JPH10286061A - カルシウム強化酸性濃縮乳飲料及びその製造方法 - Google Patents

カルシウム強化酸性濃縮乳飲料及びその製造方法

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JPH10286061A
JPH10286061A JP9111954A JP11195497A JPH10286061A JP H10286061 A JPH10286061 A JP H10286061A JP 9111954 A JP9111954 A JP 9111954A JP 11195497 A JP11195497 A JP 11195497A JP H10286061 A JPH10286061 A JP H10286061A
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milk
calcium
water
beverage
acidic
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JP9111954A
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Mamoru Tomita
守 冨田
Akinori Hiramatsu
明徳 平松
Kinchiyuu Shiyou
金忠 肖
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Morinaga Milk Industry Co Ltd
Original Assignee
Morinaga Milk Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】カルシウムが強化され、長期間保存しても沈
殿、凝集等が生成せず、風味の良好な酸性濃縮乳飲料及
びその製造法を提供する。 【解決手段】pH3.8未満に調整した酸性乳、アルギ
ン酸プロピレングリコ−ルエステル及び水溶性カルシウ
ムの少なくとも3種の原材料からなり、該酸性乳の乳蛋
白質粒子の平均径が4.0μm以下であることを特徴と
する安定性に優れたカルシウム強化酸性濃縮乳飲料、及
びその製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、pH3.8未満に
調整した酸性乳、アルギン酸プロピレングリコ−ルエス
テル及び水溶性カルシウムの少なくとも3種の原材料か
らなり、該酸性乳の乳蛋白質粒子の平均径が4.0μm
以下であることを特徴とする安定性に優れたカルシウム
強化酸性濃縮乳飲料及びその製造法に関する。
【0002】本明細書において、酸性乳は、獣乳、豆乳
等から調製され、蛋白質を含有する酸性の乳を意味す
る。
【0003】
【従来の技術】カルシウムは、生体内に最も多く存在す
るミネラルであり、骨の形成、血液凝固、神経及び筋肉
の興奮、酵素反応、及び細胞膜の物質輸送等の生体反応
に関与する重要な物質である。
【0004】このようにカルシウムは、生体にとって重
要な成分であるが、日本人成人のカルシウム摂取量は、
依然として1日当たりの所要量を下回り、最近ではカル
シウム不足に起因する骨粗鬆症が社会問題となってお
り、カルシウム供給源として牛乳、乳製品、小魚等の摂
取が推賞されている。
【0005】従来、酸性の乳飲料は、マイルドな風味と
消費者の自然志向から、健康な飲料として清涼飲料製品
において代表的な地位を占めており、前記カルシウム摂
取不足の観点から、カルシウム含有量を増加させたカル
シウム強化酸性乳飲料が待望されていた。
【0006】一方、酸性乳飲料の蛋白質粒子の凝集又は
沈殿を防止して安定化するために、安定剤としてハイメ
トキシルぺクチン、カルボキシメチルセルロ−スナトリ
ウム、アルギン酸プロピレングリコ−ルエステル(以
下、PGAと記載することがある。)等の乳蛋白質安定
剤を使用する技術が開示されている(例えば、特公昭4
5−36143号公報、特公昭59−41709号公
報、特開昭60−66963号公報、特開平3−285
