JPH10286968A - インク吐出口形成のためのマスク板形成方法 - Google Patents

インク吐出口形成のためのマスク板形成方法

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JPH10286968A
JPH10286968A JP9099931A JP9993197A JPH10286968A JP H10286968 A JPH10286968 A JP H10286968A JP 9099931 A JP9099931 A JP 9099931A JP 9993197 A JP9993197 A JP 9993197A JP H10286968 A JPH10286968 A JP H10286968A
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forming
mask
plate
laser
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JP9099931A
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Isao Suzuki
伊左雄 鈴木
Masashi Shimozato
正志 下里
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TEC CORP
Original Assignee
TEC CORP
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レーザ加工により高精度の円形開口を備えた
マスク板を形成することである。 【解決手段】 レーザ発振器と、このレーザ発振器から
出力されたレーザ光を円形に制御するビーム整形素子
と、このビーム整形素子の像を結像するレンズ群とを有
する加工光学系と、レーザ照射角に対して垂直な平面内
で少なくとも一方向に移動及び位置決め可能な移動手段
とを備えた加工装置を設け、主たる成分中に鉄分を含ま
ない合金あるいは非鉄金属板からなる二枚のマスク板素
材を重ね合わせ、重ね合わされた二枚のマスク板素材4
7に対して所定の位置に前記加工装置によりレーザ光を
照射して複数個の円形開口57を形成し、重ね合わせた
二枚のマスク板素材47の内、レーザ照射側の一枚をイ
ンク吐出口形成のためのマスク板60として利用するよ
うにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヘッド本体に高分
子材料からなるノズル板を接着した後にレーザ光照射に
よりノズル板に多数のインク吐出口を形成するようにし
たインクジェットヘッドのインク吐出口形成方法におい
て利用されるインク吐出口形成のためのマスク板形成方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、圧電部材を用いたオンデマンド方
式のインクジェットプリンタにおいて採用されているイ
ンクジェットヘッド1の構造を図6に示す。すなわち、
このインクジェットヘッド1は、少なくとも一方が圧電
部材よりなる下層基板2及び上層基板3とからなる積層
された基板4と天板5を接着又は接合により一体化して
ヘッド本体6を形成した後、このヘッド本体6の端面開
口部にノズル板7を接着した構造になっている。さら
に、詳しく説明すると、基板4には、上層基板3の上面
から下層基板2の内部まで到達するとともに前面が開口
し後部が閉鎖した多数の溝8が形成されており、さら
に、これらの溝8の後部から基板4の上面後端まで延長
して前記溝8内に形成された電極9aに接続された配線
パターン9bが形成されている。この時、基板4に形成
された溝8は、それらの溝8の両側に形成された側壁1
0と天板5とで一つ一つが遮断されてインク流路を兼ね
たインク室11とされ、さらに、これらのインク室11
のすべてに連通するインク供給口として作用する共通イ
ンク供給路12が前記天板5の下面に形成されている。
