し、冷却によりエステルアミドモノマーを析出させるこ
とができる溶媒であれば特に制限はないが、例えば、メ
タノール、エタノール、プロパノール、ジメチルスルホ
キシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピ
ロリドン、クロロホルム、フェノールから選ばれる一種
または二種以上の混合物などを使用することができ、好
ましくは、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホ
ルムアミド、N−メチルピロリドン、フェノール、エタ
ノールからあ選ばれる一種または二種以上の混合物、さ
らに好ましくはジメチルスルホキシド、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、フェノール、エタノールから選ばれる
一種または二種以上の混合物である。
【0071】以上のようにして得られるポリエステルア
ミド樹脂にさらに充填材を添加することにより、機械特
性、耐熱性をいっそう改善することができる。
【0072】本発明で用いる充填材としては、アラミド
繊維、ポリアミド繊維、ガラス繊維、炭素繊維、アルミ
ナ繊維、炭化ケイ素繊維、ホウ素質繊維、ジルコニア繊
維、チタン酸カリウム繊維、アスベスト繊維、石膏繊
維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミ
ック繊維などの繊維状充填材、グラファイト、ワラステ
ナイト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスマイク
ロバルーン、二硫化モリブデンなどの非繊維状充填材が
挙げられるが、好ましくはガラス繊維、炭素繊維、アル
ミナ繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズでありさらに
好ましくはガラス繊維である。ガラス繊維のなかでもチ
ョップドストランドタイプのガラス繊維が好ましく用い
られる。これらの添加量はポリエステルアミド樹脂10
0重量部に対して1〜200重量部であり、好ましくは
3〜180重量部、さらに好ましくは5〜150重量部
である。
【0073】充填材の粒径および繊維長には特に制限は
ないが、充填材が粒子状物の場合、その粒径は0.01
〜100μm程度であることが好ましく、特に好ましく
は0.1〜30μm、さらに好ましくは0.5〜10μ
mである。
【0074】また充填材が繊維状物の場合、繊維直径は
通常1〜30μmであり、好ましくは2〜25μm、さ
らに好ましくは3〜20μmである。また繊維長は1μ
m〜20mm程度のものが好ましく、特に好ましくは2
μm〜15mm、さらに好ましくは3μm〜10mmで
ある。
【0075】また本発明のポリエステルアミド樹脂組成
物はさらに他の成分を添加することができる。
【0076】本発明のポリエステルアミド樹脂組成物は
さらにガラス転移温度が20℃以下のエラストマーをさ
らに添加すると衝撃特性をさらに改善することができ
る。
【0077】ガラス転移温度が20℃以下のエラストマ
ーであれば特に制限はないが、オレフィン系エラストマ
ー、ナイロン系エラストマー、ポリエステル系エラスト
マー、ポリエステルポリエーテル系エラストマー、ポリ
エステルポリエステル系エラストマー、本発明以外のポ
リエステルポリアミド系エラストマーなどが好ましく、
さらに好ましくはオレフィン系エラストマーである。こ
のようなオレフィン系エラストマーの具体例としては、
エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン
共重合体、エチレン/プロピレン/共役ジエン共重合
体、エチレン/アクリル酸エチル共重合体、エチレン/
メタクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル酸グリシ
ジル共重合体、エチレン/酢酸ビニル/メタクリル酸グ
リシジル共重合体、エチレン/アクリル酸エチル−g−
無水マレイン酸共重合体、エチレン/メタクリル酸メチ
ル−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル
酸エチル−g−マレイミド共重合体、エチレン/アクリ
ル酸エチル−g−N−フェニルマレイミド共重合体、エ
チレン/プロピレン−g−無水マレイン酸共重合体、エ
チレン/ブテン−1−g−無水マレイン酸共重合体、エ
チレン/プロピレン/1,4−ヘキサジエン−g−無水
マレイン酸共重合体、エチレン/プロピレン/ジシクロ
ペンタジエン−g−無水マレイン酸共重合体、エチレン
/プロピレン/2,5−ノルボルナジエン−g−無水マ
レイン酸共重合体、エチレン/プロピレン−g−N−フ
ェニルマレイミド共重合体、スチレン/無水マレイン酸
共重合体、スチレン/ブタジエン/スチレン−g−無水
マレイン酸ブロック共重合体、スチレン/ブタジエン/
スチレンブロック共重合体を水素添加した後、無水マレ
イン酸をグラフト化して得られるスチレン・エチレン/
ブチレン・スチレン−g−無水マレイン酸ブロック共重
合体、スチレン/イソプレン−g−無水マレイン酸ブロ
ック共重合体、エチレン/アクリル酸アイオノマー、エ
チレン/メタクリル酸アイオノマー、エチレン/イタコ
ン酸アイオノマー、などを挙げることができ、これらは
各々単独あるいは混合物の形で用いることができる。
【0078】本発明においてガラス転移温度が20℃以
下のエラストマーの添加量は、ポリエステルアミド樹脂