640号公報、特公平7−79615号公報等)。これ
らの安定剤による乳蛋白質安定化のメカニズムは、次の
とおりである。
【0007】例えば、カゼイン粒子は、pH約4.6の
等電点以下ではプラスに荷電しているが、乳蛋白質を含
有する一般的な酸性飲料のpHは、3.0以上、多くは
3.5以上であり、その電荷が弱く凝集する。ハイメト
キシルぺクチン、カルボキシメチルセルロ−スナトリウ
ム、アルギン酸プロピレングリコ−ルエステル等の安定
剤を使用した場合、これらはマイナスに荷電しているた
め、多数の安定剤分子が付着したカゼイン粒子は、全体
としてマイナスに荷電することとなり、カゼイン粒子の
電気的な反発により、分離、沈降、凝集することなく安
定な状態となる。
【0008】しかしながら、プラスに荷電したカルシウ
ムイオンを添加した場合、プラスに荷電したカルシウム
イオンは、カゼイン粒子−安定剤付着物と結合するた
め、カゼイン粒子−安定剤付着物の安定性を損なう結果
となる。そのため、カルシウムを添加した酸性乳飲料に
おいては、著しい沈殿、分離、沈降、凝集等の現象が惹
起される可能性が極めて大きい。
【0009】これらの欠点を改善し、酸性乳飲料にカル
シウム成分を強化する方法として、ハイメトキシルぺク
チンを添加する方法(特開平8−56567号公報)、
及びブロックワイズ型HMペクチンを添加する方法(特
開平8−112058号公報、及び特開平8−1120
59公報)が開示されている。
【0010】しかしながら、前記ぺクチンを使用する従
来の方法において、ぺクチンを使用する場合は、天然物
としての特有の品質の不安定性の問題があり、特殊なグ
レードのぺクチンを必要とするため、需給の不均衡が生
じるという問題があり、このことは最終製品の品質管理
の面で大きな問題となっている。また、ぺクチンを安定
剤として使用した場合、酸性乳飲料製品のpHは、通常
3.8以上が要求され、酸性乳飲料として好まれる更に
低いpHを有する製品の開発が困難となっている。
【0011】一方、アルギン酸プロピレングリコ−ルエ
ステルを安定剤として使用する方法としては、単独で使
用する方法(特開昭60−12930号公報)、ペクチ
ンと併用する方法(特公平1−16130号公報)、シ
ョ糖脂肪酸エステルと併用する方法(特開昭60−66
963号公報)等が開示されているが、いずれも酸性乳
飲料の蛋白質の安定化に関する技術であり、カルシウム
が強化された酸性乳飲料に関する技術は、知られていな
い。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、前記従
来技術に鑑みて、物性的に極めて安定しており、しかも
高濃度のカルシウムの強化が可能な酸性乳飲料、及びそ
の製品を簡便に製造することが可能な新しい製造技術を
確立することを目標として、鋭意研究を重ねた結果、水
溶性カルシウム及びアルギン酸プロピレングリコ−ルエ
ステルを使用することにより、長期保存時においても乳
蛋白質成分の凝集、沈殿が実質的に生じることがない風
味良好なカルシウム強化酸性濃縮乳飲料及びその製造法
を見い出し、本発明を完成した。
【0013】本発明の目的は、カルシウムを強化し、物
性的に極めて安定であり、風味が良好であるカルシウム
強化酸性濃縮乳飲料及びその製造法を提供することであ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決する本発
明の第一の発明は、pH3.8未満に調整した酸性乳、
アルギン酸プロピレングリコ−ルエステル及び水溶性カ
ルシウムの少なくとも3種の原材料からなり、該酸性乳
の乳蛋白質粒子の平均径が4.0μm以下であることを
特徴とする安定性に優れたカルシウム強化酸性濃縮乳飲
料、であり、アルギン酸プロピレングリコ−ルエステル
が、0.1〜1.0%(重量)の割合であること、及び
水溶性カルシウムが、最終製品100g当たり200〜
1000mgの割合であることを望ましい態様としても
いる。
【0015】前記課題を解決する本発明の第二の発明
は、pH3.8未満に調整した酸性乳、所定量のアルギ
ン酸プロピレングリコ−ルエステル及び水溶性カルシウ
