JPH10283861A - 電気絶縁構造及び絶縁テープ - Google Patents

電気絶縁構造及び絶縁テープ

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JPH10283861A
JPH10283861A JP9103892A JP10389297A JPH10283861A JP H10283861 A JPH10283861 A JP H10283861A JP 9103892 A JP9103892 A JP 9103892A JP 10389297 A JP10389297 A JP 10389297A JP H10283861 A JPH10283861 A JP H10283861A
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JP
Japan
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dielectric constant
adhesive layer
tan
insulating
low
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JP9103892A
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English (en)
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Eiichi Sugimoto
栄一 杉本
Yasuo Yoshioka
泰男 吉岡
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MARUSHO KK
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
MARUSHO KK
Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】接着剤層付き絶縁テープを低伝送損失・高速伝
送通信機器に好適に使用できるようにするために、接着
剤層付き絶縁テープ全体の低誘電率化及び低tanδ化
を図る。 【解決手段】絶縁基材1の片面または両面に接着剤層を
有する絶縁テープを巻回してなる絶縁構造において、絶
縁基材1の誘電率が2.0%以下、tanδが0.2
以下であり、接着剤層2が発泡層である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子・電気機器の絶
縁に使用する電気絶縁構造及びその構造に用いる絶縁テ
−プに関するものである。
【0002】
【従来の技術】小型機器の絶縁に使用されている接着剤
層付き絶縁テ−プ、例えば粘着剤層付きの絶縁テ−プ
は、各層が固有の誘電率及び導電率を有する二層誘電体
である。この二層誘電体のアドミッタンスΛは、各層の
比誘電率をεs1,εs2、導電率をλ12とし、各層の単
位コンデンサの静電容量をε1(=kεs1),ε2(=kεs
2)とすれば、
【0003】Λ=(λ1+jwε1)(λ2+jwε2)/
〔(λ1+λ2)+jw(ε1+ε2)〕 で与えられ、 Λ=λ+(w2εε0T)/(1+w2T2)+jwε〔1+ε0/(1+w2T2)〕 ただし λ=λ1λ2/(λ1+λ2) ε=ε1ε2/(ε1
ε2) ε0=(ε1λ2−ε2λ1)21ε2(λ1+λ2)2 T=(ε1+ε2)/(λ1+λ2) で求められることが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記接着剤層の接着力
は、ミクロ的には、接着剤の流動性によって分子間力の
到達距離にまで接近した相互の分子の間に分子間力が作
用することにより与えられ、その分子間力には、諸説が
あるが、一般的に、分子の中に電気的双極子がある場
合、この双極子と多分子の双極子との間に働く力、また
はある分子の持つ双極子が他の分子に近づいたとき、相
手の分子の中に双極子を誘起させて出現した双極子との
間に働く力等とされている。而して、接着剤において
は、双極子を有し、または双極子が誘起され易いから、
誘電率が大であり、また、導電率も堅牢な分子構造の絶
縁基材に較べて相当に高い。
【0005】従来、上記の小型機器の絶縁に使用されて
いる接着剤層付き絶縁テ−プにおいては、優れた耐電
圧、絶縁抵抗値を有する絶縁基材、例えば、ポリエチレ