また、前記ノズル板7には、前記インク室11毎に開口
するインク吐出口13が形成されている。
【0003】しかして、一般に、ノズル板7に形成され
るインク吐出口13の孔径は、約30μmであり、ノズ
ル板7としては、板厚50μm程度の金属板が使用され
る。このようなノズル板7の製造は、通常、電鋳法と呼
ばれるメッキ法が用いられる。このメッキ法により製造
されたノズル板7には、多数のインク吐出口13が形成
されており、ヘッド本体6に接着固定される。この接着
固定時に、ヘッド本体6の溝8とノズル板7のインク吐
出口13との位置を精密に位置決めする必要がある。
【0004】別の手段としては、インク吐出口13が予
め形成されていないノズル板7をヘッド本体6に接着
し、その後に、ノズル板7にレーザ光で孔明をしてイン
ク吐出口13を形成することが行なわれている。この場
合、ノズル板7の材料としては、主に高分子材料が使用
され、レーザ光としては精密なアブレーション加工が可
能なエキシマレーザが使用される。そして、図7に示す
ように、インク吐出口13の形状は、インクの良好な吐
出のために、レーザが照射される入射方向に対して逆テ
ーパであることが必須要件とされている。このような逆
テーパのインク吐出口13を形成する方法としては、反
射対物レンズによる方法や、金属ステンシルマスクをポ
リイミドプレートに密着し、被加工物をビームに対して
傾かせて孔明する方法(特公平6−24874号公報参
照)がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ヘッド本体にノズル板
を接着固定してからインク吐出口をレーザ光により形成
するようにした方法において、形成したインク吐出口が
接着剤により塞がってしまうと云う問題がある。前述の
反射対物レンズによる方法は、インク吐出口を1つずつ
しか形成することができないため、数百個のインク吐出
口を形成するには、時間がかかると云う問題点を有して
いる。また、後者の被加工物をビームに対して傾かせて
孔明する方法は、一括して多数のインク吐出口を形成す
ることができると云う利点を有する。
【0006】そこで、レーザ光を利用して多数のインク
吐出口を一括して形成するインク吐出口形成方法の一例
を図8乃至図12に基づいて説明する。まず、溝8が形
成されたヘッド本体6の端面開口部に、高分子材料、す
なわち、ポリイミドやポリサルフォンよりなる所定厚さ
のノズル板16を接着剤17により接着する。この接着
は、図9に示すように、PETフィルム18の一面に2
液性エポキシ樹脂等よりなる前記接着剤17を6〜7μ
mの厚さにスクリーン印刷等により塗布し、ヘッド本体
6の端面開口部に接着剤17側を接触させてローラ等の
加圧具19で押圧して転写する。ヘッド本体6に転写さ
れた接着剤17の厚さは、3〜3.5 μmとなる。この
ように転写された接着剤17の上にノズル板16を接合
させ、接着剤17が十分に硬化するまで均一な圧力をか
ける治具にセットして接着固定するものである。つい
で、図10に示すように、ノズル板16の表面をアセト
ン等で洗浄してその表面を乾かしてからシアノアクリレ
ート系接着剤(瞬間接着剤)等のマスク接着剤20を滴
下して多数の円形開口21が形成された金属ステンシル
マスクによるマスク板22が接着される。この場合に
も、マスク接着剤20が十分に硬化するまで均一な圧力
をかける治具にセットしておく。
【0007】このようにしてノズル板16が接着固定さ
れたヘッド本体6を図11に示すレーザ装置23により
図12に示すように3ステップで逆テーパを持ったイン
ク吐出口24が形成される。前記レーザ装置23は、X
テーブル25上に直線移動できるように取り付けられた
可動台26が設けられ、この可動台26に円弧運動する
ゴニオステージ27が設けられ、このゴニオステージ2
7に前記インク吐出口24の位置が回転中心となるよう
に前記ヘッド本体6が取り付けられている。ついで、レ
ーザ発振器28が設けられ、このレーザ発振器28から
発生したレーザ光29は、反射鏡30、入射レンズ3