ムの少なくとも3種の原材料混合物を均質化し、該酸性
乳の乳蛋白質粒子の平均径を4.0μm以下に調整する
ことを特徴とする安定性に優れたカルシウム強化酸性濃
縮乳飲料の製造法、であり、アルギン酸プロピレングリ
コ−ルエステルが、0.1〜1.0%(重量)の割合で
あること、及び水溶性カルシウムが、最終製品100g
当たり200〜1000mgの割合であることを望まし
い態様としてもいる。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、本発明について詳細に説明
するが、本発明の理解を容易にするため、最初に本発明
の第二の発明から説明する。
【0017】本発明のカルシウム強化酸性濃縮乳飲料
(以下、濃縮飲料と記載することがある。)における必
須の出発原料の一つである酸性乳は、常法により調製さ
れた発酵乳である。
【0018】該酸性乳としては、動物又は植物由来の
乳、具体的には牛乳、山羊乳、羊乳、馬乳等の獣乳、豆
乳等の植物性の乳を例示することができる。獣乳として
は全脂乳、脱脂乳、乳清等を用いることができ、更に粉
乳、濃縮乳から還元した乳等も使用することができる。
これらの乳は、酸性乳調製時において単独又は混合物と
して用いることができる。
【0019】前記原料を用いた酸性乳の製造は、公知の
乳酸菌等の微生物による発酵、有機酸類、無機酸類、果
汁又はこれらの混合物等を乳に添加する方法、又はこれ
らの方法を併用する方法等により実施することができ
る。
【0020】得られた酸性乳のpHの調整は、公知の方
法により行うことができる。具体的には、前記酸性乳に
有機酸類、例えば乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、
グルコン酸、琥珀酸、フマル酸等を添加するか、リン
ゴ、オレンジ、ブドウ、グレープフルーツ、アセロラ、
ストロベリー、パイン、レモン等の果汁を添加するか、
又は無機酸類、例えばリン酸等を添加することにより実
施できる。
【0021】しかしながら、水溶性カルシウムを強化し
た場合、最終製品中に不溶なカルシウム塩の形成を防止
するために、乳酸、グルコン酸、コハク酸、フマル酸、
リンゴ酸等の有機酸を使用するのが望ましい。
【0022】前記酸性乳のpHは、3.8未満、望まし
くはpH3.0〜3.5、に調整される。即ち、pH
3.0未満の酸性乳を前記PGAと混合した場合、PG
Aのカルボキシル基の解離度及びマイナス荷電が顕著に
減少し、カゼイン−PGA複合体間の反発力が弱まり、
不安定化するので望ましくない。またpH3.8を超え
る酸性乳を前記PGAと混合した場合、清涼感が失わ
れ、良好な風味が得られないので望ましくない。
【0023】必須の出発原料の他の一つであるPGA
は、前記酸性乳に作用してカゼイン−PGA複合体を形
成し、乳蛋白質成分を安定化させる作用等を有し、具体
的にはエステル化度80%以上、粘度60cp[0.1
%(重量。以下、特に断りのない限り同じ。)溶液]以
上であることが望ましい。低重合度のものでは、粘度が
低すぎて安定性効果がなくなる。前記PGAの使用量
は、得られる濃縮飲料中の乳蛋白質及び水溶性カルシウ
ムの濃度によって左右されるので、前記カゼイン−PG
A複合体を形成し、乳蛋白質成分を安定化させる作用を
発揮する量であれば特に限定されるものではなく、適宜
選択することができるが、具体的には得られる濃縮飲料
中のPGA濃度が、0.2〜1.0%、特に0.2〜
0.7%の割合が望ましい。0.2%未満の場合、PG
Aによる乳蛋白質の安定化の効果が得られず、1.0%
を超える場合、粘度が高くなり過ぎて最終製品に糊感が
生じ、清涼感が失われるので望ましくない。前記PGA
の混合は、PGAを水に溶解した状態で実施することが
できる。
【0024】更に、必須の出発原料の他の一つである水
溶性カルシウムとしては、水溶性カルシウム塩が望まし
く、水溶性の有機酸塩又は無機酸塩のいずれでも使用す
ることができる。具体的には、乳酸カルシウム、グルコ
ン酸カルシウム、フマル酸カルシウム、コハク酸カルシ
ウム等の有機酸塩、塩化カルシウム等の無機酸塩等を例