ンテレフタレ−トフィルムをバリヤ−として絶縁被覆層
の絶縁耐圧や絶縁抵抗を保証するようにしており、接着
剤層の電気特性は考慮されていない。
【0006】而るに、上記接着剤層付き絶縁テ−プの接
着剤層の厚みt1は、通常30〜50μm、絶縁基材の
厚みt2は通常50〜500μmであり、その比t2/t
1は1〜1/10程度であって、二層誘電体としての誘
電率εや導電率λ(λ=wεtanδ)に接着剤層の誘電率
や導電率がかなり関与し、比t2/t1が1に近づけば、
上記の式から明らかな通り、二層誘電体としての誘電
率や導電率、すなわち接着剤層付き絶縁テ−プ全体とし
ての誘電率や導電率が実質的に接着剤層の誘電率や導電
率で支配されるようになる。
【0007】近来、コンピュ−タ等の高速演算、衛星放
送・通信、移動無線等の高速伝送、低伝送損失等に応じ
るため、また、これら付属機器の小型化に応じるため
に、絶縁材料の低誘電率化、低tanδ化が要請されてい
るが、上記接着剤層付き絶縁テ−プにおいては、絶縁基
材自体が低誘電率、低tanδであっても、上記接着剤層
のために接着剤層付き絶縁テ−プ全体としての誘電率、
tanδが高いために、かかる用途には不適格である。
【0008】本発明の目的は、接着剤層付き絶縁テ−プ
を低伝送損失・高速伝送通信機器に好適に使用できるよ
うにするために、接着剤層付き絶縁テ−プ全体の低誘電
率化及び低tanδ化を図ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電気絶縁構
造は、絶縁基材の片面または両面に接着剤層を有する絶
縁テ−プを巻回してなる絶縁構造において、絶縁基材の
誘電率が2.0以下、tanδが0.2%以下であり、接
着剤層が発泡層であることを特徴とする構成であり、絶
縁テ−プには、絶縁基材の片面または両面に気泡含有接
着剤層を有するもの、または、絶縁基材の片面または両
面に発泡性接着剤層を有するものが使用される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に係る電気絶縁構造は、図
1に示す絶縁基材1の片面または両面に気泡含有接着剤
層2を有する絶縁テ−プを機器の充電部に巻回すること
により、または、図2に示す絶縁基材1の片面または両
面に発泡性接着剤層3を有する絶縁テ−プを機器の充電
部に巻回し、更に、加熱により接着剤層を発泡させるこ
とにより形成される。上記絶縁テ−プの基材の厚みt1
は、50〜500μmとされ、接着剤層の厚み(発泡性
接着剤層の場合は、発泡後の厚み)t2は、30〜50
μmとされ、基材には、誘電率が2.0以下、tanδが
0.2%以下のものが使用される。その理由は、誘電率
が0.2を越え、tanδが0.2%を越えると、上記厚
みt1、t2の比t1/t2のもとでは、接着剤層を発泡に
より低誘電率・低tanδとしても、接着剤層付き絶縁テ
−プ全体の誘電率及びtanδをそれほどには低くなし得
ないからである。
【0011】上記低誘電率・低tanδの絶縁基材には、
ポリエチレンテレフタレ−ト、ポリエチレンナフタレ−
ト、ポリフェニレンサルフアィド、ポリテトラフロオル
エチレン、溶融異方向性芳香族ポリエステル、ポリアミ
ドまたはポリイミド等の合成樹脂フィルムや有機繊維不
織布や織布、例えば、溶融異方向性芳香族ポリエステル
繊維紙、全芳香族ポリアミド繊維紙(例えば、ノ−メッ
クス紙)、ポリテトラフロオルエチレン繊維不織布等を
使用できる。上記溶融異方向性芳香族ポリエステルは、
例えば芳香族ジオ−ル、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒ
ドロキシルカルボン酸等より得られるポリマ−であり、
特に好ましくは、パラヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロ
キシ6−ナフトエ酸の構成単位からなる部分が60モル
%以上である溶融異方向性方向族ポリエステルであり、
特にパラヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロキシ6−ナフ
トエ酸との合計量に対する2−ヒドロキシ6−ナフトエ
酸成分が5〜45モル%である芳香族ポリエステルが好
ましい。前記成分中には適宜、テレフタル酸、ビスフェ
ノ−ル及びアミン誘導体等を含んでいてもよく、溶融異
方向性とは溶融相において光学的異方性を示すものであ
り、このような特性は、例えば、ホットステ−ジに載せ