1、カライドスコープ32、結像レンズ33を経て前記
ノズル板16に照射されている。ついで、このレーザ装
置23によるインク吐出口24の形成は、図12に示す
ように、1回目として右上から左下に向けてレーザ光2
9を照射して斜めの孔を形成し、2回目として左上から
右下に向けてレーザ光29を照射して1回目の孔と合成
し、3回目として垂直方向にレーザ光を照射して中心部
分を加工する。このようにして形成されたインク吐出口
24は、上面が円形であり、下面が一方向に長い長孔と
なっているものである。
【0008】このようにしてレーザ光29の照射によ
り、高分子材料よりなるノズル板16と接着剤17、マ
スク接着剤20がアブレレーション(除去)される。レ
ーザ光29の照射範囲は、マスク板22の円形開口21
より大きい範囲にわたるものであるが、ノズル板16に
対しては、マスク板22の円形開口21により照射範囲
が規制される。具体的には、ゴニオステージ27でヘッ
ド本体6を傾けた状態でXテーブル25をX方向に移動
させてレーザ光29の照射を一回行ない、ついで、2回
目としてゴニオステージ27を逆方向に回動させてから
Xテーブル25を移動させ、さらに、3回目としてゴニ
オステージ27を水平にしてXテーブル25を移動させ
ることにより、逆テーパ状のインク吐出口24が形成さ
れる。実際には、ノズル板16上に存在する接着剤1
7、マスク接着剤20の存在により、通常は、さらに数
回のレーザ光29の走査が必要である。
【0009】このようなインク吐出口形成方法におい
て、孔明に当たっては、ノズル板16の表面にマスク板
22を密着させているものであるが、この密着距離精度
を確保することが必須の要件であり、実際には、レーザ
照射時に金属によるマスク板22が加熱され、変形する
ことにより、数μmの間隙がマスク板22とノズル板1
6との間に生じ、これにより、孔形状が楕円になった
り、精度が悪化すると云う問題点がある。すなわち、マ
スク板22とノズル板16との間に隙間が生じた場合の
インク吐出口13の孔径に影響する状態を図13に示
す。ここで、一点鎖線で示したものが、マスク板22と
ノズル板16とが密着してAなる所望の孔径のインク吐
出口13が形成される状態を示しており、実線で示した
ものが、マスク板22とノズル板16との間に隙間sの
浮き上がりが生じてインク吐出口13の孔径がBになっ
てしまった状態を示しているものである。具体的には、
入射角を20度とした時のマスク板22とノズル板16
との間の距離と孔径の増加分との関係は、図14に示す
状態であり、例えば、マスク板22とノズル板16との
間の距離が3μm変化するだけで2μmの孔径変化が生
じる。
【0010】しかして、マスク板22を形成するために
電鋳法を利用する方法がある。この電鋳法によるマスク
板22の製造プロセスを図15に示す。まず、電極34
の表面に孔密度に対応してパターン化されたレジスト3
5を形成し、これをメッキ液36内に浸漬する。これに
より、電極34の表面に金属膜37が成長する。この金
属膜37の厚さは、孔密度の高い部分では薄く、孔密度
の低い部分では厚くなる。そして、メッキ終了後に電極
34及びレジスト35を剥離することにより電鋳法によ
るマスク板38が形成される。このマスク板38は、円
形開口39を備えているものであるが、これらの円形開
口39は略テーパ状をしているものであり、その大径側
には円弧状部40が形成され、小径側にはレジスト35
の形状に応じた段差部41が形成されている。
【0011】しかしながら、このような電鋳法により製
造されたマスク板38を用いると、小径側についた段差
部41によりマスク板38とノズル板16とが密着しな
くなり、このまま加工すると加工したインク吐出口13
が楕円となり、インクの吐出性能に影響がある。また、
大径部には円弧状部40が存在するため、この円弧状部
40でレーザ光が乱反射して予想外の加工がされるおそ
れがある。
【0012】つぎに、レーザ加工で孔明をする場合の問
題点を図16及び図17に基づいて説明する。まず、金
属板42にレンズ43で結像されるレーザ光44を照射