100重量部に対して、通常、1〜100重量部であ
り、好ましくは3〜90重量部、さらに好ましくは5〜
80重量部である。
【0079】なかでもエラストマーを比較的少量使用す
る場合、例えば50重量部以下、好ましくは30重量部
以下、特に好ましくは20重量部以下の場合には、樹脂
組成物中のエラストマーは、マトリックスとしてのポリ
エステルアミド樹脂中に分散相として存在する。本発明
の組成物によって得られた成形品がより優れた衝撃強度
を保有するには、微分散していることが望ましい。樹脂
組成物中の混合状態を評価する方法の一つとして分散相
の粒径を評価尺度とする方法があるが、本発明のポリエ
ステルアミド樹脂組成物にエラストマーを配合する場
合、エラストマー部分の分散平均は15ミクロン以下が
好ましく、さらに好ましくは10ミクロン以下である。
【0080】また本発明のポリエステルアミド樹脂組成
物はさらに結晶核剤を添加すると機械特性が向上するこ
とができる。
【0081】本発明の結晶核剤としてはポリエステルア
ミド樹脂組成物の結晶化を促進する化合物であれば特に
制限はないが、タルク、マイカ、カオリン、シリカ、ク
レーや、金属酸化物、炭酸塩、硫酸塩、有機カルボン酸
塩、有機スルホン酸塩などが好ましく使用される。
【0082】金属酸化としては、周期律表II〜V族の
金属を中心原子とする金属酸化物を使用することがで
き、具体的には酸化マグネシウム、酸化カリウム、酸化
バリウム、酸化チタン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化亜
鉛、酸化アンチモン、酸化アルミニウムなどが使用する
ことができる。
【0083】また炭酸塩としては、周期律表I、II族
の金属塩からなる炭酸塩を使用することができ、具体的
には、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウ
ム、炭酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸銅などが使用するこ
とができる。
【0084】また硫酸塩としては、周期律表I、II族
の金属塩からなる硫酸塩を使用することができ、具体的
には硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、
硫酸バリウム、硫酸亜鉛、硫酸銅などを使用することが
できる。
【0085】有機カルボン酸塩としては、周期律表I、
II族の金属塩からなるカルボン酸塩を使用することが
できる。具体的にはカプロン酸リチウム、カプロン酸ナ
トリウム、カプロン酸カリウム、カプロン酸カルシウ
ム、カプロン酸マグネシウム、カプロン酸バリウム、カ
プロン酸亜鉛、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸ナ
トリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸カルシ
ウム、ステアリ酸マグネシウム、ステアイン酸バリウ
ム、ステアリン酸亜鉛、モンタン酸リチウム、モンタン
酸ナトリウム、モンタン酸カリウム、モンタン酸カルシ
ウム、モンタン酸マグネシウム、モンタン酸バリウム、
モンタン酸亜鉛、安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウ
ム、安息香酸カリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸
マグネシウム、安息香酸バリウム、安息香酸亜鉛、テレ
フタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタ
ル酸カリウム、テレフタル酸カルシウム、テレフタル酸
マグネシウム、テレフタル酸バリウム、テレフタル酸亜
鉛などを使用することができる。
【0086】また有機スルホン酸塩としては周期律表
I、II族の金属塩からなる有機スルホン酸塩を使用す
ることができる。例えば、ベンゼンスルホン酸リチウ
ム、ベンゼンスルホン酸ナトリウム、ベンゼンスルホン
酸カリウム、p−リチウムスルホ安息香酸、p−ナトリ
ウムスルホ安息香酸、p−カリウムスルホ安息香酸、
2,5−あるいは3,5−ジカルボキシベンゼンスルホ
ン酸ナトリウム、2,5−あるいは3,5−ジカルボキ
シベンゼンスルホン酸リチウム、3,5−ジカルボキシ
ベンゼンスルホン酸カリウムなどを使用することができ
る。
【0087】本発明の結晶核剤の添加量は通常ポリエス
テルアミド樹脂100重量部に対し、通常、0.01〜
20重量部、好ましくは0.02〜15重量部、さらに
好ましくは0.03〜10重量部である。
【0088】また本発明のポリエステルアミド樹脂組成
物はさらに耐熱安定剤を添加することによりポリエステ
ルアミド樹脂組成物の耐熱性および熱安定性が向上する
ことができる。
【0089】本発明の耐熱安定剤としては、ヒンダード
フェノール系酸化防止剤またはジ亜リン酸金属塩から選
ばれる一種または二種以上の混合物が好ましく使用する
ことができる。
【0090】ヒンダードフェノール系酸化防止剤として
は、具体的にはトリエチレングリコール−ビス[3−
(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビ
ス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリチル−テト
ラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチ
レンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジルホスホネート ジエチルエステル、1,
3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ
−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビ
スもしくはトリス(3−t−ブチル−6−メチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロパン、N,N’−ヘキサメチ
レンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−
ヒドロシンナマミド)、N,N’−トリメチレンビス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシ
ンナマミド)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチ
ル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−
メチルフェニルアクリレート、3,9−ビス[2−{3
−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェ
ニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチ
ル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,
5]ウンデカンなどを使用することができる。
【0091】またジ亜リン酸金属塩の具体例としては、
ジ亜リン酸ナトリウム、ジ亜リン酸カリウム、ジ亜リン
酸カルシウム、ジ亜リン酸マンガンなどを使用すること
ができる。
【0092】本発明の耐熱安定剤の添加量はポリエステ
ルアミド樹脂100重量に対して通常、0.01〜30
重量部であり、好ましくは0.02〜25重量部、さら
に好ましくは0.03〜20重量部である。
【0093】また本発明のポリエステルアミド樹脂組成
物にはさらに耐候性安定剤を添加することによりポリエ
ステルアミド樹脂樹脂の耐熱性、熱安定性を向上させる
ことができる。
【0094】本発明の耐候性安定剤としては、ヒンダー
ドアミン系化合物が好ましく使用することができる。
【0095】このようなヒンダードアミン系化合物とし
ては、具体的には、ビス(1,2,2,6,6−ペンタ
メチル−4−ピペリジニル)セバケート、コハク酸ジメ
チル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ
−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、
N,N’−ビス(3−アミドプロピル)エチレンジアミ
ン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,
6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)アミノ]−
6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ポリ
[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミ
ノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)イミ
ノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル
−4−ピペリジル)イミノ)}]、ビス(2,2,6,
6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートなどを
使用することができる。
【0096】このような耐候性安定剤の添加量はポリエ
ステルアミド樹脂100重量部に対して、通常、0.0
1〜30重量部、好ましくは0.02〜25重量部、さ
らに好ましくは0.03〜20重量部である。
【0097】また本発明のポリエステルアミド樹脂組成
物にはさらにエポキシ化合物を添加することによりポリ
エステルアミド樹脂組成物の熱安定性、衝撃特性を向上
させることができる。
【0098】本発明のエポキシ化合物はエポキシ基を分
子中含有するエポキシ化合物であれば特に制限はない
が、モノエポキシ化合物、ジエポキシ化合物、トリエポ
キシ化合物が好ましく、特にジエポキシ化合物を好まし
く使用することができる。このようなジエポキシ化合物
としては、具体的に下記一般式(12)、(13)、
(14)、(15)、(16)、(17)、(18)、
(19)で表されるジエポキシ化合物を使用することが
できる。
【0099】
【化17】 (nは1以上の整数を表す。) このようなエポキシ化合物の添加量はポリエステルアミ
ド樹脂100重量部に対して、通常、0.01〜30重
量部、好ましくは0.02〜25重量部、さらに好まし
くは0.03〜20重量部である。
【0100】また本発明のポリエステルアミド樹脂組成
物に対して、ガラス転移温度が20℃以下のエラストマ
ー以外の熱可塑性樹脂を一種以上添加することができ
る。このような熱可塑性樹脂としては、ガラス転移温度
が20℃以下のエラストマー以外で、加熱すると流動性
を示し、これを利用して成形加工できる合成樹脂であれ
ば特に制限はないが、例えば、ポリプロピレン、ポリエ