た試料を窒素雰囲気下で昇温加熱し、その透光性を観察
することにより設定できる。この溶融異方向性芳香族ポ
リエステル繊維紙としては、溶融異方向性芳香族ポリエ
ステルのパルプ40〜90%と溶融異方向性芳香族ポリ
エステルの20mm以下好ましくは10mm以下の短繊
維60〜10%とを混合したものを通常の抄紙機にて抄
造したのち、更に熱カレンダ−したものが好適であり、
密度は1.00〜1.45g/cm3とされる。繊維は
溶融紡糸により得られ(強度を高めるために熱処理する
こともある)、パルプは溶融紡糸した繊維をショ−トカ
ットした後、ミキサ−、レファイナ−で叩解することに
より、または易アルカリ減量性ポリエステルを海成分と
し、溶融異方向性芳香族ポリエステルを島成分として複
合紡糸して得られた海−島型複合繊維をショ−トカット
し、易アルカリ減量性ポリエステル成分を溶解除去して
極細化することにより得られる。この溶融異方向性芳香
族ポリエステル繊維紙の市販品には、クラレ社製ベクル
スがある。
【0012】上記低誘電率・低tanδの絶縁基材には、
発泡プラスチックフィルムを使用することもできる。こ
の発泡プラスチックフィルムは、互いに非相溶の二種以
上の樹脂の混合物、例えば、ポリエチレンテレフタレ−
トとポリスチレンとの混合物をTダイを用いてフィルム
に成形し、次いで、このフィルムを延伸して内部に空洞
を形成することにより得ることができる。
【0013】上記低誘電率・低tanδの絶縁基材には、
発泡プラスチックフィルムまたは孔開け合成樹脂フィル
ムの両面に合成樹脂フィルム(カレンダ−フィルム、押
出フィルム、キャスティグフィルム等の孔無しのもの)
を融着により複合化したもの、あるいは、エンボス加工
(例えば、輪転凸版による加工)した合成樹脂フィルム
の両面に合成樹脂フィルムを融着により複合したもの等
も使用できる。
【0014】上記接着剤には、ポリアクリル酸ブチル系
やシリコ−ン系等の接着硬化型、ゴム系、シリコ−ン
系、アクリル系等の粘着型を使用できる。接着剤層は基
材入りとすることもできる。接着剤層に添加する発泡剤
としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリルを使用
できる。発泡接着剤層の発泡には、発泡剤を添加して発
泡させる方法の外、気体混入法、化学反応法等を使用す
ることもできる。
【0015】本発明に係る電気絶縁構造においては、絶
縁テ−プの絶縁基材に低誘電率・低tanδの合成樹脂フ
ィルム、合成樹脂繊維紙を使用しているだけではなく、
接着剤層を発泡により低誘電率・低tanδにしているか
ら、全体を低誘電率・低tanδにできる。このことは、
次の試験からも確認できる。 〔試験1〕厚み50μmの溶融異方向性芳香族ポリエス
テル繊維紙(クラレ社製ベクルス)の発泡剤配合のシリ
コ−ン系硬化型接着剤を塗布し、両面を電極で挾み、加
熱により接着剤層をその接触電極に接着すると共に発泡
させた。発泡後の接着剤層の厚みは13μmであり、気
泡含有率は30%であった。この試料の60サイクルで
の誘電率及びtanδを測定したところ、接着剤に発泡剤
を配合したかった場合(誘電率3.0、tanδ0.16
%)に較べ、誘電率は2.0であって約35%、tanδ
は0.02%であって約80%に減少した。
【0016】〔試験2〕絶縁テ−プの絶縁基材に、厚み
100μm、見かけ比重0.75、空洞含有率約40%
の延伸空洞含有プラスチックフィルムと厚み16μmの
ポリエチレンテレフタレ−トフィルムとを融着したもの
を使用した以外、試験1に同じとした。延伸空洞含有プ
ラスチックフィルムは次のようにして、製造した。すな
わち、固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレ−ト
65重量%とメルトフロ−インデックス2.0のポリス
チレン35重量%との混合物をベント式二軸押出機に供
給して混練し、当該押出機のTダイより温度30℃の冷
却ドラム上に押し出して厚み約900μmの未延伸シ−
トを得、引き続き、この未延伸シ−トを85℃に加熱し
延伸ロ−ルにより温度3.4倍で縦延伸し、次いで、テ
ンタ−で120℃に加熱して3.8倍で巾方向延伸を行
い、巾固定のもとで220℃、5秒間の巾固定熱処理を
行い、更に、温度220℃、4%にて巾方向緩和を行
い、最終的に冷却した。この試験2の試料の60サイク
ルでの誘電率及びtanδを測定したところ、接着剤に発
泡剤を配合したかった場合(誘電率2.8、tanδ0.