して円形開口45を照射するが、この時に、図17(a)
に示すように、円形開口45の縁部分に溶融金属46が
盛り上がって付着する。そのため、金属板42の面の平
滑度が得られなくなり、ノズル板16に密着しなくな
る。そのために、正確なインク吐出口13を形成するこ
とができなくなる。また、溶融金属46により円形開口
45の真円度は、図17(b)に示すように、きわめて悪
くなる。これによっても、正確なインク吐出口13の形
成ができない。
【0013】本発明は、レーザ光の照射によりインク吐
出口を形成する方法において使用されるマスク板を安価
かつ正確に形成することができるインク吐出口形成のた
めのマスク板形成方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
高分子材料からなるノズル板をインクが供給される溝が
形成されたヘッド本体の端面開口部に接着するノズル板
接着工程と、前記ノズル板の表面に多数の円形開口を有
するマスク板を接着するマスク接着工程と、前記マスク
板の上方の少なくとも2方向以上の入射角でレーザ光を
照射して前記マスク板に設けられた円形開口部分の接着
剤と前記ノズル板の高分子膜を除去する孔明工程と、前
記マスク板を取り外すマスク板取外工程とよりなるイン
クジェットヘッドのインク吐出口形成方法において、レ
ーザ発振器と、このレーザ発振器から出力されたレーザ
光を円形に制御するビーム整形素子と、このビーム整形
素子の像を結像するレンズ群とを有する加工光学系と、
レーザ照射角に対して垂直な平面内で少なくとも一方向
に移動及び位置決め可能な移動手段とを備えた加工装置
を設け、主たる成分中に鉄分を含まない合金あるいは非
鉄金属板からなる二枚のマスク板素材を重ね合わせ、重
ね合わされた二枚のマスク板素材に対して所定の位置に
前記加工装置によりレーザ光を照射して複数個の円形開
口を形成し、重ね合わせた二枚のマスク板素材の内、レ
ーザ照射側の一枚をインク吐出口形成のためのマスク板
として利用するようにしたものである。従って、重ね合
わされた二枚のマスク板素材の接合面には、レーザ光の
照射により発生する溶融金属が存在することがなく、こ
れにより、その接合面は平滑であることから、ノズル板
に接合させたときに密着させることができ、また、接合
面部分の円形開口の真円度の精度も高く、インク吐出口
を高精度で形成することができるものである。
【0015】請求項2記載の発明は、重ね合わされた二
枚のマスク板素材の両側からそれぞれ異なる位置に円形
開口を形成し、これらのマスク板素材を分離してそれぞ
れをマスク板として利用するようにしたものである。従
って、マスク板素材を無駄にすることなく有効に利用す
ることができるものである。
【0016】請求項3記載の発明は、高分子材料からな
るノズル板をインクが供給される溝が形成されたヘッド
本体の端面開口部に接着するノズル板接着工程と、前記
ノズル板の表面に多数の円形開口を有するマスク板を接
着するマスク接着工程と、前記マスク板の上方の少なく
とも2方向以上の入射角でレーザ光を照射して前記マス
ク板に設けられた円形開口部分の接着剤と前記ノズル板
の高分子膜を除去する孔明工程と、前記マスク板を取り
外すマスク板取外工程とよりなるインクジェットヘッド
のインク吐出口形成方法において、レーザ発振器と、こ
のレーザ発振器から出力されたレーザ光を円形に制御す
るビーム整形素子と、このビーム整形素子から出射され
たビームを一方向に偏向させる偏向装置と、偏向された
ビームを偏向方向に拘らず出射光が全て平行になるよう
に前記ビーム整形素子の像を結像するレンズ群とを備え
た加工装置を設け、主たる成分中に鉄分を含まない合金
あるいは非鉄金属板からなる二枚のマスク板素材を重ね
合わせ、重ね合わされた二枚のマスク板素材に対して所
定の位置に前記加工装置によりレーザ光を照射して複数
個の円形開口を形成し、重ね合わせた二枚のマスク板素
材の内、レーザ照射側の一枚をインク吐出口形成のため
のマスク板として利用するようにしたものである。従っ