チレン、ポリスチレン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポ
リ塩化ビニルなどのオレフィン系重合体およびその共重
合体、ポリエステル、全芳香族ポリエステル、液晶ポリ
エステル、ポリカーボネート、ポリアミド、全芳香族ポ
リアミド、フェノキシ樹脂、ポリケトン、ポリエーテル
エーテルケトン、ポリエーテルケトン、フェノール樹
脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、ポリアリルエ
ーテル、ポリアミドイミド、ポリアリルスルホン、ポリ
スルホン、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド、ポ
リフェニレンスルフィド、ポリアセタールから選ばれる
1種または2種以上の混合物などが挙げられる。
【0101】このような熱可塑性樹脂の添加量は通常ポ
リエステルアミド樹脂100重量部に対して0.1〜1
000重量部であり、好ましくは1〜800重量部、さ
らに好ましくは10〜500重量部である。
【0102】また本発明のポリエステルアミド樹脂組成
物に対して本発明の目的を損なわない範囲で熱安定剤、
ベンゾフェノン系などの紫外線吸収剤、アミン系などの
帯電防止剤、脂肪族アルコールのエステル、アミドなど
の滑剤、ブロム系またはリン系難燃剤、離型剤、滑剤、
多価アルコールのエーテルなどの改質剤および染料・顔
料を含む着色剤、イソシアネート系などのカップリング
剤などの通常の添加剤を1種以上添加することができ
る。
【0103】このような化合物の添加量は通常ポリエス
テルアミド樹脂100重量部に対して、通常0.01〜
30重量部であり、好ましくは0.02〜25重量部、
さらに好ましくは0.03〜20重量部である。
【0104】本発明の樹脂組成物は通常公知の方法で製
造される。例えば、ポリエステルアミド樹脂、充填材お
よびその他の必要な添加剤をエクストルーダーで溶融混
合する方法、あるいは粒子状物同士を均一に機械的に混
合した後、射出成形機で混合と同時に成形する方法など
が挙げられる。
【0105】また本発明のポリエステルアミド樹脂組成
物は熱安定性、耐熱性、機械特性に優れ、また溶融成形
可能であるため押出成形、射出成形、プレス成形などが
可能である。したがってフィルム、管、ロッド及び繊維
や希望する任意の形状と大きさを持った成形品に成形
し、使用することができる。
【0106】
【実施例】以下実施例により本発明の効果を更に詳細に
説明する。ただし本発明はこれらの例になんら限定され
るものではない。
【0107】実施例および比較例で述べられている各測
定項目は以下の方法に従った。
【0108】以下実施例により本発明の効果を更に詳細
に説明する。ここで部とはすべて重量部をあらわす。各
特性の測定方法は以下の通りである。
【0109】(1)数平均分子量(Mn) 検出器にWATERS社示差屈折計WATERS410
を用い、MODEL510高速液体クロマトグラフィー
を用いて測定した。測定条件は、ヘキサフロロイソプロ
パノールを溶離液とし、カラム温度25℃、試料濃度1
〜2mg/mlの溶液を0.1ml注入した。カラムは
WATERS社のポリスチレン多孔性膨潤ゲルが充填さ
れたウルトラスタイラジェルリニアー1本とウルトラス
タイラジェル500A2本を直列に接続し、溶離液0.
5ml/min、カラム圧力500psiとした。ポリ
マー分子量は、標準ポリメタクリル酸メチルによる校正
曲線と対比して換算した。
【0110】(2)融点測定 PERKIN−ELMER DSC−7を用い、窒素雰
囲気下、サンプル量10mg、−100℃から20℃/
minの昇温条件で測定した際に観察されるピークのト
ップをポリマーの融点とした。
【0111】(3)熱分解温度(Td5%(5%重量減
量温度)およびTd(熱分解開始温度)) ポリエステルアミド樹脂の熱安定性の評価はセイコー電
子社TG/TDAを用い、サンプル量10mg、測定温
度領域100〜850℃、昇温速度20℃/分、窒素雰
囲気下で測定し、得られた重量減量曲線より、重量が5
%減量した温度をTd5%とし、ポリエステルアミド樹
脂の熱安定性の指標とした。
【0112】一方、ポリエステルアミド樹脂組成物の熱
安定性の指標として、熱分解開始温度(Td)を測定し
た。セイコー電子社TG/TDAを用い、サンプル量1
0mg、100℃〜880℃まで20℃/minで昇温
し、重量減量が開始する温度をTd(熱分解開始温度)
とした。
【0113】(4)本発明で使用するポリエステルアミ
ド樹脂の原料であるエステルアミドモノマーは以下の方
法で製造した。
【0114】参考例1 エステルアミドモノマー(A−
1)の製造 環流管と温度計を取り付けた三口フラスコにジメチルテ
レフタレート222g(1.2mol)と0.1倍モル
のヘキサメチレンジアミン14g(0.12mol)を
1Lのトルエン溶液とし、環流下6時間反応させた。反
応の進行に伴い反応物が析出した。反応後、反応溶液を
熱ろ過し、沈殿物を回収した。得られた沈殿物をDMF
より再結晶精製した。収率:ヘキサメチレンジアミンに
対し、98%。DSCにより測定した融点:238℃。
【0115】1 H−NMRスペクトル、7.6ppm
(4H:ダブレット、芳香族プロトン)、8.0ppm
(4H:ダブレット、芳香族プロトン)、6.6ppm
(2H:ブロード、NH)、3.9ppm(6H:シン
グレット、メトキシプロトン)、3.2〜3.6ppm
(4H:ブロード、−CH2 NH−)、1.2〜1.
