JPH10287768A - ゴム組成物及びこれを用いたタイヤ - Google Patents

ゴム組成物及びこれを用いたタイヤ

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JPH10287768A
JPH10287768A JP9093977A JP9397797A JPH10287768A JP H10287768 A JPH10287768 A JP H10287768A JP 9093977 A JP9093977 A JP 9093977A JP 9397797 A JP9397797 A JP 9397797A JP H10287768 A JPH10287768 A JP H10287768A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 タイヤトレッドの耐カット性を損なうことな
く、耐発熱性を改善したゴム組成物及びこれを用いたタ
イヤを提供すること。 【解決手段】 天然ゴム及び/又は合成ゴムからなるゴ
ム原料100重量部に対して、軟化点が100℃以下の
ロジンエステルを0.1〜30重量部配合してなること
を特徴とするゴム組成物及びこれを用いたタイヤであ
り、前記ロジンエステルの軟化点が60℃以上85℃以
下であるもの、酸価が20以下であるもの、ロジンエス
テルの原料アルコールがグリセリン及び/又はジエチレ
ングリコールであるもの、ロジンエステルが部分的にマ
レイン化及び/又はフマル化されているものが好まし
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はゴム組成物及びこれ
を用いたタイヤに関するものであり、詳しくはタイヤト
レッド用として、耐カット性を損なうことなく、耐発熱
性を改善したゴム組成物及びこれを用いたタイヤに関す
る。
【0002】
【従来の技術】トラックやバス用タイヤ及び土木建設車
両用タイヤのように、ゴムのボリュームが大きく、かつ
連続的に使用するタイヤにおいては、発熱耐久性の面か
ら、及び燃料効率の面から、走行中のタイヤの発熱温度
を下げる必要がある。このようなタイヤの発熱温度を下
げるための常套手段としては、粒子径の大きいカーボン
ブラックをタイヤトレッドのゴム組成物中に配合させる
方法があるが、この方法では耐カット性を満足させるこ
とができないという問題がある。さらに耐カット性の低
下を防止するために、天然ゴム或いは合成ポリイソプレ
ンゴムにスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)
を適当にブレンドする方法が採られて来たが、SBRの
基本特性として、外部からの力学的刺激に対して、自己
発熱性が高いという性質を有する為、SBRを増量する
につれ耐発熱性も低下してゆくという欠点があり、耐カ
ット性を大幅に低下させることなく耐発熱性を改善する
ためには満足な方法ではなかった。
【0003】また、その他の方法として、カーボンブラ
ックやその他の補強用無機充填剤を多量に配合すること
によって耐カット性を上げることが挙げられるが、この
方法においてもタイヤの温度を高めてしまう欠点があ
り、その結果自動車の燃費を低下させる一つの要因とな
っていた。
【0004】以上のように耐カット性を損なうことな
く、耐発熱性を改善することは極めて難しいとされてき
た。
【0005】一方、これとは別に特公昭48−3861
5号公報にはSBRにシクロペンタジエン樹脂を添加し
て耐カット性を改良する技術が開示されており、さらに
特開昭50−138043号公報にはフェノール樹脂で
変性したシクロペンタジエン系樹脂をジエン系重合体に
配合してタイヤトレッドの耐カット性、耐チップ性及び
耐屈曲亀裂性を改善する技術が開示されている。しかし
ながら、これらの技術も耐カット性を改善するに十分と
は言えず、さらにタイヤの耐発熱性との両立という目的
に対しては満足できるものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、タイヤトレッドの耐カット性を損なうことなく、耐
発熱性を改善したゴム組成物及びこれを用いたタイヤを
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下に示す本
発明のように、特定のロジンエステルをゴム組成物中に
配合することにより達成される。即ち、本発明は、天然
ゴム及び合成ゴムからなる群より選ばれる少なくとも一
種のゴム原料100重量部に対して、軟化点が100℃
以下のロジンエステルを0.1〜30重量部配合してな
ることを特徴とするゴム組成物及びこれを用いたタイヤ
である。
【0008】また本発明のゴム組成物中のロジンエステ