示することができる。
【0025】水溶性カルシウムの使用量は、濃縮飲料1
00g当たりカルシウムが200〜1000mg、より
望ましくは400〜800mg、の割合である。水溶性
カルシウムの含有量が100g当たり200mg未満の
場合、濃縮飲料を通常3〜6倍に希釈して飲用するの
で、飲用時のカルシウム濃度が低くなり、目的とするカ
ルシウム強化効果が得られず、100g当たり1000
mgを超える場合、良好な風味が得られない。
【0026】次いで、少なくとも前記3種の原料を混合
する。前記酸性乳の使用量は、得られる濃縮飲料に含ま
れる乳蛋白質の含有量が、0.1〜5.0%、望ましく
は0.5〜2.0%、の割合に調整する。乳蛋白質の含
有量が0.1%未満では、乳特有の風味が得られず、
5.0%を超える場合には、粘調性が増加して清涼感が
欠如した風味となるとともに、乳蛋白質の凝集、沈殿が
生じるので望ましくない。
【0027】酸性乳に、所定量のPGAを水に溶解した
水溶液及び所定量の水溶性カルシウムを添加し、均一に
混合する。具体的には次のとおりである。
【0028】前記水溶性カルシウム成分の混合は、例え
ば、水溶性カルシウム塩を水又は温水(50℃前後)
に、10〜20%の濃度で溶解して添加し、一般食品加
工に用いられる撹拌機により、撹拌混合する。より具体
的には、最初に酸性乳とPGAを混合し、のち水溶性カ
ルシウムと混合する方法、酸性乳に水溶性カルシウムを
混合し、のちPGAを混合する方法、又はPGAに水溶
性カルシウムを混合し、のち酸性乳を混合する方法があ
る。
【0029】次に、前記混合液を均質処理する。最も望
ましくは、まず酸性乳を均質化してPGAと混合する
か、又は酸性乳とPGAとを含む混合液を均質化処理
し、のち水溶性カルシウム成分を混合し、更に均質化処
理を行うとより優れた保存安定性の濃縮飲料を得ること
ができる。
【0030】均質化処理には、例えば、食品加工に一般
的に用いられるホモゲナイザー等の均質化装置を用いる
ことができる。均質化処理条件は、特に限定されるもの
ではないが、例えば、高圧均質機の場合、望ましくは1
00〜300MPaの圧力で行うことができる。
【0031】この均質化処理により、濃縮飲料中の粒子
の平均径が4.0μm以下、望ましくは1.0〜3.0
μm、特に望ましくは1.0〜2.0μm、に調整され
る。前記平均粒子径が4.0μmを超える場合、乳蛋白
質の凝集、沈殿が顕著に生じ、得られる飲料の外観及び
風味を損なう。
【0032】以上の方法により、保存安定性に優れ、乳
蛋白質の凝集、沈殿が実質的に生じることのない風味良
好な濃縮飲料を得ることができる。また、必要に応じて
得られた濃縮飲料を壜に充填等する前に、殺菌処理を行
うこともできる。殺菌処理条件は、一般の酸性加工食品
において行われる80℃以上、達温〜60分間程度で行
うことができる。
【0033】前記酸性乳、PGA及び水溶性カルシウム
の必須の原材料の他に、必要に応じて他の原材料を含有
させることもできる。具体的には、甘味を付与する糖類
等として、例えばショ糖、ブドウ糖、果糖、ガラクトー
ス、乳糖、麦芽糖、各種オリゴ糖等、更に、風味及び外
観を改良するために、果汁、野菜エキス、アスパルテー
ム、ステビア、グリチルリチン、香料、色素、水等を使
用することもできる。
【0034】得られた濃縮飲料は、通常水等により3〜
6倍程度に希釈して飲用することができる。
【0035】前記の方法により得られた濃縮飲料は、p
H3.8未満に調整した酸性乳、0.2〜1.0%の割
合のアルギン酸プロピレングリコ−ルエステル及び最終
製品100g当たり200〜1000mgの割合の水溶
性カルシウムの少なくとも3種の原材料からなり、該酸
性乳の乳蛋白質粒子の平均径が4.0μm以下であり、
乳蛋白質の凝集、沈殿がなく、外観及び風味において優
れている。 次に、試験例を示して本発明を詳記する。
【0036】試験例1 この試験は、水溶性カルシウムの添加量と濃縮飲料の物
性との関係を調べるために行った。
【0037】1)試料の調製 水溶性カルシウムの添加量を、最終製品100g当たり