8ppm(8H:ブロード、メチレン) IRスペクトル3200〜3600cm-1(NH伸
縮)、2800〜3000cm-1(C−H伸縮)、17
20cm-1(C−O伸縮)、1640cm-1(CO伸
縮、NH変角)、1440cm-1(C−N伸縮)。
【0116】以上の1 H−NMRスペクトルおよびI
Rスペクトルより下記一般式(20)で表されるエステ
ルアミドモノマー(A−1)が得られたことがわかる。
【0117】
【化18】 参考例2 エステルアミドモノマー(A−2)の製造 環流管と温度計を取り付けた三口フラスコにジメチルテ
レフタレート222g(1.2mol)と0.1倍モル
のヘキサメチレンジアミン14g(0.12mol)を
150℃で融解させ6時間反応させた。反応の進行に伴
い反応物が析出した。反応後、反応融液を熱ろ過し、沈
殿物を回収した。得られた沈殿物をDMFより再結晶精
製した。収率:ヘキサメチレンジアミンに対し、90
%。DSCにより測定した融点:238℃。
【0118】1 H−NMRスペクトル、7.6ppm
(4H:ダブレット、芳香族プロトン)、8.0ppm
(4H:ダブレット、芳香族プロトン)、6.6ppm
(2H:ブロード、NH)、3.9ppm(6H:シン
グレット、メトキシプロトン)、3.2〜3.6ppm
(4H:ブロード、−CH2 NH−)、1.2〜1.
8ppm(8H:ブロード、メチレン) IRスペクトル3200〜3600cm-1(NH伸
縮)、2800〜3000cm-1(C−H伸縮)、17
20cm-1(C−O伸縮)、1640cm-1(CO伸
縮、NH変角)、1440cm-1(C−N伸縮)。
【0119】以上の1 H−NMRスペクトルおよびI
Rスペクトルより上記一般式(20)で表されるエステ
ルアミドモノマー(A−2)が得られたことがわかる。
【0120】(5)ポリエステルアミド樹脂の合成 参考例1、2の方法により製造したエステルアミドモノ
マーを用い、ポリエステル樹脂の合成を行った。
【0121】参考例3 ポリエステルアミド樹脂(PE
A1−6,6:サンプル番号1、m=6、n=6のポリ
エステルアミドを表す)の合成 参考例1で合成したエステルアミドモノマー(A−1)
を用い、エステルアミドモノマー(300g:681m
mol)とグリコール成分としてヘキサメチレングリコ
ール(320g:2.73mol)を重縮合用試験管に
秤量し、触媒として6mmolのテトラ(n−ブチル)
チタネートを添加し、常圧、窒素雰囲気下、260℃で
30分撹拌し、その後、1時間かけて減圧度を0.3m
mHgにした。さらに1時間かけて280℃に昇温し
た。3時間後、ポリマーを試験管から取り出し、水中で
洗浄し、減圧乾燥し、下記一般式(21)で表されるポ
リエステルアミド共重合体(PEA1−6,6)を得
た。
【0122】を得た。
【0123】
【化19】 同様の方法によりエステルアミドモノマー(A−2)を
用い、ポリエステルアミド共重合体(PEA2−6,
6)を合成した。
【0124】ポリエステルアミド樹脂の数平均分子量
(Mn)、融点およびTd(5%) PEA1−6,6:Mn=15000、融点=245
℃、Td(5%)=394℃ PEA2−6,6:Mn=14500、融点=254
℃、Td(5%)=395℃。
【0125】参考例4 ポリエステルアミド樹脂(PE
A−6,2:m=6、n=2)の合成 参考例4では参考例1で合成したエステルアミドモノマ
ー(A−1)を用い、エステルアミドモノマー(300
g:681mmol)とグリコール成分としてエチレン
グリコール(100g:1.6mol)を重縮合試験管
に秤量し、触媒として2mmolの酢酸マンガンを添加
し、常圧、窒素雰囲気下、260℃で1時間撹拌した。
その後、4mmolの三酸化アンチモンを添加し、1時間撹
拌した後、1時間かけて減圧度を0.3mmHgにし
た。さらに1時間かけて280℃に昇温した。2時間
後、ポリマーを試験管から取り出し、水中で洗浄し、減
圧乾燥し下記一般式(22)で表されるポリエステルア
ミド共重合体を得た。
【0126】
【化20】 ポリエステルアミド樹脂のMn、融点およびTd(5
%) PEA−6,2:Mn=50000、融点=265℃、
Td(5%)=393℃。
【0127】参考例5 ポリエステルアミド樹脂(PE
A−6,4:m=6、n=4) 参考例2で合成したエステルアミドモノマー(A−2)
を用い、エステルアミドモノマー(300g:681m
mol)とグリコール成分として1,4−ブタンジオー