3%)に較べ、誘電率は2.0であって約30%、tan
δは0.02%であって約90%に減少した。
【0017】〔試験3〕絶縁テ−プの絶縁基材に、厚み
50μmのポリエチレンテレフタレ−トフィルムを使用
した以外、試験1に同じとした。この試験3の試料の6
0サイクルでの誘電率及びtanδを測定したところ、接
着剤に発泡剤を配合したかった場合(誘電率3.2、ta
nδ0.2%)に較べ、誘電率は2.5であって約30
%、tanδは0.1%であって約50%に減少した。
【0018】〔試験4〕絶縁テ−プの絶縁基材に、厚み
50μmのポリフェニレンサルフアィドフィルムを使用
した以外、試験1に同じとした。この試験4の試料の6
0サイクルでの誘電率及びtanδを測定したところ、接
着剤に発泡剤を配合したかった場合(誘電率3.0、ta
nδ0.06%)に較べ、誘電率は2.3であって約2
5%、tanδは0.02%であって約70%に減少し
た。
【0019】〔試験5〕絶縁テ−プの絶縁基材に、厚み
50μmのポリテトラフロオルエチレンフィルムを使用
した以外、試験1に同じとした。この試験5の試料の6
0サイクルでの誘電率及びtanδを測定したところ、接
着剤に発泡剤を配合したかった場合(誘電率2.1、ta
nδ0.02%)に較べ、誘電率は1.8であって約1
5%、tanδは0.01%であって約50%に減少し
た。
【0020】〔試験6〕絶縁テ−プの絶縁基材に、厚み
50μmのポリイミドフィルムを使用した以外、試験1
に同じとした。この試験6の試料の60サイクルでの誘
電率及びtanδを測定したところ、接着剤に発泡剤を配
合したかった場合(誘電率3.3、tanδ0.1%)に
較べ、誘電率は2.5であって約25%、tanδは0.
05%であって約50%に減少した。
【0021】
【発明の効果】本発明においては、接着剤層付き絶縁テ
−プの絶縁基材に低誘電率及び低tanδの合成樹脂フィ
ルム、不織布または空洞含有合成樹脂フィルムを使用す
ると、接着剤層が接着剤層付き絶縁テ−プ全体の誘電率
やtanδに顕に関与するようになることを勘案し、接着
剤層を発泡により低誘電率及び低tanδにしてあり、高
価な低誘電率及び低tanδの合成樹脂フィルム、不織布
または空洞含有合成樹脂フィルム等の低誘電率・低tan
δ特性を接着タイプでも有効に発揮させ得ると共に接着
剤層付き絶縁テ−プの使用範囲を低伝送損失・高速伝送
通信等の分野にも好適に拡張できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項2に係る絶縁テ−プを示す図面である。
【図2】請求項3に係る絶縁テ−プを示す図面である。
【符号の説明】
1 絶縁基材 2 気泡含有接着剤層 3 発泡性接着剤層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年5月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】明細書
【発明の名称】電気絶縁構造及び絶縁テープ
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は電子・電気機器の絶
縁に使用する電気絶縁構造及びその構造に用いる絶縁テ
ープに関するものである。
【0002】
【従来の技術】小型機器の絶縁に使用されている接着剤
層付き絶縁テープ、例えば粘着剤層付きの絶縁テープ
は、各層が固有の誘電率及び導電率を有する二層誘電体
である。この二層誘電体のアドミッタンスAは、各層の
比誘電率をεs,εs、導電率をλ,λとし、
各層の単位コンデンサの静電容量をε(=kε
),ε(=kεs)とすれば、
【0003】A=(λ+jwε)(λ+jw
ε)/〔(λ+λ)+jw(ε+ε)〕で与
えられ、 A=λ+(wεεT)/(1+w)+jwε〔1+ε/(1+w)〕 ただし λ=λλ/(λ+λ) ε=εε
(ε+ε) ε=(ελ−ελ/εε(λ+λ
T=(ε+ε)/(λ+λ) で求められることが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記接着剤層の接着力