200、400、800、1000及び1050mgに
変更したことを除き、実施例1と同一の方法により5種
類の試料を調製した。
【0038】2)試験方法 平均粒子径 レーザー解析式粒度分布装置(Malvern Instruments 社
製。型式2600C)により測定した。 遠沈量 試料30mlを50mlの遠沈管に採取し、遠心機(日
立製作所製。Himac−CT−5DL)により120
0Gで10分間遠心し、遠沈管底部の沈殿量(遠沈量)
を測定した。 保存試験 各試料を室温で10か月保存し、凝集、沈殿等の有無を
肉眼で観察し、試験した。
【0039】3)試験結果 この試験の結果は、表1に示すとおりである。表1から
明らかなとおり、最終製品100g当たりの水溶性カル
シウム含量が800mg以下の試料では、平均粒子径が
2.8μm以下、遠沈量は0.20ml以下であり、保
存試験による凝集も認められなかった。これに対して、
最終製品100g当たりの水溶性カルシウム含量が10
50mgの試料では、平均粒子径が4.8μm、遠沈量
は0.55mlであり、保存試験による凝集が認められ
た。
【0040】従って、本発明における最終製品100g
当たりの水溶性カルシウム含量は、200〜1000m
gであり、望ましくは400〜800mgである。尚、
最終製品100g当たりの水溶性カルシウム含量が20
0mg未満の場合は、遠沈量及び保存試験による凝集が
認められないが、カルシウムの量が少なく、カルシウム
強化とはいえないので、望ましくない。
【0041】尚、水溶性カルシウムの種類及び濃縮飲料
の製造法を変更して試験したが、ほぼ同様な結果が得ら
れた。
【0042】
【表1】
【0043】試験例2 この試験は、PGAの添加量と濃縮飲料の物性との関係
を調べるために行った。
【0044】1)試料の調製 PGAの添加量を、0.08、0.1、0.2、0.8
及び1.0%に変更したことを除き、実施例1と同一の
方法により5種類の試料を調製した。
【0045】2)試験方法 試験例1と同一の方法により試験した。
【0046】3)試験結果 この試験の結果は、表2に示すとおりである。表2から
明らかなとおり、PGAの添加量が0.1%未満の試料
では、最終製品の蛋白質平均粒子径が大きく、遠沈量が
多く、保存による明瞭な凝集が認められた。これに対し
てPGAの添加量が0.1〜1.0%の試料では、最終
製品の蛋白質平均粒子径が小さく、遠沈量が少なく、保
存による凝集が一切認められなかった。しかしながら、
PGAの添加量が1.0%の試料では、最終製品の粘度
が、やや増加するので、PGAの望ましい添加量は、
0.2〜0.8%であることが判明した。
【0047】尚、PGAの種類及び及び濃縮飲料の製造
法を変更して試験したが、ほぼ同様な結果が得られた。
【0048】
【表2】
【0049】試験例3 この試験は、PGAのグレードと濃縮飲料の物性との関
係を調べるために行った。
【0050】1)試料の調製 PGAのグレードを、NLS−K、LV、MV及びHV
に変更したことを除き、実施例1と同一の方法により4
種類の試料を調製した。
【0051】2)試験方法 試験例1と同一の方法により試験した。
【0052】また、粘度は、常温で溶解した1%のPG
A溶液をB型粘度計(東京計器社製。型式:VHS−
1)により、20℃に液温を調整して測定した。
【0053】3)試験結果 この試験の結果は、表3に示すとおりである。表3から
明らかなとおり、いずれのグレードのPGAにおいて
も、粘度が60cps以上、平均粒子径が1.8μm以
下、遠沈量が0.175以下、保存試験による凝集は認
められなかった。
【0054】尚、PGAの濃度及び濃縮飲料の製造法を
変更して試験したが、ほぼ同様な結果が得られた。
【0055】
【表3】
【0056】試験例4 この試験は、PGAを安定剤として使用した濃縮飲料の
pHと物性との関係を調べるために行った。
【0057】1)試料の調製 次の水溶性カルシウムを使用したことを除き、実施例1
と同一の方法により、4種類の試料(試料1〜試料4)
を調製した。 試料1:塩化カルシウム溶液137g(得られる濃縮飲