て、重ね合わされた二枚のマスク板素材の接合面には、
レーザ光の照射により発生する溶融金属が存在すること
がなく、これにより、その接合面は平滑であることか
ら、ノズル板に接合させたときに密着させることがで
き、また、接合面部分の円形開口の真円度の精度も高
く、インク吐出口を高精度で形成することができるもの
である。
【0017】請求項4記載の発明は、重ね合わされた二
枚のマスク板素材の両側からそれぞれ異なる位置に円形
開口を形成し、これらのマスク板素材を分離してそれぞ
れをマスク板として利用するようにしたものである。従
って、マスク板素材を無駄にすることなく有効に利用す
ることができるものである。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の第一の実施の形態を図1
乃至図3に基づいて説明する。まず、主たる成分中に鉄
分を含まない合金あるいは非鉄金属板からなる二枚のマ
スク板素材47が準備され、これらの二枚のマスク板素
材47は互いに重ね合わされる。このマスク板素材47
の材料としては、アルミニュウム、銅、ニッケル等の非
鉄金属材料が用いられる。具体的には、ばね用燐青銅
(C5210P)、ばね用洋白(C7701P)、ニッ
ケル銅合金(NCuP)、ジュラルミン(A2024
P)等である。ばね用燐青銅は、その鉄含有量が0.1
% 以下であり、縦弾性係数が470〜610N/mm2
である。ばね用洋白は、その鉄含有量が0.25% 以
下であり、縦弾性係数が705〜805N/mm2 であ
る。ニッケル銅合金は、その鉄含有量が2.5% 以下で
あり、縦弾性係数が485N/mm2 以上である。ジュ
ラルミンは、その鉄含有量が0.5% 以下であり、縦弾
性係数が440N/mm2 以上である。
【0019】ついで、加工装置48は、図2に示され
る。すなわち、この加工装置48は、加工光学系49と
移動手段50とよりなる。前記加工光学系49は、レー
ザ発振器51と、このレーザ発振器51から出力された
レーザ光52を円形に制御するビーム整形素子53と、
前記レーザ光52を反射して方向を定めるミラー54
と、前記ビーム整形素子53の像を結像するレンズ群5
5とよりなっている。また、前記移動手段50は、二枚
重ねの前記マスク板素材47を保持するxyテーブル5
6よりなるものである。しかして、金属板の加工用レー
ザとしては、ピーク出力が高く、パルス繰り返し周波数
の高いQスイッチYAGレーザが適している。
【0020】このような構成において、二枚重ねのマス
ク板素材47をxyテーブル56で保持してレーザ光5
2の照射を行う。すなわち、マスク板素材47を一方向
に間歇的に移動させながら、その停止中にレーザ光52
を照射して図1(a)に示すように円形開口57を形成す
る。この円形開口57は、加工装置48の特性からその
断面がテーパ状になるが、加工時の熱により溶融した溶
融金属58は、円形開口57の縁部、すなわち、マスク
板素材47のレーザ光照射側の面及び裏面に盛り上が
る。そして、円形開口57の真円度は、レーザ光照射側
では溶融金属58が存在してもその精度は高いが、裏面
側では真円度の精度は低い。
【0021】このようにして、二枚のマスク板素材47
に円形開口57を形成した後に、図1(b)に示すように
両者を分離する。この分離された状態では、二枚のマス
ク板素材47の接合面59は平滑である。そして、図示
の状態の上方のマスク板素材47の上面をバフ研磨して
平滑にし、マスク板60として完成させる。
【0022】しかして、このように形成したマスク板6
0の円形開口57の精度は高いものであり、その状態は
図3に示されている。すなわち、図3において、横軸は
それぞれ異なる円形開口57を配列したものであり、縦
軸は孔径を示しているものである。そして、三角印で表
示したものは、例えば、図17に示したように一枚板に
加工した場合の孔径の分布を示したものであり、四角印
で表示したものは、本実施の形態によるものである。そ
のため、一枚板の場合には、孔径のバラツキが±12μ
mであるのに対し、本実施の形態によるものは、±2.