は、ミクロ的には、接着剤の流動性によって分子間力の
到達距離にまで接近した相互の分子の間に分子間力が作
用することにより与えられ、その分子間力には、諸説が
あるが、一般的に、分子の中に電気的双極子がある場
合、この双極子と多分子の双極子との間に働く力、また
はある分子の持つ双極子が他の分子に近づいたとき、相
手の分子の中に双極子を誘起させて出現した双極子との
間に働く力等とされている。而して、接着剤において
は、双極子を有し、または双極子が誘起され易いから、
誘電率が大であり、また、導電率も堅牢な分子構造の絶
縁基材に較べて相当に高い。
【0005】従来、上記の小型機器の絶縁に使用されて
いる接着剤層付き絶縁テープにおいては、優れた耐電
圧、絶縁抵抗値を有する絶縁基材、例えば、ポリエチレ
ンテレフタレートフィルムをバリヤーとして絶縁被覆層
の絶縁耐圧や絶縁抵抗を保証するようにしており、接着
剤層の電気特性は考慮されていない。
【0006】而るに、上記接着剤層付き絶縁テープの接
着剤層の厚みtは、通常30〜50μm、絶縁基材の
厚みtは通常50〜500μmであり、その比t
は1〜1/10程度であって、二層誘電体としての
誘電率εや導電率λ(λ=wεtanδ)に接着剤層の
誘電率や導電率がかなり関与し、比t/tが1に近
づけば、上記の式から明らかな通り、二層誘電体とし
ての誘電率や導電率、すなわち接着剤層付き絶縁テープ
全体としての誘電率や導電率が実質的に接着剤層の誘電
率や導電率で支配されるようになる。
【0007】近来、コンピュータ等の高速演算、衛星放
送・通信、移動無線等の高速伝送、低伝送損失等に応じ
るため、また、これら付属機器の小型化に応じるため
に、絶縁材料の低誘電率化、低tanδ化が要請されて
いるが、上記接着剤層付き絶縁テープにおいては、絶縁
基材自体が低誘電率、低tanδであっても、上記接着
剤層のために接着剤層付き絶縁テープ全体としての誘電
率、tanδが高いために、かかる用途には不適格であ
る。
【0008】本発明の目的は、接着剤層付き絶縁テープ
を低伝送損失・高速伝送通信機器に好適に使用できるよ
うにするために、接着剤層付き絶縁テープ全体の低誘電
率化及び低tanδ化を図ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係る電気絶縁構
造は、絶縁基材の片面または両面に接着剤層を有する絶
縁テープを巻回してなる絶縁構造において、絶縁基材の
誘電率が2.0以下、tanδが0.2%以下であり、
接着剤層が発泡層であることを特徴とする構成であり、
絶縁テープには、絶縁基材の片面または両面に気泡含有
接着剤層を有するもの、または、絶縁基材の片面または
両面に発泡性接着剤層を有するものが使用される。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に係る電気絶縁構造は、図
1に示す絶縁基材1の片面または両面に気泡含有接着剤
層2を有する絶縁テープを機器の充電部に巻回すること
により、または、図2に示す絶縁基材1の片面または両
面に発泡性接着剤層3を有する絶縁テープを機器の充電
部に巻回し、更に、加熱により接着剤層を発泡させるこ
とにより形成される。上記絶縁テープの基材の厚みt
は、50〜500μmとされ、接着剤層の厚み(発泡性
接着剤層の場合は、発泡後の厚み)tは、30〜50
μmとされ、基材には、誘電率が2.0以下、tanδ
が0.2%以下のものが使用される。その理由は、誘電
率が2.0を越え、tanδが0.2%を越えると、上
記厚みt、tの比t/tのもとでは、接着剤層
を発泡により低誘電率・低tanδとしても、接着剤層
付き絶縁テープ全体の誘電率及びtanδをそれほどに
は低くなし得ないからである。
【0011】上記低誘電率・低tanδの絶縁基材に
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリフェニレンサルフアィド、ポリテトラフロ
オルエチレン、溶融異方向性芳香族ポリエステル、ポリ
アミドまたはポリイミド等の合成樹脂フィルムや有機繊
維不織布や織布、例えば、溶融異方向性芳香族ポリエス