料100gあたりのカルシウム含量400mg) 試料2:塩化カルシウム溶液70g+乳酸カルシウム溶
液140g(同400mg) 試料3:塩化カルシウム溶液40g+乳酸カルシウム溶
液200g(同400mg) 試料4:乳酸カルシウム溶液285g(同400mg) 2)試験方法 試験例1と同一の方法により試験した。尚、試料のpH
は、常法によりpHメーター(HORIBA社製)によ
り測定した。
【0058】3)試験結果 この試験の結果は、表4に示すとおりである。表4から
明らかなとおり、PGAを安定剤として使用した場合、
pH3.0未満の試料1では、平均粒子径が4μmを超
え、遠沈量も多く、保存試験により若干の凝集が認めれ
られたが、pHが3.0以上の試料2〜試料4では、平
均粒子径が4μm以下、遠沈量も0.32mk以下、保
存試験による凝集が全く認めれられなかった。
【0059】この試験結果から、水溶性カルシウムを強
化した濃縮飲料には、PGAが安定剤として顕著な効果
を奏することが判明した。
【0060】
【表4】
【0061】試験例5 この試験は、従来技術と比較するために行った。
【0062】1)試料の調製 比較例と同一の方法により4種類の試料(試料5〜試料
8)を調製した。
【0063】2)試験方法 試験例1と同一の方法により試験した。尚、試料のpH
は、常法によりペーハーメーター(堀場社製)により測
定した。
【0064】3)試験結果 この試験の結果は、表5に示すとおりである。表5から
明らかなとおり、pHが3.8未満の試料5〜試料7に
おいては、平均粒子径が大きく、遠沈量が2.0ml以
上であり、かつ保存試験による明らかな凝集が認めら
れ、商品としての価値は全くなかった。pHが3.8を
超えた試料8においては、平均粒子径が小さくなり、遠
沈量が2.0ml以下となり、かつ保存試験により若干
の凝集が認められたが、前記試験例4の本発明の方法に
より製造した試料と比較すれば、安定性において格段に
劣ることが判明した。
【0065】尚、ペクチンの種類及び濃縮飲料の製造法
を変更して試験したが、ほぼ同様な結果が得られた。
【0066】
【表5】
【0067】比較例 実施例1と同一の方法により調製した乳酸菌発酵乳12
00gに、グラニュウ糖(ホクレン社製)1,200g
及び2%に溶解したハイメトロキシぺクチン(コペンハ
ーゲン社製)700gを添加し、十分撹拌し、のち実施
例1と同一の均質化処理を行った。
【0068】得られた均質化混合液に1500gに、2
0%に溶解した乳酸カルシウム溶液及び塩化カルシウム
溶液を、次の割合で添加した。 試料5:塩化カルシウム溶液137g(得られる濃縮飲
料100gあたりのカルシウム含量400mg) 試料6:塩化カルシウム溶液70g+乳酸カルシウム溶
液140g(同400mg) 試料7:塩化カルシウム溶液40g+乳酸カルシウム溶
液200g(同400mg) 試料8:乳酸カルシウム溶液285g(同400mg) 十分撹拌し、水を添加して全量を2000gに調整し、
実施例1と同一の方法により殺菌し、充填し、濃縮飲料
を調製した。
【0069】
【実施例】次に実施例により、本発明を更に詳細に説明
するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
【0070】実施例1 乳酸菌により脱脂乳(森永乳業社製)を発酵して得たp
H3.1の乳酸菌発酵乳をラボラトリーホモゲナイザー
(三丸機械工業社製。型式:ト3−1C)により、圧力
15MPa、処理流量250l/時で均質化処理し、得
られた均質発酵乳120kgに、グラニュウ糖(ホクレ
ン社製)120kgを添加して混合し、2%の濃度で溶
解したPGA(君津化学社製。NLS−K)水溶液60
kg(最終濃縮飲料中のPGA濃度0.3%)を添加
し、撹拌して均一に混合し、次いで20%乳酸カルシウ
ム(太平化学社製)水溶液57kg(最終濃縮飲料10
0g当たりのカルシウム含有量400mg)を添加し、
撹拌して均一に混合し、濃度調整水43kgを添加し、
前記と同一条件で再度均質化処理し、調合香料(長谷川
香料社製)0.5%を添加し、85℃で10分間加熱殺