5μm であり、きわめて高精度である。
【0023】次に、図4に示すものは、第二の実施の形
態であり、加工装置61の構造が前述の第一の実施の形
態とは相違している。すなわち、加工装置61は、レー
ザ発振器62と、このレーザ発振器62から出力された
レーザ光63を円形に制御するビーム整形素子64と、
このビーム整形素子64から出射されたビームを一方向
に偏向させる偏向ミラー65と駆動系66とからなる偏
向装置67と、偏向されたビームを偏向方向に拘らず出
射光が全て平行になるように前記ビーム整形素子64の
像を結像するfθレンズを備えたレンズ群68とよりな
っているものである。従って、加工装置61と二枚重ね
合わされたマスク板素材47との相対位置を変えること
なく偏向装置67の作用により多数の円形開口57を直
線状に配列形成することができるものである。しかし
て、レーザ加工により円形開口57を形成した後に、二
枚のマスク板素材47を分離して一枚のマスク板60を
得るようにした点は、前述の第一の実施の形態と同様で
ある。
【0024】ついで、図5に基づいて第三の実施の形態
を説明する。図1乃至図4について説明した部分と同一
部分は同一符号を用い説明も省略する。本実施の形態
は、前述の第一及び第二の実施の形態のいずれの加工方
法を利用しても良いものであり、二枚重ねのマスク板素
材47の両面から円形開口57の加工を行ったものであ
る。例えば、図5においては、左側の円形開口57は上
方からレーザ照射がなされているものであり、紙面に直
交する方向に多数の円形開口57が所定ピッチで形成さ
れている。また、右側の円形開口57は下方からレーザ
照射がなされているものであり、紙面に直交する方向に
多数の円形開口57が所定ピッチで形成されている。そ
して、図5(b)に示すように、上下のマスク板素材47
を分離してからそれぞれの上面及び下面の溶融金属58
を除去するバフ加工等を行い、図5(c)に示すように二
枚のマスク板60を仕上げる。これにより、それぞれの
マスク板60は、円形開口57の直径の小さい方をノズ
ル板16への接合面59として利用する。図示の状態の
ものでは、図5(c)の上側のマスク板60では、左側の
円形開口57を利用し、下側のマスク板60では、右側
の円形開口57を利用することになる。このように上下
のマスク板素材47を利用することにより、マスク板素
材47の無駄のない状態を得ることができる。
【0025】
【発明の効果】請求項1記載の発明は、高分子材料から
なるノズル板をインクが供給される溝が形成されたヘッ
ド本体の端面開口部に接着するノズル板接着工程と、前
記ノズル板の表面に多数の円形開口を有するマスク板を
接着するマスク接着工程と、前記マスク板の上方の少な
くとも2方向以上の入射角でレーザ光を照射して前記マ
スク板に設けられた円形開口部分の接着剤と前記ノズル
板の高分子膜を除去する孔明工程と、前記マスク板を取
り外すマスク板取外工程とよりなるインクジェットヘッ
ドのインク吐出口形成方法において、レーザ発振器と、
このレーザ発振器から出力されたレーザ光を円形に制御
するビーム整形素子と、このビーム整形素子の像を結像
するレンズ群とを有する加工光学系と、レーザ照射角に
対して垂直な平面内で少なくとも一方向に移動及び位置
決め可能な移動手段とを備えた加工装置を設け、主たる
成分中に鉄分を含まない合金あるいは非鉄金属板からな
る二枚のマスク板素材を重ね合わせ、重ね合わされた二
枚のマスク板素材に対して所定の位置に前記加工装置に
よりレーザ光を照射して複数個の円形開口を形成し、重
ね合わせた二枚のマスク板素材の内、レーザ照射側の一
枚をインク吐出口形成のためのマスク板として利用する
ようにしたので、重ね合わされた二枚のマスク板素材の
接合面には、レーザ光の照射により発生する溶融金属が
存在することがなく、これにより、その接合面は平滑で
あることから、ノズル板に接合させたときに密着させる
ことができ、また、接合面部分の円形開口の真円度の精
度も高く、インク吐出口を高精度で形成することができ
ると云う効果を有する。
【0026】請求項2記載の発明は、重ね合わされた二
枚のマスク板素材の両側からそれぞれ異なる位置に円形
開口を形成し、これらのマスク板素材を分離してそれぞ
れをマスク板として利用するようにしたので、マスク板
素材を無駄にすることなく有効に利用することができる
と云う効果を有する。
【0027】請求項3記載の発明は、高分子材料からな
るノズル板をインクが供給される溝が形成されたヘッド
本体の端面開口部に接着するノズル板接着工程と、前記