ルの軟化点は60℃以上85℃以下であることが好まし
く、酸価は20以下であることが好ましい。
【0009】また本発明のゴム組成物中のロジンエステ
ルの原料アルコールがグリセリン及びジエチレングリコ
ールからなる群より選ばれる少なくとも一種であること
が好ましい。
【0010】さらに本発明のゴム組成物中のロジンエス
テルが部分的にマレイン化及び/又はフマル化されてい
ることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態を挙げて
本発明を詳細に説明する。
【0012】本発明に用いられるゴム原料は、天然ゴム
及び合成ゴムからなる群より選ばれる少なくとも一種で
ある。即ち、天然ゴム(NR)及び多くの合成ゴムの中
から、単独で或いは二種以上をブレンドして用いること
ができる。
【0013】合成ゴムとしては、例えば合成ポリイソプ
ロピレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、
スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム(II
R)等を挙げることができる。
【0014】本発明におけるロジンエステルは、ロジン
とアルコールとのエステル化反応により合成される。
【0015】本発明において用いられるロジンは、アビ
エチン酸、パラストリン酸、ネオアビエチン酸、ピマー
ル酸、イソピマール酸、デヒドロアビエチン酸等の樹脂
酸を主成分とするガムロジン、ウッドロジン、トール油
ロジン等である。また、これらのロジンを不均化するこ
とによって得られる不均化ロジン、及び水素添加するこ
とによって得られる水添ロジンも使用することができ
る。これらのロジンは、市場から容易に入手可能であ
り、例えば、ハートールR−WW、ハートールR−X等
のトール油ロジン(以上ハリマ化成(株)製)や中国産
のガムロジン(X級、WW級等)が挙げられるが、これ
らに限定されるものではない。
【0016】エステル化反応において用いられるアルコ
ールとしては、n−オクチルアルコール、2−エチルヘ
キシルアルコール、デシルアルコール、ラウリルアルコ
ール、ステアリルアルコール等のような1価のアルコー
ル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリ
エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピ
レングリコール、ポリプロピレングリコール、ネオペン
チルグリコール等の2価のアルコール、グリセリン、ト
リメチロールエタン、トリメチロールプロパン等の3価
のアルコール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等
の4価のアルコール、ジペンタエリスリトール、ソルビ
トール等の6価のアルコールが挙げられる。性能と経済
性の観点より、これらの中でも特にグリセリンとジエチ
レングリコールが好適である。
【0017】本発明においては、ロジンとアルコールと
のエステル化反応に先立ち、ロジンを部分的にマレイン
化及び/又はフマル化することができる。マレイン化及
び/又はフマル化することにより、発熱性改良の効果が
大きくなる。ロジンのマレイン化には無水マレイン酸
が、またロジンのフマル化にはフマル酸が用いられる。
その付加率は、ロジンに対して1〜30モル%が適当で
あるが、最終的に得られるエステルの性能を考慮すれば
2〜15モル%が好ましい。
【0018】ロジンへの無水マレイン酸及び/又はフマ
ル酸の付加反応は公知の方法で行うことができる。例え
ば、原料ロジンを加熱溶融し、これに無水マレイン酸及
び/又はフマル酸を添加することにより実施できる。ま
た反応は加圧下、常圧下のいずれで行ってもよい。
【0019】エステル化反応は、公知の方法、即ち不活
性ガスの雰囲気下にロジンとアルコールとを200〜3
00℃に加熱し、生成した水を系外に除去することによ
って行うことができる。ロジンに対するアルコールの過
剰率は任意であるが、一般的には1.0〜2.0が好ま
しい。またエステル化に際し、反応を促進する為に、リ
ン酸、p−トルエンスルホン酸、水酸化リチウム、水酸
化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酢酸カル
シウム等の公知の触媒を用いることができる。また、ロ
ジンエステルの酸化に対する安定性を改善する為に、フ
ェノールスルフィド系オリゴマー等の不均化触媒を反応
に際して用いることができる。さらに、公知の酸化防止
剤、例えばフェノール系酸化防止剤や亜リン酸エステル
系の安定剤を用いることができる。
【0020】本発明におけるロジンエステルは、その軟