テル繊維紙、全芳香族ポリアミド繊維紙(例えば、ノー
メックス紙)、ポリテトラフロオルエチレン繊維不織布
等を使用できる。上記溶融異方向性芳香族ポリエステル
は、例えば芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香
族ヒドロキシルカルボン酸等より得られるポリマーであ
り、特に好ましくは、パラヒドロキシ安息香酸と2−ヒ
ドロキシ6−ナフトエ酸の構成単位からなる部分が60
モル%以上である溶融異方向性芳香族ポリエステルであ
り、特にパラヒドロキシ安息香酸と2−ヒドロキシ6−
ナフトエ酸との合計量に対する2−ヒドロキシ6−ナフ
トエ酸成分が5〜45モル%である芳香族ポリエステル
が好ましい。前記成分中には適宜、テレフタル酸、ビス
フェノール及びアミン誘導体等を含んでいてもよく、溶
融異方向性とは溶融相において光学的異方性を示すもの
であり、このような特性は、例えば、ホットステージに
載せた試料を窒素雰囲気下で昇温加熱し、その透光性を
観察することにより設定できる。この溶融異方向性芳香
族ポリエステル繊維紙としては、溶融異方向性芳香族ポ
リエステルのパルプ40〜90%と溶融異方向性芳香族
ポリエステルの20mm以下好ましくは10mm以下の
短繊維60〜10%とを混合したものを通常の抄紙機に
て抄造したのち、更に熱カレンダーしたものが好適であ
り、密度は1.00〜1.45g/cmとされる。繊
維は溶融紡糸により得られ(強度を高めるために熱処理
することもある)、パルプは溶融紡糸した繊維をショー
トカットした後、ミキサー、レファイナーで叩解するこ
とにより、または易アルカリ減量性ポリエステルを海成
分とし、溶融異方向性芳香族ポリエステルを島成分とし
て複合紡糸して得られた海−島型複合繊維をショートカ
ットし、易アルカリ減量性ポリエステル成分を溶解除去
して極細化することにより得られる。この溶融異方向性
芳香族ポリエステル繊維紙の市販品には、クラレ社製ベ
クルスがある。
【0012】上記低誘電率・低tanδの絶縁基材に
は、発泡プラスチックフィルムを使用することもでき
る。この発泡プラスチックフィルムは、互いに非相溶の
二種以上の樹脂の混合物、例えば、ポリエチレンテレフ
タレートとポリスチレンとの混合物をTダイを用いてフ
ィルムに成形し、次いで、このフィルムを延伸して内部
に空洞を形成することにより得ることができる。
【0013】上記低誘電率・低tanδの絶縁基材に
は、発泡プラスチックフィルムまたは孔開け合成樹脂フ
ィルムの両面に合成樹脂フィルム(カレンダーフィル
ム、押出フィルム、キャスティグフィルム等の孔無しの
もの)を融着により複合化したもの、あるいは、エンボ
ス加工(例えば、輪転凸版による加工)した合成樹脂フ
ィルムの両面に合成樹脂フィルムを融着により複合した
もの等も使用できる。
【0014】上記接着剤には、ポリアクリル酸ブチル系
やシリコーン系等の接着硬化型、ゴム系、シリコーン
系、アクリル系等の粘着型を使用できる。接着剤層は基
材入りとすることもできる。接着剤層に添加する発泡剤
としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリルを使用
できる。発泡接着剤層の発泡には、発泡剤を添加して発
泡させる方法の外、気体混入法、化学反応法等を使用す
ることもできる。
【0015】本発明に係る電気絶縁構造においては、絶
縁テープの絶縁基材に低誘電率・低tanδの合成樹脂
フィルム、合成樹脂繊維紙を使用しているだけではな
く、接着剤層を発泡により低誘電率・低tanδにして
いるから、全体を低誘電率・低tanδにできる。この
ことは、次の試験からも確認できる。 〔試験1〕厚み50μmの溶融異方向性芳香族ポリエス
テル繊維紙(クラレ社製ベクルス)発泡剤配合のシリ
コーン系硬化型接着剤を塗布し、両面を電極で挾み、加
熱により接着剤層をその接触電極に接着すると共に発泡
させた。発泡後の接着剤層の厚みは13μmであり、気
泡含有率は30%であった。この試料の60サイクルで
の誘電率及びtanδを測定したところ、接着剤に発泡
剤を配合しかった場合(誘電率3.0、tanδ0.