菌し、殺菌した550ml容ガラス壜に500mlずつ
充填し、密封し、濃縮飲料500本を得た。
【0071】得られた濃縮飲料について、試験例1と同
一の方法により、平均粒子径及び遠沈量を測定した結
果、それぞれ1.6μm及び0.175mlであり、ま
た試験例1と同一の方法により、1年間室温保存した場
合も乳蛋白質の凝集、沈殿が生成せず、安定であった。
【0072】実施例2 乳酸菌により脱脂乳(森永乳業社製)を発酵して得たp
H3.1の乳酸菌発酵乳をラボラトリーホモゲナイザー
(三丸機械工業社製。型式:ト3−1C)により、圧力
15MPa、処理流量250l/時で均質化処理し、得
られた均質発酵乳120kgに、グラニュウ糖(ホクレ
ン社製)120kgを添加して混合し、2%の濃度で溶
解したPGA(君津化学社製。LV)水溶液70kg
(最終濃縮飲料中のPGA濃度0.35%)を添加し、
撹拌して均一に混合し、次いで20%乳酸カルシウム
(太平化学社製)水溶液72kg(最終濃縮飲料100
g当たりのカルシウム含有量500mg)を添加し、撹
拌して均一に混合し、濃度調整水18kgを添加し、前
記と同一条件で再度均質化処理し、調合香料(長谷川香
料社製)0.5%を添加し、85℃で10分間加熱殺菌
し、殺菌した550ml容ガラス壜に500mlずつ充
填し、密封し、濃縮飲料500本を得た。
【0073】得られた濃縮飲料について、試験例1と同
一の方法により、平均粒子径及び遠沈量を測定した結
果、1.8μm及び0.19mlであり、試験例1と同
一の方法により、1年間室温保存においても乳蛋白質の
凝集、沈殿は生成せず、安定であった。
【0074】実施例3 乳酸菌により脱脂乳(森永乳業社製)を発酵して得たp
H3.1の乳酸菌発酵乳をラボラトリーホモゲナイザー
(三丸機械工業社製。型式:ト3−1C)により、圧力
15MPa、処理流量250l/時で均質化処理し、得
られた均質発酵乳120kgに、グラニュウ糖(ホクレ
ン社製)120kgを添加して混合し、2%の濃度で溶
解したPGA(君津化学社製。MV)水溶液60kg
(最終濃縮飲料中のPGA濃度0.3%)を添加し、撹
拌して均一に混合し、次いで20%乳酸カルシウム(太
平化学社製)水溶液87kg(最終濃縮飲料100g当
たりのカルシウム含有量600mg)を添加し、撹拌し
て均一に混合し、濃度調整水13kgを添加し、前記と
同一条件で再度均質化処理し、調合香料(長谷川香料社
製)0.5%を添加し、85℃で10分間加熱殺菌し、
殺菌した550ml容ガラス壜に500mlずつ充填
し、密封し、濃縮飲料500本を得た。
【0075】得られた濃縮飲料について、試験例1と同
一の方法により、平均粒子径及び遠沈量を測定した結
果、2.2μm及び0.25mlであり、試験例1と同
一の方法により、1年間室温保存においても乳蛋白質の
凝集、沈殿は生成せず、安定であった。
【0076】実施例4 乳酸菌により脱脂乳(森永乳業社製)を発酵して得たp
H3.1の乳酸菌発酵乳をラボラトリーホモゲナイザー
(三丸機械工業社製。型式:ト3−1C)により、圧力
15MPa、処理流量250l/時で均質化処理し、得
られた均質発酵乳120kgに、グラニュウ糖(ホクレ
ン社製)120kgを添加して混合し、2%の濃度で溶
解したPGA(君津化学社製。HV)水溶液40kg
(最終濃縮飲料中のPGA濃度0.2%)を添加し、撹
拌して均一に混合し、次いで20%乳酸カルシウム(太
平化学社製)水溶液42kg(最終濃縮飲料100g当
たりのカルシウム含有量300mg)を添加し、撹拌し
て均一に混合し、濃度調整水78kgを添加し、前記と
同一条件で再度均質化処理し、調合香料(長谷川香料社
製)0.5%を添加し、85℃で10分間加熱殺菌し、
殺菌した550ml容ガラス壜に500mlずつ充填
し、密封し、濃縮飲料500本を得た。
【0077】得られた濃縮飲料について、試験例1と同
一の方法により、平均粒子径及び遠沈量を測定した結
果、2.1μm及び0.175mlであり、試験例1と
同一の方法により、1年間室温保存においても乳蛋白質
の凝集、沈殿は生成せず、安定であった。