化点は100℃以下に規定される。100℃よりも高い
ものを使用した場合には本発明の目的とする所望の効果
を得ることができない。さらに軟化点は60℃以上85
℃以下であることが好ましい。85℃以下であるほうが
上記の所望の効果を得ることが容易であり、また60℃
未満であると樹脂のブロッキング現象等により取り扱い
性の面で若干不利となる。軟化点はロジンに対する無水
マレイン酸及び/又はフマル酸の付加率、アルコールの
種類及び量を選択することによって任意に調整すること
ができる。
【0021】本発明では、上記方法で得られるロジンエ
ステルとして、酸価が20以下であることが好ましい。
酸価が20以下であるほうが上記所望の効果を得ること
が容易だからである。
【0022】本発明に用いられるロジンエステルの配合
量は、ゴム原料100重量部に対して0.1〜30重量
部であり、好ましくは1〜15重量部である。配合量が
0.1重量部未満では本発明の目的とする所望の効果を
得ることができず、一方、30重量部を超えると、その
増量に見合った効果が得られないばかりでなく、加硫ゴ
ムの破壊特性等に悪影響を及ぼし、好ましくない効果を
もたらす。
【0023】本発明のゴム組成物は、補強用充填剤を配
合することができる。本発明において使用できる補強用
充填剤としては、特に限定されないが、通常カーボンブ
ラック、及びシリカ等の補強用無機充填剤から選ばれる
少なくとも一種が用いられる。シリカの配合量として
は、ゴム原料100重量部に対して、15〜85重量部
であることが好ましい。カーボンブラックとしては、例
えばSAF、ISAF、HAF、FEF、GPF等が好
ましい。また、カーボンブラックの配合量としては、ゴ
ム原料100重量部に対して、20〜150重量部であ
ることが好ましい。本発明においては、補強用充填剤と
してシリカが用いられる場合、シランカップリング剤を
使用することが好ましい。
【0024】さらに、本発明のゴム組成物は、上述のロ
ジンエステルや補強用充填剤の他に、ゴム工業界で通常
使用されている配合剤、例えば上記以外の充填剤、軟化
剤、老化防止剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、或いは加
硫剤等を必要に応じて、通常の配合量の範囲内で配合す
ることができる。
【0025】本発明のゴム組成物は、上記配合にて、ロ
ール、インターナルミキサー、バンバリーミキサー等の
混練機を用いて混練りすることにより得ることができ、
成形加工後加硫を行い、タイヤのトレッド部に用いるこ
とにより、耐カット性及び耐発熱性を兼備したタイヤを
製造することができる。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する
が、本発明はこれによって限定されるものではない。
【0027】(耐発熱性の試験方法)加硫ゴムの耐発熱
性はtanδの値を指標とした。tanδは東洋精機社
製粘弾性測定装置を用い測定し、測定条件としては動的
歪み1%、100℃、50Hzとした。得られたtan
δの値の逆数を取り、下記表1の比較例3の値を100
とした指数表示で、その値が大きい程良好になるように
表したものを耐発熱性の評価とした。
【0028】(耐カット性の試験方法)耐カット性は振
り子式衝撃カット試験機にて、任意の高さから鋼鉄製の
刃を打ちつけて傷を付け、その傷の深さを測定すること
により評価した。得られた値の逆数を取り、下記表1の
比較例3の値を100とした指数表示で、その値が大き
い程良好になるように表したものを耐カット性の評価と
した。
【0029】(ロジンエステルA〜Eの製造)実施例に
用いるロジンエステルを以下の方法にて製造した。な
お、用いたアルコール類は全て試薬1級であり、樹脂の
軟化点は環球法で、また色数はガードナー比色計で測定
した。
【0030】ロジンエステルA 温度計、攪拌機、排気管および窒素導入管を付した1リ
ッターのガラス製反応容器にトール油ロジン(ハートー
ルR−WW、ハリマ化成(株)製)を700g仕込み、
窒素気流下でロジンを溶融した。200℃にてグリセリ
ンを78g仕込み、220℃で4時間、次いで270℃
で8時間エステル化反応を行いロジンエステルAを得
た。得られたロジンエステルAは、酸価10.0、軟化
点80℃、色数6であった。
【0031】ロジンエステルB ロジンエステルAの製造と同じ反応装置を用い、まずエ
ステル化に先立ち、中国産ガムロジン(X級)700g
とフマル酸20gとを仕込み、200℃にて2時間、ロ
ジンのフマル化反応を行った。その後、ペンタエリスリ
トール88gを追加添加し、275℃にて12時間エス
テル化反応を行いロジンエステルBを得た。得られたロ
ジンエステルBは、酸価15.0、軟化点120℃、色
数6であった。