16%)に較べ、誘電率は2.0であって約35%、t
anδは0.02%であって約80%減少した。
【0016】〔試験2〕絶縁テープの絶縁基材に、厚み
100μm、見かけ比重0.75、空洞含有率約40%
の延伸空洞含有プラスチックフィルムと厚み16μmの
ポリエチレンテレフタレートフィルムとを融着したもの
を使用した以外、試験1に同じとした。延伸空洞含有プ
ラスチックフィルムは次のようにして、製造した。すな
わち、固有粘度0.62のポリエチレンテレフタレート
65重量%とメルトフローインデックス2.0のポリス
チレン35重量%との混合物をベント式二軸押出機に供
給して混練し、当該押出機のTダイより温度30℃の冷
却ドラム上に押し出して厚み約900μmの未延伸シー
トを得、引き続き、この未延伸シートを85℃に加熱し
延伸ロールにより温度3.4倍で縦延伸し、次いで、テ
ンターで120℃に加熱して3.8倍で巾方向延伸を行
い、巾固定のもとで220℃、5秒間の巾固定熱処理を
行い、更に、温度220℃、4%にて巾方向緩和を行
い、最終的に冷却した。この試験2の試料の60サイク
ルでの誘電率及びtanδを測定したところ、接着剤に
発泡剤を配合しかった場合(誘電率2.8、tanδ
0.3%)に較べ、誘電率は2.0であって約30%、
tanδは0.02%であって約90%減少した。
【0017】〔試験3〕絶縁テープの絶縁基材に、厚み
50μmのボリエチレンテレフタレートフィルムを使用
した以外、試験1に同じとした。この試験3の試料の6
0サイクルでの誘電率及びtanδを測定したところ、
接着剤に発泡剤を配合しかった場合(誘電率3.2、
tanδ0.2%)に較べ、誘電率は2.5であって約
30%、tanδは0.1%であって約50%減少し
た。
【0018】〔試験4〕絶縁テープの絶縁基材に、厚み
50μmのポリフェニレンサルフアィドフィルムを使用
した以外、試験1に同じとした。この試験4の試料の6
0サイクルでの誘電率及びtanδを測定したところ、
接着剤に発泡剤を配合しかった場合(誘電率3.0、
tanδ0.06%)に較べ、誘電率は2.3であって
約25%、tanδは0.02%であって約70%減
した。
【0019】〔試験5〕絶縁テープの絶縁基材に、厚み
50μmのポリテトラフロオルエチレンフィルムを使用
した以外、試験1に同じとした。この試験5の試料の6
0サイクルでの誘電率及びtanδを測定したところ、
接着剤に発泡剤を配合しかった場合(誘電率2.1、
tanδ0.02%)に較べ、誘電率は1.8であって
約15%、tanδは0.01%であって約50%減
した。
【0020】〔試験6〕絶縁テープの絶縁基材に、厚み
50μmのポリイミドフィルムを使用した以外、試験1
に同じとした。この試験6の試料の60サイクルでの誘
電率及びtanδを測定したところ、接着剤に発泡剤を
配合しかった場合(誘電率3.3、tanδ0.1
%)に較べ、誘電率は2.5であって約25%、tan
δは0.05%であって約50%減少した。
【0021】
【発明の効果】本発明においては、接着剤層付き絶縁テ
ープの絶縁基材に低誘電率及び低tanδの合成樹脂フ
ィルム、不織布または空洞含有合成樹脂フィルムを使用
すると、接着剤層が接着剤層付き絶縁テープ全体の誘電
率やtanδに顕に関与するようになることを勘案し、
接着剤層を発泡により低誘電率及び低tanδにしてあ
り、高価な低誘電率及び低tanδの合成樹脂フィル
ム、不織布または空洞含有合成樹脂フィルム等の低誘電
率・低tanδ特性を接着タイプでも有効に発揮させ得
ると共に接着剤層付き絶縁テープの使用範囲を低伝送損
失・高速伝送通信等の分野にも好適に拡張できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項2に係る絶縁テープを示す図面である。
【図2】請求項3に係る絶縁テープを示す図面である。
【符号の説明】 1 絶縁基材 2 気泡含有接着剤層 3 発泡性接着剤層

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】絶縁基材の片面または両面に接着剤層を有
    する絶縁テ−プを巻回してなる絶縁構造において、絶縁
    基材の誘電率が2.0以下、tanδが0.2%以下であ
    り、接着剤層が発泡層であることを特徴とする電気絶縁
    構造。
  2. 【請求項2】請求項1における絶縁テ−プにおいて、絶
    縁基材の片面または両面に気泡含有接着剤層を有するこ
    とを特徴とする絶縁テ−プ。
  3. 【請求項3】請求項1における絶縁テ−プにおいて、絶
    縁基材の片面または両面に発泡性接着剤層を有すること
    を特徴とする絶縁テ−プ。
JP9103892A 1997-04-07 1997-04-07 電気絶縁構造及び絶縁テープ Pending JPH10283861A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6633004B1 (en) 1999-04-12 2003-10-14 Abb Research Ltd Support insulator
JP2006144141A (ja) * 2004-11-17 2006-06-08 Kuraray Co Ltd 耐熱性粘着テープ用基材
WO2023132356A1 (ja) * 2022-01-07 2023-07-13 大日本印刷株式会社 発泡性接着シートおよび物品

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JP2006144141A (ja) * 2004-11-17 2006-06-08 Kuraray Co Ltd 耐熱性粘着テープ用基材
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