【0078】実施例5 乳酸菌により脱脂乳(森永乳業社製)を発酵して得たp
H3.1の乳酸菌発酵乳をラボラトリーホモゲナイザー
(三丸機械工業社製。型式:ト3−1C)により、圧力
15MPa、処理流量250l/時で均質化処理し、得
られた均質発酵乳120kgに、グラニュウ糖(ホクレ
ン社製)120kgを添加して混合し、2%の濃度で溶
解したPGA(君津化学社製。NLS−K)水溶液70
kg(最終濃縮飲料中のPGA濃度0.35%)を添加
し、撹拌して均一に混合し、次いで20%乳酸カルシウ
ム(太平化学社製)水溶液28kg及び20%塩酸カル
シウム(富田製薬社製)水溶液14kg(最終濃縮飲料
100g当たりのカルシウム含有量400mg)を添加
し、撹拌して均一に混合し、濃度調整水48kgを添加
し、前記と同一条件で再度均質化処理し、調合香料(長
谷川香料社製)0.5%を添加し、85℃で10分間加
熱殺菌し、殺菌した550ml容ガラス壜に500ml
ずつ充填し、密封し、濃縮飲料500本を得た。
【0079】得られた濃縮飲料について、試験例1と同
一の方法により、平均粒子径及び遠沈量を測定した結
果、1.5μm及び0.145mlであり、試験例1と
同一の方法により、1年間室温保存においても乳蛋白質
の凝集、沈殿は生成せず、安定であった。
【0080】
【発明の効果】以上詳記したとおり本発明は、pH3.
8未満に調整した酸性乳、アルギン酸プロピレングリコ
−ルエステル及び水溶性カルシウムの少なくとも3種の
原材料からなり、該酸性乳の乳蛋白質粒子の平均径が
4.0μm以下であることを特徴とする安定性に優れた
カルシウム強化酸性濃縮乳飲料、及びその製造法であ
り、本発明により奏せられる効果は、次のとおりであ
る。 1)本発明の濃縮飲料は、乳蛋白質と水溶性カルシウム
とが酸性下において、均質に分散されているので、飲用
時のカルシウム量が牛乳と同等以上に強化されている。 2)本発明の濃縮飲料は、室温で長期間保存しても、沈
殿、凝集等を生成せず、安定性に優れている。 3)本発明の濃縮飲料は、酸性乳飲料の風味も有してい
るので、カルシウムが強化された新規な酸性乳飲料とし
ての需要が期待できる。 4)本発明の製造法は、前記濃縮飲料を、容易に、かつ
工業的規模で製造することができる。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 pH3.8未満に調整した酸性乳、アル
    ギン酸プロピレングリコ−ルエステル及び水溶性カルシ
    ウムの少なくとも3種の原材料からなり、該酸性乳の乳
    蛋白質粒子の平均径が4.0μm以下であることを特徴
    とする安定性に優れたカルシウム強化酸性濃縮乳飲料。
  2. 【請求項2】 アルギン酸プロピレングリコ−ルエステ
    ルが、0.1〜1.0%(重量)の割合である請求項1
    に記載の安定性に優れたカルシウム強化酸性濃縮乳飲
    料。
  3. 【請求項3】 水溶性カルシウムが、最終製品100g
    当たり200〜1000mgの割合である請求項1又は
    請求項2に記載の安定性に優れたカルシウム強化酸性濃
    縮乳飲料。
  4. 【請求項4】 pH3.8未満に調整した酸性乳、所定
    量のアルギン酸プロピレングリコ−ルエステル及び水溶
    性カルシウムの少なくとも3種の原材料混合物を均質化
    し、該酸性乳の乳蛋白質粒子の平均径を4.0μm以下
    に調整することを特徴とする安定性に優れたカルシウム
    強化酸性濃縮乳飲料の製造法。
  5. 【請求項5】 アルギン酸プロピレングリコ−ルエステ
    ルが、0.1〜1.0%(重量)の割合である請求項4
    に記載の安定性に優れたカルシウム強化酸性濃縮乳飲料
    の製造法。
  6. 【請求項6】 水溶性カルシウムが、最終製品100g
    当たり200〜1000mgの割合である請求項4又は
    請求項5に記載の安定性に優れたカルシウム強化酸性濃
    縮乳飲料の製造法。
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