【0032】ロジンエステルC ロジンエステルAの製造と同じ反応装置を用い、まずエ
ステル化に先立ち、トール油ロジン(ハートールR−
X、ハリマ化成(株)製)700gと無水マレイン酸1
4gとを仕込み、200℃にて2時間、ロジンのマレイ
ン化反応を行った。その後、グリセリン84gとジエチ
レングリコール21gとを追加添加し、220℃にて4
時間、次いで270℃で10時間エステル化反応を行い
ロジンエステルCを得た。得られたロジンエステルC
は、酸価18.0、軟化点80℃、色数6であった。
【0033】ロジンエステルD ロジンエステルAの製造と同じ反応装置を用い、トール
油ロジン(ハートールR−WW、ハリマ化成(株)製)
を700g、ペンタエリスリトール80g、および不均
化触媒としてETHANOX 323(Ethyl C
orp.)2gを仕込み、280℃で10時間エステル
化反応を行いロジンエステルDを得た。得られたロジン
エステルDは、酸価18.0、軟化点95℃、色数6で
あった。
【0034】ロジンエステルE ロジンエステルAの製造と同じ反応装置を用い、まずエ
ステル化に先立ち、中国産ガムロジン(X級)700g
と無水マレイン酸16gとを仕込み、200℃にて2時
間、ロジンのマレイン化反応を行った。その後、グリセ
リン90gを追加添加し、220℃にて2時間、次いで
270℃で8時間エステル化反応を行いロジンエステル
Eを得た。得られたロジンエステルEは、酸価25.
0、軟化点80℃、色数6であった。
【0035】(実施例1〜10)(比較例1〜5) 下記表1及び表2に示す配合にて、常法によりバンバリ
ーミキサーを用いて、2段階に分けて混練し、実施例1
〜10及び比較例1〜5のゴム組成物を得た。得られた
ゴム組成物を145℃で40分間加硫し、加硫ゴムを得
た。この加硫ゴムについて、上記の耐発熱性及び耐カッ
ト性の試験を行った。結果を下記表1及び表2に示す。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】上記表1及び表2に示すように、本発明の
ゴム組成物は、比較例のゴム組成物に比較して、耐カッ
ト性を損なわずに、耐発熱性が改善されていることがわ
かる。一方、比較例1では、ロジンエステルの配合量が
本発明に規定する量よりも少ない為耐カット性の低下を
招き、比較例2では、ロジンエステルの配合量が本発明
に規定する量よりも多い為耐発熱性の低下を招いてい
る。比較例3及び5では、ロジンエステルを用いていな
い為本発明の効果が得られず、特に比較例5では、耐カ
ット性は向上するが耐発熱性が大幅に低下している。さ
らに、比較例4では、ロジンエステルの軟化点が本発明
に規定する値よりも高い為本発明の効果が得られない。
【0039】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明のゴム
組成物は、原料ゴムに前記特定のロジンエステルを特定
量配合することにより、従来のゴム組成物に比較して、
タイヤのトレッドとして用いた場合に耐カット性を損な
わずに、耐発熱性を著しく向上させることができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C08L 21/00 93:04)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然ゴム及び合成ゴムからなる群より選
    ばれる少なくとも一種のゴム原料100重量部に対し
    て、軟化点が100℃以下のロジンエステルを0.1〜
    30重量部配合してなることを特徴とするゴム組成物。
  2. 【請求項2】 ロジンエステルの軟化点が60℃以上8
    5℃以下であることを特徴とする請求項1に記載のゴム
    組成物。
  3. 【請求項3】 ロジンエステルの酸価が20以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載のゴム組成物。
  4. 【請求項4】 ロジンエステルの原料アルコールがグリ
    セリン及びジエチレングリコールからなる群より選ばれ
    る少なくとも一種であることを特徴とする請求項1に記
    載のゴム組成物。
  5. 【請求項5】 ロジンエステルが部分的にマレイン化及
    びフマル化から選ばれる少なくともいずれか一種の変性
    がなされていることを特徴とする請求項1に記載のゴム
    組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組
    成物をトレッド部に用いたことを特徴とするタイヤ。
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