ノズル板の表面に多数の円形開口を有するマスク板を接
着するマスク接着工程と、前記マスク板の上方の少なく
とも2方向以上の入射角でレーザ光を照射して前記マス
ク板に設けられた円形開口部分の接着剤と前記ノズル板
の高分子膜を除去する孔明工程と、前記マスク板を取り
外すマスク板取外工程とよりなるインクジェットヘッド
のインク吐出口形成方法において、レーザ発振器と、こ
のレーザ発振器から出力されたレーザ光を円形に制御す
るビーム整形素子と、このビーム整形素子から出射され
たビームを一方向に偏向させる偏向装置と、偏向された
ビームを偏向方向に拘らず出射光が全て平行になるよう
に前記ビーム整形素子の像を結像するレンズ群とを備え
た加工装置を設け、主たる成分中に鉄分を含まない合金
あるいは非鉄金属板からなる二枚のマスク板素材を重ね
合わせ、重ね合わされた二枚のマスク板素材に対して所
定の位置に前記加工装置によりレーザ光を照射して複数
個の円形開口を形成し、重ね合わせた二枚のマスク板素
材の内、レーザ照射側の一枚をインク吐出口形成のため
のマスク板として利用するようにしたので、重ね合わさ
れた二枚のマスク板素材の接合面には、レーザ光の照射
により発生する溶融金属が存在することがなく、これに
より、その接合面は平滑であることから、ノズル板に接
合させたときに密着させることができ、また、接合面部
分の円形開口の真円度の精度も高く、インク吐出口を高
精度で形成することができると云う効果を有する。
【0028】請求項4記載の発明は、重ね合わされた二
枚のマスク板素材の両側からそれぞれ異なる位置に円形
開口を形成し、これらのマスク板素材を分離してそれぞ
れをマスク板として利用するようにしたので、マスク板
素材を無駄にすることなく有効に利用することができる
と云う効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示すもので、(a)
は二枚重ねのマスク板素材に円形開口を形成した状態の
断面図、(b)は加工後に両者を分離した状態の断面図、
(c)はマスク板として完成させた状態の断面図である。
【図2】第一の実施の形態における加工装置の斜視図で
ある。
【図3】一枚の金属板を加工した場合と二枚重ねのマス
ク板素材を加工した場合との円形開口の精度の相違を示
すグラフである。
【図4】第二の実施の形態における加工装置の斜視図で
ある。
【図5】第三の実施の形態を示すもので、(a)は二枚重
ねのマスク板素材に円形開口を二列に形成した状態の断
面図、(b)は加工後に両者を分離した状態の断面図、
(c)はマスク板として完成させた状態の断面図である。
【図6】インクジェットヘッドの一例を示す一部を切り
欠いた斜視図である。
【図7】インク吐出口の断面形状を示す部分断面図であ
る。
【図8】レーザ加工によりインク吐出口を形成するため
の全ての工程を示す工程図である。
【図9】ヘッド本体にノズル板を接着する工程を示す工
程図である。
【図10】ノズル板が接着されたヘッド本体にマスク板
を接着する工程を示す工程図である。
【図11】レーザ装置の全体を示す斜視図である。
【図12】インク吐出口の加工ステップを示す縦断側面
図である。
【図13】ノズル板からマスク板が浮き上がった時の弊
害を示すための部分断面図である。
【図14】ノズル板からマスク板が浮き上がった時の浮
き上がり量と孔径との相対関係を示すグラフである。
【図15】電鋳法によりマスク板を製造するプロセスを
示す説明図である。
【図16】レーザ照射により金属板に円形開口を形成す
る場合の斜視図である。
【図17】レーザ照射により円形開口が形成された状態
を示すもので、(a)はマスク板の断面図、(b)は平面図
である。
【符号の説明】
47 マスク板素材 57 円形開口 60 マスク板

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子材料からなるノズル板をインクが
    供給される溝が形成されたヘッド本体の端面開口部に接
    着するノズル板接着工程と、前記ノズル板の表面に多数
    の円形開口を有するマスク板を接着するマスク接着工程
    と、前記マスク板の上方の少なくとも2方向以上の入射
    角でレーザ光を照射して前記マスク板に設けられた円形
    開口部分の接着剤と前記ノズル板の高分子膜を除去する
    孔明工程と、前記マスク板を取り外すマスク板取外工程
    とよりなるインクジェットヘッドのインク吐出口形成方
    法において、レーザ発振器と、このレーザ発振器から出