ル(180g:2.0mol)を重縮合試験管に秤量
し、触媒として4mmolのテトラ(n−ブチル)チタ
ネートを添加し、常圧、窒素雰囲気下、260℃で1時
間撹拌し、その後、1時間かけて減圧度を0.3mmH
gにした。さらに1時間かけて290℃に昇温した。2
時間後、ポリマーを試験管から取り出し、水中で洗浄
し、減圧乾燥し下記一般式(23)で表されるポリエス
テルアミド共重合体(PEA−6,4)を得た。
【0128】
【化21】 ポリエステルアミド樹脂のMn、融点およびTd(5
%) PEA−6,2:Mn=12000、融点=250℃、
Td(5%)=392℃。
【0129】(6)ポリエステルアミド樹脂組成物の製
造および試験片の作成 本発明のポリエステルアミド樹脂に充填材およびその他
の必要な添加剤を混合し、10mmΦ単軸押出機を用い
てポリエステルアミド樹脂の融点+30℃で溶融混練し
た。得られたペレットを乾燥後、住友ネスタール射出成
形機・プロマット40/25(住友重機械工業(株)
製)に供給し、シリンダー温度:ポリマー融点+30
℃、金型温度80℃の条件でASTMD−638に規定
されている引張試験片および1/8”厚×2・1/2”
長のモールドノッチ衝撃試験片を作製し、引張強度、破
断伸び、荷重1.82MPaにおける荷重たわみ温度、
アイゾット衝撃強度を測定した。
【0130】実施例1〜4、比較例1〜4 実施例1〜4では参考例で合成した各種ポリエステルア
ミド樹脂および充填材としてガラス繊維を混合し、10
mmΦ単軸押出機を用いて溶融混練した。また比較例1
〜3では参考例で合成した各種ポリエステルアミド樹脂
をそのまま射出成形した。配合処方および結果を表1に
示した。尚、ガラス繊維は繊維長3mm、直径13μm
のチョップドストランドを使用した。
【0131】
【表1】 実施例1〜4の結果から、ポリエステルアミド樹脂の構
造(m、nの値によらず)、充填材としてガラス繊維を
混合することによりポリエステルアミド樹脂の引張強
度、衝撃強度、荷重たわみ温度が著しく向上し、充填材
による機械特性向上効果が極めて大きいことがわかる。
一方、比較例1〜4の結果から充填材を混合していない
ポリエステルアミド樹脂は、引張強度、破断伸び、衝撃
強度が極めて低く、また荷重たわみ温度も極めて低くい
ことがわかる。
【0132】実施例5〜10では参考例3で合成したポ
リエステルアミド樹脂(PEA1−6,6)にガラス繊
維および各種添加剤を配合した。一連の結果を表2に示
した。
【0133】実施例5、6 参考例3で合成したポリエステルアミド樹脂(PEA1
−6,6)にガラス繊維およびガラス転移温度が20℃
以下のエラストマーとしてエチレン/プロピレンゴム
(三井石油化学社製変性EPR(MP0610)あるい
はグリシジルメタクリレート変性共重合ポリエチレン
(日本石油化学社製GMA変性共重合ポリエチレン(R
A3050)を配合した。また得られたポリエステルア
ミド樹脂組成物中エラストマの分散粒径を測定するた
め、評価用試験片をウルトラミクロトームを用いて薄片
を切り出し、これを光学顕微鏡(透過光)および透過型
電子顕微鏡を用いて写真撮影し、この顕微鏡写真から無
造作に選んだ個体数100個の平均値を測定した。その
結果ポリエステルアミド樹脂組成物中のエラストマーの
分散粒径は1.6μm以下と極めて微分散していた。
【0134】配合処方および評価結果を表2に示す。実
施例5、6の結果からエラストマーを添加することによ
り、引張強度、荷重たわみ温度を低下させることなく、
破断伸び、衝撃強度、低吸水性を向上させることができ
ることがわかる。
【0135】実施例7 参考例3で合成したポリエステルアミド樹脂(PEA1
−6,6)にガラス繊維および結晶核剤としてタルクを
配合した。配合処方および評価結果を表2に示す。実施
例7の結果からタルクをさらに配合することにより引張
強度、荷重たわみ温度がさらに向上することがわかる。
【0136】実施例8 参考例3で合成したポリエステルアミド樹脂(PEA1
−6,6)にガラス繊維およびエポキシ化合物として下
記一般式(12)で表されるジエポキシ化合物を配合し
た。配合処方および評価結果を表2に示す。実施例8の
結果からジエポキシ化合物をさらに配合することにより
熱安定性が向上することがわかる。
【0137】
【化22】 実施例9 参考例3で合成したポリエステルアミド樹脂(PEA1
−6,6)にガラス繊維、耐熱安定剤としてヒンダード
フェノール系酸化防止剤(トリエチレングリコール−ビ
ス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート](チバガイギー”イルガ
ノックス”245)およびジ亜リン酸金属塩として、ジ
アリン酸ナトリウムを配合した。配合処方および評価結
果を表2に示す。実施例9の結果から耐熱安定剤、ジ亜
リン酸ナトリウムの添加により熱安定性が向上すること
がわかる。
【0138】実施例10 参考例3で合成したポリエステルアミド樹脂(PEA1
−6,6)にガラス繊維、耐熱安定剤としてヒンダード
フェノール系酸化防止剤(トリエチレングリコール−ビ
ス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート](チバガイギー”イルガ
ノックス”245)およびジ亜リン酸金属塩として、ジ
アリン酸ナトリウム、耐候性安定剤としてヒンダードア
ミン系化合物(ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチ
ル−4−ピペリジニル)セバケート(三共”サノール”
LS765))、離型剤かつ滑剤としてステアリン酸ア
ミドを配合した。配合処方および評価結果を表2に示
す。実施例10の結果から耐熱安定剤、耐候性安定剤、
離型剤、滑剤の添加により熱安定性が向上することがわ
かる。
【0139】
【表2】 実施例11〜16では参考例4で合成したポリエステル
アミド樹脂(PEA−6,2)を用いた以外は、実施例
5〜10と同様の配合処方で樹脂組成物を製造した。結
果を表3に示す。
【0140】
【表3】 以上の結果から、参考例4で合成したポリエステルアミ
ド樹脂でも同様に、ガラス繊維、各種安定剤を配合する
ことにより、機械特性、特に引張・衝撃強度、耐熱性を
向上させることができる。
【0141】
【発明の効果】ポリエステルとポリアミドの繰り返し単
位を有するポリエステルアミド樹脂と充填材からなるポ
リエステルアミド樹脂組成物は熱安定性、耐熱性、機械
特性に優れるため、エンジニアリングプラスチックとし
て使用することができコネクター、リレー、スイッチ、
ケース部材、トランス部材、コイルボビン等の電気・電
子機器部品、自動車部品、機械部品、建材に好適な樹脂
組成物として使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08K 3/36 C08K 3/36 5/00 5/00 5/098 5/098 5/15 5/15 5/42 5/42 C08L 21/00 C08L 21/00 23/16 23/16 101/00 101/00

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(1)で表される繰り返し単位から
    なるポリエステルアミド樹脂100重量部および(B)
    充填材1〜200重量部を含有せしめてなるポリエステ
    ルアミド樹脂組成物。 【化1】 (R1、R2、R3は、二価の置換または非置換の脂肪族
    基、脂環族基、芳香族基を表す。)
  2. 【請求項2】一般式(1)中、R1、R2、R3が下記一
    般式(2)から選ばれる一種または二種以上の基である
    ことを特徴とする請求項1または2記載のポリエステル
    アミド樹脂。 【化2】 (ただし式中lは2以上の整数を表し、Rは水素、ハロ
    ゲンあるいは1価の有機残基を表す。またQは直接結
    合、O、S、SO2、C(CH32、CH2、CHPhを
    表し、Phはフェニル基を表す。)
  3. 【請求項3】一般式(1)で表されるポリエステルアミ
    ド樹脂が、一般式(3)で表されることを特徴とする請
    求項1記載のポリエステルアミド樹脂組成物。 【化3】 (上記式中m、nは2以上の整数を表す。)
  4. 【請求項4】エステルアミド樹脂のゲルパーミエーショ
    ンクロマトグラフィーにより測定し、ポリメタクリル酸
    メチルより換算した数平均分子量が1万以上であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエス
    テルアミド樹脂組成物。
  5. 【請求項5】エステルアミド樹脂の5重量%減量温度が
    370℃以上であることを特徴とする請求項1〜4のい
    ずれかに記載のポリエステルアミド樹脂組成物。
  6. 【請求項6】一般式(3)中、mが4または6であるこ