    力されたレーザ光を円形に制御するビーム整形素子と、
    このビーム整形素子の像を結像するレンズ群とを有する
    加工光学系と、レーザ照射角に対して垂直な平面内で少
    なくとも一方向に移動及び位置決め可能な移動手段とを
    備えた加工装置を設け、主たる成分中に鉄分を含まない
    合金あるいは非鉄金属板からなる二枚のマスク板素材を
    重ね合わせ、重ね合わされた二枚のマスク板素材に対し
    て所定の位置に前記加工装置によりレーザ光を照射して
    複数個の円形開口を形成し、重ね合わせた二枚のマスク
    板素材の内、レーザ照射側の一枚をインク吐出口形成の
    ためのマスク板として利用するようにしたことを特徴と
    するインク吐出口形成のためのマスク板形成方法。
  2. 【請求項2】 重ね合わされた二枚のマスク板素材の両
    側からそれぞれ異なる位置に円形開口を形成し、これら
    のマスク板素材を分離してそれぞれをマスク板として利
    用するようにしたことを特徴とする請求項1記載のイン
    ク吐出口形成のためのマスク板形成方法。
  3. 【請求項3】 高分子材料からなるノズル板をインクが
    供給される溝が形成されたヘッド本体の端面開口部に接
    着するノズル板接着工程と、前記ノズル板の表面に多数
    の円形開口を有するマスク板を接着するマスク接着工程
    と、前記マスク板の上方の少なくとも2方向以上の入射
    角でレーザ光を照射して前記マスク板に設けられた円形
    開口部分の接着剤と前記ノズル板の高分子膜を除去する
    孔明工程と、前記マスク板を取り外すマスク板取外工程
    とよりなるインクジェットヘッドのインク吐出口形成方
    法において、レーザ発振器と、このレーザ発振器から出
    力されたレーザ光を円形に制御するビーム整形素子と、
    このビーム整形素子から出射されたビームを一方向に偏
    向させる偏向装置と、偏向されたビームを偏向方向に拘
    らず出射光が全て平行になるように前記ビーム整形素子
    の像を結像するレンズ群とを備えた加工装置を設け、主
    たる成分中に鉄分を含まない合金あるいは非鉄金属板か
    らなる二枚のマスク板素材を重ね合わせ、重ね合わされ
    た二枚のマスク板素材に対して所定の位置に前記加工装
    置によりレーザ光を照射して複数個の円形開口を形成
    し、重ね合わせた二枚のマスク板素材の内、レーザ照射
    側の一枚をインク吐出口形成のためのマスク板として利
    用するようにしたことを特徴とするインク吐出口形成の
    ためのマスク板形成方法。
  4. 【請求項4】 重ね合わされた二枚のマスク板素材の両
    側からそれぞれ異なる位置に円形開口を形成し、これら
    のマスク板素材を分離してそれぞれをマスク板として利
    用するようにしたことを特徴とする請求項3記載のイン
    ク吐出口形成のためのマスク板形成方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008004307A1 (fr) * 2006-07-07 2008-01-10 Fujitsu Limited Procédé d'alésage, procédé de production d'un substrat et procédé de fabrication d'un composant électronique
CN115302205A (zh) * 2022-08-23 2022-11-08 上海福讯电子有限公司 Smt阶梯模板制备方法

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WO2008004307A1 (fr) * 2006-07-07 2008-01-10 Fujitsu Limited Procédé d'alésage, procédé de production d'un substrat et procédé de fabrication d'un composant électronique
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CN115302205B (zh) * 2022-08-23 2024-05-14 上海福讯电子有限公司 Smt阶梯模板制备方法

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