    とを特徴とする請求項3〜5記載のポリエステルアミド
    樹脂組成物。
  7. 【請求項7】一般式(3)中、nが2、4、6のいずれ
    かであることを特徴とする請求項3〜5記載のポリエス
    テルアミド樹脂組成物。
  8. 【請求項8】一般式(3)中、m=6、n=2であるこ
    とを特徴とする請求項3〜5記載のポリエステルアミド
    樹脂組成物。
  9. 【請求項9】一般式(3)中、m=6、n=4であるこ
    とを特徴とする請求項3〜5記載のポリエステルアミド
    樹脂組成物。
  10. 【請求項10】一般式(3)中、m=6、n=2である
    ことを特徴とする請求項3〜5記載のポリエステルアミ
    ド樹脂組成物。
  11. 【請求項11】ポリエステルアミド樹脂100重量部に
    対して、ガラス転移温度が20℃以下のエラストマーを
    さらに配合してなる請求項1〜10のいずれかに記載の
    ポリエステルアミド樹脂組成物。
  12. 【請求項12】ガラス転移温度が20℃以下のエラスト
    マーがオレフィン系エラストマーである請求項11記載
    のポリエステルアミド樹脂組成物。
  13. 【請求項13】ポリエステルアミド樹脂マトリックス相
    中に、ガラス転移温度20℃以下のエラストマーからな
    る分散相が存在し、かかる分散相の平均粒径が20ミク
    ロン以下である請求項11または12記載のポリエステ
    ルアミド樹脂組成物。
  14. 【請求項14】ポリエステルアミド樹脂100重量部に
    対して、結晶核剤0.01〜20重量部をさらに含有せ
    しめてなる請求項1〜13のいずれか記載のポリエステ
    ルアミド樹脂組成物。
  15. 【請求項15】結晶核剤がタルク、マイカ、カオリン、
    シリカ、クレー、無機カルボン酸塩、無機スルホン酸
    塩、金属酸化物、炭酸塩、有機カルボン酸塩、有機スル
    ホン酸塩から選ばれる一種または2種以上の混合物であ
    る請求項14記載のポリエステルアミド樹脂組成物。
  16. 【請求項16】ポリエステルアミド樹脂100重量部に
    対し、耐熱安定剤0.01〜30重量部をさらに含有せ
    しめてなる請求項1〜15のいずれか記載のポリエステ
    ルアミド樹脂組成物。
  17. 【請求項17】ポリエステルアミド樹脂100重量部に
    対し、耐候性安定剤0.01〜30重量部をさらに含有
    せしめてなる請求項1〜16のいずれか記載のポリエス
    テルアミド樹脂組成物。
  18. 【請求項18】ポリエステルアミド樹脂100重量部に
    対し、離型剤0.01〜30重量部をさらに含有せしめ
    てなる請求項1〜17のいずれか記載のポリエステルア
    ミド樹脂組成物。
  19. 【請求項19】ポリエステルアミド樹脂100重量部に
    対し、滑剤0.01〜30重量部をさらに含有せしめて
    なる請求項1〜18のいずれか記載のポリエステルアミ
    ド樹脂組成物。
  20. 【請求項20】ポリエステルアミド樹脂100重量部に
    対し、エポキシ化合物0.01〜30重量部をさらに含
    有せしめてなる請求項1〜19のいずれか記載のポリエ
    ステルアミド樹脂組成物。
  21. 【請求項21】ポリエステルアミド樹脂100重量部に
    対し、ガラス転移温度が20℃以下のエラストマー以外
    の熱可塑性樹脂0.1〜1000重量部をさらに含有せ
    しめてなる請求項1〜20のいずれか記載のポリエステ
    ルアミド樹脂組成物。
  22. 【請求項22】請求項1〜21のいずれか記載のポリエ
    ステルアミド樹脂組成物を成形してなる成形品。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007144963A1 (ja) * 2006-06-13 2007-12-21 Polyplastics Co., Ltd. 熱可塑性樹脂組成物
JP2011063681A (ja) * 2009-09-16 2011-03-31 Toyobo Co Ltd 炭素長繊維強化ポリアミド複合材料
WO2019244922A1 (ja) * 2018-06-20 2019-12-26 株式会社ニックス 成形用組成物及び成形体

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